JP2010111565A - 窒化リン酸リチウム化合物の製造方法 - Google Patents

窒化リン酸リチウム化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な方法で得ることができる窒化リン酸リチウム化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】Li元素およびPO骨格を有する原料化合物と、下記一般式(1)で表される窒化剤と、を含有する原料組成物を調製する調製工程と、上記原料組成物を焼成し、窒化リン酸リチウム化合物を合成する合成工程と、を有することを特徴とする窒化リン酸リチウム化合物の製造方法を提供する。
Figure 2010111565

一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立であり、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)および窒素(N)の少なくともいずれかを有する官能基である。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば固体電解質や活物質として有用な窒化リン酸リチウム化合物を、簡易な方法で得ることができる窒化リン酸リチウム化合物の製造方法に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を集めている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶剤を溶媒とする有機電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善が必要となる。これに対し、液体電解質を固体電解質に変えて、電池を全固体化した全固体型リチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れている。
このような固体電解質として、例えば酸化物固体電解質が知られているが、酸化物固体電解質は一般的にLiイオン伝導性が低いことが知られている。一方、酸化物固体電解質の中でも、LIPON(リン酸リチウムの窒化物の総称)は、高いLiイオン伝導性を有し、かつ、酸化還元に対して安定であるため、全固体型リチウム電池の固体電解質として注目されている。従来から、LIPONの合成方法として、幾つかの方法が知られている。
例えば特許文献1および特許文献2においては、抵抗加熱蒸着法により、窒化リン酸リチウム薄膜を形成する方法が開示されている。また、特許文献3においては、オルトリン酸リチウム(LiPO)および遷移金属元素(例えばTi)をターゲットとし、スパッタリングガスとして窒素を用いることで、遷移金属元素を含む窒化リン酸リチウム薄膜を形成する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法では、単位時間に合成できる量が極めて少なく、量産性が悪いという問題があった。
なお、特許文献4においては、光触媒活性を有する酸化物(例えば酸化チタン)と、常温で酸化物に吸着する窒素化合物(例えば尿素)との混合物を加熱することにより、酸化窒化物を形成する方法が開示されている。また、特許文献5には、Li1−yM´(XO(Mは遷移金属であり、M´はMg2+、Ca2+、Al3+、Zn2+等であり、XはS、P、Siである)の製造方法が開示されており、さらに、上記化合物の原料を、NH/HOの雰囲気で還元する方法が開示されている。また、特許文献6には、固体電解質として、Li3.00.8Si0.1Ge0.13.450.8、Li2.70.8Ge0.10.13.450.8、Li3.00.80.1Al0.13.450.8等が開示されている。さらに、特許文献7には、LiMePO4−x(MeはFe、Co、NiおよびMnよりなる群から選択される少なくとも1種の原子)で表される非水電解質二次電池用活物質が開示されている。この技術では、リン酸塩化合物を窒素ガス雰囲気下で加熱し、アンモニアガスと反応させることにより、窒素を含むリン酸塩化合物からなる活物質を合成する。具体的には、LiFePONおよびLiCoPOFN等が開示されている。
また、特許文献8には、LiMePOF(MeはFe、Co、MnおよびNiからなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属元素)で表される材料の原料を混合し、得られた混合物を溶融する非水電解質電池用活物質の製造方法が開示されている。特許文献9には、オリビン型リン酸鉄リチウム正極材料およびその製造方法が開示されている。特許文献10には、正極活物質として、LiMPO(MはCo、Ni、Mn、Feから選ばれる少なくとも1種以上の元素から構成される)で表されるオリビン型リン酸リチウムの一部をフッ素で置換されたものを用いることが開示されている。特許文献11には、非晶質のLIPONを形成した後、その一部を結晶化して、結晶粒を含む固体電解質層を形成することが開示されている。
特開2004−183078号公報 特開2004−228029号公報 特開2004−193112号公報 特開2002−154823号公報 特表2004‐509058号公報 特開2005‐038843号公報 特開2005‐353320号公報 特開2007‐073360号公報 特開2006‐131485号公報 特開2003‐187799号公報 特開2005‐93372号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡易な方法で窒化リン酸リチウム化合物を得ることができる窒化リン酸リチウム化合物の製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明においては、Li元素およびPO骨格を有する原料化合物と、下記一般式(1)で表される窒化剤と、を含有する原料組成物を調製する調製工程と、上記原料組成物を焼成し、窒化リン酸リチウム化合物を合成する合成工程と、を有することを特徴とする窒化リン酸リチウム化合物の製造方法を提供する。
Figure 2010111565
一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立であり、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)および窒素(N)の少なくともいずれかを有する官能基である。
本発明によれば、窒化剤を含む原料組成物を用い、その原料組成物を焼成することで、容易に窒化リン酸リチウム化合物を得ることができる。また、従来のスパッタリング法や蒸着法は単位時間に合成できる量が極めて少ないという問題があり、量産性が低かった。これに対して、本発明は、このような問題を解決できるという利点を有する。
上記発明においては、上記原料化合物が、LiPOであることが好ましい。Li元素およびPO骨格の両方を有する原料化合物を用いることにより、より簡易に窒化リン酸リチウム化合物を得ることができるからである。
上記発明においては、上記原料化合物が、LiCOおよび(NH)HPOの混合物であることが好ましい。Li元素およびPO骨格の割合を調整しやすいからである。さらに、焼成によって、LiCOからCOが発生し、(NH)HPOからNHおよびHが発生するため、目的とする窒化リン酸リチウム化合物の組成に悪影響を与え難いという利点を有する。
上記発明においては、上記原料化合物が、Li(XはTi、Zr、Ge、In、Ga、SnおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはB、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、SbおよびSeからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜eは、0.5<a<5.0、0.5≦b<3.0、0≦c<2.98、0.02<d≦3.0、2.0<c+d<4.0、3.0<e≦12.0の関係を満たす)で表される化合物であることが好ましい。Liイオン伝導性の高い窒化リン酸リチウム化合物を得ることができるからである。
