JP2010083075A - 耐端面赤錆性に優れたクロムフリー塗装鋼板 - Google Patents
耐端面赤錆性に優れたクロムフリー塗装鋼板 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 鋼板の一方の面、好ましくは裏面に1層の塗膜を備え、当該塗膜が次の条件を満たす亜鉛系めっき鋼板を基材とするクロムフリー塗装鋼板:塗膜の膜厚が2μm以上10μm以下、塗膜中の顔料の含有量が、乾燥塗膜重量に対し30質量%以上70質量%以下(塗膜の表面の水に対する接触角が60°超のとき)または15質量%以上70質量%以下(塗膜の表面の水に対する接触角が60°以下のとき)、および上記の顔料のうち、平均一次粒径1μm以上の顔料の合計量が乾燥塗膜重量に対し15質量%以上(塗膜表面の水との接触角が60°超のとき)または5質量%以上(塗膜表面の水との接触角が60°以下のとき)。
【選択図】なし
Description
特許文献5には、塗膜表面を親水性にすることにより切断端面や塗膜欠陥部に水が溜まりにくくなることで発錆を抑えたクロムフリー塗装鋼板について開示されている。
(1)亜鉛系めっき鋼板を基材とするクロムフリー塗装鋼板であって、当該鋼板の一方の面に1層の塗膜を備え、当該塗膜が下記(i)〜(iv)を満たすことを特徴とするクロムフリー塗装鋼板:
(i)前記塗膜の表面の水に対する接触角が60°超、
(ii)前記塗膜の膜厚が2μm以上10μm以下、
(iii)前記塗膜中の顔料の含有量が、乾燥塗膜重量に対し30質量%以上70質量%以下、および
(iv)前記顔料のうち、平均一次粒径1μm以上のものの合計量が乾燥塗膜重量に対し15質量%以上。
(i)前記塗膜の表面の水に対する接触角が60°以下、
(ii)前記塗膜の膜厚が2μm以上10μm以下、
(iii)前記塗膜中の顔料の含有量が、乾燥塗膜重量に対し15質量%以上70質量%以下、および
(iv)前記顔料のうち、平均一次粒径1μm以上のものの合計量が乾燥塗膜重量に対し5質量%以上。
(A)イオン交換水(電気伝導度:4μS/cm以下)に0.1質量%濃度で溶解させた時の水の電気伝導度が500μS/cm以上、
(B)200℃までに熱分解を生じない。
端面赤錆性に優れた本発明に係る塗装鋼板は、打ち抜き加工による剥き出しの端面が多く露出する、特に屋外で使用される製品、例えば、エアコン室外機や給湯器等に適用するのに適している。但し、本発明に係る塗装鋼板の用途はそれに限定されるものではない。
本発明の塗装鋼板では、端面からの赤錆発生に亜鉛の犠牲防食能を利用するので、基材鋼板は亜鉛を含有するめっき層を有する亜鉛系めっき鋼板、すなわち、亜鉛めっき鋼板もしくは亜鉛合金めっき鋼板またはこれらのめっきを基板と合金化させた合金化めっき鋼板とする。
塗装鋼板の製造では、塗膜密着性と耐食性を確保するため、塗装前に基材鋼板を前処理(塗装下地処理)するのが普通である。
裏面に備えられる本発明に係る1層の塗膜は、以下の(1)〜(4)を満たすものである:
(1)塗膜の表面の水に対する接触角が60°超、
(2)塗膜の膜厚が2μm以上10μm以下、
(3)塗膜中の顔料の含有量が、乾燥塗膜重量に対し30質量%以上70質量%以下、および
(4)この顔料のうち、平均一次粒径1μm以上の顔料の合計量が乾燥塗膜重量に対し15質量%以上。
(1)塗膜の表面の水に対する接触角が60°以下、
(2)塗膜の膜厚が2μm以上10μm以下、
(3)塗膜中の顔料の含有量が、乾燥塗膜重量に対し15質量%以上70質量%以下、および
(4)この顔料のうち、平均一次粒径1μm以上の顔料の合計量が乾燥塗膜重量に対し5質量%以上
ここで、「顔料」とは防錆や着色などを目的とした顔料全体をいう。また、乾燥塗膜重量(塗膜の乾燥状態での重量)を構成する成分として、バインダー成分、顔料、およびビーズなどの他の成分が挙げられる。
以下、本発明に係る1層の塗膜について詳しく説明する。
バインダー成分は、バインダーの主成分であるバインダー樹脂、硬化剤、およびその他の成分から構成される。
バインダー成分の乾燥塗膜重量に対する含有量は、15〜90質量%とすることが好ましい。バインダー成分の含有量が過度に多い場合には相対的に顔料の含有量が低下し、耐食性が低下したり、所望の色調の着色が困難となったりする。一方、その含有量が過度に低い場合には、塗膜自身の硬度は上昇し耐疵付き性は向上するが、塗膜自身の伸びが低下するため、加工性が低下したりする。特に好ましい含有量の範囲は乾燥塗膜重量に対して30〜85質量%である。
