JP5402120B2 - 車体構造体 - Google Patents

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本発明は、例えば、ロードノイズ等の比較的低い周波数のロードノイズを吸音することが可能な車体構造体に関する。
従来、車両の屋根を支える中空状のピラーを介して外部からの騒音が車内に入り込まないようにした車体構造体として、ピラー内に再成綿フェルトを設けて、エンジンルームから車室内に入り込む騒音を防止する構造が開示されている(特許文献1)等がある。
特開平6−286530号公報
ところで、特許文献1では、粒子速度駆動に基づく吸音機構を利用しているため、低周波数領域における音に対しては、大きな背後空気層が必要であり、実際には、エンジン音、走行中の風切り音、タイヤや路面からひろうロードノイズ等のように、比較的低い周波数領域における音に対しては減衰することができなかった。また、ピラー内に挿入されるグラスウール、フェルト等の多孔質材は、音波の粒子速度が最大となる位置に、その速度が最大となる方向と垂直に配設されたときに、吸音効率が最大となる。このため、室境界(壁面)から、対象周波数のλ/4程度の空間を背後に有する必要があり、低音域を吸音するためには、大きな空気層(例えば、315Hzの場合には27cm)が必要となり、現実的には車室内に設置することは不可能となる。言い換えれば、背後空気層が少ない多孔質吸音構造では、低周波数を吸音することはできず、低周波の音響エネルギーを消散させることはできなかった。
本発明の目的は、低周波領域における音を効率良く吸音する板吸音体を有する車体構造体を提供することにある。
本発明が採用する車体構造体は、車両の屋根を支える中空状の支柱と、前記支柱に該支柱とは別の部材で設けられ、音圧駆動によって吸音を行う板吸音体と、前記板吸音体と前記支柱とを接合する接合手段と、を具備する車体構造体において、前記板吸音体は、開口部を有する筐体と、該開口部で該筐体に支持される振動板と、該筐体内に画成される空気層とを有することを特徴とする。
上記構成において、前記接合手段は、前記筐体と前記支柱のいずれか一方に設けられた吸音体取付突起と他方に設けられた吸音体取付孔とからなり、前記吸音体取付孔に前記吸音体取付突起が挿入されることにより前記板吸音体と前記支柱とを接合することが望ましい。
上記構成において、前記支柱は、当該車体構造体の基台となるシャーシの一部をなすアウタパネルと、該アウタパネルを車室側から覆うインナパネルとを有し、前記接合手段は、前記インナパネルに設けられた段部と、前記筐体に設けられた鍔部とからなり、前記鍔部が前記段部に係合することにより前記板吸音体と前記支柱とを接合することが望ましい。
本発明が採用する車体構造体は、車両の屋根を支える中空状の支柱と、前記支柱に設けられ、音圧駆動によって吸音を行う板吸音体と、を具備する車体構造体において、前記板吸音体は、開口部を有する筐体と、該開口部で該筐体に支持される振動板と、該筐体内に画成される空気層とを有し、前記板吸音体の屈曲系の基本周波数の値をfa、前記板吸音体のバネマス系の共振周波数の値をfbとしたとき、faとfbの比が0.05≦fa/fb≦0.65の関係を満足することを特徴とする。
上記構成において、前記支柱は、当該車体構造体の基台となるシャーシの一部をなすアウタパネルと、該アウタパネルを車室側から覆うインナパネルとを有することが望ましい。
上記構成において、前記インナパネルは、パネル取付突起を有し、前記アウタパネルは、前記パネル取付突起が挿入されるパネル取付孔を有することが望ましい。
上記構成において、前記インナパネルは、音圧透過部を有することが望ましい。
本発明によれば、吸音構造体が、音波を振動に変換して、音波エネルギーを機械エネルギーとして消費して吸音を行う。例えば、吸音構造体が吸音する周波数を低い値に設定した場合には、例えばロードノイズのような低周波数の音を効率良く吸音することができる。
本発明の第1実施形態に係る4ドアセダン形の車両を示す斜視図である。 車両のシャーシを模式的に示す図である。 図1中の矢視III−III方向から見た拡大した断面図である。 リアアウタパネルに対して板吸音体およびリアインナパネルを組み立てる前の状態を示した図である。 リアピラーに板吸音体を設けた実験結果を示す図である。 リアインナパネルに対する板吸音体の配置例を示す図である。 第1実施形態の変形例を示す図である。 変形例(1−3−1)を示す図である。 変形例(1−3−2)を示す図である。 変形例(1−3−3)を示す図である。 変形例(1−3−4)を示す図である。 変形例(1−3−5)を示す図である。 変形例(1−3−6)による実験結果を示す図である。 第2実施形態に係る4ドアセダン形の車両を示す斜視図である。 第2実施形態における管吸音体を拡大して示す図である。 管吸音体の原理を示す模式図である。 第2実施形態の変形例を示す図である。 第3実施形態における図10と同様の断面図である。 第4実施形態に係る4ドアセダン形の車両を示す斜視図である。 図2中の矢視XX−XX方向から見た拡大した断面図である。 フロントピラーに板吸音体を設けた実験結果を示す図である。
以下、吸音構造体を備えた車体構造体について説明する。
<第1実施形態>
本発明者達は、車室内にこもる音に着目して、車室内における種々の場所における音圧を測定した。その結果、屋根を支える支柱(以下、ピラーという)の部分で、音圧が比較的大きくなっていることを検知した。そこで、このピラーに吸音構造体を設けることに着目した。
