JP2010070434A - 成形型及びガラス成形体の製造方法 - Google Patents

成形型及びガラス成形体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010070434A
JP2010070434A JP2008242260A JP2008242260A JP2010070434A JP 2010070434 A JP2010070434 A JP 2010070434A JP 2008242260 A JP2008242260 A JP 2008242260A JP 2008242260 A JP2008242260 A JP 2008242260A JP 2010070434 A JP2010070434 A JP 2010070434A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
molding
molded body
glass
glass molded
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008242260A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuyuki Ikenaga
修志 池永
Yujiro Suzuki
雄二郎 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Opto Inc
Original Assignee
Konica Minolta Opto Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Opto Inc filed Critical Konica Minolta Opto Inc
Priority to JP2008242260A priority Critical patent/JP2010070434A/ja
Publication of JP2010070434A publication Critical patent/JP2010070434A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】滴下した溶融ガラス滴を加圧成形し、対向する2つの成形面と、外径規制面とを有するガラス成形体を製造する場合に、ガラス成形体を容易に取り出すことができる成形型を提供する。また、そのような成形型を用いて、外径規制面を有するガラス成形体を効率良く製造することができるガラス成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】溶融ガラス滴を受け、ガラス成形体の第1の成形面を成形するための第1型面と、第1の成形面に対向する第2の成形面を成形するための第2型面と、外径規制面を成形するための規制型面と、を有する。規制型面には、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選ばれた金属又は当該金属を含む合金により構成される保護膜が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、成形型及びガラス成形体の製造方法に関し、より詳しくは、滴下した溶融ガラス滴を加圧成形し、対向する2つの成形面と、外径規制面とを有するガラス成形体を製造するための成形型、及び、当該成形型を用いたガラス成形体の製造方法に関する。
近年、デジタルカメラ用レンズ、DVD等の光ピックアップレンズ、携帯電話用カメラレンズ、光通信用のカップリングレンズ等として、ガラス製の光学素子が広範にわたって利用されている。このようなガラス製の光学素子として、ガラス素材を成形型で加圧成形して製造したガラス成形体が広く用いられている。
このようなガラス成形体の製造方法として、下型に溶融ガラス滴を滴下し、滴下した溶融ガラス滴が固化する前に、下型と上型とで加圧成形してガラス成形体を得る方法(以下、「液滴成形法」ともいう)が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、溶融ガラス滴から直接ガラス成形体を製造することができ、成形型の加熱と冷却を繰り返す必要がないため、1回の成形に要する時間を非常に短くできることから注目されている。
また、近年は、光学デバイスの高精度化や低コスト化の要求が高まり、対向する上下2つの成形面に加え、ガラス成形体を光学系に組み込む際や、ガラス成形体に後加工(切断加工等)を行う際に位置決め基準面として用いるための外径規制面を有するガラス成形体が求められるようになってきた。
そのため、外径規制面を成形するための規制型面を有する成形型を用いて、ガラス成形体の2つの成形面と同時に外径規制面も成形する方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
