JP2010086567A - 垂直磁気記録媒体の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 所定の周波数の試験信号の中で最適値を算出し、当該最適値に基づいて垂直磁気記録媒体を評価することで、垂直磁気記録媒体ごとに検出されるSNRのばらつきを抑制することができ、評価の信頼性を向上させることが可能となる。
【解決手段】 本発明は、円板状に形成された垂直磁気記録媒体100を評価する垂直磁気記録媒体の評価方法であって、垂直磁気記録媒体の円周方向に所定の範囲における複数の所定の周波数の試験信号を記録し、記録された信号の再生出力を所定の周波数ごとに連続的に測定しプロファイルを生成し、プロファイルにおけるピークを導出し、当該ピークにおける試験信号の周波数を抽出し、抽出した周波数の試験信号のシグナルノイズ比を測定し、測定したシグナルノイズ比に基づいて媒体を評価することを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、HDD(ハードディスクドライブ)などに搭載される垂直磁気記録媒体の評価方法に関する。
近年の情報処理の大容量化に伴い、各種の情報記録技術が開発されている。特に磁気記録技術を用いたHDDの面記録密度は年率100%程度の割合で増加し続けている。最近では、HDD等に用いられる2.5インチ径の磁気記録媒体にして、1枚あたり200GBを超える情報記録容量が求められるようになってきており、このような要請にこたえるためには1平方インチあたり400GBを超える情報記録密度を実現することが求められる。
HDD等に用いられる磁気記録媒体において高記録密度を達成するために、近年、垂直磁気記録方式の垂直磁気記録媒体が提案されている。垂直磁気記録方式は、磁気記録層の磁化容易軸が基板面に対して垂直方向に配向するよう調整されている。垂直磁気記録方式は従来の面内記録方式に比べて、超常磁性現象により記録信号の熱的安定性が損なわれ、記録信号が消失してしまう、いわゆる熱揺らぎ現象を抑制することができるので、高記録密度化に対して好適である。
垂直磁気記録方式に用いる磁気記録媒体としては、高い熱安定性と良好な記録特性を示すことから、CoCrPt−SiO垂直磁気記録媒体(非特許文献1参照)が提案されている。これは磁気記録層において、Coのhcp構造(六方最密結晶格子)の結晶が柱状に連続して成長した磁性粒子の間に、SiOが偏析した非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造を構成し、磁性粒子の微細化と保磁力Hcの向上をあわせて図るものである。非磁性の粒界(磁性粒子間の非磁性部分)には酸化物を用いることが知られており、例えばSiO、Cr、TiO、TiO、Taのいずれか1つを用いることが提案されている(特許文献1)。
上記の如く高記録密度化している磁気記録媒体であるが、今後さらなる記録密度の向上が要請されている。高記録密度化のために重要な要素としては、保磁力Hcや逆磁区核形成磁界Hnなどの静磁気特性の向上と、オーバーライト特性(OW特性)やSNR(Signal to Noise Ratio:シグナルノイズ比)などの電磁変換特性の向上、トラック幅の狭小化など様々なものがある。その中でもSNRの向上は、面積の小さな記録ビットにおいても正確に且つ高速に読み書きするために重要である。
そこで、磁気記録媒体に特定の周波数の試験信号を記録し、当該試験信号を再生したときの出力からSNRを測定することで良否を評価する評価方法が用いられている。
T. Oikawa et. al., IEEE Trans. Magn, vol.38, 1976-1978(2002) 特開2006−024346号公報
上述した特定の周波数の試験信号を記録・再生しSNRを測定する評価方法は、面内方式の磁気記録媒体(以下単に面内磁気記録媒体と称する。)においては、SNRの向上に伴ってビットエラーレート(BER:Bit Error Rate)が向上する関係にあり、装置や組織が異なっていても同様に媒体の評価を行うことができた。しかし垂直磁気記録媒体においては、かかる評価方法で測定したSNRと、ビットエラーレートとの間に相関がみられない、すなわち当該評価方法で測定したSNRが同じであっても、BERが異なるという問題がある。したがって、上述した評価方法では、測定装置により、または測定する組織(測定者)によって評価がまちまちとなってしまい、信頼性が乏しい。そのため、安定して同様の評価を行うことができる評価方法の確立が望まれていた。
本発明は、このような問題に鑑み、所定の周波数の試験信号の中で最適値を算出し、当該最適値に基づいて垂直磁気記録媒体を評価することで、垂直磁気記録媒体ごとに検出されるSNRのばらつきを抑制することができ、評価の信頼性を向上させることが可能な垂直磁気記録媒体の評価方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、円板状に形成された垂直磁気記録媒体を評価する垂直磁気記録媒体の評価方法であって、垂直磁気記録媒体を回転させ、当該垂直磁気記録媒体の円周方向に所定の範囲における複数の所定の周波数の試験信号を記録する信号記録工程と、再生ヘッドを垂直磁気記録媒体の円周方向に移動させつつ、記録された信号の再生出力を所定の周波数ごとに連続的に測定しプロファイルを生成する信号測定工程と、プロファイルにおけるピークを導出し、当該ピークにおける試験信号の周波数を抽出する周波数抽出工程と、抽出した周波数の試験信号のシグナルノイズ比を測定するSNR測定工程と、測定したシグナルノイズ比に基づいて媒体を評価する評価工程と、を含むことを特徴とする。
発明者は、面内磁気記録媒体では、再生信号の出力は試験信号の周波数に依存しているが、垂直磁気記録媒体では、最大の出力を得られる周波数の試験信号は、垂直磁気記録媒体ごとで異なることを見出した。さらに、発明者は、最大の出力で測定した場合には、SNRと、BERとの間には高い相関性があることを見出した。
