JP2010082779A - 眼鏡レンズ加工用の加工屑処理装置 - Google Patents

眼鏡レンズ加工用の加工屑処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 遠心分離機の脱水槽から加工屑を容易に取り出すことができ、脱水槽の回転時に異常な振動の発生を抑え、作業者の手を汚す可能性を低減できる加工屑処理装置を提供する。
【解決手段】 眼鏡レンズ加工装置からの加工屑を含む研削水が排出される脱水槽を持ち、脱水槽の回転により研削水と加工屑を分離する遠心分離機を有する眼鏡レンズ加工用の加工屑処理装置は、脱水槽の内部に入れられ、眼鏡レンズ加工装置からの加工屑を含む研削水が排出される加工屑回収容器を備え、加工屑回収容器は脱水槽の内側側面及び内側底面の内部形状に略一致する外形形状の側壁部及び底面部であって、脱水槽の内側側面の内径より小さな外径の側壁部及び底面部と、底面部の略中央又は前記側壁部の上端に設けられ、操作者が手で持つ取出治具のフックが引っ掛けられるか、または操作者の指に係合される係合部と、を有する。

【選択図】 図4

Description

本発明は、眼鏡レンズの加工に用いられた研削水の排水から加工屑と研削水を分離する遠心分離機を有する加工屑処理装置に関する。
眼鏡レンズの周縁加工では、砥石とレンズとの接触部に冷却用の研削水が供給される。レンズの周縁加工に伴って発生した加工屑は、研削水と共に加工装置から排出される。加工装置から排水された研削水及び加工屑を処理する方法として、排水が投入される脱水槽を回転することより加工屑と研削水とを分離し、研削水を脱水槽の外へ排出する遠心分離機が知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
特開2004−243452号公報 特開2002−283236号公報 特開2008−178969号公報
遠心分離機においては、加工屑が脱水槽の内部に大量に溜まると、その濾過能力が低下するので、定期的に脱水槽から加工屑を取り出す必要がある。しかし、脱水槽には粉状の加工屑が凝集して堆積されており、脱水槽から加工屑を直接取り出すには時間が掛かる問題があった。また、作業者の手が加工屑により汚れやすい問題があった。脱水槽内にビニール袋を入れる方法も試みられたが、ビニール袋は皺になりやすく、ビニール袋を脱水槽内に均一に配置することが難しい。ビニール袋に皺があると、加工屑が偏って堆積されることにより、脱水槽の回転時に異常な振動が発生し、騒音も大きくなる。
本発明は、上記従来装置の問題点に鑑み、遠心分離機の脱水槽から加工屑を容易に取り出すことができると共に、脱水槽の回転時に異常な振動の発生を抑えることができ、さらには、作業者の手を汚す可能性を低減することができる加工屑処理装置を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 眼鏡レンズ加工装置からの加工屑を含む研削水が排出される脱水槽を持ち、該脱水槽の回転により研削水と加工屑を分離する遠心分離機を有する眼鏡レンズ加工用の加工屑処理装置において、前記脱水槽の内部に入れられ、眼鏡レンズ加工装置からの加工屑を含む研削水が排出される加工屑回収容器を備え、該加工屑回収容器は、前記脱水槽の内側側面及び内側底面の内部形状に略一致する外形形状の側壁部及び底面部であって、前記脱水槽の内側側面の内径より小さな外径の側壁部及び底面部と、前記底面部の略中央又は前記側壁部の上端に設けられ、操作者が手で持つ取出治具のフックが引っ掛けられるか、または操作者の指に係合される係合部と、を有することを特徴とする。
(2) (1)の加工屑処理装置において、前記加工屑回収容器は、側壁部の上端の周縁に外周に広げられた鍔部を有し、前記遠心分離機は、前記脱水槽の上に載せられて脱水槽に固定される円環状の蓋部材と、前記鍔部と前記蓋部材との間に入れられる円環状のパッキンと、を有し、前記加工屑回収容器は、樹脂により形成されると共に、前記側壁部の外径は前記脱水槽の内側内壁との間に0.2〜1.0mmの隙間を持つ形状で形成され、側壁部は前記脱水槽が回転された時も形状が維持される厚さで形成されていることを特徴とする。
