JP2010077375A - エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、高いガラス転移温度を有するエポキシ樹脂硬化物の形成に有用なエポキシ樹脂組成物を提供して、高温時における特性低下の抑制されたエポキシ樹脂硬化物を提供することを課題としている。
【解決手段】本発明にかかるエポキシ樹脂組成物は、液状エポキシ樹脂と、固体状エポキシ樹脂とが含まれており、1分子中にグリシジル基と加水分解性アルコキシシラン基とを有するオルガノアルコキシシラン化合物を加水分解させてなる加水分解性生物がさらに含有されており、前記固体状エポキシ樹脂の含有量が前記液状エポキシ樹脂以上であることを特徴としている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物とエポキシ樹脂硬化物とに関し、より詳しくは、液状エポキシ樹脂と、固体状エポキシ樹脂とが含有されているエポキシ樹脂組成物と該エポキシ樹脂組成物が硬化されたエポキシ樹脂硬化物に関する。
従来、エポキシ樹脂が含まれてなるエポキシ樹脂組成物は、耐熱性や機械的強度などの点において他の一般的な樹脂組成物に比べて優れていることから種々の用途に用いられており、例えば、耐熱性が求められる部材に用いられるような場合においては、このエポキシ樹脂組成物が硬化された硬化物(エポキシ樹脂硬化物)の状態で用いられている。
このようなエポキシ樹脂組成物には、例えば、エポキシ樹脂硬化物とされた際に、高温時においても常温時と同様の優れた特性が保持されることが求められており、一般に、“Tg”などと呼ばれるガラス転移温度(ガラス転移点)の向上が求められている。
エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度を向上させる試みとしては各種検討されており、例えば、下記特許文献1には、特定の構造を有するフェノール樹脂を硬化剤として用いることで高いガラス転移温度のエポキシ樹脂硬化物が得られることが記載されている。
しかし、従来、極めて高いガラス転移温度を有するエポキシ樹脂硬化物の形成に有用なエポキシ樹脂組成物が見出されておらず、例えば、150℃を超えるようなガラス転移温度を有するエポキシ樹脂硬化物の形成は困難な状況となっている。
したがって、従来のエポキシ樹脂硬化物は、高温時において種々の特性を低下させてしまうおそれを有する。
特開2002−327035号公報
本発明は、高いガラス転移温度を有するエポキシ樹脂硬化物の形成に有用なエポキシ樹脂組成物を提供して、高温時における特性低下の抑制されたエポキシ樹脂硬化物を提供することを課題としている。
本発明は、前記課題を解決すべく、エポキシ樹脂組成物とエポキシ樹脂硬化物とを提供するものであり、エポキシ樹脂組成物にかかる本発明は、液状エポキシ樹脂と、固体状エポキシ樹脂とが含まれており、1分子中にグリシジル基と加水分解性アルコキシシラン基とを有するオルガノアルコキシシラン化合物を加水分解させてなる加水分解生成物がさらに含有されており、前記固体状エポキシ樹脂の含有量が前記液状エポキシ樹脂以上であることを特徴としている。
また、エポキシ樹脂硬化物に係る発明は、液状エポキシ樹脂と、固体状エポキシ樹脂とが含有されており、フェノール樹脂が硬化剤として含有されているエポキシ樹脂組成物が硬化されてなるエポキシ樹脂硬化物であって、前記エポキシ樹脂組成物が、1分子中にグリシジル基と加水分解性アルコキシシラン基とを有するオルガノアルコキシシラン化合物を加水分解させてなる加水分解生成物をさらに含有し、前記固体状エポキシ樹脂の含有量が前記液状エポキシ樹脂以上であることを特徴としている。
なお、本明細書中における液状エポキシ樹脂との用語は、常温(23℃)において液体状のエポキシ樹脂を意図しており、固体状エポキシ樹脂との用語は、常温(23℃)において固体状のエポキシ樹脂を意図している。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、1分子中にグリシジル基と加水分解性アルコキシシラン基を有するオルガノアルコキシシラン化合物を加水分解させてなる加水分解生成物が含有されておりエポキシ樹脂を硬化させる際に、この加水分解生成物を縮合重合させることができる。
このことによって、硬化物のガラス転移温度を向上させることができる。
特には、フェノール樹脂などをエポキシ樹脂の硬化剤として用いることにより、硬化物に極めて高いガラス転移温度を付与させうる。
また、本発明に係るエポキシ樹脂硬化物は、高いガラス転移温度を有することから高温時における特性低下のおそれが抑制されうる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
まず、エポキシ樹脂組成物について説明する。
本実施形態における、エポキシ樹脂組成物は、常温液体状の液状エポキシ樹脂と、常温固体状の固体状エポキシ樹脂とが含有されており、しかも、前記固体状エポキシ樹脂が前記液状エポキシ樹脂よりも多く含有されている。
また、本実施形態における、エポキシ樹脂組成物は、1分子中にグリシジル基と加水分解性アルコキシシラン基を有するオルガノアルコキシシラン化合物を加水分解させてなる加水分解生成物がさらに含有されている。
さらに、本実施形態におけるエポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂を硬化させるためのフェノール樹脂とその他の配合剤が含有されている。
前記エポキシ樹脂組成物に含有される液状エポキシ樹脂は、例えば、23℃の常温において液体状のものであれば、単独の種類であっても、複数種類であっても良い。