そこで、上記信号測定工程および周波数抽出工程を含む構成により、所定の範囲で複数の所定の周波数の試験信号の出力を測定することで、垂直磁気記録媒体ごとにピークすなわち最大の出力が得られる試験信号の周波数を抽出することが可能となる。そして、SNR測定工程において、最大の出力が得られる周波数の試験信号でSNRを測定することができるため、垂直磁気記録媒体ごとに検出されるSNRのばらつきを抑制可能となり、安定してBERの評価を行うことができる。
上記課題を解決するために、本発明の他の代表的な構成は、円板状に形成された垂直磁気記録媒体を評価する垂直磁気記録媒体の評価方法であって、垂直磁気記録媒体を回転させ、当該垂直磁気記録媒体の円周方向に所定の範囲における複数の所定の周波数の試験信号を記録する信号記録工程と、再生ヘッドを垂直磁気記録媒体の円周方向に移動させつつ、記録された信号の再生出力を所定の周波数ごとに連続的に測定しプロファイルを生成する信号測定工程と、プロファイルにおけるピークを導出し、当該ピークにおける試験信号の周波数を抽出する周波数抽出工程と、抽出した周波数の試験信号のビットエラーレートを測定するBER測定工程と、測定したビットエラーレートに基づいて媒体を評価する評価工程と、を含むことを特徴とする。
上述したように発明者は、最大の出力で測定したSNRと、BERとの間には高い相関性があることを見出した。したがって、上記信号測定工程および周波数抽出工程を含む構成により、所定の範囲で複数の所定の周波数の試験信号の出力を測定することで、垂直磁気記録媒体ごとにピークすなわち最大の出力が得られる周波数を抽出することが可能となる。そして、BER測定工程において、最大の出力が得られる周波数の試験信号でBERを測定することができるため、垂直磁気記録媒体ごとに検出されるBERのばらつきを抑制可能となり、安定して評価を行うことができる。
上記課題を解決するために、本発明のさらに他の代表的な構成は、円板状に形成され、軟磁性層と、磁気記録層に含まれる結晶をグラニュラー構造として成長させる下地層と、当該磁気記録層とをこの順に備えた垂直磁気記録媒体を評価する垂直磁気記録媒体の評価方法であって、垂直磁気記録媒体を回転させ、当該垂直磁気記録媒体の円周方向に所定の範囲における複数の所定の周波数の試験信号を記録する信号記録工程と、再生ヘッドを垂直磁気記録媒体の円周方向に移動させつつ、記録された信号の再生出力を所定の周波数ごとに連続的に測定しプロファイルを生成する信号測定工程と、プロファイルにおけるピークを導出し、当該ピークにおける試験信号の周波数を抽出する周波数抽出工程と、抽出した周波数に基づいて、軟磁性層の膜厚もしくは下地層の膜厚のいずれかまたは両方を評価する膜厚評価工程と、を含むことを特徴とする。
発明者は、磁気記録層に含まれる結晶をグラニュラー構造として成長させる作用を有する下地層の膜厚および軟磁性層の膜厚が、ピークすなわち最大の出力が得られる試験信号の周波数に依存していることを見出した。すなわち、垂直磁気記録媒体への信号の書き込みが不十分であるとピークすなわち最大の出力が得られる試験信号の周波数が高周波側にシフトすることを見出した。
ここで下地層の膜厚が薄いほど磁気ヘッドと軟磁性層との距離が近いということになり、軟磁性層に到達する磁界が増加する。したがって、軟磁性層が磁気ヘッドの磁界を全て引き込むことができず、最大の出力が得られる試験信号(ピーク)の周波数が高くなることがわかった。また下地層の膜厚が厚いほど、磁気ヘッドと軟磁性層との距離が遠いということになり、磁気ヘッドから軟磁性層へ届く磁界が減少するため最大の出力が得られる試験信号(ピーク)の周波数が低くなることがわかった。
そこで、上記構成により、軟磁性層の膜厚を所定値として最大の出力が得られる試験信号の周波数を抽出するだけで、下地層の膜厚を評価することが可能となる。したがって、ユーザが所望するSNRが得られていない場合、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値よりも小さければ、下地層の膜厚が厚すぎることがわかり、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値より大きければ、下地層以外(例えば、反磁界が強い等)に起因してSNRが低下していることを判断することができる。
一方、軟磁性層の膜厚が薄いほど、軟磁性層において磁気ヘッドからの磁界を十分に引き込むことができなくなるため、最大の出力が得られる試験信号(ピーク)の周波数が高くなることがわかった。また軟磁性層の膜厚が厚いほど、軟磁性層において磁気ヘッドからの磁界を十分に引き込むことができるため、最大の出力が得られる試験信号(ピーク)の周波数が低くなることがわかった。
そこで、上記構成により、下地層の膜厚を所定値として最大の出力が得られる試験信号の周波数を抽出するだけで、軟磁性層の膜厚を評価することが可能となる。したがって、ユーザが所望するSNRが得られていない場合、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値よりも小さければ、軟磁性層の膜厚が厚すぎることがわかり、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値より大きければ、軟磁性層以外(例えば、反磁界が強い等)に起因してSNRが低下していることを判断することができる。
信号記録工程における所定の範囲は、1MHzから150MHzであってもよい。1MHzから150MHzの低周波数の範囲であれば、垂直磁気記録媒体において最大の出力が得られる試験信号の周波数を十分に捉えることができる。
