JP2010094890A - 樹脂被覆金属板用積層シ−ト、該積層シートの製造方法、および、意匠性積層シート被覆金属板、ユニットバス部材、建築内装材、および、鋼製家具部材 - Google Patents
樹脂被覆金属板用積層シ−ト、該積層シートの製造方法、および、意匠性積層シート被覆金属板、ユニットバス部材、建築内装材、および、鋼製家具部材 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】A層(10)、B層(20)、印刷柄E(50)、C層(30)およびD層(40)からなる樹脂被覆金属板用積層シート。A層:所定のPBT系樹脂および所定のポリエステル系樹脂からなる樹脂層、B層:所定のポリエステル系樹脂を主体としてなる樹脂層、C層:所定のポリエステル系樹脂を主体としてなる樹脂層、D層:所定のPBT系樹脂を含有してなる樹脂層、A層とB層とを共押出し製膜法により積層すると同時に、キャスティングロールとしてエンボスロールを用いることにより形成された柄意匠をA層側表面に備えている。
【選択図】図1
Description
(1)エンボスが付与される層の樹脂組成として、結晶性を有するポリエステル系樹脂を用い、エンボス付与と同時に結晶化させることで、結晶融点に至る温度までシートの弾性率が保持されることを利用する。
(2)エンボスが付与される層の樹脂組成として、ガラス転移温度が高いポリエステル系樹脂を用いることで、金属板へのラミネートの際にエンボスが付与されているシート表面近傍の温度が上昇しても、樹脂組成のガラス転移温度がそれを越えないようにする。
(3)熱硬化性の塗膜層等をシート表面のエンボスが付与された面に設けることで、エンボスを物理的に固定してしまう。
(4)シートの厚みを厚くすることで、ラミネート時に加熱された金属板からの熱伝達によるシート表面の温度上昇を低く抑える。
なお、特許文献6の実施例においては、押出し製膜設備とは別ラインであるエンボス加工装置によりシート表面温度を160℃としてエンボス付与を実施しているが、該温度はホモPBT樹脂の融点225℃に比べて相当に低く、PBT層自体は熔融していないことになる。
第1の本発明は、表面側から順に、以下のA層(10)、B層(20)、C層(30)、D層(40)の少なくとも4層と、印刷柄E(50)からなる積層シートであって、
A層(10)が、A層における樹脂成分全体の質量を基準(100質量%)として、70質量%以上95質量%以下の融点が210℃以上230℃以下のポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、および、5質量%以上30質量%以下のガラス転移温度が70℃以上であるポリエステル系樹脂からなり、厚み5μm以上100μm以下の無配向で実質的に透明な樹脂層であり、
B層(20)が、ガラス転移温度が70℃以上である実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体としてなる無配向で実質的に透明な樹脂層であり、
C層(30)が、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体としてなり、着色剤が添加された厚み200μm以下の無配向の樹脂層であり、
D層(40)が、D層における樹脂成分全体の質量を基準として、融点(Tm)が210℃以上230℃以下のポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂を70質量%以上100質量%以下含有してなる厚み5μm以上の無配向の樹脂層であり、
印刷柄E(50)がB層(20)とC層(30)との間に介在し、
A層(10)側表面に、エンボス転写による柄意匠を備えてなり、該柄意匠が、A層(10)とB層(20)とを共押出し製膜法により積層すると同時に、キャスティングロールとして柄意匠の凹凸彫刻が施されたエンボスロールを用いることにより形成されたものであり、
総厚みが80μm以上300μm以下である樹脂被覆金属板用積層シート(100)である。
A層(10)とB層(20)とを共押出し製膜法により積層すると同時に、キャスティングロールとして柄意匠の凹凸彫刻が施されたエンボスロールを用いることにより、A層(10)側表面に柄意匠のエンボスを付与する第1工程、及び、
別途共押出し製膜法により積層したC層(30)およびD層(40)からなる共押出シートのC層(30)側表面に印刷柄E(50)を付与したものと、形成したA層(10)とB層(20)からなる共押出シートとを、B層(20)側表面と印刷柄E(50)を付与したC層(30)側表面を積層面として熱融着する第2工程、
を備えてなる、樹脂被覆金属板用積層シート(100)の製造方法である。
第3の本発明の製造方法は、簡略な工程で意匠感の良好な樹脂被覆金属板用積層シートが得られることから、生産効率の向上、コスト削減が図られる。
なお、本発明の積層「シート」は、厚みが80μm〜300μmの範囲をとることから、「フィルムおよびシート」と記すのがより正しいが、本明細書では一般的には「フィルム」と呼称する範囲に関しても便宜上「シート」という単一呼称を用いた。
本発明の樹脂被覆金属板用積層シート100は、図1(c)に示すように、表面側から順に、A層10、B層20、C層30、D層40の少なくとも4層を備え、かつ、B層20とC層30との間に印刷柄E50を備えて構成される。以下に、各層について説明する。
A層10は、押出し機により溶融軟化状態としたA層10の組成物をTダイから流下させ、キャスティングロール(引き取りロール)と接触させて冷却固化させ、その後、巻取り工程等に導く一般的な押出し製膜法により製膜される層である。本発明においては、キャスティングロールとして、各種柄意匠の凹凸彫刻が施されたエンボスロールを用いることで、A層10の、B層20と積層される側とは反対側の表面に各種のエンボス意匠が付与される。A層10は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂およびポリエステル系樹脂を含有してなる。
