JP2010082721A - 研磨パッド - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨性能を安定化し被研磨物の平坦性を向上させることができる研磨パッドを提供する。
【解決手段】研磨パッド20は、研磨面Pを有する発泡構造のウレタン発泡体2と、ウレタン発泡体2の研磨面Pと反対側の面に粘着層11を介して貼り合わされたウレタンシート6と、ウレタンシート6のウレタン発泡体2と反対側の面に粘着層12を介して貼り合わされたウレタンフィルム8と、を備えている。粘着層11は粘着層12より高い粘弾性を有している。ウレタンシート6の圧縮率が3〜9%、ウレタンフィルム8の圧縮率がウレタンシート6より大きい10〜45%に調整されている。ウレタン発泡体2、粘着層11、ウレタンシート6の3層分がヒステリシスロス率30〜50%の特性を有している。研磨面Pでの局所的な圧力がウレタン発泡体2側に吸収され被研磨物に均等化された研磨圧力が掛けられる。
【選択図】図1

Description

本発明は研磨パッドに係り、特に、被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する発泡構造の研磨層を備えた研磨パッドに関する。
従来磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクの基板としては、アルミニウム系基板が用いられている。ところが、アルミニウム系基板では、磁気特性に優れた磁気ディスクを得やすいものの、研磨加工等の機械的処理の過程で塑性変形を伴うため、表面の平滑性を確保することが難しい。このため、耐衝撃性に優れる、平滑性が得られやすい、等の観点から、化学強化ガラス、結晶化ガラス等のガラス基板が多く用いられるようになりつつある。すなわち、ガラス基板では、表面硬度がアルミニウム系基板と比べて高く、アルミニウム系基板のような塑性変形を伴わないため、表面の平滑性を向上させやすくなる。一方、磁気ディスクでは、高記録密度を実現するために、ガラス基板の表面を極力平滑に仕上げることが求められており、例えば、表面粗さ0.5nm以下程度に鏡面化する必要がある。また、ガラス基板の表面の面積を有効活用するために、従来のCSS(Contact Start Stop)方式に代わり、LUL(Load UnLoad)方式が採用されるようになってきている。CSS方式では、ディスク停止時に基板表面に磁気ヘッドを接触させるため、基板表面にCSS用領域(磁気ヘッドとの接触摺動用領域)を設ける必要がある。これに対して、LUL方式では、ディスク停止時に磁気ヘッドをガラス基板の外側に退避させるため、CSS用領域の分で記録面の面積を拡大できるという利点がある。一方、LUL方式では、磁気ヘッドがガラス基板の端部を通過することから、ガラス基板の端面形状(特に、外周端面)の平坦性等の精度が問題となる。ガラス基板の端部に形状の乱れ(端部の盛り上がりや端部の面ダレ)があると、磁気ヘッドの浮上姿勢が乱され、磁気ヘッドがガラス基板の外側に出て行く際(退避時)や入ってくる際(復帰時)にガラス基板と接触しやすくなり、クラッシュ障害を生じる可能性がある。
このような磁気ディスク用ガラス基板を研磨加工するための研磨パッドとして、例えば、バフ処理をせずに表面(研磨面)に開孔径2〜20μmの微細気孔が形成され、内部に表面の開孔径より大きな孔径のセル(大気孔)が形成されたスウェード様の研磨パッドの技術が開示されている(特許文献1参照)。この技術では、研磨面の微細気孔による微小うねりの改善効果を得るために、内部の大気孔が研磨面側で縮径され、略均一に分布するように形成されている。ところが、研磨面の微細気孔と内部の大気孔とで形成される発泡構造を有するため、研磨パッドの変形量が大きくなり、磁気ディスクの中心部と端部とに均一な研磨圧力が掛かりにくくなる。この結果、ガラス基板の端部に「盛り上がり」や「面ダレ」を生じてしまう、という問題がある。
また、研磨面の開孔径が50μm以下、内部に形成されたセルの孔径が200μm以下の発泡樹脂層を、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム上に積層した研磨パッドの技術が開示されている(特許文献2参照)。この技術では、研磨面の開孔径を微細化し、研磨加工時に掛けられる研磨圧力を略均一に分散させるために、内部に大気孔が形成されている。研磨面の開孔径を微細化することで、被研磨物の加工面の微小うねりが低減するものの、内部に大気孔が形成されているため、研磨加工時の変形が大きくなり微小うねりの改善効果を十分に得ることが難しい。更には、研磨圧力が不均一となり、端部の盛り上がりや面ダレを生じることとなる。これらの問題に対し微小うねりの改善効果を高め、端部の盛り上がりや面ダレを抑制するために、研磨面に微細気孔が形成された研磨層と、高剛性の中間層と、中間層より圧縮率の大きい基層とを積層した3層型の研磨パッドが考えられる。このようにすることで、中間層を有していない研磨パッドと比べて全体の剛性(弾性)が高まることから、研磨加工時に受ける不均一な圧力分布を吸収しつつ、基層の変形を研磨面に影響させることなく、研磨圧力を研磨層に略均等に伝えることが期待される。この結果、ガラス基板の端部の盛り上がりや面ダレを抑制することが可能となる。
再表WO2004/058450号公報 特開2005−141852号公報
しかしながら、上述した3層型の研磨パッドのように全体の剛性が高まると、ガラス基板表面の研磨傷等が増大し、致命的なダメージを与えてしまい表面の平滑度を低下させることとなる。また、研磨加工中には、微細気孔に研磨屑が堆積することで目詰まりを生じた研磨面を回復させるツルーイング(表面サンディング)作業が行われる。この作業により、研磨層の厚みが刻々と減少する一方であるのに対し、中間層の厚みは変化しないため、研磨パッド全体として剛性がさらに高まることとなる。この結果、研磨加工中に生じた異物の影響を受けやすくなり、ガラス基板に対する研磨傷の発生が増加する、研磨レート等の研磨性能が変動してしまう、という問題がある。
本発明は上記事案に鑑み、研磨性能を安定化し被研磨物の平坦性を向上させることができる研磨パッドを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する発泡構造の研磨層と、前記研磨層の前記研磨面と反対側の面に第1の粘着層を介して貼り合わされ、3%〜9%の圧縮率を有する中間層と、前記中間層の前記研磨層と反対側の面に第2の粘着層を介して貼り合わされ、前記中間層より大きい圧縮率を有するクッション層と、を備え、前記第1の粘着層は前記第2の粘着層より大きい粘弾性を有しており、前記第1の粘着層を介して貼り合わされた前記研磨層および前記中間層は、厚さが0.25mm〜2.5mmの範囲となるように複数積層して厚さの変位量が75%となるまで一定速さで加圧したのち前記一定速さで除圧したときに、加圧時エネルギと除圧時エネルギとの差の前記加圧時エネルギに対する百分率が30%〜50%の範囲の特性を有することを特徴とする研磨パッドである。
