JP2010095516A - α−オキソカルボン酸の金属塩の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】α−オキソカルボン酸と酢酸金属塩とを水性媒体中で混合する工程を有することを特徴とするα−オキソカルボン酸の金属塩の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、α−オキソカルボン酸の金属塩を効率良く製造することである。
すなわち、本発明は、α−オキソカルボン酸と酢酸金属塩とを水性媒体中で混合する工程を有することを特徴とするα−オキソカルボン酸の金属塩の製造方法に関するものである。
したがって、本発明の製造方法を用いると、α−オキソカルボン酸の金属塩を製造効率良く、かつ高収率で得ることができる。
本発明方法は、α−オキソカルボン酸の金属塩(D)を製造する方法であって、α−オキソカルボン酸(A)と酢酸金属塩(B)とを水性媒体(C)中で混合する工程を有する。以下、α−オキソカルボン酸(A)、酢酸金属塩(B)、水性媒体(C)を順次説明する。
これら水酸化物や炭酸塩(以下、水酸化物等と表記する。)を用いた場合、これら水酸化物等を完全に溶解させるために大量の水が必要となり、反応に用いる装置が巨大化してしまい製造上非効率的である。
また、大量の水を用いてこれら水酸化物等を仮に完全溶解させたとしても、生成物(D)の水に対する溶解度の方がこれら水酸化物等の溶解度よりも高いので(例えばグリオキシル酸のカルシウム塩の溶解度(23℃水)は0.7質量%である)、生成物(D)が析出し難く、単離、精製が困難である。
さらに、これら水酸化物等の溶解が不十分のまま反応させた場合、未反応(未溶解)の水酸化物等と生成物(D)とが共に固体であるので、両者の分離が困難である。したがって、製造効率や収率が低くなる。
2Lの2口反応管に25%グリオキシル酸水溶液(グリオキシル酸162.1g 、2.19mol)647gを入れた後、20%酢酸カルシウム水溶液(酢酸カルシウム173.2g, 1.09mol) 866gを、室温、攪拌下、1.5時間かけて滴下し、滴下終了後2時間攪拌した。反応液を濾過して白色粉末を濾取した後、得られた粉末を50℃で3時間真空乾燥させることにより、グリオキシル酸カルシウムの白色粉末224g(1.01mol、収率92.5%、純度100%)を得た。
なお、攪拌機としてスリーワンモーター、攪拌翼として半月板を用い、攪拌速度300rpm程度で撹拌を行った。
3Lの2口反応管に50%グリオキシル酸水溶液(グリオキシル酸101.8g 、1.37mol)203.2gを入れた後、5%酢酸銅水溶液(酢酸銅125g, 0.69mol)2500gを、室温、攪拌下で滴下し、滴下終了後2時間攪拌した。反応液を濾過して青色粉末を濾取した後、得られた粉末を50℃で4時間真空乾燥させることにより、グリオキシル酸銅の青色粉末73.7g(0.3mol、収率43.4%、純度100%)を得た。
なお、攪拌機としてスリーワンモーター、攪拌翼として半月板を用い、攪拌速度300rpm程度で撹拌を行った
1Lの2口反応管に水285g、酢酸亜鉛(75g、0.34mol)を加え、室温、攪拌下、20%酢酸亜鉛水溶液を調製した。この中に50%グリオキシル酸水溶液(グリオキシル酸50.1g 、0.68mol)100gを加えて、滴下終了後1時間攪拌した。さらにアセトン460gを加えて、滴下終了後6時間攪拌した。反応液を濾過して白色粉末を濾取した後、得られた粉末を50℃で3時間真空乾燥させることにより、グリオキシル酸亜鉛の白色粉末58.1g(0.24mol、収率69.0%、純度100%)を得た。
なお、攪拌機としてスリーワンモーター、攪拌翼として半月板を用い、攪拌速度300rpm程度で撹拌を行った。
本比較例では、酢酸カルシウム水溶液に代えて、飽和に近い水酸化カルシウム水溶液を用いた。具体的には、3Lの2口反応管に25%グリオキシル酸水溶液(グリオキシル酸10g、0.14mol)40gを入れた後、0.2%水酸化カルシウム水溶液(水酸化カルシウム5.01g, 0.07mol) 2501.7gを、室温、攪拌下、1.5時間かけて滴下し、滴下終了後2時間攪拌した。反応液を濾過して白色粉末を濾取した後、得られた粉末を50℃で3時間真空乾燥させることにより、グリオキシル酸カルシウムの白色粉末8.12g(0.04mol、収率57.1%、純度100%) を得た。