一般に、車室の境界面においては、音波の粒子速度が大きな値をとらないのに対し、音圧は高いところと低いところが生じる(所謂、音圧分布)。そこで、上記構成のように、音圧駆動による吸音機構を有する吸音構造体は、吸音される音響エネルギーが、吸音効率とそこに入射する音響エネルギーの積で決まるため、高音圧の部位に前記音圧駆動の吸音構造を優先的に配置することで、効率的に車室内の音響エネルギーを消散することが可能となる。また、音圧駆動に基づく吸音構造体では、λ/4の背後空気層を構成することなく実現できるため、壁面近傍での吸音を可能とし、低周波数領域における音に対しても大きな背後空気層を必要としないという利点がある。
(1−1)構成
(1−1−1)車両
図1は、本発明の第1実施形態に係る4ドアセダン形の車両100を示す斜視図である。この車両100は車体構造体の基台となるシャーシ110に対してボンネット101、4枚のドア102、トランクドア103が開閉可能に取り付けられる。
図2は、シャーシ110を模式的に示す図である。シャーシ110はベース111と、このベース111から上側に延びる一対のフロントアウタパネル112・センタアウタパネル113・リアアウタパネル120と、アウタパネル112,113,120によって支えられる天井114と、車両100内を車室105とエンジン室106とに分けるエンジン仕切隔壁115と、車室105と荷室107とに分けるトランク仕切隔壁116とを有する。
また、ピラーにはフロントピラー、センタピラー、リアピラーがあり、フロントアウタパネル112とインナパネル(図示せず)によってフロントピラーを構成し、センタアウタパネル113とインナパネル(図示せず)によってセンタピラーを構成し、リアアウタパネル120とリアインナパネル130によってリアピラー140を構成する。そして、このリアピラー140は、天井114とリアガラス117支える中空状の支柱となる。また、リアピラー140の空間には、天井114側の電気装置(例えば、アンテナ等)に接続されるケーブルが挿入される場合もある。
(1−1−2)リアピラー
本実施形態の特徴は、リアピラー140に箱形の板吸音体10を設けたことにある。なお、図3および図4には、板吸音体10は1個しか図示していないが、実際には、図6に示すように、形状の異なった板吸音体10をリアピラー140に設けるようにしてもよい。
図3は、図1中の矢視III−III方向から見た拡大断面図である。
リアピラー140は、シャーシ110の一部をなすリアアウタパネル120と、このリアアウタパネル120に取り付けられるリアインナパネル130とを具備する。
リアアウタパネル120は、平板部121を有する断面が略台形となった角柱状に形成される。平板部121には、リアインナパネル130を取り付けるためのパネル取付孔122と、板吸音体10を取り付けるための吸音体取付孔123が穿設される(図4、参照)。また、リアアウタパネル120の一端にはリアガラス117が、他端にはドアガラス118が、それぞれシール部材(図示せず)を介して固定される。
リアインナパネル130は、例えばポリプロピレン樹脂によって形成され、基台をなす芯材131と、音圧を透過する布材によって形成され、芯材131の表面を覆う表面材139と、を具備する。
芯材131は、平板部132と、この平板部132から外側に広がるように延びる傾斜部133,とを有する。平板部132には、複数個の挿通孔134が穿設され、この各挿通孔134を通して車室105内とリアピラー140内とを連通させる。
次に、リアアウタパネル120に対するリアインナパネル130および板吸音体10の取り付け構造について、図4を参照しつつ説明する。図4は、リアアウタパネル120に対して板吸音体10およびリアインナパネル130を組み立てる前の状態を示した図である。
リアインナパネル130には、リアアウタパネル120のパネル取付孔122に挿通される取付突起135(2個のみ図示)が突出形成される。この取付突起135の先端は、暫時縮径するテーパー面を有する傘状に形成された係止部135Aとなり、この係止部135Aには先端に向けて開く切込部135Bが形成される。
これにより、パネル取付孔122に取付突起135を挿入する際、係止部135Aは、テーパー面がパネル取付孔122の周面に押されて切込部135Bを縮めた状態で挿入される。さらに、係止部135Aがパネル取付孔122を通過してリアアウタパネル120内に抜けた際に切込部135Bが開いて、係止部135Aの端面は、パネル取付孔122の周囲に係止されることで、リアインナパネル130がリアアウタパネル120に対して抜け止めを図った状態で固定される。
(1−1−3)板吸音体
次に、板吸音体10の構造について説明する。
板吸音体10は、開口部12を有する矩形状の筐体11と、開口部12を閉塞する振動板13と、筐体11内に画成される空気層14と、を具備する。筐体11は合成樹脂材料(例えば、ABS樹脂)によって形成され、振動板13は高分子化合物(例えば、無機充填材入りオレフィン系共重合体)によってシート状に形成される。本発明においては、振動板13は、弾性を有する素材を膜状に形成してもよい。
また、板吸音体10の底部には吸音体取付孔123に挿入される先端が傘状の抜止部15Aとなった取付突起15が突出形成される。この取付突起15を吸音体取付孔123に無理嵌めすることにより、取付突起15の抜止部15Aがリアアウタパネル120の平板部121に係止されることにより、板吸音体10はリアアウタパネル120に対して抜け止めされた状態で固定される。