本発明では、中間層が3〜9%の圧縮率を有し、クッション層が中間層より大きい圧縮率を有することで、研磨機の定盤の表面粗さによる研磨圧力の不均一な分布がクッション層で均等化され、高剛性の中間層を介して被研磨物に均等化された研磨圧力が掛けられると共に、第1の粘着層を介して貼り合わされた研磨層および中間層では加圧時エネルギと除圧時エネルギとの差の加圧時エネルギに対する百分率が30%〜50%の範囲の特性を有することで、研磨加工時に研磨粒子の凝集物や異物で研磨面が局所的に変形しても変形回復性が小さくなることから、被研磨物に対する研磨傷の発生が抑制されるので、研磨性能を安定化し被研磨物の平坦性を向上させることができる。
この場合において、研磨層が、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物およびポリアミン化合物との反応で形成され、内部にセルが略均等に形成された発泡構造を有していてもよい。このとき、研磨層の研磨面に孔径が1μm〜50μmの開孔が形成されていることが好ましい。また、クッション層が、ポリウレタン樹脂の湿式成膜で形成され、内部にセルが略均等に連続状に形成された発泡構造を有していてもよい。このとき、クッション層を、圧縮率が10%〜45%の範囲、圧縮弾性率が95%〜100%の範囲とすることができる。中間層が無発泡構造を有する、ないし、内部に孔径が5μm未満で圧縮性の発現に未関与のセルが形成されていてもよい。また、クッション層の厚さを100μm〜2000μmの範囲とすることができる。このとき、中間層の厚さをクッション層の厚さの30%〜50%の範囲としてもよい。また、研磨層の厚さをクッション層の厚さの85%〜100%の範囲とすることができる。
本発明によれば、中間層が3〜9%の圧縮率を有し、クッション層が中間層より大きい圧縮率を有することで、研磨機の定盤の表面粗さによる研磨圧力の不均一な分布がクッション層で均等化され、高剛性の中間層を介して被研磨物に均等化された研磨圧力が掛けられると共に、第1の粘着層を介して貼り合わされた研磨層および中間層では加圧時エネルギと除圧時エネルギとの差の加圧時エネルギに対する百分率が30%〜50%の範囲の特性を有することで、研磨加工時に研磨粒子の凝集物や異物で研磨面が局所的に変形しても変形回復性が小さくなることから、被研磨物に対する研磨傷の発生が抑制されるので、研磨性能を安定化し被研磨物の平坦性を向上させることができる、という効果を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明を磁気ディスク用ガラス基板の研磨加工に用いられる研磨パッドに適用した実施の形態について説明する。
(構成)
図1に示すように、本実施形態の研磨パッド20は、被研磨物を研磨加工するための研磨面Pを有する研磨層としてのウレタン発泡体2と、ポリウレタン樹脂製でウレタン発泡体2の研磨面Pと反対側に配された中間層としてのウレタンシート6と、ポリウレタン樹脂で湿式成膜された発泡構造を有し、ウレタンシート6のウレタン発泡体2と反対側に配されたクッション層としてのウレタンフィルム8と、を備えている。
ウレタン発泡体2とウレタンシート6との間には樹脂製粘着剤で形成された粘着層11(第1の粘着層)が配されており、ウレタンシート6とウレタンフィルム8との間には樹脂製粘着剤で形成された粘着層12(第2の粘着層)が配されている。換言すれば、ウレタンシート6は粘着層11を介してウレタン発泡体2の研磨面Pと反対側の面に貼り合わされており、ウレタンフィルム8は粘着層12を介してウレタンシート6のウレタン発泡体2と反対側の面に貼り合わされている。粘着層11は、粘着層12と比べて高い粘弾性を有している。
また、研磨パッド20は、ウレタンフィルム8のウレタンシート6と反対側の面に、研磨装置に装着するための両面テープ15が貼り合わされている。両面テープ15は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルム等の基材15aを有している。基材15aの両面には、アクリル系粘着剤等の図示を省略した粘着剤がそれぞれ塗着され粘着剤層が形成されている。両面テープ15は、基材15aの一面側の粘着剤層でウレタンフィルム8と貼り合わされており、他面側の粘着剤層が剥離紙15bで覆われている。
研磨パッド20を構成するウレタン発泡体2は、ポリイソシアネート化合物と、予めポリオール化合物に水を分散希釈させた分散液と、ポリアミン化合物と、を混合した混合液を型枠内で硬化させたポリウレタン発泡体をスライスすることで形成されている。すなわち、ウレタン発泡体2は、乾式成型されている。
ウレタン発泡体2の内部には、乾式成型時に、分散液中の水により、断面が円形状ないし楕円形状のセル(発泡)3が略均等に独立状に分散して形成されている。すなわち、ウレタン発泡体2では、厚さ方向に複数のセル3が重畳するように形成されており、厚さ方向と交差する2方向にセル3が略均等に形成されている。このため、ウレタン発泡体2は発泡構造を有している。セル3は、孔径が1〜50μmの範囲で形成されている。ウレタン発泡体2がポリウレタン発泡体をスライスすることで形成されているため、研磨面Pではセル3の一部が開口しており、開孔4が形成されている。開孔4がセル3の開口で形成されるため、開孔4の孔径が1〜50μmの範囲となる。ウレタン発泡体2の厚さは85〜2000μmの範囲に調整されている。また、ウレタン発泡体2は、かさ密度が0.15〜0.27g/cmの範囲、ショアA硬度が5〜45度の範囲となるように形成されている。かさ密度、ショアA硬度は、ポリウレタン樹脂の材質にもよるが、セル3の大きさ、数量を変えること、換言すれば、分散液中の水の量を変えることで調整することができる。
研磨パッド20を構成するウレタンシート6は、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ポリアミン化合物と、を混合した混合液を型枠内で硬化させたポリウレタン樹脂をスライスすることで形成されている。すなわち、ウレタンシート6は、乾式成型されている。
ウレタンシート6の内部には、孔径が5μm未満の図示しないセルが形成されている。すなわち、ウレタンシート6に形成されたセルは、製造時に混入した微小な気泡で形成されたものであり、孔径が小さすぎるため、ウレタンシート6の圧縮性や硬度に影響を及ぼすことがない。ウレタンシート6は、上述したウレタン発泡体2のような発泡構造を有しておらず、実質的に無気孔(無発泡)構造を有している。
ウレタンシート6を形成するポリウレタン樹脂では、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応で生成するイソシアネート基含有化合物がポリアミン化合物で鎖伸長されている。ウレタンシート6の厚さは30〜1000μmの範囲に調整されている。また、ウレタンシート6は、圧縮率が3〜9%の範囲、ショアA硬度が50〜95度の範囲となるように形成されている。圧縮率、ショアA硬度は、ポリウレタン樹脂を形成するポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物の配合割合を変えることで調整することができる。