特開昭61−146721号公報 特開2003−292327号公報 特開2004−339039号公報
特許文献2、3に記載されている方法によって外径規制面を有するガラス成形体を製造する場合、ガラス成形体への加圧を解除した後、ガラス成形体に成形された外径規制面と、成形型の規制型面とを滑らせて、成形型からガラス成形体を取り出す(離型する)必要がある。
しかしながら、ガラス成形体の外径規制面は、高温の溶融ガラス滴が規制型面と接触して形成された面であるため、成形型の規制型面に貼り付きやすく、ガラス成形体への加圧を解除した後も、外径規制面と規制型面とを滑らせて取り出すことが困難な場合があるという問題があった。ガラス成形体を正常に取り出すことができずに回収工程で異常が発生すると、製造装置の運転をその都度停止せざるを得ないために、生産効率が大きく低下してしまう。
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、滴下した溶融ガラス滴を加圧成形し、対向する2つの成形面と、外径規制面とを有するガラス成形体を製造する場合に、ガラス成形体を容易に取り出すことができる成形型を提供すること、及び、当該成形型を用いて、外径規制面を有するガラス成形体を効率良く製造することができるガラス成形体の製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
1. 滴下した溶融ガラス滴を加圧成形し、対向する2つの成形面と、外径規制面とを有するガラス成形体を製造するための成形型において、
前記溶融ガラス滴を受け、前記ガラス成形体の第1の成形面を成形するための第1型面と、
前記第1の成形面に対向する第2の成形面を成形するための第2型面と、
前記外径規制面を成形するための規制型面と、を有し、
前記規制型面には、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選ばれた金属又は当該金属を含む合金により構成される保護膜が設けられていることを特徴とする成形型。
2. 前記保護膜は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)及び白金(Pt)からなる群より選ばれた金属又は2種以上の当該金属からなる合金により構成されることを特徴とする前記1に記載の成形型。
3. 前記保護膜の下に、下地膜を有することを特徴とする前記1又は2に記載の成形型。
4. 前記下地膜は、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)及びタングステン(W)からなる群より選ばれた金属又は当該金属を含む合金により構成されることを特徴とする前記3に記載の成形型。
5. 前記保護膜は、金属イオンが注入されたイオン注入層の上に設けられていることを特徴とする前記1又は2に記載の成形型。
6. 前記イオン注入層に注入された前記金属イオンは、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属のイオンを含むことを特徴とする前記5に記載の成形型。
7. 前記イオン注入層に注入された前記金属イオンは、前記保護膜に含まれる金属のイオンを含むことを特徴とする前記6に記載の成形型。
8. 滴下した溶融ガラス滴を成形型で加圧成形し、対向する2つの成形面と、外径規制面とを有するガラス成形体を製造するガラス成形体の製造方法において、
前記成形型は、前記1〜7のうちいずれか1項に記載の成形型であることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
9. 前記規制型面と組み合わされた前記第1型面の上に溶融ガラス滴を滴下する工程と、
前記第1型面と前記第2型面とを相対的に接近させ、滴下した前記溶融ガラス滴を加圧してガラス成形体を成形する工程と、
成形された前記ガラス成形体を前記成形型から取り出す工程と、を有することを特徴とする前記8に記載のガラス成形体の製造方法。
10. 前記第1型面の上に溶融ガラス滴を滴下する工程と、
前記第1型面と、前記規制型面と組み合わされた前記第2型面とを相対的に接近させ、滴下した前記溶融ガラス滴を加圧してガラス成形体を成形する工程と、
成形された前記ガラス成形体を前記成形型から取り出す工程と、を有することを特徴とする前記8に記載のガラス成形体の製造方法。
本発明によれば、成形型の規制型面には、ガラスとの親和性が低い所定の金属又は合金からなる保護膜が設けられているため、ガラス成形体の外径規制面と、規制型面との貼り付きを抑制することができる。そのため、ガラス成形体への加圧を解除した後、ガラス成形体を成形型から容易に取り出すことができ、外径規制面を有するガラス成形体を効率よく製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について図1〜図7を参照しながら詳細に説明する。
(成形型)