本発明にかかる垂直磁気記録媒体の評価方法は、所定の周波数の試験信号の中で最適値を算出し、当該最適値に基づいて垂直磁気記録媒体を評価することで、垂直磁気記録媒体ごとに検出されるSNRのばらつきを抑制することができ、評価の信頼性を向上させることが可能となる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の評価方法(以下単に、評価方法と称する。)の処理の流れを示したフローチャートである。
まず、円板状に形成された垂直磁気記録媒体を回転させ、当該垂直磁気記録媒体の円周方向に、所定の範囲(本実施形態では、1MHzから150MHz)における複数(例えば、10)の所定の周波数の試験信号を記録する(S100:信号記録工程)。
次に、再生ヘッドを垂直磁気記録媒体の円周方向に移動させつつ、記録された信号の再生出力を所定の周波数ごとに連続的に測定しプロファイルを生成する(S102:信号測定工程)。
信号測定工程S102で生成したプロファイルにおけるピークを導出し、当該ピークにおける試験信号の周波数を抽出する(S104:周波数抽出工程)。そして、抽出した周波数の試験信号のSNRを測定し(S106:SNR測定工程)、測定したSNRに基づいて媒体を評価する(S108:評価工程)。たとえば、所望するSNRが得られれば、良品と評価し出荷可能とし、得られなければ不良品とする等である。
発明者は、面内磁気記録媒体では、再生信号の出力は試験信号の周波数に依存しているが、垂直磁気記録媒体では、最大の出力を得られる周波数の試験信号は、垂直磁気記録媒体ごとで異なることを見出した。さらに、発明者は、最大の出力で測定したSNRと、BERとの間には高い相関性があることに注目した。
そこで、上記信号測定工程S102および周波数抽出工程S104を含む構成により、所定の範囲で複数の所定の周波数の試験信号の出力を測定することで、垂直磁気記録媒体ごとにピークすなわち最大の出力が得られる試験信号の周波数を抽出することが可能となる。そして、SNR測定工程S106において、最大の出力が得られる周波数の試験信号でSNRを測定することができるため、垂直磁気記録媒体ごとに検出されるSNRのばらつきを抑制可能となり、安定して評価を行うことができる。
次に本実施形態にかかる評価方法の評価対象である垂直磁気記録媒体の構成について説明する。
図2は、本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体100の構成を説明する図である。図2に示す垂直磁気記録媒体100は、ディスク基体110、付着層112、第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114c、前下地層116、第1下地層118a、第2下地層118b、非磁性グラニュラー層120、第1磁気記録層122a、第2磁気記録層122b、補助記録層124、媒体保護層126、潤滑層128で構成されている。なお第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114cは、あわせて軟磁性層114を構成する。第1下地層118aと第2下地層118bはあわせて下地層118を構成する。第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122bとはあわせて磁気記録層122を構成する。
[基体成型工程]
ディスク基体110は、アモルファスのアルミノシリケートガラスをダイレクトプレスで円板状に成型したガラスディスクを用いることができる。なおガラスディスクの種類、サイズ、厚さ等は特に制限されない。ガラスディスクの材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、又は、結晶化ガラス等のガラスセラミックなどが挙げられる。このガラスディスクに研削、研磨、化学強化を順次施し、化学強化ガラスディスクからなる平滑な非磁性のディスク基体110を得ることができる。
[成膜工程]
上述した基体成型工程で得られたディスク基体110上に、DCマグネトロンスパッタリング法にて付着層112、軟磁性層114、前下地層116、下地層118、非磁性グラニュラー層120、磁気記録層122、補助記録層124を順次成膜を行い、媒体保護層126はCVD法により成膜する(保護層成膜工程)。この後、潤滑層128をディップコート法により成膜する(潤滑層成膜工程)。なお、生産性が高いという点で、インライン型成膜方法を用いることも好ましい。以下、各層の構成および製造方法について説明する。
付着層112はディスク基体110に接して形成され、この上に成膜される軟磁性層114とディスク基体110との剥離強度を高める機能と、この上に成膜される各層の結晶グレインを微細化及び均一化させる機能を備えている。付着層112は、ディスク基体110がアモルファスガラスからなる場合、そのアモルファスガラス表面に対応させる為にアモルファス(非晶質)の合金膜とすることが好ましい。
付着層112としては、例えばCrTi系非晶質層、CoW系非晶質層、CrW系非晶質層、CrTa系非晶質層、CrNb系非晶質層から選択することができる。中でもCoW系合金膜は、微結晶を含むアモルファス金属膜を形成するので特に好ましい。付着層112は単一材料からなる単層でも良いが、複数層を積層して形成してもよい。例えばCrTi層の上にCoW層またはCrW層を形成してもよい。またこれらの付着層112は、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、又は酸素を含む材料によってスパッタを行うか、もしくは表面層をこれらのガスで暴露したものであることが好ましい。
