JP2010092991A - ダイオード - Google Patents

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隆英 杉山
Yuusuke Yamashita
侑佑 山下
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Abstract

【課題】 逆回復特性に優れたダイオードを提供する。
【解決手段】 ダイオード1は、n型の不純物を高濃度に含むカソード領域20と、n型の不純物を低濃度に含み、且つ厚み方向に一定に含む高抵抗領域40と、p型の不純物を含むアノード領域50を備えている。高抵抗領域40は、アノード領域50との界面S1近傍に欠陥量のピークを持つ第1結晶欠陥領域D1と、厚み方向の中間位置M近傍に欠陥量のピークを持つ第2結晶欠陥領域D2を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、ダイオードに関する。本発明は特に、PINダイオードに関する。
PINダイオードは、n型の不純物を高濃度に含むカソード領域と、n型の不純物を低濃度で含み、且つ厚み方向に一定に含む高抵抗領域と、p型の不純物を含むアノード領域を備えている。カソード領域と高抵抗領域とアノード領域は、厚み方向に順に配置されている。
この種のダイオードでは、アノード領域とカソード領域の間(アノード・カソード間)に印加されている電圧が順方向から逆方向に反転すると、アノード領域と高抵抗領域の界面から空乏層が伸び、その空乏層によってアノード・カソード間に電流が流れるのを禁止する。アノード・カソード間に印加されている電圧が順方向から逆方向に反転した直後には、高抵抗領域に蓄積されていた正孔がアノード領域を介してアノード電極に排出され、高抵抗領域に蓄積されていた電子がカソード領域を介してカソード電極に排出される。これにより、反転した直後には、アノード電極とカソード電極の間を逆方向に電流が流れる(逆回復電流という)。蓄積されていたキャリア(電子と正孔)が排出されるのに応じて高抵抗領域を空乏層が伸びていく。
特許文献1のPINダイオードの高抵抗領域は、2つの結晶欠陥領域を備えていることを特徴としている。1つの結晶欠陥領域は、高抵抗領域とアノード領域との界面近傍に欠陥量のピークを持つ。他の1つの結晶欠陥領域は、高抵抗領域とカソード領域との界面近傍に欠陥量のピークを持つ。これら2つの結晶欠陥領域により、順方向電圧が印加されている間に高抵抗領域に蓄積されるキャリアの数を抑制し、逆回復電流が流れることに起因する電力損失を低減化している。また、後者の結晶欠陥領域は、正孔と電子の再結合を促進し、高抵抗領域とカソード領域の界面近傍に残留するキャリアを迅速に消失させ、逆回復電流が流れる時間を短縮化させている。
特開平8−102545号公報
背景技術で説明したように、逆回復時の電力損失を低減化するためには、高抵抗領域に複数の結晶欠陥領域を形成し、高抵抗領域からキャリアを迅速に消失させることが有効である。ところが、キャリアの消失速度が速くなり過ぎると、逆回復電流の時間変化率が大きくなり、アノード電極とカソード電極の間(アノード・カソード間)にサージが発生し易い。また、アノード・カソード間電流やアノード・カソード間電圧が発振し易い。これらのサージ及び発振現象は、逆回復時の後半期間において高抵抗領域内のキャリアが急激に消失することが原因であることが分かってきた。なかでも、高抵抗領域とカソード領域の界面近傍に残留するキャリアが、逆回復時の後半期間において、逆回復電流の挙動に強い影響を与えることが分かってきた。特許文献1では、高抵抗領域とカソード領域の界面近傍に結晶欠陥領域が形成されている。このため、特許文献1のダイオードでは、逆回復時の後半期間に急激にキャリアが消失し、逆回復電流の時間変化率が大きくなり、サージ及び発振現象を引き起こしていた。
