JP2010069912A - 車両の吸音構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸音空間の全長が十分に確保できないために、定常波の数が少なくならざるを得ない周波数音であっても、その周波数音を吸音することができる車両の吸音構造を提供する。
【解決手段】吸音空間11において、フロアパネル2の振動に基づいて発生する空気粒子速度を環状部材13の絞り孔16により高め、その高めた空気粒子速度の運動エネルギを環状の吸音材14に吸収させる。これにより、吸音空間11の全長が十分に確保できないために、定常波の数が少なくならざるを得ない周波数音であっても、その周波数音を吸音する。
【選択図】 図15
【解決手段】吸音空間11において、フロアパネル2の振動に基づいて発生する空気粒子速度を環状部材13の絞り孔16により高め、その高めた空気粒子速度の運動エネルギを環状の吸音材14に吸収させる。これにより、吸音空間11の全長が十分に確保できないために、定常波の数が少なくならざるを得ない周波数音であっても、その周波数音を吸音する。
【選択図】 図15
Description
本発明は、車両の吸音構造に関する。
車両の吸音構造には、特許文献1に示すように、ロードノイズに基づいて車室内空気の粒子速度が高速となる部分に吸音材を配置するものがある。このものにおいては、吸音材に空気粒子が衝突する際、その高速の空気粒子速度を利用して、空気粒子と吸音材との摩擦力を高めることができ、ロードノイズを効果的に吸音することができる。
ところで、車両においては、一般に、ロードノイズを吸音する際、吸音空間においてロードノイズを共鳴させて定常波を生成することが考慮されている。定常波における空気粒子速度の最も速い部分(定常波の腹の部分)の運動エネルギを吸音材により吸収できることになり、ロードノイズを効果的に吸音できるからである。
特開平05−247268号公報
しかし、車両においてロードノイズを共鳴させるためには、吸音空間の全長(L)が、共鳴を図りたい周波数音の半波長(1/2・λ)の正数倍(n)である必要があり(L=1/2・λ・n)、吸音したい(共鳴させたい)ロードノイズの周波数音が低い側、特に低・中周波数音であるときには、吸音空間の設置場所によっては、その吸音空間の全長として、所望の長さを得ることができず、共鳴しても、定常波の数が少ない場合がある。このような場合には、その低・中周波数音を十分に吸音することができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、吸音空間の全長が十分に確保できないために、定常波の数が少なくならざるを得ない周波数音であっても、その周波数音を吸音することができる車両の吸音構造を提供することにある。
前記技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)においては、
対向する一対の板材により扁平状の吸音空間が画成され、該吸音空間内に吸音材が配置され、前記一対の板材のうちの一方の板材が、振動可能とされた振動板部材とされている車両の吸音構造において、
前記吸音空間内に、前記一方の板材の振動に基づいて該吸音空間内に発生する音波の進行領域において、該音波の進行断面を狭める絞り路が形成され、
前記吸音材が、前記絞り路よりも前記音波の進行方向前側において該絞り路に近接配置されている構成としてある。請求項1の好ましい態様としては、請求項2以下の記載の通りとなる。
対向する一対の板材により扁平状の吸音空間が画成され、該吸音空間内に吸音材が配置され、前記一対の板材のうちの一方の板材が、振動可能とされた振動板部材とされている車両の吸音構造において、
前記吸音空間内に、前記一方の板材の振動に基づいて該吸音空間内に発生する音波の進行領域において、該音波の進行断面を狭める絞り路が形成され、
前記吸音材が、前記絞り路よりも前記音波の進行方向前側において該絞り路に近接配置されている構成としてある。請求項1の好ましい態様としては、請求項2以下の記載の通りとなる。