顔料の種類は特に限定されず、防錆顔料、着色顔料などいずれを用いてもよい。
防錆顔料の例としては、トリポリリン酸アルミニウム、リン酸および亜リン酸のZn、Mg、Al、Ti、Zr、およびCe塩、Caイオン交換シリカ、ならびに吸油量100〜1000ml/100g、比表面積200〜1000m2/g、平均粒径2〜30μmの非晶質シリカ粒子が挙げられる。
ii)イオン交換シリカ(例えばカルシウムイオン交換シリカ)、ならびに
iii)多孔質シリカ(例えば、吸油量:100〜1000ml/100g、比表面積:200〜1000m2/g、平均粒径:2〜30μmのもの)
からなる群から選ばれる1種または2種以上の合計量が乾燥塗膜重量に対し5質量%以上。このうち、ii)イオン交換シリカ、iii)多孔質シリカが特に好ましい。
本発明に係る1層の塗膜中に含まれる成分としては、上記のバインダー成分および顔料以外に、レベリング剤、外観の凹凸を得るためのビーズ、溶接性や電磁波シールド性を向上させるための導電粉、加工性を向上させるためのワックス等が挙げられ、これらを必要に応じて適宜含有させてもよい。
本発明に係る1層の塗膜の厚さは2〜10μmとする。耐端面赤錆性の観点からは塗膜の厚さが薄い方が有利であるが、2μm未満の場合には、塗膜による隠蔽性が得られにくくなり、裏面とはいえども外観の意匠性が低下することが懸念される。また、塗装面の耐食性も過度に低下するおそれがある。一方、塗膜が厚すぎると顔料の含有量を上記の範囲としても、端面の赤錆発生の抑制に必要な水分の塗膜透過量を確保することが困難となってしまう。なお、上述のように、塗膜の厚さは含有させた顔料の平均一次粒径以上とすることが好ましい。
おもて面の塗膜は特に制限されず、必要な性能、外観によって適宜設計されればよい。塗膜は1層で構成されていてもよいが、性能を安定的に確保するという観点から、2層以上の構成とされる場合が一般的である。
(A)イオン交換水(電気伝導度:4μS/cm以下)に0.1質量%濃度で溶解させた時の水の電気伝導度が500μS/cm以上、
(B)200℃までに熱分解を生じない。
本発明の塗装鋼板から、例えば、打ち抜き、プレス成型といった慣用の形状加工のための二次加工方法、すなわち成型加工により筐体を形成することができる。この筐体は耐端面赤錆性に優れているので、例えば、エアコン室外機や給湯器などの屋外で使用されることの多い機器のハウジングとして有用であり、雨水にさらされても、赤錆発生が抑制される。
板厚0.8mmの溶融亜鉛めっき鋼板(亜鉛付着量:片面当たり45g/m2、寸法:300×250mm)からなる塗装基材に、アルカリ脱脂および水洗を行った後、日本ペイント社製のシリカ系クロムフリー化成処理液(製品名:サーフコートEC2330)を用いて、この製品の指示通りに化成処理を両面に施した。この化成処理における付着量は、Si付着量として4〜8mg/m2であった。
塗装はバーコーターで行った。おもて面側の塗膜の厚みは、下塗り塗膜が8μm、上塗り塗膜が14.5μmに統一した。裏面については、1層のみの塗膜と2層の塗膜とを作成し、1層のみの塗膜の厚みは表5に示したとおりである。2層の塗膜は1層のみ塗膜を上塗りとするものであり(厚みは表5参照)、下塗り塗膜の厚みは5μmとした。
使用したベース塗料は次のとおりである。
(1)おもて面下塗り塗料:日本ファインコーティングス社製のポリエステル系塗料(FLC3900プライマーのクリアタイプ、主樹脂分子量10000以上、架橋剤:メラミン、主樹脂Tg約10℃にPWC(顔料の乾燥塗膜重量に対する含有量)でトリポリリン酸アルミを21%、チタニアを9%添加した塗料)。
i)NKC1250SCクリア:日本ファインコーティングス社製の低汚染性付与(シラノール基表面濃化)焼付け型ポリエステル樹脂塗料のクリアタイプ塗料。
iii)SRF05クリア:日本ファインコーティングス社製の焼付け型ポリエステル樹脂塗料のクリアタイプ(主樹脂分子量約8000、架橋剤:メラミン)。
・カルシウムイオン交換シリカ・・・富士シリシア化学製シールデックス、
・多孔質シリカ・・・洞海化学工業社製H−33、
・無孔質シリカ・・・・洞海化学工業社製NP−30、
・チタニア・・・石原産業社製タイペークCR−90
・リン酸二水素カリウム・・・一般試薬
(1)耐端面赤錆性試験