(3) (2)の加工屑処理装置において、前記加工屑回収容器の側壁部は、0.3〜4.0mmの厚さで形成されていることを特徴とする。
(4) (2)の加工屑処理装置は、研削水を濾過するために不織布により構成され、前記加工屑回収容器の上部と前記蓋部材との間に配置されると共に眼鏡レンズ加工装置からの研削水が導入される開口を持つ円環上のフィルタを備え、前記加工屑回収容器の鍔部の上面又は前記鍔部上に位置する前記蓋部材の下面には、前記フィルタに圧着される凸部であって、前記鍔部の幅より狭い幅の円環状の凸部が形成され、前記フィルタは前記パッキンを兼ねることを特徴とする。
(5) (4)の加工屑処理装置において、前記凸部は、前記フィルタの厚みの1/2〜1/3の高さで形成され、前記鍔部の径方向の幅が0.8〜3.0mmに形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、遠心分離機の脱水槽から加工屑を容易に取り出すことができ、また、脱水槽の回転時に異常な振動の発生を抑えることができ。さらに、作業者の手を汚す可能性を低減することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、眼鏡レンズ加工装置本体、水供給機構及び濾過装置の構成を説明する模式的断面図である。眼鏡レンズ加工装置本体1にはキャリッジ部が搭載され、キャリッジ101が持つ左右のレンズチャック軸(レンズ回転軸)101L,101Rに挟持された眼鏡レンズLEの周縁は、砥石162に圧接されて加工される。砥石162は、プラスチック用粗砥石、仕上げ砥石等から構成される。砥石162は、砥石スピンドルに取り付けられ、モータ160により回転される。レンズLEは、加工データに基づいてレンズチャック軸101L,101Rが回転され、キャリッジ101が上下左右方向に移動されることにより、砥石162により加工される。加工装置本体1の構成及びレンズLEの加工時の制御は、例えば、特開2006―305698号公報に記載された技術が利用できる。
装置本体1の下には、遠心分離機650及び研削水を蓄えるタンク630を有する研削水・加工屑処理装置3が配置されている。装置本体1で使用された研削水及び加工屑を含む排水は、排水パイプ3aを介して遠心分離機650に導かれる。装置本体1の内部に配置された加工室20の側壁には、砥石162とレンズLEの接触部分に研削水を噴射するノズル600が配置されている。加工屑を含む排水は、加工室20の底面に設けられた排水口21から排水パイプ3aに導かれて排出される。ノズル600にはチューブ601が接続され、チューブ601はポンプ602に接続され、ポンプ602によりタンク630内に蓄えられた研削水が吸引される。
処理装置3の筐体640の内部には、研削水と加工屑を分離する遠心分離機650が配置されている。遠心分離機650の構成を、図1及び図2により説明する。図2(a)は、遠心分離機650の部分断面の斜視図であり、図2(b)は遠心分離機650の上側端面の拡大図である。
遠心分離機650は、回転軸651と、回転軸651に固定された略円筒型の脱水槽652と、を有する。脱水槽652は、上端が開口され、上方に向けて円周が広がっていく形状を持つ。脱水槽652の中心部に回転軸651が配置されている。脱水槽652の底面652bの中央部分には、周辺部分に比べて高くなる隆起652aが形成されている。隆起652aは、脱水槽652の高さの半分程まで延びるように形成されている。回転軸651は隆起652aの内部まで延びている。隆起652aが形成されていることにより、脱水槽652の底部の高さが均一な場合に比較して、脱水槽652の重心高さが高くなり、回転時における脱水槽652の安定性が高められる。なお、脱水槽652の回転時の安定性が確保されれば、必ずしも、隆起652aが形成されている必要はなく、底面652bが平坦にされていても良い。脱水槽652の下には駆動モータ653が配置され、駆動モータ653により回転軸651が回転される。