このような液状エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ当量が300g/eq以下(例えば、180〜200g/eq)のビスフェノールAタイプ、あるいは、ビスフェノールFタイプのエポキシ樹脂が挙げられる。
なお、本明細書中においては、特段の記載がない限りにおいて前記エポキシ当量とはJIS K 7236により求められる値を意図している。
ビスフェノールAタイプと呼ばれるエポキシ樹脂は、一般に下記式(1)のような構造を有しており、式中の繰り返し単位(nの数)が0から10を超えるようなものが市販されている。
なお、このビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂の構造中のメチル基に代えて水素原子が結合されているものを、通常、ビスフェノールFタイプと呼んでいる。
Figure 2010077375
一般に、液状エポキシ樹脂としては、上記式(1)においてn=0となる構造のもの以外には殆ど市販されていない。
固体状エポキシ樹脂としては、nが2や4などとなる構造を有するビスフェノールAタイプのものやノボラックタイプのものが一般的である。
したがって、液状エポキシ樹脂と、固体状エポキシ樹脂とは、分子中に水酸基を有しているか否かを相違点として有している。
このエポキシ樹脂の水酸基は、前記加水分解生成物の水酸基と脱水縮合反応して、エポキシ樹脂と加水分解生成物との結合状態を形成させる要因となりうる。
エポキシ樹脂と加水分解生成物との結合が過剰に進展すると、該結合によって形成されるポリマーの高分子量化が過剰に進展することになるため、このポリマーの熱溶融物や、該ポリマーを有機溶媒などに溶解させた溶液の粘度が高くなって、いわゆる、ゲル化現象を発生させることとなる。
そのため、本実施形態における液状エポキシ樹脂は、分子中に水酸基のない低分子量のエポキシ樹脂成分として必須なものである。
また、前記固体状エポキシ樹脂も、例えば、23℃の常温において固体状のものであれば、単独、又は複数混合された状態で本実施形態のエポキシ樹脂組成物に用いられうる。
このような固体状エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ当量が400〜5000g/eqのビスフェノールAタイプ、あるいは、ビスフェノールFタイプのエポキシ樹脂が挙げられる。
また、エポキシ当量が、150〜250g/eqのビフェニルタイプ、あるいは、クレゾールノボラックタイプ、あるいは、フェノールノボラックタイプのエポキシ樹脂が挙げられる。
先述のように、固体状エポキシ樹脂が高分子量であるほどゲル化の問題を生じやすくなることから、分子内に水酸基の少ない、比較的分子量の低いエポキシ樹脂が好ましく、エポキシ当量が450〜1000g/eqのビスフェノールAタイプ、あるいは、ビスフェノールFタイプのエポキシ樹脂が好適である。
特に、前記式(1)における繰り返し数(n)が2となる構造を有するエポキシ樹脂が、本実施形態における固体状エポキシ樹脂として好適である。
なお、これらの液状エポキシ樹脂や固体状エポキシ樹脂としては、例えば、ゴム変性等の各種変性がなされたものも用いられうる。
また、本実施形態においては、前記固体状エポキシ樹脂が重量で液状エポキシ樹脂以上の量(重量)でエポキシ樹脂組成物に配合されていることが重要である。
この固体状エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂との含有量が上記のような関係となっていることが重要なのは、固体状エポキシ樹脂の含有量が、重量で、液状エポキシ樹脂の含有量未満である場合には、高温時における特性低下の抑制されたエポキシ樹脂硬化物を得られにくくなるためである。
すなわち、液状エポキシ樹脂が固体状エポキシ樹脂よりも多く含有されているエポキシ樹脂組成物では、例えば、貯蔵弾性率などの機械的特性において、常温(例えば、23℃)における値に比べて高温(例えば、150℃以上)における値の低下が抑制されたエポキシ樹脂硬化物を得ることが困難である。
一方で、エポキシ樹脂組成物に液状エポキシを全く含ませず、含有させるエポキシ樹脂を固体状エポキシ樹脂のみとした場合には、後述する脱水・脱アルコール処理時においてゲル化を生じやすく、エポキシ樹脂硬化物の形成を容易に実施させることが困難になる。
したがって、固体状エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂との含有量を上記のような関係とさせているのは、高温時における特性低下の抑制されたエポキシ樹脂硬化物をより簡便に形成させるためであり、このような観点からは、液状エポキシ樹脂と前記固体状エポキシ樹脂との重量割合(固体状エポキシ樹脂/液状エポキシ樹脂)が、80/20〜97/3のいずれかとされることが好ましい。
上記範囲(80/20〜97/3)の内のいずれかの割合で用いられるエポキシ樹脂の内、固体状エポキシ樹脂としては、エポキシ当量450〜500g/eqのいずれかで、JIS K7234の環球法に基づく軟化点が60〜70℃のいずれかであるビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂が特に好ましい。
また、液状エポキシ樹脂としては、エポキシ当量184〜194g/eqのいずれかであるビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂が好ましい。
また、本実施形態のエポキシ樹脂組成物には、1分子中にグリシジル基と加水分解性アルコキシシラン基を有するオルガノアルコキシシラン化合物を加水分解させてなる加水分解生成物が含有されている。
