JP2010098793A - 電力需給システム - Google Patents

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Abstract

【課題】余剰電力及び不足電力を車両側蓄電池及び施設側蓄電池のそれぞれにどのように振り分けて充放電すればよいのが規定された電力需給システムを提供する。
【解決手段】施設20が、一又は複数の目標施設充電率レベルが設定される電力供給部Pとしての施設側蓄電池31bと、電力負荷装置30へ電力を供給するための電力供給部Pの最適運用計画を作成すると共に施設側蓄電池31b及び車両側蓄電池14bの少なくとも一方への予定合計充電量又は予定合計放電量を導出する最適計画部21cと、優先順位決定部21dとを有し、車両側蓄電池14bは一又は複数の目標車両充電率レベルが設定可能な電力供給部Pとして作用する構成で設けられ、優先順位決定部21dは、目標施設充電率レベル及び目標車両充電率レベルを合わせた複数のレベルに対して、充電用優先順位と放電用優先順位とを設定条件に従って決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、施設に設けられた車庫に車両が入庫して前記車両が有する車両側蓄電池が前記施設内の配電系統に電気的に接続されると、前記配電系統から前記車両側蓄電池への充電及び前記車両側蓄電池から前記配電系統への放電が可能となる電力需給システムに関する。
施設に設けられた車庫に車両が入庫して、その車両が有する車両側蓄電池が施設内の配電系統に電気的に接続されると、配電系統から車両側蓄電池への充電及び車両側蓄電池から配電系統への放電が可能となる電力需給システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の電力需給システムは、車両が有する車両側蓄電池への充電目的の構成に加えて、施設側における商用電力系統の停電時における電力確保等の目的で、車両の車両側蓄電池から放電させるように構成されている。尚、この車両は、燃料を利用して発電する発電部を備えるものではなく、車両側蓄電池の電気エネルギにより車両の車輪を駆動する電気自動車である。
一方、車両が、電気エネルギにより車両の車輪を駆動するモータ/ジェネレータと、燃料を消費して得た機械エネルギにより車輪を駆動する内燃機関とを有するハイブリッド車両であるようなシステムも提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2001−8380号公報 特開2006−158124号公報
施設に設けられた電力負荷装置へ電力を供給するための複数の電力供給部の最適運用計画を作成するとき、施設で生じる余剰電力を車両側蓄電池及び施設側蓄電池の少なくとも一方に充電を行う必要性、或いは、施設で生じる不足電力を車両側蓄電池及び施設側蓄電池の少なくとも一方から放電を行う必要性が生じることがある。このとき、余剰電力を車両側蓄電池及び施設側蓄電池の何れに充電すれば良いのか、不足電力を車両側蓄電池及び施設側蓄電池の何れを放電させて賄えば良いのか、並びに、どのレベルまで充放電を行うのが良いのかを示したものはなかった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、余剰電力及び不足電力を車両側蓄電池及び施設側蓄電池のそれぞれにどのように振り分けて充放電すればよいのが規定された電力需給システムを提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る電力需給システムの特徴構成は、施設に設けられた車庫に車両が入庫して前記車両が有する車両側蓄電池が前記施設内の配電系統に電気的に接続されると、前記配電系統から前記車両側蓄電池への充電及び前記車両側蓄電池から前記配電系統への放電が可能となる電力需給システムであって、
前記施設には、電力負荷装置と、前記電力負荷装置に電力を供給するための複数の電力供給部と、一又は複数の目標施設充電率レベルが設定される、前記電力供給部としての施設側蓄電池と、前記電力負荷装置へ電力を供給するための前記電力供給部の最適運用計画を作成すると共に前記施設側蓄電池及び前記車両側蓄電池の少なくとも一方への予定合計充電量又は前記施設側蓄電池及び前記車両側蓄電池の少なくとも一方からの予定合計放電量を導出する最適計画部と、優先順位決定部と、が少なくとも設けられ、
前記車両側蓄電池は、一又は複数の目標車両充電率レベルが設定可能な前記電力供給部として作用する構成で設けられ、
前記優先順位決定部は、前記一又は複数の目標施設充電率レベル及び前記一又は複数の目標車両充電率レベルを合わせた複数のレベルに対して、前記予定合計充電量の充電を行うときの充電用優先順位と前記予定合計放電量の放電を行うときの放電用優先順位とを、前記車両と前記配電系統との電気的な接続状態又は前記電力供給部としての商用電力系統の状態を含む設定条件に従って決定する点にある。
上記特徴構成によれば、車両と配電系統との電気的な接続状態又は電力供給部としての商用電力系統の状態を含む設定条件に応じて、車両側蓄電池及び施設側蓄電池に予定合計充電量の充電を行うときの充電用優先順位と、車両側蓄電池及び施設側蓄電池から予定合計放電量の放電を行うときの放電用優先順位とが、上記複数のレベルについて決定される。つまり、電力需給システムの置かれている状況を設定条件で判定して、その状況に適切なように充放電が車両側蓄電池及び施設側蓄電池に振り分けられて行われる。
従って、余剰電力及び不足電力を車両側蓄電池及び施設側蓄電池のそれぞれにどのように振り分けて充放電すればよいのが規定された電力需給システムを提供できる。
本発明に係る電力需給システムの別の特徴構成は、前記設定条件は、前記車両が前記配電系統に電気的に接続されているか否の条件、及び、前記電力供給部としての商用電力系統に停電が発生しているか否かの条件を含む点にある。
上記特徴構成によれば、車両が前記配電系統に電気的に接続されているか否か、及び、電力供給部としての商用電力系統に停電が発生しているか否かの状況に応じて、充放電が車両側蓄電池及び施設側蓄電池に振り分けられて行われる。
本発明に係る電力需給システムの別の特徴構成は、前記目標車両充電率レベルの一つは、前記車両が一定距離走行するために必要な電力に相当する充電率レベルである点にある。
上記特徴構成によれば、車両が一定距離走行するために必要な電力が車両側蓄電池に残されているように、充放電が車両側蓄電池及び施設側蓄電池に振り分けられて行われる。
本発明に係る電力需給システムの別の特徴構成は、前記目標施設充電率レベルの一つは、前記商用電力系統の停電に備えるために必要な電力に相当する充電率レベルである点にある。
上記特徴構成によれば、商用電力系統の停電に備えるために必要な電力が施設側蓄電池に残されているように、充放電が車両側蓄電池及び施設側蓄電池に振り分けられて行われる。
本発明に係る電力需給システムの別の特徴構成は、前記目標施設充電率レベルの一つは、前記施設側蓄電池を満充電にさせずに充電余裕を確保しておくための充電率レベルである点にある。
上記特徴構成によれば、施設側蓄電池を満充電にさせずに充電余裕を残しておくように、充放電が車両側蓄電池及び施設側蓄電池に振り分けられて行われる。
<第1実施形態>
以下に図面を参照して第1実施形態の電力需給システムについて説明する。
図1は、第1実施形態の電力需給システムS1の機能ブロック図である。電力供給システムは、施設に設けられた車庫に車両が入庫して前記車両が有する車両側蓄電池が前記施設内の配電系統に電気的に接続されると、配電系統から車両側蓄電池への充電及び車両側蓄電池から配電系統への放電が可能となるようなシステムである。
図1に示すように、車両10は、電力を充放電可能な車両側充放電部14と、その車両側充放電部14に充電されている電力を消費可能な電力負荷部13と、外部に設置された施設20に対して電気的に接続可能な車両側接続部15と、走行駆動力を出力する走行駆動部12とを備える。また、車両10は、走行駆動部12の作動を制御する走行制御部11a、車両側充放電部14の作動を制御する車両側充放電制御部11b、及び、車両10の状態を検出する車両状態検出部11cを有する車両側制御部11を備える。車両側充放電部14は、インバータ14aを含む回路及び車両側蓄電池14bを有する。車両側充放電部14からの電力の放電制御及び車両側充放電部14への電力の充電制御の詳細については後述する。また、車両10の車両側制御部11が取り扱う情報は、車両側制御部11によって読み出し及び書き込み可能な状態で車両側記憶部18に記憶される。更に、車両10は、車両10の乗員などから情報の入力を受け付けると共に、車両10で取り扱われる情報(例えば、乗員から入力された情報や車両側充放電部14における現在の充電量の情報など)を出力表示するための入出力部17、及び、外部との間で情報通信を行う車両側通信部16を備える。この車両側通信部16は、有線又は無線で外部のインターネットなどの通信網と接続可能である。また或いは、電力線搬送通信技術を用いて、車両側接続部15及び施設側接続部25を介した情報通信を行うこともできる。