軟磁性層114は、垂直磁気記録方式において記録層に垂直方向に磁束を通過させるために、記録時に一時的に磁路を形成する層である。軟磁性層114は第1軟磁性層114aと第2軟磁性層114cの間に非磁性のスペーサ層114bを介在させることによって、AFC(Antiferro-magnetic exchange coupling:反強磁性交換結合)を備えるように構成することができる。これにより軟磁性層114の磁化方向を高い精度で磁路(磁気回路)に沿って整列させることができ、磁化方向の垂直成分が極めて少なくなるため、軟磁性層114から生じるノイズを低減することができる。第1軟磁性層114a、第2軟磁性層114cの組成としては、CoTaZrなどのコバルト系合金、CoCrFeB、CoFeTaZrなどのCo−Fe系合金、[Ni−Fe/Sn]n多層構造のようなNi−Fe系合金などを用いることができる。
前下地層116は非磁性の合金層であり、軟磁性層114を防護する作用と、この上に成膜される下地層118に含まれる六方最密充填構造(hcp構造)の磁化容易軸をディスク垂直方向に配向させる機能を備える。前下地層116は面心立方構造(fcc構造)の(111)面がディスク基体110の主表面と平行となっていることが好ましい。また前下地層116は、これらの結晶構造とアモルファスとが混在した構成としてもよい。前下地層116の材質としては、Ni、Cu、Pt、Pd、Zr、Hf、Nb、Taから選択することができる。さらにこれらの金属を主成分とし、Ti、V、Cr、Mo、Wのいずれか1つ以上の添加元素を含む合金としてもよい。例えばfcc構造を採る元素としてはNiW、CuW、CuCrを好適に選択することができる。
下地層118はhcp構造であって、磁気記録層122のCoのhcp構造の結晶をグラニュラー構造として成長させる作用を有している。したがって、下地層118の結晶配向性が高いほど、すなわち下地層118の結晶の(0001)面がディスク基体110の主表面と平行になっているほど、磁気記録層122の配向性を向上させることができる。下地層118の材質としてはRuが代表的であるが、その他に、RuCr、RuCoから選択することができる。Ruはhcp構造をとり、また結晶の格子間隔がCoと近いため、Coを主成分とする磁気記録層122を良好に配向させることができる。
下地層118をRuとした場合において、スパッタ時のガス圧を変更することによりRuからなる2層構造とすることができる。具体的には、下層側の第1下地層118aを形成する際にはArのガス圧を所定圧力、すなわち低圧にし、上層側の第2下地層118bを形成する際には、下層側の第1下地層118aを形成するときよりもArのガス圧を高くする、すなわち高圧にする。これにより、第1下地層118aによる磁気記録層122の結晶配向性の向上、および第2下地層118bによる磁気記録層122の磁性粒子の粒径の微細化が可能となる。
また、ガス圧を高くするとスパッタリングされるプラズマイオンの平均自由行程が短くなるため、成膜速度が遅くなり、皮膜が粗になるため、Ruの結晶粒子の分離微細化を促進することができ、Coの微細化も可能となる。
非磁性グラニュラー層120はグラニュラー構造を有する非磁性の層である。下地層118のhcp結晶構造の上に非磁性のグラニュラー層を形成し、この上に第1磁気記録層122a(または磁気記録層122)のグラニュラー層を成長させることにより、磁性のグラニュラー層を初期成長の段階(立ち上がり)から分離させる作用を有している。これにより、磁気記録層122の磁性粒子の孤立化を促進することができる。非磁性グラニュラー層120の組成は、Co系合金からなる非磁性の結晶粒子の間に、非磁性物質を偏析させて粒界を形成することにより、グラニュラー構造とすることができる。
本実施形態においては、かかる非磁性グラニュラー層120にCoCr−SiOを用いる。これにより、Co系合金(非磁性の結晶粒子)の間にSiO(非磁性物質)が偏析して粒界を形成し、非磁性グラニュラー層120がグラニュラー構造となる。なお、CoCr−SiOは一例であり、これに限定されるものではない。他には、CoCrRu−SiOを好適に用いることができ、さらにRuに代えてRh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Au(金)も利用することができる。また非磁性物質とは、磁性粒(磁性グレイン)間の交換相互作用が抑制、または、遮断されるように、磁性粒の周囲に粒界部を形成しうる物質であって、コバルト(Co)と固溶しない非磁性物質であればよい。例えば酸化珪素(SiOx)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)を例示できる。
なお本実施形態では、下地層188(第2下地層188b)の上に非磁性グラニュラー層120を設けているが、これに限定されるものではなく、非磁性グラニュラー層120を設けずに垂直磁気記録媒体100を構成することも可能である。
磁気記録層122は、Co系合金、Fe系合金、Ni系合金から選択される硬磁性体の磁性粒の周囲に非磁性物質を偏析させて粒界を形成した柱状のグラニュラー構造を有した強磁性層である。この磁性粒は、非磁性グラニュラー層120を設けることにより、そのグラニュラー構造から継続してエピタキシャル成長することができる。本実施形態では組成および膜厚の異なる第1磁気記録層122aと、第2磁気記録層122bとから構成されている。第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122bは、いずれも非磁性物質としてはSiO、Cr、TiO、B、Fe等の酸化物や、BN等の窒化物、B等の炭化物を好適に用いることができる。本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体100は、ディスクリート型であるため、磁気記録層122がグラニュラー構造をとる構成により、SNRを向上させることが可能となる。