通常、ポリウレタン樹脂では、ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物の反応で形成されるハードセグメントと、ポリオール化合物で形成されるソフトセグメントと、を有している。ハードセグメントでは、ウレタン結合間に水素結合が形成され凝集力が強くなるため、剛直性を示し高結晶性となる。これに対して、ソフトセグメントでは、水素結合が形成されにくく凝集力が弱くなるため、変形しやすく低結晶性となる。従って、ハードセグメントとソフトセグメントとのバランスによりポリウレタン樹脂の圧縮率やショアA硬度を調整することができる。
研磨パッド20を構成するウレタンフィルム8は、ポリウレタン樹脂を湿式成膜することで形成されている。ウレタンフィルム8は、ウレタンシート6と貼り合わされる面側に不図示の微多孔が形成されたスキン層を有している。スキン層より内側(ウレタンフィルム8の内部)には、スキン層の微多孔より大きい孔径でウレタンフィルム8の厚さ方向(図1の縦方向)に沿って丸みを帯びた断面三角状のセル9が略均等に形成されている。セル9は、ウレタンシート6側の大きさが、ウレタンシート6と反対側より小さく形成されている。セル9同士の間のポリウレタン樹脂中には、スキン層の微多孔より大きくセル9より小さい孔径の図示しないセルが形成されている。スキン層の微多孔、セル9及び図示しないセルは図示を省略した連通孔で網目状につながっている。すなわち、ウレタンフィルム8は、連続状の発泡構造を有している。
ウレタンフィルム8の厚さは100〜2000μmの範囲に調整されている。また、ウレタンフィルム8は、圧縮率がウレタンシート6より大きい10〜45%の範囲、圧縮弾性率が95〜100%の範囲となるように形成されている。圧縮率、圧縮弾性率は、ポリウレタン樹脂の材質にもよるが、セル9の大きさ、数量を変えること、換言すれば、ポリウレタン樹脂の濃度や湿式成膜時の温度、時間等の成膜条件を変えることで調整することができる。
ウレタン発泡体2とウレタンシート6とを貼り合わせる粘着層11の樹脂製粘着剤には、熱可塑性粘着剤が用いられている。熱可塑性粘着剤としては、アクリル系、ニトリル系、ニトリルゴム系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系の各種の樹脂製粘着剤を挙げることができる。ウレタンシート6とウレタンフィルム8とを貼り合わせる粘着層12の樹脂製粘着剤には、熱可塑性粘着剤が用いられている。粘着層11、粘着層12には、同種の樹脂製粘着剤を用いることができるが、重合度等を変えることで粘着層11が粘着層12より高い粘弾性を有するようにすればよい。粘弾性の指標としては、粘弾性測定における剪断貯蔵弾性率Gで評価することができる。剪断貯蔵弾性率Gが小さいほど流動性を有するエラスティックな状態を示し、反対に、剪断貯蔵弾性率Gが大きいほど剛性が高くなりゴム性が失われた状態を示す。粘着層11の剪断貯蔵弾性率Gとしては、温度10〜60℃の範囲(保管時および研磨加工に使用時の温度を考慮した温度範囲)において、5〜10MPaの範囲であることが好ましい。一方、粘着層12の剪断貯蔵弾性率Gとしては、1〜3MPaの範囲であることが好ましい。
ここで、ウレタン発泡体2、ウレタンシート6、ウレタンフィルム8の厚さについて説明する。上述したように、ウレタン発泡体2の厚さが85〜2000μmの範囲、ウレタンシート6の厚さが30〜1000μmの範囲、ウレタンフィルム8の厚さが100〜2000μmの範囲に調整されている。すなわち、ウレタンシート6の厚さがウレタンフィルム8の厚さの30〜50%の範囲となり、ウレタン発泡体2の厚さがウレタンフィルム8の厚さの85〜100%の範囲となる。
また、研磨パッド20では、ウレタン発泡体2とウレタンシート6とを粘着層11で貼り合わせた3層分のシートを厚さが0.25〜2.5mmの範囲となるように複数積層し、積層したシートを厚さの変位量が75%となるまで一定速さで加圧したのち同じ一定速さで除圧したときに、加圧時エネルギと除圧時エネルギとの差の加圧時エネルギに対する百分率が30〜50%の範囲の特性を有している。この加圧時エネルギと除圧時エネルギとの差の加圧時エネルギに対する百分率は、通常、ヒステリシスロス率と呼称される。
ここで、ヒステリシスロス率について詳しく説明する。ヒステリシスロス率の測定では、シート材を積層して一定の厚さ(0.25〜2.5mm、初めの厚さ)、サイズとした試験片を測定機の台上に載置し、加圧板を一定速さで初めの厚さの10%まで押し込んだ後(厚さの変位量が10%となる。)、同じ一定速さで加圧板を戻し、力−変位量(沈み込み量)曲線を記録する。図2に示すように、試験片を加圧板で押し込むとき(加圧時)は、試験片にかかる荷重が曲線aのように原点oから変位量が10%となる点bまで変化する。加圧板を戻すとき(除圧時)は、曲線cのように点bから点dまで変化する。すなわち、荷重がかからなくなっても、変位量は原点oに戻らず、形状が100%回復しないこととなる。この場合、加圧時エネルギは原点o−曲線a−点b−点eで囲まれる面積で表され、除圧時エネルギは点d−曲線c−点b−点eで囲まれる面積で表される。ヒステリシスロス率は、加圧時エネルギと除圧時エネルギとの差(原点o−曲線a−点b−曲線c−点dで囲まれる面積)の加圧時エネルギ(原点o−曲線a−点b−点eで囲まれる面積)に対する割合を百分率で表した数値である。ヒステリシスロス率が小さくなるほど、弾性が大きくなり、ゴム状の材質となる。
(製造)
次に、研磨パッド20の製造について、ウレタン発泡体2の作製、ウレタンシート6の作製、ウレタンフィルム8の作製、貼り合わせの順に説明する。
<ウレタン発泡体の作製>
ウレタン発泡体2は、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物に水を分散希釈させた分散液と、ポリアミン化合物とをそれぞれ準備する準備工程、ポリイソシアネート化合物、分散液およびポリアミン化合物を混合して混合液を調製する混合工程、混合液を型枠に注型する注型工程、型枠内で発泡、硬化させてポリウレタン発泡体を形成する硬化成型工程、ポリウレタン発泡体をシート状にスライスしてウレタン発泡体2を形成するスライス工程を経て作製される。
準備工程では、ポリイソシアネート化合物と、分散液と、ポリアミン化合物とをそれぞれ準備する。準備するポリイソシアネート化合物としては、分子内に2つ以上の水酸基を有するポリオール化合物と、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物とを反応させることで生成したイソシアネート末端ウレタンプレポリマ(以下、単に、プレポリマと略記する。)が用いられている。ポリオール化合物と、ジイソシアネート化合物とを反応させるときに、イソシアネート基のモル量を水酸基のモル量より大きくすることで、プレポリマを得ることができる。また、使用するプレポリマは、粘度が高すぎると、流動性が悪くなり混合時に略均一に混合することが難しくなる。温度を上昇させて粘度を低くするとポットライフが短くなり、却って混合斑が生じて得られるポリウレタン発泡体に形成されるセル3の大きさにバラツキが生じる。反対に粘度が低すぎると、プレポリマのイソシアネート基と分散液中の水との反応で生じた気泡が混合液中で移動してしまい、ポリウレタン発泡体に略均等に分散したセル3を形成することが難しくなる。このため、プレポリマは、温度50〜80℃における粘度を2000〜20000mPa・sの範囲に設定することが好ましい。例えば、プレポリマの分子量(重合度)を変えることで粘度を設定することができる。プレポリマは、50〜80℃程度に加熱され流動可能な状態とされる。