板吸音体10は、後述する条件に設定することで、挿通孔134を通して振動板13に伝わる車室105側の音圧と空気層14側の音圧との差(即ち、振動板13の前後の音圧差)によって振動板13が駆動される。これにより、当該板吸音体10に到達する音波のエネルギーは、この振動板13の振動により消費されて音が吸音されることになる。即ち、板吸音体10は、音圧駆動により励振された振動により吸音効果を発揮する。
(1−1−4)板吸音体の設定条件
ここで、板吸音体10の設定条件について説明する。
一般に、板状または膜状の振動体(振動板)と空気層により音を吸収する吸音構造について、減衰させる周波数は、振動体の質量成分(マス成分)と空気層のバネ成分とによるバネマス系の共振周波数によって設定される。空気の密度をρ0[kg/m]、音速をc
0[m/s]、振動体の密度をρ[kg/m]、振動体の厚さをt[m]、空気層の厚さ
をL[m]とすると、バネマス系の共振周波数は数1の式で表される。
Figure 0005402120
また、板・膜振動型吸音構造において振動体が弾性を有して弾性振動をする場合には、弾性振動による屈曲系の性質が加わる。建築音響の分野においては、振動体の形状が長方形で一辺の長さをa[m]、もう一辺の長さをb[m]、振動体のヤング率をE[Pa]、振動体のポアソン比をσ[−]、p,qを正の整数とすると、以下の数2の式で板・膜振動型吸音構造の共振周波数を求め、求めた共振周波数を音響設計に利用することも行われている(周辺が固定支持の場合)。
Figure 0005402120
一方、上記数2において、バネマス系の項(ρ00 2/ρtL)と屈曲系の項(バネマス系の項の後に直列に加えられている項)とが加算される。このため、上記式で得られる共振周波数は、バネマス系の共振周波数より高いものとなり、吸音のピークとなる周波数を低く設定することが難しい場合がある。
このような吸音体においては、バネマス系による共振周波数と、板の弾性による弾性振動による屈曲系の共振周波数との関連性は十分に解明されておらず、低音域で高い吸音力を発揮する板吸音体の構造が確立されていないのが実情である。
そこで、発明者達は鋭意実験を行った結果、屈曲系の基本振動周波数の値をfa、バネマス系の共振周波数の値をfbとし場合、以下の数3の関係を満足するように、上記パラメータを設定する。これにより、屈曲系の基本振動が背後の空気層のバネ成分と連成して、バネマス系の共振周波数と屈曲系の基本周波数との間の帯域に振幅の大きな振動が励振されて(屈曲系共振周波数fa<吸音ピーク周波数f<バネマス系基本周波数fb)、吸音率が高くなるという事実を検証した。
(数3)
0.05≦fa/fb≦0.65
さらに、以下の数4に設定する場合、吸音ピークの周波数がバネマス系の共振周波数より十分に小さくなる。この場合、低次の弾性振動のモードにより屈曲系の基本周波数がバネマス系の共振周波数より十分に小さく、300[Hz]以下の周波数の音を吸音する吸音構造として適していることも検証した。
(数4)
0.05≦fa/fb≦0.40
このように、上記した数3,4の条件を満足するように各種パラメータを設定することにより、吸音のピークとなる周波数を低くした吸音体が構成できる。
(1−2)第1実施形態の作用・効果
本実施例による板吸音体10においては、車室105内にこもる音が挿通孔134を通して振動板13に伝達され、この振動板13を振動させる。この振動により、車室105内の音波エネルギーが機械エネルギーとして消費されて吸音を行う。例えば、板吸音体10の設定を上記パラメータの数値に設定することにより、ロードノイズのような低周波数の音(車室105内の固有振動に対応した音圧が局所的に高くなる音の周波数(500Hz以下))を効率良く吸音することができる。
そこで、本実施形態においては、特に車室内において音圧の高い位置、即ちリアピラー140に箱形の板吸音体10を設けている。荷室からトランク仕切隔壁116を抜けてリアガラス117で反射されたタイヤ音等の比較的周波数の低いロードノイズは、リアピラー140に設けられた板吸音体10に効率良く吸音される。
ここで、比較的低い周波数とは、車室内の固有振動のうちその振動数が最も低い周波数である基本振動の周波数(通常の車室では約80Hz)と、当該車室が拡散音場とみなせる周波数帯域(通常の車室では約500Hz以上の帯域)との間の周波数帯域であって、当該車室において離散的にモードがあるとみなせる周波数をいう。
そこで、図5にリアピラー140に板吸音体10を設けた実験を行った結果を示す。このグラフは、後部座席における音圧を示した周波数特性であり、実線が吸音構造体なし、点線が吸音構造体有りを示している。
この図5に示すように、周波数160〜315Hzの範囲において、騒音レベルが0.7〜2.4dB低減され、騒音(ロードノイズ等)が集中する低い周波数における音を吸音できる結果が得られた。
この結果、本実施形態における車体構造体においては、リアピラー140に設けられた板吸音体10によって、例えばロードノイズ等を効率良く吸音させることができ、車室105内の静粛感を高めることができる。
また、図6に示すように、形状の異なった種々の板吸音体10を、リアピラー140に配置してもよい。
具体的には、図6に示すように、筐体11の大きさの異なった板吸音体10を配置する。各板吸音体10の筐体11の大きさは以下のようになる。
板吸音体10aの筐体:160mm×160mm×20mm
板吸音体10bの筐体:115mm×105mm×30mm
