JP2016180088A - 熱硬化性樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物及びその成形体 Download PDF

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真紀 齊藤
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章則 木村
Akinori Kimura
章則 木村
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Phuong Thi Kim Dao
ティ キム フォン ダオ
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Abstract

【課題】半導体デバイスの封止材料に好適に使用でき、特にパワーデバイス用途であっても、反りやクラックの生じない、高い信頼性を有する熱硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。【解決手段】熱硬化性樹脂及び硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物であって、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×106Pa以上1.0×1010Pa以下であり、70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下である樹脂組成物により課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、熱硬化性樹脂及び硬化触媒を含み、硬化物が特定の貯蔵弾性率と平均線膨張率をもつ熱硬化性樹脂組成物、該樹脂組成物を硬化してなる成形体、該樹脂組成物を用いて封止してなるパワーデバイスに関する。
半導体デバイスの封止材料には、硬化時の収縮や使用時の発熱による反りやクラック発生を抑えることが求められる。特に、パワーデバイス用途では、サイズが大きいため、半導体の中でも特に反りやクラックが生じやすい。
半導体デバイス用の封止材として、エポキシ硬化系やシリコーンゲル系等の各種の封止材が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。しかしながら、一般的なエポキシ硬化系封止材は、線膨張率は非常に低いが、高弾性のため、硬化及び使用中の温度変化より封止材層にかかる内部応力が大きくなる。特に数cm以上のサイズのデバイスの封止材として用いた場合、反りやクラックを十分に抑えることができない。一方、シリコーンゲル系封止材は、弾性率を非常に低く設計することで内部応力を抑えているが、機械的信頼性が得られず、用途が限定されている。
特開2004−256644号公報 特開2012−251116号公報 特開2012−209453号公報
本発明は上記従来技術の状況に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、半導体デバイスの封止材料に好適に使用でき、特にパワーデバイス用途であっても、反りやクラックの生じない、高い信頼性を有する熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために諸種の検討を行った結果、熱硬化性樹脂組成物が硬化した際の貯蔵弾性率及び平均線膨張率を一定範囲に収めることで、硬化時のクラックが生じにくい樹脂組成物が得られることを見出した。そして、当該樹脂組成物を封止材として用いることで、一般的にサイズの大きいパワーデバイスに適用した場合であっても高い信頼性が得られることに想到した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
すなわち、本発明の要旨は、次の[1]〜[14]の通りである。
[1]熱硬化性樹脂及び硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物であって、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上、1.0×1010Pa以下であり、70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下であることを特徴とする樹脂組成物。
[2]上記[1]の樹脂組成物であって、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物の−40℃における貯蔵弾性率(E1)と175℃における貯蔵弾性率(E3)との比(E1/E3)が、12.5以下であることを特徴とする樹脂組成物。
[3]熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む、上記[1]又は[2]の樹脂組成物。
[4]エポキシ樹脂がエポキシシリコーン樹脂である、上記[3]の樹脂組成物。
[5]エポキシ樹脂中のエポキシ基が脂環式エポキシ基を含む、上記[3]又は[4]の樹脂組成物。
[6]シリコーンオイルを含む、上記[1]〜[5]のいずれかの樹脂組成物。
[7]無機フィラーを含む、上記[1]〜[6]のいずれかの樹脂組成物。
[8]無機フィラーの割合が60重量%以上である、上記[7]の樹脂組成物。
[9]無機フィラーの線膨張率が20ppm/K以下である、上記[7]又は[8]の樹脂組成物。
[10]無機フィラーが球状フィラーである、上記[7]〜[9]のいずれかの樹脂組成物。
[11]無機フィラーがシリカである、上記[7]〜[10]のいずれかの樹脂組成物。[12]酸無水物を含む、上記[1]〜[11]のいずれかの樹脂組成物。
[13]上記[1]〜[12]のいずれかの樹脂組成物を硬化してなることを特徴とする成形体。
[14]上記[1]〜[12]のいずれかの樹脂組成物を用いて封止してなることを特徴とする半導体デバイス。
本発明によれば、封止材の線膨張率を低く維持したまま貯蔵弾性率を1.0×10Pa以上1.0×1010Pa以下とすることにより、硬化時及び使用中の温度変化によって生じる内部応力が抑えられ、パワーデバイス等のサイズの大きな半導体デバイスにおいてもクラックの発生が起こらない。また、同時に、機械的信頼性も達成することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
1.熱硬化性樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」と略記することがある。)であって、該樹脂組成物の硬化物は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上1.0×1010Pa以下であり、70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下であることに特徴を有するものである。この樹脂組成物には、硬化物の貯蔵弾性率及び平均線膨張率が上記値を満たす限り、必要に応じて、熱硬化性樹脂及び硬化触媒以外の成分、例えば、有機エポキシ化合物、反応性又は非反応性シリコーンオイル、無機フィラー、酸無水物、エポキシ樹脂硬化剤等を含有させることができる。
1.1 硬化物の物性
上記のとおり、本発明においては、樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率と70〜210℃の線膨張率を所定の範囲に収めることを必須の要件とするものである。なお、貯蔵弾性率及び線膨張率の測定方法は、[実施例]の項において説明する。また、樹脂組成物の硬化(架橋)方法等については後述する。
1.1.1 貯蔵弾性率
本発明において、貯蔵弾性率とは、内部に貯蔵された応力の保持に関する指標であり、周波数1Hzでの固体粘弾性測定によって得られる値である。
樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率は1.0×10Pa以上1.0×1010Pa以下であるが、その下限は、好ましくは2.5×10Pa以上、より好ましくは5.0×10Pa以上、さらに好ましくは7.5×10Pa以上、よりさらに好
ましくは1.0×10Pa以上、特に好ましくは2.5×10Pa以上、最も好ましくは5.0×10Pa以上であり、また上限は、好ましくは7.5×10Pa以下、より好ましくは5.0×10Pa以下、さらに好ましくは3.0×10Pa以下、特に好ましくは2.0×10Pa以下である。
このように本発明の樹脂組成物は、貯蔵弾性率が低く抑えられた硬化物を形成し得るものである。貯蔵弾性率の値が小さすぎても大きすぎても、硬化時のクラックが発生し易くなる傾向がある。貯蔵弾性率が上限を超えると、硬化時及び使用中の温度変化によって生じる内部応力が大きく、特に数cm角以上のデバイスにおいて、クラックが生じやすくなる。また、下限未満であると、脆さがクラックの原因となるうえ、機械的信頼性に劣るために用途が限られる。
また、樹脂組成物の硬化物の−40℃における貯蔵弾性率(E1)と175℃における貯蔵弾性率(E3)との比(E1/E3)が、12.5以下であることが好ましく、さらに好ましくは、10.0以下、特に好ましくは7.5以下、最も好ましくは5.0以下である。このような樹脂組成物であれば、屋外での使用時又は使用中の発熱等による温度変化に対してもクラックが生じにくく、機械的信頼性に優れた硬化物を提供することができる。
貯蔵弾性率を調整する方法としては、後述する熱硬化性樹脂や硬化剤等の各成分の選択に加え、例えば、(a)エポキシ樹脂の主鎖中に柔軟性を発現させる分子骨格を導入する方法、(b)可塑剤や反応性希釈剤を添加する方法、(c)エラストマーや熱可塑性樹脂を改質剤として添加する方法等を用いることができる。
(a)エポキシ樹脂の主鎖中に柔軟性を発現させる分子骨格を導入する方法としては、ポリオキシアルキレン、ポリエステル、ウレタン等の骨格を持つエポキシ樹脂を用いることがあげられる。かかるエポキシ樹脂として、市販の柔軟性をもつエポキシ樹脂を使用することができる。具体的には、例えばjER871(三菱化学社製)、jER872(三菱化学社製)、YX7105(三菱化学社製)、YL7175−1000(三菱化学社製)、YL7410(三菱化学社製)、ウレタン変性エポキシ樹脂、CTBN変性BPA型エポキシ樹脂、EO変性BPA型エポキシ樹脂、EPICLON EXA−4816(DIC社製)、EPICLON EXA−4850(DIC社製)、EPICLON TSR−960(DIC社製)、EPICLON TSR−601(DIC社製)、EPICLON 1650−75MPX(DIC社製)、リカレジンBEO−60E(新日本理化社製)、リカレジンBEO−20E(新日本理化社製)、リカレジンDME−100(新日本理化社製)等が挙げられる。
(b)可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸とアルコールから合成されたエステル化合物が挙げられる。使用される酸としてはフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、イタコン酸、リン酸、クエン酸、エポキシシクロヘキシルジカルボン酸、安息香酸等が挙げられる。
また、可塑剤にエポキシ基を導入することで可塑剤のブリードアウトを抑え均一な組成物が作製できる。かかる化合物としては、例えば、サンソサイザーE−PS、サンソサイザーE−PO、サンソサイザーE−4030、サンソサイザーE−6000、サンソサイザーE−2000H、サンソサイザーE−9000H(共に新日本理化社製)、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化脂肪酸オクチルエステル、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル、アデカサイザー(ADEKA社製)等が挙げられる。