上記発明においては、上記原料化合物が、Li(XはMn、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはMg、Al、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、InおよびZnからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜eは、0.001≦a≦1.5、0.7≦b≦1.3、0≦c≦0.4、0.7≦b+c≦1.3、0.7≦d≦1.3、3.0≦e≦5.0の関係を満たす)で表される化合物であることが好ましい。Liイオン伝導性および電子伝導性の高い窒化リン酸リチウム化合物とすることができるからである。
上記発明においては、上記原料化合物が、Li(XはMn、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはMg、Al、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、InおよびZnからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜fは、0.001≦a≦1.5、0.7≦b≦1.3、0≦c≦0.4、0.7≦b+c≦1.3、0.7≦d≦1.3、3.0≦e≦5.0、0.002≦f≦2.0の関係を満たす)で表される化合物であることが好ましい。Liイオン伝導性および電子伝導性の高い窒化リン酸リチウム化合物とすることができるからである。
上記発明においては、上記調製工程の前に、Li源、X源、Y源、PO源およびF源を含有する混合物を用いて、上記原料化合物を合成する合成工程を有することが好ましい。より耐久性に優れた窒化リン酸リチウム化合物を得ることができるからである。
上記発明においては、上記窒化剤が、常温(25℃)で固体または液体であることが好ましい。効率的に窒化を行うことができるからである。
上記発明においては、上記窒化剤が、尿素であることが好ましい。効果的に窒化を行うことができるからである。
上記発明においては、上記合成工程の際の焼成温度が、100℃〜800℃の範囲内であることが好ましい。Liイオン伝導性の高い窒化リン酸リチウム化合物を得ることができるからである。
上記発明においては、上記合成工程の際の焼成時間が、10分〜7時間の範囲内であることが好ましい。Liイオン伝導性の高い窒化リン酸リチウム化合物を得ることができるからである。
また、本発明においては、Li(XはTi、Zr、Ge、In、Ga、SnおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはB、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、SbおよびSeからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜fは、0.5<a<5.0、0.5≦b<3.0、0≦c<2.98、0.02<d≦3.0、2.0<c+d<4.0、3.0<e≦12.0、0.002<f<2.0の関係を満たす)で表されることを特徴とする窒化リン酸リチウム化合物を提供する。
本発明によれば、上記の組成を有することから、Liイオン伝導性の高い窒化リン酸リチウム化合物とすることができる。この窒化リン酸リチウム化合物は、通常、NASICON(LISICON)型構造を有する化合物である。
また、本発明においては、Li(XはMn、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはMg、Al、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、InおよびZnからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜fは、0.001≦a≦1.5、0.7≦b≦1.3、0≦c≦0.4、0.7≦b+c≦1.3、0.7≦d≦1.3、3.0≦e≦5.0、0.002≦f≦2.0の関係を満たす)で表されることを特徴とする窒化リン酸リチウム化合物を提供する。
本発明によれば、上記の組成を有することから、上記の組成を有することから、Liイオン伝導性および電子伝導性の高い窒化リン酸リチウム化合物とすることができる。この窒化リン酸リチウム化合物は、通常、オリビン型構造を有する化合物である。
また、本発明においては、Li(XはMn、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはMg、Al、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、InおよびZnからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜gは、0.001≦a≦1.5、0.7≦b≦1.3、0≦c≦0.4、0.7≦b+c≦1.3、0.7≦d≦1.3、3.0≦e≦5.0、0.002≦f≦2.0、0.002≦g≦2.0の関係を満たす)で表されることを特徴とする窒化リン酸リチウム化合物を提供する。
本発明によれば、上記の組成を有することから、Liイオン伝導性および電子伝導性の高い窒化リン酸リチウム化合物とすることができる。さらに、組成中にFを有することから、Liイオン伝導性、電子伝導性、耐久性に優れた窒化リン酸リチウム化合物とすることができる。この窒化リン酸リチウム化合物は、通常、オリビン型構造を有する化合物である。
上記発明においては、窒化リン酸リチウム化合物が粒子状であることが好ましい。薄膜の窒化リン酸リチウム化合物に比べて、剥離やクラック等が生じず、耐久性に優れているからである。
上記発明においては、窒化リン酸リチウム化合物の平均粒径が100nm〜100μmの範囲内であることが好ましい。固体電解質や正極活物質として有用だからである。
上記発明においては、窒化リン酸リチウム化合物の比表面積が0.1m/g〜300m/gの範囲内であることが好ましい。Liイオン伝導性の高い窒化リン酸リチウム化合物とすることができるからである。
また、本発明においては、上述したNASICON(LISICON)型構造を有する化合物を含有することを特徴とする固体電解質層を提供する。
本発明によれば、上記化合物を用いることにより、Liイオン伝導性に優れた固体電解質層とすることができる。
また、本発明においては、上述したオリビン型構造を有する化合物を含有することを特徴とする正極活物質層を提供する。
本発明によれば、上記化合物を用いることにより、電子伝導性に優れた正極活物質層とすることができる。
本発明においては、簡易な方法で窒化リン酸リチウム化合物を得ることができるという効果を奏する。
本発明の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法の一例を示す説明図である。 本発明の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法の他の例を示す説明図である。 実施例1−1および比較例1−1の窒化リン酸リチウム化合物、ならびに比較例1−2の評価用組成物に対するXPS測定の結果である。 実施例1−1の窒化リン酸リチウム化合物に対するXRD測定の結果である。 実施例2の窒化リン酸リチウム化合物に対するXPS測定の結果である。 実施例3および比較例3の窒化リン酸リチウム化合物に対するXRD測定の結果である。 実施例4および比較例3の窒化リン酸リチウム化合物に対するXRD測定の結果である。
以下、本発明の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法、窒化リン酸リチウム化合物、固体電解質層および正極活物質層について、詳細に説明する。
A.窒化リン酸リチウム化合物の製造方法