本発明は、逆回復時の電力損失を低減化しながら、アノード・カソード間にサージが発生することを抑制し、アノード・カソード間電流やアノード・カソード間電圧が発振することを抑制する技術を提供する。
本明細書で開示されるダイオードは、カソード半導体領域と高抵抗半導体領域とアノード半導体領域を備えている。カソード半導体領域は、第1導電型の不純物を高濃度に含む。高抵抗半導体領域は、第1導電型不純物を低濃度に含み、且つ厚み方向に一定に含む。アノード半導体領域は、第2導電型の不純物を含む。カソード半導体領域と高抵抗半導体領域とアノード半導体領域は、厚み方向に順に配置されている。高抵抗半導体領域は、第1結晶欠陥領域と第2結晶欠陥領域を備えている。第1結晶欠陥領域は、高抵抗半導体領域とアノード半導体領域の界面近傍に欠陥量のピークを持つ。第2結晶欠陥領域は、高抵抗半導体領域の厚み方向の中間位置近傍に欠陥量のピークを持つ。
上記したダイオードの高抵抗半導体領域は、高抵抗半導体領域の厚み方向の中間位置近傍に第2結晶欠陥領域を備えていることを特徴としている。このため、逆回復時に、逆方向電圧の電界を保持する領域、すなわち空乏層が、第2結晶欠陥領域が形成されている中間位置近傍よりもカソード半導体領域側に伸びにくい。したがって、上記したダイオードでは、逆回復時に高抵抗半導体領域とカソード半導体領域の界面近傍にキャリアを残留させておくことができ、逆回復時の逆回復電流の時間変化率を緩やかにすることができる。上記したダイオードでは、逆回復時にアノード・カソード間にサージが発生することが抑制され、アノード・カソード間電流やアノード・カソード間電圧が発振することが抑制される。
また、上記したダイオードの高抵抗半導体領域は、第1結晶欠陥領域と第2結晶欠陥領域を備えていることにより、ダイオードが導通状態のときに、アノード半導体領域から高抵抗半導体領域に注入されるキャリアが、高抵抗半導体領域に過剰に蓄積することを抑制することができる。逆回復電流を抑制し、電力損失を低減化することができる。
第2結晶欠陥領域の欠陥量のピークは、高抵抗半導体領域の厚み方向の中間位置よりもアノード半導体領域側であることが好ましい。
上記した構成によると、逆回復時に正孔を残留させておくことができる領域が広い。
高抵抗半導体領域は、厚み方向の中間位置近傍に非導電型の不純物の濃度のピークを持つことが好ましい。ここで、非導電型の不純物とは、高抵抗半導体領域に用いられている半導体材料の導電型及び抵抗値を変化させない原子をいう。
結晶欠陥には、異なる種類の結晶欠陥が存在する。結晶欠陥の中でも、非導電型の不純物(例えば、シリコンに対しては炭素と酸素である)が結合した複合欠陥は、逆回復時にキャリアを捕獲しておく効果(トラップ効果という)が高い。高抵抗半導体領域の中間位置近傍に非導電型の不純物の濃度ピークが存在すると、第2結晶欠陥領域に含まれる結晶欠陥のうち複合欠陥の量を多くすることができる。このため、逆回復時に、空乏層の伸展が第2結晶欠陥領域によって良好に抑えられ、逆回復時の後半期間において高抵抗半導体領域とカソード半導体領域の界面近傍にキャリアを残留させておく現象を良好に実現することができる。
本明細書で開示されるダイオードによると、逆回復時の電力損失を低減化しながら、アノード・カソード間にサージが発生することを抑制し、アノード・カソード間電流やアノード・カソード間電圧が発振することを抑制することができる。
本明細書で開示される技術の特徴を以下に整理しておく。
(1)ダイオードのカソード領域は、高濃度n型領域と中濃度n型領域を備えている。中濃度n型領域のn型の不純物の濃度は、高濃度n型領域のn型の不純物の濃度よりも低く、高抵抗領域のn型の不純物の濃度よりも高い。カソード領域が中濃度n型領域を備えていることにより、逆回復時に、高抵抗領域とカソード領域との間に正孔を残存させて徐々に排出させることができる。逆回復電流の時間変化を緩やかにすることができる。