請求項1の発明によれば、吸音空間の全長が十分に確保できないために、定常波の数が少なくならざるを得ない周波数音であっても、一方の板材の振動に基づいて発生する空気粒子速度が絞り路により高められ、その高められた空気粒子速度の運動エネルギを吸音材に吸収させることができる。このため、吸音空間の全長が十分に確保できないために、定常波の数が少なくならざるを得ない周波数音であっても、その周波数音を吸音することができる。
請求項2の発明によれば、吸音空間が、一方の板材の全周囲を固定する固定部材によっても画成され、絞り路が、吸音空間内において、一方の板材の最大振幅予定部を中心とした周囲に複数配置され、複数の絞り路の外周側に、各絞り路に臨むようにして吸音材が配置されていることから、一方の板材の全周囲を固定部材によって固定することによって、振動の振幅が最も大きくなる最大振幅予定部を予想することができ(基本的に真ん中)、それを捉えて、効果的に吸音することができる。
請求項3の発明によれば、環状部材と該環状部材の外周側に配置される環状の吸音材とが、その軸心が一方の板材の最大振幅予定部に位置するように配置され、複数の絞り路が、環状部材に該環状部材の周回り方向において所定間隔毎に形成されていることから、請求項2に係る構造を簡単に得ることができる。
請求項4の発明によれば、環状部材として、吸音材よりも剛性が高い剛性部材が用いられていることから、外部からの荷重に抗して環状の吸音材が圧縮されることを規制することができ、吸音材の圧縮に基づき吸音性能が低下することを防止できる。
請求項5の発明によれば、環状部材と前記環状の吸音材を一組として、複数組が内側から外側に向けて同心状に配置され、各組の環状部材の各絞り路が対向配置されていることから、音波の入力個所から音波が放射状に伝播される間に、限られた吸音空間内において、空気粒子速度の増速と、その運動エネルギの吸収とが複数回に亘って繰り返されることになり、吸音性能を効果的に高めることができる。
請求項6の発明によれば、一方の板材がフロアパネルであることから、定常波の数が少なくならざるを得ない吸音空間を形成する傾向にあるフロアパネル構造において、フロアパネルを一方の板材として利用して、定常波の数が少なくならざるを得ない周波数音を吸音することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1,図2において、符号1は車両で、その車両1の下部にはフロアパネル2が配設されている。フロアパネル2には、車幅方向中央部において上方に膨出するトンネル部3が車体前後方向に延びるようにして備えられており、そのフロアパネル2の車幅方向両側部分は、左右一対のサイドシル4、及びそのサイドシル4よりも車幅方向内側に配置される左右一対のサイドフレーム5により支持されている。このようなフロアパネル2には、走行中に路面からタイヤ6を介して入力される振動が伝達されることになり、その振動は、音波として、フロアパネル2上方側に向けて伝播されることになっている(図1参照)。このようなフロアパネル2のヤング率は、一般に、7×1010(N/m2)〜22.0×1010(N/m2)に設定されている。
図1,図2において、符号1は車両で、その車両1の下部にはフロアパネル2が配設されている。フロアパネル2には、車幅方向中央部において上方に膨出するトンネル部3が車体前後方向に延びるようにして備えられており、そのフロアパネル2の車幅方向両側部分は、左右一対のサイドシル4、及びそのサイドシル4よりも車幅方向内側に配置される左右一対のサイドフレーム5により支持されている。このようなフロアパネル2には、走行中に路面からタイヤ6を介して入力される振動が伝達されることになり、その振動は、音波として、フロアパネル2上方側に向けて伝播されることになっている(図1参照)。このようなフロアパネル2のヤング率は、一般に、7×1010(N/m2)〜22.0×1010(N/m2)に設定されている。