電力負荷部13は、車両10のヘッドライトなどの各種電装部品(電力負荷部13a)や、車両10の走行駆動力を得るためのモータ/ジェネレータ13bなどを含む。走行駆動部12は、電力負荷部13としてのモータ/ジェネレータ13bと、燃料を消費して得られる機械エネルギが走行駆動力として利用される内燃機関19とを有する。また、このモータ/ジェネレータ13bは、内燃機関19から出力された機械エネルギの一部を利用して発電して、発電された電力を車両側充放電部14に充電可能なジェネレータ(発電部)としても機能させることができる。加えて、車両側制御部11は、モータ/ジェネレータ13bを、車両10の減速時において、車両10の運動エネルギの一部を電気エネルギに変換(回生発電)するように作動させることもできる。つまり、本実施形態の車両10は、内燃機関19及びモータ/ジェネレータ13bの少なくとも一方から走行駆動力を得る、所謂、ハイブリッド車両である。車両10では、モータ/ジェネレータ13bや他の電力負荷部13aで消費された電力量、モータ/ジェネレータ13bで発電された電力量、及び、車両側接続部15を介して施設20から受け取った電力量は、車両状態検出部11cで検出される。
本実施形態において、車両側充放電部14は、インバータ14aを含む回路及び車両側蓄電池14bを有する。車両側接続部15はインバータ15aを含む接続回路を有する。車両側充放電部14が有する車両側蓄電池14bと電力負荷部13a及びモータ/ジェネレータ13bとの間の電力のやり取りはインバータ14aを介して行われる。具体的には、車両側充放電制御部11bが、インバータ14aを制御して、車両側充放電部14が有する車両側蓄電池14bと電力負荷部13a及びモータ/ジェネレータ13bとの間の電力のやり取りを行う。また、車両側充放電部14が有する車両側蓄電池14bと車両側接続部15(即ち、車両側接続部15に接続される施設20)との間の電力のやり取りはインバータ15aを介して行われ、インバータ14aを介さない。具体的には、車両側充放電制御部11bが、インバータ15aを制御して、車両側充放電部14が有する車両側蓄電池14bと施設20との間の電力のやり取りを行う。
施設20は、熱と電気とを併せて発生する熱電併給装置23と、自然エネルギをエネルギ源とする自然エネルギ発電装置としての太陽光発電装置29とを備える。また、施設20は商用電力系統22からも電力を受電可能である。施設20は、電力を充放電可能な施設側充放電部31を備える。施設側充放電部31は、インバータ31aを含む回路及び施設側蓄電池31bを有する。更に、施設20は、車両10の車両側接続部15に対して電気的に接続可能な施設側接続部25を備える。そして、車両10が入庫したときには、車両側接続部15及び施設側接続部25が互いに電気的に接続されて、車両10の車両側充放電部14の車両側蓄電池14bがインバータ15aを介して施設20に対して電気的に接続された状態となる。また、車両10のモータ/ジェネレータ13bが、インバータ14a、車両側蓄電池14b及びインバータ15aを介して、施設20に対して電気的に接続された状態となる。或いは、車両10のモータ/ジェネレータ13bを、インバータ14a、車両側蓄電池14b及びインバータ15aを介さずに、施設20に対して電気的に接続してもよい。
施設20には、電力負荷装置30と熱負荷装置24とが設置されている。電力負荷装置30は、熱電併給装置23、太陽光発電装置29、商用電力系統22、施設側充放電部31及び車両側充放電部14の内の少なくとも1つから電力の供給を受ける。
つまり、電力負荷装置30に電力を供給するための本発明の電力供給部Pは、熱電併給装置23、太陽光発電装置29、商用電力系統22、施設側充放電部31及び車両側充放電部14である。
熱負荷装置24は、熱電併給装置23から熱の供給を受ける。施設側充放電部31が有する施設側蓄電池31bと、電力負荷装置30、商用電力系統22、熱電併給装置23、太陽光発電装置29との間の電力のやり取りはインバータ31aを介して行われる。具体的には、施設側制御部21が有する施設側充放電制御部21bが、インバータ31aを制御して、施設側充放電部31が有する施設側蓄電池31bから電力負荷装置30へ電力の放電を行い、及び、商用電力系統22、熱電併給装置23及び太陽光発電装置29から施設側蓄電池31bへ電力の充電を行うことができる。また、施設側充放電部31が有する施設側蓄電池31bと車両側充放電部14が有する車両側蓄電池14bとの間の電力のやり取りも、インバータ31aを介して行われる。具体的には、施設側充放電制御部21bが、インバータ31aを制御して、施設側充放電部31が有する施設側蓄電池31bと車両10の車両側蓄電池14bとの間の電力のやり取りを行う。
よって、車両10及び施設20に供給される電力の発生元(電力発生元)は、熱電併給装置23、太陽光発電装置29、商用電力系統22、及び、車両10のモータ/ジェネレータ13bの少なくとも何れか一つとなる。つまり、車両10の車両側充放電部14、及び、施設20の施設側充放電部31に充電されている電力の電力発生元は、熱電併給装置23、太陽光発電装置29、商用電力系統22、及び、車両10のモータ/ジェネレータ13bの少なくとも何れか一つである。
以下に、施設側充放電部31が有する施設側蓄電池31bへの電力の充電及び施設側蓄電池31bからの電力の放電、並びに、車両側充放電部14が有する車両側蓄電池14bへの電力の充電及び車両側蓄電池14bからの電力の放電について説明するが、施設側蓄電池31bのことを施設側充放電部31と記載し、及び、車両側蓄電池14bのことを車両側充放電部14と記載することもある。
施設20が備える施設側制御部21は、熱電併給装置23の運転制御を行い、施設側充放電部31への電力の充電制御及び施設側充放電部31からの電力の放電制御を行い、及び、車両側接続部15が施設側接続部25に対して電気的に接続されているときに車両側充放電部14への電力の充電制御及び車両側充放電部14からの電力の放電制御を上記車両側充放電制御部11bに行わせる。具体的には、施設側制御部21は、上記電力供給部Pからの電力によって電力負荷装置30の電力需要量を賄えるように及び熱負荷装置24の熱需要量を賄えるように熱電併給装置23の作動制御を行う。このとき、施設20が備える施設側制御部21は、施設側通信部26及び車両側通信部16を介して車両の車両側充放電制御部11bに対して充電制御及び放電制御の指示を与え、その指示を受けて車両側充放電制御部11bが車両側接続部15のインバータ15aの作動を制御することで、施設20と車両側充放電部14との間の電力のやり取りが行われる。そして、施設側制御部21(施設側充放電制御部21b)は、インバータ31aの作動を制御することで、施設側充放電部31への電力の充電制御及び施設側充放電部31からの電力の放電制御を行う。尚、施設20に設けられたボイラなどの熱供給装置(図示せず)から熱負荷装置24への熱供給を行ってもよい。
また、施設20の施設側制御部21が取り扱う情報は、施設側制御部21によって読み出し及び書き込み可能な状態で施設側記憶部28に記憶される。更に、施設20は、施設20の使用者などから情報の入力を受け付けると共に、施設20で取り扱われる情報を出力表示するための入出力部27、及び、外部との間で情報通信を行う施設側通信部26を備える。この施設側通信部26は、有線又は無線で外部のインターネットなどの通信網と接続可能である。
施設20において、電力負荷装置30で消費された電力量、熱負荷装置24で消費された熱量、商用電力系統22から受け取った電力量、熱電併給装置23で発電した電力量、太陽光発電装置29で発電した電力量、及び、施設側接続部25を介して車両10から受け取った電力量などは、システム状態検出部21aで検出される。
本実施形態において、施設20の施設側記憶部28には、施設側充放電部31に充電されている電力についての、電力発生元毎の電力量に関する施設側充電情報が記憶されている。そして、施設側充放電制御部21bは、施設側記憶部28に記憶されている施設側充電情報を、電力を施設側充放電部31に充電するとき及び電力を施設側充放電部31から放電するときに、充放電される電力の電力発生元に関する情報を参照して更新する。
同様に、車両10の車両側記憶部18には、車両側充放電部14に充電されている電力についての、電力発生元毎の電力量に関する車両側充電情報が記憶されている。そして、車両側充放電制御部11bは、車両側記憶部18に記憶されている車両側充電情報を、電力を車両側充放電部14に充電するとき及び電力を車両側充放電部14から放電するときに、充放電される電力の電力発生元に関する情報を参照して更新する。また、施設20の施設側制御部21は、車両側充放電部14への電力の充電制御及び車両側充放電部14からの電力の放電制御の指示を車両側充放電制御部11bに与えると共に、車両側充電情報の更新を車両側充放電制御部11bに行わせる。