(2)第1導電型はn型であり、第2導電型はp型である。
(3)結晶欠陥領域には、炭素、酸素、窒素、フッ素、ゲルマニウム等の非導電型の不純物から形成される複合欠陥が含まれている。
(4)結晶欠陥領域には、炭素と酸素の複合欠陥が多く含まれている。
(5)結晶欠陥領域を形成する領域に、予め非導電型の不純物を注入しておく。結晶欠陥領域に含まれる非導電型の不純物の複合欠陥の量を増やすことができる。
(6)順方向電圧が印加されている間に高抵抗領域に蓄積されるキャリアの数を抑制するために高抵抗領域に結晶欠陥を形成する。従来、アノード領域と高抵抗領域の界面近傍のみに形成していた欠陥の総量を、この界面近傍と、高抵抗領域の厚み方向の中間位置近傍に分けて形成する。アノード領域と高抵抗領域の界面近傍に形成する欠陥の量を減らすことができ、リーク電流を低減化することができる。
(実施例1)
図1に、PINダイオード1の要部断面図を示す。図1では、断面図の左側に各構成要素の符号を示し、断面図の右側に厚み方向の位置関係を比率を用いて表している。
PINダイオード1は、カソード電極10とシリコン基板2とアノード電極60を備えている。カソード電極10は、シリコン基板2の裏面2bに接している。アノード電極60は、シリコン基板2の表面2aに接している。カソード電極10とアノード電極60の材料には、アルミニウム等が用いられている。
シリコン基板2内には、カソード領域20と高抵抗領域40とアノード領域50が形成されている。
カソード領域20は、高濃度n型領域22と中濃度n型領域24を備えている。高濃度n型領域22が、シリコン基板2の裏面2bでカソード電極10と接している。高濃度n型領域22は、n型不純物としてリンと砒素を高濃度に含んでいる。そのキャリア濃度は、カソード電極10に接している領域において1019/cm3程度となるように調整されている。中濃度n型領域24は、高濃度n型領域22の上に形成されている。中濃度n型領域24は、n型不純物としてリンを含んでおり、そのキャリア濃度は、高濃度n型領域22と接している領域において、1015/cm3程度となるように調整されている。なお、ダイオード1のカソード領域20は中濃度n型領域24を備えているが、中濃度n型領域24を備えていることはダイオードにとって必須の要件ではない。
高抵抗領域40は、カソード領域20上に形成されている。高抵抗領域40は、n型不純物としてリンを含んでおり、そのキャリア濃度は、厚み方向に一定の1014/cm3程度に調整されている。
アノード領域50は、低濃度p型領域51と高濃度p型領域52を備えている。低濃度p型領域51が、高抵抗領域40の上に形成されている。複数個の高濃度p型領域52が、低濃度p型領域51の表面に分散して配置されている。高濃度p型領域52と低濃度p型領域51は、アノード電極60と接している。低濃度p型領域51は、p型不純物としてボロンを含んでおり、そのキャリア濃度は、アノード電極60に接している領域において、1017/cm3程度に調整されている。高濃度p型領域52も、p型不純物としてボロンを含んでおり、そのキャリア濃度は、アノード電極60に接している領域において、
1019/cm3程度に調整されている。
ダイオード1を構成しているシリコン基板2の厚みは130μm程度である。各半導体領域の厚み方向における形成範囲を比率で表すと、シリコン基板2の厚みを145.5として、概ね(高濃度n型領域22)0.5:(中濃度n型領域24)20:(高抵抗領域40)123.5:(アノード領域50)1.5となる。
高抵抗領域40は、第1結晶欠陥領域D1と第2結晶欠陥領域D2を備えている。第1結晶欠陥領域D1は、アノード領域50と高抵抗領域40の界面S1近傍に欠陥量のピークを持っている。シリコン基板2の厚みを370として比率で表すと、界面S1の位置から第1結晶欠陥領域D1の欠陥量のピークの位置までの距離は概ね13.5である。
