JP2010090901A - 内燃機関の可変バルブタイミング制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】筒内噴射エンジンの始動性を向上させる。
【解決手段】筒内噴射エンジンでは、噴射圧力を高圧にして噴射燃料を微粒化する必要があるため、燃料タンク11から低圧ポンプ12で汲み上げた燃料を高圧ポンプ14で高圧にして燃料噴射弁28へ圧送する。始動性を向上させるには、始動時に高圧ポンプ14によって燃圧を早期に始動に適した燃圧に上昇させる必要がある。そこで、ECU30は、クランキング開始からの経過時間、サイクル数(噴射タイミングの回数)等によって設定したり、或は、始動時に燃圧が所定圧力を越えるまで、筒内噴射を禁止する。これにより、短い時間で十分な燃圧を確保してから筒内噴射を開始でき、噴射開始当初から噴射燃料の微粒化を促進できて、始動性を向上できる。
【選択図】図1
【解決手段】筒内噴射エンジンでは、噴射圧力を高圧にして噴射燃料を微粒化する必要があるため、燃料タンク11から低圧ポンプ12で汲み上げた燃料を高圧ポンプ14で高圧にして燃料噴射弁28へ圧送する。始動性を向上させるには、始動時に高圧ポンプ14によって燃圧を早期に始動に適した燃圧に上昇させる必要がある。そこで、ECU30は、クランキング開始からの経過時間、サイクル数(噴射タイミングの回数)等によって設定したり、或は、始動時に燃圧が所定圧力を越えるまで、筒内噴射を禁止する。これにより、短い時間で十分な燃圧を確保してから筒内噴射を開始でき、噴射開始当初から噴射燃料の微粒化を促進できて、始動性を向上できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、高圧ポンプにより高圧にされた燃料を燃料噴射弁から気筒内に直接噴射する内燃機関の燃料噴射装置に関するものである。
気筒内に燃料を直接噴射する筒内噴射エンジンは、吸気ポートに噴射する吸気ポート噴射エンジンと比較して、噴射から燃焼までの時間が短く、噴射燃料を霧化させる時間を十分に稼ぐことができないため、噴射圧力を高圧にして噴射燃料を微粒化する必要がある。そのため、筒内噴射エンジンでは、燃料タンクから低圧ポンプで汲み上げた燃料を高圧ポンプにより高圧にして燃料噴射弁へ圧送するようにしている。この高圧ポンプは、大きな駆動力を必要とするため、エンジンのカム軸に嵌着されたカムにより高圧ポンプのピストンを往復運動させることで燃料を圧送するようにしたものが多い。
ところで、エンジン停止中は、高圧ポンプや低圧ポンプも停止するため、時間の経過とともに燃料配管内の燃圧が徐々に低下する。このため、始動時の燃圧はほとんど0MPaの状態になることが多い。従って、始動時には、燃圧をほぼ0MPaの状態から目標燃圧まで急上昇させる必要があるが、高圧ポンプの吐出はエンジンのカム軸1回転当たり1回又は2回しか行われず、しかも、始動時の噴射量は大幅に増量されるため、図4(a)に示すように、噴射毎に燃圧が落ち込み、始動時の燃圧変動が大きくなり、始動時の噴射時間(噴射パルス幅)や噴射タイミングが不規則となる。しかも、燃圧が始動に適した燃圧に上昇するまでに時間がかかり、その間は不十分な燃圧で噴射するため、噴射燃料の微粒化が不十分となって混合気が燃焼しにくくなり、上述した始動時の燃圧変動と相俟って、始動性が悪くなると共に、始動時の排気エミッションも悪くなる。