例えば、表1は、車両10の車両側制御部11(車両側充放電制御部11b)によって読み出し及び書き込み可能に車両側記憶部18に記憶されている車両側充電情報を例示したものである。具体的には、電力発生元毎の、電力の充電率(SOC:State Of Charge)、発電に要するコスト(設備費用や燃料費用を含む)、発電に要する環境負荷(CO2原単位)、発電に要する一次エネルギ(一次エネルギ原単位)を例示したものである。表1において、車両発電電力は、モータ/ジェネレータ13bで発電された電力のことである。また、この例では、車両10での発電に要するコストは、ガソリンを燃料として内燃機関19を運転するときのコストを含む。ここでは例示しないが、施設側記憶部28に記憶されている施設側充電情報も表1に示すのと同様の形式である。
Figure 2010098793
以下に、熱電併給装置23の運転制御、施設側充放電部31への電力の充電制御及び施設側充放電部31からの電力の放電制御、並びに、車両側充放電部14への電力の充電制御及び車両側充放電部14からの電力の放電制御について、図2及び図3に示すフローチャートを参照して説明する。
図2は、施設20の施設側制御部21が熱電併給装置23の運転当日にリアルタイムで行う最適運転計画の作成及び作動制御のフローチャートである。具体的には、熱電併給装置23の運転計画の作成、並びに、車両側充放電部14への電力の充電制御計画及び車両側充放電部14からの電力の放電制御計画の作成を行って、その作動を制御するときのフローチャートである。
尚、以下の説明では、最適計画部21cが、運転当日に最適運転計画の作成を設定タイミング毎に逐次行う場合の例を説明するが、最適計画部21cが他の形態で最適運転計画を作成してもよい。例えば、運転前日又は運転当日に最適運転計画を作成してその最適運転計画を実行させておき、所定のイベントが発生したとき(例えば、車両10が施設20に入庫又は出庫したとき、何れかの電力供給元Pが故障したとき、太陽光発電装置29の発電電力が急低下したとき等)に、図2に示すような最適運転計画の再作成を行うようにしてもよい。
工程#100において施設側制御部21は最適化指標を設定する。この最適化指標の設定は、例えば、施設20の電力負荷装置30へ供給する電力について、発電に要する環境負荷の小さい電力発生元からの電力を優先して供給(消費)する環境性優先モード、発電に要するコストの小さい電力発生元からの電力を優先して供給(消費)するコスト優先モード、及び、発電に要する一次エネルギの小さい電力発生元からの電力を優先して供給(消費)する一次エネルギ優先モードの何れか一つのモードを設定することで行う。
本実施形態では、設定されるべきモード(最適化指標)は、施設20の使用者が入出力部27を用いて予め何れかのモードを設定し、施設側記憶部28に記憶させておくことで、施設側制御部21によって読み出し可能になっている。また、施設20で設定されているモードと車両10で設定されているモードとは同じであるが、別々のモードに設定することも可能である。
表2は、電力発生元毎の、発電に要するコスト(売電単価、コスト)、発電に要する環境負荷(CO2原単位)、発電に要する一次エネルギ(一次エネルギ原単位)を例示したものである。施設側記憶部28には表2に示すような情報が、施設側制御部21によって読み出し可能なように記憶されている。例えば、コスト優先モードが設定された場合には、電力発生元として熱電併給装置23を用いれば、電力の供給に要するコストを小さくできる。また、太陽光発電装置29の発電量がある場合には、それを売電すれば全体としてコストを小さくできる。更に、夜間であれば、商用電力系統22から電力の供給を受ければ、コストを小さくできる。また、環境性優先モードが設定された場合には、太陽光発電装置29の発電電力を用いれば、最も環境負荷を小さくできる。更に、一次エネルギ優先モードが設定された場合には、太陽光発電装置29の発電電力を用いれば最も一次エネルギを小さくできる。
Figure 2010098793
工程#102において施設側制御部21は、施設側記憶部28に記憶されているシステム状態検出部21aの検出結果を参照して、施設20のシステム状態に関する情報を得る。具体的には、システム状態検出部21aは、車両10が施設20に接続されているか(即ち、施設20が車両側充放電部14を利用可能であるか)、太陽光発電装置29の発電電力がどの程度であるかなどのシステム状態を検出する。
工程#104において施設側制御部21は、施設側通信部26及び車両側通信部16を経由して車両10のシステム状態及び車両10が車庫に入庫しているか否かを検出する。具体的には、車両10のシステム状態として、車両側蓄電池14bの残量(充電率:SOC)を検出する。車庫に入庫しているかどうかは、車両側接続部15と施設側接続部25との接続状態から検出できる。
工程#106において施設側制御部21は、検出したシステム状態が演算開始条件を満たしているか否かを判定する。具体的には、施設側制御部21は、車両10が施設20の車庫から入庫したとき、車両10が施設20の車庫から出庫したとき、天候の急変などにより太陽光発電装置29の発電電力が急変したとき、商用電力系統22が停電した又は停電から復帰したときなどの場合、最適運用計画を変更するための演算を開始する演算開始条件が満たされたと判定する。
施設側制御部21は、演算開始条件が満たされたと判定すると工程#108に移行し、満たされていないと判定すると工程#102に戻る。
工程#108において施設側制御部21の最適計画部21cは、電力負荷装置30へ電力を供給するための電力供給部Pの最適運用計画を作成すると共に、施設側蓄電池31b及び車両側蓄電池14bの少なくとも一方への予定合計充電量(即ち、余剰電力量)、又は、施設側蓄電池31b及び車両側蓄電池14bの少なくとも一方からの予定合計放電量(即ち、不足電力量)を導出する。また、熱負荷装置の熱需要がある場合には、電力負荷装置30の電力需要量を賄えるように及び熱負荷装置24の熱需要量を賄えるように熱電併給装置23が作動されるような最適運用計画が作成される。尚、施設20に設けられたボイラなどの熱供給装置(図示せず)から熱負荷装置24への熱供給を行ってもよいので、最適計画部21cは、電力負荷装置30へ電力を供給するための電力供給部Pの最適運用計画を作成するだけでもよい。本実施形態において、電力供給部Pは、熱電併給装置23、太陽光発電装置29、商用電力系統22、施設側充放電部31(施設側蓄電池31b)及び車両側充放電部14(車両側蓄電池14b)である。
具体的には、最適計画部21cは、施設側記憶部28に記憶されている過去の電力需要データ及び熱需要データを参照することで、施設内における予測電力需要及び予測熱需要を導出できる。また、最適計画部21cは、太陽光発電装置29の予測発電電力を気象予報などに基づいて導出できる。そして、最適計画部21cは、その予測電力需要及び予測熱需要を賄うための電力負荷装置30への電力供給及び熱負荷装置24への熱供給を行う際に生じる環境負荷の最小化を目的として、コストの最小化を目的として、又は、一次エネルギの最小化を目的として、熱電併給装置23、太陽光発電装置29、及び、商用電力系統22をどのような出力で運用するか、並びに、予定合計充電量(施設側蓄電池31b及び車両側蓄電池14bの少なくとも一方への充電)又は予定合計放電量(施設側蓄電池31b及び車両側蓄電池14bの少なくとも一方からの放電)が規定された上記最適運用計画を作成する。
予定合計充電量又は予定合計放電量を車両側蓄電池14b及び施設側蓄電池31bのそれぞれにどのように振り分けて充放電するのかについては、後述する優先順位決定部21dが決定している充電順位及び放電順位に従えばよい。
工程#110において施設側制御部21は、工程#108において作成した最適運転計画に従って熱電併給装置23の作動制御を行い、施設側充放電部31への電力の充電制御及び施設側充放電部31からの電力の放電制御を行い、及び、車両側接続部15が施設側接続部25に対して電気的に接続されているときに車両側充放電部14への電力の充電制御及び車両側充放電部14からの電力の放電制御を車両側充放電制御部11bに行わせる。具体的には、施設20が備える施設側制御部21の施設側充放電制御部21bは、施設側充放電部31のインバータ31aの作動を制御することで、施設側充放電部31への電力の充電制御及び施設側充放電部31からの電力の放電制御を行う。また、施設20が備える施設側制御部21は、施設側通信部26及び車両側通信部16を介して車両の車両側充放電制御部11bに対して充電制御及び放電制御の指示を与え、その指示を受けて車両側充放電制御部11bが車両側接続部15のインバータ15aの作動を制御することで、施設20から車両側充放電部14への電力の充電制御及び車両側充放電部14から施設20への電力の放電制御が行われる。その結果、施設20において電力の余剰又は不足が発生しないようになる。
更に、工程#112において施設側制御部21は、施設側充放電部31への電力の充電制御及び施設側充放電部31からの電力の放電制御を行うとき施設側充電情報の更新を行う。このとき、施設20の施設側制御部21は、施設20から車両10へ、又は、車両10から施設20へ、どの電力発生元からの電力がどれだけ供給されたのかについての情報、即ち、充放電される電力の電力発生元に関する情報を、車両10の車両側制御部11(車両側充放電制御部11b)へ、施設側通信部26及び車両側通信部16を介して提供する。
