JP2010084083A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エポキシ樹脂(A)、コアシェル粒子(B)および硬化剤(C)を主成分とするエポキシ樹脂組成物であって、前記コアシェル粒子(B)においてシェルが0.5〜20.0質量%であり、前記コアおよび前記シェルは特定の重合体からなり、前記コアシェル粒子(B)が特定の粒子径であり、前記エポキシ樹脂(A)と前記コアシェル粒子(B)との質量比が、(A):(B)=100:5超150未満であり、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンの合計濃度が20ppm以下である、エポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1および2には優れた性質を有する接着剤として、エポキシ樹脂にコアシェル型粒子を含有させ、さらに特定の他の成分を含有させたエポキシ樹脂組成物が記載されている。
(1)エポキシ樹脂(A)、コアシェル粒子(B)および硬化剤(C)を主成分とするエポキシ樹脂組成物であって、前記コアシェル粒子(B)はコアおよびシェルからなり、前記シェルが0.5〜20.0質量%であり、前記コアはガラス転移温度が−30℃以下の重合体からなり、前記シェルはガラス転移温度が70℃以上のアクリル系重合体からなり、前記コアシェル粒子(B)の1次粒子径の平均が0.05〜0.3μmであり、前記エポキシ樹脂(A)と前記コアシェル粒子(B)との質量比が、(A):(B)=100:5超150未満であり、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンの合計濃度が20ppm以下である、エポキシ樹脂組成物。
(2)前記コアがアクリル系重合体、シリコン系重合体、スチレン/ブタジエン系重合体およびブタジエン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つからなる、上記(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
本発明は、エポキシ樹脂(A)、コアシェル粒子(B)および硬化剤(C)を主成分とするエポキシ樹脂組成物であって、前記コアシェル粒子(B)はコアおよびシェルからなり、前記シェルが0.5〜20.0質量%であり、前記コアはガラス転移温度が−30℃以下の重合体からなり、前記シェルはガラス転移温度が70℃以上のアクリル系重合体からなり、前記コアシェル粒子(B)の1次粒子径の平均が0.05〜0.3μmであり、前記エポキシ樹脂(A)と前記コアシェル粒子(B)との質量比が、(A):(B)=100:5超150未満であり、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンの合計濃度が20ppm以下である、エポキシ樹脂組成物である。
このようなエポキシ樹脂組成物を、以下では「本発明の組成物」ともいう。
なお、「主成分」とは60質量%以上であることを意味する。すなわち、本発明の組成物におけるエポキシ樹脂(A)、コアシェル粒子(B)および硬化剤(C)の合計含有率は60質量%以上である。この比率は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量、すなわち他の成分を実質的に含まないことがさらに好ましい。
本発明の組成物が含有するエポキシ樹脂(A)は、特に限定されず、例えば、従来、接着剤に含まれるエポキシ樹脂を用いることができる。
例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型のようなビスフェニル基を有するエポキシ化合物、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型のエポキシ化合物、ナフタレン環を有するエポキシ化合物、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、フルオレン基を有するエポキシ化合物等の二官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、三官能型、テトラフェニロールエタン型のような多官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ダイマー酸のような合成脂肪酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;N,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリンのようなグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂;トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を有するエポキシ化合物(例えば、ジシクロペンタジエンとm−クレゾールのようなクレゾール類またはフェノール類を重合させた後、エピクロルヒドリンを反応させる製造方法によって得られるエポキシ化合物)等が挙げられる。
また、例えば、東レ・ファインケミカル社製のフレップ10のようなエポキシ樹脂主鎖に硫黄原子を有するエポキシ樹脂;ポリブタジエン、液状ポリアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)のようなゴムを含有するゴム変性エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ソルビトール型エポキシ樹脂、ポリグリセロール型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂のような分子内にアセトアセテート基を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は1種用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
本発明の組成物が含有するコアシェル粒子(B)は、シェルがコアを覆う構造(コア/シェル構造)である。略球形のコアをシェルが覆い、コアシェル粒子(C)の全体として略球形であることがより好ましい。
コアを形成する物質は、ガラス転移温度が−30℃以下の重合体であれば特に限定されない。この温度は−110〜−30℃であることが好ましく、−110〜−40℃であることがより好ましい。理由は、低温での弾性率を下げ、剥離強度を上げることができるからである。
なお、コアにおけるガラス転移温度は、動的な粘弾性測定におけるtanδのピーク値の温度をいう。シェルにおけるガラス転移温度も同様とする。
これらの重合体について順に説明する。
これらの架橋性単量体は、得られる重合体のTgが−30℃以下となる範囲で単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、単量体全重量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましい。
