JP2010093995A - モータ制御装置、モータ制御方法およびエアコンディショナ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータ制御装置21は、コンプレッサ2を所定の駆動条件で駆動する場合の負荷トルクの変動分に対応した基準負荷トルクデータ、この基準負荷トルクデータから複数種類の駆動条件における負荷トルクデータを求めるための変更パラメータなどに基づいて指令q軸電流補正値Iqcを演算し、その指令q軸電流補正値Iqcを電流制御部22の減算器29qに出力するq軸電流補正部28を備える。変更パラメータは、コンプレッサ2を複数の異なる駆動条件で駆動した場合における各回転角度毎の負荷トルクの変動分に対応した負荷トルクデータを基準負荷トルクデータで回転角度毎に除算することにより算出した各回転角度毎の比率を示す比率データとする。
【選択図】図1
Description
このような問題を解決するため、特許文献1には、モータをベクトル制御することで得られるq軸電流に、電流補正値として正弦波状の電流を加えることで負荷トルクの変動を補償する技術が開示されている。
図2は、エアコンディショナの冷凍サイクルの概略構成を示している。図2に示すように、エアコンディショナEのヒートポンプ1を構成するコンプレッサ2(負荷に相当)は、圧縮部3とモータ4とを同一の鉄製密閉容器5内に収容して構成され、モータ4のロータシャフトが圧縮部3に連結されている。コンプレッサ2、四方弁6、室内側熱交換器7、減圧装置8および室外側熱交換器9は、冷媒通路であるパイプにより閉ループを構成するように接続されている。なお、コンプレッサ2は、例えばロータリ型のコンプレッサであり、モータ4は、例えば三相IPM(Interior Permanent Magnet)モータである。
Ed=Vd−R・Id−Ld・p・Id+ωe・Lq・Iq …(1)
ここで、pは微分演算子である。回転位置推定部23において、この誘起電圧推定値Edに対するPID演算が実行されることにより、その結果が回転子の推定回転速度ωeとして出力される。この推定方法によれば、d軸方向の誘起電圧推定値Edはゼロに収束する。推定回転速度ωeが積分されることにより、その値が推定回転角度θeとして出力される。推定回転速度ωeは速度制御部24に与えられる。
q軸電流補正部28は、q軸電流Iq、推定回転速度ωe、補正推定回転角度θe’、後述する負荷トルクデータなどに基づいて負荷トルクの周期的な変動分に相当する指令q軸電流補正値Iqcを演算し、電流制御部22の減算器29qに出力する。これにより、モータ4のq軸電流Iqは、負荷トルクの周期的な変動に対応して変化する。
Idef=IT+IL−Iq …(1)
Iqc=Idef・X …(2)
なお、本実施形態では、トルク制御部53と指令q軸電流補正値演算部57とから補正手段58が構成されている。
図6は、トルク制御部53の制御内容を示すフローチャートである。図6に示すように、トルク制御部53は、トルク制御ステージA、トルク制御ステージBおよびトルク制御ステージCの各制御をこの順に実行する。トルク制御ステージAでは電流調整係数Xの演算を行い、トルク制御ステージBではトルク調整係数Yの演算を行い、トルク制御ステージCでは位相調整係数Zの演算を行う。ただし、各制御において、回転速度の変動幅ωwが所定のしきい値以下となった場合にはその時点で調整値(X、Y、Zの各値)を保持するとともに制御を終了する。また、各調整係数X、Y、Zは、トルク制御ステージA〜Cが実行される前に、初期値(X=0、Y=1.0、Z=0)に設定されている。
X=0.1・i …(3)
指令q軸電流補正値演算部57では、このステップS6において演算された電流調整係数Xを用いて、前述した(2)式に示した指令q軸電流補正値Iqcの演算が行われる。
Y=1.0+0.1・j …(4)
トルクデータ演算部55では、このステップT7において演算されたトルク調整係数Yを用いて負荷トルクデータの調整が行われる。
Y=1.0+0.1・(j−3) …(5)
トルクデータ演算部55では、このステップT10において演算されたトルク調整係数Yを用いて負荷トルクデータの調整が行われる。この後、この調整値を保持したままトルク制御ステージBを終了し(RETURN)、トルク制御ステージCに移行する。
複数種類の基準負荷トルクデータと、これら基準負荷トルクデータをそれぞれコンプレッサ2の駆動条件に応じて変更するための変更パラメータとを記憶部54に記憶させておき、このうちコンプレッサ2の駆動状態に最も近い種類のものをトルクデータ演算部55が読み出すようにしてもよい。このようにすれば、実運転時における負荷の様々な駆動条件を一層考慮したトルク変動補償を行うことが可能となる。