プレポリマの生成に用いられるジイソシアネート化合物としては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン−1,4−ジイソチオシアネート、エチリジンジイソチオシアネート等を挙げることができる。また、これらのジイソシアネート化合物の二種以上を併用してもよい。
一方、プレポリマの生成に用いられるポリオール化合物としては、ジオール化合物、トリオール化合物等の化合物であればよく、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール等の低分子量のポリオール化合物、および、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオール化合物、エチレングリコールとアジピン酸との反応物やブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物、ポリカプロラクトンポリオール化合物等の高分子量のポリオール化合物のいずれも使用することができる。また、これらのポリオール化合物の二種以上を併用してもよい。
また、分散液の調製に用いられるポリオール化合物は、プレポリマのイソシアネート基と反応しソフトセグメントを形成する。このポリオール化合物としては、ジオール化合物、トリオール化合物等の化合物であればよく、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール等の低分子量のポリオール化合物、PTMG、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)等の高分子量のポリオール化合物のいずれも使用することができる。プレポリマやポリアミン化合物の溶液の粘度と同程度にすることで混合工程において水の分散を均一化しやすくなるため、数平均分子量500〜2000のポリオール化合物を用いることが好ましく、特に、数平均分子量1000〜2000のPPGが分散性や得られるウレタン発泡体の耐熱性の面からより好ましい。本例では、数平均分子量約2000のPPGを使用し、これに水を1〜6重量%の割合で分散希釈させて分散液を調製する。分散液の調製時には、一般的な攪拌装置を使用して攪拌混合すればよく、水が略均等に分散希釈されていればよい。使用する水としては、特に制限はないが、不純物等の混入を回避するため、蒸留水を使用することが好ましい。また、分散液の量は、次工程の混合工程で混合するプレポリマの重量1kgに対して水の量が1〜6gの割合となるように準備することが好ましい。水の量が少なすぎると得られるポリウレタン発泡体に形成されるセルの大きさが小さすぎることとなり、反対に多すぎると極端に大きなセルが形成されることとなる。
ポリアミン化合物は、プレポリマのイソシアネート基と反応することでハードセグメントを形成する。このポリアミン化合物としては、脂肪族や芳香族のポリアミン化合物を使用することができるが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、MOCAと略記する。)、MOCAと同様の構造を有するポリアミン化合物等を挙げることができる。また、ポリアミン化合物が水酸基を有していてもよく、このようなアミン系化合物として、例えば、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等を挙げることができる。これらの化合物の2種以上を併用してもよい。ポリアミン化合物として、本例では、MOCAが約120℃に加熱し溶融させた状態で用いられる。
混合工程では、準備工程で準備したプレポリマ、分散液およびポリアミン化合物を混合し、混合液を調製する。注型工程では混合工程で調製された混合液を型枠に注型し、硬化成型工程では型枠内で発泡、硬化させてポリウレタン発泡体を成型する。本例では、混合工程、注型工程、硬化成型工程を連続して行う。
図3に示すように、混合工程では混合機40で混合液が調製され、注型工程では調製された混合液が混合機40から連続して型枠45に注型され、硬化成型工程で硬化させることによりポリウレタン発泡体が成型される。混合機40は、攪拌翼34が内蔵された混合槽32を備えている。混合槽32の上流側には、第1成分としてプレポリマ、第2成分としてポリアミン化合物、および、第3成分として分散液をそれぞれ収容した供給槽が配置されている。各供給槽からの供給口は混合槽32の上流端部に接続されている。攪拌翼34は混合槽32内の略中央部で上流側から下流側までにわたる回転軸に固定されている。回転軸の回転に伴い攪拌翼34が回転し、第1成分、第2成分および第3成分を剪断するようにして混合する。得られた混合液は混合槽32の下流端部に配置された排出口から型枠45に注型される。型枠45の大きさは、本例では、1050mm(長さ)×1050mm(幅)×50mm(厚さ)に設定されている。なお、第1成分のプレポリマ、第2成分のMOCAに代表されるポリアミン化合物の多くがいずれも常温で固体または流動しにくい状態のため、それぞれの供給槽は各成分が流動可能となるように加温されている。
第1成分、第2成分および第3成分が混合槽32に供給され混合されるが、各成分の粘度が同程度に調製されているため、各成分を混合した混合液の温度50〜80℃における粘度が2000〜20000mPa・sの範囲となる。攪拌翼34の回転速度、回転数を調整することで、各成分が略均等に混合され混合液が調製される。攪拌翼34の回転速度が小さすぎると、得られるポリウレタン発泡体に形成されるセル3の大きさが大きくなりすぎる。反対に回転速度が大きすぎると、攪拌翼34および混合液間の摩擦による発熱で温度が上昇し粘度が低下するため、混合液中の気泡が(成型中に)移動してしまい、得られるポリウレタン発泡体に形成されるセル3の分散状態にバラツキが生じやすくなる。一方、回転数が少なすぎると生じる気泡の大きさにムラ(バラツキ)が生じやすく、反対に多すぎると温度上昇で粘度が低下し、セル3が略均等に形成されなくなる。このため、混合工程では、回転速度を9,000〜41,000/秒の範囲、回転数を300〜10,000回の範囲に設定し、混合する。
注液工程で、型枠45に混合液を注液するときは、混合機40からの混合液を混合槽32の排出口から排出し、例えばフレキシブルパイプを通じて、型枠45の対向する2辺間(例えば、図3の左右間)を往復移動する断面三角状の図示しない注液口に導液する。注液口を往復移動させながら、排出口の端部(フレキシブルパイプの端部)を注液口の移動方向と交差する方向に往復移動させる。混合液は、型枠45に略均等に注液される。
硬化成型工程では、注液された混合液を型枠45内で反応硬化させブロック状のポリウレタン発泡体を形成させる。このとき、プレポリマとポリオール化合物、ポリアミン化合物との反応によりプレポリマが架橋硬化する。この架橋硬化の進行と同時に、プレポリマのイソシアネート基と分散液に分散希釈された水との反応で発生した二酸化炭素によりセル3が形成される。このとき、架橋硬化が進行しているため、発生した二酸化炭素が外部に抜け出すことなく、セル3が形成される。