(b)反応性希釈剤としては、例えば、三菱化学社製YEDシリーズ(YED111N
、YED111AN、YED122、YED188、YED216M、YED216D等)、PG−207N(新日鉄住金化学社製)、ネオトートS(新日鉄住金化学社製)、デナコールシリーズ(ナガセケムテックス社製)、セロキサイド2021P、2081、2000(ダイセル社製)等が挙げられる。
(c)改質剤として添加するエラストマーや熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ化植物油、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、変性ポリビニルブチラール、変性ポリビニルアセタール、シリコーンオイル、MQレジン等が挙げられる。
これらのうち、耐熱性の観点から特にシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルは反応性でも非反応性でもよいが、反応性基を含むものが好ましい。反応性基としては、シラノール基、エポキシ基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、アミノ基、ヒドロシリル基、カルビノール基などが用いられる。特にエポキシ樹脂と併用する場合には、反応性基としてはエポキシ基、シラノール基が好ましい。反応性基としてシラノール基を用いる場合には、後述の硬化触媒(ガリウム化合物)と組み合わされてエポキシ化合物の自己重合反応の触媒として作用する。
上記貯蔵弾性率の制御手段において用いられる化合物のうち、後述するとおり、分子中にエポキシ基を有し、エポキシ樹脂とともに硬化触媒により自己重合反応し、熱硬化性樹脂を構成し得るものは有機エポキシ化合物と同様の目的で用いられるものである。
1.1.2 平均線膨張率
本発明において、平均線膨張率とは、JIS K7197に基づいて熱機械分析(TMA)を用いて求めるものであり、ある温度T1とT2との間で温度の上昇によって物体の長さが膨張する割合を、1K(℃)当たりで示したものである。
樹脂組成物の硬化物の70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下であるが、好ましくは90ppm/K以下、より好ましくは80ppm/K以下、さらに好ましくは70ppm/K以下、特に好ましくは60ppm/K以下、最も好ましくは50ppm/K以下である。平均線膨張率の下限は特に限定されず、可能なかぎり低い値が好ましい。例えば、樹脂組成物の硬化物に隣接する部材(パターンやワイヤ等に用いられるアルミや銅等の金属、基板に用いられるセラミック等)の線膨張率と同程度の値が下限となる。
このように、本発明の樹脂組成物は、平均線膨張率も低く抑えられた硬化物を形成し得るものである。平均線膨張率の値が大きすぎると、硬化時のクラックが発生し易くなる傾向がある。平均線膨張率が上限を超えると、硬化時及び使用中の温度変化によって生じる内部応力が大きくなり、クラックの発生につながる可能性がある。
平均線膨張率は、後述するとおり、熱硬化性樹脂、例えばエポキシシリコーン樹脂及びその他有機成分からなる硬化樹脂の架橋密度増、低線膨張率フィラーの充填等により低く抑えることができる。硬化樹脂の架橋密度は、貯蔵弾性率を制御する際と同様に制御することができる。また、例えば、熱硬化性樹脂としてエポキシシリコーン樹脂を用いる場合は、エポキシシリコーン樹脂及びその他のエポキシ化合物のエポキシ価のほか、硬化剤及び硬化触媒等の選択により制御することができる。
1.2 熱硬化性樹脂
本発明において、熱硬化性樹脂としては、硬化触媒の存在下で硬化し、所定の貯蔵弾性率及び平均線膨張率を満たす硬化物となり得るものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。これらの中で、エポキシ樹脂が好ましく、エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシシリコーン樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、ビスフェノールAまたはF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂
、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂、高分子型エポキシ樹脂等が挙げられる。
中でも、エポキシシリコーン樹脂が特に好ましい。エポキシシリコーン樹脂は、シロキサン結合を主な骨格とするため、弾性、耐熱性及び絶縁性に優れ、封止材料として適している。
さらに、前述の貯蔵弾性率の制御手段(a)の目的で添加される樹脂を熱硬化性樹脂として含有させることができる。
熱硬化性樹脂は、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物中、通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上含有される。上限は通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下含有される。
1.2.1 エポキシシリコーン樹脂
エポキシシリコーン樹脂としては、分子中にケイ素原子とエポキシ基を有する高分子化合物であれば如何なるものであってもよい。エポキシ基としては、グリシジル基でも脂環式エポキシ基であってもよいが、重合速度の観点からは、シクロヘキシルエポキシ基を有する脂環式エポキシ基が好ましい。
エポキシシリコーン樹脂の代表的な構造例としては、下記式(14)で表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。
(R11 SiO1/2a1(R12 SiO2/2b1(R13SiO3/2c1(SiO4/2d1(O1/2H)e1 (14)
式(14)において、R11、R12、R13はそれぞれ独立して1価の有機基を示し、かつ、1分子中において少なくとも1つがエポキシ基を含む有機基である。
式(14)において、R11 SiO1/2はMユニット、R12 SiO2/2はDユニット、R13SiO3/2はTユニット、SiO4/2はQユニットを、それぞれ表している。a1、b1、c1及びd1は、それぞれが0以上の整数であり、かつ、a1+b1+c1+d1≧3である。
式(14)において、R11、R12、R13は、好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチルエチル基等の置換アルキル基が挙げられる。
式(14)において、エポキシ基を含む有機基としては、2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基等のエポキシアルキル基;2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基等のグリシドキシアルキル基;β−(又は2−)(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−(又は3−)(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等のエポキシシクロヘキシルアルキル基が例示される。
式(14)においてe1は0以上の整数であり、ケイ素原子に直接結合する水酸基(シラノール)の個数を表している。
エポキシ化合物は、ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するものであって、該加水分解性基を加水分解したときに、式(14)で表されるオルガノポリシロキサン(ただし、e1≧1)を生じる化合物であってもよい。換言すれば、式(14)で表されるオルガノポリシロキサン(ただし、e1≧1)において、ケイ素原子に直接結合した水酸基の全
部又は一部を加水分解性基に置き換えた化合物であってもよい。
ここで、加水分解性基とは、加水分解によってケイ素原子に結合した水酸基(シラノール)を生じる原子又は基であり、具体例としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、水素原子、アセトキシ基、エノキシ基、オキシム基、ハロゲン基等が挙げられる。好ましい加水分解性基はアルコキシ基であり、特に炭素数1〜3のアルコキシ基、すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基である。
上記式(14)で表されるオルガノポリシロキサン型のエポキシ化合物は、例えば、次の方法で製造することができる。
(方法1)エポキシ基を有するシラン化合物と、エポキシ基を有しないシラン化合物及び/又はそのオリゴマーとを、共加水分解及び重縮合させる方法。
(方法2)ヒドロシリル基を有するポリシロキサンに、エポキシ基と炭素−炭素二重結合基を有する有機化合物を付加させる方法。
(方法3)炭素−炭素二重結合を含む有機基を有するポリシロキサンの該二重結合部分を酸化させて、エポキシ基に変換する方法。
上記(方法1)でポリシロキサン型のエポキシ化合物を製造する際に用いることのできる原料は次の通りである。
Mユニットを導入するための原料としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルシラノール等が挙げられる。
Dユニットを導入するための原料としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン及びこれらの加水分解縮合物(オリゴマー)等が挙げられる。
さらに、両末端に水酸基を有するジアルキルシロキサンオリゴマーとして、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体、ポリジフェニルシロキサン等の両末端をシラノール変性した化合物等が挙げられる。
Tユニットを導入するための原料としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン及びこれらの加水分解縮合物等が挙げられる。
Qユニットを導入するための原料としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン及びこれらの加水分解縮合物等が挙げられる。
エポキシ基を導入するための原料としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン
、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(ジメチル)ジシロキサン、3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシシリコーン樹脂のエポキシ価は、通常150g/eq以上、好ましくは200g/eq以上、より好ましくは250g/eq以上、さらに好ましくは300g/eq以上、特に好ましくは400g/eq以上であり、また上限は、通常8000g/eq以下、好ましくは6000g/eq以下、より好ましくは4000g/eq以下、さらに好ましくは3000g/eq以下、さらに好ましくは2000g/eq以下である。エポキシ価が高すぎる(エポキシ密度が低すぎる)と硬化が不十分で硬化物が脆くなる傾向があり、また低すぎる(エポキシ密度が高すぎる)と硬化物の弾性率が高くなることで硬化時及び使用中の温度変化によって生じる内部応力が大きく、クラックが生じやすくなる傾向がある。
なお、上述の範囲は、前述した貯蔵弾性率の制御手段(例えば、(a)エポキシ樹脂の主鎖中に柔軟性を発現させる分子骨格を導入する方法、(b)可塑剤や反応性希釈剤を添加する方法、(c)エラストマーや熱可塑性樹脂を改質剤として添加する方法等)を用いることを前提としたものである。これらの手段を用いない場合、エポキシシリコーン樹脂のエポキシ価の下限は400g/eq以上であることが望ましい。