A層10表面に付与されるエンボスは、後工程での加熱の際にエンボス戻りを生じてはならず、そのために本発明においては、A層10の樹脂組成として、A層10における樹脂成分全体の質量を基準(100質量%)として、融点が210℃以上230℃以下であるPBT系樹脂を70質量%以上95質量%以下含有してなる。A層10は、PBT系樹脂の結晶化によって、その表面に付与されたエンボスの意匠感を確保・維持する層であると言える。
エンボス耐熱性確保の点からは、A層10におけるPBT系樹脂の配合量は、A層の樹脂成分の全量を基準(100質量%)として、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましい。一方、キャスティングロールからの剥離の安定性確保や過度な反りの防止の点からは、PBT系樹脂は90質量%以下であることがより好ましい。
A層10のPBT系樹脂以外の樹脂成分である、ガラス転移温度が70℃以上のポリエステル系樹脂成分としては、後述のB層20の主体として用いるガラス転移温度が70℃以上である実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂と同一のものを用いることができる。A層10のPBT系樹脂以外の樹脂成分は、その添加量が限定的であるため、B層20の場合と異なり、結晶性を有するポリエステル系樹脂でも問題なく使用できる場合があるが、ホモPET等の結晶性の高い樹脂を用いた場合は、経時的にPET系樹脂の結晶化が進行し、その結晶相の加工性がPBT系樹脂の結晶相の加工性より劣ることから、A層10の加工性が劣化し、結果的に積層シートを被覆した金属板の加工性が経時的に低下する虞がある。無論、上記のような加工性低下が問題とならないような軽度な二次加工のみが施される用途では、ガラス転移温度が70℃以上である結晶性を有するポリエステル系樹脂を用いても良い。
A層10には、その結晶化速度を速めるために、結晶核剤を添加しても良く、ソルビトール系や燐酸エステル系などの有機核剤や、微細シリカ粒子等の無機核剤等各種の市販核剤を適宜な量添加しても良い。一般的な添加量としては、A層の樹脂成分の全量を基準(100質量部)として、0.1質量部以上2質量部以下程度の範囲である。
B層20に求められる機能は、別途製膜されるC層30、あるいは、印刷柄E50を付与したC層30表面との熱融着性を良好なものとすることである。加えて、ガラス転移温度が70℃以上である実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体として用いて、A層10の樹脂組成物より相対的にガラス転移温度の高い樹脂層とすることにより、製膜ラインのキャスティングロール以降の工程に熱処理ロールを設置してA層10の結晶化を促進する場合等、B層20側を熱処理ロールとの接触面とすることで、より高温の熱処理ロールを用いることができる。これにより、より確実にA層10の結晶化によるエンボスの固定を達成することができる。
そのため、B層20を構成する樹脂成分は、60℃程度に加熱された結晶化促進のための熱処理ロールに粘着するものであってはならず、かつ、A層10の樹脂組成物の融点より低い、190℃程度までの加熱で熔融軟化し、熱融着性を発現するものである必要がある。
B層20における樹脂成分全体の質量(100質量%)を基準として、B層20には、15質量%以上の融点(Tm)が210℃以上230℃以下のPBT系樹脂が配合されていることが好ましい。B層20におけるPBT系樹脂の配合割合は、下限がより好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、上限がより好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。PBT系樹脂を配合することにより、沸騰水浸漬試験時等の高温の水と接触した場合の意匠性積層シート被覆金属板200の樹脂層の形状保持性をより良好にすることができる。よって、特に、ユニットバス用途等に本発明の積層シートを被覆した金属板が供される場合等に、このような配合が好適に採用される。
B層20にも、A層10に用いることができる各種添加剤を適宜な量添加しても良い。また、B層20に関しても着色顔料や染料類の添加は任意であるが、A層10の場合と同様に内層や印刷柄E50の視認性が低下するほど視覚的隠蔽効果を高くしないことが好ましい。
共押出し法で製膜されるA層10とB層20が積層されたシートの厚みとしては、下限が好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上であり、上限が好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みがこれより薄い場合は、シートとしての取り扱い性に問題を生じる虞があり、また、厚みをこれより厚くしても、必要な機能は飽和すると同時に、後述するC層30とD層40との合計厚みに対する制約からこれらの層の機能発現不全をもたらす虞がある。
本発明のA層10の樹脂組成物は、そのガラス転移温度より低い温度に調整されたキャスティングロールにより熔融状態から冷却固化されたものであるため、該ロールを離れた時点では高い結晶性は有していない。しかし、融点が210℃以上であるPBT系樹脂を主成分として構成された層であるため、結晶化速度が速く、結晶化温度も低い層であるので、押出し製膜ラインのキャスティングロール以降の工程に簡易な結晶化処理工程を組み込むことで、オンラインで容易にエンボス戻りを生じずに結晶化によるエンボス耐熱の確保ができる。