この1分子中にグリシジル基と加水分解性アルコキシシラン基を有するオルガノアルコキシシラン化合物としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシランなどを使用することができる。
なかでも、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランは、エポキシ樹脂硬化物の高温時における物性低下の抑制に特に有効である。
この1分子中にグリシジル基と加水分解性アルコキシシラン基を有するオルガノアルコキシシラン化合物(以下、特段の記載がない限りにおいて「オルガノアルコキシシラン化合物」との用語は、「1分子中にグリシジル基と加水分解性アルコキシシラン基を有するオルガノアルコキシシラン化合物」を意図している)を加水分解させてなる加水分解生成物としては、通常、オルガノアルコキシシラン化合物が加水分解された分解物、あるいは、この分解物どうしが縮合重合して形成された縮合重合物のいずれかの状態で本実施形態のエポキシ樹脂組成物に含有される。
この分解物や縮合重合物としては、オルガノアルコキシシラン化合物をジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートなどの加水分解触媒と水との存在下において常温、又は加熱して得られるものが挙げられる。
なお、この加水分解生成物は、その形成時において水分を必要とするとともにアルコール(主としてメタノール)が発生する。
したがって、オルガノアルコキシシラン化合物の加水分解生成物が含有されることで、通常、アルコールや水分も含有されることとなるが、本実施形態のエポキシ樹脂組成物においては、これらの含有量が極力低減されていることが好ましい。
したがって、オルガノアルコキシシラン化合物、加水分解触媒、及び水の混合液が、本実施形態のエポキシ樹脂組成物に用いられるに際して水及びアルコールを除去する脱水・脱アルコール処理が実施されていることが好ましい。
この脱水・脱アルコール処理の具体的な方法については後述するが、通常、前記混合液を所定時間反応させた後に、この混合液が適度に加温されて実施されるものであることから、前記縮合重合反応を伴うものである。
また、本実施形態におけるエポキシ樹脂組成物としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加水分解させてなる加水分解生成物(分解物+縮合重合物)が、重量で、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との合計量以上に含有されていることが好ましい。
通常、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加水分解させてなる加水分解生成物の重量は、加水分解前のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランに比べてわずかにしか変化しない。
したがって、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との合計100重量部に対して、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを110重量部以上含有させた混合液を作製して加水分解を実施するなどしてエポキシ樹脂組成物を作製することで、前記加水分解生成物が、エポキシ樹脂以上に含有されたエポキシ樹脂組成物となしうる。
なお、加水分解生成物をあまり多く含有させてもエポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度をそれ以上向上させることが困難になることから、通常、この加水分解生成物の含有量は、重量で、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との合計量の2倍未満であることが好ましい。
なお、上記のような配合量において、常温での混合によって、前記混合液(オルガノアルコキシシラン化合物の加水分解生成物)に前記固体状エポキシ樹脂を均一分散させることは困難であることから、混合液とエポキシ樹脂との混合状態を安定させ得る点において、本実施形態のエポキシ樹脂組成物としては、前記固体状エポキシ樹脂及び前記液状エポキシ樹脂が、前記脱水・脱アルコール処理において分散されていることが好ましい。
このように液状エポキシ樹脂及び固体状エポキシ樹脂の存在下にて脱水・脱アルコール処理が実施されることにより、オルガノアルコキシシラン化合物の加水分解生成物(分解物又はその縮合重合物)と液状エポキシ樹脂及び固体状エポキシ樹脂との一部を反応させることができ、硬化物の高温時における特性低下のおそれがより一層低減されうる。
また、この脱水・脱アルコール処理は、通常、加熱条件下にて実施されることから、硬化剤として用いられるフェノール樹脂は、脱水・脱アルコール処理後に配合されていることが好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物には、前記液状エポキシ樹脂及び前記固体状エポキシ樹脂が未硬化状態で含有されており、前記フェノール樹脂は、先にも述べたように、この液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを熱硬化させるための硬化剤として含有されている。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物に含有させる硬化剤としては、このフェノール樹脂以外の、例えば、アミン系のものなども採用は可能であるが、高いガラス転移温度のエポキシ樹脂硬化物をより確実に得るためには、硬化剤としてフェノール樹脂が用いられることが重要である。