先ず、本発明の成形型の一例について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態である成形型10aを模式的に示す断面図であり、図2は、図1のA部を拡大して示す模式図である。図3は、本発明の第2の実施形態である成形型10bを模式的に示す断面図である。また、図4は、成形型10aや10bを用いて製造されるガラス成形体20の一例を示す図である。図4(a)は、ガラス成形体20を第2の成形面22側から見た図(上面図)であり、図4(b)は、外径規制面23側から見た図(正面図)である。
図4に示すガラス成形体20は、円形の外径を有し、中心軸24に対して対称な両凸形状の成形体であり、第1の成形面(下成形面)21、第2の成形面(上成形面)22及び外径規制面23を有している。第1の成形面21と第2の成形面22がともに凸の球面を有しているが、本発明が対象とするガラス成形体はそのような形状に限られるものではない。例えば、第1の成形面21、第2の成形面22の何れか一方、あるいは両方が凹の球面や非球面、平面等であってもよい。第1の成形面21や第2の成形面22の少なくとも一部を光学機能面として用いることで、ガラス成形体20を、種々の光学素子として用いることができる。
また、ガラス成形体20の外周部に設けられた外径規制面23は、ガラス成形体20を光学系に組み込む際や、ガラス成形体20に後加工(研磨加工、切断加工等)を行う際に位置決め基準面として用いることができる。外径の形状(外径規制面23の、中心軸24に垂直な断面形状)は、円形に限られず、多角形や楕円形など、種々の形状とすることができる。
成形型10aと10bは、いずれも、溶融ガラス滴を受け、ガラス成形体20の第1の成形面21を成形するための第1型面(下型面)11Sと、第2の成形面22を成形するための第2型面(上型面)12Sと、外径規制面23を成形するための規制型面13Sと、を有している。
第1の実施形態である成形型10aは、第1型面11Sを有する下型11、第2型面12Sを有する上型12、及び、規制型面13Sを有する規制型13によって構成され、下型11と規制型13とは、一体的に固定されている。滴下ノズル等から、規制型面13Sと組み合わされた第1型面11Sの上に溶融ガラス滴を滴下した後、第1型面11Sと第2型面12Sとを相対的に接近させ、溶融ガラス滴を加圧してガラス成形体20を得る。
図1では、第1型面11Sを有する下型11、第2型面12Sを有する上型12、及び、規制型面13Sを有する規制型13の、3つの部材によって構成される場合を例に挙げて示しているが、このような構成に限定されるものではない。例えば、下型11に、第1型面11Sと規制型面13Sとを一体的に設ける構成としてもよいし、規制型13を複数の部材に分割して設ける構成としてもよい。
成形型10aの材質は、溶融ガラス用の成形型の材料として公知の材料の中から適宜選択して用いることができる。好ましく用いることができる材料として、例えば、各種耐熱合金(ステンレス等)、炭化タングステンを主成分とする超硬材料、各種セラミックス(炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム等)、カーボンを含んだ複合材料等が挙げられる。下型11、上型12及び規制型13を全て同じ材質で構成してもよいし、それぞれの部材を異なる材質で構成してもよい。
一方、第2の実施形態である成形型10bは、第1型面11Sを有する下型11、第2型面12Sを有する上型12、及び、規制型面13Sを有する規制型13によって構成され、上型12と規制型13とは、一体的に固定されている。滴下ノズル等から、第1型面11Sの上に溶融ガラス滴を滴下した後、第1型面11Sと、規制型面13Sと組み合わされた第2型面12Sとを相対的に接近させ、溶融ガラス滴を加圧してガラス成形体20を得る。
図3では、第1型面11Sを有する下型11、第2型面12Sを有する上型12、及び、規制型面13Sを有する規制型13の、3つの部材によって構成される場合を例に挙げて示しているが、このような構成に限定されるものではない。例えば、上型12に、第2型面12Sと規制型面13Sとを一体的に設ける構成としてもよいし、規制型13を複数の部材に分割して設ける構成としてもよい。なお、成形型10bの好ましい材質については、上記の成形型10aの場合と同様である。
第1の実施形態(成形型10a)及び第2の実施形態(成形型10b)のいずれの場合においても、規制型13の規制型面13Sには、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選ばれた金属又は当該金属を含む合金により構成される保護膜14が設けられている。上記の所定の金属又は当該金属を含む合金は、ガラスとの親和性が低いため、ガラス成形体20の外径規制面23と、規制型面13Sとの貼り付きを抑制することができる。そのため、ガラス成形体20を成形型10a、10bから容易に取り出すことができ、外径規制面23を有するガラス成形体20を効率よく製造することができる。