脱水槽652の内部には、加工屑の取り出しを容易にするための加工屑回収容器700が、取り出し可能に入れられている。加工屑回収容器700の構成の詳細な説明については後述する。脱水槽652の上部には、加工屑を含む排水から研削水の濾過し、加工屑の脱水効率を促進するための環状のフィルタ654が配置されている。フィルタ654は、濾過した研削水をほぼ透明にするように、15μm程度以上の加工屑を通過させず、研削水を通過させる濾過機能を備えている。例えば、フィルタ654は不織布で構成され、通気量が60〜110(cm3/cm2・sec)であることが好ましい。通気量が110(cm3/cm2・sec)を超えると、研削水の濁りが激しくなり、これが循環されることによりタンク630内に泡が発生しやすくなる。また、通気量が60(cm3/cm2・sec)を下回ると、加工屑によってはフィルタ654の目が詰まりやすくなり、フィルタ654を通過できる研削水の量が減り、脱水効率が低下する。フィルタ654の上面には、排水管641が通され、研削水を通過させる多数の孔658aを持つ円環状の蓋部材658が配置されている。
また、脱水槽652の上部から外側に広がった縁部657の3箇所に、ロック機構659が設けられている。ロック機構659のレバー659bが反時計回りに回転されることにより、図2(b)に示されるように、フィルタ654及び容器700の鍔部701が蓋部材658と脱水槽652の縁部657との間に挟まれた状態で、蓋部材658がロック機構659により脱水槽652に固定される。ロック機構659が解除されると、脱水槽652から蓋部材658及びフィルタ654が取り外し可能にされ、さらに、加工屑回収容器700が取り出し可能にされる。なお、ロック機構659は、簡易的には、操作者が手で回転するネジ等でき、周知の機構が採用可能である。
また、図1において、遠心分離機650を収納する筐体640の上部(脱水槽652の蓋部材658の上)には、上カバー640aが開閉可能に取り付けられている。装置本体1からの排水パイプ3aは、上カバー640aに取り付けられた排水管641に接続されている。排水管641は、遠心分離機650の回転中心に位置され、蓋部材658が持つ中心の開口658b及びフィルタ654が持つ中心の開口654bを通って、遠心分離機652の内部まで延びる長さを持つ。蓋部材658の開口658bとフィルタ654の開口654bは略同じ径で形成され、且つ排水管641の外径よりは大きく形成されている。これにより、蓋部材658及びフィルタ654の中心側の端と排水管641との間に、研削水が逃がされる隙間656が形成される。
排水管641の下方の口は、隆起652aの上方を覆うように配置される。これにより、排水管641の上方から来た排水が隆起652aより下方に弾かれ、研削水が遠心分離の作用を受け易くなり、効率的に加工屑が脱水槽652に堆積される。上カバー640aは、フィルタ654から排出される水を受けると共に、フィルタ654及び蓋部材658と排水管641との間に形成された隙間656から弾き飛ばされる水を受け、下側に導く部材を兼ねる。脱水槽652の外側には、脱水槽652を取り囲むように水捕集ケース642が設けられている。水捕集ケース642で受け取られた水は、パイプ643を介してタンク630に導かれる。
次に、加工屑回収容器700の構成及び加工屑回収容器700を脱水槽652から取り出す際に使用される取出治具(容器取出器具)750の構成について説明する。図3は容器700および治具750の斜視図である。図3において、容器700は、一分が切断された状態で図示されている。