前記フロアパネル2上には、図2,図3に示すように、前後方向に順次並ぶ複数のフレーム部材7a,7b・・・を介してフロアマット8が敷設されている。フレーム部材7a,7b・・・の中には、トンネル部3が存在する個所であってシート配設位置において配置されるものが含まれ、そのフレーム部材7a,7bは、トンネル部3を基準として両側において、フロアパネル2上面に固定されている。そのフレーム部材7a(7b)は、トンネル部3とサイドシル4との間を跨ぐように延びており、そのフレーム部材7a(7b)は、前後方向に所定の間隔をあけて配置されている。具体的には、補強を図る観点から、隣り合うフレーム部材7a,7b間の間隔が狭められて、その間隔は、低・中周波数音(100Hz〜800Hz)について、共鳴しても、定常波の腹(最も空気粒子速度の速い部分)の数が少なすぎる長さとなっている。すなわち、共鳴長さL=1/2・λ・nにおいて、n=1又は2以下の長さとなっている。ここで、λは、共鳴を図りたい周波数音の波長、nは、正数である。
フロアマット8は、表皮9と、その表皮9の内面側に取付けられる格子状リブ(例えば樹脂製)10とにより構成されている。格子状リブ10は、隣り合うフレーム部材7a,7b間に嵌り込んでフロアマット8の移動規制部材として機能すると共に、フロアマット8の剛性を硬いものとする機能を有している。
前記フロアパネル2と前記フロアマット8との間には、図3に示すように、隣り合うフレーム部材7a,7b間において吸音空間11が形成されている。この吸音空間11においては、その各吸音空間11に臨むフロアパネル2の全周囲がフレーム部材7a,7b、トンネル部3、サイドシル4により固定され、さらには、そのフロアパネル2には、サイドシル4とトンネル部3との間においてサイドフレーム5が固定されており、吸音空間11に臨むフロアパネル2は、全周が固定される面として、サイドフレーム5を基準として左右に2つの面2a,2bを有している(図2参照)。このため、走行中に路面からタイヤ6を介して入力される振動は、吸音空間11においては、その吸音空間11に臨むフロアパネル2の各面2a,2bの中央部分(最大振幅予定部)で最も大きな振幅をもって振動することになり、その振動は、吸音空間11内に音波として伝播されることになる。
また、吸音空間11は、音波が入力されることに伴い、その内部の空気の粒子速度の水平速度成分が増大するようにすべく、図3に示すように、扁平状に形成されている。吸音空間11の扁平率は、図3中、左右方向をX方向、紙面直交方向をY方向、上下方向をZ方向として、Y方向の長さを一定にした状態の下で、Z方向の長さとX方向の長さとの比(扁平率)Z/Xとして示すことができるが、本実施形態においては、その扁平率Z/Xは、50%以下となるように設定されている。これは、扁平率Z/Xを変えて、フロアパネル2の振動に基づいて発生する空気粒子速度のX,Z方向の各速度成分Vp(X),Vp(Z)の割合について調べた図4に示す結果に基づいている。すなわち、図4に示す結果によれば、扁平率Z/Xが50%以下であれば、Z方向の速度成分Vp(Z)がほとんど発生せず、大部分がX方向の速度成分Vp(X)により占められることを示すことになっており、吸音空間11には、この結果が利用されている。
しかし、隣り合うフレーム部材7a,7bが区画する吸音空間11に関しては、その隣り合うフレーム部材7a,7b間の間隔に基づき、低・中周波数音(100Hz〜800Hz)の共鳴に基づいて吸音材により吸音を行うには不十分なものとなっている。すなわち、上記隣り合うフレーム部材7a,7b間の間隔が、共鳴(共鳴長さ:100Hzで43cm)しても、そのときの長さが、L=1/2・λ・nにおいて、n=1又は2程度以下の長さ(定常波の腹部(最も空気の粒子速度が速い部分)の数が少ない状態)となって、空気粒子と吸音材との摩擦による運動エネルギの吸収を十分に図ることができない状態にある。