そして、筐体の寸法によって板吸音体10の共振周波数が異なる。例えば、リアピラー140に、寸法の小さい板吸音体10bと寸法の大きい板吸音体10aを配置する。
これにより、タイヤ音等のロードノイズに応じて適した共振周波数を有する板吸音体10を配置することができ、吸音される周波数の範囲を広げることができ、より確実に吸音を行うことができる。
なお、リアインナパネルの形状は、図7に示すように、平板部132を円弧状にして膨らみを持たせた円弧部132´を有するリアインナパネル130´のように形成してもよい。
また、本実施形態においては、振動板13が車室105に向くように、板吸音体10がリアピラー120に取り付けられている。このため、車室105内の音圧は、振動板13に直接伝わることになり、当該板吸音体10の吸音効率が低減するのを防止することができる。
(1−3)第1実施形態の変形例
本発明は、前述した第1実施形態の構成に限らず、種々の対応が可能である。
(1−3−1)
この変形例による構成は、リアインナパネルに板吸音体10を設ける一例である。具体的には、図8(a)に示すように、リアインナパネル130の芯材131に車室105側に開口する矩形状の凹部136を設け、この凹部136内に板吸音体10を挿入する。凹部136の底部に吸音体取付孔136Aを穿設する。板吸音体10の取付突起15が吸音体取付孔136Aに挿入されることにより、板吸音体10は、凹部136内に固定される。
また、図8(b)は、円弧部132´を有するリアインナパネル130´の場合を図示している。
(1−3−2)
この変形例による構成は、リアインナパネルに板吸音体10を設ける一例であり、リアインナパネル130の一部を板吸音体10とする例である。具体的には、図9(a)に示すように、リアインナパネル130の芯材131に形成した矩形状の凹部136の開口部に直接振動板13を固着し、凹部136と、振動板13と、凹部136および振動板13によって画成される空気層14とによって板吸音体10´を構成する。
また、図9(b)は、円弧部132´を有するリアインナパネル130´の場合を図示している。
(1−3−3)
この変形例による構成は、リアインナパネルに板吸音体10を設ける一例であり、図10(a)に示すように、リアインナパネル130の芯材131に車室105側に開口する矩形状の貫通孔137を穿設し、この貫通孔137を塞ぐように板吸音体10がリアアウタパネル120側から接着剤等で固定される。
また、図10(b)は、円弧部132´を有するリアインナパネル130´の場合を図示している。
一方、芯材131に貫通孔137を穿設する代わりに、第1実施形態と同様に、複数個の挿通孔134を穿設し、車室側の音圧を振動板13に伝わるようにしてもよい。
(1−3−4)
この変形例による構成は、リアインナパネルに板吸音体10を設ける一例であり、図11(a)に示すように、リアインナパネル130の芯材131に段部137Aが形成された矩形状の貫通孔137を穿設し、前記段部137Aに係合する鍔部11Aを板吸音体10の筐体11に形成する。鍔部11Aを段部137Aに係合させることで、板吸音体10が位置決めされる。なお、鍔部11Aと段部137Aとは接着剤等によって固定しても、前述したように、鍔部11Aに取付突起、段部137Aに取付孔を形成して固定してもよい。
また、図11(b)は、円弧部132´を有するリアインナパネル130´の場合を図示している。
(1−3−5)
この変形例による構成は、リアインナパネルに板吸音体10を設ける一例であり、図12(a)に示すように、リアインナパネル130の芯材131に矩形状の貫通孔137を穿設し、この貫通孔137の周囲から取付突起137Bを突出形成し、この取付突起137Bが挿入される取付孔11Bが穿設された鍔部11Aを板吸音体10の筐体11に形成する。リアインナパネル130の取付突起137Bに板吸音体10の取付孔11Bを挿入することで、リアインナパネル130に対して板吸音体10が固定される。
また、図12(b)は、円弧部132´を有するリアインナパネル130´の場合を図示している。
一方、芯材131に貫通孔137を穿設する代わりに、第1実施形態と同様に、複数個の挿通孔134を穿設し、車室側の音圧を振動板13に伝わるようにしてもよい。
(1−3−6)
また、変形例(1−3−1)〜(1−3−5)にあっては、リアインナパネル130に板吸音体10を備える構成となっているため、リアアウタパネル120に板吸音体10を取り付けるための構造を形成する必要がないため、既に走行している車両100であっても、リアインナパネル130を交換することで、上記効果を得ることができる。
(1−3−7)
本発明による構成は、上記実施形態および変形例(1−3−1)〜(1−3−5)に限らず、リアアウタパネル120に板吸音体10が設けられる構造であれば、他の構造であってもよい。
(1−3−8)
また、板吸音体10の構成は、矩形状の筐体11、筐体11の開口部12を閉塞する振動板13と、筐体11内に画成される空気層14と、を具備する構成としたが、本発明による筐体の形状は矩形状に円形状、多角形状であっても、振動板13に対して振動条件を変更するための集中質量を、振動板13の中央部に設けるようにしてもよい。
板吸音体10は、先にも説明した通り、バネマス系と屈曲系で吸音メカニズムが形成されている。ここで、発明者達は、振動板13の面密度を変えた際の共振周波数における吸音率の実験を行った。