保護膜14は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選ばれた金属の単体により構成される膜であってもよいし、これらの金属を含む合金により構成される膜であってもよい。これらの金属を含む合金としては、これらの金属の2種又は3種以上からなる合金(例えば、白金−ロジウム合金、白金−イリジウム合金、白金−ルテニウム合金、白金−ルテニウム−ロジウム合金、パラジウム−ルテニウム合金、イリジウム−オスミウム合金、金−白金合金、金−銀−パラジウム合金など)でもよいし、これらの金属と他の金属との合金(例えば、白金−タングステン合金、白金−ニッケル合金、イリジウム−タングステン合金、銀−銅合金、金−銀−銅合金など)であってもよい。
中でも、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)及び白金(Pt)からなる群より選ばれた金属又は2種以上の当該金属からなる合金により構成される保護膜14は、ガラスとの親和性が特に低く、外径規制面23と規制型面13Sとの貼り付きをより効果的に抑制することができる。2種以上の当該金属からなる合金としては、例えば、白金−ロジウム合金、白金−イリジウム合金、白金−ルテニウム合金、白金−ルテニウム−ロジウム合金、パラジウム−ルテニウム合金、イリジウム−オスミウム合金などが挙げられる。
保護膜14の厚みに特に制限はないが、摩耗等に対する耐久性を確保する観点から、0.05μm以上が好ましい。一方、保護膜14が厚すぎると、膜はがれ等の欠陥が発生しやすくなる場合がある。そのため、保護膜14の厚みは、0.05μm〜5μmが好ましく、0.1μm〜1μmが特に好ましい。なお、保護膜14の成膜方法に特に制限はなく、公知の手法の中から適宜選択して用いればよい。例えば、各種スパッタ法や、真空蒸着法、CVD法などが挙げられる。
図1、図3では、図2(a)に拡大して示すように、規制型13の母材の上に直接的に保護膜14が形成されているが、そのような構成に限定されるものではない。例えば、図2(b)に示すように、保護膜14の下に下地膜15を有する構成とすることも好ましい。このように下地膜15を設けることで、保護膜14の密着性、耐久性が向上するというメリットがある。下地膜15の材質に特に制限はない。中でも、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)及びタングステン(W)からなる群より選ばれた金属又は当該金属を含む合金により構成される下地膜15は好適に用いることができる。
また、図2(c)に示すように、規制型13の表面に金属イオンが注入されたイオン注入層16を設け、その上に保護膜14を設ける構成とすることも好ましい。このようにイオン注入層16を設けることで、保護膜14の密着性、耐久性が向上するというメリットがある。イオン注入層16を形成するため規制型13に注入する金属イオンに特に制限はないが、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属のイオンを含むことが好ましい。更に、保護膜14の密着性をより向上させる観点からは、イオン注入層16に注入された金属イオンは、保護膜14に含まれる金属のイオンを含むことがより好ましい。
また、保護膜14の表面は、算術平均粗さRaが16nm以上、100nm以下となるように構成することがより好ましい。それによって、ガラス成形体20の外径規制面23と、規制型面13Sとの実質的な接触面積を小さく抑えることができ、両者の貼り付きをより抑制することができる。算術平均粗さRaが16nm未満であると、外径規制面23と規制型面13Sとの接触面積を小さく抑える効果が不十分となる場合がある。また、算術平均粗さRaが100nmを超えると、外径規制面23と規制型面13Sの凹凸が引っかかりやすくなって、却って、ガラス成形体の取り出しが不安定になる場合がある。このような観点から、保護膜14の表面の算術平均粗さRaは、16nm以上、100nm以下であることが好ましく、20nm以上、80nm以下の範囲であることがより好ましい。
保護膜14の表面の算術平均粗さRaを上記の範囲とするために、予め規制型13の表面を粗面化してから保護膜14を形成してもよいし、形成した保護膜14の表面を粗面化してもよい。粗面化の方法は、エッチング液を用いるウェットエッチング処理、加熱による酸化処理、プラズマを用いるドライエッチング処理、エアーブラスト処理などが好適である。なお、本明細書において、算術平均粗さRaとは、JIS B 0601:2001において定義される粗さパラメータである。
更に、図1、図3に示すように、規制型面13Sを、ガラス成形体20を取り出す方向に向かって径が広がるテーパ面とすることも好ましい。それにより、ガラス成形体20の取り出しを、より容易に行うことができる。テーパ角θが大きいほど、ガラス成形体20の取り出しが容易になるが、テーパ角θが大きすぎると、外径規制面23を位置決め基準面として使いづらくなってしまう。そのため、テーパ角θは、0.05°〜10°の範囲が好ましく、0.1°〜2°の範囲がより好ましい。