このため、前記吸音空間11内には、図3,図5に示すように、フロアパネル2の各面2a,2bにおいて、比較的圧肉の円板形状の吸音ユニット12がそれぞれ配置されている。各吸音ユニット12は、その軸心方向を上下方向に向けて配設されており、その各吸音ユニット12はフロアマット8とフロアパネル2とにより挟持されている。この各吸音ユニット12は、図5、図6に示すように、樹脂製の環状部材(樹脂リブ)13と環状の吸音材14とが、同心状に交互に内側から外側に向けて嵌め込まれる構成となっており、環状部材13と環状の吸音材14とを一組(基本単位)として、複数組が設けられる構造となっている。本実施形態においては、各吸音ユニット12の径方向中央部分が貫通孔15となっており、その各貫通孔15の下端開口が、吸音空間11に臨むフロアパネル2における各面2a,2bの中央部分にそれぞれ位置されることになっている。
前記各環状部材13は、図5,図6に示すように、前記吸音ユニット12の肉厚を確保すべく、硬質ウレタン等を用いて、その軸心方向に一定幅を有するように形成されている。この各環状部材13は、その軸心方向において高い剛性を有しており、その各環状部材13の軸心方向の剛性が、吸音ユニット12の軸心方向の実質的剛性を担保している。また、この各環状部材13には、図6に示すように、複数の絞り路としての複数の絞り孔16が、該環状部材13の周回り方向において所定間隔毎に形成されている。本実施形態においては、この複数の絞り孔16として、各環状部材13の下端側周縁部を形成された三角形状の切り欠きと、各環状部材13の幅方向内方側に形成された円孔とが備えられており、それらは、環状部材13の周回り方向に互い違いに配置されている。また、この各環状部材13の各絞り孔16は、互いに対向した配置関係となっており、それらは、吸音ユニット12の貫通孔15から放射状に配列されることになっている。
この各環状部材における絞り孔16の孔数、大きさ、間隔、形状等は、次の観点から設定されている。すなわち、絞り孔16の孔数は、孔と孔との間の中央ラインが、両孔からの音の干渉で打ち消し合うことになるため、多くない方が好ましい。具体的には、下記絞り孔16の大きさ、形状との関係から、絞り孔16の孔数は、周方向の孔−孔間の距離が孔の大きさの2倍以上になるようにすることにより決定することが好ましい。
絞り孔16の大きさ(高さ)は、欲しい方向の粒子速度Vp(x)を90%にするためには、扁平率50%以上が望ましいので、絞り孔16の高さは、環状部材13の幅長さ(上下長さ)の50%以内にすることが好ましい。
絞り孔16の間隔は、実験結果より3cm以下が好ましい。
絞り孔16の形状については、空気の圧力変動への寄与は小さいと考えられるが、絞り孔16による音の吸収効果よりも吸音材14による音の吸収効果の方が大きく(吸音材の場合、通気抵抗と柔らかい繊維の微小運動とによる減衰が含まれる)、絞り孔16による絞り効果により粒子速度をできるだけ高い状態に保って吸音材14に入射させたいことから、円、正方形等のアスペクト比(縦横比)=1の形状が好ましい。
絞り孔16の大きさ(高さ)は、欲しい方向の粒子速度Vp(x)を90%にするためには、扁平率50%以上が望ましいので、絞り孔16の高さは、環状部材13の幅長さ(上下長さ)の50%以内にすることが好ましい。
絞り孔16の間隔は、実験結果より3cm以下が好ましい。
絞り孔16の形状については、空気の圧力変動への寄与は小さいと考えられるが、絞り孔16による音の吸収効果よりも吸音材14による音の吸収効果の方が大きく(吸音材の場合、通気抵抗と柔らかい繊維の微小運動とによる減衰が含まれる)、絞り孔16による絞り効果により粒子速度をできるだけ高い状態に保って吸音材14に入射させたいことから、円、正方形等のアスペクト比(縦横比)=1の形状が好ましい。