スライス工程では、硬化成型工程で得られたポリウレタン発泡体をシート状にスライスしてウレタン発泡体2を形成する。スライスには、一般的なスライス機を使用することができる。スライス時にはポリウレタン発泡体の下層部分を保持し、上層部から順に所定厚さにスライスされる。スライスする厚さは、本例では、25〜1125μmの範囲に設定されている。また、本例で用いた厚さが50mmの型枠45で成型したポリウレタン発泡体では、例えば、上層部および下層部の約10mm分をキズ等の関係から使用せず、中央部の約30mm分からウレタン発泡体2が形成される。硬化成型工程で内部にセル3が略均等に形成されたポリウレタン発泡体が得られるため、スライス工程で形成される複数枚のウレタン発泡体2では、表面に形成された開孔4の平均孔径が1〜50μmの範囲となる。開孔4の平均孔径が50μmを上回ると、研磨加工時に供給されるスラリ中の研磨粒子の大きさに対し研磨面Pの凹凸が大きくなるため、被研磨物を高度に平坦化することが難しくなる。反対に、平均孔径が1μmを下回ると、研磨粒子の大きさより小さくなり、スラリ保持性が低下するため、研磨性能の低下を招き、被研磨物の平坦性を損なうこととなる。
<ウレタンシートの作製>
ウレタンシート6は、ウレタン発泡体2の作製で用いた分散液に代えて、水を分散希釈させないポリオール化合物を用いる以外はウレタン発泡体2の作製と同様にして作製される。すなわち、ウレタンシート6は、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物を混合した混合液を型枠に注型し、型枠内で硬化させたポリウレタン樹脂をシート状にスライスすることで作製される。
ウレタンシート6の作製では、混合液に水が含まれないため、ウレタン発泡体2のようなセルが形成されず、混合液調製時の攪拌等で混入した微小な気泡により孔径5μm未満のセルが形成される。この程度の大きさのセルが形成されても、ウレタンシート6の圧縮性に影響を及ぼすことがない。換言すれば、ウレタンシート6の圧縮性は、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物の配合により形成されるポリウレタン樹脂のハードセグメントおよびソフトセグメントの比率で調整される。
<ウレタンフィルムの作製>
研磨パッド20を構成するウレタンフィルム8は、ポリウレタン樹脂溶液を調製する準備ステップ、ポリウレタン樹脂溶液を成膜基材に連続的に塗布し、水系凝固液に浸漬することでポリウレタン樹脂をフィルム状に凝固再生させる凝固再生ステップ、凝固再生したポリウレタン樹脂を洗浄・乾燥させてウレタンフィルム8を得る洗浄・乾燥ステップを経て作製される。
準備ステップでは、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂を溶解可能な水混和性の有機溶媒のN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)および添加剤を混合してポリウレタン樹脂を溶解させる。ポリウレタン樹脂には、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂から選択して用い、例えば、ポリウレタン樹脂が30%となるようにDMFに溶解させる。添加剤としては、セル9の大きさや量(個数)を制御するカーボンブラック等の顔料、発泡を促進させる親水性活性剤およびポリウレタン樹脂の凝固再生を安定化させる疎水性活性剤等を用いることができる。得られた溶液を濾過することで凝集塊等を除去した後、真空下で脱泡してポリウレタン樹脂溶液を調製する。
凝固再生ステップでは、準備ステップで調製したポリウレタン樹脂溶液を成膜基材に連続的に塗布し、水系凝固液に浸漬することでポリウレタン樹脂をフィルム状に凝固再生させる。ポリウレタン樹脂溶液は、塗布装置により常温下で帯状の成膜基材に略均一に塗布される。塗布装置には、本例では、ナイフコータが用いられる。このとき、ナイフコータと成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、ポリウレタン樹脂溶液の塗布厚さ(塗布量)が調整される。成膜基材には、可撓性フィルム、不織布、織布等を用いることができる。本例では、成膜基材としてPET製フィルムが用いられる。
ポリウレタン樹脂溶液が塗布された成膜基材は、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液に浸漬される。凝固液中では、まず、塗布されたポリウレタン樹脂溶液の表面にスキン層を構成する微多孔が厚さ数μm程度にわたって形成される。その後、ポリウレタン樹脂溶液中のDMFと凝固液との置換の進行によりポリウレタン樹脂が成膜基材の片面にフィルム状に凝固再生する。DMFがポリウレタン樹脂溶液から脱溶媒し、DMFと凝固液とが置換することにより、スキン層より内側のポリウレタン樹脂中には、セル9および図示しないセルが形成され、セル9および図示しないセルを網目状に連通する不図示の連通孔が形成される。このとき、成膜基材のPET製フィルムが水を浸透させないため、ポリウレタン樹脂溶液の表面側(スキン層側)で脱溶媒が生じて成膜基材側が表面側より大きなセル9が形成される。
洗浄・乾燥ステップでは、凝固再生した帯状(長尺状)のポリウレタン樹脂を洗浄した後乾燥させる。すなわち、ポリウレタン樹脂は、成膜基材から剥離され、水等の洗浄液中で洗浄されてポリウレタン樹脂中に残留するDMFが除去される。洗浄後、ポリウレタン樹脂を乾燥機等で乾燥させてウレタンフィルム8が作製される。本例では、乾燥機として、内部に熱源を有するシリンダを備えたシリンダ乾燥機が用いられる。ポリウレタン樹脂がシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。乾燥後のウレタンフィルム8はロール状に巻き取られる。
<貼り合わせ>
次に、それぞれ作製されたウレタン発泡体2、ウレタンシート6、ウレタンフィルム8を貼り合わせる。すなわち、ウレタン発泡体2の研磨面Pと反対側の面に粘着層11を介してウレタンシート6を貼り合わせた後、ウレタンシート6のウレタン発泡体2と反対側の面に粘着層12を介してウレタンフィルム8を貼り合わせる。その後、ウレタンフィルム8のウレタンシート6と反対側の面に両面テープ15を貼り合わせる。そして、円形、角形等の所望の形状に裁断した後、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い、研磨パッド20を完成させる。
被研磨物の研磨加工を行うときは、研磨装置の研磨定盤に研磨パッド20を装着する。研磨定盤に研磨パッド20を装着するときは、剥離紙15bを取り除き、露出した粘着剤層で研磨定盤に接着固定する。研磨定盤と対向するように配置された保持定盤に保持させた被研磨物を研磨面P側へ押圧すると共に、外部からスラリを供給しながら研磨定盤ないし保持定盤を回転させることで、被研磨物の加工面が研磨加工される。このとき、開孔4にスラリが保持されつつ、加工面全体に略均等に供給される。なお、通常、研磨液の媒体としては水が使用されるが、アルコール等の有機溶剤を混合することも可能である。
(作用等)