C層30は、着色剤を添加することにより着色の意匠付与と、印刷柄E50の発色の改善、下地となる金属板60等の視覚的隠蔽機能を受け持つ層であり、かつ、B層20との熱融着性を良好なものとする機能を有する層でもある。従って、C層30を構成する樹脂成分は、190℃程度迄の加熱で柔軟性を発現するものである必要がある。従って、熱融着積層のための加熱時に急速に結晶化が進行し、190℃を越える融点を示すことがあってはならない。また、C層30の表面に印刷柄E50を付与する場合は、印刷工程での溶剤乾燥のための加熱によって急速に結晶化が進行し、190℃を越える融点を示すことがあってもならない。
C層30は着色剤を添加することが必須の層である。使用される顔料としては、上記目的のために樹脂着色用として一般的に用いられているもので良く、その添加量に関しても上記目的のために一般的に添加される量で良い。一例としては、白系の着色では隠蔽効果の高い酸化チタン顔料をベースとして、色味の調整を無機系および/または有機系の各種有彩色顔料で行うことができる。黒系の着色では、カーボンブラック等の黒色顔料をベースとして、上記酸化チタンなどの白色顔料により明度を適宜調整すると同時に、色味の調整を無機系および/または有機系の各種有彩色顔料で行うことができる。
D層40は、積層シートを加熱し、熱融着積層を行う際に、特に従来から軟質PVCにエンボスを付与するために用いられて来たエンボス加工装置を転用して熱融着積層を行う際に、加熱された金属ロールへの粘着防止層として機能し、更に、従来の軟質PVCと同様の温度まで加熱された積層シート100の張力低下を防ぎ、幅縮み、皺入り、熔融破断等を防ぐために設けられる。また、C層30の表面に印刷柄E50を付与する際は、印刷工程での溶剤乾燥のための加熱に際して、幅収縮の防止等、同様に機能する層である。
従って、D層40を構成する樹脂組成は、エンボス加工装置での190℃程度までの加熱で、これらの機能を喪失するものであってはならない。
また、従来の軟質PVCシートを金属板にラミネートする際の、金属板の加熱温度が235℃程度であったことから、上記融点範囲のPBT樹脂をD層40の樹脂組成として用いた場合は、エンボス加工装置で問題を生じないような結晶化した状態のD層40であっても、従来のラミネート温度を変更することなく金属板60へのラミネートが可能である。
一方、積層シートのA層10側の表面を加熱金属ロール側とすることで、上記粘着は回避出来るのであるが、A層10の表面には、押出しキャストエンボス法で付与されたエンボスによる凹凸があり、加熱金属ロールからの熱伝達効率が悪い。また、凹凸のあるシートを金属ロール側として熱融着積層を行うことは、積層界面への気泡の抱きこみや、温度分布の不均一による界面密着強度の不安定等の問題を生ずる虞があり、品質上からも好ましくない。
D層40にも、他の層と同様の各種添加剤を適宜な量添加しても良く、A層10と同様に結晶化速度の向上を目的に結晶核剤を添加しても良い。また、D層40が付与される目的の一つである加熱金属との非粘着性をより強固にするため、適宜な量の滑剤を添加しても良い。滑剤としては、ポリエステル樹脂への添加用として一般的に用いられるものを用いることができ、一例としては、モンタン酸系の滑剤である「リコワックスOP」(クラリアント・ジャパン社製)を挙げることができる。滑剤の添加量は、D層40の全樹脂量を基準(100質量部)として、0.2質量部〜3質量部の一般的な量で良い。
本発明の積層シート100においては、A層10およびB層20が実質的に透明な樹脂層であり、着色層であるC層30の色味の意匠を透明層を通して視認できる意匠を有すると同時に、B層20とC層30との間に印刷柄E50を有することで、印刷意匠を併せ持つものである。印刷柄E50は、グラビア印刷、オフセット印刷、平版スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、インクジェットプリンターによる印刷等の公知の方法で施される。絵柄は任意であり、例えば、石目調、木目調等の天然材を模した柄、或いは、幾何学模様、抽象模様等を挙げることができる。印刷は部分印刷でも全面印刷でも良く、部分印刷と全面印刷の両方が施されていても良い。該印刷インクのバインダー樹脂として、熱融着性を有するものを適宜選択したり、あるいは、印刷ラインで熱融着性のコーティング層を同時に塗工したりすることにより、印刷柄E50が全面印刷である場合でも、B層20と、印刷柄E50を付与したC層30との熱融着適性を確保できる。
積層シート100全体(A層10+B層20+印刷柄E50+C層30+D層40)での好ましい厚みは、80μm以上300μm以下の範囲である。積層シートの総厚みが薄すぎる場合は、下地の視覚的隠蔽確保のために、主にC層30に多量の顔料を添加する必要があり、その結果加工性の低下を来す虞がある。また、総厚みが薄過ぎる場合には、A層10の表面に付与可能なエンボス意匠も凹凸の浅いものに限定され、十分な意匠感を得ることが難しくなる。一方、積層シートの厚みが厚すぎる場合は、軟質PVC樹脂被覆金属板の折り曲げ加工などの成形加工に従来から用いて来た成形金型の使用が困難になるなど、2次加工性に問題を生じる虞がある。
ただし、A層10とB層20からなるシートと、C層30とD層40からなるシートとの積層一体化は必ずしもエンボス加工装置での熱融着積層によらないで、他の設備や他工程で熱融着積層を行っても良く、また、ドライラミ接着剤による積層や、紫外線硬化型接着剤を塗工・硬化させる等、接着剤を別途付与することによる積層としても良い。