前記各吸音材14としては、低・中周波数音(100〜800Hz)から高周波数音(1kHz〜10kHz)までのいずれの周波数音についても吸音できるものが用いられている。具体的には、この吸音性能を確保すべく、ウレタン、フェルト等の材質を用いて、流れ抵抗が、流れ抵抗≧ 3.3×104、ヤング率が1.2×103〜2.0×104、損失係数が、損失係数≦0.12とされている。
このように吸音ユニット12が環状部材13と環状の吸音材14とを基本単位として備えているのは、吸音空間11の全長(主として隣り合うフレーム部材7a,7b間の間隔)が十分に確保できないために、低・中周波数音について共鳴させても定常波の腹の数が少なくならざるを得ないことから、そのような周波数音であっても吸音を図るべく、吸音空間11に入力された音波を環状部材13の絞り孔16により絞って空気粒子速度を高め(絞り効果)、その高められた空気粒子速度の運動エネルギを吸音材14に吸収させようとしているのである。また、空気粒子速度の大部分を吸音材14側(X方向)に向けた成分とすることを高め、吸音材14による運動エネルギの吸収を効果的に高めるためでもある。
図7は、上記構造(絞り孔16)を取り入れる根拠としている実験結果を示している。実験は、絞り効果が吸音性能に及ぼす影響を調べたもので、図8に示すように、吸音空間11を区画する振動板17(フロアパネル2に相当)上に吸音材14を設けただけの場合と、図9に示すように、吸音空間11を画成する振動板17(フロアパネル2に相当)上に突部(突出量:0.02m〜0.05m以上の所定値)18を設けて絞り路19(絞り孔16に相当)を形成すると共に、その絞り路19に隣り合うように吸音材14(突部18から0.01m〜0.05mの範囲内の所定値)を設けた場合とについて、振動板17下方側から低・中周波数音(100〜800Hz)を入力し、振動板17上方側における吸音空間11の所定位置において、マイクロフォン20をもって音を検出した。この場合、実験には、図10に示すように、硬質壁をもって形成した密閉空間Rを用意し、振動板17により上下二室11,22に区画した。そして、その上室を吸音空間11とし、その吸音空間11内に、前述のように、音を検出するべくマイクロフォン20を配置した。一方、下室22には、音源としてのスピーカ21を配置した。このとき、密閉空間Rの縦長さH1をH1=0.78m、横長さH2をH2=1.3m、高さH3をH3=0.8m、上室としての吸音空間11の高さH4をH4=0.05〜0.1mとした。このような実験の結果、図7に示すように、絞り路19を形成した場合(図9)の方が、絞り路19を形成しない場合(図8)に比べて吸音材14による吸音性能が高まることとなった。
またこの場合、図11に示すように、絞り路19内に吸音材14を配置した場合についても吸音性能を調べ、その場合と、絞り路19に隣り合うように吸音材14を設けた場合(前述の図9参照)とを比較した。その結果を示すのが図12である。その図12によれば、予想外にも、絞り路内に吸音材14を配置した場合よりも、絞り路19に隣り合うように吸音材14を設けた場合の方が優れていた。
図13は、同じく上記構造(絞り孔16)を取り入れる根拠としている実験結果を示すもので、図14に示すように、音波23を絞り路19で絞った場合に、絞り路19近傍位置(1〜3cm)と、絞り路19から遠方位置(15cm)とにおいて、空気粒子速度のX方向成分及びZ方向成分がどのようになるかをセンサ(SPL(音圧)マイク機能、Vp(粒子速度)マイク機能等を有するもの)24を用いて測定したものである。尚、紙面に直交する方向であるY方向についての長さを一定幅(単位幅)とした。図13の結果によれば、絞り路19近傍位置においては、絞り効果に基づき、空気粒子速度のX方向成分がほとんどの割合を占め、絞り路19から遠方位置においては、絞り効果が反映されなくなる結果、空気粒子速度のX方向成分とZ方向成分とが半々の割合となった。このため、この点も考慮して、絞り路19に隣り合うように吸音材14を設ける構造が本件吸音構造に取り入れられている。