また、ポリシロキサンゴム系弾性体を使用することも可能である。ポリシロキサンゴム系弾性体は、例えばジメチルシリルオキシ、メチルフェニルシリルオキシ、ジフェニルシリルオキシ等の、アルキルまたはアリール2置換シリルオキシ単位から構成されるポリシロキサンゴムが挙げられる。また、このようなポリシロキサンゴムを使用する場合には、必要に応じて、重合時に多官能性のアルコキシシラン化合物を一部併用するか、ビニル反応性基を持ったシラン化合物をラジカル反応させること等により、予め架橋構造を導入しておくことがより好ましい。
これらの架橋性単量体は、得られる重合体のTgが−30℃以下となる範囲であれば、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、架橋性単量体の使用量は、単量体全重量に基づき、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましい。
スチレン/ブタジエン系重合体とは、上記のように重合してなるスチレンとブタジエンとを含む重合体を意味する。また、ブタジエン系重合体とは、ブタジエンを含む重合体であって、スチレン/ブタジエン系重合体以外のものを意味する。
シェルを形成する物質は、ガラス転移温度が70℃以上のアクリル系重合体である。ここでガラス転移温度は70〜200℃であることがより好ましく、80〜200℃であることがさらに好ましい。より高温で接着力を備える本発明の組成物が得られるからである。
なお、コアシェル粒子の1次粒子径の平均値はゼータ電位・粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社)を用いて測定して得た値を意味するものとする。
本発明の組成物が含有する硬化剤(C)は特に限定されず、通常エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものを用いることができる。例えばジシアンジアミド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2−n−ヘプタデシルイミダゾールのようなイミダゾール誘導体、イソフタル酸ジヒドラジド、N,N−ジアルキル尿素誘導体、N,N−ジアルキルチオ尿素誘導体、テトラヒドロ無水フタル酸のような酸無水物、イソホロンジアミン、m−フェニレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、メラミン、グアナミン、三フッ化ホウ素錯化合物、トリスジメチルアミノメチルフェノールなどを用いることができる。これらの中の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記に説明したようなエポキシ樹脂(A)、コアシェル粒子(B)および硬化剤(C)を特定の比率で含み、かつ、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンの合計濃度が20ppm以下である本発明の組成物は、被着体の腐食を抑制することができる。エポキシ樹脂(A)、コアシェル粒子(B)または硬化剤(C)のいずれかを含まなかったり、各々の含有率が本発明の組成物の場合と異なったりすると、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンの合計濃度を20ppm以下としても、本発明の組成物と同様の腐食防止能を奏さない場合がある。
なお、用意した5種類のコアシェル粒子(B)には、(B−1)〜(B−5)の記号を付し、各々の性状について第1表にまとめた。
・コアシェル粒子(B−1):RB−2756、三菱レイヨン社製
・コアシェル粒子(B−2):RB−2757、三菱レイヨン社製
・コアシェル粒子(B−3):EXL−2655、ローム・アンド・ハース社製
・コアシェル粒子(B−4):カネエースMX、カネカ社製
・コアシェル粒子(B−5):AC−3355、ガンツ化成社製
・硬化剤(C):サンエイドSI80L、三新化学社製
各成分の混合は、初めに、エポキシ樹脂(A)とコアシェル粒子(B)とを3本ロールで混練し、その後、硬化剤(C)を加えてコンディショニングミキサーで攪拌して行った。
ポリイミドフィルム(カプトン、東レ・デュポン社製:厚さ=25μm)を2枚用意し、一方のフィルムに得られた組成物を50mm×50mmの大きさで塗布した。
次に、塗布した組成物の表面に、他方のポリイミドフィルムを貼り合わせ、直ぐに3MPa、160℃で10秒間プレスした。
次に、プレス後のサンプルを1cm幅、長さ5cmに切出し、試験片とした。
そして、得られた試験片を、剥離試験機(デジタルフォースゲージ ZP、イマダ社製)を用いた180度剥離試験(JIS K6854)に供し、剥離強度を測定した。
剥離強度試験で用いたものと同じポリイミドフィルムを2枚用意し、一方のポリイミドフィルムに得られた各組成物を縦50mm、横50mmになるように塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥して溶剤を除去して、厚み25mmのフィルム状組成物を得た。次に、このフィルムの組成物塗布面に、他方のポリイミドフィルムを貼り合わせ、3MPa、160℃で10秒間の条件でプレスして接着させた。熱圧着後の組成物を目視にて観察し、下記式により熱圧着による組成物の広がり(%)を求めた。
また、コアシェル粒子(B)を150部含有させた比較例3に係る組成物は、粘性が高すぎ、混合することができなかった。
また、1次粒子径が0.50μmであるコアシェル粒子(B−5)を用いた比較例4に係る組成物の場合は、剥離強度は実施例と同程度であったが、流動性が低すぎるという結果となった。
Claims (2)
- エポキシ樹脂(A)、コアシェル粒子(B)および硬化剤(C)を主成分とするエポキシ樹脂組成物であって、
前記コアシェル粒子(B)はコアおよびシェルからなり、前記シェルが0.5〜20.0質量%であり、
前記コアはガラス転移温度が−30℃以下の重合体からなり、前記シェルはガラス転移温度が70℃以上のアクリル系重合体からなり、
前記コアシェル粒子(B)の1次粒子径の平均が0.05〜0.3μmであり、
前記エポキシ樹脂(A)と前記コアシェル粒子(B)との質量比が、(A):(B)=100:5超150未満であり、
ナトリウムイオンおよびカリウムイオンの合計濃度が20ppm以下である、エポキシ樹脂組成物。 - 前記コアがアクリル系重合体、シリコン系重合体、スチレン/ブタジエン系重合体およびブタジエン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つからなる、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
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