本発明の積層シートのD層40側を接着剤を用いて金属板60にラミネートすることにより、意匠性積層シート被覆金属板200が得られる。
本発明に用いる金属板60としては、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、スズメッキ鋼板、アルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム・マグネシウム・亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板等の各種鋼板やアルミニウム板、アルミニウム系合金板、アルミニウム合金系クラッド板、チタン系合金板、ハステロイ等ニッケル系合金板、マグネシウム系合金板等が使用でき、これらは通常の化成処理を施した後に使用しても良い。金属板60の厚さは、意匠性積層シート被覆金属板200の用途等により異なるが、0.1mm〜10mmの範囲で選ぶことができ、内装建材用途等では通常0.25mm〜1.6mm程度の厚みのものが用いられる。
(A層+B層の共押出シートの作製)
実施例1〜25、および比較例1〜14に用いるA層とB層の共押出シートは、シリンダー直径φ65mmの2箇所にベント装置を有する2台の同方向二軸混練押出機(JSW社製の「TEX−65」)を使用して、フィードブロック方式の共押出しによって、Tダイより流出した樹脂をキャスティングロール(引き取りロール)で引き取る一般的方法により得た。押出し機のシリンダー設定温度は、フィード側200℃、口金側250℃で、両押出し機について同様である。Tダイの設定温度は250℃を基準とし、厚み分布等製膜の状況に応じて適宜幅方向の温度設定の微調整を行った。各種接続導管やフィードブロック部の設定温度も250℃である。なお、A層として、表1中のa−19、及びa−20を用いたシートのみ、原料の融点が高いため、Tダイや、フィードブロック部の温度設定を265℃を基準とし、A層側押出し機の口金側温度設定や、接続導管類も265℃とした。
B層の樹脂組成物のガラス転移温度の測定値、及び推定値を同様に表2に示した。
C層とD層の共押出シートに関しても、A層とB層の共押出シートの場合と同様に共押出し製膜を行った。使用した押出し機や温度設定はA層とB層の場合と同一であるが、キャスティングロールには、表面に中心線平均粗さ(Ra)が1μm、最大高さ(Ry)が6μmの梨地の凹凸を付与する為のエンボスが彫刻されたロールを用いており、本エンボスはエンボス意匠を付与する目的のものではなく、印刷柄Eを付与する際の印刷インクの定着性を良好にするため、および、シートに滑り性を与え、巻き重ね性を良好にするためのものである。なお、C層を形成する側がキャスティングロール側となるように押し出されており、該ロールは、20℃の水を循環させることにより温度調整されており、該温度はC層の樹脂組成の変化に応じて微調整を行っている。D層を形成する側には、シリコーンゴム製のタッチロールが当接されるようにしている。
また、D層はイースターPETG・6763が10質量%、ノバデュラン5020Hが90質量%から成っており、顔料成分を有しない厚み10μmの層である。
(イースターPETG・6763(イースター6763))
イーストマン・ケミカル・カンパニー社製の非結晶性ポリエステル樹脂である。ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、ジオール成分の約30mol.%が1,4−シクロヘキサンジメタノール、約70mol.%がエチレングリコールである。融点は観察されず、ガラス転移温度は78℃である。
イーストマン・ケミカル・カンパニー社製の実質的に非結晶性ポリエステル樹脂として扱うことが可能なポリエステル樹脂である。ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、ジオール成分の約65mol.%が1,4−シクロヘキサンジメタノール、約35mol.%がエチレングリコールである。融点は観察されず、ガラス転移温度は86℃である。
ベルポリエステルプロダクツ社製の実質的に非晶性のポリエステルエラストマーである。ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、ジオール成分の約26モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール、約68モル%がエチレングリコール、約6モル%が数平均分子量約1000のポリテトラメチレングリコールである。測定されたガラス転移温度は19℃で、融点は観察されなかった。
三菱エンジニアリングプラスチックス社製の(ホモ)ポリブチレンテレフタレート樹脂である。融点は225℃である。結晶化した状態の原料ペレットでは明確なガラス転移温度が確認出来なかった。結晶性が高く、非晶領域の体積が少ない為と思われる。
ウィンテックポリマー社製のイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂である。融点は204℃である。
三菱化学社製のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である。融点は247℃であり、ガラス転移温度は76℃である。
日本ユニペット社製の(ホモ)ポリエチレンテレフタレート樹脂である。融点は253℃である。各原料のガラス転移温度、または融点は以下の方法により測定している。