まず、本発明の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法について説明する。本発明の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法は、Li元素およびPO骨格を有する原料化合物と、上述した一般式(1)で表される窒化剤と、を含有する原料組成物を調製する調製工程と、上記原料組成物を焼成し、窒化リン酸リチウム化合物を合成する合成工程と、を有することを特徴とするものである。
また、本発明における「窒化リン酸リチウム化合物」とは、少なくともLi元素、PO骨格およびN元素を有する化合物をいい、さらに、後述するその他の元素(例えば遷移金属元素)を含む化合物であっても良い。また、本発明における「PO骨格」は、厳密なPOからなる骨格のみに限定されるものではなく、その近傍組成からなる骨格をも含むものである。PO骨格を構成するP元素を1とした場合に、PO骨格を構成するO元素は、2〜6の範囲内であることが好ましく、3〜4の範囲内であることがより好ましい。
本発明によれば、窒化剤を含む原料組成物を用い、その原料組成物を焼成することで、容易に窒化リン酸リチウム化合物を得ることができる。また、従来のスパッタリング法や蒸着法は、単位時間に合成できる量が極めて少ないという問題があり、量産性が低かった。これに対して、本発明は、このような問題を解決できるという利点を有する。
また、例えば窒化剤としてLiNを用いて、800℃程度の温度で焼成処理を行うことで、窒化リン酸リチウム化合物を合成することができる可能性がある。しかしながら、LiNは、水分と反応しやすく、反応を制御することが困難になることが予想される。これに対して、本発明に用いられる窒化剤は、通常、LiNに比べて、反応性の低い材料であることから、より安全に窒化リン酸リチウム化合物を得ることができる。
図1は、本発明の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法の一例を示す説明図である。図1においては、まず、Li元素およびPO骨格を有する原料化合物としてオルトリン酸リチウム(LiPO)を用意し、窒化剤として尿素を用意する。次に、これらをボールミル等で混合し、原料組成物を調製する(調製工程)。その後、得られた原料組成物を例えば真空状態、500℃の条件で焼成し、窒化リン酸リチウム化合物を得る(合成工程)。
図2は、本発明の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法の他の例を示す説明図である。図2においては、Li元素およびPO骨格を有する原料化合物として、炭酸リチウム(LiCO)およびリン酸水素二アンモニウム((NH)HPO)の混合物を用意し、窒化剤として尿素を用意する。次に、これらをボールミル等で混合し、原料組成物を調製する(調製工程)。その後、得られた原料組成物を例えば真空状態、500℃の条件で焼成し、窒化リン酸リチウム化合物を得る(合成工程)。
以下、本発明の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法について、工程ごとに説明する。
1.調製工程
本発明における調製工程は、Li元素およびPO骨格を有する原料化合物と、上述した窒化剤と、を含有する原料組成物を調製する工程である。
(1)原料化合物
本発明における原料化合物は、Li元素およびPO骨格を有するものである。原料化合物は、単一の化合物であっても良く、Li元素を有する化合物とPO骨格を有する化合物との混合物であっても良い。前者の場合、Li元素およびPO骨格の両方を有する原料化合物を用いることにより、より簡易に窒化リン酸リチウム化合物を得ることができるという利点を有する。
(i)Li元素およびPO骨格の両方を有する原料化合物
まず、Li元素およびPO骨格の両方を有する原料化合物について説明する。Li元素およびPO骨格の両方を有する原料化合物の一例としては、LiPOを挙げることができる。LiPOはLiを3個有しており、Liイオン伝導性の高い窒化リン酸リチウム化合物を得ることができる。さらに、Li元素およびPO骨格の両方を有する原料化合物は、Li元素およびPO骨格の他に、焼成により気体になる元素を有するものであっても良い。このような化合物としては、例えば、LiHPO、LiHPO等を挙げることができる。
また、Li元素およびPO骨格の両方を有する原料化合物は、Li元素およびPO骨格の他に、その他の元素を有するものであっても良い。このような化合物を用いることで、例えば、Liイオン伝導性に優れた固体電解質や活物質を得ることができる。
このような化合物としては、例えば、NASICON(LISICON)型構造を有する化合物を挙げることができる。NASICON(LISICON)型構造を有する化合物は、例えば固体電解質として有用である。NASICON(LISICON)型構造を有する化合物としては、例えば、Li(XはTi、Zr、Ge、In、Ga、SnおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはB、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、SbおよびSeからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜eは、0.5<a<5.0、0.5≦b<3.0、0≦c<2.98、0.02<d≦3.0、2.0<c+d<4.0、3.0<e≦12.0の関係を満たす)で表される化合物(化合物(I)と称する場合がある)を挙げることができる。
化合物(I)としては、例えば、Li1.3Al0.3Ti0.7(POおよびLi1.3Si0.3Ti2.712等を挙げることができる。
また、Li元素およびPO骨格の両方を有する原料化合物は、オリビン型構造を有する化合物であっても良い。オリビン型構造を有する化合物は、例えば正極活物質として有用である。オリビン型構造を有する化合物としては、例えば、LiMPO(MはNi、Mn、CoおよびFeからなる群から選択される少なくとも1種である。)で表される化合物、およびその近傍組成を有する化合物等を挙げることができる。
また、オリビン型構造を有する原料化合物の他の例としては、Li(XはMn、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはMg、Al、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、InおよびZnからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜eは、0.001≦a≦1.5、0.7≦b≦1.3、0≦c≦0.4、0.7≦b+c≦1.3、0.7≦d≦1.3、3.0≦e≦5.0の関係を満たす)で表される化合物(化合物(II)と称する場合がある)を挙げることができる。
オリビン型構造を有する原料化合物の他の例としては、Li(XはMn、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはMg、Al、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、InおよびZnからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜fは、0.001≦a≦1.5、0.7≦b≦1.3、0≦c≦0.4、0.7≦b+c≦1.3、0.7≦d≦1.3、3.0≦e≦5.0、0.002≦f≦2.0の関係を満たす)で表される化合物(化合物(III)と称する場合がある)を挙げることができる。
本発明においては、調製工程の前に、上述した原料化合物を予め合成する合成工程を有していても良い。予め合成することで、窒化リン酸リチウム化合物を合成する際に、反応制御が容易になるという利点を有する。上述した化合物(I)〜(III)の合成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、メカニカルミリング法を挙げることができる。なお、メカニカルミリング法の種類や条件については、後述することにする。また、化合物(III)を合成する方法としては、例えば、Li源、X源、Y源、PO源およびF源を含有する混合物を用いて化合物(III)を合成する方法、および、まずLi源、X源、Y源およびPO源を含有する混合物を用いてLiXYPOを合成し、その後、LiXYPOおよびF源を用いて化合物(III)を合成する方法を挙げることができる。中でも、本発明においては、前者の方法が好ましい。より効率的にFを導入することができるからである。なお、化合物(I)〜(III)における「c」が0の場合、Y源は使用しない。また、原材料の組成は、通常、目的とする化合物の組成に対応させる。