なお、成形型10a、10bは、図示しない加熱手段によって所定温度に加熱できるように構成されている。加熱手段は、公知の加熱手段を適宜選択して用いることができる。例えば、被加熱部材の内部に埋め込んで使用するカートリッジヒータや、被加熱部材の外側に接触させて使用するシート状のヒータ、赤外線加熱装置、高周波誘導加熱装置等を用いることができる。成形型10a、10bの全体をまとめて加熱する構成でもよいが、ガラス成形体20の形状精度をより向上させる観点からは、成形型10a、10bを構成する各部材(下型11、上型12及び規制型13)を独立して温度制御できる構成とすることがより好ましい。
(ガラス成形体の製造方法)
次に、本発明のガラス成形体の製造方法の一例について、図5〜図7を参照しながら詳細に説明する。図5は、本実施形態におけるガラス成形体の製造方法のフローチャートである。また、図6は、各工程における成形型10aの状態を示す模式図であり、図7は、溶融ガラス滴を滴下する方法の別の例を示す模式図である。なお、ここでは、成形型10aを用いる場合を例に挙げて説明するが、成形型10bを用いる場合も、同様の方法でガラス成形体を製造することができる。
下型11と規制型13は、組み合わされた状態で、溶融ガラス滴31を受けるための位置(滴下位置)と、受けた溶融ガラス滴31を加圧するための位置(加圧位置)との間で移動できるように構成しておく。また、上型12は、図示しない駆動手段により、下型11との間で溶融ガラス滴を加圧する方向(図6(c)の上下方向)に移動できるように構成しておく。
先ず、成形型10aの各部材を予め所定温度に加熱しておく(工程S101)。所定温度とは、加圧成形によってガラス成形体に良好な成形面を転写できる温度を適宜選択すればよい。下型11、上型12及び規制型13の加熱温度は同じであってもよいし、異なっていてもよい。実際には、使用するガラスの種類や、ガラス成形体の形状、大きさ、成形型10aの各部材の材質、大きさ等種々の条件によって適正な温度が異なるため、実験的に適正な温度を求めておくことが好ましい。通常は、使用するガラスのガラス転移温度をTgとすると、Tg−100℃からTg+100℃程度の温度に設定することが好ましい。
次に、下型11と規制型13を滴下位置に配置(工程S102)した後、規制型面13Sと組み合わされた第1型面11Sの上に溶融ガラス滴31を滴下する(工程S103)(図6(a)参照)。溶融ガラス滴31の滴下は、溶融ガラスを貯留する溶融槽34に接続された滴下ノズル33を所定温度に加熱することによって行う。滴下ノズル33を所定温度に加熱すると、溶融槽34に貯留された溶融ガラスは、自重によって滴下ノズル33の先端部に供給され、表面張力によって液滴状に溜まる。滴下ノズル33の先端部に溜まった溶融ガラスが一定の質量になると、重力によって滴下ノズル33から自然に分離し、溶融ガラス滴31となって第1型面11Sの上に滴下する。なお、成形型10bを用いる場合には、第1型面11Sの上に溶融ガラス滴31を滴下すればよい。
溶融ガラス滴31の質量は、滴下ノズル33の先端部の外径などによって調整可能であり、ガラスの種類等によるが、0.1g〜2g程度の溶融ガラス滴を滴下させることができる。また、図7に示すように、滴下ノズル33から滴下した溶融ガラス滴31を、一旦、貫通孔36を有する微小化部材37で受け、貫通孔36によって微小化された溶融ガラス滴35を第1型面11Sの上に滴下してもよい。このように微小化部材37を用いることによって、例えば0.001gといった微小な溶融ガラス滴35を滴下することができるため、滴下ノズル33から滴下した溶融ガラス滴31を直接滴下する場合よりも、微小なガラス成形体の製造が可能となる。微小化部材37を用いた溶融ガラス滴の滴下方法については、特開2002−154834号公報に詳細に記載されている。
使用できるガラスの種類に特に制限はなく、公知のガラスを用途に応じて選択して用いることができる。例えば、ホウケイ酸塩ガラス、ケイ酸塩ガラス、リン酸ガラス、ランタン系ガラス等の光学ガラスが挙げられる。
次に、下型11と規制型13を加圧位置に配置し(工程S104)(図6(b)参照)、上型12を下方に移動して、溶融ガラス滴31を加圧する(工程S105)(図6(c)参照)。溶融ガラス滴31は、加圧されている間に、接触している第1型面11S、第2型面12S及び規制型面13Sからの放熱などによって冷却され、固化してガラス成形体20となる。ガラス成形体20が所定の温度まで冷却された後、加圧を解除する。ガラスの種類や、ガラス成形体の大きさや形状、必要な精度等によるが、通常はガラスのTg近傍の温度まで冷却されていればよい。