また、第2結晶欠陥領域D2は、高抵抗領域40の厚み方向(図1の上下方向)の中間位置M近傍に欠陥量のピークを持っている。シリコン基板2の厚みを370として比率で表すと、界面S1の位置から第2結晶欠陥領域D2の欠陥量のピークの位置までの距離は概ね58.5である。したがって、欠陥量のピークの位置は、中間位置Mよりも浅い。
図2から図9を参照してダイオード1の製造方法を説明する。
図2に示すように、n-型のバルクシリコン基板2を準備する。以下で説明する各半導体領域の製造工程を実施した後に、シリコン基板2のうち、導電型の不純物が注入されなかった領域の一部がn-型の高抵抗領域40となる。まず、シリコン基板2の表面2aからp型不純物イオンのボロンBを注入して熱拡散する。これにより、低濃度p型領域51を形成する。
次に図3に示すように、シリコン基板2の表面2aに選択的にマスクを形成し、表面2aから再びボロンBを注入して熱拡散する。これにより、低濃度p型領域51の表面に複数個の高濃度p型領域52を分散して配置する。次にマスクを除去する。低濃度p型領域51と高濃度p型領域52を備えているアノード領域50が形成される。
次に図4に示すように、シリコン基板2の表面2aに金属膜を形成し、アノード電極60とする。次に、図5に示すように、シリコン基板2を薄板化する。シリコン基板2が1.2kVの耐圧を保持することができるように、その厚みを130μm程度とする。
次に図6に示すように、シリコン基板2の裏面2bからn型不純物イオンのリンPを注入して熱拡散する。これにより、中濃度n型領域24を形成する。次に図7に示すように、裏面2bからn型不純物イオンのリンPを再び注入して熱拡散する。これにより、高濃度n型領域22を形成する。中濃度n型領域24と高濃度n型領域22を備えているカソード領域20が形成される。図10に、ダイオード1のp型不純物とn型不純物の厚み方向における濃度プロファイルを示す。前述したように、シリコン基板2のうち、導電型の不純物が注入されなかった領域の一部がn-型の高抵抗領域40となるので、高抵抗領域40は、n型不純物を、低濃度に、且つ厚み方向に一定に含んでいる。
次に、図8に示すように、シリコン基板2の裏面2bから軽元素の荷電粒子を照射し、局所的に結晶欠陥を形成する。荷電粒子には、質量3のヘリウムイオン(3He2+)を用いる。高抵抗領域40に、アノード領域50との界面S1近傍で欠陥量がピークを持つように荷電粒子を導入する。次に、図9に示すように、高抵抗領域40の厚み方向の中間位置M近傍であり、厚み方向において中間位置Mよりも浅い領域に欠陥量がピークを持つように荷電粒子を導入する。荷電粒子には、質量3のヘリウムイオン(3He2+)を用いる。次に、熱処理を実施する。これにより、第1結晶欠陥領域D1と第2結晶欠陥領域D2が形成される。図11に、結晶欠陥の欠陥量の厚み方向における濃度プロファイルを示す。図11に示すように、第1結晶欠陥領域D1と第2結晶欠陥領域D2は、濃度プロファイルの半値幅の2倍以上(例えば、20μm以上)離間していることが好ましい。第1結晶欠陥領域D1の濃度プロファイルと、第2結晶欠陥領域D2の濃度プロファイルが重なり合わないことが好ましい。
次に、シリコン基板2の裏面2bに金属膜を形成し、図1に示すカソード電極10とする。
上記のように形成した第1結晶欠陥領域D1と第2結晶欠陥領域D2は、複数種類の結晶欠陥を含んでいる。シリコン基板2に荷電粒子を導入すると、シリコン原子が結晶格子位置から解離する現象が発生する。その後に、熱処理を実施すると、結晶格子位置から解離したシリコン原子、シリコン原子が解離した後の空孔、シリコン基板2のシリコン結晶に元々含まれていた非導電型不純物等が結合して複数種類の熱的安定結晶欠陥が形成される。これらの中で、特に、非導電型不純物の酸素と炭素が結合した結晶欠陥(正孔トラップ欠陥という)は、後に説明するが、高抵抗領域40内において正孔を捕獲する。逆回復時には、正孔トラップ欠陥に捕獲した正孔は、短時間で放出されない。