容器700は、脱水槽652の内部形状に略一致する外形形状を持つ。すなわち、容器700は、脱水槽652の内側側面652c、底面652b及び隆起652aに沿った形状の側壁部700c、底部700b及び隆起部700aを持つ。ただし、側壁部700cの外径は、脱水槽652の内側側面の内径より僅かに小さな外径に形成されている。側壁部700cの外周は、脱水層652の内部に配置されたときに、脱水層652の内側側面652cとの間に僅かな隙間Δd(例えば、幅0.5mm程度)を確保する大きさに形成されていることが好ましい(図2(c)参照)。この隙間Δdは、周囲の雰囲気の変化により容器700が多少熱膨張した場合にも、脱水層652の内側側面652cに密着されず、また、容器700が熱収縮した場合にも、脱水槽652の内部で大きくがたつかず、脱水槽652の回転時に振動が発生しない寸法に設定されている。この隙間Δdが確保されていることにより、脱水槽652の内側側面652cとの摩擦抵抗が軽減され、脱水槽652から加工屑が堆積された容器700から容易に引き上げることができる。また、脱水槽652の内部に容器700を入れる際も、その作業が容易にされる。容器700の重心は、脱水槽652の回転中心軸にほぼ一致されている。
隙間Δdとしては、0.2〜1.0mm(すなわち、脱水槽652の内側側面652cの内径と側壁部700cの外径との差では、直径0.4〜2.0mmとなる)で形成されていることが好ましい。隙間Δdが0.2mmより小さいと、脱水槽652の内側側面652cと容器700の側壁部700cと接触することによる摩擦の度合いが増し、脱水槽652から加工屑が溜った容器700を取り出す際に大きな力を必要とする。隙間Δdが1.0mmより大きすぎると、脱水槽652の回転中心に対する容器700の偏心Gは大きくなり、脱水槽652の回転時の異常な振動が大きくなる。なお、隙間Δdは、脱水槽652の隆起652aと容器700の隆起部700aとの間にも形成されている。
また、容器700は、例えば、ポリプロピレン、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、ポリスチレン、ポリカーボネイト等の樹脂により一体的に形成されている。容器700の側壁部700cは、脱水槽652が回転され、遠心力の荷重を受けたときにもその形状を維持可能な厚さtで形成されている。例えば、本装置の容器700の厚さtは0.8mmに形成されている。ポリプロピレン、ABS等の上記の樹脂では厚さt0.3〜4.0mmが好ましい。厚さtが0.3mmより薄いと、脱水槽652が回転されたときに、側壁部700cの形状が維持されず、上記の隙間Δdが確保されにくくなるまた、割れやすくなる。なお、厚さtが0.3mmより厚い分には強度が増すが、厚すぎると、一体成型がしにくくなる。また、厚さtが厚すぎると、容器700内に溜めることができる加工屑の量が減り、不利である。厚さtとしては、一体成型を容易に可能にするために、4.0mm以下であることが好ましい。
側壁部700cの上部の周縁には、外側に広げられた鍔部701が一体的に設けられている。鍔部701は、フィルタ654と共に脱水槽652の縁部657及び蓋部材658によって挟み込まれ、ロック機構659によって固定される。このため、脱水槽652の回転時のガタつきが抑えられると共に脱水槽652と一体的に回転される。また、鍔部701の上面には、円環状の凸部703が設けられている。凸部703の径方向の幅は、鍔部701の径方向の幅より小さく形成されている。蓋部材658が取り付けられると、凸部703によって蓋部材658とフィルタ654とが圧着される(図2(c)参照)。すなわち、フィルタ654は、凸部703と蓋部材658との間に挟まれて押しつぶされることにより、容器700と蓋部材658との隙間から研削水が流れさすことを防止するパッキンを兼ねている。これにより、遠心分離の際にフィルタ654を通って放出される研削水が隙間Δdへ流入することが極力抑えられる。研削水にはフィルタ654で濾過し切れない微細な加工屑が混入しており、これが脱水槽652と容器700との間に流入されると、容器700が取り出された後も細かな加工屑が脱水槽652に残されてしまう。これが増えると、脱水槽652への容器700の挿入時に邪魔となってしまう。隙間Δdへの研削水の流入が抑えられるため、容器700が取り出された後の脱水槽652の清掃の手間が大幅に軽減される。