車両10の車両側制御部11(車両側充放電制御部11b)は、施設20の施設側制御部21から上記車両側充電情報の更新に関する情報(充放電される電力の電力発生元に関する情報)を施設側通信部26及び車両側通信部16を介して受けたとき、車両側充電情報の更新を行う。具体的には、表1に例示したSOCの値を電力発生元毎に更新する。
また、車両10の車両側制御部11(車両側充放電制御部11b)は、車両10が備えるモータ/ジェネレータ13bで発電を行って、インバータ14aを介して車両側充放電部14の蓄電部14bに電力を充電したとき、及び、蓄電部14bの電力をインバータ14aを介して電力負荷部13で消費したときにも車両側充電情報の更新を行う。図3は、車両10が備えるモータ/ジェネレータ13bで発電を行ったとき、及び、電力負荷部13で電力を消費したときに車両10の車両側制御部11(車両側充放電制御部11b)が行う車両側充電情報更新制御を説明するフローチャートである。図3に示すように、工程#200において車両10の車両側制御部11は、車両状態検出部11cの検出結果に基づいて、車両10のモータ/ジェネレータ13bで発電が行われたか及び電力負荷部13で電力消費が行われたか否かを判定する。車両状態検出部11cはカレントトランスなどによって実現可能である。
車両10の内部で発電及び電力消費が行われた場合、工程#202において車両側制御部11は、車両側充放電部14への電力の充電量、或いは、車両側充放電部14からの電力の放電量に関する情報、即ち、充放電される電力の電力発生元に関する情報を、車両状態検出部11cから取得する。そして、工程#204において車両側制御部11(車両側充放電制御部11b)は、表1に例示した車両側充電情報のSOCの値を電力発生元毎に更新する。
〔予定合計充電量又は予定合計放電量の振り分け〕
次に、予定合計充電量又は予定合計放電量を車両側蓄電池14b及び施設側蓄電池31bのそれぞれにどのように振り分けるのかについて、図4〜図7を参照して説明する。
図4〜図7は、充電用優先順位(充電順位)及び放電用優先順位(放電順位)を説明する図であり、縦軸は、車両側蓄電池14b及び施設側蓄電池31bの充電率(SOC)である。図4〜図7に示すように、車両側蓄電池14bには目標車両充電率レベル(充電率レベルA)が設定され、施設側蓄電池31bには目標施設充電率レベル(充電率レベルB、C)が設定されている。本実施形態において、車両側蓄電池14bに設定されている充電率レベルAは、車両が一定距離走行するために必要な電力に相当する充電率レベルである。また、施設側蓄電池31bに設定されている充電率レベルBは、施設側蓄電池31bを満充電にさせずに充電余裕を確保しておくための充電率レベルであり、充電率レベルCは、商用電力系統22の停電に備えるために必要な電力に相当する充電率レベルである。また、それらとは別に、上限充電率レベルと下限充電率レベルとが、車両側蓄電池14b及び施設側蓄電池31bの寿命を考慮してそれぞれに設定されている。つまり、図中では、車両側蓄電池14bの上限充電率レベル及び下限充電率レベルと、施設側蓄電池31bの上限充電率レベル及び下限充電率レベルとを同じレベル(%)で例示しているが、それらは別々のレベル(%)であってもよい。
優先順位決定部21dは、一又は複数の目標施設充電率レベル(充電率レベルA、上限充電率レベル、下限充電率レベル)及び一又は複数の目標車両充電率レベル(充電率レベルB、充電率レベルC、上限充電率レベル、下限充電率レベル)を合わせた複数のレベルに対して、予定合計充電量の充電を行うときの充電用優先順位と前記予定合計放電量の放電を行うときの放電用優先順位とを設定条件に従って決定する。この設定条件は、車両10と配電系統Lとの電気的な接続状態又は電力供給部Pとしての商用電力系統22の状態を少なくとも含む。本実施形態では、優先順位決定部21dは、車両10の種別、車両10と配電系統Lとの電気的な接続状態、及び、商用電力系統22の正常又は異常(停電など)の状態の種別を設定条件として判定する。
[車両が施設の車庫に入庫しているとき]
図4は、車両10が図1に示したハイブリッド車両であり、その車両10が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池14bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が正常である場合の充電順位を示す図である。図4に示した充電用優先順位をまとめると以下の表3になる。
図4及び表3に示すように、優先順位決定部21dは、車両10は自力走行可能なハイブリッド車両であるので、施設20において商用電力系統22の停電に備えることを目的として、施設側蓄電池31bを充電率レベルCまで充電することを第1位とする。優先順位決定部21dは、車両10が一定距離走行することを目的として、車両側蓄電池14bを充電率レベルAまで充電することを第2位とする。優先順位決定部21dは、車両側蓄電池14bに充電しても車両10が施設20の車庫から出庫したときには車両側蓄電池14bを使用できなくなってしまうことを考慮して、施設側蓄電池31bを充電率レベルBまで充電することを第3位とする。優先順位決定部21dは、施設20で余剰電力が発生したときの充電余裕を施設側蓄電池31bに残しておくことを目的として、先に車両側蓄電池14bを上限充電率レベルまで充電することを第4位とする。優先順位決定部21dは、最後に、施設側蓄電池31bを上限充電率レベルまで充電することを第5位とする。
Figure 2010098793
図5は、車両10が図1に示したハイブリッド車両であり、その車両10が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池14bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が正常である場合の放電順位を示す図である。図5に示した放電用優先順位をまとめると以下の表4になる。
図5及び表4に示すように、優先順位決定部21dは、施設20で余剰電力が発生したときの充電余裕を施設側蓄電池31bに残しておくことを目的として、先に施設側蓄電池31bを充電率レベルBまで放電することを第1位とする。優先順位決定部21dは、車両10は自力走行可能なハイブリッド車両であるので、車両側蓄電池14bを充電率レベルAまで放電することを第2位とする。優先順位決定部21dは、車両10が一定距離走行するための車両側蓄電池14bの充電レベルAを維持することを目的として、先に施設側蓄電池31bを充電率レベルCまで放電することを第3位とする。優先順位決定部21dは、車両10は自力走行可能なハイブリッド車両であるので、車両側蓄電池14bを下限充電率レベルまで放電することを第4位とする。尚、施設側蓄電池31bに設定される充電率レベルCは、商用電力系統22の停電に備えるために必要な電力に相当する充電率レベルであるので、商用電力系統22が正常である間は充電率レベルCよりも低く施設側蓄電池31bを放電させることはない。
Figure 2010098793
図6は、車両10が図1に示したハイブリッド車両であり、その車両10が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池14bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が停電状態である場合の充電順位を示す図である。図6に示した充電用優先順位をまとめると以下の表5になる。
図6及び表5に示すように、優先順位決定部21dは、車両10は自力走行可能なハイブリッド車両であり、商用電力系統22が停電状態であることを考慮して、施設側蓄電池31bを充電率レベルCまで充電することを第1位とする。優先順位決定部21dは、同じく、車両10は自力走行可能なハイブリッド車両であり、商用電力系統22が停電状態であることを考慮して、施設側蓄電池31bを充電率レベルBまで充電することを第2位とする。優先順位決定部21dは、施設側蓄電池31bには十分な蓄電池残量が確保できたことを考慮して、車両側蓄電池14bを充電率レベルAまで充電することを第3位とする。優先順位決定部21dは、施設20で余剰電力が発生したときの充電余裕を施設側蓄電池31bに残しておくことを目的として、先に車両側蓄電池14bを上限充電率レベルまで充電することを第4位とする。優先順位決定部21dは、最後に、施設側蓄電池31bを上限充電率レベルまで充電することを第5位とする。
Figure 2010098793
図7は、車両10が図1に示したハイブリッド車両であり、その車両10が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池14bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が停電状態である場合の放電順位を示す図である。図7に示した放電用優先順位をまとめると以下の表6になる。