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計「DSC−7」を用いて、試料10mgをJIS K−7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準じて、加熱速度を10℃/分で−40℃から250℃まで昇温し、250℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温、同温度で1分間保持した後、再度10℃/分で昇温した際のサーモグラムからガラス転移温度(Tg)を求めた。尚、BK−2180のみ、同様の昇温速度で−40℃から270℃迄昇温し、270℃で1分間保持した後、同様に測定している。各原料のペレットをそのまま試料として用いている。
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計「DSC−7」を用いて、試料10mgをJIS K−7121「プラスチックの転移温度測定方法・融解温度の求め方」に準じて、加熱速度を10℃/分で−40℃から250℃まで昇温し、250℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温、同温度で1分間保持した後、再度10℃/分で昇温した際のサーモグラムから融点(Tm)を求めた。尚、BK−2180のみ、同様の昇温速度で−40℃から270℃迄昇温し、270℃で1分間保持した後、同様に測定している。各原料のペレットをそのまま試料として用いている。
図2に示すような軟質PVCシートへのエンボス付与に一般的に使用されているエンボス加工装置を用いて、A層とB層からなる共押出しシートと、C層側表面に印刷柄Eを付与したC層とD層から成る共押出しシートとの熱融着による積層を行った。ただし、図2中のエンボスロール350に替えて、金属製鏡面ロールを装着している。
加熱ロール310は120℃に設定されており、該加熱ロールへのシートの導入部でシリコーンゴム製のタッチロールで押圧することにより上記2種のシートを重ね合わせ、加熱ロールの熱により仮密着状態としている。引き続き、積層一体化された状態のシートは、赤外線ヒーター330で、エンボスロール350と接する直前の表面温度が170℃になるように加熱され、直径200mmのエンボスロール350と硬質シリコーン製のバックロールの間で押圧することにより十分な密着強度を確保する。引き続き一体化されたシートは冷却ロールへと導かれ、シートが冷却されることにより熱融着積層の一連の作業が完結する。
エンボスロール350は、温水循環機により90℃に温度調整されており、冷却ロールは同様に40℃に温度調整されている。
市販されている軟質PVC被覆金属板用の加熱硬化型ポリエステル系接着剤を、積層シートを貼り合わせる金属面に乾燥後の接着剤膜厚が1μm〜3μmの範囲になるよう塗布した。次いで赤外線ヒーターおよび熱風加熱炉に、該金属板を導入し塗布面の溶剤乾燥、および加熱を行い、金属板の表面温度が235℃となるように保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて積層シートのD層側表面を接着積層面として被覆した。その後、直ちに水噴射による冷却を行い、意匠性積層シート被覆金属板を得た。金属板としては、厚み0.45mmの電気亜鉛メッキ鋼板を用いた。
上記の実施例および比較例で得た、樹脂被覆金属板用積層シートおよび意匠性積層シート被覆金属板について、以下の各項目を評価した。結果を表4に示す。
Tダイよりキャスティングロールに流下させ、冷却固定されたA層10とB層20の積層樹脂がキャスティングロールより剥離され後工程へと導かれる状態を目視で観察した。シートが全くロールへの粘着なく良好な剥離状態を示す場合を「○」、やや粘着気味であるが問題なく生産が可能である場合を「△」、粘着が著しく安定した生産が困難と判断された場合を「×」とした。評価結果は表4中に記載した。尚、A層とB層の共押出しシートのキャスティングロールへの粘着が著しかったものに関しては、以降の評価を実施していない。
押出製膜ラインのキャスティングロールの後工程に設置した熱処理ロールに、A層10とB層20の積層樹脂を巻き付かせた後、熱処理ロールより剥離され後工程へと導かれる状態を目視で観察した。シートが全くロールへの粘着なく良好な剥離状態を示す場合を「○」、やや粘着気味であるが問題なく生産が可能である場合を「△」、粘着が著しく安定した生産が困難と判断された場合を「×」とした。評価結果は表4中に記載した。尚、A層とB層の共押出しシートの熱処理ロールへの粘着が著しかったものに関しては、以降の評価を実施していない。
A層+B層共押出シートを15cm(TD方向)×30cm(MD方向)に切り出して、定盤の上に置き、反りの程度を観察した。反りが強く完全に円筒状になってしまう場合や、定盤面から10cm以上の高さのアーチ状になる場合を取り扱い性が悪いとして「×」、10cm未満であるが5cm以上の反りが出る場合を「△」、それ未満の反りの場合、取り扱い性は良いとして「○」とした。なお、「TD方向」とは、シートの幅方向(Transverse direction)をいい、MD方向に直交する方向をいう。評価結果は表4中に記載した。尚、A層+B層一体シートの反りが著しく、後工程での取り扱いに支障を生じたものに関しては、以降の評価を実施していない。
A層とB層の共押出シートのA層側表面に付与されたエンボス凹凸を表面粗さ計(小坂研究所製、「サーフコーダ」SE−40D)で測定し、最大高さRy1(μm)を求めた。一方、エンボス版ロール(キャスティングロール)の最大高さをRy0(μm)とし、(エンボス転写率:Ry1/Ry0×100(%))を算出した。転写率が80%以上である場合を「○」、転写率が80%未満であるが、視覚的には良好なエンボス意匠が付与されている場合を「△」、転写率が80%未満であり、視覚的にもあきらかにエンボスの意匠感が劣っている場合を「×」で示した。評価結果は表4中に記載した。