このフェノール樹脂としては、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられているフェノール樹脂であれば、特に限定されるものではないが、例えば、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂 、ノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。
これらアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂は、いずれか1種を単独で用いても複数を組み合わせて用いてもよい。
この硬化剤として用いられるフェノール樹脂は、JIS K6910に規定された方法(JIS K5601−2−2)によって測定される軟化点が、130℃以上であることが好ましい。
このような軟化点を有するフェノール樹脂を硬化剤として使用することにより、このエポキシ樹脂組成物を硬化させてエポキシ樹脂硬化物を形成させた際に、ガラス転移温度の極めて高いものを得ることができ、高温時における特性低下がより一層抑制されたエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。
なお、上記フェノール樹脂は、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との合計100重量部に対して、通常、40〜70重量部のいずれかの量でエポキシ組成物に含有させ得る。
以上に示したように、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との合計量100重量部に対して、110重量部以上200重量部未満のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと少量(例えば、1〜10重量部)の水とが含まれている混合液に加水分解触媒が加えられてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解生成物が形成されたものにエポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤(例えば、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との合計量100重量部に対して40〜70重量部となる量のフェノール樹脂)が混合されてなるエポキシ樹脂組成物が、高いガラス転移温度を有するエポキシ樹脂硬化物の形成に特に好適である。
この液状エポキシ樹脂、固体状エポキシ樹脂、オルガノアルコキシシラン化合物を加水分解させてなる加水分解生成物、及びフェノール樹脂等以外にエポキシ樹脂組成物に含有させる他の配合剤としては、例えば、キシレン樹脂、石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、テルペン樹脂、ロジンなどの粘着付与剤、ポリブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールAなどの臭素化合物、塩素化パラフィン、パークロロシクロデカンなどのハロゲン系難燃剤、リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステルなどのリン系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水和金属化合物、または三酸化アンチモン、ホウ素化合物などの難燃剤、フェノール系、リン系、硫黄系の酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料などの一般的なプラスチック用配合薬品や、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、酸化アルミ、酸化マグネシウム、窒化硼素、窒化珪素、窒化アルミニウムといった無機フィラーなどが挙げられる。
また、本発明の効果が著しく損なわれない範囲においては、これら以外にも、各種の配合剤をエポキシ樹脂組成物に含有させうる。
次いで、このようなエポキシ樹脂組成物を硬化させてエポキシ樹脂硬化物を形成する方法について説明する。
まず、オルガノアルコキシシラン化合物、加水分解触媒及び少量の水を混合した混合液を作製し、この混合液を常温、又は加熱状態で保持して加水分解反応を生じさせた後に、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを混ぜた状態で、例えば、100〜200℃程度の温度に加熱して脱水・脱アルコール処理を実施するとともに、この混合液中に液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを溶解させる。
そして、この加熱状態を、例えば、1〜10時間程度保持させることによって、十分に脱水・脱アルコールさせる。このとき、一部が縮合重合することによって新たに水、アルコール等が発生することとなるが、これらについても混合溶液から除去させる。
なお、要すれば、周囲を減圧状態とさせて脱水・脱アルコールを促進させることも可能である。
この脱水・脱アルコール処理においては、オルガノアルコキシシラン化合物が加水分解された分解物の一部に縮合重合反応を発生させて縮合重合物を形成させることができ、この縮合重合物の形成は、脱水・脱アルコール処理の温度や時間などといった処理条件によって調整が可能である。
脱水・脱アルコール処理後は、この混合溶液を冷却し、硬化剤であるフェノール樹脂、ならびに、その他の配合剤を加えて分散させることによって液体状のエポキシ樹脂組成物を作製することができる。