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、始動時に燃圧を始動に適した燃圧まで早期に上昇させることができて、始動性向上、始動時の排気エミッション低減を実現することができる内燃機関の燃料噴射装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は 高圧ポンプにより燃料を高圧にして筒内噴射用の燃料噴射弁に供給し、この燃料噴射弁から燃料を筒内噴射する内燃機関の燃料噴射装置において、燃料噴射弁に供給される燃料の圧力(以下「燃圧」という)を検出する燃圧検出手段と、始動時に燃圧検出手段で検出された燃圧が所定圧力以下の時に燃料噴射弁による筒内噴射を禁止する始動制御手段とを備え、所定圧力は、始動に必要な噴射燃料の微粒化を確保できる燃圧であり、目標燃圧よりも低い圧力に設定されるものであって、内燃機関の冷却水温に応じて設定されることを特徴とする。
これにより、始動当初の燃圧が異なっても、それに合わせて筒内噴射禁止期間を自動的に必要最小限に設定できる。従って、例えば、エンジン停止直後に再始動するような場合(始動当初の燃圧が目標燃圧付近に保たれている場合)には、始動当初から筒内噴射を禁止せずに直ちに筒内噴射を開始して始動することが可能となり、極めて短い時間で始動を完了できる。
[実施形態(1)]
以下、本発明の実施形態(1)を図1乃至図4に基づいて説明する。燃料を貯留する燃料タンク11内には、燃料を汲み上げる低圧ポンプ12が設置されている。この低圧ポンプ12は、バッテリ(図示せず)を電源とする電動モータ(図示せず)によって駆動される。この低圧ポンプ12から吐出される燃料は、燃料配管13を通して高圧ポンプ14に供給される。燃料配管13には、プレッシャレギュレータ15が接続され、このプレッシャレギュレータ15によって低圧ポンプ12の吐出圧(高圧ポンプ14への燃料供給圧力)が例えば0.3MPa程度に調圧され、その圧力を越える燃料の余剰分は燃料戻し管16により燃料タンク11内に戻される。
以下、本発明の実施形態(1)を図1乃至図4に基づいて説明する。燃料を貯留する燃料タンク11内には、燃料を汲み上げる低圧ポンプ12が設置されている。この低圧ポンプ12は、バッテリ(図示せず)を電源とする電動モータ(図示せず)によって駆動される。この低圧ポンプ12から吐出される燃料は、燃料配管13を通して高圧ポンプ14に供給される。燃料配管13には、プレッシャレギュレータ15が接続され、このプレッシャレギュレータ15によって低圧ポンプ12の吐出圧(高圧ポンプ14への燃料供給圧力)が例えば0.3MPa程度に調圧され、その圧力を越える燃料の余剰分は燃料戻し管16により燃料タンク11内に戻される。
図2に示すように、高圧ポンプ14は、円筒状のポンプ室18内でピストン19を往復運動させて燃料を吸入/吐出するピストンポンプであり、ピストン19は、エンジンのカム軸20に嵌着されたカム21の回転運動によって駆動される。この高圧ポンプ14の吸入口23側には、電磁弁からなる燃圧制御弁22が設けられている。高圧ポンプ14の吸入行程(ピストン19の下降時)においては、燃圧制御弁22が開弁されてポンプ室18内に燃料が吸入され、吐出行程(ピストン19の上昇時)においては、燃圧制御弁22の閉弁時間を制御することで燃圧(吐出圧力)を制御する。つまり、燃圧を上昇させるときには燃圧制御弁22の閉弁時間を長くし、逆に、燃圧を低下させるときには燃圧制御弁22の閉弁時間を短くする。
一方、高圧ポンプ14の吐出口24側には、吐出した燃料の逆流を防止する逆止弁25が設けられている。高圧ポンプ14から吐出された燃料は、燃料配管26を通してデリバリパイプ27に送られ、このデリバリパイプ27からエンジンのシリンダヘッドに気筒毎に取り付けられた燃料噴射弁28に高圧の燃料が分配される。燃料配管26には、燃圧を検出する燃圧センサ29(燃圧検出手段)が設けられ、この燃圧センサ29の出力信号がエンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)30に入力される。