図2に示すエンボス加工装置を利用してA層とB層から成る共押出シートと、印刷柄を付与したC層とD層から成る共押出シートとの熱融着積層を行う際に、加熱ロール310に積層シートが粘着して剥離困難になったもの、及び剥離は可能であったがシートの伸び・変形が顕著であったものは「×」、軽度の粘着を示したが作業の継続が可能であり、シートの伸び・変形も実用上支障の無い範囲であったものを「△」、粘着しなかったものは「○」で示した。また、加熱ロールに積層シートが粘着し剥離困難となったものに関しては、以降の評価を実施していない。評価結果は表4中に記載した。
図2に示すエンボス加工装置での熱融着積層を行う際に、ヒーター330によるシート加熱中にシートが溶断したもの、及びシートの顕著な伸びや皺入り等を発生したものは「×」、軽度なシートの伸び・幅縮み等を生じたが実用上支障のない範囲であったものを「△」、これらの問題を生じなかったものは「○」で示した。この評価で「×」となったものに関しては、以降の評価を実施していない。評価結果は表4中に記載した。
上記により熱融着積層を完了した樹脂被覆金属板用積層シートの表面から目視による観察を行い、A層とB層の共押出シートと、印刷柄Eを有するC層とD層の共押出シートの積層界面に熱融着積層時に多数の気泡を抱き込んでおり、それに起因して著しい意匠感の低下を来たしている場合を「×」、やや気泡を抱き込んでいるが意匠感に特に支障が無い場合を「△」、気泡の抱きこみが見られない場合を「○」として評価した。評価結果は表4中に記載した。
20mm×100mmの意匠性積層シート被覆金属板を試験片として、「JIS Z−0237・粘着テープ、粘着シート試験方法−試験片に対する180度引き剥がし粘着力」に準拠した剥離強度測定を測定幅20mmで行い、印刷柄Eを介在したB層20とC層30との間の熱融着界面密着強度を評価した。接着力が10N/20mm以上で、十分な接着力があると判断されたものを「○」、接着力が5N/20mmより大きく10N/20mm未満で、相対的に接着力が低いが実用上は支障ないと判断されたものを「△」、接着力が5N/20mm以下で接着力が不十分と判断されたものを「×」として評価した。
エンボス加工装置を用いて熱融着積層による一体化が完了した積層シート(A+B+E+C+D)のA層側表面に付与されたエンボス凹凸を表面粗さ計(小坂研究所製、「サーフコーダ」SE−40D)で測定しておき、該積層シートを金属板にラミネートした後に再度粗さ測定を実施し、ラミネートする前の最大高さをRy1(μm)、ラミネート後のそれをRy2(μm)としてエンボスの残存率を求めた(残存率:Ry2/Ry1×100(%))。残存率が80%以上である場合を「○」、残存率が80%未満であるが、視覚的には顕著な異常として認められない場合を「△」、残存率が80%未満であり、視覚的にもあきらかにエンボスの意匠感が低下している場合を「×」で示した。評価結果は表4中に記載した。
積層シート(A+B+E+C+D)を金属板にラミネートした意匠性積層シート被覆金属板を100mm×100mmの大きさに切断し、沸騰水中に3時間浸漬した。取り出し乾燥後、A層側表面に付与されたエンボス凹凸を、表面粗さ計(小坂研究所製、「サーフコーダ」SE−40D)で測定し、前記評価項目(9)で測定したラミネート後の最大高さをRy2(μm)を基にして、沸騰水浸漬後のエンボスの残存率を求めた。(沸騰水浸漬後の最大高さの測定値をRy3(μm)として、残存率:Ry3/Ry2×100(%))。
残存率が80%以上であり、且つ、エンボス戻り以外の沸騰水浸漬に起因する樹脂層の軟化・流動に起因する変形なども認められない場合を「○」、残存率が80%未満であるが、視覚的には顕著な異常として認められない場合、及び、残存率が80%以上であるが、沸騰水浸漬に起因する樹脂層の軟化・流動に起因する変形が僅かに認められる場合を「△」、残存率が80%未満であり、視覚的にもあきらかにエンボスの意匠感が低下している場合、及び、残存率に関わらず、樹脂層の軟化・流動に起因する変形により著しく意匠性が低下している場合を「×」で示した。
作製した意匠性積層シート被覆金属板に衝撃密着曲げ試験を行い、曲げ加工部の積層シートの面状態を目視で判定し、ほとんど変化がないものを「○」、若干クラックが発生したものを「△」、割れが発生したものを「×」として評価した。なお、衝撃密着曲げ試験は次のようにして行った。意匠性積層シート被覆金属板の長さ方向および幅方向からそれぞれ50mm×150mmの試料を作製し、23℃で1時間以上保った後、折り曲げ試験機を用いて180°(内曲げ半径2mm)に折り曲げ、その試料に直径75mm、質量5Kgの円柱形の錘を50cmの高さから落下させた。評価結果は表4中に記載した。
作製した意匠性積層シート被覆金属板について、JIS K5600−5−4:1999 引っかき硬度(鉛筆法)に従い実施した。23℃の恒温室内で、80mm×60mmに切り出した樹脂被覆金属板の樹脂シート面に対し45°の角度を保ちつつ9.8Nの荷重を掛けた状態で線引きをできる治具を使用して線引きを行い、該部分の樹脂シートの面状態を目視で判定し、Bの鉛筆で全く傷が付かなかったものを「○」、Bでは傷が入るが、2Bの鉛筆では全く傷が付かなかったものを「△」、2Bの鉛筆でも傷が付いたものを「×」として表示した。評価結果は表4中に記載した。
実施例26〜43および比較例15〜20では、A層とB層の樹脂組成と厚みの組み合わせは固定として、C層およびD層の樹脂組成、および、厚みを変化させた。A層およびB層の共押出シートに関しては、実施例18と同じもの(A層:表1中のa−7と、B層:表2中のb−6の組み合わせ)を用いた。上記した実施例1等におけるC層とD層の共押し出し製膜法と同様にして、C層とD層の共押出シートを得た。C層とD層の共押出シートのC層側表面への印刷柄Eの付与も実施例1等と同様に実施した。グラビア印刷機での印刷適性や溶剤乾燥のための熱風加熱炉での80℃程度までの加熱で、特に問題は発生しなかった。エンボス加工装置を用いた熱融着積層一体化に際する加熱、冷却の条件、及び、金属板へのラミネート方法、条件に関しても同様とした。