そして、この液状のエポキシ樹脂組成物を、例えば、150〜200℃のいずれかの温度となるように加熱して、この温度を、例えば、1〜10時間程度保持させることによってエポキシ樹脂の硬化反応を進行させてエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。
このようにして得られるエポキシ樹脂硬化物は、硬化条件やエポキシ樹脂組成物の配合内容にもよるが、例えば150℃以上のガラス転移温度、さらには、200℃以上のガラス転移温度を示すものとなり得る。
また、通常、このエポキシ樹脂硬化物は、常温時における貯蔵弾性率と、150℃程度の高温における貯蔵弾性率の値との差が、従来のエポキシ樹脂硬化物に比べて格段に小さく、高温時における物性低下が抑制されたものとなっている。
上記のように、本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、簡便なる方法で高温時における特性低下の抑制されたエポキシ樹脂硬化物を形成させることができる。
次に具体例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実験例1)
(工程1)
信越化学社製のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM403」)と純水と加水分解触媒(ジブチル錫ジラウレート:DBTDL)とを表1の配合割合で混合し、室温で1日間放置して混合液Aを作製した。
Figure 2010077375
(工程2)
この混合液Aに液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社(JER)製ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂、グレード名「828」、エポキシ当量:標準値184〜194g/eq)を表2の配合割合となるように混合して混合液B(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:液状エポキシ樹脂≒118:100)を作製した。
Figure 2010077375
(工程3)
次いで、この混合液Bをフラスコ内で150℃の温度に加熱して、この温度(150℃)を、2時間保持させてオルガノアルコキシシラン化合物(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)の加水分解生成物からの脱水・脱アルコール処理を行い、やや黄味を帯びた混合液Cを作製した。
(工程4)
この混合液Cに、エポキシ樹脂の硬化剤である1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ−CN)を、混合液C100重量部に対して5重量部加え液状のエポキシ樹脂組成物(比較例1)を作製した。
また、これとは別に、液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、グレード名「828」、エポキシ当量:標準値184〜194g/eq)に2E4MZ−CNを5phr加えただけのエポキシ樹脂組成物(従来例1)を作製した。
また、「工程2」における液状エポキシ樹脂に代えて固体状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂、グレード名「1001」、エポキシ当量:標準値450〜500g/eq、軟化点:標準値64℃)を用い、エポキシ樹脂に対するγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの比率が(100:118)に代えて(100:48)となるように配合割合を調整したこと以外は上記比較例1と同様にして比較例2のエポキシ樹脂組成物の作製を実施した。
しかし、この場合、「工程3」(脱水・脱アルコール処理)における混合液のゲル化が激しく、その後の工程を実施することが困難となった。
さらに、「工程2」における液状エポキシ樹脂の半量を固体状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂、グレード名「1001」、エポキシ当量:標準値450〜500g/eq、軟化点:標準値64℃)に置き換えたこと、エポキシ樹脂に対するγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの比率が(100:118)に代えて(100:68)となるように配合割合を調整したこと、脱水・脱アルコール処理の条件を150℃、2時間に代えて140℃、4時間としたこと以外は上記比較例1と同様にして実施例1のエポキシ樹脂組成物を作製した。
この従来例1、比較例1及び実施例1のエポキシ樹脂組成物を、旭化成エレクトロニクス社製ガラスクロス(エポキシシラン処理品、商品名「AS216/450」)に含浸させた後、180℃、2時間の条件で熱硬化を実施して、エポキシ樹脂硬化物を作製した。
また、硬化時間を4時間、16時間としたエポキシ樹脂硬化物も併せて作製した。
このエポキシ樹脂硬化物を、動的粘弾性測定装置(DMS)を用いて、昇温速度5℃/min、測定温度範囲30〜300℃、荷重20g、周波数1Hz、試料幅10mm、角度45度の条件で貯蔵弾性率の測定を実施した。
測定は、50℃の温度と220℃の温度の2回実施した。
また、50℃における貯蔵弾性率の値を100%とした際に、220℃の温度における貯蔵弾性率が何%の値となるかを計算し、高温時の特性保持の指標とした。
さらには、DMSの引張りモードでのガラス転移温度測定も実施した。
測定結果を表3に示す。
Figure 2010077375