なお、本実施例では、側壁部700cから外周に出た鍔部701の幅は10mmであり、凸部703の径方向の幅は1mmに形成されている。また、凸部703の高さは1mmに形成されている。不織布で構成されフィルタ654の厚みが3mmの場合、鍔部701と蓋部材658とにより、フィルタ654は2mmに潰され、さらに、凸部703と蓋部材658との圧着により、1mmの厚さに押し潰される。フィルタ654が1mmの厚さにされれば、遠心力によって飛ばされる研削水がほぼ通過されず、フィルタ654がパッキンとして機能するようになる。フィルタ654の厚みに応じて凸部703の高さは変えられるが、この場合、凸部703の高さはフィルタ654の厚さTの1/2〜1/3に形成されていれば、フィルタ654を目つまりさせることができる。また、凸部703の径方向の幅は、0.8mm〜3mmが好ましい。0.8mm以下であると、製造が難しく、強度が維持されない。3mm以上であると、蓋部材658を脱水槽652に固定するロック機構659の力が大きく必要になり、ロック機構659の大型化が必要にされ、また、作業者が手によって簡単にロック機構659を操作できなくなる。
なお、凸部703は、容器700の鍔部701側に形成されるのではなく、鍔部701に対応した位置で、蓋部材658の下面側に形成されていても良い。また、フィルタ654にパッキンの機能を持たせたが、フィルタ654が設けられていない遠心分離機においては、鍔部701と蓋部材658との間に挟まれる円環状の弾性部材からなるパッキンを設けても良い。パッキンが設けられるとにより、隙間Δdへの研削水の流入が防止される。
図3(a)において、取出治具750は、操作者に手によって保持される保持部752と、保持部752から延びたシャフト753の先端に固定された2個のフック(鉤部材)751と、を有する。一方、容器700の中央に位置する隆起部700aの上端には、取出治具750が有するフック751に引っ掛けられる(係合される)係合部702が形成されている。本実施形態では、取出治具750はフック751を2個有するので、これに対応して係合部702は2個の穴702aにより構成されている。操作者が脱水槽652から容器700を取り出すときには、フック751を係合部702に引っ掛け、保持部752を持って引き上げることにより、脱水槽652から容器700が取り出される。フック751が係合部702に係合されたときに、保持部752が脱水槽652の上部より上に位置する長さにされていることにより、操作者は加工屑に触れることなく、容器700を脱水槽652から取り出すことができる。なお、取出治具750のシャフト753の先端形状は、係合部702を挟み込む構造等、係合部702に係合されて容器700を引け上げる構造であれば良い。
また、容器700に隆起部700aが形成されていない構造においても、係合部702は容器700の底面700bの略中央に配置されていても良い。脱水槽652の回転により、容器700に投入された加工屑は、側壁部700c側に寄ってドーナツ状に堆積される。このため、係合部702は加工屑に埋もれることなく、取出治具750のフック751を引っ掛けることがでる。加工屑の廃棄時には、加工屑が堆積しない容器700の中央の係合部702に治具750のフック751が取り付けられるので、その取り付け作業が簡単であり、加工屑を廃棄する際に操作者の手が汚れることが防止される。
なお、操作者は、容器700を脱水槽652から取り出すとき、必ずしも治具750を使用しなくても、前述のように隙間Δdが設けられているため、係合部702を指で持って容器700を持ち上げることもできる。図3(b)に示されるように、係合部702の断面形状が略T字上の形状とされており、両側に突き出た凸部702bが操作者の指に引っかかりやすくされている。また、穴702aを一つとし、操作者の指が入る形状にされていても良い。容器700の中央の係合部702付近は、加工屑が体積されないため、作業者の手を汚す可能性が低減される。