次に、本実施形態の研磨パッド20の作用等について説明する。
本実施形態では、ウレタンシート6が3〜9%の範囲の圧縮率を有しており、ウレタンフィルム8がウレタンシート6より大きい圧縮率を有している。このため、研磨機の定盤表面が凹凸を生じて表面粗さを有していても、研磨圧力の不均一な分布がウレタンフィルム8で均等化されると共に、ウレタンフィルム8より圧縮率が小さい(高剛性の)ウレタンシート6を介して被研磨物に均等化された研磨圧力が掛けられる。これにより、被研磨物が均等化された研磨圧力で研磨加工されるので、加工面の平坦性を向上させることができる。
また、本実施形態では、粘着層11を介して貼り合わされたウレタン発泡体2およびウレタンシート6の3層分が、ヒステリシスロス率30〜50%の範囲の特性を有している。ヒステリシスロス率が小さくなるほど反発弾性が大きくなり、変形時の回復性が大きくなるのに対して、ヒステリシスロス率を30〜50%の範囲としたことで、変形回復性を小さくすることができる。このため、研磨加工時に研磨屑や研磨粒子の凝集物等の異物が研磨面Pおよび加工面間に存在することで研磨面Pが局所的に変形しても、研磨面Pの変形回復性が小さくなるため、局所的な圧力がウレタン発泡体2側に吸収されることから、加工面に対して局所的に過度の圧力がかかることを抑制することができる。これにより、加工面での研磨傷(スクラッチ)の発生が抑制されるので、研磨性能を安定化し加工面の平坦性を向上させることができる。従って、研磨パッド20は、磁気ディスク用ガラス基板等の表面を表面粗さ0.5nm以下程度に鏡面化するような平滑仕上げが求められる研磨加工に好適に使用することができる。
研磨加工時には、研磨面P側で摩耗が生じると共に、開孔4の目詰まりが生じたときに表面サンディング(ツルーイング)により研磨面P側が研削処理される。これに伴いウレタン発泡体2の厚さが低減すると、ウレタンシート6が高剛性を有する分で研磨パッド20の全体として剛性が高くなる傾向がある。本実施形態では、ウレタン発泡体2、粘着層11およびウレタンシート6の3層分が上述した範囲のヒステリシスロス率を有することで、局所的な圧力を吸収しやすくなる。このため、研磨加工中にかかる局所的な圧力がウレタン発泡体2、粘着層11およびウレタンシート6の3層分で吸収されるので、一貫して安定した研磨レートで研磨加工を継続することができる。
このようなヒステリシスロス率が30%未満では、反発性が高くなりすぎるため、異物による局所的な圧力を吸収することができず加工面にスクラッチを生じることとなる。反対に、ヒステリシスロス率が50%を超えると、研磨面Pにおける局所的変形の回復に時間を要するため、その分で研磨面Pの平坦性が低下して加工面に研磨ムラを生じさせることとなる。ヒステリシスロス率を上述した範囲とするためには、例えば、ウレタン発泡体2のハードセグメントの比率を低下させる、ウレタン発泡体2にゴム成分を配合する、粘着層11に粘弾性に優れる粘着剤を用いる、等の方法を挙げることができる。本実施形態では、ウレタン発泡体2がポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物の反応で形成されるため、これらの化合物の配合比により容易にウレタン発泡体2のハードセグメントの比率を調整することができる。また、粘着層11が粘着層12より大きい粘弾性を有するため、ヒステリシスロス率を上述した範囲に調整しやすくすることができる。
更に、本実施形態では、ウレタン発泡体2の研磨面Pに孔径1〜50μmの開孔4が形成されている。このため、研磨加工時には、スラリが開孔4に保持されつつ、加工面の全体にわたり略均等に供給される。これにより、加工面の全体が略均等に研磨加工されるので、加工面の平坦性を向上させることができる。開孔4の孔径が1μm未満では、スラリに含有される研磨粒子の粒径より孔径が小さくなるため、スラリを保持できず研磨性能を確保することができなくなる。反対に、開孔4の孔径が50μmを超えると、研磨粒子の大きさに対して研磨面Pの凹凸が大きくなるため、加工面を高度に平坦化することが難しくなる。
また更に、本実施形態では、ウレタンフィルム8の圧縮率が10〜45%の範囲、圧縮弾性率が95〜100%の範囲にそれぞれ調整されている。このため、ウレタンフィルム8がクッション性を発揮し定盤表面の凹凸による研磨圧力の不均一さを低減することができる。これにより、加工面に掛かる研磨圧力が均等化されるので、加工面の平坦性向上を図ることができる。ウレタンフィルム8の圧縮率が10%に満たないと、硬くなりすぎるため、加工面に対する追従性が損なわれるので、加工面の平坦性を低下させることとなる。反対に、圧縮率が45%を超えると、研磨圧力によるウレタンフィルム8の変形が大きくなりすぎるため、却って加工面に研磨ムラを生じることとなる。また、圧縮弾性率が95%に満たないと、研磨圧力で変形したときの回復性が低下するため、異なる被研磨物を連続的に研磨加工する際に、研磨レート等の研磨性能が変化してしまい、被研磨物の平坦性にバラツキが生じることとなる。
従来磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクでは、記録密度の向上が図られており、ガラス基板を用いる技術が開発されている。記録密度の向上には、ガラス基板の表面(加工面)を極力平滑に仕上げることが求められている。ガラス基板の研磨加工に用いられる研磨パッドでは、研磨面の開孔径を微細化し、研磨加工時に掛けられる研磨圧力を略均一に分散させるために、内部に大気孔が形成されている。ところが、研磨面の開孔径を微細化することで、加工面の微小うねりが低減するものの、内部に大気孔が形成されているため、研磨パッド自体の変形が大きくなり微小うねりの低減が十分とはいえない。また、研磨面に微細気孔が形成された研磨層と、高剛性の中間層と、中間層より圧縮率の大きい基層とを積層した研磨パッドが考えられる。ところが、中間層により研磨パッド自体の変形が抑制されるものの、研磨加工時に生じた研磨屑や研磨粒子の凝集物等の異物が加工面および研磨面間に存在すると、局所的に大きな圧力が加工面にかかることとなる。中間層が高剛性のためこのような圧力を吸収することができず、加工面に研磨傷等の致命的なダメージを与えることとなる。また、中間層が高剛性のため、全体の剛性が大きくなり、研磨面での磨耗が大きくなる。研磨層が摩耗して厚みが減少するのに対し、中間層の厚みが変化しないため、研磨パッド全体の剛性がさらに高まることとなる。この結果、研磨加工中に生じた異物の影響を受けやすくなり、ガラス基板に対する研磨傷の発生が増加する、研磨レート等の研磨性能が変動してしまう、という問題がある。本実施形態は、これらの問題を解決することができる研磨パッドである。