本実施形態では、第1磁気記録層122aにCoCrPt−Crを用いる。CoCrPt−Crは、CoCrPtからなる磁性粒(グレイン)の周囲に、非磁性物質であるCrおよびCr(酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒が柱状に成長したグラニュラー構造を形成した。この磁性粒は、非磁性グラニュラー層のグラニュラー構造から継続してエピタキシャル成長した。
また第2磁気記録層122bには、CoCrPt−SiO−TiOを用いる。第2磁気記録層122bにおいても、CoCrPtからなる磁性粒(グレイン)の周囲に非磁性物質であるCrおよびSiO、TiO(複合酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒が柱状に成長したグラニュラー構造を形成した。
なお、上記に示した第1磁気記録層122aおよび第2磁気記録層122bに用いた物質は一例であり、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122bで異なる材料(ターゲット)であるが、これに限定されず組成や種類が同じ材料であってもよい。非磁性領域を形成するための非磁性物質としては、例えば酸化珪素(SiO)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化鉄(Fe)、酸化ボロン(B)等の酸化物を例示できる。また、BN等の窒化物、B等の炭化物も好適に用いることができる。
さらに本実施形態では、第1磁気記録層122aにおいて1種類の、第2磁気記録層122bにおいて2種類の非磁性物質(酸化物)を用いているが、これに限定されるものではなく、第1磁気記録層122aまたは第2磁気記録層122bのいずれかまたは両方において2種類以上の非磁性物質を複合して用いることも可能である。このとき含有する非磁性物質の種類には限定がないが、本実施形態の如く特にSiOおよびTiOを含むことが好ましい。したがって、本実施形態とは異なり、磁気記録層122が1層のみで構成される場合、かかる磁気記録層122はCoCrPt−SiO−TiOからなることが好ましい。
補助記録層126は基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した磁性層である。補助記録層126は磁気記録層122に対して磁気的相互作用を有するように、隣接または近接している必要がある。補助記録層126の材質としては、例えばCoCrPt、CoCrPtB、またはこれらに微少量の酸化物を含有させて構成することができる。補助記録層126は逆磁区核形成磁界Hnの調整、保磁力Hcの調整を行い、これにより耐熱揺らぎ特性、OW特性、およびSNRの改善を図ることを目的としている。この目的を達成するために、補助記録層は垂直磁気異方性Kuおよび飽和磁化Msが高いことが望ましい。なお本実施形態において補助記録層126は磁気記録層122の上方に設けているが、下方に設けてもよい。
なお、「磁気的に連続している」とは磁性が連続していることを意味している。「ほぼ連続している」とは、補助記録層126全体で観察すれば一つの磁石ではなく、結晶粒子の粒界などによって磁性が不連続となっていてもよいことを意味している。粒界は結晶の不連続のみではなく、Crが偏析していてもよく、さらに微少量の酸化物を含有させて偏析させても良い。ただし補助記録層126に酸化物を含有する粒界を形成した場合であっても、磁気記録層122の粒界よりも面積が小さい(酸化物の含有量が少ない)ことが好ましい。補助記録層126の機能と作用については必ずしも明確ではないが、磁気記録層122のグラニュラー磁性粒と磁気的相互作用を有する(交換結合を行う)ことによってHnおよびHcを調整することができ、耐熱揺らぎ特性およびSNRを向上させていると考えられる。またグラニュラー磁性粒と接続する結晶粒子(磁気的相互作用を有する結晶粒子)がグラニュラー磁性粒の断面よりも広面積となるため磁気ヘッドから多くの磁束を受けて磁化反転しやすくなり、全体のOW特性を向上させるものと考えられる。
なお補助記録層124として、単一の層ではなく、高い垂直磁気異方性かつ高い飽和磁化Msを示す薄膜を形成するCGC構造(Coupled Granular Continuous)としてもよい。なおCGC構造は、グラニュラー構造を有する磁気記録層と、PdやPtなどの非磁性物質からなる薄膜のカップリング制御層と、CoBとPdとの薄膜を積層した交互積層膜からなる交換エネルギー制御層とから構成することができる。
媒体保護層126は、真空を保ったままカーボンをCVD法により成膜して形成する。媒体保護層126は、磁気ヘッドの衝撃から垂直磁気記録媒体100を防護するための層であり、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を含んで構成される。したがって、緻密で耐久性のある媒体保護層126とすることができる。
一般にCVD法によって成膜されたカーボンはスパッタ法によって成膜したものと比べて膜硬度が向上するので、磁気ヘッドからの衝撃に対してより有効に垂直磁気記録媒体100を防護することができる。
さらに本実施形態では、媒体保護層126を成膜した後さらに窒化処理工程を遂行する。窒化処理工程は、保護層成膜工程のCVDチャンバと同一のCVDチャンバで気体をエチレンから窒素に変更して行う。詳しくはチャンバ内に窒素を導入してプラズマ化し、基体に高周波バイアスをかけて窒素イオンをカーボン層に打ち込む(窒素トリートメント)。なお窒化炭素を用いたCVD法やスパッタリング法によって窒化炭素膜を形成してもよい。
潤滑層128は、PFPE(パーフロロポリエーテル)をディップコート法により成膜する。PFPEは長い鎖状の分子構造を有し、末端に水酸基(OH)を配している。PFPEの末端に配される水酸基は媒体保護層126の表面に存在する窒素と高い親和性がある。したがって、本実施形態にかかる保護層成膜工程および窒化処理工程を含むことにより媒体保護層126の表面に窒素を含有させることが可能となり、潤滑層128の媒体保護層126に対する付着率(BR)を向上させることができる。この潤滑層128の作用により、垂直磁気記録媒体100の表面に磁気ヘッドが接触しても、媒体保護層126の損傷や欠損を防止することができる。