図7及び表6に示すように、優先順位決定部21dは、商用電力系統22が停電状態であり、車両10は自力走行可能なハイブリッド車両であるので、車両側蓄電池14bを充電率レベルAまで放電することを第1位とする。優先順位決定部21dは、施設20で余剰電力が発生したときの充電余裕を施設側蓄電池31bに残しておくことを目的として、施設側蓄電池31bを充電率レベルBまで放電することを第2位とする。優先順位決定部21dは、車両10は自力走行可能なハイブリッド車両であり、商用電力系統22の停電状態において施設側蓄電池31bのSOCを高く保つ必要があることを考慮して、先に車両側蓄電池14bを下限充電率レベルまで放電することを第3位とする。優先順位決定部21dは、施設側蓄電池31bを充電率レベルCまで放電することを第4位とする。優先順位決定部21dは、最後に、施設側蓄電池31bを下限充電率レベルまで放電することを第5位とする。
Figure 2010098793
[車両が施設の車庫に入庫していないとき]
優先順位決定部21dは、施設側蓄電池31bのみが予定合計充電量の充電及び予定合計放電量の放電を行うことを考慮して、充電用優先順位及び放電用優先順位は決定しない。但し、施設側蓄電池31bに設定される充電率レベルCは、商用電力系統22の停電に備えるために必要な電力に相当する充電率レベルであるので、商用電力系統22が正常である間は充電率レベルCよりも低く施設側蓄電池31bを放電させることはない。商用電力系統22が停電状態であれば充電率レベルCよりも低い下限充電率レベルまで施設側蓄電池31bを放電させることが許容される。
以下に、施設20で余剰電力(予定合計充電量)が発生した場合について具体例を挙げて説明する。例えば、上述したような優先順位を決定することで、余剰電力の2.5kWのうちの1.25kWを施設側充放電部31に充電し、残りの1.25kWを車両側充放電部14に充電することとなった、それら充電電力の電力発生元に関する内訳は、各電力発生元の供給電力の比(太陽光発電装置29:熱電併給装置23:商用電力系統22=2:2:1)で決定される。例えば、施設20の施設側制御部21は、車両10の車両側充放電部14への充電電力を、太陽光発電装置29から0.5kW、熱電併給装置23から0.5kW、商用電力系統22から0.25kWと決定し、この情報を車両10の車両側制御部11へ、施設側通信部26及び車両側通信部16を介して提供する。車両10の車両側制御部11(車両側充放電制御部11b)は、施設20の施設側制御部21から上記車両側充電情報の更新に関する情報を受けると、表1に例示したSOCの値を電力発生元毎に更新する。
同様に、施設20の施設側制御部21は、施設側充放電部31への充電電力を、太陽光発電装置29から0.5kW、熱電併給装置23から0.5kW、商用電力系統22から0.25kWと決定し、この情報を施設側記憶部28に記憶されている施設側充電情報に反映させる。
また、車両10の車両側制御部11は、車両10の電力負荷部13で電力が消費されるとき、設定されているモードに従って、適切な電力発生元からの電力が消費されるようにする。本実施形態では、設定されるべきモードは、車両10の乗員などが入出力部17を用いて予め何れかのモードを設定し、車両側記憶部18に記憶させておくことで、車両側制御部11によって読み出し可能になっている。
具体的には、車両10の車両側制御部11(車両側充放電制御部11b)は、コスト優先モードが設定されていて、車両10の電力負荷部13で消費される電力が3kWのとき、コストの最も小さい電力発生元(熱電併給装置23)からの電力が3kW消費されるように車両側充放電部14の放電量を制御する。そして、表1に例示したSOCの値を電力発生元毎に更新する。
以上のように、本実施形態の電力需給システムS1では、設定条件に応じて、車両側蓄電池14b及び施設側蓄電池31bに予定合計充電量の充電を行うときの充電用優先順位と、車両側蓄電池14b及び施設側蓄電池31bから予定合計放電量の放電を行うときの放電用優先順位とが決定される。つまり、電力需給システムS1の置かれている状況を設定条件で判定して、その状況に適切なように充放電が車両側蓄電池14b及び施設側蓄電池31bに振り分けられて行われる。
<第2実施形態>
第2実施形態の電力需給システムは、車両が燃料電池を備えている燃料電池車両である点で上記第1実施形態と異なっている。以下に、第2実施形態の電力需給システムについて説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図8は、第2実施形態の電力需給システムS2の機能ブロック図である。図8に示すように、施設20の構成は第1実施形態と同じである。本実施形態の車両50は、走行駆動部52及び電力負荷部53の構成が第1実施形態と異なっている。つまり、車両50の車両側制御部51(走行制御部51a、車両側充放電制御部51b、車両状態検出部51c)、車両側充放電部54(インバータ54aを含む回路、蓄電池54b)、車両側接続部55(インバータ55aを含む接続回路)、車両側通信部56、入出力部57、及び、車両側記憶部58の構成は、第1実施形態の車両側制御部11(走行制御部11a、車両側充放電制御部11b、車両状態検出部11c)、車両側充放電部14(インバータ14aを含む回路、蓄電池14b)、車両側接続部15(インバータ15aを含む接続回路)、車両側通信部16、入出力部17、及び、車両側記憶部18と同じである。
燃料電池59は、水素やアルコールなどの燃料を消費して発電して、発電された電力を車両側充放電部54に充電可能である。つまり、燃料電池59は、第1実施形態で説明したモータ/ジェネレータ13bと同様に電力供給部P(電力発生元)の一つとして利用可能である。燃料電池59は、発電セルスタックなどで構成される燃料電池本体59aと、その燃料電池本体59aを車両側充放電部54及び電力負荷部53に接続するインバータ59bを含む回路とを有する。
車両50の走行駆動部52は、電力負荷部53としてのモータ/ジェネレータ53bを有する。そして、車両50では、モータ/ジェネレータ53bにおいて電力を消費して得られるエネルギが走行駆動力として利用される。加えて、車両側制御部51は、モータ/ジェネレータ53bを、車両50の減速時において、車両50の運動エネルギの一部を電気エネルギに変換(回生発電)するように作動させることもできる。
熱電併給装置23の運転制御、施設側充放電部31への電力の充電制御及び施設側充放電部31からの電力の放電制御、並びに、車両側充放電部54への電力の充電制御及び車両側充放電部54からの電力の放電制御については、上記実施形態で説明した図2のフローチャートと同様である。
つまり、施設側制御部21の最適計画部21cは、電力負荷装置30へ電力を供給するための電力供給部Pの最適運用計画を作成すると共に、施設側蓄電池31b及び車両側蓄電池54bの少なくとも一方への予定合計充電量、又は、施設側蓄電池31b及び車両側蓄電池54bの少なくとも一方からの予定合計放電量を導出する。本実施形態において、電力供給部Pは、熱電併給装置23、太陽光発電装置29、商用電力系統22、施設側充放電部31(施設側蓄電池31b)及び車両側充放電部54(車両側蓄電池54b)である。
車両50の車両側充放電制御部51bは、施設20の施設側制御部21からの指示に従ってインバータ55aの作動を制御して、車両側充放電部54と施設20との間における充放電を制御すると共に、車両側記憶部58に記憶されている車両側充電情報を、施設20から車両側充放電部54に電力を充電させるとき及び車両側充放電部54から施設20へ電力を放電させるときに電力発生元毎に更新する。
また、車両10が備える燃料電池59で発電を行ったとき、及び、電力負荷部13で電力を消費したときに車両10の車両側制御部11(車両側充放電制御部11b)が行う車両側充電情報更新制御のフローチャートは、上記実施形態で説明した図3のフローチャートと同様である。つまり、車両50の車両側制御部51(車両側充放電制御部51b)は、車両50が備える燃料電池59で発電を行って車両側充放電部54に電力を充電したとき、及び、電力負荷部53で電力を消費したときにも車両側充電情報の更新を行う。
更に、優先順位決定部21dが決定する充電順位及び放電順位も、図4〜図7を参照して説明したのと同様である。なぜならば、第2実施形態で説明した車両50は、ハイブリッド車両であった第1実施形態の車両10と、自力走行可能であるという点で共通しているからである。
<第3実施形態>