図13は、空気層14の縦と横の大きさが100mm×100mmで厚さが10mmの筐体11に振動板13(大きさが100mm×100mm、厚さ0.85mm)を固着し、中央部(大きさが20mm×20mm、厚さ0.85mm)の面密度を変化させた際の板吸音体10の垂直入射吸音率のシミュレーション結果を示した図である。なお、シミュレーション手法は、JIS A 1405−2(音響管による吸音率及びインピーダンスの測定−第2部:伝達関数法)に従って、上記板吸音体10を配置した音響室の音場を有限要素法により求め、その伝達関数より吸音特性を算出した。
具体的には、中央部の面密度を、(1)399.5[g/m2]、(2)799[g/m2]、(3)1199[g/m2]、(4)1598[g/m2]、(5)2297[g/m2]とし、周縁部材の面密度を799[g/m2]とし、振動板13の平均密度を、(1)783[g/m2]、(2)799[g/m2]、(3)815[g/m2]、(4)831[g/m2]、(5)863[g/m2]とした場合のシミュレーション結果である。
シミュレーションの結果を見ると、300〜500[Hz]の間と、700[Hz]付近において吸音率が高くなっている。
700[Hz]付近で吸音率が高くなっているのは、振動板13のマスと空気層14のバネ成分によって形成されるバネマス系の共振によるものである。板吸音体10においては上記バネマス系の共振周波数での吸音率をピークとし音が吸音されており、中央部の面密度大きくしても、振動板13全体のマスは大きく変わらないので、バネマス系の共振周波数も大きく変わらないことが分かる。
また、300〜500[Hz]の間で吸音率が高くなっているのは、振動板13の屈曲振動によって形成される屈曲系の共振によるものである。板吸音体10においては、屈曲系の共振周波数での吸音率が低音域側のピークとして表れており、中央部の面密度を大きくしてゆくと屈曲系の共振周波数だけが低くなっていることが分かる。
一般に、屈曲系の共振周波数は、振動板13の弾性振動を支配する運動方程式で決定され、振動板13の密度(面密度)に反比例する。また、前記共振周波数は、固有振動の腹(振幅が極大値となる場合)の密度により大きく影響される。このため、上記シミュレーションでは、1×1の固有モードの腹となる領域を中央部で異なる面密度に形成したので、屈曲系の共振周波数が変化したものである。
このように、シミュレーション結果は、中央部の面密度を周縁部の面密度より大きくすると、吸音のピークとなる周波数のうち、低音域側の吸音率のピークがさらに低音域側へ移動することを表している。従って、中央部の面密度を変更することにより吸音のピークとなる周波数の一部をさらに低音域側または高音域側に移動(シフト)させることができることを表している。
上述した板吸音体10においては、中央部の面密度を変えるだけで、吸音される音のピークの周波数を変える(シフトさせる)ことができるため、振動板13を板吸音体10全体と同じ素材で板状に形成し、板吸音体10全体の質量を重くして吸音する音を変更する場合と比較して、板吸音体10全体の質量を大きく変えることなく吸音させる音を低くできる。
このように、車室内や荷室内の吸音力の変更(人や荷物の数量、形状の変化等)や発生騒音の変更(タイヤの変更、路面状況の変化等)により車室内の騒音特性の変化に対応できる。
さらに、板吸音体10の空気層14内には、多孔質吸音材(例えば、発泡樹脂、フェルト,ポリエステルウール等の綿状繊維)を充填することにより、吸音率ピーク値を増加させてもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明による第2実施形態について説明する。本実施形態の特徴は、リアピラーに設けられる吸音構造体に管吸音体を用いた点にある。なお、前述した第1実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
(2−1)構成
図14は、第2実施形態に係る4ドアセダン形の車両100を示す斜視図である。この車両100のリアインナパネル130には、管吸音体30が設けられる。
本実施形態に用いられる管吸音体の構造について説明する。
図15は、管吸音体30の構造を示す図である。説明の都合上、パイプ31の開口部33を揃えて描写しているが、実際には、図14に示すように、リアガラスの傾斜に対して平行となるように配置されている。
この管吸音体30は、リアインナパネル130に収容される。管吸音体30は、長さの異なる複数本のパイプ31(31−1〜31−9)を横一列に並べて、相互に連結、或いは別途専用の部材で相互に連結させて一体に構成されている。各パイプ31は、所定の肉厚(例えば、約2mm)および所定の内径(例えば、直径60mm)を有する合成樹脂製等の断面円形の直線状剛性パイプで構成される。各パイプ31の一端部は閉じられて閉塞部32となり、他端部は開かれて開口部33となる。開口部33の位置は各パイプ31で一列に揃えられることにより、開口部33同士が隣接して配置される。本実施形態の場合には、開口部33が天井114に向くようにリアインナパネル130に取り付けられている。
パイプ31−1〜31−9のうち、パイプ31−1〜31−3,31−4〜31−6,31−7〜31−9の3組に分けられ、パイプ31−1,31−4,31−7が0.2m、パイプ31−2,31−5,31−8が0.34m、パイプ31−3,31−6,31−9が0.5mとなる。また、リアインナパネル130は、その大きさが限定されるため、パイプ31−3,31−6,31−9はその先端側が折り曲げられた形状となる。パイプ31−3,31−6,31−9のように、先端側を折り曲げることにより、パイプ31における空洞の長さを確保している。