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、最大の出力が得られる試験信号の周波数を抽出し、最大の出力が得られる周波数の試験信号でSNRを測定するSNR測定工程を含む構成により、垂直磁気記録媒体ごとに検出されるSNRのばらつきを抑制可能な評価方法について説明したが、抽出した最大の出力が得られる周波数の試験信号でBERを測定することでも安定して垂直磁気記録媒体を評価することが可能となる。
本実施形態では、かかる評価方法について説明する。なお、上述した第1実施形態と実質的に等しい構成および処理については、同一の符号を付して説明を省略する。
図3は、本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の評価方法の処理の流れを示したフローチャートである。
周波数抽出工程S104において、抽出した周波数の試験信号のBERを測定し(S106:BER測定工程)、測定したBERに基づいて媒体を評価する(S208:評価工程)。
上述したように発明者は、最大の出力で測定したSNRと、BERとの間には高い相関性があることを見出した。したがって、上述した第1実施形態と同様に信号測定工程S102および周波数抽出工程S104を含む構成により、所定の範囲で複数の所定の周波数の試験信号の出力を測定することで、垂直磁気記録媒体ごとにピークすなわち最大の出力が得られる周波数を抽出することが可能となる。そして、BER測定工程S206において、最大の出力が得られる周波数の試験信号でBERを測定することができるため、垂直磁気記録媒体ごとに検出されるBERのばらつきを抑制可能となり、安定して評価を行うことができる。
(第3実施形態)
発明者は、磁気記録層122に含まれる結晶をグラニュラー構造として成長させる作用を有する下地層118の膜厚が、上述した第1実施形態および第2実施形態における信号測定工程S102で生成したプロファイルにおけるピークすなわち最大の出力が得られる試験信号の周波数に依存していることを見出した。
本実施形態では、最大の出力が得られる試験信号の周波数に基づいて下地層の膜厚を評価する評価方法について説明する。なお、上述した第1実施形態および第2実施形態と実質的に等しい構成および処理については、同一の符号を付して説明を省略する。
図4は、本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の評価方法の処理の流れを示したフローチャートである。
周波数抽出工程S104において、抽出した周波数に基づいて、軟磁性層114の膜厚もしくは下地層118の膜厚のいずれかまたは両方を評価する(S306:膜厚評価工程)。
発明者は、軟磁性層114の膜厚を所定値とした場合、下地層118の膜厚が薄いほど、最大の出力が得られる試験信号の周波数が高くなることを見出しているため、膜厚評価工程S306を含む構成により、最大の出力が得られる試験信号の周波数を抽出するだけで、下地層118の膜厚を評価することが可能となる。したがって、ユーザが所望するSNRが得られていない場合、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値よりも小さければ、下地層118の膜厚が厚すぎることがわかり、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値より大きければ、下地層118以外(例えば、反磁界が強い等)に起因してSNRが低下していることを判断することができる。
換言すれば、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値よりも小さければ、下地層118の膜厚を薄くすればSNRを向上させることができ、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値より大きければ、磁気記録層122の膜厚を厚くして磁化異方性を向上させ反磁界の影響を低減させることでSNRを向上させる等の対策の指標とすること可能となる。
また、発明者は、下地層118の膜厚を所定値とした場合、軟磁性層114の膜厚が薄いほど、最大の出力が得られる試験信号の周波数が高くなることを見出しているため、膜厚評価工程S306を含む構成により、最大の出力が得られる試験信号の周波数を抽出するだけで、軟磁性層114の膜厚を評価することが可能となる。したがって、ユーザが所望するSNRが得られていない場合、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値よりも小さければ、軟磁性層114の膜厚が厚すぎることがわかり、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値より大きければ、軟磁性層114以外(例えば、反磁界が強い等)に起因してSNRが低下していることを判断することができる。
換言すれば、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値よりも小さければ、軟磁性層114の膜厚を薄くすればSNRを向上させることができ、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値より大きければ、磁気記録層122の膜厚を厚くして磁化異方性を向上させ反磁界の影響を低減させることでSNRを向上させる等の対策の指標とすること可能となる。
(実施例と評価)