また、本発明において、エポキシ価とは、1当量(eq)のエポキシ基を含むエポキシ基含有化合物(重合体を含む)の質量(g)である。エポキシ価の測定方法については、実施例において説明する。
1.2.2 有機エポキシ化合物
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、有機エポキシ化合物を含有させることができる。有機エポキシ化合物は、分子中にエポキシ基を有する化合物であり、エポキシ樹脂とともに後述する硬化触媒により自己重合反応し、熱硬化性樹脂を構成し得る化合物である。有機エポキシ化合物を含有させることにより、例えば貯蔵弾性率をより適切に調整することができる。
有機エポキシ化合物は、好ましくはシクロヘキシルエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物である。典型的な脂環式エポキシ化合物の構造例を式(1)及び(2)に示す。
Figure 2016180088
Figure 2016180088
有機エポキシ化合物はグリシジル基を有する化合物であってもよいが、脂環式エポキシ化合物に比べて自己重合反応の活性が低い場合がある。
グリシジル基を有するエポキシ化合物の好適例として、式(4)〜式(8)に示すような脂環構造を含むグリシジルエーテル又はエステル化合物、式(9)に示すような脂環構造を含まないグリシジルエーテル化合物、式(11)に示すようなイソシアヌル酸骨格を有するグリシジルアミド化合物等が挙げられる。なお、式(9)中、Rはアルキル基であて、該アルキル基はハロゲン置換されていてもよく、また酸素原子を含んでいてもよい。
Figure 2016180088
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Figure 2016180088
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また、有機エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物であってもよい。かかるエポキシ化合物の例としては、式(12)に示すようなビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂、式(13)に示すようなビフェニル型のエポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等の2価のフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールA、ノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、式(13)中、Rは独立してハロゲン原子又はアルキル基であって、該アルキル基はハロゲン置換されていてもよく、また酸素原子を含んでいてもよい。
Figure 2016180088
Figure 2016180088
有機エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物を水素化して得られる脂環構造を有するエポキシ化合物であってもよい。
樹脂組成物がある程度の流動性を有し、且つ、硬化物が高可撓性で曲げに強く、応力を抑制することでクラックの生じにくい樹脂組成物を提供する観点からは、前記有機エポキシ化合物の中でも引張試験での伸び率や破断強度の高い有機エポキシ化合物を樹脂組成物に含有することが好ましい。
そのような有機エポキシ化合物としては、引張試験における伸び率が15%以上となる
ものが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。例えば、サンソサイザーE−PO(新日本理化社製エポキシヘキサヒドロフタル酸ジエポキシステアリル:伸び率32.0%)、YL−7410(三菱化学製:伸び率18.6%)、jER−871(三菱化学製:伸び率:44.0%)、YX−7105(三菱化学製:伸び率210%)、EXA−4850−150(DIC社製:伸び率115%)などがあげられる。
伸び率の高いエポキシ化合物の中でも、破断強度が0.5MPa以上となるエポキシ化合物が特に好ましい。また、1MPa以上であることがより好ましく、さらに、5MPaであることがさらに好ましく、10MPaであることがさらに好ましい。例えば、エポキシ樹脂jER−871(破断強度1.30MPa)、エポキシ樹脂YX−7105(破断強度27.00MPa)、EXA−4850−150(破断強度19.00MPa)などがあげられる。
なお、上記伸び率及び破断強度は、JIS K7162に準拠して、引張試験装置としてORIENTEC社製 STA−1225型を用いて、下記の条件にて測定されたものを意味する。
荷重フルスケール:500N
初期資料長:20mm
試験速度:20mm/min
環境湿度:60%RH; 温度:25℃
1.3 硬化触媒
本発明において、硬化触媒としては、熱硬化性樹脂の硬化触媒として用い得るものであれば特に限定されないが、エポキシ樹脂の硬化触媒が好ましい。
エポキシ樹脂の硬化触媒としては、通常のエポキシ樹脂硬化に使用し得る触媒であれば特に制限されず、例えば、有機金属化合物、無機金属化合物、3級アミン類、イミダゾール類、有機リン系化合物、4級フォスフォニウム塩類、ジアザビシクロアルケン類、4級アンモニウム塩類、ホウ素化合物、金属ハロゲン化合物等が挙げられる。さらに、ジシアンジアミドやアミンとエポキシ樹脂との付加物等のアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性硬化促進剤;前記イミダゾール類、有機リン系化合物や4級フォスフォニウム塩類等の硬化促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤;アミン塩型潜在性硬化剤促進剤;ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等の潜在性硬化促進剤等も挙げることができる。
これらの中で、有機金属化合物、例えば、ガリウム化合物、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体等の金属化合物が好ましく、ガリウム化合物が特に好ましい。
また、これら硬化触媒は、単独で用いてもよく、触媒作用を阻害しない限りにおいて、複数種を任意の種類と比率の組み合せで用いてもよい。
さらに具体的には、ガリウム化合物としては、後述するシリコーンオイル又はエポキシシリコーンから供給されるシラノールと組み合わされて、エポキシ化合物の自己重合反応の触媒として作用する成分であれば特に限定されず、例えば、キレート配位子を有するガリウム錯体、酢酸ガリウム、オキシ酢酸ガリウム、トリエトキシガリウム、トリス(8−キノリノラト)ガリウム、シュウ酸ガリウム、エチルキサントゲン酸ガリウム、ジエチルエトキシガリウム、マレイン酸ガリウム;n−オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸等の長鎖カルボン酸のガリウム塩等が挙げられる。
ここで、キレート配位子としては、例えば、β−ジケトン型化合物、o−ケトフェノール型化合物等が挙げられる。
β−ジケトン型化合物としては、例えば、下記式(15)〜式(17)で表される構造を有するものが挙げられる。なお、式(15)〜式(17)において、Rはアルキル基又はハロゲン置換アルキル基を示す。
Figure 2016180088
式(15)の化合物の具体例としては、アセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ペンタフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン等が、式(16)の化合物の具体例としてはエチルアセトアセテート等が、式(17)の化合物の具体例としてはジエチルマロネート等が挙げられる。
o−ケトフェノール型化合物は、下記式(18)で表される化合物である。なお、式(18)において、R’は水素原子、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基又はアルコキシ基を示す。
Figure 2016180088
式(18)の化合物の具体例としては、サリチルアルデヒド、エチル−O−ヒドロキシフェニルケトン等が挙げられる。
キレート配位子を有するガリウム錯体はガリウム化合物の好適例であり、その中でもガリウムアセチルアセトネートは特に好適に使用することができる。
ガリウム触媒を用いるとアルミニウム触媒に比べて硬化物の加熱による重量減少が少ない。特に硬化物がシロキサン構造を含む場合にはアルミニウム触媒に比べて硬化物の加熱による重量減少が少ない。具体的には、150〜200℃×500時間で、重量減少が加熱前の20質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
また、3級アミン類としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、シクロヘキシルジメチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−n−ヘプチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−
4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ〔(2’−シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−n−ウンデシルイミダゾリル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
有機リン系化合物としては、例えば、ジフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、亜リン酸トリフェニル等が挙げられる。
4級フォスフォニウム塩類としては、例えば、ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムブロマイド、メチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムヨーダイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムアセテート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、テトラブチルホスホニウムジエチルホスホジチオネート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルフォスフォニウムテトラフェニルボレート等が挙げられる。
ジアザビシクロアルケン類としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7やその有機酸塩等が挙げられる。
4級アンモニウム塩類としては、例えば、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
ホウ素化合物としては、例えば、三フッ化ホウ素、ホウ酸トリフェニル等が挙げられる。
金属ハロゲン化合物としては、例えば、塩化亜鉛、塩化第二錫等が挙げられる。
これら硬化触媒の使用量は、硬化物が所定の貯蔵弾性率及び平均線膨張率を満たすように樹脂組成物を硬化し得る量であれば特に制限されないが、樹脂組成物の全量に対して、通常0.0001重量%以上、好ましくは0.001重量%以上であり、また上限は、通常1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下である。
また、硬化触媒がガリウム化合物であり、樹脂組成物がエポキシ化合物を含有する場合、ガリウム化合物の使用量は、全エポキシ化合物100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上であり、また上限は、通常5.0重量部以下、好ましくは1.0重量部以下である。