(ii)Li元素を有する化合物とPO骨格を有する化合物との混合物
本発明における原料化合物は、上述したように、Li元素を有する化合物とPO骨格を有する化合物との混合物であっても良い。この場合、Li元素およびPO骨格の割合を調整しやすいという利点を有する。Li元素を有する化合物としては、例えばLiCO、LiO、LiNO、LiNO、LiCl、CHCOOLi、Li、LiOH、LiHおよびLiP等を挙げることができる。中でも、Li元素を有する化合物は、焼成によりLi元素以外の構成成分が気体になる化合物であることが好ましい。目的とする窒化リン酸リチウム化合物の組成に悪影響を与え難いからである。特に、本発明においては、Li元素を有する化合物がLiCOであることが好ましい。
PO骨格を有する化合物としては、例えば(NH)HPO、(NHHPO、(NHPOおよびHPO等を挙げることができる。中でも、PO骨格を有する化合物は、PO骨格以外の構成成分が気体になる化合物であることが好ましい。目的とする窒化リン酸リチウム化合物の組成に悪影響を与え難いからである。さらに、窒化リン酸リチウム化合物の合成を促進するという観点からは、PO骨格を有する化合物が窒素元素を有することが好ましい。このような観点からは、PO骨格を有する化合物が、(NH)HPO、(NHHPOまたは(NHPOであることが好ましい。特に、本発明においては、PO骨格を有する化合物が(NH)HPOであることが好ましい。
また、本発明における原料化合物は、上述した化合物(I)または化合物(II)を得ることができる、Li源、X源、Y源およびPO源の混合物であっても良い。ここで、Li源およびPO源としては、それぞれ、上記の「Li元素を有する化合物」および「PO骨格を有する化合物」と同様の化合物を挙げることができる。また、X源は、X元素を含む化合物であれば特に限定されるものではなく、有機化合物であっても良く、無機化合物であっても良い。X源としては、例えば、シュウ酸化合物、炭酸化合物、硝酸化合物、塩化物、硫酸化合物、フッ化物等を挙げることができる。なお、Y源についても同様である。Li源は、さらに、X元素、Y元素、PO骨格の少なくとも一つを含有するものであっても良い。これは、X源、Y源、PO源についてもそれぞれ同様である。例えば、Li源は、Li元素の他に、X元素を含有するものであっても良い。
また、本発明における原料化合物は、上述した化合物(III)を得ることができる、Li源、X源、Y源、PO源およびF源の混合物であっても良い。この場合、混合物の組成は、通常、化合物(III)の組成に対応させる。なお、Li源、X源、Y源およびPO源については、上述した内容と同様である。また、F源は、さらに、Li元素、X元素、Y元素、PO骨格の少なくとも一つを含有するものであっても良い。これは、Li源、X源、Y源、PO源についても同様である。例えば、F源は、F元素の他に、Li元素を含有するものであっても良い。具体的には、LiF等を挙げることができる。
Li元素を有する化合物と、PO骨格を有する化合物とを別個に用いる場合、両化合物の添加量は、目的とする窒化リン酸リチウム化合物の組成に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、窒化リン酸リチウムを合成する場合は、Li元素を有する化合物におけるLiを100モル部とした場合、PO骨格を有する化合物におけるPO骨格は、例えば10モル部〜100モル部の範囲内であることが好ましく、30モル部〜60モル部の範囲内であることがより好ましい。
(2)窒化剤
次に、本発明における窒化剤について説明する。本発明における窒化剤は、下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 2010111565
一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立であり、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)および窒素(N)の少なくともいずれかを有する官能基である。一般式(1)において、R、RおよびRは、全て同じであっても良く、全て異なっていても良く、R、RおよびRのうち2つが同じであっても良い。また、R、RおよびRの少なくとも一つが、炭素(C)を有することが好ましい。
また、本発明における窒化剤は、常温(25℃)で、固体、液体、気体のいずれであっても良いが、中でも、固体または液体であることが好ましい。窒化剤と原料化合物とが物理的に効率良く接触した原料組成物を作製することができ、原料組成物の窒化効率が向上するからである。なお、特にアンモニアを窒化剤とした場合、窒化反応が生じにくく、腐食性が高く、設備が高コストになる可能性がある点に留意すべきである。
本発明における窒化剤としては、例えば尿素、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、アミノエタン、アニリン、ニコチン、シクロヘキシルアミン、アンモニア等を挙げることができ、中でも尿素が好ましい。目的とする窒化リン酸リチウム化合物の組成に悪影響を与え難いからである。なお、尿素は、一般式(1)において、RおよびRがHであり、Rが−CONHである化合物である。
窒化剤の添加量は、目的とする窒化リン酸リチウム化合物の組成に応じて適宜選択することが好ましい。原料化合物におけるLiを100モル部とした場合、窒化剤におけるNは、例えば10モル部〜100モル部の範囲内であることが好ましく、30モル部〜60モル部の範囲内であることがより好ましい。特に、原料化合物としてLiPOを用い、窒化剤として尿素を用いる場合は、LiPOを100重量部とした場合に、尿素を100重量部以上とすることが好ましく、150重量部以上とすることがより好ましく、200重量部以上とすることがさらに好ましい。一方、尿素は、1000重量部以下であることが好ましい。本発明においては、LiPOおよび尿素が、焼成前に充分に接していることが重要である。そのため、尿素の割合が多すぎる場合、LiPOに接していない部分では充分な窒化が生じないため、全体としての窒化の効率は悪くなる可能性がある。
(3)原料組成物の調製
本発明における原料組成物は、上述した原料化合物および窒化剤を含有する。原料組成物の調整方法としては、例えば、原料化合物および窒化剤を混合する方法を挙げることができる。原料の混合方法は、特に限定されるものではないが、より均一に混合することが好ましい。中でも、本発明においては、原料化合物と窒化剤とをメカニカルミリング法(例えばボールミル法)によって混合することが好ましい。メカニカルミリング法を用いることで、原料の粉砕および混合を同時に行うことができ、原料成分の接触面積を大きくすることができるからである。また、本発明におけるメカニカルミリング法は、合成反応を伴うメカニカルミリング法であっても良く、合成反応を伴わないメカニカルミリング法であっても良い。合成反応を伴うメカニカルミリング法は、上述したように、原料化合物がLi元素を有する化合物とPO骨格を有する化合物との混合物である場合(例えば、原料化合物がLi源、X源、Y源およびPO源の混合物である場合)に、用いることができる。一方、合成反応を伴わないメカニカルミリング法は、上述したように、原料化合物がLi元素およびPO骨格を有する化合物である場合(例えば、原料組成物がLiPOである場合)に、用いることができる。これにより、原料化合物と窒化剤との分散性を向上させることができる。なお、原料化合物がLi元素およびPO骨格を有する化合物である場合は、一般的な撹拌手段を用いて、単に混合するだけであっても良い。また、ボールミル法を用いて混合を行う場合、回転速度は、例えば100rpm〜11000rpmの範囲内であり、500rpm〜5000rpmの範囲内であることが好ましい。また、処理時間は、特に限定されるものではなく、所望の原料組成物が得られる程度に適宜設定することが好ましい。