溶融ガラス滴31を加圧するために負荷する荷重は、常に一定であってもよいし、時間的に変化させてもよい。負荷する荷重の大きさは、製造するガラス成形体20のサイズ等に応じて適宜設定すればよい。また、上型12を上下移動させる駆動手段に特に制限はなく、エアシリンダ、油圧シリンダ、サーボモータを用いた電動シリンダ等の公知の駆動手段を適宜選択して用いることができる。上型12を下方に移動する代わりに、下型11と規制型13を上方に移動して加圧してもよい。また、上型12を下方に移動すると同時に、下型11と規制型13を上方に移動して溶融ガラス滴31を加圧してもよい。
次に、上型12を上方に移動して退避させ、ガラス成形体20を成形型10aから取り出して回収する(工程S106)(図5(d)参照)。ガラス成形体20の取り出しは、吸着装置38を用いて吸着するなど、通常の方法により行えばよい。本実施形態においては、規制型面13Sに所定の保護膜14が設けられているため、ガラス成形体20の外径規制面23が規制型面13Sに貼り付き難い。そのため、ガラス成形体20への加圧を解除した後、ガラス成形体20を成形型10aから容易に取り出すことができ、外径規制面23を有するガラス成形体20を効率よく製造することができる。
その後、引き続いてガラス成形体20の製造を繰り返す場合は、下型11と規制型13を再び滴下位置に配置し(工程S102)、以降の工程を繰り返せばよい。なお、本実施形態においては、ここで説明した以外の別の工程を含んでいてもよい。例えば、ガラス成形体20を回収する前にガラス成形体20の形状を検査する工程や、ガラス成形体20を回収した後に成形型10aをクリーニングする工程等を設けてもよい。
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1に示した成形型10aを用い、図5のフローチャートに従ってガラス成形体20を作製した。下型11、上型12及び規制型13の材質には、いずれも炭化タングステンを主成分とする超硬材料を用いた。規制型13の規制型面13Sには、マグネトロンスパッタ装置を用いて、表1に示す金属又は合金により構成される保護膜14をそれぞれ形成した(実施例1〜18、比較例1〜3)。保護膜14の厚みは、いずれも0.5μmとした。なお、比較例1の規制型13には保護膜14を設けなかった。
Figure 2010070434
ガラス材料はTgが530℃のリン酸系ガラスを用いた。滴下ノズルの先端部の外径はφ6mmとし、先端部を1050℃に加熱して、0.3gの溶融ガラス滴を滴下した。下型11及び規制型13の加熱温度は500℃、上型12の加熱温度は460℃とし、加圧の際の荷重は1200N、加圧時間は15秒とした。ガラス成形体20への加圧を加除した後は、吸着装置38を用いて成形型10aからガラス成形体20を取り出した。
上記実施例1〜18、及び、比較例1〜3の規制型13を用いて、それぞれ1000個ずつのガラス成形体を作製し、ガラス成形体の取り出しミスの発生回数を評価した。ここでは、吸着装置38をガラス成形体に接触させてから15秒後に吸着装置を上昇させ、ガラス成形体が成形型から取り出せなかった場合を取り出しミスとして判定した。評価結果を表1に併せて示す。
表1に示すように、比較例1〜3では、それぞれ10回以上の取り出しミスが発生しているのに対し、ガラスとの親和性が低い所定の金属又は合金により構成される保護膜14の設けられている実施例1〜18では、いずれも5回以下の発生にとどまっており、ガラス成形体を成形型から容易に取り出すことができるという本発明の効果が確認された。
第1の実施形態の成形型10aを模式的に示す断面図である。 図1のA部を拡大して示す模式図である。 第2の実施形態の成形型10bを模式的に示す断面図である。 製造されるガラス成形体の一例を示す図である。 ガラス成形体の製造方法のフローチャートである。 各工程における成形型10aの状態を示す模式図である。 溶融ガラス滴を滴下する方法の別の例を示す模式図である。
符号の説明
10a、10b 成形型
11 下型
11S 第1型面(下型面)
12 上型
12S 第2型面(上型面)
13 規制型
13S 規制型面
14 保護膜
15 下地膜
16 イオン注入層
20 ガラス成形体
21 第1の成形面(下成形面)
22 第2の成形面(上成形面)
23 外径規制面
24 中心軸
31、35 溶融ガラス滴
33 滴下ノズル
34 溶融槽
36 貫通孔
37 微小化部材
38 吸着装置

Claims (10)

  1. 滴下した溶融ガラス滴を加圧成形し、対向する2つの成形面と、外径規制面とを有するガラス成形体を製造するための成形型において、
    前記溶融ガラス滴を受け、前記ガラス成形体の第1の成形面を成形するための第1型面と、
    前記第1の成形面に対向する第2の成形面を成形するための第2型面と、
    前記外径規制面を成形するための規制型面と、を有し、