そして、管吸音体30を備えたリアインナパネル130をリアアウタパネル120に取り付けることにより、管吸音体30のパイプ31−1〜31−9の開口部がリアガラス側に開口するようになる。
各パイプ31内の長さは、パイプ31の空洞単体で吸収される音波の中心の周波数の1/4の波長に相当する。
ここでは、空洞の長さL(=パイプの長さ)が0.5m、0.34m、0.2mの3種類のパイプが用いられており、これらはそれぞれ170Hz,250Hz,425Hz(つまり1/3オクターブバンドピッチ)を中心に吸音する(音速=340m/s)。
各パイプ31の開口部33のネック部分(開口部33またはその近傍)は、グラスウール、クロス、ガーゼ等の通気性を有する流れ抵抗材(流れ抵抗を有する材料)34で塞がれている。
(2−2)管吸音体の動作原理
次に、管吸音体30による吸音原理について説明する。
図16は、図15に示す管吸音体30のうち隣接する2本のパイプ31−j,31−kを示したものである。各パイプ31−j,31−kの空洞の長さをL1,L2とする。車室105内の音波は、開口部33−j,33−kから空洞内に入射され、他端の閉塞部32−j,32−kで反射されて、開口部33−j,33−kから再び室内に放出される。このとき、空洞の長さL1,L2の4倍に相当する波長λ1,λ2(L1=λ1/4,L2=λ2/4)の音波が定在波S1,S2を作り、振動を繰り返すうちに空洞の内壁面での摩擦や開口部33−j,33−kでの空気粒子間の粘性作用により、エネルギーを消費し、この波長λ1,λ2を中心に吸音が行なわれる。例えば、L1=1.35m、L2=0.53mとすると、λ1=5.4m、λ2=2.12mとなり、それぞれで吸音される音波の中心の周波数f1,f2は、f1=63Hz、f2=160Hzとなる。
一方、閉塞部32−j,32−kで反射されて、開口部33−j,33−kから放出される音波は、開口部33−j,33−kで回折してエネルギーを放射する。そのエネルギーの一部は相互に隣接する他方のパイプ31−k,31−jの開口部33−k,33−jから空洞内に入射される。このようにして、隣接するパイプ31−j,31−k相互間で連成振動を生じ、エネルギーの授受が行なわれる。この連成振動の際に、空洞の内壁面での摩擦や開口部33−j,33−kでの空気粒子間の粘性作用により、エネルギーを消費し、吸音が行なわれる。この連成振動は、パイプ31−j,31−kを一連のパイプとみなした両端閉管モードとして捉えることができ、L1+L2=λ3/2として定まる波長λ3を中心に吸音が行なわれる。例えばL1=1.35m、L2=0.53mの場合には、λ3=3.76mとなり、連成振動で吸音される音波の中心の周波数f3はf3=90Hzとなる。図17の配列の場合、隣接するパイプ間での連成振動の周波数は次のようになる。
L1(m) L2(m) 連成振動周波数(Hz)
0.5 0.34 202
0.5 0.2 243
0.34 0.2 314
これによれば、パイプ31−1〜31−9単体での吸音(200,250,315Hzが中心)とあわせて約100〜160Hzの範囲で平均的に吸音力が得られることになる。
(2−3)第2実施形態の作用・効果
このように、リアインナパネル130に管吸音体30を設けることにより、荷室107からトランク仕切隔壁116を抜けてリアガラス117で反射されたタイヤ音等の比較的周波数の低いロードノイズは、リアピラー140に設けられた管吸音体30により効率良く吸音される。この結果、車室105内の静粛感を高めることができる。
なお、管吸音体30は、図14に限らず、図17(a)(b)に示すように、リアインナパネル130に配置するようにしてもよい。図17(a)に示す管吸音体30Aは、パイプ31の開口部33がトランク仕切隔壁116に向くようにリアインナパネル130に配置されたものである。パイプ31における空洞の長さを確保するために先端側を折り曲げている。
一方、図17(b)に示す管吸音体30Bは、パイプ31の両端を開口部とし、一側の各開口部がリアガラスの傾斜に対して平行になり、他方の各開口部がトランク仕切隔壁116と平行となるようにリアインナパネル130に配置される。
このように、配置することにより、リアピラー140において、音圧が比較的高い部分となる、リアガラス側、或いはトランク仕切隔壁116側に開口部を向かせ、効率よく吸音動作を行わせる。
また、管吸音体30のリアピラー140への取付構成は、前述した第2実施形態の構成に限らず、種々の対応が可能である。例えば、予めリアアウタパネル120にパイプ31を形成しておいて、パイプ31の開口部33のみが車室105側に開口するようにしたり、予めリアインナパネル130の芯材131にパイプ31を形成しておいて、パイプ31の開口部33のみが車室105側に開口するようにしたり、リアインナパネル130の芯材131とリアアウタパネル120との間にパイプ31を配置したり等、種々の組み付け構造がある。
さらに、管吸音体30の構成は、第2実施形態の構成に限らず、長さの異なったパイプを平行にリアアウタパネル120に設けるだけでもよく、この場合であっても、パイプの振動によってある程度の吸音効果が得られる。また、単一周波数への対応であれば、単一の長さのパイプを利用するだけでもよい。さらに、管吸音体30はいわゆる閉管ではなく、各パイプ31の両端部が開かれた開口部33,33とした管(いわゆる開管)で構成してもよいし、これら閉管と開管とを混合して配置してもよい。
<第3実施形態>