この表3にも示されているように、実施例1のエポキシ樹脂組成物が用いられてなるエポキシ樹脂硬化物は、高温時における貯蔵弾性率の低下が従来例1よりも抑制されている。
また、実施例1のエポキシ樹脂組成物が用いられてなるエポキシ樹脂硬化物は、比較例1のエポキシ樹脂組成物が用いられてなるエポキシ樹脂硬化物よりも高いガラス転移温度を有している。
(実験例2)
上記実施例1では、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解性生物の脱水・脱アルコール処理の条件を140℃×4時間としていたが、これを、140℃×1時間(実施例2)、140℃×2時間(実施例3)、140℃×3時間(実施例4)、140℃×6時間(実施例5)としてエポキシ樹脂組成物を作製し、実施例1と同様にガラス繊維に含浸させて硬化(180℃×2時間と180℃×4時間との2通り)させたエポキシ樹脂硬化物を作製した。
また、これとは別に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが含まれていないエポキシ樹脂組成物(従来例2)を作製し、同様にエポキシ樹脂硬化物を作製した。
これらについて、ガラス転移温度、貯蔵弾性率等の測定を実験例1と同様に実施した結果を、表4に示す。
Figure 2010077375
この表4からもわかるように、実施例1乃至5のエポキシ樹脂組成物が用いられてなるエポキシ樹脂硬化物は、従来例2のエポキシ樹脂組成物が用いられたエポキシ樹脂硬化物に比べて高温時における特性低下が抑制されている。
(実験例3)
先の実験例1、2においては、液状エポキシ樹脂(JER「828」)、固体状エポキシ樹脂(JER「1001」)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学「KBM403」)のそれぞれの配合比率が、50:50:68とされ、これらの合計100重量部に対して、2E4MZ−CNが5重量部含有されているエポキシ樹脂組成物について検討してきたが、ここでは(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)=50:50:118の場合、ならびに、20:80:118の場合について検討することとした。
しかも、2E4MZ−CNの配合量を1重量部とし、代わりに、下記の3種のフェノール樹脂を配合してエポキシ樹脂組成物を作製した。
フェノール樹脂1:昭和高分子製、アルキル系の非熱反応型のノボラック系フェノール
樹脂、グレード名「CKM−2400」、軟化点110℃、平均分
子量1100〜1300
フェノール樹脂2:昭和高分子製、ハイオルソノボラック系フェノール樹脂、「NCR
−189」、軟化点137℃、平均分子量1600〜1800
フェノール樹脂3:昭和高分子製、ノボラック型フェノール樹脂、グレード名「CRM
−990」、軟化点160℃、平均分子量2500〜2800
また、これまでの実験例と同様にこれらのエポキシ樹脂組成物をガラスクロスに含浸させて硬化(条件は「180℃×2時間」のみ)させたエポキシ樹脂硬化物を作製し、ガラス転移温度、ならびに、貯蔵弾性率の測定を実施した。
結果を、表5に示す。
Figure 2010077375
この表5の結果からもわかるように、エポキシ樹脂組成物に含有させる硬化剤としてフェノール樹脂を採用することにより、イミダゾール系の硬化剤のみが用いられている場合に比べて格段に高いガラス転移温度を有し、しかも、高温時における貯蔵弾性率の値を常温時に比べて大きく低下させるおそれが抑制されたエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。
また、表5からは、(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)=50:50:118の場合と、20:80:118の場合とについて比較した場合には、後者の方が高いガラス転移温度を有するエポキシ硬化物を得られやすいこともわかる。
さらにこの表5からは、軟化点が130℃以上のフェノール樹脂(「NCR−189」、「CRM−990」)の方が、軟化点が130℃未満のフェノール樹脂(「CKM−2400」)に比べてガラス転移温度の高いエポキシ樹脂硬化物が得られやすいこともわかる。
(実験例4)
先の実験例3において、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との比率が20:80となる以上に固体状エポキシ樹脂が多く含有されている方が高いガラス転移温度を有するエポキシ樹脂硬化物を得られやすいことが確認されたため、さらに、固体状エポキシ樹脂が高配合された(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)=10:90:118の場合と、5:95:118の場合とについて検討した。
また、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのさらなる増量について検討すべく(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)=5:95:130の場合についても検討した。
ここで、硬化剤は、先の実験例3において、良好なる結果が得られた「NCR−189」と「CRM−990」の二種類とした。
得られたエポキシ樹脂組成物は、これまでの実験例と同様に評価を実施するとともに、熱機械分析装置(TMA)での線膨張係数と、このTMAでの引張りモードによるガラス転移温度の測定とを新たに実施した。なお、今回DMSによる貯蔵弾性率の測定は、低温側は、これまで通りの50℃としたが、高温側は、220℃ではなく260℃とした。