第3実施形態の電力需給システムは、車両が発電部を備えていない点で上記実施形態と異なっている。以下に、第3実施形態の電力需給システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図9は、第3実施形態の電力需給システムS3の機能ブロック図である。図9に示すように、施設20の構成は第1実施形態と同じである。本実施形態の車両70は、走行駆動部72及び電力負荷部73の構成が第1実施形態と異なっている。つまり、車両70の車両側制御部71(走行制御部71a、車両側充放電制御部71b、車両状態検出部71c)、車両側充放電部74(インバータ74aを含む回路、蓄電池74b)、車両側接続部75(インバータ75aを含む接続回路)、車両側通信部76、入出力部77、及び、車両側記憶部78の構成は、第1実施形態の車両側制御部11(走行制御部11a、車両側充放電制御部11b、車両状態検出部11c)、車両側充放電部14(インバータ14aを含む回路、蓄電池14b)、車両側接続部15(インバータ15aを含む接続回路)、車両側通信部16、入出力部17、及び、車両側記憶部18と同じである。本実施形態において、車両70は、所謂、電気車両であるので、表1及び表2に示した「車両発電電力」は無いものとして取り扱う。
車両70の走行駆動部72は、電力負荷部73としてのモータ/ジェネレータ73bを有する。そして、車両70では、モータ/ジェネレータ73bにおいて電力を消費して得られるエネルギが走行駆動力として利用される。加えて、車両側制御部71は、モータ/ジェネレータ73bを、車両70の減速時において、車両70の運動エネルギの一部を電気エネルギに変換(回生発電)するように作動させることもできる。
熱電併給装置23の運転制御、施設側充放電部31への電力の充電制御及び施設側充放電部31からの電力の放電制御、並びに、車両側充放電部74への電力の充電制御及び車両側充放電部74からの電力の放電制御については、上記実施形態で説明した図2のフローチャートと同様である。
つまり、施設側制御部21の最適計画部21cは、電力負荷装置30へ電力を供給するための電力供給部Pの最適運用計画を作成すると共に、施設側蓄電池31b及び車両側蓄電池54bの少なくとも一方への予定合計充電量、又は、施設側蓄電池31b及び車両側蓄電池54bの少なくとも一方からの予定合計放電量を導出する。本実施形態において、電力供給部Pは、熱電併給装置23、太陽光発電装置29、商用電力系統22、施設側充放電部31及び車両側充放電部14である。
車両70の車両側充放電制御部71bは、施設20の施設側制御部21からの指示に従ってインバータ75aの作動を制御して、車両側充放電部74と施設20との間における充放電を制御すると共に、車両側記憶部78に記憶されている車両側充電情報を、電力を車両側充放電部74に充電させるとき及び電力を車両側充放電部74から放電させるときに電力発生元毎に更新する。具体的には、車両70の車両側制御部71(車両側充放電制御部71b)は、施設70から車両側充電情報の更新に関する情報を施設側通信部26及び車両側通信部76を介して受けたとき、車両側充電情報の更新を行う。
また、図10は、車両70が備える電力負荷部73で電力を消費したときに車両70の車両側制御部71(車両側充放電制御部71b)が行う車両側充電情報更新制御を説明するフローチャートである。図10に示すように、工程#300において車両70の車両側制御部71は、車両状態検出部71cの検出結果に基づいて、車両70の電力負荷部73で電力消費が行われたか否かを判定する。工程#302において車両側制御部71は、車両70の内部で電力消費が行われた場合には、車両側充放電部74からの電力の放電量に関する情報を、車両状態検出部71cから取得する。そして、工程#304において施設側制御部71(車両側充放電制御部71b)は、表1に例示した車両側充電情報のSOCの値を電力発生元毎に更新する。
〔予定合計充電量又は予定合計放電量の振り分け〕
次に、予定合計充電量又は予定合計放電量を車両側蓄電池74b及び施設側蓄電池31bのそれぞれにどのように振り分けるのかについて、図11〜図14を参照して説明する。
上記実施形態と同様に、優先順位決定部21dは、一又は複数の目標施設充電率レベル(充電率レベルA、上限充電率レベル、下限充電率レベル)及び一又は複数の目標車両充電率レベル(充電率レベルB、充電率レベルC、上限充電率レベル、下限充電率レベル)を合わせた複数のレベルに対して、予定合計充電量の充電を行うときの充電用優先順位と前記予定合計放電量の放電を行うときの放電用優先順位とを設定条件に従って決定する。本実施形態では、優先順位決定部21dは、車両70の種別、車両70と配電系統Lとの電気的な接続状態、及び、商用電力系統22の正常又は異常(停電など)の状態の種別を設定条件として判定する。
[車両が施設の車庫に入庫しているとき]
図11は、車両70が図9に示した電気車両であり、その車両70が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池74bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が正常である場合の充電順位を示す図である。図11に示した充電用優先順位をまとめると以下の表7になる。
図11及び表7に示すように、優先順位決定部21dは、車両70が車両側蓄電池74bに残量がないと走行が不可能になる電気車両であることを考慮して、車両側蓄電池74bを充電率レベルAまで充電することを第1位とする。優先順位決定部21dは、施設20において商用電力系統22の停電に備えることを目的として、施設側蓄電池31bを充電率レベルCまで充電することを第2位とする。優先順位決定部21dは、車両側蓄電池74bには充分な残量があり、且つ、車両側蓄電池74bに充電しても車両70が施設20の車庫から出庫したときには車両側蓄電池74bを使用できなくなってしまうことを考慮して、施設側蓄電池31bを充電率レベルBまで充電することを第3位とする。優先順位決定部21dは、施設20で余剰電力が発生したときの充電余裕を施設側蓄電池31bに残しておくことを目的として、先に車両側蓄電池74bを上限充電率レベルまで充電することを第4位とする。優先順位決定部21dは、最後に、施設側蓄電池31bを上限充電率レベルまで充電することを第5位とする。
Figure 2010098793
図12は、車両70が図9に示した電気車両であり、その車両70が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池74bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が正常である場合の放電順位を示す図である。図12に示した放電用優先順位をまとめると以下の表8になる。
図12及び表8に示すように、優先順位決定部21dは、施設20で余剰電力が発生したときの充電余裕を施設側蓄電池31bに残しておくことを目的として、先に施設側蓄電池31bを充電率レベルBまで放電することを第1位とする。優先順位決定部21dは、車両側蓄電池74bを充電率レベルAまで放電することを第2位とする。優先順位決定部21dは、施設側蓄電池31bを充電率レベルCまで放電することを第3位とする。尚、施設側蓄電池31bに設定される充電率レベルCは、商用電力系統22の停電に備えるために必要な電力に相当する充電率レベルであるので、商用電力系統22が正常である間は充電率レベルCよりも低く施設側蓄電池31bを放電させることはない。また、車両側蓄電池74bに設定される充電率Aは車両70を一定距離走行させるのに必要な残量であり、且つ、車両70が車両側蓄電池74bに残量がないと走行が不可能になる電気車両であることを考慮して、充電率レベルAよりも低く車両側蓄電池74bを放電させることはない。
Figure 2010098793
図13は、車両70が図9に示した電気車両であり、その車両70が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池74bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が停電状態である場合の充電順位を示す図である。図13に示した充電用優先順位をまとめると以下の表9になる。
図13及び表9に示すように、優先順位決定部21dは、商用電力系統22が停電状態であることを考慮して、施設側蓄電池31bを充電率レベルCまで充電することを第1位とする。優先順位決定部21dは、車両70の走行に必要な蓄電池残量を確保することを考慮して、車両側蓄電池74bを充電率レベルAまで充電することを第2位とする。優先順位決定部21dは、商用電力系統22が停電状態であることを考慮して、施設側蓄電池31bを充電率レベルBまで充電することを第3位とする。優先順位決定部21dは、施設20で余剰電力が発生したときの充電余裕を施設側蓄電池31bに残しておくことを目的として、先に車両側蓄電池74bを上限充電率レベルまで充電することを第4位とする。優先順位決定部21dは、最後に、施設側蓄電池31bを上限充電率レベルまで充電することを第5位とする。
Figure 2010098793
図14は、車両70が図1に示した電気車両であり、その車両70が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池74bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が停電状態である場合の放電順位を示す図である。図14に示した放電用優先順位をまとめると以下の表10になる。