ここで、「全エポキシ化合物」とは、エポキシ樹脂、例えばエポキシシリコーン樹脂、
有機エポキシ化合物等のエポキシ化合物の合計量である。
1.4 シリコーンオイル
本発明の樹脂組成物には、シリコーンオイルを含有させることができる。シリコーンオイルは、前述の貯蔵弾性率の制御手段(c)の目的で添加されるほか、シラノールを構造として含む場合には、前述のガリウム化合物と組み合わされてエポキシ化合物の自己重合反応の触媒として作用する。かかる作用を有するシリコーンオイルを、以下、「シラノール源化合物」ということがある。
シラノールの役割は、有機エポキシ化合物の自己重合反応の開始に必要なカチオン源であると考えられる。シラノール源化合物のケイ素原子にフェニル基等の芳香族基が結合している場合には、この芳香族基はシラノール水酸基の酸性度を高める働き、つまり、シラノールのカチオン源としての作用を強める働きをしていると考えられる。
シラノール源化合物は、潜在的なシラノール源であってもよい。例えば、加水分解性の基や原子(以下、「加水分解性基」と総称する。)が結合したケイ素原子を有しており、該加水分解性基が加水分解されたときにシラノールを生じる化合物である。加水分解性基の具体例としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、水素原子、アセトキシ基、エノキシ基、オキシム基、ハロゲン基(原子)等が挙げられる。好ましい加水分解性基はアルコキシ基であり、特に炭素数1〜3のアルコキシ基、すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基である。
シラノール源化合物の一例として、フェニルジメチルシラノール、ジフェニルメチルシラノール、トリフェニルシラノール、ジヒドロキシジフェニルシラン(ジフェニルシランジオール)、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、ジヒドロキシジメチルシラン、トリヒドロキシメチルシラン等の水酸基が結合したケイ素原子を有するモノシラン化合物等が挙げられる。
シラノール源化合物の他の一例として、水酸基が結合したケイ素原子を有する、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。
(R21 SiO1/2a2(R22 SiO2/2b2(R23SiO3/2c2(SiO4/2d2(O1/2H)e2 (19)
式(19)において、R21、R22、R23はそれぞれ独立して1価の有機基を示す。
式(19)において、R21 SiO1/2はMユニット、R22 SiO2/2はDユニット、R23SiO3/2はTユニット、SiO4/2はQユニットを、それぞれ表している。a2、b2、c2及びd2は、それぞれが0以上の整数であり、かつ、a2+b2+c2+d2≧3である。e2は1以上の自然数であり、ケイ素原子に直接結合する水酸基(シラノール)の個数を表している。
式(19)のR21、R22、R23は、通常、炭素数1〜10の炭化水素基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチルエチル基等の置換アルキル基等が挙げられる。
シラノール源化合物は、ケイ素原子に結合する加水分解性基を有するものであって、該加水分解性基を加水分解したときに、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンを生じる化合物であってもよい。換言すれば、式(19)で表されるオルガノポリシロキサンにおいて、ケイ素原子に直接結合した水酸基の全部又は一部を加水分解性基に置き換えた
化合物であってもよい。
シラノール源化合物がオルガノポリシロキサンであって、これを、シロキサン構造を含まないエポキシ化合物と共に用いる場合には、該オルガノポリシロキサンと該エポキシ化合物との相溶性を確保する観点から、該オルガノポリシロキサンはケイ素原子に結合した芳香族基を有するものであることが好ましい。
シラノール源化合物がオルガノポリシロキサンである場合、その重量平均分子量は、熱硬化性樹脂組成物の硬化中あるいは硬化後に揮発しないように、500以上であることが好ましく、700以上であることがより好ましい。一方、重合度が高過ぎると粘度が高くなって取り扱い性が悪くなることから、該重量平均分子量は20,000以下であることが好ましく、15,000以下であることがより好ましい。
好適な実施形態では、シラノール源化合物は水酸基又は加水分解性基が結合したケイ素原子を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン又はシラン化合物であってもよい。かかるシラノール源化合物は、加熱されたときにガリウム化合物の作用により重縮合して高分子量化するので、硬化後にブリードアウトすることがない。
シラノール源化合物として好適に使用できるオルガノポリシロキサンとして、下記式(20)〜式(24)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2016180088
式(22)で表されるオルガノポリシロキサンは、式(20)で表される化合物と式(24)で表される化合物(ジヒドロキシジメチルシラン又は両末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサン)とを、重縮合することにより得ることができる。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセトアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。
式(23)で表されるオルガノポリシロキサンは、式(21)で表される化合物と式(24)で表される化合物とを、重縮合することにより得ることができる。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセトアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。
式(20)〜式(24)において、m、n、M、N、m1、m2は、それぞれ、1以上の整数である。これらの数を大きくし過ぎた場合、すなわちポリシロキサンの重合度を高くし過ぎた場合、粘度が高くなり過ぎてハンドリングが容易でなくなる他、シラノールの含有率が下がるために触媒能が低下する傾向がある。ハンドリング性の観点からは、当該オルガノポリシロキサンの粘度あるいは当該オルガノポリシロキサンを用いて得られる熱硬化性樹脂組成物の粘度が10000mPa・s以下、特に5000mPa・s以下となるように、その重合度を設定することが好ましい。
式(20)〜式(24)で表されるオルガノポリシロキサンから選ばれる1種以上を、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等の3官能シラン化合物とともに重縮合させて得られるオルガノポリシロキサンも、シラノール源化合物の好適例である。重縮合触媒としては、酸、塩基の他、金属触媒を用いることができ、ガリウムアセトアセトネートのようなガリウム化合物を用いることもできる。かかるオルガノポリシロキサンは、更に酸、塩基又はガリウム化合物等の金属化合物のような縮合触媒を作用させることにより硬化する性質を有する。シラノール源として、モノシラン化合物とオルガノポリシロキサンを併せて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物において、シリコーンオイルの含有量は、樹脂組成物の全量に対して、通常0.2重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは2重量%以上であり、また上限は、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。
シリコーンオイルの含有量が少なすぎると効果が得られなくなる傾向がある。また多すぎると硬化物の弾性率が低すぎたり、さらには硬化物としての様態を保つことができなかったりするほか、未反応のシリコーン成分が表面に染み出てくるなどのトラブルとなる傾向がある。
樹脂組成物が有機エポキシ化合物を含有する場合、シリコーンオイルの含有量は、有機エポキシ化合物100重量部に対して、通常0.05重量部以上、好ましくは0.5重量部以上であり、また上限は、通常500重量部以下、好ましくは200重量部以下である。
また、硬化触媒がガリウム化合物である場合、ガリウム化合物とシリコーンオイルの含有比は、重量比で、1:0.05〜0.001:100が好ましく、1:10〜0.01:10がより好ましい。
1.5 無機フィラー
本発明の樹脂組成物は、無機フィラーを含有することが好ましい。これにより、硬化物の貯蔵弾性率及び平均線膨張率をより確実に所定の範囲に調整することができる。
無機フィラーの形状は特に限定されないが、球状であることが好ましい。ここで、球状とは、真球状であってもよく、楕円状であってもよく、卵形等を含む略球状を意味し、具体的にはアスペクト比(長径と短径の比)が通常2以下であり、好ましくは1.5以下である。
無機フィラーとしては、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、非晶性シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カ
リウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等が挙げられる。
これらの中で、シリカ、アルミナが好ましく、シリカがより好ましい。シリカとしては、溶融シリカ、非晶性シリカが好ましく、球状溶融又は球状非晶性シリカがより好ましい。
これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、適宜表面処理を施してもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、シランカップリング剤による処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
無機フィラーの線膨張率は、特に限定されないが、好ましくは20ppm/K以下、より好ましくは10ppm/K以下、5ppm/K以下、さらに好ましくは1ppm/K以下である。
本発明の樹脂組成物において、無機フィラーを含む場合、その含有量は、樹脂組成物の全量に対して、通常60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上であり、また上限は、通常99重量%以下、好ましくは97重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。無機フィラーの含有量が少なすぎると樹脂硬化物の平均線膨張率が十分に下がらない傾向がある。また多すぎると硬化物として脆くなる傾向がある。
さらに、本発明において、無機フィラーを用いることにより、得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性、チキソトロピー性、及びガスバリア性等の諸物性を改善することができる。
無機フィラーを混合する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。混合は、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよく、また、常圧下で行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。混合する際の温度が高いと、成型する前に組成物が硬化する場合がある。