次に、本発明による第3実施形態について説明する。本実施形態の特徴は、リアピラーに設けられる吸音構造体にヘルムホルツ吸音体を用いた点にある。なお、前述した第1実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図18は、リアインナパネル130の芯材131にヘルムホルツ吸音体40を設けた第3実施形態を示した図である。
本実施形態に用いられるヘルムホルツ吸音体40は、内部に空間が形成された直方体状の筐体41と、この筐体41の上部側に穿設された挿入孔42に挿入された管状部材43と、を有している。筐体41の内側には密閉空間44が画成され、管状部材43の内側には密閉空間44と車室105とを連通する開口45が形成されている。管状部材43は、芯材131に穿設された挿通孔131Aにも挿入されている。
筐体41は、例えばFRP(繊維強化プラスチック)によって直方体状に形成されている。管状部材43は、例えば塩化ビニール製のパイプを使用でき、空気との摩擦が生じやすいように、内面を粗くしておく。このヘルムホルツ吸音体40は、寸法の小さい空洞である密閉空間44の中の空気がバネとして働くことにより、車室105内に発生した音を減衰するように作用する。
このとき、密閉空間44に設けられた小さな開口45が車室105に通じているため、開口45内の空気の塊をマスとして1質点系バネ・マスモデルが形成される。そして、この系の共振周波数においては、開口45内の空気の塊が車室105の音圧によって振動し、開口45の周壁と空気の塊との摩擦によって、音のエネルギーが熱エネルギーに変換される。つまり、音が減衰される。
いま、開口45の長さをL、開口45の横断面積をS、密閉空間44の容積をV、音速をC、開口45の有効長さをLe(Le≒L+0.8・S1/2)とすると、ヘルムホルツ吸音体40の共鳴周波数f0は、f0=1/2π(C2 S/Le・V)1/2となる。
この式から、開口45の横断面積S又は有効長さLe、即ち、管状部材43の内径d又は長さLを変えることによって、共鳴周波数f0を調整でき、これにより、周波数の異なる音を減音できることが分かる。
このように、リアピラー140にヘルムホルツ吸音体40を設けることにより、荷室からトランク仕切隔壁116を抜けてリアガラス117で反射されたタイヤ音等の比較的周波数の低いロードノイズは、ヘルムホルツ吸音体40によって効率良く吸音される。
なお、ヘルムホルツ吸音体40のリアピラー140への取付構成は、前述した第3実施形態の構成に限らず、種々の対応が可能である。例えば、筐体41をリアアウタパネル120に設けたり、筐体41をリアインナパネル130の芯材131或いはリアアウタパネル120に一体形成しておいたり、種々の組み付け構造がある。
また、ヘルムホルツ吸音体40の筐体41の形状は、直方体に限らず、円柱状等、他の形状であってもよい。
<第4実施形態>
次に、本発明による第4実施形態について説明する。本実施形態の特徴は、リアピラーに設けられる吸音構造体に板吸音体および管吸音体を用いた点にある。なお、前述した第1実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図19は、第4実施形態に係る4ドアセダン形の車両100を示す斜視図である。この車両100のリアインナパネル130には、板吸音体10および管吸音体30´が設けられる。
このように、リアインナパネル130に板吸音体10および管吸音体30´を設けることにより、第1実施形態および第2実施形態で述べたように、板吸音体10および管吸音体30´によって、例えばロードノイズ等を効率良く吸音させることができ、車室105内の静粛感を高めることができる。
しかも、2種類の吸音体10,30´を用いることにより、吸音効率を前記各実施形態よりも高めることができる。
なお、吸音体の組み合わせは、この第4実施形態に限らず、板吸音体10、管吸音体30およびヘルムホルツ吸音体40、管吸音体30およびヘルムホルツ吸音体40との組み合わせであってもよい。
<変形例>
以上、本発明による実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の様々な形態で実施可能である。
本各実施形態においては、4ドアのセダンタイプを例示したが、本発明はこれに限らず、屋根およびリアガラスを支える中空状の支柱(リアピラー)を有する車両であれば、適用が可能である。
さらに、板吸音体10は、リアインナパネル130全体に配置される場合であっても、音圧の高い位置に配置されるようにしてもよい。また、管吸音体30の開口部33においても、音圧の高い位置に配置されるようにすればよい。
前記各実施形態では、リアインナパネル130をリアアウタパネル120に取り付ける構成を、取付突起135をパネル取付孔122に挿入することによって行ったが、本発明はこれに限らず、各部位を接着剤等、他の固定方法で固定するようにしてもよい。
前記各実施形態では、図2に示すように、吸音構造体をリアアウタパネル120(a部)の部分に構成されるリアピラーに設けた場合について例示したが、本発明はこれに限らず、フロントアウタパネル112(b部)の部分に構成されるフロントピラー、センタアウタパネル113(c部)の部分に構成されるセンタピラーに設けるようにしてもよいことは、勿論である。
ここで、図2のb部におけるフロントピラーに箱型の板吸音体10を設けた例を説明する。図20は、図2中の矢視XX−XX方向から見た拡大断面図である。