また、本発明においては、窒化剤を気化させ、その雰囲気の中に、原料化合物を配置することで、原料組成物を調製しても良い。この状態で、原料組成物の焼成を行うことで、所望の窒化リン酸リチウム化合物を合成することも可能である。
2.合成工程
次に、本発明における合成工程について説明する。本発明における合成工程は、上記原料組成物を焼成し、窒化リン酸リチウム化合物を合成する工程である。
本発明における焼成温度は、所望の窒化リン酸リチウム化合物を得ることができる温度であれば特に限定されるものではないが、窒化剤が分解または溶解する温度以上の温度であることが好ましい。窒素元素が化学結合に組み込まれた窒化リン酸リチウム化合物を得やすくなるからである。焼成温度は、用いる窒化剤の種類に応じて適宜選択することが好ましく、例えば100℃以上であり、300℃以上が好ましく、400℃以上がより好ましく、500℃以上がさらに好ましい。一方、焼成温度は、例えば800℃以下であり、700℃以下がより好ましい。焼成時間は、例えば10分以上であり、30分以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。一方、焼成時間は、例えば7時間以下であり、5時間以下がより好ましい。
また、焼成時の雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば大気雰囲気;窒素雰囲気およびアルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気;アンモニア雰囲気および水素雰囲気等の還元雰囲気;真空等を挙げることができ、中でも不活性ガス雰囲気、還元雰囲気、真空が好ましく、特に還元雰囲気が好ましい。窒化リン酸リチウム化合物の酸化劣化を防止することができるからである。また、原料組成物の焼成方法としては、例えば焼成炉を用いる方法等を挙げることができる。
3.その他
本発明の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法により得られる窒化リン酸リチウム化合物は、例えば固体電解質や正極活物質として有用である。さらに、この固体電解質は、例えばリチウム電池の固体電解質膜(固体電解質層)に用いることができる。そのため、本発明においては、上述した調製工程および合成工程を行うことにより固体電解質を得る工程と、上記固体電解質を用いて固体電解質層を形成する工程とを有することを特徴とするリチウム電池の製造方法を提供することができる。また、本発明においては、上記の製造方法により得られたことを特徴とする固体電解質を提供することができる。さらに、本発明においては、上記の製造方法により得られた固体電解質を用いてなる固体電解質層を有することを特徴とする全固体型リチウム電池を提供することができる。一方、本発明により得られる正極活物質は、リチウム電池の正極活物質層に用いることができる。そのため、本発明においては、上述した調製工程および合成工程を行うことにより正極活物質を得る工程と、上記正極活物質を用いて正極活物質層を形成する工程とを有することを特徴とするリチウム電池の製造方法を提供することができる。また、本発明においては、上記の製造方法により得られたことを特徴とする正極活物質を提供することができる。さらに、本発明においては、上記の製造方法により得られた正極活物質を含有する正極活物質層を有することを特徴とする全固体型リチウム電池を提供することができる。
B.窒化リン酸リチウム化合物
次に、本発明の窒化リン酸リチウム化合物について説明する。本発明の窒化リン酸リチウム化合物は、3つの実施態様に大別することができる。
1.第一実施態様
本発明の窒化リン酸リチウム化合物の第一実施態様は、Li(XはTi、Zr、Ge、In、Ga、SnおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはB、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、SbおよびSeからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜fは、0.5<a<5.0、0.5≦b<3.0、0≦c<2.98、0.02<d≦3.0、2.0<c+d<4.0、3.0<e≦12.0、0.002<f<2.0の関係を満たす)で表されることを特徴とするものである。なお、0.02<f<2.0であることが好ましい。
第一実施態様によれば、上記の組成を有することから、Liイオン伝導性の高い窒化リン酸リチウム化合物とすることができる。この窒化リン酸リチウム化合物は、通常、NASICON(LISICON)型構造を有する化合物である。なお、第一実施態様の窒化リン酸リチウム化合物は、Liに単にNが吸着したものではなく、Nが化学結合した状態で、窒化リン酸リチウム化合物(Li)内に存在するものである。
本発明においては、第一実施態様の窒化リン酸リチウム化合物が粒子状(粉末状)であることが好ましい。薄膜状の窒化リン酸リチウム化合物のように剥離やクラック等が生じず、耐久性に優れているからである。粒子状の窒化リン酸リチウム化合物の平均粒径は、例えば100nm以上、中でも2μm以上、特に4μm以上であることが好ましい。一方、上記平均粒径は、例えば100μm以下、中でも20μm以下であることが好ましい。なお、平均粒径は、レーザー回折式の粒度分布計により算出することができる。
また、窒化リン酸リチウム化合物の比表面積は、例えば0.1m/g以上、中でも0.5m/g以上であることが好ましい。一方、上記比表面積は、例えば300m/g以下、中でも100m/g以下であることが好ましい。なお、比表面積は、BET法(気体吸着法)により算出することができる。なお、従来のスパッタリング法や蒸着法を用いた薄膜を削った場合、上記と同様に、粒子状の窒化リン酸リチウム化合物が得られる可能性がある。しかしながら、このような粒子は、凹凸の少ない薄膜から形成されるものであるため、粒子の比表面積は小さくなる。これに対して、上記「A.窒化リン酸リチウム化合物の製造方法」に記載された方法で得られた窒化リン酸リチウム化合物は、粒子の表面に凹凸を有するため、比表面積は大きくなる。
第一実施態様の窒化リン酸リチウム化合物の用途としては、例えば、固体電解質等を挙げることができる。窒化リン酸リチウム化合物を固体電解質として用いる場合、粉末状の窒化リン酸リチウム化合物をペレット状に成形して、例えば全固体型リチウム電池の固体電解質層として用いることができる。また、窒化リン酸リチウム化合物を、全固体型リチウム電池の正極層(正極活物質層)または負極層(負極活物質層)に添加する固体電解質材料として用いても良い。さらに、全固体型リチウム電池に限らず、一般的なリチウム電池(例えば非水電解液型リチウム電池)の電極活物質の表面を、窒化リン酸リチウム化合物で被覆して用いても良い。
第一実施態様の窒化リン酸リチウム化合物は、例えば、上記「A.窒化リン酸リチウム化合物の製造方法」に記載の方法により得ることができる。
2.第二実施態様
本発明の窒化リン酸リチウム化合物の第二実施態様は、Li(XはMn、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはMg、Al、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、InおよびZnからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜fは、0.001≦a≦1.5、0.7≦b≦1.3、0≦c≦0.4、0.7≦b+c≦1.3、0.7≦d≦1.3、3.0≦e≦5.0、0.002≦f≦2.0の関係を満たす)で表されることを特徴とするものである。