図12に示すように、ダイオード1に順方向電圧を印加すると、アノード領域50から高抵抗領域40に正孔(図12では+印で模式的に示している)が注入される。また、カソード領域20から高抵抗領域40に電子(図12では−印で模式的に示している)が注入される。順方向電圧が印加されている時の正孔の量を、図13のグラフhで示す。また、順方向電圧が印加されている時の電子の量を、図13のグラフeで示す。この定常状態では、高抵抗領域40内で、過剰な電子と過剰な正孔の再結合による消滅、結晶欠陥における電子の捕獲・放出、結晶欠陥における正孔の捕獲・放出が活発化している。定常状態では結晶欠陥における電子の捕獲・放出、正孔の捕獲・放出がつりあっている。定常状態では、アノード電極60からカソード電極10に電流が流れる。
ダイオード1に逆方向電圧を印加した直後は、図14に示すように、順方向電圧が印加していた間に高抵抗領域40に蓄積されていた正孔がアノード領域50を介してアノード電極60に排出される。また、高抵抗領域40に蓄積されていた電子がカソード領域20を介してカソード電極10に排出される。これにより、アノード電極60とカソード電極10の間に、図15のグラフL1に示す逆回復電流が流れる。蓄積されていたキャリア(電子と正孔)が排出されるのに応じて界面S1から高抵抗領域40を空乏層が伸びていく。
なお、逆回復時に、電子を捕獲する種類の結晶欠陥(電子トラップ欠陥;例えば、空孔が結合した欠陥や空孔と酸素が結合した複合欠陥)が捕獲した電子を放出する時間と比較すると、正孔を捕獲する種類の結晶欠陥(正孔トラップ欠陥;例えば、炭素と酸素が結合した複合欠陥)が捕獲した正孔を放出する時間の方が長い。図14では、ダイオード1の正孔トラップ欠陥に正孔が捕獲されている状態を、+印を二重丸で囲んで示している。結晶欠陥を形成したダイオードでは、逆回復時に、正孔トラップ欠陥から正孔が放出されて排出された領域に実質的に空乏層が伸びていく。逆回復電流の時間変化率を緩やかにするためには、相応な量の正孔トラップ欠陥を相応な位置に形成することが有用である。
比較例1として図16に示すダイオード102の逆回復電流を、図15のグラフL2に示して観察する。このダイオード102の高抵抗領域40は、アノード領域50と高抵抗領域20の界面近傍のみに結晶欠陥量のピークを持つ結晶欠陥領域を備えている。この結晶欠陥領域の欠陥量は、ダイオード1の第1結晶欠陥領域D1の欠陥量と第2結晶欠陥領域D2の欠陥量を合わせた量とする。その他の構成は、本実施例のダイオード1と同じである。グラフL2に示すダイオード102の逆回復電流と比較すると、グラフL1に示す本実施例のダイオード1の逆回復電流は、逆方向(グラフの負の方向)に振れている領域の時間積分値が小さい。この積分値は、高抵抗領域40に蓄積されている電荷の量と強い相関関係がある。ダイオード1は、第1結晶欠陥領域D1と第2結晶欠陥領域D2の2箇所に結晶欠陥領域を備えている。高抵抗領域40内に形成した欠陥の総量は同じであっても、ダイオード1のように2箇所に分けた方が、順方向電圧が印加されている間に高抵抗領域40に蓄積されるキャリアの数が抑制されて高抵抗領域40に蓄積される電荷の量が抑制されている。ダイオード1を用いると、逆回復電流が流れることによる電力損失が少ない。
また、グラフL2に示すダイオード102の逆回復電流と比較すると、グラフL1に示す本実施例のダイオード1の逆回復電流は、逆回復電流が負方向にピークに達した後に、徐々に0に収束するまでの間に流れる電流(テール電流という)が少ない。ダイオード1は、ダイオード102と比較すると、逆回復時に高抵抗領域40に残留するキャリアを迅速に排出している。