したがって、上記吸音構造においては、吸音空間11に臨むフロアパネル2の中央部分が大きく振動し、その振動は、吸音ユニット12の径方向中央部分の貫通孔15の内部空間に音波として伝播される。その音波は、吸音空間11の扁平形状に基づき水平方向に進行方向が変えられ、その音波は、図15の矢印で示すように、吸音ユニット12の径方向中央部分から、各環状部材13の対向する絞り孔16を通って放射状に進行する。このとき、各絞り孔16を通過する度に空気粒子速度が高められ、その高められた空気粒子速度の運動エネルギが吸音材14に吸収される。このため、吸音空間11の全長が十分に確保できないために、共鳴しても定常波の腹の数が少なくならざるを得ない周波数音であっても、その周波数音を効果的に吸音できる。
また、吸音ユニット12は、その剛性の高い各環状部材13がフロアマット8を支えることになっており、その各環状部材13は、フロアマット8が乗員25の荷重によりへこむことを規制するだけでなく、各吸音材14が圧縮されて吸音性能が低下することを防止する(図3参照)。
1 車両
2 フロアパネル(一方の板材)
3 トンネル部(固定部材)
4 サイドシル(固定部材)
5 サイドフレーム(固定部材)
7a フレーム部材(固定部材)
7b フレーム部材(固定部材)
11 吸音空間
12 吸音ユニット
13 環状部材
14 環状の吸音材
16 絞り孔(絞り路)
19 絞り路
2 フロアパネル(一方の板材)
3 トンネル部(固定部材)
4 サイドシル(固定部材)
5 サイドフレーム(固定部材)
7a フレーム部材(固定部材)
7b フレーム部材(固定部材)
11 吸音空間
12 吸音ユニット
13 環状部材
14 環状の吸音材
16 絞り孔(絞り路)
19 絞り路
Claims (6)
- 対向する一対の板材により扁平状の吸音空間が画成され、該吸音空間内に吸音材が配置され、前記一対の板材のうちの一方の板材が、振動可能とされた振動板部材とされている車両の吸音構造において、
前記吸音空間内に、前記一方の板材の振動に基づいて該吸音空間内に発生する音波の進行領域において、該音波の進行断面を狭める絞り路が形成され、
前記吸音材が、前記絞り路よりも前記音波の進行方向前側において該絞り路に近接配置されている、
ことを特徴とする車両の吸音構造。 - 請求項1において、
前記吸音空間が、前記一方の板材の全周囲を固定する固定部材によっても画成され、
前記絞り路が、前記吸音空間内において、前記一方の板材の最大振幅予定部を中心とした周囲に複数配置され、
前記複数の絞り路の外周側に、該各絞り路に臨むようにして前記吸音材が配置されている、
ことを特徴とする車両の吸音構造。 - 請求項2において、
環状部材と該環状部材の外周側に配置される環状の吸音材とが、その軸心が前記一方の板材の最大振幅予定部に位置するように配置され、
前記複数の絞り路が、前記環状部材に該環状部材の周回り方向において所定間隔毎に形成されている、
ことを特徴とする車両の吸音構造。 - 請求項3において、
前記環状部材として、前記吸音材よりも剛性が高い剛性部材が用いられている、
ことを特徴とする車両の吸音構造。 - 請求項3において、
前記環状部材と前記環状の吸音材を一組として、複数組が内側から外側に向けて同心状に配置され、
前記各組の環状部材の各絞り路が対向配置されている、
ことを特徴とする車両の吸音構造。 - 請求項1〜5のいずれか1項において、
前記一方の板材がフロアパネルである、
ことを特徴とする車両の吸音構造。
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JP2019123349A (ja) * | 2018-01-16 | 2019-07-25 | マツダ株式会社 | 車両の遮音構造 |
JP2023011224A (ja) * | 2021-07-12 | 2023-01-24 | 株式会社パーカーコーポレーション | ウレタンフォームインシュレーター |
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