図14及び表10に示すように、優先順位決定部21dは、商用電力系統22が停電状態にあることを考慮して、先に車両側蓄電池74bを充電率レベルAまで放電することを第1位とする。優先順位決定部21dは、車両70が走行不可能になるのを防止することを目的として、施設側蓄電池31bを充電率レベルBまで放電することを第2位とする。優先順位決定部21dは、車両70が走行不可能になるのを防止することを目的として、施設側蓄電池31bを充電率レベルCまで放電することを第3位とする。優先順位決定部21dは、車両70は走行不可能になるが、商用電力系統22が停電状態であるので、車両側蓄電池74bを下限充電率レベルまで放電することを第4位とする。優先順位決定部21dは、最後に、施設側蓄電池31bを下限充電率レベルまで放電することを第5位とする。
Figure 2010098793
[車両が施設の車庫に入庫していないとき]
優先順位決定部21dは、施設側蓄電池31bのみが予定合計充電量の充電及び予定合計放電量の放電を行うことを考慮して、充電用優先順位及び放電用優先順位は決定しない。但し、施設側蓄電池31bに設定される充電率レベルCは、商用電力系統22の停電に備えるために必要な電力に相当する充電率レベルであるので、商用電力系統22が正常である間は充電率レベルCよりも低く施設側蓄電池31bを放電させることはない。商用電力系統22が停電状態であれば充電率レベルCよりも低い下限充電率レベルまで施設側蓄電池31bを放電させることが許容される。
<別実施形態>
<1>
上記実施形態において、施設側蓄電池及び車両側蓄電池に設定される充電率レベルの数は適宜変更可能である。例えば、以下に示す例では、車両側蓄電池14bには目標車両充電率レベル(充電率レベルA)が設定され、施設側蓄電池31bには目標施設充電率レベル(充電率レベルB)が設定されている。車両側蓄電池14bに設定されている充電率レベルAは、車両が一定距離走行するために必要な電力に相当する充電率レベルである。また、施設側蓄電池31bに設定されている充電率レベルBは、上記実施形態において充電率レベルCと呼んでいたレベルであり、商用電力系統22の停電に備えるために必要な電力に相当する充電率レベルである。また、それらとは別に、上限充電率レベルと下限充電率レベルとが、車両側蓄電池14b及び施設側蓄電池31bの寿命を考慮してそれぞれに設定されている。
以下、図15〜図18及び表11〜表14には、車両が図1に例示したハイブリッド車両である場合の例を示し、図19〜図22及び表15〜表18には、車両が図9に例示した電気車両である場合の例を示す。尚、車両が図8に例示した燃料電池車両である場合の例は図15〜図18及び表11〜表14に示すハイブリッド車両の場合と同様である。
[ハイブリッド車両が施設の車庫に入庫しているとき]
図15は、車両10が図1に示したハイブリッド車両であり、その車両10が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池14bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が正常である場合の充電順位を示す図である。図15に示した充電用優先順位をまとめると以下の表11になる。
Figure 2010098793
図16は、車両10が図1に示したハイブリッド車両であり、その車両10が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池14bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が正常である場合の放電順位を示す図である。図16に示した放電用優先順位をまとめると以下の表12になる。
Figure 2010098793
図17は、車両10が図1に示したハイブリッド車両であり、その車両10が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池14bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が停電状態である場合の充電順位を示す図である。図17に示した充電用優先順位をまとめると以下の表13になる。
Figure 2010098793
図18は、車両10が図1に示したハイブリッド車両であり、その車両10が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池14bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が停電状態である場合の放電順位を示す図である。図18に示した放電用優先順位をまとめると以下の表14になる。
Figure 2010098793
[ハイブリッド車両が施設の車庫に入庫していないとき]
優先順位決定部21dは、施設側蓄電池31bのみが予定合計充電量の充電及び予定合計放電量の放電を行うことを考慮して、充電用優先順位及び放電用優先順位は決定しない。但し、施設側蓄電池31bに設定される充電率レベルBは、商用電力系統22の停電に備えるために必要な電力に相当する充電率レベルであるので、商用電力系統22が正常である間は充電率レベルBよりも低く施設側蓄電池31bを放電させることはない。商用電力系統22が停電状態であれば充電率レベルBよりも低い下限充電率レベルまで施設側蓄電池31bを放電させることが許容される。
次に、車両が電気車両である場合について説明する。
[電気車両が施設の車庫に入庫しているとき]
図19は、車両70が図9に示した電気車両であり、その車両70が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池74bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が正常である場合の充電順位を示す図である。図19に示した充電用優先順位をまとめると以下の表15になる。
Figure 2010098793
図20は、車両70が図9に示した電気車両であり、その車両70が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池74bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が正常である場合の放電順位を示す図である。図20に示した放電用優先順位をまとめると以下の表16になる。
Figure 2010098793
図21は、車両70が図9に示した電気車両であり、その車両70が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池74bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が停電状態である場合の充電順位を示す図である。図21に示した充電用優先順位をまとめると以下の表17になる。
Figure 2010098793
図22は、車両70が図9に示した電気車両であり、その車両70が施設20の車庫に入庫して車両側蓄電池74bが施設20内の配電系統Lに電気的に接続され、商用電力系統22が停電状態である場合の放電順位を示す図である。図22に示した放電用優先順位をまとめると以下の表18になる。
Figure 2010098793
[車両が施設の車庫に入庫していないとき]
優先順位決定部21dは、施設側蓄電池31bのみが予定合計充電量の充電及び予定合計放電量の放電を行うことを考慮して、充電用優先順位及び放電用優先順位は決定しない。但し、施設側蓄電池31bに設定される充電率レベルBは、商用電力系統22の停電に備えるために必要な電力に相当する充電率レベルであるので、商用電力系統22が正常である間は充電率レベルBよりも低く施設側蓄電池31bを放電させることはない。商用電力系統22が停電状態であれば充電率レベルBよりも低い下限充電率レベルまで施設側蓄電池31bを放電させることが許容される。
<2>
図23は、別実施形態の電力需給システムS4の機能ブロック図である。この別実施形態は、施設側制御部21が、車両側充放電部14への電力の充電制御及び車両側充放電部14からの電力の放電制御を行う点で上記実施形態と異なっている。以下に、別実施形態の車両10及び施設20を備える電力需給システムS4について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
施設20の施設側接続部25はインバータ25aを含む接続回路を有する。車両10において、車両側充放電部14が有する車両側蓄電池14bと電力負荷部13a及びモータ/ジェネレータ13bとの間の電力のやり取りはインバータ14aを介して行われる。具体的には、車両側充放電制御部11bが、インバータ14aを制御して、車両側充放電部14が有する車両側蓄電池14bと電力負荷部13a及びモータ/ジェネレータ13bとの間の電力のやり取りを行う。また、車両側充放電部14が有する車両側蓄電池14bと施設20との間の電力のやり取りは、施設側接続部25のインバータ25a及び車両側接続部15を介して行われ、インバータ14aを介さない。具体的には、施設20の施設側制御部21が、インバータ25aを制御して、車両側充放電部14が有する施設側蓄電池14bと施設20の配電系統Lとの間の電力のやり取りを行う。