第二実施態様によれば、上記の組成を有することから、Liイオン伝導性および電子伝導性の高い窒化リン酸リチウム化合物とすることができる。この窒化リン酸リチウム化合物は、通常、オリビン型構造を有する化合物である。なお、第二実施態様の窒化リン酸リチウム化合物は、Liに単にNが吸着したものではなく、Nが化学結合した状態で、窒化リン酸リチウム化合物(Li)内に存在するものである。また、本発明においては、第二実施態様の窒化リン酸リチウム化合物が粒子状(粉末状)であることが好ましい。平均粒径等については、上述した内容と同様である。
第二実施態様の窒化リン酸リチウム化合物の用途としては、例えば、正極活物質等を挙げることができる。電子伝導性が高いため、正極活物質として用いた場合に、導電化材の使用量を低減することができ、電池の高容量化を図ることができる。また、第二実施態様の窒化リン酸リチウム化合物は、例えば、上記「A.窒化リン酸リチウム化合物の製造方法」に記載の方法により得ることができる。
3.第三実施態様
本発明の窒化リン酸リチウム化合物の第三実施態様は、Li(XはMn、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはMg、Al、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、InおよびZnからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜gは、0.001≦a≦1.5、0.7≦b≦1.3、0≦c≦0.4、0.7≦b+c≦1.3、0.7≦d≦1.3、3.0≦e≦5.0、0.002≦f≦2.0、0.002≦g≦2.0の関係を満たす)で表されることを特徴とするものである。
第三実施態様によれば、上記の組成を有することから、Liイオン伝導性および電子伝導性の高い窒化リン酸リチウム化合物とすることができる。さらに、組成中にFを有することから、Liイオン伝導性、電子伝導性、耐久性に優れた窒化リン酸リチウム化合物とすることができる。この窒化リン酸リチウム化合物は、通常、オリビン型構造を有する化合物である。なお、第三実施態様の窒化リン酸リチウム化合物は、Liに単にFおよびNが吸着したものではなく、FおよびNが化学結合した状態で、窒化リン酸リチウム化合物(Li)内に存在するものである。また、本発明においては、第三実施態様の窒化リン酸リチウム化合物が粒子状(粉末状)であることが好ましい。平均粒径等については、上述した内容と同様である。
第三実施態様の窒化リン酸リチウム化合物の用途については、上述した第二実施態様と同様である。また、第三実施態様の窒化リン酸リチウム化合物は、例えば、上記「A.窒化リン酸リチウム化合物の製造方法」に記載の方法により得ることができる。
C.固体電解質層
本発明の固体電解質層は、上述したNASICON(LISICON)型構造を有する化合物(化合物(I))を含有することを特徴とするものである。本発明によれば、上述した化合物(I)を用いることにより、Liイオン伝導性に優れた固体電解質層とすることができる。これにより、電池の高出力化を図ることができる。本発明の固体電解質層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内、中でも0.1μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。また、固体電解質層の形成方法としては、例えば、化合物(I)を含む組成物を圧縮成形する方法等を挙げることができる。なお、化合物(I)は、正極活物質層に含有されるものであっても良い。
D.正極活物質層
本発明の正極活物質層は、上述したオリビン型構造を有する化合物(化合物(II)または化合物(III))を含有することを特徴とするものである。本発明によれば、上述した化合物(II)または化合物(III)を用いることにより、電子伝導性に優れた正極活物質層とすることができる。本発明の正極活物質層は、少なくとも上記化合物を含有するものであり、必要に応じて、導電化材を含有していても良い。導電化材としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。本発明の正極活物質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。また、正極活物質層の形成方法としては、例えば、化合物(II)または化合物(III)を含む組成物を圧縮成形する方法等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1−1]
原料として、LiPO(アルドリッチ社製、平均粒径4μm)および尿素(アルドリッチ社製)を用意した。次に、LiPOおよび尿素を、それぞれ1gずつ秤量して、乳鉢にて混合し、原料組成物を得た。その後、得られた原料組成物を、成形機にて1cmφ×2mmtに成形し、得られた成形体をガラス管に入れ、真空とした。次に、そのガラス管を、管状炉で500℃、3時間の条件で焼成した。これにより、窒化リン酸リチウム化合物(LIPON)を得た。なお、得られた窒化リン酸リチウム化合物に対して、BET法により比表面積を測定した。測定には、比表面積および細孔分布全自動ガス吸着測定装置(オートソープ−1、湯浅アイオニクス社製)を用いた。その結果、得られた窒化リン酸リチウム化合物の比表面積は、0.9m/gであった。
[実施例1−2〜1−7]
LiPOおよび尿素の比率、焼成温度、焼成時間を、後述する表2に示す条件に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして、窒化リン酸リチウム化合物(LIPON)を得た。
[比較例1−1]
入山ら、“Development of all-solid-state thin film rechargeable lithium batteries with high power density by interface regulation approaches”、NEDO平成14年度産業技術研究助成事業成果報告書、プロジェクトID 01B60011cに記載された方法と同様にして、高周波マグネトロンスパッタリング法を用いて、窒化リン酸リチウム化合物(LIPON薄膜)を得た。
[比較例1−2]
原料として、LiPO(アルドリッチ社製)および尿素(アルドリッチ社製)を用意した。次に、LiPOおよび尿素を、それぞれ1gずつ秤量して、乳鉢にて混合し、評価用組成物を得た。
[評価1]
実施例1−1〜1−7および比較例1−1の窒化リン酸リチウム化合物と、比較例1−2の評価用組成物とを用いて、化学結合状態評価、結晶構造評価およびイオン伝導性評価を行った。
(1)評価方法
(化学結合状態評価)
化学結合状態評価は、光電子分光法(XPS法)により行った。その測定条件を以下に示す。
測定機器:SSI社製、X線光電子分光装置SSX−100
励起X線:モノクロAlKα1,2線(1486.6eV)
X線径 :300×525μmの楕円
脱出角度:35°
(結晶構造評価)
結晶構造評価は、X線回折法(XRD法)により行った。X線回折装置として、リガク社製 RINT−TTR IIIを用いた。
(イオン伝導性評価)
イオン伝導性評価は、インピーダンス解析法により行った。インピーダンス測定装置として、ソーラトロン社製 周波数応答アナライザ1260型を用いた。また、インピーダンスの測定は、測定試料を成形機にて1cmφ×2mmtに成形し、500℃、1時間の条件で焼成することにより得られたペレットをAu基板に挟み、1Hz〜10MHz範囲で行った。得られたcole-coleプロットの円弧の形から、測定試料のイオン伝導度を決定した。
(2)評価結果
化学結合状態評価は、実施例1−1および比較例1−1の窒化リン酸リチウム化合物、および比較例1−2の評価用組成物に対して行った。その結果を図3に示す。Nの結合状態解析により、図3(a)において、a−1はO−N=Oユニットのピークであり、a−2はNPユニットのピークであり、a−4はNPユニットのピークであることが確認された。なお、a−3は残留尿素に起因したピークである。同様に、図3(b)において、b−1はO−N=Oユニットのピークであり、b−2はNPユニットのピークであり、b−4はNPユニットのピークであることが確認された。これに対して、図3(c)において、402.3eVのピークと、c−4のピークは、尿素に起因したピークである。実施例1−1および比較例1−1のピークの比較を表1に示す。