損失データ演算部56は、トルク変動補償の精度に問題がない場合には設けなくてもよい。その場合、記憶部54に損失データを記憶させておく必要はない。また、指令q軸電流補正値演算部57は、負荷トルクデータに基づく電流値ITとq軸電流Iqとの差電流Idefを演算すればよい。
トルク制御ステージAにおいて電流調整係数Xを順次増加させる際の増加値は、0.1に限らず適宜変更可能である。トルク制御ステージBにおいてトルク調整係数Yを順次増加させる際の増加値は、0.1に限らず適宜変更可能である。トルク制御ステージCにおいて位相調整係数Zを順次増加または減少させる際の増減値は、1に限らず適宜変更可能である。
トルク制御部53は、回転速度の変動幅ωwがしきい値以下になった後は各調整係数X〜Zの演算制御を停止するようにしたが、これに限らず、例えば、演算制御を停止した後、再び変動幅ωwがしきい値を越えた場合に上記演算制御を再開するようにしてもよい。また、モータ4の運転開始後、各調整係数X、Y、Zの演算制御を周期的に実行するようにしてもよい。
回転速度および回転角度の推定方法は、d軸方向の誘起電圧推定値Edをゼロに収束させる回転位置推定部23による推定方法に限られない。コンプレッサ2は、ロータリ型のものに限らず、例えばレシプロ型のコンプレッサであってもよい。本発明は、エアコンディショナEのコンプレッサ2のモータ4を制御する構成に限ることなく、例えば冷蔵庫のコンプレッサのモータを制御する構成に適用してもよい。つまり、本発明は、トルクが周期的に変動する負荷を駆動するモータを制御する構成であれば適用可能である。
Claims (17)
- トルクが周期的に変動する負荷を駆動するモータを制御するモータ制御装置であって、
前記モータの巻線に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記検出した電流に基づいて励磁成分電流であるd軸電流とトルク成分電流であるq軸電流とを求める電流演算手段と、
前記モータの回転速度が外部より与えられる指令回転速度に一致するように指令d軸電流および指令q軸電流を生成する速度制御手段と、
前記d軸電流および前記q軸電流がそれぞれ前記指令d軸電流および前記指令q軸電流に一致するように制御する電流制御手段と、
前記負荷を所定の条件で駆動した場合における各回転角度毎の前記負荷のトルクを示す基準負荷トルクデータと、当該基準負荷トルクデータを前記負荷の駆動条件に応じて変更するための変更パラメータとが記憶された記憶手段と、
前記モータの回転角度に応じて前記記憶手段から前記基準負荷トルクデータおよび変更パラメータを読み出し、当該基準負荷トルクデータから当該変更パラメータを用いて前記負荷の駆動条件に対応した負荷トルクデータを求めるトルクデータ演算手段と、
前記負荷トルクデータを前記モータのトルク定数で除算した電流と、前記電流演算手段により求められた前記q軸電流との差電流に基づいて指令q軸電流補正値を演算し、この指令q軸電流補正値により前記指令q軸電流を補正する補正手段とを備え、
前記変更パラメータは、前記負荷を前記所定の条件とは異なる条件で駆動した場合における各回転角度毎の前記負荷のトルクを示す負荷トルクデータを、前記基準負荷トルクデータで回転角度毎に除算することにより算出される各回転角度毎の比率を示す比率データであることを特徴とするモータ制御装置。 - 前記モータの回転速度の変動幅を求める速度変動演算手段を備え、
前記補正手段は、前記回転速度の変動幅が小さくなるように前記演算した指令q軸電流補正値を調整することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。 - 前記補正手段は、前記回転速度の変動幅が小さくなるように前記負荷トルクデータにおける負荷トルクの大きさを調整することを特徴とする請求項2記載のモータ制御装置。
- 前記補正手段は、
前記負荷トルクの大きさを次第に増加させるように調整動作を行い、
前記調整動作に伴い前記回転速度の変動幅が所定回数連続して増加傾向を示す場合には、この変動幅が増加傾向に転じる前の調整値に戻すとともに当該調整値を保持することを特徴とする請求項3記載のモータ制御装置。 - 前記補正手段は、前記回転速度の変動幅が小さくなるように前記負荷トルクデータにおける負荷トルクの位相を調整することを特徴とする請求項3または4記載のモータ制御装置。
- 前記補正手段は、
前記負荷トルクの位相を一方向に次第にずらすように第1の調整動作を行い、
前記第1の調整動作に伴い前記回転速度の変動幅が所定回数連続して増加傾向を示す場合には、前記負荷トルクの位相を他方向に次第にずらすように第2の調整動作を行い、
前記第2の調整動作に伴い前記回転速度の変動幅が所定回数連続して増加傾向を示す場合には、この変動幅が増加傾向に転じる前の調整値に戻すとともに当該調整値を保持することを特徴とする請求項5記載のモータ制御装置。 - 前記補正手段は、前記回転速度の変動幅が所定のしきい値以下になった場合には、その時点での調整値を保持することを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載のモータ制御装置。