また、比較例2として図17に示すダイオード104の逆回復電流を、図15のグラフL3に示して観察する。ダイオード104の高抵抗領域40は第1結晶欠陥領域D1(ダイオード1と同じ)と第3結晶欠陥領域D3を備えている。第3結晶欠陥領域D3は、高抵抗領域40とカソード領域20との界面S2近傍に欠陥量のピークを持っている。グラフL3に示すダイオード104の逆回復電流と比較すると、グラフL1に示す本実施例のダイオード1の逆回復電流は、その負方向の最大値が小さい。また、負方向の最大値から0に収束するときの時間変化率が小さい。また、ダイオード104では電流波形が発振しているが、ダイオード1では発振することなく滑らかに0に収束している。
ダイオード1では、逆回復時に、第1結晶欠陥領域D1と第2結晶欠陥領域D2内の正孔トラップ欠陥に正孔がトラップされ、この領域が正に帯電する。このときの逆方向電圧による電界の分布を図18に示す。第1結晶欠陥領域D1が配置されている領域と第2結晶欠陥領域D2が配置されている領域で電界の傾きが急になっている。ダイオード104のように、2番目の結晶欠陥領域(第3結晶欠陥領域D3)が高抵抗領域40とカソード領域20の界面S2近傍に配置されている場合と比較すると、逆電圧印加時に電界を保持する領域、すなわち空乏層が、界面S1から高抵抗領域40の厚み方向に伸びにくい。ダイオード1は、ダイオード104と比較すると高抵抗領域40の厚み方向の深い領域に正孔を長く残留させておくことができる。図19に示すように、高抵抗領域40に長く残留させた正孔をアノード領域50を介してアノード電極60にゆっくりと排出させることができる。これにより、逆回復電流の時間変化率が緩やかになる。逆回復時にアノード・カソード間にサージが発生することを抑制し、アノード・カソード間電流やアノード・カソード間電圧が発振することを抑制することができる。
ダイオード1によると、逆回復時の電力損失を低減化しながら、アノード・カソード間のサージ電圧を抑制し、アノード・カソード間電圧やアノード・カソード間電流の発振を抑制することができる。
また、ダイオード1によると、アノード領域50と高抵抗領域20の界面近傍に形成する欠陥の量を減らすことができるために、ダイオード102と比較してリーク電流を低減化することができる。
(第2実施例)
図20にダイオード1aの要部断面図を示す。図1に示すダイオード1と共通する部分については同じ番号を付することによってその重複説明を省略する。
ダイオード1aでは、高抵抗領域41が、領域41a,41b,41c,41dを備えている。領域41a,41cは、領域41b,41dと比較して非導電型の不純物を多く含んでいる。以下にダイオード1aの製造方法を説明する。
ダイオード1aを製造する際には、n+型のシリコン基板を準備する。このシリコン基板が、カソード領域20aのうちの高濃度n型領域22aとなる。
高濃度n型領域22a上に、図20の高さT0に至るまで中濃度n型領域24aをエピタキシャル成長させる。高濃度n型領域22aと中濃度n型領域24aが、ダイオード1aのカソード領域20aとなる。
カソード領域20aの上に、n-型領域をエピタキシャル成長させる。図20に示す高さT1に至るまでn-型領域を成長させたら、成長を一旦停止させる。そして、高さT1まで成長したn-型領域の表面から非導電型不純物(酸素と炭素)をイオン注入する。これにより、n-型の領域41dと、非導電型不純物を多く含んだn-型の領域41cが形成される。
次に、再び、高さT1から高さT2に至るまでn-型領域を成長させたら、成長を停止させる。そして、高さT2まで成長したn-型領域の表面から非導電型不純物をイオン注入する。
次に、高さT2に至っているn-型の領域の表面からp型不純物イオンのボロンBを注入して熱拡散し、低濃度p型領域51を形成する。これにより、n-型の領域41bと、非導電型不純物を多く含んだn-型の領域41aと、低濃度p型領域51の積層構造が形成される。
次に、低濃度p型領域51の表面に複数個の高濃度p型領域52を分散して配置する。低濃度p型領域51と高濃度p型領域52を備えているアノード領域50が形成される。