    前記規制型面には、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選ばれた金属又は当該金属を含む合金により構成される保護膜が設けられていることを特徴とする成形型。
  2. 前記保護膜は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)及び白金(Pt)からなる群より選ばれた金属又は2種以上の当該金属からなる合金により構成されることを特徴とする請求項1に記載の成形型。
  3. 前記保護膜の下に、下地膜を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の成形型。
  4. 前記下地膜は、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)及びタングステン(W)からなる群より選ばれた金属又は当該金属を含む合金により構成されることを特徴とする請求項3に記載の成形型。
  5. 前記保護膜は、金属イオンが注入されたイオン注入層の上に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形型。
  6. 前記イオン注入層に注入された前記金属イオンは、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属のイオンを含むことを特徴とする請求項5に記載の成形型。
  7. 前記イオン注入層に注入された前記金属イオンは、前記保護膜に含まれる金属のイオンを含むことを特徴とする請求項6に記載の成形型。
  8. 滴下した溶融ガラス滴を成形型で加圧成形し、対向する2つの成形面と、外径規制面とを有するガラス成形体を製造するガラス成形体の製造方法において、
    前記成形型は、請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の成形型であることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  9. 前記規制型面と組み合わされた前記第1型面の上に溶融ガラス滴を滴下する工程と、
    前記第1型面と前記第2型面とを相対的に接近させ、滴下した前記溶融ガラス滴を加圧してガラス成形体を成形する工程と、
    成形された前記ガラス成形体を前記成形型から取り出す工程と、を有することを特徴とする請求項8に記載のガラス成形体の製造方法。
  10. 前記第1型面の上に溶融ガラス滴を滴下する工程と、
    前記第1型面と、前記規制型面と組み合わされた前記第2型面とを相対的に接近させ、滴下した前記溶融ガラス滴を加圧してガラス成形体を成形する工程と、
    成形された前記ガラス成形体を前記成形型から取り出す工程と、を有することを特徴とする請求項8に記載のガラス成形体の製造方法。
JP2008242260A 2008-09-22 2008-09-22 成形型及びガラス成形体の製造方法 Pending JP2010070434A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008242260A JP2010070434A (ja) 2008-09-22 2008-09-22 成形型及びガラス成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008242260A JP2010070434A (ja) 2008-09-22 2008-09-22 成形型及びガラス成形体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010070434A true JP2010070434A (ja) 2010-04-02

Family

ID=42202579

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008242260A Pending JP2010070434A (ja) 2008-09-22 2008-09-22 成形型及びガラス成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010070434A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012233937A (ja) * 2011-04-28 2012-11-29 Hitachi Ltd 携帯電話型暗号認証デバイスシステムおよびその方法
CN103194723A (zh) * 2013-03-13 2013-07-10 河海大学 一种大功率晶闸管的改性钼基片及其制备方法
JP2013203568A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Olympus Corp 光学素子成形用型の製造方法および光学素子の製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0532424A (ja) * 1990-09-21 1993-02-09 Olympus Optical Co Ltd 成形型の再生方法