次に、以上のような構成を備える遠心分離機650による研削水の濾過、及び加工屑の取り出し作業の動作を説明する。遠心分離機650の準備として、操作者は脱水層652の内部に容器700をセットする。このとき、容器700は脱水槽652の内部形状に略一致した形状であり、隙間Δdが確保されているため、操作者は脱水槽652の内部形状に沿って容器700を入れるだけで、簡単に脱水槽652の内部の所定位置に容器700を設置できる。次に、操作者は容器700の鍔部701の上にフィルタ654を配置し、フィルタ654上に蓋部材658を配置した後、ロック機構659により蓋部材658を固定する。このとき、凸部703により蓋部材658とフィルタ654とが圧着される。この状態で上カバー640aに取り付けられた排水管641を蓋部材658及びフィルタ654の開口を通して脱水槽652(容器700)の内部に挿入することにより、遠心分離機650の準備が完了する。
加工装置本体1からの加工屑を含む水は、排水管641を通して脱水槽652内の容器700に流入される。脱水槽652の回転により、排水は脱水槽652の遠心力の影響を受ける。遠心力の作用により、加工屑は容器700の側壁部700cへと押しやられ、側壁部700cに順次ドーナツ状に堆積されていく。加工屑は容器700の側壁部700cに均一に堆積されるので、加工屑の偏りによる振動の発生が抑えられる。比重の重い加工屑(粒子の大きな加工屑)と分離された研削水は、容器700の上方へと押しやられ、フィルタ654により濾過される。フィルタ654により濾過された研削水、水捕集ケース642に集められる。なお、フィルタ654により濾過されなかった水は、フィルタ654と排水管641との間に形成された隙間656から弾き飛ばされ、水捕集ケース642に受けられる。水捕集ケース642内の水は、パイプ643を介してタンク630に導かれる。なお、フィルタ654の端部が容器700の凸部703および蓋部材658により圧着されているので、フィルタ654の外周側への押しやられた研削水が隙間Δdへ流入してしまうことが抑制され、脱水槽652内に研削水及び細かな加工屑が入り込むことが抑えられる。
加工装置本体1によりレンズの加工が繰り返し行われることによって、容器700の内壁に加工屑が大量に蓄積される。そして、加工屑の堆積量が一定以上となると、正常な濾過が行われなくなるので、加工屑の取り出しが必要となる。加工装置本体1からの排水が停止された後も脱水槽652を十分に長く回転しておけば、容器700内の研削水は外部に飛ばされ、容器700内に残った加工屑の脱水が促進される。操作者は、ロック機構659を解除し、蓋部材658及びフィルタ654を取外した後、加工屑を回収する。
図4は加工屑の回収方法についての説明図である。容器700の内部にはドーナツ状に加工屑Dが蓄積されている。操作者は、取出治具750のフック751を係合部702に引っ掛け、保持部752を持って引き上げることにより、手を汚すことなく、脱水槽652から容器700を取り出すことができる。あるいは、操作者は片手で係合部702を直接持って容器700を取り出すことができる。この時、脱水層652と容器700との間に設けられた隙間Δdによって、容器700が脱水層652に密着されていないため、操作者は大きな力を加えることなく容易に容器700を脱水層652から引き出すことができる。容器700が眼鏡レンズのプラスチックレンズと同種の材質(前述のポリプロピレン等の樹脂)で形成されていることにより、加工屑と一緒に容器700をそのまま廃棄袋に入れて廃棄することができる。
以上説明した実施形態では、容器700の略中央位置に係合部702を設けたが、これに限られるものではない。
図5に変容例の加工屑回収容器及び取出し治具について示す。図5(a)は変容例の加工屑回収容器800の構成図、図5(b)は取出治具(容器取出し器具)860の構成図である。