得られた結果を、表6に示す。
Figure 2010077375
この表6からもわかるように、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との比率が20:80となる以上に固体状エポキシ樹脂が多く含有されている場合の中でも、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との割合が、重量で、(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)=5:95である場合が、特に高いガラス転移温度を観測することができた。
すなわち、この“5:95”の比率を中心として、例えば、(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)が(7:93)〜(3:97)のいずれかに設定され、且つ、軟化点が150℃以上のノボラック型フェノール樹脂が用いられることによって、特に優れたエポキシ樹脂硬化物を得られやすいことが確認された。
(実験例5)
実験例4において、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との割合が、(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)=5:95とすることで特に優れたエポキシ樹脂硬化物を得られやすいことが確認されたことから、この系を基本としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの変量について検討を行った。
より具体的には、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との合計量100重量部に対して、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの配合量を150重量部、180重量部、200重量部とした。
結果を先の実験例における実施例18、19の結果と併せて、下記表7に示す。
Figure 2010077375
この実験例での検討においては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの配合量は、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との合計量100重量部に対して、150重量部を超え、200重量部未満とすることで優れたエポキシ樹脂硬化物を得られやすいことが判明した。
(実験例6)
上記実験例5において、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの配合量が150重量部を超え、200重量部未満であることが好適であることを見出したことから、ここでは、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの配合量を、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との合計量100重量部に対して180重量部に固定して、硬化剤として用いられているフェノール樹脂の配合量について検討を行った。
具体的には、2E4MZ−CNを0.5重量部に減量するとともに、軟化点が150℃以上のノボラック型フェノール樹脂「CRM−990」の配合量を、40重量部、50重量部、60重量部、70重量部へと変化させて、これまでの実験例と同様に、ガラス転移温度等の測定を実施した。
結果を、実験例5の実施例23におけるデータとともに下記表8に示す。
Figure 2010077375
この表8にも示されているように、フェノール樹脂の配合量としては、液状エポキシ樹脂、固体状エポキシ樹脂及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの合計量100重量部に対して40重量部程度、例えば、35〜45重量部のいずれかの割合で配合することで高いガラス転移温度を有し、高温時における特性低下の抑制されたエポキシ樹脂硬化物をより確実に形成させ得る。
一連の実験例の検討結果を総合すると、本実施形態におけるエポキシ樹脂組成物としては、高いガラス転移温度を有し、高温時における特性低下の抑制されたエポキシ樹脂硬化物の形成に対する有用性の観点からは、450〜500g/eqのいずれかのエポキシ当量を有し且つ軟化点が60〜70℃のいずれかのビスフェノールAタイプの固体状エポキシ樹脂と、184〜194g/eqのいずれかのエポキシ当量を有するビスフェノールAタイプの液状エポキシ樹脂とが、重量で、(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)=(7:93)〜(3:97)のいずれかとなる割合で含有されており、これら液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との合計量100重量部に対して150重量部を超え200重量部未満のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン加水分解生成物がさらに含有されており、前記液状エポキシ樹脂及び前記固体状エポキシ樹脂を硬化させるべく、軟化点が150℃以上のノボラック型フェノール樹脂が液状エポキシ樹脂、固体状エポキシ樹脂及び前記重合物の合計量100重量部に対して35〜45重量部のいずれかの割合となる量含有されているものが特に好適であるといえる。