このECU30は、マイクロコンピュータを主体として構成され、エンジン回転数、吸気管圧力(又は吸入空気量)、冷却水温等のエンジン運転状態を検出する各種センサの出力信号を読み込んで、燃料噴射量と噴射時期を演算し、その演算結果に応じた噴射パルスを各気筒の燃料噴射弁28に出力して燃料噴射を実行する。更に、このECU30は、内蔵のROM(記憶媒体)に記憶された図3の噴射制御プログラムを実行することで、始動初期に筒内噴射を禁止して燃圧を速やかに上昇させ、所定期間経過後に筒内噴射禁止を解除して通常の噴射制御に切り換える。
以下、この噴射制御を行う図3の噴射制御プログラムの処理内容を説明する。本プログラムは、イグニッションスイッチ31のオン後に噴射タイミング毎に繰り返し実行される。本プログラムが起動されると、まずステップ101で、イグニッションスイッチ31からの信号とエンジン回転数とに基づいて始動時であるか否かを判定する。例えば、イグニッションスイッチ31が「START」位置に操作されてからエンジン回転数が所定回転数以上になるまでは、始動時と判定し、そうでなければ、始動完了と判定する。
このステップ101で、始動時と判定した場合には、ステップ102に進み、クランキング開始(高圧ポンプ14の駆動開始)から噴射回数カウンタでカウントした噴射タイミングの回数iが所定回数以下であるか否かを判定する。ここで、所定回数は、予め設定した固定値(例えば4回)でも良いが、冷却水温、吸気温度等に応じてマップ等により設定するようにしても良い。
このステップ102で、噴射タイミングの回数iが所定回数以下であれば、高圧ポンプ14から燃料噴射弁28に供給される燃料の圧力(燃圧)が始動に適した燃圧まで上昇していないと判断して、ステップ103に進み、筒内噴射を禁止して、次のステップ104で、噴射回数カウンタのカウント値iを1だけインクリメントして、本プログラムを終了する。噴射回数カウンタは、イグニッションスイッチ31のオン時に実行される初期化プログラム(図示せず)によってリセットされる。上記ステップ101〜104の処理が特許請求の範囲でいう始動制御手段としての役割を果たす。
筒内噴射禁止中は、噴射が停止された状態で高圧ポンプ14が駆動されるため、燃圧が速やかに上昇する。そして、噴射タイミングの回数iが所定回数を越えると、燃圧が始動に適した燃圧まで上昇したと判断して、ステップ105に進み、筒内噴射禁止を解除して通常の噴射制御に切り換え、ECU30から噴射パルスを燃料噴射弁28に出力して筒内噴射を開始する。
ところで、高圧ポンプ14の吐出はエンジンのカム軸1回転当たり1回又は2回しか行われず、しかも、始動時の噴射量は大幅に増量されるため、従来[図4(a)]のように、始動当初から噴射を開始すると、噴射毎に燃圧が落ち込み、始動時の燃圧変動が大きくなり、始動時の噴射時間(噴射パルス幅)や噴射タイミングが不規則となる。しかも、燃圧が始動に適した燃圧に上昇するまでに時間がかかり、その間は不十分な燃圧で噴射するため、噴射燃料の微粒化が不十分となって混合気が燃焼しにくくなり、上述した始動時の燃圧変動と相俟って、始動性が悪くなると共に、始動時の排気エミッションも悪くなる。
これに対し、本実施形態(1)では、図4(b)に示すように、クランキング開始から噴射タイミングの回数iが所定回数に達するまで、筒内噴射を禁止するので、その筒内噴射禁止中に高圧ポンプ14によって燃圧を速やかに上昇させることができて、短い時間で十分な燃圧を確保してから筒内噴射を開始することができ、噴射開始当初から噴射燃料の微粒化を十分に促進できる。しかも、始動時の燃圧を安定させることができて、始動時の噴射時間や噴射タイミングを安定させることができ、上述した噴射燃料の微粒化と相俟って、始動性を向上できると共に、始動時の排気エミッションを低減できる。