フロントピラー150は、シャーシ110の一部をなすフロントアウタパネル112と、このフロントアウタパネル112に取り付けられるフロントインナパネル160とを具備する。
フロントアウタパネル112は、前述したリアアウタパネル120と同様に断面が略台形となった角柱状に形成される。フロントインナパネル160は、前述したリアインナパネル130と同様に、基台をなす芯材161と、音圧を透過する布材によって形成され、芯材161の表面を覆う表面材169と、を具備する。また、フロントアウタパネル112の一端にはフロントガラス119が、他端にはドアガラス118が、それぞれシール部材(図示せず)を介して固定される。なお、フロントアウタパネル112およびフロントインナパネル160の構造は、リアピラー140とほぼ同様となるので、その説明は省略する。
図20に示すように、フロントアウタパネル112のパネル取付孔112Aにフロントインナパネル160の取付突起165を無理嵌めすることで、フロントインナパネル160がフロントアウタパネル112に対して抜け止めを図った状態で固定される。また、板吸音体10は、取付突起15をフロントアウタパネル112の吸音体取付孔112Bに無理嵌めすることにより、板吸音体10はフロントアウタパネル112に対して抜け止めされた状態で固定される。
ここで、図21にフロントピラー150に板吸音体10を設けた実験を行った結果を示す。このグラフは、後部座席における音圧を示した周波数特性であり、実線が吸音構造体なし、点線が吸音構造体有りを示している。
この図20に示すように、周波数300〜400Hzの範囲において、騒音レベルが0.4dB低減され、騒音(ロードノイズ等)が集中する低い周波数における音を吸音できる結果が得られた。このように、フロントピラー150に設けられた板吸音体10によって、例えばロードノイズ等を効率良く吸音させることができ、車室105内の静粛感を高めることができるという結果を得た。
この例では、フロントピラー150に板吸音体10を設けた場合を例示したが、図2のc部となるセンタピラーに板吸音体10を設けても同様の作用・効果を得ることができる。また、フロントピラー(b部)・センタピラー(c部)に吸音構造体を設ける例は、前記各実施形態等で延べた構造等であってもよいことは勿論である。
10,10a,10b,10´・・・板吸音体、11,41・・・筐体、12・・・開口部、13・・・振動板、14・・・空気層、30,30A,30B,30´・・・管吸音体、31−1〜31−9・・・パイプ、32・・・閉塞部、33・・・開口部、34・・・抵抗材、40・・・ヘルムホルツ吸音体、43・・・管状部材、44・・・密閉空間、110・・・シャーシ、112・・・フロントアウタパネル、120・・・リアアウタパネル、130・・・リアインナパネル、131・・・芯材、139・・・表面材、140・・・リアピラー(支柱)、150・・・フロントピラー、160・・・フロントインナパネル。

Claims (7)

  1. 車両の屋根を支える中空状の支柱と、
    前記支柱に該支柱とは別の部材で設けられ、音圧駆動によって吸音を行う板吸音体と、
    前記板吸音体と前記支柱とを接合する接合手段と、
    を具備する車体構造体において、
    前記板吸音体は、開口部を有する筐体と、該開口部で該筐体に支持される振動板と、該筐体内に画成される空気層とを有する
    ことを特徴とする車体構造体。
  2. 請求項1記載の車体構造体において、
    前記接合手段は、前記筐体と前記支柱のいずれか一方に設けられた吸音体取付突起と他方に設けられた吸音体取付孔とからなり、前記吸音体取付孔に前記吸音体取付突起が挿入されることにより前記板吸音体と前記支柱とを接合する
    ことを特徴とする車体構造体。
  3. 請求項記載の車体構造体において、
    前記支柱は、当該車体構造体の基台となるシャーシの一部をなすアウタパネルと、該アウタパネルを車室側から覆うインナパネルとを有し、
    前記接合手段は、前記インナパネルに設けられた段部と、前記筐体に設けられた鍔部とからなり、前記鍔部が前記段部に係合することにより前記板吸音体と前記支柱とを接合する
    ことを特徴とする車体構造体。
  4. 車両の屋根を支える中空状の支柱と、
    前記支柱に設けられ、音圧駆動によって吸音を行う板吸音体と、
    を具備する車体構造体において、
    前記板吸音体は、開口部を有する筐体と、該開口部で該筐体に支持される振動板と、該筐体内に画成される空気層とを有し、
    前記板吸音体の屈曲系の基本周波数の値をfa、前記板吸音体のバネマス系の共振周波数の値をfbとしたとき、faとfbの比が0.05≦fa/fb≦0.65の関係を満足する
    ことを特徴とする車体構造体。
  5. 請求項1、2、4のいずれかに記載の車体構造体において、
    前記支柱は、当該車体構造体の基台となるシャーシの一部をなすアウタパネルと、該アウタパネルを車室側から覆うインナパネルとを有する
    ことを特徴とする車体構造体。
  6. 請求項3または5に記載の車体構造体において、
    前記インナパネルは、パネル取付突起を有し、
    前記アウタパネルは、前記パネル取付突起が挿入されるパネル取付孔を有する
    ことを特徴とする車体構造体。
  7. 請求項3、5、6のいずれかに記載の車体構造体において、
    前記インナパネルは、音圧透過部を有する
    ことを特徴とする車体構造体。
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