また、添加量が増加すると、組成物の粘度上昇が顕著になる。用途、成形法によっては、粘度上昇を抑制する必要があるが、その場合、フィラーの形状、表面構造が大きく影響する。形状は、繊維状、不定形のものよりも、球状のものを選択することで、粘度を低く抑えることができる。また、粒子表面官能基の種類、量により、粒子間及び粒子−エポキシ樹脂等からなるマトリックス組成物間の相互作用を制御し、適当な粘度を得ることができる。
特に、樹脂組成物をポッティングによる封止材料として使用する場合、前記組成物は液状であることが求められる。上述の通り、より低線膨張率を求める場合、フィラーを多く含有させる必要があるが、粘度上昇により流動性を失い、ポッティングによる封止材料としては適用不可能となる場合がある。
この問題は、前述のエポキシシリコーン樹脂及びシラノール源化合物を除く、有機モノマー及びポリマーにより形成されるマトリックス樹脂を、特定のハンセンパラメーターとすることにより解決できる。具体的には、マトリックス樹脂をハンセンパラメーターにおける水素結合項が0.5以上、5.0以下とする。
本効果は、特定のハンセンパラメーターを有するマトリックス樹脂が、フィラー表面の極性基とよく親和するために、フィラー間の水素結合などの相互作用を効果的に遮断することで組成物の構造粘性を下げることができるためと考えられる。
なお、液状とは、所定の条件で流動性を持つことをいう。詳細な測定方法については参考例記載の方法に準拠する。より具体的には、30℃、1atmにおいて、通常粘度が5
0Pa・s以下であり、40Pa・s以下であることが好ましく、30Pa・s以下であることがより好ましく、20Pa・s以下であることが更に好ましく、15Pa・s以下であることが特に好ましく、10Pa・s以下であることが最も好ましい。この範囲の物性を満たすことにより、特にポッティングによる封止においてハンドリングが容易となる。ここで粘度とは、JISZ 8803−2011に準拠して、振動式粘度計を用いて、25℃で測定された粘度を意味する。
ハンセンパラメーター、および25℃でのその計測方法の詳細は、C. M. Hansenによる記事: 「The three dimensional solubility parameters」 J. Paint Technol. 39, 105
(1967)、およびHansen Solubility Parameters,
A User’s Handbook by Charles M. Hansen,
CRC Press Boca Raton Fl (2007)の両者に記載されており、それらを参照することにより明確にここに組み込まれる。
ここでδDは、凝集分散力(非極性の相互作用等)の特性を示し、δHは、特異的相互作用力(水素結合、酸/塩基、供与/受容等の相互作用)の特性を示し、δPは、永久双極子間の、Debye相互作用力、および誘起双極子および双極子間の、Keesomの相互作用力の特性を示す。
上記ハンセンパラメーターδD、δHおよびδPは、単位Mpa1/2で表される。なお、本発明のハンセンパラメーターにおける水素結合項とはδHを意味している。
以下、ハンセンパラメーターにおける水素結合項が5.0以下であるマトリックス樹脂について説明する。
マトリックス樹脂を構成する成分には、上述の通り、前述のエポキシシリコーン樹脂及びシラノール源化合物を除く、有機モノマー及びポリマーが含まれる。具体的には、前述したビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂又は4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂のようなビフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、トリスフェニロールメタン型エポキシ樹脂、テトラキスフェニロールエタン型エポキシ樹脂、及びフェノールジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の芳香環を水素化したエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂など室温で液状の公知のエポキシ樹脂が挙げられる。また同様のオキセタン樹脂も挙げられる。また、上記以外の環状エーテル化合物を一定量併用することが好ましい。
該環状エーテル化合物の具体的な構造例は、前述で有機エポキシ化合物として例示した式(1)、式(2)、式(4)、式(5)、式(7)〜(9)に示すものである。
また、該環状エーテル化合物は、芳香族エポキシ化合物及び芳香族オキセタン化合物であってもよい。かかるエポキシ化合物の例としては、前述で有機エポキシ化合物として例示した式(12)に示すようなビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラフルオロビスフェノールAなどのビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂、式(13)に示すようなビフェニル型のエポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの2価のフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどのトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールA、ノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラックなどのノボラック類をグリシジル化したノボラック型
エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記芳香族エポキシ化合物及び芳香族オキセタン化合物は、水素化して脂環構造を有するエポキシ化合物及びオキセタン化合物としてもよい。
ここで、マトリックス樹脂を構成する環状エーテルとして、少なくともハンセンパラメーターにおける水素結合項が0.5以上、8.1以下、かつ重量平均分子量が500未満である環状エーテルを含むことが好ましい。
好ましい環状エーテル化合物としては、ハンセンパラメーターにおける水素結合項(δH)が0.5以上、8.1以下であり、かつ重量平均分子量が500未満であるものであれば特に限定されない。上記範囲であれば、フィラー同士の水素結合による粒子間相互作用を断ち切ることが可能となり、樹脂組成物を低粘度化することがより可能となる。
該環状エーテル化合物の分子量としては、取扱い性、粘度低減の観点から、GPCにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が500未満であることが好ましく、400以下であることがより好ましい。
該環状エーテル化合物の含有量としては、粘度低減の観点から、樹脂組成物全量を100重量%としたときに、0.1重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がより好ましい。また、25重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましい。
1.6 酸無水物
本発明の樹脂組成物には、硬化助剤として酸無水物を含有させることができる。酸無水物の種類に特に制限はない。耐光性の観点からは、脂環式カルボン酸無水物を使用することが好ましい。
脂環式カルボン酸無水物としては、例えば、式(25)〜式(30)で表される化合物、4−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物のほか、α−テルピネン、アロオシメン等の共役二重結合を有する脂環式化合物と無水マレイン酸とのディールス・アルダー反応生成物やこれらの水素添加物等が挙げられる。
Figure 2016180088
なお、前記ディールス・アルダー反応生成物やこれらの水素添加物としては、任意の構造異性体及び任意の幾何異性体を使用することができる。
また、前記脂環式カルボン酸無水物は、硬化反応を実質的に妨げない限り、適宜に化学的に変性して使用することもできる。
また、硬化物の貯蔵弾性率を低下させ、さらに硬化物がクラックを生じにくい樹脂組成物の提供の観点からは、非環状カルボン酸無水物を含有することが好ましい。非環状カルボン酸無水物としては以下の式(31)のようなものが挙げられる。
Figure 2016180088
(式(31)において、RとRは連結せず、またRとRは同一又は各々独立して、置換していてもよい炭化水素基を示す。)
炭化水素基としては、脂肪族、脂環式及び芳香族のいずれの炭化水素基でもよい。脂肪族炭化水素基としては、直鎖状又は分岐状の、飽和炭化水素又は不飽和炭化水素であり、例えば、炭素数2〜18の脂肪族炭化水素基が挙げられる。より具体的には、式(32)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2016180088
(式中、nは、0〜18の整数を示す。)
式(32)において、揮発性の低い点でn=1以上が好ましく、2以上がより好ましく、4以上が更に好ましい。また溶解性の点でn=15以下が好ましく、12以下がより好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などのアルケニル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、α−ナフチルエチル基、及びβ−ナフチルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
また上記炭化水素基に置換していてもよい置換基としては、水酸基、アルキル基、ニトロ基、アミノ基、メルカプト基、アセチル基、プロピオニル基、アクリオニル基、ハロゲン(Cl、Br、F)等が挙げられる。
非環状カルボン酸無水物を含有することで、硬化後に反応点が架橋点とならないことで、樹脂硬化物の貯蔵弾性率を低下させることができる。また炭素水素鎖部分が樹脂硬化物内で可塑性を発現することも期待できる。
また非環状カルボン酸無水物を含有することで、エポキシ基の反応速度を制御できる点で樹脂組成物の保管安定性を向上できる。
非環状カルボン酸無水物の含有量としては特に制限はないが、含有量の下限は、エポキシ量に対して0.015当量以上、好ましくは0.1当量以上、より好ましくは0.12当量以上、さらに好ましくは0.15当量以上である。またその上限は、エポキシ量に対
して、1.5当量以下、好ましくは1.0当量以下、より好ましくは0.8当量以下、さらに好ましくは0.6当量以下である。
酸無水物を含有することで、有機エポキシ化合物を含む際のエポキシ反応速度の制御、ハンドリング、レベリングの向上、着色防止等の効果が得られる場合がある。
酸無水物の含有量に特に制限はないが、全エポキシ化合物のエポキシ量に対して、1.5当量以下が好ましく、1当量以下がより好ましく、0.8当量以下がさらに好ましい。
1.7 硬化剤
本発明の樹脂組成物には、硬化剤を含有させることができる。例えばエポキシ樹脂の場合、硬化剤としては、酸無水物、フェノール樹脂、脂肪族アミン、芳香族アミン、アミンアダクト、ケチミン、ポリアミドアミン、ポリスルフィド、ポリメルカプタン等が挙げられる。
1.8 その他の成分
本発明の樹脂組成物には、上述の成分の他に、物性改善、機能付与等の観点から、必要に応じて、熱可塑性樹脂、酸化防止剤、シランカップリング剤、シラノールの縮合触媒、分散剤、消泡剤、着色剤、変性剤、レベリング剤、光拡散剤、熱伝導性、難燃剤、反応性又は非反応性の希釈剤、接着、密着性向上剤等の添加剤又は無機フィラー以外の各種フィラーをさらに含有させてもよい。
1.8.1 熱可塑性樹脂