実施例1〜25の評価の中で、エンボス加工装置での熱融着積層時に気泡の抱きこみを発生し、その結果として沸騰水浸漬後の意匠感が著しく低下する結果となった、実施例8、および、実施例10と同一の積層シートの組み合わせを用いて、キャスティングロールのみを中心線平均粗さ(Ra)が7μm、最大高さ(Ry)が41μmの石目の柄を基調とした抽象柄の凹凸を付与するためのエンボスが彫刻された直径400mmの表面メッキ処理された金属ロールに交換し、他の条件は同一として、A層とB層の共押出シートを製膜した。これを実施例1等と同一のC層とD層の共押出シートとエンボス加工装置を用いて熱融着積層し、更に金属板にラミネートすることで意匠性積層シート被覆金属板とした。熱融着積層の条件や、金属板へのラミネート条件に関しても、実施例1等と同様とした。
<実施例1〜25、比較例1〜14>
A層が無い構成である比較例13においては、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂から成るB層の表面に、押出キャストエンボス法によりエンボスを転写することとなる。製膜時のキャスティングロールによるエンボスの転写自体には問題がなく、良好なエンボス転写率を有するB層のシートが得られている。更に、エンボス加工装置での、C層とD層の共押出シートとの熱融着積層にも問題を生ずることは無かったが、同エンボス加工装置での加熱、及び、金属板へのラミネートの際の加熱によって著しいエンボス戻りを生じ、ラミネート後の意匠感は低下を来たした。
B層が無い構成である比較例14についても、エンボスの転写自体に問題は生じなかったが、60℃の水を循環させる事により温度調整された熱処理ロールに粘着を発生し、引き剥がし困難となってしまった。
これは、A層の結晶性ポリエステル系樹脂として、ホモPET樹脂を用いた比較例6、及び7についても同様である。
比較例11は、B層の樹脂組成物にPBT樹脂は配合されておらず、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂のみからなる場合であるが、そのガラス転移温度が60℃より低いものであるため、結晶化ロールへの粘着を生じ、製膜作業が困難となった。これは比較例12に関しても同様である。
実施例7は、A層のガラス転移温度が70℃以上であるポリエステル系樹脂の配合量が少ない場合であり、引取りロールに僅かな粘着の傾向を示したが、押出製膜が困難となるほどではなかった。また、A層とB層の共押出シートには反りも発生しているが、後工程の作業が困難となるほどのものではなかった。PBT樹脂の配合割合が高いことにより、ラミネート後のエンボス残存率は良好な結果が得られている。
実施例24は、A層に配合するガラス転移温度が70℃以上であるポリエステル系樹脂として、非晶性のものではなく、結晶性の共重合PET樹脂を用いた場合であるが、ラミネート後のエンボス残存率としては、実施例2と変わらない結果となっている。また、加工性試験に関しても悪い結果にはならなかった。
比較例20は、D層が無いC層のみの単層シートを用いた場合であるが、エンボス加工装置の加熱ドラムにC層が粘着してしまい、熱融着積層を実施することができなかった。
比較例19は、D層が存在する構成であるが、D層の樹脂成分として、ホモPET樹脂のみを用いた場合であり、やはりエンボス加工装置の加熱ドラムへの粘着を生じ、熱融着積層を実施することができなかった。PET系樹脂は結晶化速度が遅いことにより、D層が非晶の状態のまま加熱ドラムと接触することになったためと考えられる。
比較例18は、D層の厚みが薄過ぎる場合であり、フィードブロック法式の共押出し法ではD層の樹脂組成物がC層+D層の一体シートの端部まで十分に展開しなかったようであり、積層シートの端部において加熱ドラムへの粘着を生じた。また、D層が加熱時の張力保持層として機能するには薄過ぎることにより、シートに著しい伸びと、それに伴う皺入りが発生し、以降の作業を実施することができなかった。
また、比較例15はC層の厚みを厚くした事により、積層シート(A+B+C+D)の総厚みが本発明の範囲を超えて過剰に厚くなった場合であり、金属板にラミネートし加工性試験に供した場合、加工性不良となっている。
エンボス加工装置での熱融着積層時に気泡の抱きこみを発生し、その結果として沸騰水浸漬後の意匠感が著しく低下する結果となった、実施例8、及び実施例10と同一の積層シートの組み合わせを用いて、キャスティングロールのエンボス版深(最大高さ・Ry値)を浅くした場合、熱融着積層時の著しい気泡の抱きこみは観察されず、結果として沸騰水浸漬試験に於いても意匠感が低下する事はなくなった。エンボス意匠の良好な転写と、裏シボの発生による意匠感の低下を防止するという点からは、A層とB層の共押出シートの厚みは、エンボスロールの版深さ(最大高さ・Ry値)の1.2倍〜2倍程度であることが好ましいことがわかった。
20 B層
30 C層
40 D層
50 印刷柄E
60 金属板
70 接着剤層
10+20 A層およびB層の共押出シート
50+30+40 C層およびD層の共押出しシートのC層側表面に印刷柄50を付与したもの
100 樹脂被覆金属板用積層シート
200 意匠性積層シート被覆金属板
300 エンボス加工装置の機能を示す略図
310 加熱ロール
320 テイクオフロール
330 赤外線ヒーター
340 ニップロール
350 エンボスロール
360 冷却ロール
Claims (12)