なお、本実施形態では、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物を反応させるときに水を添加することで発泡構造のウレタン発泡体2を形成する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、窒素やヘリウム等の不活性な気体や中空状の微粒子を混合することで発泡構造を形成するようにしてもよい。また、ポリウレタン以外に、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレート等で形成するようにしてもよい。更に、乾式成型によりウレタン発泡体2を形成することに代えて、湿式成膜により形成するようにしてもよいことはもちろんである。湿式成膜では、ポリウレタン樹脂を有機溶媒に溶解させ、水等の凝固浴中で凝固再生させることで、ポリウレタン樹脂の内部に脱溶媒(溶媒置換)に伴う発泡が形成されたウレタン発泡体が形成される。ポリウレタン樹脂を溶解させる有機溶媒に、ポリウレタン樹脂の凝固再生を遅くするために、例えば、酢酸エチル等の調整有機溶媒を添加するようにしてもよい。このようにすれば、上述したウレタン発泡体2と同様に、断面円形状の複数の発泡が厚さ方向で重畳するように形成され、厚さ方向と交差する2方向で略均等に形成される。湿式成膜で形成したウレタン発泡体では、発泡が脱溶媒により形成されるため、連続状の発泡構造となる。
また、本実施形態では、ウレタンシート6として、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物を反応させたポリウレタン樹脂製で、内部に孔径5μm未満のセルが形成されたシートを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、PET等のポリウレタン以外の樹脂で形成するようにしてもよく、圧縮率やヒステリシスロス率を上述した範囲に調整することができれば、内部にセルが形成されていなくてもよい。換言すれば、研磨パッド20を構成する中間層として、ウレタンシート6に代えて、PET樹脂をシート状に形成することで得られる、無発泡構造のPET製シートを用いることも可能である。
更に、本実施形態では、ポリウレタンフィルム8として、湿式成膜されたポリウレタン樹脂製のフィルムを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポリエチレン製やポリプロピレン製としてもよく、発泡構造についても特に制限されるものではない。ウレタンシート6より大きい圧縮率に調整することを考慮すれば、湿式成膜により比較的大きなセルが形成されていることが好ましく、このようなフィルムは湿式成膜により好適に得ることができることから、ポリウレタン樹脂製とすることが好ましい。
また更に、本実施形態では、ウレタンフィルム8の厚さを100〜2000μmの範囲、ウレタンシート6の厚さをウレタンフィルム8の30〜50%の範囲、ウレタン発泡体2の厚さをウレタンフィルム8の85〜100%の範囲、にそれぞれ調整する例を示したが、本発明はこれらに限定されるものではない。ウレタン発泡体2、ウレタンシート6、ウレタンフィルム8のそれぞれの圧縮率や圧縮弾性率、および、ウレタン発泡体2とウレタンシート6とを粘着層11で貼り合わせた3層分のヒステリシスロス率を上述した範囲に調整できればよい。このような観点を考慮すれば、ウレタンフィルム8の厚さを200〜400μmの範囲とすることが好ましい。また、ウレタンシート6の厚さを30〜1000μmの範囲とすることが好ましく、150〜300μmの範囲とすることがより好ましい。ウレタン発泡体2では、厚さを85〜2000μmの範囲とすることが好ましく、100〜300μmの範囲とすることがより好ましい。
次に、本実施形態に従い製造した研磨パッド20の実施例について説明する。なお、比較のために製造した比較例についても併記する。
(実施例1)
実施例1では、ウレタン発泡体2として、イソシアネート含有量が9〜9.3%の末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマ(Adiprene L−325)と、ポリアミン化合物のMOCAと、数平均分子量約2000のPPGに水を分散させた分散液と、を反応させた。このとき、プレポリマ:MOCA:分散液を重量比で100部:22.8部:5.3部の割合で混合した。硬化、成型後、形成されたポリウレタン発泡体を厚さ250μmにスライスしてウレタン発泡体2を作製した。ウレタンシート6は、ウレタン発泡体2の作製に用いた分散液に代えて、PPGのみを用いる(水を配合しない)こと以外はウレタン発泡体2の作製と同様にし、厚さを250μmに調整して作製した。ウレタンフィルム8では、ポリウレタン樹脂として、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂を用い、厚さが300μmとなるように作製した。得られたウレタン発泡体2の研磨面Pと反対側の面にウレタンシート6をポリウレタン系粘着剤(剪断貯蔵弾性率G=5MPa)の粘着層11で貼り合わせた。また、ウレタンシート6のウレタン発泡体2と反対側の面にアクリル系粘着剤(剪断貯蔵弾性率G=3MPa)の粘着層12を介してウレタンフィルム8を貼り合わせた。ウレタンフィルム8のウレタンシート6と反対側の面に両面シート15を貼り合わせ、実施例1の研磨パッド20を製造した。
(比較例1)
比較例1では、ウレタンシート6を用いないこと以外は実施例1と同様にして比較例1の研磨パッドを製造した。すなわち、比較例1の研磨パッドは、ウレタン発泡体2、粘着層11、粘着層12およびウレタンフィルム8がこの順に積層され貼り合わされている。ウレタンフィルム8の粘着層12と反対側の面に両面シート15を貼り合わせ、比較例1の研磨パッドを製造した。
(物性測定)
各実施例および比較例の研磨パッドについて、ウレタン発泡体2、粘着層11およびウレタンシート6の3層分のヒステリシスロス率を測定した。ヒステリシスロス率は、日本工業規格(JIS K 6400−2 軟質発泡材料−物性特性の求め方 第2部 硬さ及び圧縮たわみ 圧縮たわみB法)に準じた方法で測定した。すなわち、ウレタン発泡体2、粘着層11およびウレタンシート6の3層分を0.25〜2.5mmの厚さ(初めの厚さ)となるように複数積層し、直径10mmの円形状の試験片を切り出した。試験片を試験機(島津製作所製、マイクロオートグラフ、MST−1)の台上の中央に置き、直径20mmの円形状の加圧板を0.1mm/分の速さで初めの厚さの10%まで押し込んだ後、同じ速さで加圧板を戻し、力−変位量曲線を記録した(但し、加圧から減圧に移るときの保持時間は2秒以下とした。)。力−変位量曲線から、原点o−曲線a−点b−点e−原点oで囲まれる面積に対する、原点o−曲線a−点b−曲線c−点dで囲まれる面積の割合を百分率で求めヒステリシスロス率とした(図2参照)。ヒステリシスロス率の測定結果を下表1に示す。なお、比較例1では、ウレタンシート6を用いていないため、ウレタン発泡体2、粘着層11、12およびウレタンフィルム8で測定した結果である。
また、ウレタン発泡体2について、厚さ、かさ密度、ショアA硬度、開孔4の孔径を測定した。厚さの測定では、ダイヤルゲージ(最小目盛り0.01mm)を使用し荷重100g/cmをかけて測定した。かさ密度は、所定サイズの大きさに切り出した試料の重量を測定し、サイズから求めた体積から算出した。ショアA硬度は、日本工業規格(JIS K 6253)に従い、バネを介して試験片表面へ押し付けられた押針の押し込み深さから求めた。孔径は、マイクロスコープ(KEYENCE製、VH−6300)で約1.3mm四方の範囲を175倍に拡大して観察し、得られた画像を画像処理ソフト(Image Analyzer V20LAB Ver.1.3)により処理し算出した。