容器800の上端面には、取出治具860の先端部861が引っ掛けられる係合部802が、容器800の回転中心を中心にして対称な2箇所の位置に設けられている。係合部802には、治具860の先端部861が挿入される開口部803が設けられている。ここでは、係合部802を2箇所設ける場合について述べているが、係合部802は容器800の上端面の円周を等分割した位置に配置され、容器800の重心が中央位置となる位置であれば、2箇所より多くても良い。この例では、係合部802は、容器800の側壁に一致する位置に設けられたヒンジにより、容器800の内側に折り曲げられる構造とされている。係合部802が内側に折り曲げられた状態で、脱水槽652に容器800が入れられることにより、取出治具860の先端部861が開口部803に挿入可能にされる。容器800の内側には、係合部802の回転を制限する制限部材805が設けられており、制限部材805によって係合部802が下に沈みこむことが防止される。容器800が脱水槽652に入れられた後は、係合部802上に、フィルタ654、蓋部材658が配置される。
なお、係合部802が初めに容器800の外周側に突き出た形状とされているのは、金型により一体成型を可能にするためであり、初めから容器800の内側に折り曲げられた状態で構成されていても良い。また、係合部802が容器800の外周側に突き出たままであっても、脱水槽652の縁部657側に係合部802が収められる部分が形成され、取出治具860の先端部861が開口部803に挿入可能にされれば良い。
図5(b)において、治具860は、棒状の部材にて作製されたシャフト862と、シャフト862から延び、前述の開口部803に貫入され、開口部803に引っ掛けられるフックである先端部861と、シャフト862を折り曲げて形成されたグリップ(掴み部)863と、脱水槽652の縁部657に当接する支持部と、から構成される。先端部861は、開口部803に貫入された際に、開口部803に係止し易いように、シャフト862の延長線から若干上方に曲げられている。先端部861の近傍のシャフト862には、縁部657に当接すると共に、シャフト862を支持する支え部865が設けられており、シャフト862から下方に延びた延長部866の下端には、当接部867が設けられる。詳細は後述するが、当接部867は縁部657と当接し、梃子(テコ)の原理における支点となり、延長部866がその支点を下方に延長する役割を担う。延長部866の中央には、容器800を引き上げ時に、容器800を係止するための係止部となる切り欠き869が設けられている。
次に、治具860を用いて、容器800を脱水槽652から取り出す方法について説明する。図6は、治具860により容器800を取り出す状態を説明するための、脱水槽652周辺の模式図である。治具860は、2箇所の係合部802に合わせて2個使用される。操作者は、左右のそれぞれの手で治具860のグリップ863を掴んで操作する。治具860の先端部861が開口部803に貫入されると、支え部865の当接部867が、縁部657に当接される。この状態で、治具860が外側に倒されると、加工屑が堆積された容器800は、治具860と縁部657の連携による梃子の作用により、上方へと引き上げられる。なお、治具860は、図3と同じフック751を持つ構造でもよく、この場合には、フック751を開口部803に引っ掛け、上に引っ張り上げればよい。もちろん、この例においても、操作者は治具860を使用せず、2つの係合部802をそれぞれ左右の手の指で持ち、容器800を取り出すことができる。この場合も、脱水槽652から加工屑を直接取り出す場合に比べれば、操作者は手を大きく汚すことなく、容器800を取り出すことができる。