次に、アノード領域50の表面50aに金属膜を形成し、アノード電極60とする。
次に、高抵抗領域41のうち、非導電型不純物を多く含んだ領域41aに、第1実施例のダイオード1と同様にして第1結晶欠陥領域D1を形成する。また、非導電型不純物を多く含んだ領域41cに第2結晶欠陥領域D2を形成する。図21に、ダイオード1aに含まれている非導電型不純物の厚み方向における濃度プロファイルを示す。ダイオード1aでは、第1結晶欠陥領域D1が設けられている領域41aと、第2結晶欠陥領域D2が設けられている領域41cにおいて、非導電型不純物の濃度がピークを持っている。
次に、高濃度n型領域22aの裏面22bに接するカソード電極10を形成する。
一般的に、エピタキシャル成長させた層に含まれる非導電型不純物の量は、バルクシリコン基板2(図1参照)に含まれる非導電型不純物の量と比較して少ない。本実施例のように、第1結晶欠陥領域D1と第2結晶欠陥領域D2を形成する領域41a,41cには、エピタキシャル成長を実施する際に予め非導電型不純物をイオン注入しておけば、第1結晶欠陥領域D1と第2結晶欠陥領域D2に含まれる正孔トラップ欠陥を増加させることができる。
ダイオード1aも、第1実施例のダイオード1と同様に、逆回復時の電力損失を低減化しながら、アノード・カソード間のサージを抑制し、アノード・カソード間電圧やアノード・カソード間電流が発振することを抑制することができる。
(第3実施例)
図22にダイオード1bの要部断面図を示す。図1に示すダイオード1と共通する部分には同じ番号を付することによってその重複説明を省略する。
ダイオード1bでは、高抵抗領域42が、領域42aと領域42bを備えている。領域42aは、領域42bと比較して多くの炭素を含んでいる。以下にダイオード1bの製造方法を説明する。
ダイオード1bを製造する際には、n-型のバルクシリコン基板の裏面3bからn型不純物であるリンが予め熱拡散されている拡散基板3を準備する。
裏面3b側でリンが熱拡散されているn型領域が、カソード領域20bとなる。
まず、拡散基板3の表面3aから非導電型不純物の炭素をイオン注入し、表面3a側に炭素を多く含んだn-型領域を形成する。
次に、第1実施例のダイオード1と同様に表面3a側に低濃度p型領域51と高濃度p型領域52から成るアノード領域50を形成する。n-型の領域42bと、炭素を多く含んだn-型の領域42aを備えている高抵抗領域42とアノード領域50の積層構造が形成される。図23に、ダイオード1bに含まれているp型不純物とn型不純物の拡散基板3の厚み方向における濃度プロファイルを示す。
次に、表面3a上にアノード電極60を形成する。
次に、高抵抗領域42のうち、炭素を多く含んだn-型の領域42aに、第1実施例のダイオード1と同様にして第1結晶欠陥領域D1と第2結晶欠陥領域D2を形成する。図24に、ダイオード1bに含まれている炭素の厚み方向における濃度プロファイルを示す。ダイオード1bでは、第1結晶欠陥領域D1が形成されるとともに、第2結晶欠陥領域D2が形成される領域42aの炭素の濃度が濃い。
次に、拡散基板3を薄板化した後に、カソード電極10を形成する。
一般的に拡散基板3には、非導電型不純物の酸素は十分に含まれているが、炭素が少ない。このため、本実施例では、結晶欠陥領域を形成する領域42aに予め炭素をイオン注入しておく。第1結晶欠陥領域D1と第2結晶欠陥領域D2に含まれる正孔トラップ欠陥を増加させることができる。
ダイオード1bも、第1実施例のダイオード1と同様に、第1結晶欠陥領域D1と第2結晶欠陥領域D2を備えている。ダイオード1bを用いると、逆回復時の電力損失を低減化し、アノード・カソード間のサージを抑制し、アノード・カソード間電圧や電流の発振を抑制することができる。