塗装鋼板の各サンプルについて、1cm×4cmの長方形サイズ(端面長さの和は10cm)の試験片をシャーリングにて10個ずつ切り出し(各サンプルにおける合計の端面長さは1m)、10個の試験片を別々にビーカー内のイオン交換水20ml中に浸漬する。ビーカーを40℃の恒温槽に120時間放置した後、試験片を取り出し、各試験片の端面からの赤錆発生状況(端面から発生した赤錆により変色した溶液の色調を観察)を測定する。評価基準は次の通りであり、○以上を合格とした:
◎:赤錆、白錆発生ほとんど無(溶液は透明でほとんど着色無し)、
○:白錆発生、赤錆発生ほとんど無し(溶液はやや白濁)、
△:赤錆あり(溶液中に赤錆の固形分が少しあり、溶液は赤茶色に着色)、
×:大量の赤錆発生(溶液中に赤錆の固形分が多量にあり、濃い赤茶色に着色)。
塗装鋼板の各サンプルから70mm×150mmのサイズの試験片をシャーリングにより切り出した試験片をJIS K5600 7−1に準拠した塩水噴霧試験機に240時間入れた後、おもて面を評価面として端面からの塗膜膨れ幅を測定して、耐食性を評価する。判定基準は、次の通りである(○以上が合格):
◎:基準板と比較して同等以下の最大塗膜膨れ幅(膨れ幅の差が0以下)
○:基準板と比較して同等の最大塗膜膨れ幅(膨れ幅の差が+1.0mm未満)、
×:基準板と比較して最大塗膜膨れ幅の増大(膨れ幅の差が+1.0mm以上)。
なお、基準板は表4に記載の試験No.51とした。
作製した塗装鋼板を30mm×60mmのサイズの試験片をシャーリングにより切り出した試験片を湿潤試験条件(温度:49℃、相対湿度95%以上:結露有り)に15時間静置してからブロアーで十分に乾燥させた後、裏面塗膜の水との接触角を測定した。接触角測定方法は、接触角測定器(協和界面科学、CA−A)を用い、マイクロシリンジから水滴を滴下した後30秒後の水との接触角で評価した。判定基準は、次の通りである。:
高:接触角が60°より大きい
低:接触角が60°以下
試験結果を表5に示す。
Claims (8)
- 亜鉛系めっき鋼板を基材とするクロムフリー塗装鋼板であって、
当該鋼板の一方の面に1層の塗膜を備え、当該塗膜が下記(1)〜(4)を満たすことを特徴とするクロムフリー塗装鋼板:
(1)前記塗膜の表面の水に対する接触角が60°超、
(2)前記塗膜の膜厚が2μm以上10μm以下、
(3)前記塗膜中の顔料の含有量が、乾燥塗膜重量に対し30質量%以上70質量%以下、および
(4)前記顔料のうち、平均一次粒径1μm以上のものの合計量が乾燥塗膜重量に対し15質量%以上。 - 亜鉛系めっき鋼板を基材とするクロムフリー塗装鋼板であって、
当該鋼板の一方の面に1層の塗膜を備え、当該塗膜が下記(1)〜(4)を満たすことを特徴とするクロムフリー塗装鋼板:
(1)前記塗膜の表面の水に対する接触角が60°以下、
(2)前記塗膜の膜厚が2μm以上10μm以下、
(3)前記塗膜中の顔料の含有量が、乾燥塗膜重量に対し15質量%以上70質量%以下、および
(4)前記顔料のうち、平均一次粒径1μm以上のものの合計量が乾燥塗膜重量に対し5質量%以上。 - 前記顔料が、リン酸および亜リン酸のZn、MgおよびAl塩、イオン交換シリカ、ならびに多孔質シリカからなる群から選ばれる1種または2種以上を含み、これらの合計量が乾燥塗膜重量に対し5質量%以上である、請求項1または2のいずれかに記載のクロムフリー塗装鋼板。
- 前記1層の塗膜を備える面が塗装鋼板としての裏面である、請求項1〜3のいずれかに記載のクロムフリー塗装鋼板。
- 前記1層の塗膜の厚さが前記顔料の平均一次粒径以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のクロムフリー塗装鋼板。
- 前記1層の塗膜を備える面の反対面には2層以上の塗膜を備え、その最内層以外の少なくとも1層の塗膜が、下記(A)および(B)の要件を満たす少なくとも1種の非クロム化合物を含有する、請求項1〜5のいずれか記載のクロムフリー塗装鋼板:
(A)イオン交換水(電気伝導度:4μS/cm以下)に0.1質量%濃度で溶解させた時の水の電気伝導度が500μS/cm以上、
(B)200℃までに熱分解を生じない。 - 前記非クロム化合物がアルカリ金属リン酸塩である、請求項6に記載のクロムフリー塗装鋼板。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のクロムフリー塗装鋼板を成型加工して得られた筐体。
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