この点に関し、固体状エポキシ樹脂をジャパンエポキシレジン社製ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂、グレード名「1001」に代えて、同社製ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂、グレード名「1004」(エポキシ当量:標準値875〜975g/eq、軟化点:標準値97℃)、グレード名「1007」(エポキシ当量:標準値1750〜2200g/eq、軟化点:標準値128℃)を使用した検討を行った。
(実験例7)
具体的には、下記条件1〜4の配合系での検討を実施した。その結果、これらの条件では、脱水・脱アルコール工程において混合液が高粘度となることがわかった。
このことからも、450〜500g/eqのいずれかのエポキシ当量を有し且つ軟化点が60〜70℃のいずれかのビスフェノールAタイプの固体状エポキシ樹脂の使用が好適であることが確認できた。
条件1)液状エポキシ樹脂(JER「828」)、固体状エポキシ樹脂(JER「10
04」)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学「KBM
403」)のそれぞれの配合比率(重量比)が、5:95:180
条件2)液状エポキシ樹脂(JER「828」)、固体状エポキシ樹脂(JER「10
04」)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学「KBM
403」)のそれぞれの配合比率(重量比)が、20:80:200
条件3)液状エポキシ樹脂(JER「828」)、固体状エポキシ樹脂(JER「10
04」)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学「KBM
403」)のそれぞれの配合比率(重量比)が、20:80:300
条件4)液状エポキシ樹脂(JER「828」)、固体状エポキシ樹脂(JER「10
01」)、固体状エポキシ樹脂(JER「1007」)、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン(信越化学「KBM403」)のそれぞれの配合比
率(重量比)が、20:40:40:300
次いで、上記条件1〜4とは異なる配合系での検討を行った。
すなわち、液状エポキシ樹脂(JER「828」)、固体状エポキシ樹脂(JER「1001」)、固体状エポキシ樹脂(JER「1004」)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学「KBM403」)のそれぞれの配合比率(重量比)が、20:40:40:300となる配合系(条件5)について検討したところ、140℃×4hの脱水・脱アルコール工程を実施しても、混合液の粘度は実質上問題のない良好なるレベルであった。
このエポキシ樹脂組成物の配合ならびにこのエポキシ樹脂組成物を硬化させた硬化物(実施例30)をこれまでの実施例と同様に評価したところ、その物性は、下記表9に示すとおりであった。
このエポキシ樹脂硬化物は、低温(50℃)における貯蔵弾性率の絶対値は5.1GPaと、これまでの実施例に係るエポキシ樹脂硬化物に比べて低い値ではあるものの、高温(260℃)における保持率が82.4%と、特に優れていることがわかった。
Figure 2010077375
以上のように、発明によれば、高いガラス転移温度を有するエポキシ樹脂硬化物の形成に有用なエポキシ樹脂組成物の提供が可能となることがわかる。

Claims (7)

  1. 液状エポキシ樹脂と、固体状エポキシ樹脂とが含まれており、1分子中にグリシジル基と加水分解性アルコキシシラン基とを有するオルガノアルコキシシラン化合物を加水分解させてなる加水分解生成物がさらに含有されており、前記固体状エポキシ樹脂の含有量が前記液状エポキシ樹脂以上であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記オルガノアルコキシシラン化合物がγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記固体状エポキシ樹脂と前記液状エポキシ樹脂との重量割合(固体状エポキシ樹脂/液状エポキシ樹脂)が、80/20〜97/3のいずれかである請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 液状エポキシ樹脂と、固体状エポキシ樹脂とが含有されており、フェノール樹脂が硬化剤として含有されているエポキシ樹脂組成物が硬化されてなるエポキシ樹脂硬化物であって、
    前記エポキシ樹脂組成物が、1分子中にグリシジル基と加水分解性アルコキシシラン基とを有するオルガノアルコキシシラン化合物を加水分解させてなる加水分解生成物をさらに含有し、前記固体状エポキシ樹脂の含有量が前記液状エポキシ樹脂以上であることを特徴とするエポキシ樹脂硬化物。
  5. 前記オルガノアルコキシシラン化合物がγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである請求項4記載のエポキシ樹脂硬化物。
  6. 前記エポキシ樹脂組成物における固体状エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂との重量割合(固体状エポキシ樹脂/液状エポキシ樹脂)が、80/20〜97/3のいずれかである請求項4又は5記載のエポキシ樹脂硬化物。
  7. 前記フェノール樹脂の軟化点が130℃以上である請求項4乃至6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化物。
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