本発明の樹脂組成物には、熱可塑性樹脂を含有することもできる。熱可塑性樹脂としては特段限定されないが、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリ塩化ビニル、(メタ)アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などビニル系ポリマー;ポリ乳酸樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;ナイロン、ポリアミドアミンなどのポリアミド;ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルベンザール、ポリビニルブチラール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂;アイオノマー樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリカーボネート;ポリエーテルエーテルケトン;ポリアセタール;ABS樹脂;LCP(液晶ポリマー);フッ素樹脂;ウレタン樹脂;エラストマー;またはこれらの樹脂の変性品などがあげられる。また、デンプン、木粉などの天然物、変性されていてもよいセルロースなどがあげられる。
これらのうち、特にナイロンなどのポリアミド樹脂及びポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール、(メタ)アクリル樹脂などのビニル系樹脂が好ましく、特にポリアミド樹脂又はポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタールが好ましい。
ポリアミド樹脂としては、ナイロン微粒子<SP-10,SP-500,TR-1,TR-2,842P-48 ,842P-70,842P-80等>(東レ株式会社製)、ガンツパール(アイカ工業製)、ナイロンパウダー(住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社製、日興リカ株式会社製、株式会社メタルカラー製等)、ダイアミド(ダイセル・エボニック株式会社製)などがあげられる。
ポリビニルアセタールは水酸基を持ち、分散性に優れる他、硬化剤が水酸基との反応性を持つもの(酸無水物など)である場合には一部が取り込まれるため熱硬化樹脂との分離が起こりにくい。予め、酸無水物で変性することで積極的に反応性基を導入することも可能である。
また、熱可塑性樹脂は伸び性がある方が好ましい。伸び性があることで応力を緩和することができ、クラックを抑制する。
熱可塑性樹脂の最大伸び率は5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の最大伸び率はJIS K7113またはASTM D638に準拠した測定方法で測定した値とする。
また、熱可塑性樹脂はマトリクス樹脂中の熱硬化性樹脂の少なくとも一成分に可溶であることが好ましい。熱硬化性樹脂の少なくとも一成分に通常1%以上、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上可溶である。
熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂の少なくとも一成分に可溶であることで、組成物の均一性が保たれ、応力が分散されやすくなり、また界面を生じないことでクラックが生じにくくなる。
熱可塑性樹脂の含量は樹脂組成物中の0.001重量%〜10.0重量%であることが好ましく、0.003重量%〜5.0重量%であることがより好ましく、0.005重量%〜2.0重量%であることが更に好ましい。
1.8.2 酸化防止剤
本発明の樹脂組成物には、使用環境下での黄変を抑制するために、酸化防止剤を含有することができる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤等が挙げられる。なかでも、フェノール水酸基の片側あるいは両側のオルト位にアルキル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤が特に好適に用いられる。
1.8.3 シランカップリング剤
本発明の樹脂組成物には、金属部品や無機フィラーに対する接着性を良好にするためにシランカップリング剤を含有させることができる。
具体的には、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
1.8.4 シラノールの縮合触媒
本発明の樹脂組成物には、硬化触媒により硬化反応を阻害しない限りにおいて、例えば、ガリウム化合物と、シリコーンオイル(シラノール源化合物)から供給されるシラノールの触媒作用によるエポキシの反応を阻害しない限りにおいて、通常のシラノール硬化に使用される触媒を併用することができる。
具体的には、例えば、脱水・脱アルコール縮合反応触媒が挙げられる。前記反応触媒には、有機金属錯体触媒、金属と有機酸の塩、ルイス酸・ルイス塩基触媒からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。脱水・脱アルコール縮合反応触媒に含まれる金属成分としては、Sn、Zn、Fe、Ti、Zr、Bi、Hf、Y、Al、B、Gaなどから選ばれる1以上を用いるのが好ましく、中でもSn、Ti、Al、Zn、Zr、Hf、Gaは反応活性が高いという点で好ましく、デバイス用部材として用いる場合に電極腐食などが少なく適度な触媒活性を有し、ジメチルポリシロキサン鎖の不要な切断劣化が起こりにくいZrやHfが特に好ましい。
2.熱硬化性樹脂組成物の製造方法
本発明の樹脂組成物は、上記成分を適宜選択して、それ自体既知の通常用いられる方法により混合することにより製造することができる。
この熱硬化性樹脂組成物は、保存安定性を考慮して2液硬化型としてもよい。
2液硬化型とする場合は、熱硬化性樹脂や硬化助剤、硬化触媒等を硬化が開始しない組み合せとして調製すればよい。例えば、A液を熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂や有機エポキシ化合物等のエポキシ化合物を含む液とし、B液を硬化触媒(例えばガリウム化合物)とシリコーンオイルを含む液とすることができる。また、A液を熱硬化性樹脂(例え
ばエポキシ樹脂や有機エポキシ化合物等のエポキシ化合物とシリコーンオイル)を含む液とし、B液を硬化触媒(例えば、ガリウム化合物)を含む液とすることもできる。また、A液を熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂や有機エポキシ化合物等のエポキシ化合物)と硬化触媒(例えばガリウム化合物)を含む液とし、B液をシリコーンオイルを含む液とすることもできる。
3.樹脂組成物の硬化方法及び成形体
本発明の樹脂組成物は加熱により容易に硬化させることができる。加熱の方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風循環式加熱、赤外線加熱、高周波加熱等の従来公知の方法を採用することができる。
熱処理条件は、熱硬化性樹脂組成物を所望の硬化状態にすることができればよく、特に制限はない。
硬化温度に保持する時間(硬化時間)は触媒濃度や当該組成物で形成しようとする部材の厚みなどに応じて定めればよいが、通常1時間以上、好ましくは2時間以上、更に好ましくは3時間以上である。硬化時間の上限に特に制限はないが、実用的な観点からは、通常24時間以下、好ましくは12時間以下である。
硬化温度は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上である。上限は限定されないが、通常250℃以下である。硬化温度を、最初は100℃付近とし、次いで150℃付近に上げることにより、組成物中の残留溶媒や溶存水蒸気による発泡を防ぐことができる。また、深部と表面の硬化速度差を小さくできるので、表面が平滑でシワの無い、外観の良好な硬化物を得ることができる。深部と表面の硬化速度差が小さいと、硬化状態が均一となるので硬化物中における内部応力の発生が抑制され、ひいてはクラックの発生が防止できる。
上記のとおり、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、適当な成形方法で硬化させることにより、成形体を得ることができる。成形方法としては、熱硬化性樹脂の成形に通常用いられる方法、例えば、FRP成形、積層成形、注型、発泡成形等が挙げられる。
4.熱硬化性樹脂組成物の用途
本発明の熱硬化性樹脂組成物の用途は特に限定されず、パワーデバイスを含む各種の半導体デバイスに、封止材等として用いることができる。ここで、パワーデバイスとは、整流ダイオード、パワートランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、サイリスタ等の電力制御用の半導体素子を意味する。またパワーデバイスは、複数の素子を1つのパッケージに納めたパワーモジュール、制御回路・駆動回路・保護回路等も含めてモジュール化したインテリジェントパワーモジュールであってもよい。
本発明の樹脂組成物は、パワーデバイスにおいて、例えば、半導体の封止材料、半導体素子をパッケージ、リードフレーム等に固定するための接着剤(ダイボンド剤)、パッケージを構成する構造材料等の各種の用途に使用することができる。中でも封止材料として用いるのが特に好ましい。
また、用途に応じて、その他の成分を添加することができ、例えば、ダイボンド剤として用いる場合は熱伝導剤、フュームドシリカなどを添加できる。パッケージ用の構造材料として用いる場合はチタニア粒子やアルミナ粒子などを添加することができる。
上記のとおり、本発明の半導体デバイスは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて電力制御用の半導体素子を封止してなるものである。
封止方法は特に限定されず、上記した熱硬化性樹脂の成形方法により封止すればよい。
以下、実験例(合成例、実施例、比較例)により本発明をさらに詳細に説明するが、本
発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。なお、下記の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は、前記上限又は下限の値と下記実施例の値又は実施例同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
先ず、実施例、比較例で用いた材料、試薬について説明する。
エポキシシリコーンEPSi−1〜EPSi−6は、それぞれ、合成例1〜6のとおり合成した。なお、下記の合成例において、重量平均分子量(Mw)、エポキシ価は次のとおり測定した。
・重量平均分子量(Mw)
硬化性組成物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより下記条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として示した。また、ポリシロキサンの1質量%テトラヒドロフラン溶液を調製し、その後、0.45μmのフィルターにて濾過したものを測定試料溶液とした。
装置:Waters 2690(Waters社製)
カラム:KF−G、KF−602.5、KF−603、KF−604(昭和電工社製)
溶離液:THF、流量0.7mL/分、サンプル濃度1%、注入量10μL
・エポキシ価
JIS K7236:2001に準じて実施した。精秤した試料をクロロホルムに溶解させ、酢酸と臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加えた後、0.1mol/L過塩素酸酢酸標準液によって滴定した。終了点はクリスタルバイオレット指示薬を用いて、判定した。
<合成例1>