JPH08169722A (ja) * 1994-10-06 1996-07-02 Olympus Optical Co Ltd ガラス光学素子の成形方法および装置
JP2005272187A (ja) * 2004-03-23 2005-10-06 Konica Minolta Opto Inc 光学素子用の成形型及びその再生方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0532424A (ja) * 1990-09-21 1993-02-09 Olympus Optical Co Ltd 成形型の再生方法
JPH08169722A (ja) * 1994-10-06 1996-07-02 Olympus Optical Co Ltd ガラス光学素子の成形方法および装置
JP2005272187A (ja) * 2004-03-23 2005-10-06 Konica Minolta Opto Inc 光学素子用の成形型及びその再生方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012233937A (ja) * 2011-04-28 2012-11-29 Hitachi Ltd 携帯電話型暗号認証デバイスシステムおよびその方法
JP2013203568A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Olympus Corp 光学素子成形用型の製造方法および光学素子の製造方法
CN103194723A (zh) * 2013-03-13 2013-07-10 河海大学 一种大功率晶闸管的改性钼基片及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2010070434A (ja) 成形型及びガラス成形体の製造方法
KR20010085221A (ko) 광학 소자 성형용 틀 및 그 제조 방법 및 광학 소자
JP5458822B2 (ja) 光学素子用成形型及び光学素子の成形方法
WO2010071050A1 (ja) 成形型及びガラス成形体の製造方法
JP5326773B2 (ja) ガラス成形体の製造方法
JP4779861B2 (ja) ガラス光学素子の製造方法
JP5565265B2 (ja) ガラス成形体の製造方法
JP5381706B2 (ja) 光学素子の製造方法
JP2010100499A (ja) 成形型及びガラス成形体の製造方法
JP5652398B2 (ja) ガラスゴブの製造方法及びガラス成形体の製造方法
JP5233433B2 (ja) 成形型及びガラス成形体の製造方法
JP2001114523A (ja) 光学素子成形用金型、光学素子成形用金型の製造方法及び光学素子成形用金型の使用方法
JP5263165B2 (ja) ガラス成形体の製造方法
JP4784454B2 (ja) 光学素子の製造方法及び製造装置
JP5018503B2 (ja) 溶融ガラス滴の微小化部材、ガラスゴブの製造方法、及び、ガラス成形体の製造方法
JP5263164B2 (ja) ガラス成形体の製造方法
JP4957623B2 (ja) 溶融ガラス滴の微小化方法、ガラスゴブの製造方法、及びガラス成形体の製造方法
JP5423667B2 (ja) 溶融ガラス滴の微小化部材、ガラスゴブの製造方法、ガラス成形体の製造方法、及びガラス微小滴の製造方法
JP5200809B2 (ja) 溶融ガラス滴の製造方法、ガラスゴブの製造方法及びガラス成形体の製造方法
JP2012030987A (ja) 光学素子の成形方法
JP2008127242A (ja) 光学素子の製造方法及び製造装置
JP2004210550A (ja) モールド成形金型
JPWO2008149671A1 (ja) 光学素子の製造方法及び光学素子
JP5003603B2 (ja) ガラスゴブの製造方法及びガラス成形体の製造方法
JP2011126758A (ja) 光学素子用成形型及びそれを用いた光学素子の成形方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110816

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20120214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120710

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120717

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121113