ディスク基体110上に、真空引きを行った成膜装置を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法にてAr雰囲気中で、付着層112から補助記録層124まで順次成膜を行った。付着層112は、CrTiとした。軟磁性層114は、第1軟磁性層114a、第2軟磁性層114cの組成はCoFeTaZrとし、スペーサ層114bの組成はRuとした。前下地層116の組成はfcc構造のNiW合金とした。下地層118は、第1下地層118aは低圧Ar下でRuを成膜し、第2下地層118bは高圧Ar下でRuを成膜した。非磁性グラニュラー層120の組成は非磁性のCoCr−SiOとした。第1磁気記録層122aの組成は、CoCrPt−Crとし、第2磁気記録層122bの組成は、CoCrPt−SiO−TiOとした。補助記録層124の組成はCoCrPtBとした。媒体保護層126はCVD法によりCを用いて成膜し、同一チャンバ内で、窒素を導入して窒化処理を行った。潤滑層128はディップコート法によりPFPEを用いて形成した。
得られた垂直磁気記録媒体100を上述した第1実施形態および第3実施形態に記載した評価方法で評価した。
図5は、比較例として面内磁気記録媒体の出力を測定した結果および実施例の出力を測定した結果を示す図であり、図5(a)は比較例の出力を、図5(b)は実施例の出力を示す。ここでは、記録ヘッドを用いて、1から330MHzの範囲における24の所定の周波数の試験信号を記録し、再生ヘッドを用いて、それぞれ信号を再生した。そして得られた再生信号波形の出力電圧の振幅の大きさ(Peak to Peak)を測定し、出力すなわち磁気信号強度(TAA:Track Average Amplitude)とした。また、本評価方法においては、TAAの最大値を100%として正規化した。
図5(a)に示すように、比較例としての面内磁気記録媒体においては、周波数が高周波数になるにつれて出力が低下する関係にあり、装置や組織(測定者)が異なっていても同様に媒体の評価を行うことができることがわかる。
一方、図5(b)に示すように、実施例では、垂直磁気記録媒体によって、試験信号において最大の出力が得られる周波数(ピーク)が異なることがわかる。
図6は、従来の特定の周波数の試験信号を記録・再生しSNRを測定する評価方法と本実施形態にかかる評価方法とを比較する比較図である。図6中、従来の評価方法の結果を黒四角で、実施形態にかかる評価方法の結果を白丸で示す。
図6に示すように、従来の評価方法でSNRを測定した場合、BERとの間に相関がみられない。一方、実施形態にかかる評価方法においては、SNRの向上に伴ってBERがほぼ直線的に向上しており、相関があるといえる。
したがって、上述した第1実施形態にかかる評価方法を用いれば、最大の出力が得られる周波数の試験信号でSNRを測定することができるため、垂直磁気記録媒体ごとに検出されるSNRのばらつきを抑制可能となり、安定してBERの評価を行うことができる。
また、図5(b)に示すように、ここでは、軟磁性層114の膜厚を所定値(例えば、50nm)で固定し、下地層118の膜厚の異なる実施例(実施例AからD)を実施形態にかかる評価方法で評価した。なお、図5(b)中、実施例Aを四角で、実施例Bを黒丸で、実施例Cを三角で、実施例Dを白丸で示し、下地層118の膜厚は、実施例A>B>C>Dとした。
図5(b)に示すように、磁気記録層122に含まれる結晶をグラニュラー構造として成長させる作用を有する下地層118の膜厚が、ピークすなわち最大の出力が得られる試験信号の周波数に依存していることがわかる。すなわち、下地層118の膜厚が薄いほど、最大の出力が得られる試験信号の周波数が高くなることがわかった。これは下地層118の膜厚が薄いほど磁気ヘッドと軟磁性層114との距離が近いということになり、軟磁性層114に到達する磁界が増加することに起因する。つまり、軟磁性層114が磁気ヘッドの磁界を全て引き込むことができず、最大の出力が得られる試験信号(ピーク)の周波数が高くなるからである。また下地層118の膜厚が厚いほど、磁気ヘッドと軟磁性層114との距離が遠いということになり、磁気ヘッドから軟磁性層114へ届く磁界が減少するため最大の出力が得られる試験信号(ピーク)の周波数が低くなる。
そこで、上記第3実施形態の構成により、軟磁性層114の膜厚を所定値に固定し、最大の出力が得られる試験信号の周波数を抽出するだけで、下地層118の膜厚を評価することが可能となる。したがって、ユーザが所望するSNRが得られていない場合、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値よりも小さければ、下地層118の膜厚が厚すぎることがわかり、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値より大きければ、下地層118以外(例えば、反磁界が強い等)に起因してSNRが低下していることを判断することができる。
本実施例では、軟磁性層114の膜厚を所定値に固定し、下地層118の膜厚を変化させて、評価を行ったが、下地層118の膜厚を所定値に固定し、軟磁性層114の膜厚を変化させて評価を行うこともできる。この際、発明者は、軟磁性層114の膜厚が薄いほど、軟磁性層114において磁気ヘッドからの磁界を十分に引き込むことができなくなるため、最大の出力が得られる試験信号(ピーク)の周波数が高くなり、軟磁性層114の膜厚が厚いほど、軟磁性層114において磁気ヘッドからの磁界を十分に引き込むことができるため、最大の出力が得られる試験信号(ピーク)の周波数が低くなることを見出している。
そこで、下地層118の膜厚を所定値として最大の出力が得られる試験信号の周波数を抽出するだけで、軟磁性層114の膜厚を評価することが可能となる。したがって、ユーザが所望するSNRが得られていない場合、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値よりも小さければ、軟磁性層114の膜厚が厚すぎることがわかり、最大の出力が得られる試験信号の周波数が所定値より大きければ、軟磁性層114以外(例えば、反磁界が強い等)に起因してSNRが低下していることを判断することができる。