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン24.0g、ヒドロキシ末端ジメチルポリシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製XC96−723)72.6g、イソプロピルアルコール20g及び1N塩酸10.7gを混合し、室温で3時間撹拌し、さらに水酸化カリウム0.67gとイソプロピルアルコール22.4g、トルエン44.9gを加えて還流条件で4時間加熱撹拌操作を行った。その後、リン酸二水素ナトリウム水溶液(10重量%)で反応液を中和してから、洗浄後の水が中性になるまで水洗後、減圧下で揮発成分を除去して、Mw=2500、エポキシ価=903g/eqのエポキシシリコーンEPSi−1を得た。
<合成例2>
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン28.8g、ヒドロキシ末端ジメチルポリシロキサン45.1gに加えトリメチルエトキシシラン14.1g、イソプロピルアルコール24g及び1N塩酸12.9gとし、水酸化カリウムを0.81g、イソプロピルアルコールを26.9g、トルエンを53.9gとした以外は合成例1と同様の操作を行い、Mw=1800、エポキシ価=636g/eqのエポキシシリコーンEPSi−2を得た。
<合成例3>
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン16.4g、ヒドロキシ末端ジメチルポリシロキサン70.0g、イソプロピルアルコール216.0g及び1N塩酸8.6gとし、水酸化カリウムを0.54g、イソプロピルアルコールを18.0g、トルエンを35.9gとした以外は合成例1と同様の操作を行い、Mw=8100、エポキシ価=1200g/eqのエポキシシリコーンEPSi−3を得た。
<合成例4>
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン64.8g、トリメチルエトキシシラン40.1g、イソプロピルアルコール45g及び1N塩酸24.39gとし、室温撹拌後に加える試薬を水酸化カリウム1.51g、イソプロピルアルコール148gした以外は合成例1と同様の操作を行い、Mw=1000、エポキシ価=282g/eqのエポキシシリコーンEPSi−4を得た。
<合成例5>
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを19.5g、ヒドロキシ末端ジメチルポリシロキサンを55.4g、トリメチルエトキシシランを5.2g、イソプロピルアルコールを17.6g、1N塩酸9.5g、水酸化カリウムを0.59g、イソプロピルアルコールを19.8g、トルエンを39.5gとした以外は合成例2と同様の操作を行い、Mw=2700、エポキシ価=904g/eqのエポキシシリコーンEPSi−5を得た。
<合成例6>
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン13.00g、トリメチルエトキシシラン3.67g、両末端シラノール型ジメチルシロキサン(モメンティブ社製XC96−723)55.4g、イソプロピルアルコール34.59g及びトルエン34.59g、1N水酸化カリウム6.99gを混合し、室温で2時間撹拌し、さらに還流条件で73℃±2℃6時間加熱撹拌操作を行った。その後、リン酸二水素ナトリウム水溶液(10重量%)で反応液を中和してから、洗浄後の水が中性になるまで水洗後、減圧下で揮発成分を除去して、Mw=3300、エポキシ価=1160のポリシロキサンEPSi−6を得た。
その他の試薬は以下のとおりである。 シリコーンオイル1は、屈折率が1.523、ポリスチレン換算の重量平均分子量が約1600の両末端にシラノール基を持つメチルフェニルポリシロキサンである。構造式は以下の式(33)に示されるとおりである。
Figure 2016180088
シリコーンオイル2は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が約900のポリメチルフェニルシロキサンである。具体的には、BLUESTARS SILICONES社製のFLD516であり、構造式は以下の式(34)に示されるとおりである。なお、式中、nの平均は5〜10である。
Figure 2016180088
YED−216D(三菱化学社製)は、アルキルジグリシジルエーテルであり、その構造式は以下の式(35)に示されるとおりである。
Figure 2016180088
YL7410(三菱化学社製)は、構造単位としてポリエーテル鎖を有するエポキシ樹脂である。
1,3−ビス[2−(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エチル]−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサンはGelest社製であり、構造式は以下の式(36)に示されるとおりである。
Figure 2016180088
サンソサイザーE−POは新日本理化社製(化学名:エポキシヘキサヒドロフタル酸ジエポキシステアリル)であり、構造式は以下の式(37)に示されるとおりである。なお、式中、Rは9,10−エポキシステアリル基を示す。
Figure 2016180088
jER871(三菱化学社製)は可撓性タイプのエポキシ樹脂である。
リカシッドMH−700は新日本理化社製であり、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸:式(38)とヘキサヒドロ無水フタル酸:式(39)を7/3の割合で混合した液状脂環式酸無水物で、エポキシ樹脂硬化剤として使われている。
Figure 2016180088
Figure 2016180088
MEH−8000Hは明和化成社製の液状フェノールノボラックであり、エポキシ樹脂用液状硬化剤として使われている。
Ga(acac)(Gallium acetylacetonate)はGa3+カチオンとアセチルアセトンとの錯体であり、下記式(40)の構造に示される通りである。
Figure 2016180088
<硬化物の物性測定>
下記実施例及び比較例で得られた硬化物の物性を次のとおり測定した。
・平均線膨張率測定
厚さ1〜2mmの板状の硬化物から、3×3mmに切り出し、測定用サンプルとした。
平均線膨張率は、JIS K7197に準拠して、熱機械分析装置としてEXSTAR
TMA/SS6100(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、圧縮モードで、表1に示す温度プログラムで測定し、プログラム3での平均線膨張率を算出した。
Figure 2016180088
・貯蔵弾性率(E’)測定
厚さ1〜2mmの板状の硬化物から、長さ15mm、幅5mmの短冊状に切り出し、測定用サンプルとした。
貯蔵弾性率は、JIS K7244に準拠して、熱機械分析装置としてEXSTAR DMS/6100(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、引っ張りモードで、周波数:1Hzで下記表2に示す温度プログラムで測定し、プログラム1における25℃での貯蔵弾性率を算出した。
Figure 2016180088
<実施例1>
EPSi−1を3.00g、シリコーンオイル1を1.00g、YED216Dを0.40g、真球状フィラーHL−3100(龍森社製)を35.28g加え、撹拌、混合を行った。
この液に酸無水物硬化剤MH700を0.273g、シリコーンオイル2にガリウムアセチルアセトナート2wt%を溶解したGa(acac)溶液を0.138g加え、撹拌、混合を行い、熱硬化性樹脂組成物(以下、「硬化性組成物」と略記する。)(LME−1)を得た。
硬化性組成物(LME−1)を京セラ社製のKO−PWR110682(Niメッキ銅貼り窒化ケイ素基板)上に厚み1cmまで塗り、オーブンで下記表3に示した硬化条件:80℃30min,120℃60min,150℃180minの加熱硬化を行い、基板上に硬化した厚み1cmの硬化物(HLME−1)を得た。
また、硬化物(HLME−1)の平均線膨張率と貯蔵弾性率を測定するため、硬化性組成物(LME−1)を5mmφのアルミ皿に4.0〜6.0g取り、オーブンで下記表3に示した硬化条件:80℃30min,120℃60min,150℃180minの加熱硬化を行い、厚み約1〜2mm板状の硬化物(HLME−1)を得た。
加熱硬化後、基板上に硬化した厚み1cmの硬化物(HLME−1)の外観(クラック発生状況)を観察した。得られた硬化物に、クラック、剥がれが生じていないか目視で確認した。また、アルミ皿から剥がした板状の硬化物(HLME−1)の70〜210℃の領域における平均線膨張率と25℃での貯蔵弾性率(E2)を上記の物性測定法で測定した。貯蔵弾性率については、−40℃、175℃における測定値も算出し、それぞれE1、E3とした。
<実施例2〜12、比較例1、2>
硬化性組成物(LME−1)と同様に、下記表3に示す重量比で撹拌、混合を行い、硬化性組成物(LME−2)〜硬化性組成物(LME−14)を得た。
硬化性組成物(LME−2)〜硬化性組成物(LME−14)を硬化性組成物(LME−1)と同様にして、それぞれを京セラ社製のKO−PWR110682基板上に厚み1cmまで塗り、オーブンで下記表3に示した硬化条件で加熱硬化を行った。基板上に硬化した厚み1cmの硬化物(HLME−2)〜硬化物(HLME−9)、硬化物(HLME−12)〜硬化物(HLME−14)及び比較硬化物(HLME−10)、比較硬化物(HLME−11)を得た。
また、硬化物(HLME-2)〜硬化物(HLME−14)の平均線膨張率と貯蔵弾性
率を測定するため、硬化性組成物(LME−2)〜硬化性組成物(LME−14)をそれぞれ5mmφのアルミ皿に4.0〜6.0g取り、オーブンで上記の条件で加熱硬化を行い、厚み約1〜2mm板状の硬化物(HLME−2)〜硬化物(HLME−14)を得た。
加熱硬化後、基板上に硬化した厚み1cmの硬化物(HLME−2)〜硬化物(HLME−14)の外観を観察した。得られた硬化物に、クラック、剥がれが生じていないか目視で確認した。また、アルミ皿から剥がした板状の硬化物(HLME−2)〜硬化物(HLME−14)の70〜210℃の領域における平均線膨張率と25℃での貯蔵弾性率(
E2)を硬化物(HLME−1)と同様に測定した。貯蔵弾性率については、−40℃、175℃における測定値も算出し、それぞれE1、E3とした。
上記実施例1〜12、比較例1、2の硬化性組成物の各成分の含有量(g)、エポキシ化合物のエポキシ価(g/eq)、硬化条件、硬化物の物性測定結果を表3に示す。
Figure 2016180088
Figure 2016180088
表3の結果から明らかなとおり、実施例1〜12で得られた硬化物(HLME−1)〜
硬化物(HLME−9)、硬化物(HLME−12)〜硬化物(HLME−14)は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa〜1.0×1010Paであり、70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下の条件を満たし、基板上に硬化した厚み1cmの硬化物にクラックは見られなかった(クラック発生状況:○)。それに対して、比較例1、2の硬化物(HLME−10)、硬化物(HLME−11)は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa〜1.0×1010Pa、70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下の何れかの条件を満たさず、基板からクラックが生じていた(クラック発生状況:×)。
比較例1、2の硬化物において、クラックが発生した機構の詳細は不明であるが、比較例1においては、無機フィラーの含有量が少なすぎるために硬化物の平均線膨張率が十分に下がらず、また、比較例2においては、エポキシシリコーン樹脂のエポキシ価が低すぎる(エポキシ密度が高すぎる)等の理由で硬化物の弾性率が高くなり、硬化時の温度変化によって生じる内部応力が大きくなり、クラックが生じたものと考えられる。
<実施例13〜16>