本比較例では、比較例1と同じ濃度の水酸化カルシウム水溶液を用い、反応液中の水性媒体(水)の量を実施例1と同じ量に設定した。具体的には、2Lの2口反応管に25%グリオキシル酸水溶液(グリオキシル酸162.1g、2.19mol)647gを入れた後、0.2%水酸化カルシウム水溶液(水酸化カルシウム1.73g、0.02mol)866gを、室温、攪拌下、1.5時間かけて滴下し、滴下終了後2時間攪拌したが、グリオキシル酸カルシウム粉末を含む白色溶液は得られなかった。
実施例2において、酢酸銅水溶液に代えて、飽和に近い水酸化銅水溶液を用いたとすると、25℃温度下において飽和水溶液1L中に含まれる無水水酸化銅の質量が0.0029gであるため(参照:化学便覧基礎編改訂3版,日本化学会編,丸善出版)、飽和水溶液中の水酸化銅の濃度は0.00029%である。仮に、飽和に近い水酸化銅水溶液を用いたとすると、原料のグリオキシル酸1モルとの反応に要する0.00029%水酸化銅水溶液の容量が膨大となり、実施例2の5%酢酸銅水溶液と比較して、0.00029%水酸化銅水溶液の量が約93倍となる。したがって、実施例2の反応管よりも巨大な反応管を使わなければならず、製造効率が低くなる。
本比較例では、比較例3と同じ濃度の水酸化銅水溶液を用い、反応液中の水性媒体(水)の量を実施例2と同じ量に設定した。本比較例では、反応液の量が実施例2と同じであるが、反応液中の水酸化銅のモル濃度が低いので(実施例2の酢酸銅のモル濃度の約0.01倍)、生成物であるグリオキシル酸銅の飽和濃度を越える程には生成物が得られなかった。
実施例3において、酢酸亜鉛水溶液に代えて、飽和に近い水酸化亜鉛水溶液を用いたとすると、25℃温度下において飽和水溶液1L中に含まれる無水水酸化亜鉛の質量が0.012gであるため(参照:化学便覧基礎編改訂3版,日本化学会編,丸善出版)、飽和水溶液中の水酸化亜鉛の濃度は0.0012%である。仮に、飽和に近い水酸化亜鉛水溶液を用いたとすると、原料のグリオキシル酸1モルとの反応に要する0.0012%水酸化亜鉛水溶液の容量が膨大となり、実施例3の20%酢酸亜鉛水溶液と比較して、0.0012%水酸化亜鉛水溶液の量が約78倍となる。したがって、実施例3の反応管よりも巨大な反応管を使わなければならず、製造効率が低くなる。
本比較例では、比較例5と同じ濃度の水酸化亜鉛水溶液を用い、反応液中の水性媒体(水)の量を実施例3と同じ量に設定した。本比較例では、反応液の量が実施例3と同じであるが、反応液中の水酸化亜鉛のモル濃度が低いので(実施例3の酢酸亜鉛のモル濃度の約0.01倍)、生成物であるグリオキシル酸亜鉛の飽和濃度を越える程には生成物が得られなかった。
したがって、本発明の製造方法を用いると、α−オキソカルボン酸の金属塩を製造効率良く、かつ高収率で得ることができる。すなわち、本発明のα−オキソカルボン酸の金属塩の製造方法は、工業的にとても有用な製造方法である。
Claims (6)
- α−オキソカルボン酸と酢酸金属塩とを水性媒体中で混合する工程を有することを特徴とするα−オキソカルボン酸の金属塩の製造方法。
- α−オキソカルボン酸がグリオキシル酸であることを特徴とする請求項1記載のα−オキソカルボン酸の金属塩の製造方法。
- 酢酸金属塩を構成する金属元素がアルカリ土類金属元素、第12族元素、又は遷移金属元素であることを特徴とする請求項1又は2記載のα−オキソカルボン酸の金属塩の製造方法。
- アルカリ土類金属元素がカルシウムあることを特徴とする請求項3記載のα−オキソカルボン酸の金属塩の製造方法。
- 第12族元素が亜鉛であることを特徴とする請求項3記載のα−オキソカルボン酸の金属塩の製造方法。
- 遷移金属元素が銅であることを特徴とする請求項3記載のα−オキソカルボン酸の金属塩の製造方法。
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