- 表面側から順に、以下のA層、B層、C層、D層の少なくとも4層と、印刷柄Eからなる積層シートであって、
前記A層が、A層における樹脂成分全体の質量を基準として、70質量%以上95質量%以下の融点が210℃以上230℃以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂、および、5質量%以上30質量%以下のガラス転移温度が70℃以上であるポリエステル系樹脂からなり、厚み5μm以上100μm以下の無配向で実質的に透明な樹脂層であり、
前記B層が、ガラス転移温度が70℃以上である実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体としてなる無配向で実質的に透明な樹脂層であり、
前記C層が、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体としてなり、着色剤が添加された厚み200μm以下の無配向の樹脂層であり、
前記D層が、D層における樹脂成分全体の質量を基準として、融点が210℃以上230℃以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂を70質量%以上100質量%以下含有してなる厚み5μm以上の無配向の樹脂層であり、
前記印刷柄Eが前記B層と前記C層との間に介在し、
前記A層側表面に、エンボス転写による柄意匠を備えてなり、該柄意匠が、前記A層と前記B層とを共押出し製膜法により積層すると同時に、キャスティングロールとして柄意匠の凹凸彫刻が施されたエンボスロールを用いることにより形成されたものであり、
総厚みが80μm以上300μm以下である樹脂被覆金属板用積層シート。 - 前記C層と前記D層とが、共押し出し製膜法により積層一体化された状態で製膜されたものである、請求項1に記載の樹脂被覆金属板用積層シート。
- 前記A層と前記B層との共押し出し一体シートと、前記C層と前記D層との共押し出し一体シートのC層側表面に印刷柄Eを付与したものとを、B層側表面と印刷柄Eを付与したC層側表面とを積層面として、熱融着積層により一体化したものである、請求項2に記載の樹脂被覆金属板用積層シート。
- 前記A層のガラス転移温度が70℃以上であるポリエステル系樹脂、前記B層のガラス転移温度が70℃以上である実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂、前記C層の実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂が、テレフタル酸またはジメチルテレフタル酸をジカルボン酸成分の主体とし、20モル%以上80モル%以下の1,4−シクロヘキサンジメタノールと、20モル%以上80モル%以下のエチレングリコールとをジオール成分の主体とする共重合ポリエステルである、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂被覆金属板用積層シート。
- 前記B層における樹脂成分全体の質量を基準として、前記B層に15質量%以上の融点が210℃以上230℃以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂が配合されており、且つ、B層の樹脂組成物のガラス転移温度が60℃以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂被覆金属板用積層シート。
- 前記C層における樹脂成分全体の質量を基準として、前記C層に15質量%以上45質量%以下の融点が210℃以上230℃以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂が配合されている、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂被覆金属板用積層シート。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂被覆金属板用積層シートおよび金属板を備え、該樹脂被覆金属板用積層シートのD層側の表面が該金属板に積層されている、意匠性積層シート被覆金属板。
- 請求項7に記載の意匠性積層シート被覆金属板を用いた、ユニットバス部材。
- 請求項7に記載の意匠性積層シート被覆金属板を用いた、建築内装材。
- 請求項7に記載の意匠性積層シート被覆金属板を用いた、鋼製家具部材。
- 請求項3に記載の樹脂被覆金属板用積層シートの製造方法であって、
前記A層と前記B層とを共押出し製膜法により積層すると同時に、キャスティングロールとして柄意匠の凹凸彫刻が施されたエンボスロールを用いることにより、前記A層側表面に柄意匠のエンボスを付与する第1工程、及び、
別途共押出し製膜法により積層した前記C層および前記D層からなる共押出シートのC層側表面に印刷柄Eを付与したものと、形成した前記A層と前記B層からなる共押出シートとを、前記B層側表面と印刷柄Eを付与した前記C層側表面とを積層面として熱融着する第2工程、
を備えてなる、樹脂被覆金属板用積層シートの製造方法。 - 前記第1工程において、キャスティングロールの表面温度をA層の樹脂組成物のガラス転移温度より低い温度に調整しておき、押出し製膜設備のキャスティングロール以降に、B層の樹脂組成物のガラス転移温度より低く、かつ、A層の樹脂組成物のガラス転移温度より高い表面温度に調整された熱処理ロールを設け、A層とB層からなる共押出シートのB層側の表面を該熱処理ロール表面に当接することにより、A層の結晶化を促進させる、請求項11に記載の樹脂被覆金属板用積層シートの製造方法。
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