施設20が備える施設側制御部21は、熱電併給装置23の作動制御を行い、施設側充放電部31への電力の充電制御及び施設側充放電部31からの電力の放電制御を行い、及び、車両側接続部15が施設側接続部25に対して電気的に接続されているときに車両側充放電部14への電力の充電制御及び車両側充放電部14からの電力の放電制御を自身で行う。具体的には、施設側制御部21は、上記電力供給部Pからの電力によって電力負荷装置30の電力需要量を賄えるように及び熱負荷装置24の熱需要量を賄えるように熱電併給装置23の作動制御を行う。このとき、施設20が備える施設側制御部21が、施設側接続部25のインバータ25aの作動を制御することで、施設20と車両側充放電部14との間の電力のやり取りが行われる。また、施設側制御部21(施設側充放電制御部21b)は、インバータ31aの作動を制御することで、施設側充放電部31への電力の充電制御及び施設側充放電部31からの電力の放電制御を行う。
本実施形態においても、施設20が備える施設側制御部21は、車両側充放電部14への電力の充電制御及び車両側充放電部14からの電力の放電制御をインバータ25aを用いて行うとき、車両10の車両側記憶部18に記憶されている車両側充電情報の更新を車両側充放電制御部11bに行わせる。具体的には、車両10の車両側制御部11(車両側充放電制御部11b)は、施設20の施設側制御部21から車両側充電情報の更新に関する情報を施設側通信部26及び車両側通信部16を介して受けたとき、車両側充電情報の更新を行う。同様に、施設側充放電制御部21bは、施設側記憶部28に記憶されている施設側充電情報を、電力を施設側充放電部31に充電するとき及び電力を施設側充放電部31から放電するときに、充放電される電力の電力発生元に関する情報を参照して更新する。
<3>
上記実施形態において、自然エネルギ発電装置として太陽光発電装置を例示したが、他の発電装置に置き換えることも可能である。例えば、風力発電装置を自然エネルギ発電装置として利用することもできる。
<4>
上記実施形態の表1及び表2において、電力発生元毎のコスト、CO2原単位、及び、
一次エネルギ原単位の値を具体的に示したが、それらの値は単なる例示目的で示したものであり、適宜変更される。また、表1に示した電力発生元毎のコスト、CO2原単位、及
び、一次エネルギ原単位の値について、充放電ロスが考慮されることもある。
<5>
上記実施形態において、施設20が熱を貯留する蓄熱装置(例えば、貯湯装置)を備えていてもよい。その場合、熱電併給装置を運転させなくても、蓄熱装置から熱負荷装置へ熱を供給するような計画を作成できる。
<6>
上記実施形態では、施設20の施設側制御部21が、熱需要量を賄うのに適した運転を熱電併給装置23にさせる、つまり、所謂、熱電併給装置23の熱主運転が行われる例について説明したが、電力需要量を賄うのに適した運転を熱電併給装置23にさせる、つまり、熱電併給装置23を電主運転させてもよい。
例えば、施設20の施設側制御部21は、電力発生元から供給される電力によって電力負荷装置30の電力需要量を賄えるように、熱電併給装置23の作動制御を行い、施設側充放電部31への電力の充電制御及び施設側充放電部31からの電力の放電制御を行い、及び、車両側充放電部14への電力の充電制御及び車両側充放電部14からの電力の放電制御を車両側充放電制御部11bに行わせる。或いは、施設側制御部21は、電力発生元から供給される電力によって電力負荷装置30の電力需要量を賄えるように、熱電併給装置23の作動制御を行い、施設側充放電部31への電力の充電制御及び施設側充放電部31からの電力の放電制御を行い、及び、車両側充放電部14への電力の充電制御及び車両側充放電部14からの電力の放電制御を自身が行う。また、上記実施形態と同様に、施設側制御部21は、施設側充電情報の更新を行い、及び、車両側充電情報の更新を車両側充放電制御部11bに行わせる。
この場合、熱電併給装置23を電主運転させたことで、熱電併給装置23で発生される熱量が熱負荷装置24の熱需要量に満たない場合もある。そのような場合には、施設側制御部21が、あるいは、施設側制御部21からの制御を受けずに、施設20に設けられたボイラなどの熱供給装置(図示せず)の運転を行って、熱需要量を賄えばよい。また、熱電併給装置23を電主運転させたことで、熱電併給装置23で発生される熱量が熱負荷装置24の熱需要量を上回る場合には、貯湯装置などの蓄熱装置(図示せず)を用いて余剰熱量を蓄熱すればよい。
<7>
上述した例において、施設20の施設側制御部21が、車両側記憶部18に記憶されているのと同じ車両側充電情報を、施設側通信部26及び車両側通信部16を介して逐次入手して記憶及び更新するように構成してもよい。具体的には、施設20の施設側制御部21は、施設側通信部26及び車両側通信部16を介して車両10の車両側充放電制御部11bに対して車両側充電情報の送信要求を行うことで、その返答として車両側充電情報の送信を受けることができる。
<8>
上述した例では、自然エネルギ発電装置としての太陽光発電装置29で発電した電力を商用電力系統22へ売電する例について説明したが、太陽光発電装置29で発電した電力に限らず、他の電力発生元からの電力を商用電力系統22へ売電するように改変してもよい。
本発明の電力需給システムは、余剰電力及び不足電力を車両側蓄電池及び施設側蓄電池のそれぞれに適切に振り分けるために利用できる。
第1実施形態の電力需給システムの機能ブロック図 最適運転計画の作成及び作動制御のフローチャート 車両側充電情報更新制御を説明するフローチャート 充電順位を説明する図 放電順位を説明する図 充電順位を説明する図 放電順位を説明する図 第2実施形態の電力需給システムの機能ブロック図 第3実施形態の電力需給システムの機能ブロック図 車両側充電情報更新制御を説明するフローチャート 充電順位を説明する図 放電順位を説明する図 充電順位を説明する図 放電順位を説明する図 充電順位を説明する図 放電順位を説明する図 充電順位を説明する図 放電順位を説明する図 充電順位を説明する図 放電順位を説明する図 充電順位を説明する図 放電順位を説明する図 別実施形態の電力需給システムの機能ブロック図
符号の説明
10 車両
14b 車両側蓄電池
20 施設
21c 最適計画部
21d 優先順位決定部
30 電力負荷装置
31b 施設側蓄電池
L 配電系統
P 電力供給部
S1、S2、S3、S4 電力需給システム

Claims (5)

  1. 施設に設けられた車庫に車両が入庫して前記車両が有する車両側蓄電池が前記施設内の配電系統に電気的に接続されると、前記配電系統から前記車両側蓄電池への充電及び前記車両側蓄電池から前記配電系統への放電が可能となる電力需給システムであって、
    前記施設には、電力負荷装置と、前記電力負荷装置に電力を供給するための複数の電力供給部と、一又は複数の目標施設充電率レベルが設定される、前記電力供給部としての施設側蓄電池と、前記電力負荷装置へ電力を供給するための前記電力供給部の最適運用計画を作成すると共に前記施設側蓄電池及び前記車両側蓄電池の少なくとも一方への予定合計充電量又は前記施設側蓄電池及び前記車両側蓄電池の少なくとも一方からの予定合計放電量を導出する最適計画部と、優先順位決定部と、が少なくとも設けられ、
    前記車両側蓄電池は、一又は複数の目標車両充電率レベルが設定可能な前記電力供給部として作用する構成で設けられ、
    前記優先順位決定部は、前記一又は複数の目標施設充電率レベル及び前記一又は複数の目標車両充電率レベルを合わせた複数のレベルに対して、前記予定合計充電量の充電を行うときの充電用優先順位と前記予定合計放電量の放電を行うときの放電用優先順位とを、前記車両と前記配電系統との電気的な接続状態又は前記電力供給部としての商用電力系統の状態を含む設定条件に従って決定する電力需給システム。
  2. 前記設定条件は、前記車両が前記配電系統に電気的に接続されているか否かの条件、及び、前記電力供給部としての商用電力系統に停電が発生しているか否かの条件を含む請求項1記載の電力需給システム。
  3. 前記目標車両充電率レベルの一つは、前記車両が一定距離走行するために必要な電力に相当する充電率レベルである請求項1又は2記載の電力需給システム。
  4. 前記目標施設充電率レベルの一つは、前記商用電力系統の停電に備えるために必要な電力に相当する充電率レベルである請求項1〜3の何れか一項に記載の電力需給システム。
  5. 前記目標施設充電率レベルの一つは、前記施設側蓄電池を満充電にさせずに充電余裕を確保しておくための充電率レベルである請求項1〜4の何れか一項に記載の電力需給システム。
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