ウレタンシート6について、厚さ、ショアA硬度、圧縮率を測定した。厚さ、ショアA硬度の測定はウレタン発泡体2での測定と同様にした。圧縮率は、日本工業規格(JIS L 1021)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めた。具体的には、無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さtを測定し、次に、厚さtの状態から最終圧力を30秒間かけた後の厚さtを測定した。圧縮率は、圧縮率(%)=100×(t−t)/tの式で算出した。このとき、初荷重は100g/cm、最終圧力は1120g/cmであった。
ウレタンフィルム8について、厚さ、圧縮率、圧縮弾性率を測定した。厚さの測定はウレタン発泡体2での測定と同様にし、圧縮率の測定はウレタンシート6での測定と同様にした。圧縮弾性率は、日本工業規格(JIS L 1021)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めた。具体的には、無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さtを測定し、次に、厚さtの状態から最終圧力を30秒間かけた後の厚さtを測定した。厚さtの状態から全ての荷重を除き、5分間放置(無荷重状態とした)後、再び初荷重を30秒間かけた後の厚さt’を測定した。圧縮弾性率は、圧縮弾性率(%)=100×(t’−t)/(t−t)の式で算出した。このとき、初荷重は100g/cm、最終圧力は1120g/cmであった。ウレタン発泡体2、ウレタンシート6、ウレタンフィルム8の測定結果を下表2にまとめて示す。なお、ウレタンシート6では、孔径が小さすぎるため、測定値として得ることができなかった。また、ウレタンフィルム8では、孔径が大きすぎるため、測定を行っていない。
Figure 2010082721
表1に示すように、比較例1ではヒステリシスロス率が18.2%を示したのに対して、実施例1では35.8%と大幅に増大した。このことから、ヒステリシスロス率の小さい比較例1では、弾性が大きくゴム状の性質を示すことが判った。
Figure 2010082721
表2に示すように、圧縮率では、ウレタンシート6が3.1%であったのに対して、ウレタンフィルム8が10.6%とウレタンシート6より大きい結果を示した。また、ウレタンフィルム8の圧縮弾性率が95%以上の97%を示した。
(研磨性能評価)
次に、各実施例及び比較例の研磨パッドを用いて、以下の研磨条件で磁気ディスク用のガラス基板の研磨加工を行い、研磨レートを測定した。研磨レートは、1分間当たりの研磨量を厚さで表したものであり、研磨加工前後のアルミニウム基板の重量減少から求めた研磨量、アルミニウム基板の研磨面積および比重から算出した。また、目視にてスクラッチの有無を判定した。研磨レートおよびスクラッチの測定結果を下表3に示す。
(研磨条件)
使用研磨機:スピードファム社製、9B−5Pポリッシングマシン
研磨速度(回転数):30rpm
加工圧力:100g/cm
スラリ:コロイダルシリカスラリ(pH:11.5)
スラリ供給量:100cc/min
被研磨物:磁気ディスク用ガラス基板
Figure 2010082721
表3に示すように、実施例1では、研磨レートが0.11μm/minを示し、比較例1の研磨レートを超える数値を示した。また、比較例1では目視で確認できるほどの深い研磨傷が認められたのに対して、実施例1では目視による研磨傷の存在は確認できなかった。
本発明は研磨性能を安定化し被研磨物の平坦性を向上させることができる研磨パッドを提供するため、研磨パッドの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
本発明を適用した実施形態の研磨パッドを模式的に示す断面図である。 ウレタンシートの変位量と荷重との関係におけるヒステリシスを模式的に示す説明図である。 実施形態の研磨パッドの製造に用いた混合機および型枠の概略を示すブロック図である。
符号の説明
P 研磨面
2 ウレタン発泡体(研磨層)
3 セル
4 開孔
6 ウレタンシート(中間層)
8 ウレタンフィルム(クッション層)
11 粘着層(第1の粘着層)
12 粘着層(第2の粘着層)
20 研磨パッド

Claims (9)

  1. 被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する発泡構造の研磨層と、
    前記研磨層の前記研磨面と反対側の面に第1の粘着層を介して貼り合わされ、3%〜9%の圧縮率を有する中間層と、
    前記中間層の前記研磨層と反対側の面に第2の粘着層を介して貼り合わされ、前記中間層より大きい圧縮率を有するクッション層と、
    を備え、
    前記第1の粘着層は前記第2の粘着層より大きい粘弾性を有しており、
    前記第1の粘着層を介して貼り合わされた前記研磨層および前記中間層は、厚さが0.25mm〜2.5mmの範囲となるように複数積層して厚さの変位量が75%となるまで一定速さで加圧したのち前記一定速さで除圧したときに、加圧時エネルギと除圧時エネルギとの差の前記加圧時エネルギに対する百分率が30%〜50%の範囲の特性を有することを特徴とする研磨パッド。
  2. 前記研磨層は、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物およびポリアミン化合物との反応で形成され、内部にセルが略均等に形成された発泡構造を有することを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記研磨層は、前記研磨面に孔径が1μm〜50μmの開孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の研磨パッド。
  4. 前記クッション層は、ポリウレタン樹脂の湿式成膜で形成され、内部にセルが略均等に連続状に形成された発泡構造を有することを特徴とする請求項2に記載の研磨パッド。
  5. 前記クッション層は、圧縮率が10%〜45%の範囲であり、圧縮弾性率が95%〜100%の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の研磨パッド。
  6. 前記中間層は、無発泡構造を有する、ないし、内部に孔径が5μm未満で圧縮性の発現に未関与のセルが形成されていることを特徴とする請求項5に記載の研磨パッド。
  7. 前記クッション層は、厚さが100μm〜2000μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  8. 前記中間層は、厚さが前記クッション層の厚さの30%〜50%の範囲であることを特徴とする請求項7に記載の研磨パッド。
  9. 前記研磨層は、厚さが前記クッション層の厚さの85%〜100%の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の研磨パッド。
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