第1実施例と第2実施例では、ダイオード1,1aのカソード領域20,20aが中濃度n型領域24,24aを備えている場合について説明したが、中濃度n型領域24,24aを備えていなくてもよい。中濃度n型領域24,24aを備えていると、逆回復電流の時間変化率を低減化することができる。
結晶欠陥領域D1,D2では、非導電型不純物の複合欠陥(例えば、炭素と酸素の複合欠陥)の濃度のピーク値が、高抵抗領域40,41,42のn型不純物の濃度よりも高くなるように構成されていることが好ましい。このように構成すると、逆回復時に、結晶欠陥領域D1,D2に含まれている複合欠陥が正孔をトラップ(捕獲し易くて放出し難い)しやすい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
ダイオード1の要部断面図を示す。 ダイオード1の製造方法を示す。 ダイオード1の製造方法を示す。 ダイオード1の製造方法を示す。 ダイオード1の製造方法を示す。 ダイオード1の製造方法を示す。 ダイオード1の製造方法を示す。 ダイオード1の製造方法を示す。 ダイオード1の製造方法を示す。 ダイオード1に含まれているp型不純物とn型不純物の厚み方向における濃度プロファイルを示す。 ダイオード1に含まれている結晶欠陥の欠陥量の厚み方向におけるプロファイルを示す。 順方向電圧が印加されてダイオード1が導通しているときに、高抵抗領域40に正孔と電子が注入されている状態を示す。 ダイオード1が導通しているときに、シリコン基板2に含まれている正孔と電子の厚み方向における濃度プロファイルを示す。 逆回復時に高抵抗領域40に残留している正孔と電子の状態を示す。 ダイオード1とダイオード102とダイオード104の逆回復電流をグラフL1,L2,L3に示す。 比較例1のダイオード102の要部断面図を示す。 比較例2のダイオード104の要部断面図を示す。 逆回復時に逆方向電圧を保持している領域(すなわち、空乏層)と電界強度を示す。 逆回復時に、高抵抗領域40の厚み方向の深い範囲に残留している正孔の状態を示す。 ダイオード1aの要部断面図を示す。 ダイオード1aに含まれている非導電型不純物の厚み方向における濃度プロファイルを示す。 ダイオード1bの要部断面図を示す。 ダイオード1bに含まれているp型不純物とn型不純物の厚み方向における濃度プロファイルを示す。 ダイオード1bの構造に含まれている非導電型不純物の厚み方向における濃度プロファイルを示す。
符号の説明
1,1a,1b:ダイオード
2:シリコン基板
2a:表面
2b:裏面
3:拡散基板
3a:表面
3b:裏面
10:カソード電極
20,20a,20b:カソード領域
40,41,42:高抵抗領域
50:アノード領域
60:アノード電極
D1:第1結晶欠陥領域
D2:第2結晶欠陥領域
D3:第3結晶欠陥領域
M:中間位置
S1,S2:界面

Claims (3)

  1. 第1導電型の不純物を高濃度に含むカソード半導体領域と、
    第1導電型の不純物を低濃度に含み、且つ厚み方向に一定に含む高抵抗半導体領域と、
    第2導電型の不純物を含むアノード半導体領域と、を備えており、
    前記カソード半導体領域と前記高抵抗半導体領域と前記アノード半導体領域が厚み方向に順に配置されており、
    前記高抵抗半導体領域は、前記アノード半導体領域との界面近傍に欠陥量のピークを持つ第1結晶欠陥領域と、厚み方向の中間位置近傍に欠陥量のピークを持つ第2結晶欠陥領域を有するダイオード。
  2. 前記第2結晶欠陥領域の欠陥量のピークは、前記高抵抗半導体領域の厚み方向の中間位置よりもアノード半導体領域側であることを特徴とする請求項1に記載のダイオード。
  3. 前記高抵抗半導体領域は、厚み方向の中間位置近傍に非導電型の不純物の濃度のピークを持つことを特徴とする請求項1又は2に記載のダイオード。
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