尚、上記実施形態(1)では、始動初期に筒内噴射を禁止する期間を、クランキング開始(高圧ポンプ14の駆動開始)からの噴射タイミングの回数で設定したが、例えばサイクル数(クランク軸の回転回数)、又は、経過時間で筒内噴射禁止期間を設定するようにしても良い。
[実施形態(2)]
上記実施形態(1)では、噴射タイミングの回数が所定回数以下の時に、燃圧が始動に適した燃圧まで上昇していないと判断して筒内噴射を禁止したが、始動時に燃圧を始動に適した燃圧に上昇させるのに要する時間は、始動当初の燃圧によって異なるため、これを考慮して、図5に示す本発明の実施形態(2)の噴射制御プログラムでは、燃圧センサ29で検出した燃圧が所定圧力以下の時に筒内噴射を禁止する。
上記実施形態(1)では、噴射タイミングの回数が所定回数以下の時に、燃圧が始動に適した燃圧まで上昇していないと判断して筒内噴射を禁止したが、始動時に燃圧を始動に適した燃圧に上昇させるのに要する時間は、始動当初の燃圧によって異なるため、これを考慮して、図5に示す本発明の実施形態(2)の噴射制御プログラムでは、燃圧センサ29で検出した燃圧が所定圧力以下の時に筒内噴射を禁止する。
具体的には、まずステップ201で、前述した図3のステップ101と同じ方法で、始動時であるか否かを判定し、始動時であれば、ステップ202に進み、燃圧センサ29で検出した燃圧が所定圧力以下であるか否かを判定する。ここで、所定圧力は、始動に適した燃圧(つまり始動に必要な噴射燃料の微粒化を確保できる燃圧)であり、目標燃圧よりも低い圧力に設定されている。尚、この所定圧力は、予め設定した固定値でも良いが、冷却水温、吸気温度等に応じてマップ等により設定するようにしても良い。
このステップ202で、検出燃圧が所定圧力以下と判定されれば、ステップ203に進み、筒内噴射を禁止して、本プログラムを終了する。その後、燃圧が所定圧力を越えた時点で、ステップ204に進み、筒内噴射禁止を解除して通常の噴射制御に切り換え、筒内噴射を実行する。
このようにすれば、始動当初の燃圧の相違等によって燃圧を始動に適した燃圧に上昇させるのに要する時間が異なっても、それに合わせて筒内噴射禁止期間を自動的に必要最小限に設定できる。従って、例えば、エンジン停止直後に再始動するような場合(始動当初の燃圧が目標燃圧付近に保たれている場合)には、始動当初から筒内噴射を禁止せずに直ちに筒内噴射を開始して始動することが可能となり、極めて短い時間で始動を完了できる。
[実施形態(3)]
本発明の実施形態(3)では、図6の噴射制御プログラムを実行する。この図6の噴射制御プログラムは、ステップ101とステップ102との間にステップ101aを追加したことに特徴があり、これ以外は図3の噴射制御プログラムと全く同じである。
本発明の実施形態(3)では、図6の噴射制御プログラムを実行する。この図6の噴射制御プログラムは、ステップ101とステップ102との間にステップ101aを追加したことに特徴があり、これ以外は図3の噴射制御プログラムと全く同じである。
本実施形態(3)において、始動時に筒内噴射を禁止する条件は、燃圧センサ29で検出した燃圧が所定圧力以下であること(ステップ101a)、噴射タイミングの回数iが所定回数以下であること(ステップ102)であり、これら2つの条件を同時に満たした時のみ、筒内噴射を禁止する(ステップ104)。従って、検出燃圧が所定圧力以下であっても、噴射タイミングの回数iが所定回数を越えれば、筒内噴射禁止を解除して通常の噴射制御に切り換え、筒内噴射を開始する(ステップ105)。つまり、筒内噴射を禁止して高圧ポンプ14をある程度の期間駆動すれば、仮に検出燃圧が所定圧力まで上昇していなくても、それに近い燃圧まで上昇していると推定できるため、筒内噴射を開始して始動するものである。