以上説明したように、本実施例にかかる垂直磁気記録媒体の評価方法によれば、所定の周波数の試験信号の中で最適値を算出し、当該最適値に基づいて垂直磁気記録媒体100を評価することで、垂直磁気記録媒体100ごとに検出されるSNRのばらつきを抑制することができ、評価の信頼性を向上させることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上述した実施形態では、垂直磁気記録媒体を挙げて説明したが、本発明は、ディスクリート型、ビットパターン型等のパターンドメディアにも好適に利用することができる。
なお、本明細書の垂直磁気記録媒体の評価方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
本発明は、垂直磁気記録方式のHDD(ハードディスクドライブ)などに搭載される垂直磁気記録媒体の評価方法として利用することができる。
第1実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の評価方法の処理の流れを示したフローチャートである。 第1実施形態にかかる垂直磁気記録媒体100の構成を説明する図である。 第2実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の評価方法の処理の流れを示したフローチャートである。 第3実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の評価方法の処理の流れを示したフローチャートである。 比較例として面内磁気記録媒体の出力を測定した結果および実施例の出力を測定した結果を示す図である。 従来の特定の周波数の試験信号を記録・再生しSNRを測定する評価方法と本実施形態にかかる評価方法とを比較する比較図である。
符号の説明
100 …垂直磁気記録媒体
110 …ディスク基体
112 …付着層
114 …軟磁性層
114a …第1軟磁性層
114b …スペーサ層
114c …第2軟磁性層
116 …前下地層
118 …下地層
118a …第1下地層
118b …第2下地層
120 …非磁性グラニュラー層
122 …磁気記録層
122a …第1磁気記録層
122b …第2磁気記録層
124 …補助記録層
126 …媒体保護層
128 …潤滑層

Claims (4)

  1. 円板状に形成された垂直磁気記録媒体を評価する垂直磁気記録媒体の評価方法であって、
    前記垂直磁気記録媒体を回転させ、該垂直磁気記録媒体の円周方向に所定の範囲における複数の所定の周波数の試験信号を記録する信号記録工程と、
    再生ヘッドを前記垂直磁気記録媒体の円周方向に移動させつつ、前記記録された信号の再生出力を前記所定の周波数ごとに連続的に測定しプロファイルを生成する信号測定工程と、
    前記プロファイルにおけるピークを導出し、該ピークにおける試験信号の周波数を抽出する周波数抽出工程と、
    前記抽出した周波数の試験信号のシグナルノイズ比を測定するSNR測定工程と、
    前記測定したシグナルノイズ比に基づいて媒体を評価する評価工程と、
    を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体の評価方法。
  2. 円板状に形成された垂直磁気記録媒体を評価する垂直磁気記録媒体の評価方法であって、
    前記垂直磁気記録媒体を回転させ、該垂直磁気記録媒体の円周方向に所定の範囲における複数の所定の周波数の試験信号を記録する信号記録工程と、
    再生ヘッドを前記垂直磁気記録媒体の円周方向に移動させつつ、前記記録された信号の再生出力を前記所定の周波数ごとに連続的に測定しプロファイルを生成する信号測定工程と、
    前記プロファイルにおけるピークを導出し、該ピークにおける試験信号の周波数を抽出する周波数抽出工程と、
    前記抽出した周波数の試験信号のビットエラーレートを測定するBER測定工程と、
    前記測定したビットエラーレートに基づいて媒体を評価する評価工程と、
    を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体の評価方法。
  3. 円板状に形成され、軟磁性層と、磁気記録層に含まれる結晶をグラニュラー構造として成長させる下地層と、該磁気記録層とをこの順に備えた垂直磁気記録媒体を評価する垂直磁気記録媒体の評価方法であって、
    前記垂直磁気記録媒体を回転させ、該垂直磁気記録媒体の円周方向に所定の範囲における複数の所定の周波数の試験信号を記録する信号記録工程と、
    再生ヘッドを前記垂直磁気記録媒体の円周方向に移動させつつ、前記記録された信号の再生出力を前記所定の周波数ごとに連続的に測定しプロファイルを生成する信号測定工程と、
    前記プロファイルにおけるピークを導出し、該ピークにおける試験信号の周波数を抽出する周波数抽出工程と、
    前記抽出した周波数に基づいて、前記軟磁性層の膜厚もしくは下地層の膜厚のいずれかまたは両方を評価する膜厚評価工程と、
    を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体の評価方法。
  4. 前記信号記録工程における所定の範囲は、1MHzから150MHzであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体の評価方法。
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