Figure 2010111565
表1に示されるように、窒素の結合状態は、3種類存在していることが確認できる。また、焼成により得られた窒化リン酸リチウム化合物(実施例1−1)と、スパッタリング法により得られた窒化リン酸リチウム化合物(比較例1−1)とを比較すると、Nが互いに同等の結合状態を有している。そのため、本発明の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法により、スパッタリング法で形成したものと同様の窒化リン酸リチウム化合物を得ることができることが確認された。
結晶構造評価は、実施例1−1の窒化リン酸リチウム化合物に対して行った。図4は、そのXRD測定の結果である。解析の結果、LiPOのピークが検出されると同時に、Liに類似したピークが検出された。ここで、Liは、OP−O−POユニットを有している。上記のXPSの解析結果から、P−N−Pユニットが確認されていることから、実施例1−1で得られた窒化リン酸リチウム化合物は、OP−N−POユニットを有していると推測される。すなわち、この結果は、窒化剤の窒素元素が、単にLiPOの表面に吸着したのではなく、化学結合に組み込まれていることを示唆している。
イオン伝導性評価は、実施例1−1〜1−7の窒化リン酸リチウム化合物、および比較例1−2の評価用組成物に対して行った。その結果を表2に示す。
Figure 2010111565
表2に示されるように、実施例1−1の窒化リン酸リチウム化合物は、比較例1−2の評価用組成物に対して、20倍以上のイオン伝導度を有する。この理由は、上述したOP−N−POユニットが形成されたためであると推測される。このように、本発明により、イオン伝導性に優れた窒化リン酸リチウム化合物を、簡易な方法で得られることが確認された。同様に、実施例1−2〜1−7の窒化リン酸リチウム化合物は、比較例1−2の評価用組成物に対して、高いイオン伝導度を示した。さらに、実施例1−1〜1−7の結果から、焼成温度は、400℃以上であることが好ましく、500℃以上がより好ましいことが明らかになった。また、実施例1−1、1−3および1−4の結果から、LiPOに対する尿素の割合が高い程、イオン伝導度が高くなる傾向が示された。
[実施例2]
原料として、Li1.3Al0.3Ti0.7(POを合成した。この化合物は、H.Aono et al., “Ionic-Conductivity of Solid Electrolytes Based on Lithium Titanium Phosphate”, J. Electrochem. Soc., 137(1990)1023に記載された方法により合成した。次に、Li1.3Al0.3Ti0.7(POおよび尿素(アルドリッチ社製)を、それぞれ1gずつ秤量して、乳鉢にて混合し、原料組成物を得た。その後、得られた原料組成物を、成形機にて1cmφ×2mmtに成形し、得られた成形体をガラス管に入れ、真空とした。次に、そのガラス管を、管状炉で500℃、3時間の条件で焼成した。これにより、窒化リン酸リチウム化合物を得た。
[比較例2]
実施例2で使用したLi1.3Al0.3Ti0.7(POを評価用組成物とした。
[評価2]
実施例2の窒化リン酸リチウム化合物と、比較例2の評価用組成物とを用いて、化学結合状態評価、結晶構造評価およびイオン伝導性評価を行った。これらの評価方法は、上述の通りである。
化学結合状態評価は、実施例2の窒化リン酸リチウム化合物および比較例2の評価用組成物に対して行った。実施例2の窒化リン酸リチウム化合物の結果を図5に示す。Nの結合状態解析により、a−1はO−N=Oユニットのピークであり、a−2はNPユニットのピークであり、a−4はNPユニットのピークであることが確認された。なお、a−3は残留尿素に起因したピークである。一方、比較例2の評価用組成物は、Nを有しないため、これらのピークは検出されなかった。実施例2、比較例2および参考として上記実施例1−1のピークの比較を表3に示す。
Figure 2010111565
表3に示されるように、実施例2で得られた窒化リン酸リチウム化合物と、実施例1−1で得られた窒化リン酸リチウム化合物とを比較すると、Nが互いに同等の結合状態を有している。そのため、所望の窒化リン酸リチウム化合物を得ることができることが確認された。
イオン伝導性評価は、実施例2の窒化リン酸リチウム化合物、および比較例2の評価用組成物に対して行った。その結果を表4に示す。
Figure 2010111565
表4に示されるように、実施例2の窒化リン酸リチウム化合物は、比較例2の評価用組成物に対して、2倍程度のイオン伝導度を有することが確認された。
[実施例3]
LiCOを0.48g、FeCを2.34g、(NHHPOを1.72g混合し、さらにエタノールを25g加えた。得られた組成物に対して、4000rpm、3時間の条件でボールミルを行い、その後、エタノールを蒸発させ、オリビン構造を有する原料化合物(LiFePO)を得た。次に、得られた原料化合物および尿素(アルドリッチ社製)を、それぞれ1gずつ秤量して、乳鉢にて混合し、原料組成物を得た。その後、得られた原料組成物を、成形機にて1cmφ×2mmtに成形し、得られた成形体をガラス管に入れ、真空とした。次に、そのガラス管を、管状炉で500℃、3時間の条件で焼成した。これにより、窒化リン酸リチウム化合物を得た。得られた窒化リン酸リチウム化合物の色は、茶色であった。
[比較例3]
実施例3で得られた原料化合物を、成形機にて1cmφ×2mmtに成形し、Ar雰囲気下、750℃、24時間の条件で焼成し、評価用組成物とした。評価用組成物の色は、薄い灰色であった。
[実施例4]
LiCOを0.24g、LiFを0.34g、FeCを2.34g、(NHHPOを1.72g混合し、さらにエタノールを25g加えた。得られた組成物に対して、4000rpm、3時間の条件でボールミルを行い、その後、エタノールを蒸発させ、オリビン構造を有する原料化合物(Fを導入したLiFePO)を得た。得られた原料化合物を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、窒化リン酸リチウム化合物を得た。得られた窒化リン酸リチウム化合物の色は、こげ茶色であった。
[実施例5]
LiCOを0.48g、CoCを2.39g、(NHHPOを1.72g混合し、さらにエタノールを25g加えた。得られた組成物に対して、4000rpm、3時間の条件でボールミルを行い、その後、エタノールを蒸発させ、オリビン構造を有する原料化合物(LiCoPO)を得た。得られた原料化合物を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、窒化リン酸リチウム化合物を得た。
[比較例4]
実施例5で得られた原料化合物を、成形機にて1cmφ×2mmtに成形し、Ar雰囲気下、750℃、24時間の条件で焼成し、評価用組成物とした。
[評価3]
実施例3、4の窒化リン酸リチウム化合物と、比較例3の評価用組成物とを用いて、XRD測定を行った。その結果を図6および図7に示す。図6に示されるように、実施例3は、比較例3に対して、同等のピークを示すこと、および、35.7°付近のメインピークがシフトしていることが確認された。さらに、試料の色が明確に変化したことから、実施例3では、不純物なく鉄オリビン構造中にNを導入できたと考えられる。また、図7に示されるように、実施例4は、比較例3に対して、同等のピークを示すこと、および、35.7°付近のメインピークがシフトしていることが確認された。さらに、試料の色が明確に変化したことから、実施例4では、不純物なく鉄オリビン構造中にNおよびFを導入できたと考えられる。なお、図6、図7において、実施例3、4では、28°付近にピークが検出された。このピークは、比較例3では検出されないものであるが、残留尿素の影響によるものだと考えられる。
さらに、実施例3〜5の窒化リン酸リチウム化合物と、比較例3、4の評価用組成物とを用いて、電子伝導度測定を行った。電子伝導度の測定条件を以下に示す。
・測定装置:三菱化学アナリテック社製、MCP−PD51
・試料形状:φ20mmの筒に試料を充填し、20kNに加圧して測定