このようにすれば、筒内噴射禁止の状態(検出燃圧が所定圧力以下の状態)が長く続く時に、検出燃圧が所定圧力を越えるまで筒内噴射を禁止し続ける場合よりも始動時間を短くできる。しかも、万一、高圧ポンプ14の能力低下や燃圧センサ29の故障が発生したとしても、始動が可能となり、システムにフェイルセーフ機能を持たせることができ、システムの信頼性を向上できる。
[実施形態(4)]
次に、図7乃至図10に基づいて本発明の実施形態(4)を説明する。本実施形態(4)では、図7に示すように、筒内噴射エンジン40の各気筒の上部に、筒内噴射用の燃料噴射弁28を取り付けると共に、各気筒の吸気ポート41に、それぞれ吸気ポート噴射用の燃料噴射弁42を取り付けている。各気筒の吸気ポート噴射用の燃料噴射弁42は、図8に示すように、デリバリパイプ43に取り付けられ、低圧ポンプ12から吐出された燃料が燃料配管13,44を通してデリバリパイプ43に供給され、このデリバリパイプ43から燃料が各気筒の吸気ポート噴射用の燃料噴射弁42に分配される。これ以外のシステム構成は、前記実施形態(1)で説明した図1と同じである。
次に、図7乃至図10に基づいて本発明の実施形態(4)を説明する。本実施形態(4)では、図7に示すように、筒内噴射エンジン40の各気筒の上部に、筒内噴射用の燃料噴射弁28を取り付けると共に、各気筒の吸気ポート41に、それぞれ吸気ポート噴射用の燃料噴射弁42を取り付けている。各気筒の吸気ポート噴射用の燃料噴射弁42は、図8に示すように、デリバリパイプ43に取り付けられ、低圧ポンプ12から吐出された燃料が燃料配管13,44を通してデリバリパイプ43に供給され、このデリバリパイプ43から燃料が各気筒の吸気ポート噴射用の燃料噴射弁42に分配される。これ以外のシステム構成は、前記実施形態(1)で説明した図1と同じである。
本実施形態(4)では、図9に示す噴射制御プログラムをイグニッションスイッチ31のオン後に噴射タイミング毎に繰り返し実行し、始動時の燃圧に応じて吸気ポート噴射用の燃料噴射弁42による吸気ポート噴射と筒内噴射用の燃料噴射弁28による筒内噴射とを次のように切り換える。
まず、ステップ301,302において、始動時で、且つ、燃圧が所定圧力以下であれば、ステップ303に進み、筒内噴射用の燃料噴射弁28による筒内噴射を禁止し、次のステップ304で、ECU30から噴射パルスを吸気ポート噴射用の燃料噴射弁42に出力して吸気ポート噴射を実行する。吸気ポート噴射は、筒内噴射と比べて、噴射から燃焼までの時間が長く、噴射燃料を霧化させる時間を稼ぐことができるため、低い燃圧でも、噴射燃料を十分に霧化させて燃焼可能な混合気を形成することができる。これにより、筒内噴射禁止期間中に吸気ポート噴射によって始動を完了することも可能となる。
その後、燃圧が所定圧力を越えた時点で、ステップ305に進み、吸気ポート噴射を禁止した後、ステップ306で、吸気ポート噴射終了から所定期間が経過したか否かを判定する。ここで、所定期間は、吸気ポート噴射により吸気ポート41の内壁等に付着したウェット燃料が蒸発して少なくなるまでの期間であり、吸気ポート噴射終了からの経過時間、サイクル数(クランク軸の回転回数)等によって設定すれば良い。このステップ306で、まだ、所定期間が経過していなければ、筒内噴射を実行せずに本プログラムを終了する。この期間は、ウェット燃料の蒸発分によって混合気の空燃比が確保される。
その後、所定期間が経過した時点で、気筒内に吸入されるウェット燃料の蒸発ガスが少なくなったと判断して、ステップ307に進み、ECU30から噴射パルスを筒内噴射用の燃料噴射弁28に出力して筒内噴射を開始する。以後、始動完了後も、引き続き筒内噴射を実行する。