- 前記記憶手段には、前記モータで生じる損失を示す損失データが記憶されており、
前記補正手段は、前記負荷トルクデータを前記モータのトルク定数で除算した電流に対し前記損失データを前記トルク定数で除算した電流を加えた電流と、前記q軸電流との差電流に基づいて前記指令q軸電流補正値を演算することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のモータ制御装置。 - 前記モータの回転角度を入力し補正した回転角度を出力する回転角度補正手段を備え、
前記トルクデータ演算手段は、前記補正された回転角度に応じて前記記憶手段から前記基準負荷トルクデータおよび前記変更パラメータを読み出すことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のモータ制御装置。 - 前記記憶手段には、複数種類の前記基準負荷トルクデータと、これら基準負荷トルクデータをそれぞれ前記負荷の駆動条件に応じて変更するための変更パラメータとが記憶されており、
前記トルクデータ演算手段は、前記記憶手段から前記負荷の駆動条件に最も近い種類の前記基準負荷トルクデータおよび前記変更パラメータを読み出すことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のモータ制御装置。 - コンプレッサ、室外側熱交換器、減圧装置および室内側熱交換器を冷媒通路により接続したヒートポンプを備え、
前記コンプレッサを駆動するモータは、請求項1ないし10のいずれかに記載のモータ制御装置により制御されることを特徴とするエアコンディショナ。 - トルクが周期的に変動する負荷を駆動するモータを制御するモータ制御方法であって、
前記モータの巻線に流れる電流を検出し、前記検出した電流に基づいて励磁電流成分であるd軸電流とトルク成分電流であるq軸電流とを求め、前記モータの回転速度が外部より与えられる指令回転速度に一致するように指令d軸電流および指令q軸電流を生成し、前記d軸電流および前記q軸電流がそれぞれ前記指令d軸電流および前記指令q軸電流に一致するように制御を行うものにおいて、
前記負荷を所定の条件で駆動した場合における各回転角度毎の前記負荷のトルクを示す基準負荷トルクデータと、前記負荷を前記所定の条件とは異なる条件で駆動した場合における各回転角度毎の前記負荷のトルクを示す負荷トルクデータとを求め、
前記負荷トルクデータを前記基準負荷トルクデータで除算することにより、各回転角度毎の比率を示す比率データを算出し、
前記負荷を駆動する際、
前記モータの回転角度に応じた前記基準負荷トルクデータから前記比率データを変更パラメータとして用いて前記負荷の駆動条件に対応した負荷トルクデータを求め、
前記負荷トルクデータを前記モータのトルク定数で除算した電流と前記q軸電流との差電流に基づいて指令q軸電流補正値を演算し、この指令q軸電流補正値により前記指令q軸電流を補正することを特徴とするモータ制御方法。 - 前記負荷を駆動する際、前記モータの回転速度の変動幅を求め、この回転速度の変動幅が小さくなるように、前記指令q軸電流補正値、前記負荷トルクデータにおける負荷トルクの大きさおよび位相のうち、少なくとも1つを調整することを特徴とする請求項12記載のモータ制御方法。
- 前記負荷トルクの大きさを次第に増加させるように調整動作を行う場合に前記回転速度の変動幅が所定回数連続して増加傾向を示すときには、この変動幅が増加傾向に転じる前の調整値に戻すとともに当該調整値を保持することを特徴とする請求項13記載のモータ制御方法。
- 前記負荷トルクの位相を一方向に次第にずらすように第1の調整動作を行う場合に前記回転速度の変動幅が所定回数連続して増加傾向を示すときには、前記負荷トルクの位相を他方向に次第にずらすように第2の調整動作を行い、この第2の調整動作に伴い前記回転速度の変動幅が所定回数連続して増加傾向を示すときには、この変動幅が増加傾向に転じる前の調整値に戻すとともに当該調整値を保持することを特徴とする請求項14記載のモータ制御方法。
- 前記負荷を駆動する際、前記回転速度の変動幅が所定のしきい値以下になった場合には、その時点での調整値を保持することを特徴とする請求項13ないし15のいずれかに記載のモータ制御方法。
- 前記モータで生じる損失を示す損失データを求め、
前記負荷を駆動する際、前記負荷トルクデータを前記モータのトルク定数で除算した電流に対し前記損失データを前記トルク定数で除算した電流を加えた電流と、前記q軸電流との差電流に基づいて前記指令q軸電流補正値を演算することを特徴とする請求項12ないし16のいずれかに記載のモータ制御方法。
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