・測定方法:4端子法にて90Vの電圧を印加した状態で電流値を測定し、抵抗を算出し、その値を逆数に変換することで、電子伝導度を求める。
その結果を表5に示す。
Figure 2010111565
表5に示されるように、実施例3、4の窒化リン酸リチウム化合物は、比較例3の評価用組成物よりも高い電子伝導度を有することが確認された。同様に、実施例5の窒化リン酸リチウム化合物は、比較例4の評価用組成物よりも高い電子伝導度を有することが確認された。また、特に実施例3、4の結果から、Fを導入することで、さらに電子伝導度が向上することが判明した。電子伝導度が高くなることで、導電化材の使用量を低減することができ、電池の高容量化を図ることができる。

Claims (19)

  1. Li元素およびPO骨格を有する原料化合物と、下記一般式(1)で表される窒化剤と、を含有する原料組成物を調製する調製工程と、
    前記原料組成物を焼成し、窒化リン酸リチウム化合物を合成する合成工程と、
    を有することを特徴とする窒化リン酸リチウム化合物の製造方法。
    Figure 2010111565
    一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立であり、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)および窒素(N)の少なくともいずれかを有する官能基である。
  2. 前記原料化合物が、LiPOであることを特徴とする請求項1に記載の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法。
  3. 前記原料化合物が、LiCOおよび(NH)HPOの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法。
  4. 前記原料化合物が、Li(XはTi、Zr、Ge、In、Ga、SnおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはB、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、SbおよびSeからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜eは、0.5<a<5.0、0.5≦b<3.0、0≦c<2.98、0.02<d≦3.0、2.0<c+d<4.0、3.0<e≦12.0の関係を満たす)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法。
  5. 前記原料化合物が、Li(XはMn、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはMg、Al、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、InおよびZnからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜eは、0.001≦a≦1.5、0.7≦b≦1.3、0≦c≦0.4、0.7≦b+c≦1.3、0.7≦d≦1.3、3.0≦e≦5.0の関係を満たす)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法。
  6. 前記原料化合物が、Li(XはMn、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはMg、Al、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、InおよびZnからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜fは、0.001≦a≦1.5、0.7≦b≦1.3、0≦c≦0.4、0.7≦b+c≦1.3、0.7≦d≦1.3、3.0≦e≦5.0、0.002≦f≦2.0の関係を満たす)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法。
  7. 前記調製工程の前に、Li源、X源、Y源、PO源およびF源を含有する混合物を用いて、前記原料化合物を合成する合成工程を有することを特徴とする請求項6に記載の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法。
  8. 前記窒化剤が、常温(25℃)で固体または液体であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法。
  9. 前記窒化剤が、尿素であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法。
  10. 前記合成工程の際の焼成温度が、100℃〜800℃の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法。
  11. 前記合成工程の際の焼成時間が、10分〜7時間の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の窒化リン酸リチウム化合物の製造方法。
  12. Li(XはTi、Zr、Ge、In、Ga、SnおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはB、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、SbおよびSeからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜fは、0.5<a<5.0、0.5≦b<3.0、0≦c<2.98、0.02<d≦3.0、2.0<c+d<4.0、3.0<e≦12.0、0.002<f<2.0の関係を満たす)で表されることを特徴とする窒化リン酸リチウム化合物。
  13. Li(XはMn、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはMg、Al、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、InおよびZnからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜fは、0.001≦a≦1.5、0.7≦b≦1.3、0≦c≦0.4、0.7≦b+c≦1.3、0.7≦d≦1.3、3.0≦e≦5.0、0.002≦f≦2.0の関係を満たす)で表されることを特徴とする窒化リン酸リチウム化合物。
  14. Li(XはMn、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種であり、YはMg、Al、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、InおよびZnからなる群から選択される少なくとも1種であり、a〜gは、0.001≦a≦1.5、0.7≦b≦1.3、0≦c≦0.4、0.7≦b+c≦1.3、0.7≦d≦1.3、3.0≦e≦5.0、0.002≦f≦2.0、0.002≦g≦2.0の関係を満たす)で表されることを特徴とする窒化リン酸リチウム化合物。
  15. 粒子状であることを特徴とする請求項12から請求項14までのいずれかの請求項に記載の窒化リン酸リチウム化合物。
  16. 平均粒径が100nm〜100μmの範囲内であることを特徴とする請求項15に記載の窒化リン酸リチウム化合物。
  17. 比表面積が0.1m/g〜300m/gの範囲内であることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の窒化リン酸リチウム化合物。
  18. 請求項12に記載の窒化リン酸リチウム化合物を含有することを特徴とする固体電解質層。
  19. 請求項13または請求項14に記載の窒化リン酸リチウム化合物を含有することを特徴とする正極活物質層。
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