以上説明した本実施形態(4)では、始動時に燃圧が所定圧力を越えるまで、低い燃圧でも始動可能な吸気ポート噴射を行って、始動を早めるものであるが、吸気ポート噴射では、噴射した燃料が吸気ポート41の内壁等に付着するウェットが多く、このウェット燃料が徐々に蒸発して気筒内に吸入されるため、吸気ポート噴射終了後も暫くの間は、ウェット燃料の蒸発分によって気筒内に燃料を供給することができる。これを考慮して、本実施形態(4)では、図10に示すように、始動時に吸気ポート噴射が終了してから所定期間経過後に筒内噴射を開始するので、ウェット燃料の蒸発分が少なくなってから筒内噴射を開始することができ、吸気ポート噴射から筒内噴射に切り換えた後の混合気の空燃比がウェット燃料の蒸発分によって過剰にリッチになることを防止できて、排気エミッションを低減できる。
尚、本実施形態(4)では、始動時に吸気ポート噴射する期間を燃圧が所定圧力を越えるまでとしたが、この吸気ポート噴射期間を、前記実施形態(1)の筒内噴射禁止期間と同じく、クランキング開始からの経過時間、サイクル数(噴射タイミングの回数)等によって設定しても良い。
[実施形態(5)]
上記実施形態(4)では、吸気ポート噴射によるウエットの存在を考慮して、吸気ポート噴射が終了してから所定期間経過後に筒内噴射を開始するようにしたが、図11に示す本発明の実施形態(5)では、吸気ポート噴射終了後に直ちに筒内噴射を開始する。この際、吸気ポート噴射終了後にウェット燃料の蒸発分が徐々に少なくなるのに対応させて筒内噴射開始後の噴射量(噴射パルス幅)を徐々に増加させる。このようにすれば、筒内噴射開始後にウエット燃料が残留していても、混合気の空燃比を一定化することができ、前記実施形態(4)と同じく、筒内噴射開始後の混合気の空燃比がウェット燃料の蒸発分によって過剰にリッチになることを防止できる。
上記実施形態(4)では、吸気ポート噴射によるウエットの存在を考慮して、吸気ポート噴射が終了してから所定期間経過後に筒内噴射を開始するようにしたが、図11に示す本発明の実施形態(5)では、吸気ポート噴射終了後に直ちに筒内噴射を開始する。この際、吸気ポート噴射終了後にウェット燃料の蒸発分が徐々に少なくなるのに対応させて筒内噴射開始後の噴射量(噴射パルス幅)を徐々に増加させる。このようにすれば、筒内噴射開始後にウエット燃料が残留していても、混合気の空燃比を一定化することができ、前記実施形態(4)と同じく、筒内噴射開始後の混合気の空燃比がウェット燃料の蒸発分によって過剰にリッチになることを防止できる。
11…燃料タンク、12…低圧ポンプ、14…高圧ポンプ、15…プレッシャレギュレータ、19…ピストン、20…カム軸、21…カム、22…燃圧制御弁、25…逆止弁、27…デリバリパイプ、28…筒内噴射用の燃料噴射弁、29…燃圧センサ(燃圧検出手段)、30…ECU(始動制御手段)、31…イグニッションスイッチ、40…筒内噴射エンジン、41…吸気ポート、42…吸気ポート噴射用の燃料噴射弁、43…デリバリパイプ。
Claims (1)
- 高圧ポンプにより燃料を高圧にして筒内噴射用の燃料噴射弁に供給し、この燃料噴射弁から燃料を筒内噴射する内燃機関の燃料噴射装置において、
前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力(以下「燃圧」という)を検出する燃圧検出手段と、
始動時に前記燃圧検出手段で検出された燃圧が所定圧力以下の時に前記燃料噴射弁による筒内噴射を禁止する始動制御手段とを備え、
前記所定圧力は、始動に必要な噴射燃料の微粒化を確保できる燃圧であり、目標燃圧よりも低い圧力に設定されるものであって、内燃機関の冷却水温に応じて設定されることを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。
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