図7(a)は、さらなる加工屑回収容器及び取出治具の変容例の構成図である。この例では、「コ」の字状の係合部901が、加工屑回収容器900の側壁の内側上端に、容器900の回転中心を中心にして対称な2箇所の位置に設けられている。図7(b)は、一方の係合部901の拡大図である。容器900の側壁と「コ」の字状の係合部901とにより、開口902が形成されている。治具950は操作者が手で持つ棒状の保持部952と、保持部952から延びて先端に取り付けられたフック951と、を備える。フック951は、係合部901の開口902に引っ掛けられる。容器900の取り外し時には、操作者は2つの治具950を両手にそれぞれ持ち、それぞれのフック951を係合部901の外側から押し込み、開口902に引っ掛ける。なお、係合部901の周りには加工屑が蓄積されているが、フック951で係合部901の周りの加工屑を掻き出することにより、フック951を開口902に引っ掛けることができる。フック951を開口902に引っ掛けることができたら、そのまま両方の治具950を持って上に上げることにより、操作者は手を汚さず、容器900を脱水槽652から引き上げることができる。係合部901は、2箇所の位置に限られず、容器900の重心が略一致していれば、3箇所以上に設けられていても良い。
眼鏡レンズ加工装置本体、水供給機構及び濾過装置の模式的断面図である。 遠心分離機の部分断面の斜視図と遠心分離機の上側端面の拡大図である。 加工屑回収容器および治具の斜視図である。 加工屑の回収方法についての説明図である。 変容例の加工屑回収容器及び取出し治具である。 治具による容器の取出し状態を説明する為の脱水槽周辺の模式図である。 加工屑回収容器及び取出治具の変容例の構成図である。
符号の説明
3 加工屑処理装置
650 遠心分離機
652 脱水槽
652b 底面
652c 内側側面
700、800、900 加工屑回収容器
700b 底部
700c 側壁部
701 鍔部
702、802、901 係合部
750、860、950 取出治具

Claims (5)

  1. 眼鏡レンズ加工装置からの加工屑を含む研削水が排出される脱水槽を持ち、該脱水槽の回転により研削水と加工屑を分離する遠心分離機を有する眼鏡レンズ加工用の加工屑処理装置において、
    前記脱水槽の内部に入れられ、眼鏡レンズ加工装置からの加工屑を含む研削水が排出される加工屑回収容器を備え、該加工屑回収容器は、
    前記脱水槽の内側側面及び内側底面の内部形状に略一致する外形形状の側壁部及び底面部であって、前記脱水槽の内側側面の内径より小さな外径の側壁部及び底面部と、
    前記底面部の略中央又は前記側壁部の上端に設けられ、操作者が手で持つ取出治具のフックが引っ掛けられるか、または操作者の指に係合される係合部と、
    を有することを特徴とする加工屑処理装置。
  2. 請求項1の加工屑処理装置において、
    前記加工屑回収容器は、側壁部の上端の周縁に外周に広げられた鍔部を有し、
    前記遠心分離機は、前記脱水槽の上に載せられて脱水槽に固定される円環状の蓋部材と、前記鍔部と前記蓋部材との間に入れられる円環状のパッキンと、を有し、
    前記加工屑回収容器は、樹脂により形成されると共に、前記側壁部の外径は前記脱水槽の内側内壁との間に0.2〜1.0mmの隙間を持つ形状で形成され、側壁部は前記脱水槽が回転された時も形状が維持される厚さで形成されていることを特徴とする加工屑処理装置。
  3. 請求項2の加工屑処理装置において、前記加工屑回収容器の側壁部は、0.3〜4.0mmの厚さで形成されていることを特徴とする加工屑処理装置。
  4. 請求項2の加工屑処理装置は、研削水を濾過するために不織布により構成され、前記加工屑回収容器の上部と前記蓋部材との間に配置されると共に眼鏡レンズ加工装置からの研削水が導入される開口を持つ円環上のフィルタを備え、
    前記加工屑回収容器の鍔部の上面又は前記鍔部上に位置する前記蓋部材の下面には、前記フィルタに圧着される凸部であって、前記鍔部の幅より狭い幅の円環状の凸部が形成され、
    前記フィルタは前記パッキンを兼ねることを特徴とする加工屑処理装置。
  5. 請求項4の加工屑処理装置において、前記凸部は、前記フィルタの厚みの1/2〜1/3の高さで形成され、前記鍔部の径方向の幅が0.8〜3.0mmに形成されていることを特徴とする加工屑処理装置。
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