硬化性組成物(LME−1)と同様に、下記表4に示す重量比で撹拌、混合を行い、硬化性組成物(LME−15)〜硬化性組成物(LME−18)を得た。
なお、表4中、DPhSiOH(化学名:ジフェニルシランジオール)は東京化成工業株式会社製であり、化学構造は下記式(41)の通りに示される。
Figure 2016180088
オクタン酸無水物及びノナン酸無水物は東京化成工業株式会社製であり、化学構造は下記式(42)及び式(43)の通りに示される。
Figure 2016180088
X−22−169Bは信越株式会社製の変性シリコーンであり、構造は下記の通りに示される。
Figure 2016180088
硬化性組成物(LME−15)〜硬化性組成物(LME−18)を硬化性組成物(LME−1)と同様にして、それぞれを京セラ社製のKO−PWR110682基板上に厚み1cmまで塗り、オーブンで下記表4に示した硬化条件で加熱硬化を行い、硬化物(HLME−15)〜硬化物(HLME−18)を得た。得られた硬化物に、クラック、剥がれが生じていないか目視で確認した。
また、硬化性組成物(LME−15)〜硬化性組成物(LME−18)を、銅張窒化ケイ素基板(京セラ社製 KO−PWR131845)の周囲にステンレス枠をカプトンテープで固定し、基板上に約17〜19g流し込み、下記表4に示した硬化条件で硬化を行い、基板上枠付きに硬化物(HLME−15)〜硬化物(HLME−18)を得た。得られた硬化物を約1時間かけて室温まで冷却した後、ヒートサイクル試験を行った。エスペック社製 冷熱衝撃装置TSA−41L−Aを用いて、175℃高温さらし30分、常温さらし1分、−40℃低温さらし30分を1サイクルとし、140回後にサンプルを取り出し、硬化物にクラック、剥がれが生じていないか目視で確認した。
また、硬化物(HLME-15)〜硬化物(HLME−18)の平均線膨張率と貯蔵弾
性率を測定するため、硬化性組成物(LME−15)〜硬化性組成物(LME−18)をそれぞれ5mmφのアルミ皿に4.0〜6.0g取り、オーブンで上記の条件で加熱硬化を行い、厚み約1〜2mm板状の硬化物(HLME−15)〜硬化物(HLME−18)を得た。アルミ皿から剥がした板状の硬化物の70〜210℃の領域における平均線膨張率と25℃での貯蔵弾性率(E2)を硬化物(HLME−1)と同様に測定した。貯蔵弾性率については、−40℃、175℃における測定値も算出し、それぞれE1、E3とした。
上記実施例13〜16、比較例1、2の硬化性組成物の各成分の含有量(g)、エポキシ化合物のエポキシ価(g/eq)、硬化条件、硬化物の物性測定結果を表4に示す。
Figure 2016180088
表4の結果から明らかなとおり、実施例13〜16で得られた硬化物(HLME−15)〜硬化物(HLME−18)は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa〜1.0×1010Paであり、70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下の条件を満たし、基板上に硬化した厚み1cmの硬化物にクラックは見られなかった(クラック発生状況:○)。それに対して、比較例1、2の硬化物(HLME−10)、硬化物(HLME−11)は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa〜1.0×10
Pa、70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下の条件を満たさず、基板からクラックが生じていた(クラック発生状況:×)。
加えて、実施例13〜16で得られた硬化物(HLME−15)〜硬化物(HLME−18)は、−40℃での貯蔵弾性率と175℃での貯蔵弾性率との比 E1/E3が12.5以下の条件を満たし、基板枠付き上に硬化した硬化物にもクラックは見られなかった(クラック発生状況:○)。それに対して、硬化物(HLME−10)、硬化物(HLME−11)は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa〜1.0×1010Pa、70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下、40℃での貯蔵弾性率と175℃での貯蔵弾性率との比 E1/E3が12.5以下の条件のうちいずれか満たさず、基板枠付き上に硬化した硬化物にクラックが生じていた(クラック発生状況:×)。
硬化物(HLME−15)〜硬化物(HLME−18)において、貯蔵弾性率が低いので、応力が十分に緩和することができ、−40℃での貯蔵弾性率と175℃での貯蔵弾性率との比 E1/E3も小さく、広い温度範囲で安定に低弾性を維持されるので、クラック発生抑制状況が優れると考えられる。
<実施例17>
デナコールEX−216Lを0.40g、サンソサイザーE−POを1.0g、jER871を1.40g、真球状フィラーHL−3100(龍森社製)を29.3g加え、撹拌、混合を行った。
なお、デナコールEX−216Lはナガセケムテックス社製(化学名:シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル)であり、構造式は以下の式(44)で示されるとおりである。
Figure 2016180088
この液に酸無水物硬化剤MH700を0.314g、シリコーンオイルにガリウムアセチルアセトナート2wt%を溶解したGa(acac)溶液を0.138g加え、撹拌、混合を行い、熱硬化性樹脂組成物(以下、「硬化性組成物」と略記する。)(LME−19)を得た。
硬化性組成物(LME−19)を京セラ社製のKO−PWR110682(Niメッキ銅貼り窒化ケイ素基板)上に厚み1cmまで塗り、オーブンで下記表5に示した硬化条件:80℃30min、120℃60min、150℃60min、180℃180minの加熱硬化を行い、基板上に硬化した厚み1cmの硬化物(HLME−19)を得た。
また、硬化物(HLME−19)の平均線膨張率と貯蔵弾性率を測定するため、硬化性組成物(LME−18)を5mmφのアルミ皿に4.0〜6.0g取り、オーブンで下記表5に示した硬化条件:80℃30min、120℃60min、150℃60min、180℃180minの加熱硬化を行い、厚み約1〜2mm板状の硬化物(HLME−19)を得た。
加熱硬化後、基板上に硬化した厚み1cmの硬化物(HLME−19)の外観(クラック発生状況)を観察した。また、アルミ皿から剥がした板状の硬化物(HLME−19)の70〜210℃の領域における平均線膨張率と25℃での貯蔵弾性率を上記の物性測定法で測定した。
また、硬化性組成物(LME−19)を、銅張窒化ケイ素基板(京セラ社製 KO−P
WR131845)の周囲にステンレス枠をカプトンテープで固定し、基板上に約17〜19g流し込み、下記表5に示した硬化条件で硬化を行い、基板上枠付きに硬化物(HLME−19)を得た。得られた硬化物を約1時間かけて室温まで冷却した後、ヒートサイクル試験を行った。エスペック社製 冷熱衝撃装置TSA−41L−Aを用いて、175℃高温さらし30分、常温さらし1分、−40℃低温さらし30分を1サイクルとし、140回後にサンプルを取り出し、硬化物にクラック、剥がれが生じていないか目視で確認した。
上記実施例17、比較例1及び2の硬化性組成物の各成分の含有量(g)、硬化条件及び硬化物の物性測定結果を表5に示す。
Figure 2016180088
表5の結果から明らかなとおり、実施例17で得られた硬化物(HLME−19)は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa〜1.0×1010Paであり、70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下の条件を満たし、基板上に硬化した厚み
1cmの硬化物にクラックは見られなかった(クラック発生状況:○)。それに対して、比較例1、2の硬化物(HLME−10)、硬化物(HLME−11)は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa〜1.0×1010Pa、70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下の何れかの条件を満たさず、基板からクラックが生じていた(クラック発生状況:×)。
<実施例18〜26>
下記表6に示す重量比で撹拌、混合を行い、硬化性組成物(LME−20)〜硬化性組成物(LME−28)を得た。具体的には、X−22−169Bに、真球状フィラーHL−3100を加え、撹拌、混合を行った後、この液にオクタン酸無水物またはラウリル酸無水物にガリウムアセチルアセトナート、DPhSiOHを溶解させたもの、シリコーンオイル3、4または5を加え、撹拌、混合を行った。
なお、シリコーンオイル3は、屈折率が1.475、ポリスチレン換算の重量平均分子量が約1900の両末端にシラノール基を持つメチルフェニルポリシロキサンである。
シリコーンオイル4は、エポキシ価950、25℃における粘度が45mm/sであるカルビノール変性シリコーンオイルである。
シリコーンオイル5は、エポキシ価1600、25℃における粘度が140mm/sであるカルビノール変性シリコーンオイルである。
Figure 2016180088

Claims (14)

  1. 熱硬化性樹脂及び硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物であって、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上、1.0×1010Pa以下であり、70〜210℃の平均線膨張率が100ppm/K以下であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の樹脂組成物であって、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物の−40℃における貯蔵弾性率(E1)と175℃における貯蔵弾性率(E3)との比(E1/E3)が、12.5以下であることを特徴とする樹脂組成物。
  3. 熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. エポキシ樹脂がエポキシシリコーン樹脂である、請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. エポキシ樹脂中のエポキシ基が脂環式エポキシ基を含む、請求項3又は4に記載の樹脂組成物。
  6. シリコーンオイルを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 無機フィラーを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 無機フィラーの割合が60重量%以上である、請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. 無機フィラーの線膨張率が20ppm/K以下である、請求項7又は8に記載の樹脂組成物。
  10. 無機フィラーが球状フィラーである、請求項7〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 無機フィラーがシリカである、請求項7〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 酸無水物を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物を硬化してなることを特徴とする成形体。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて封止してなることを特徴とする半導体デバイス。
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