JP5286856B2 - 車体構造体、車両用ルーフおよびルーフインナパネル - Google Patents

車体構造体、車両用ルーフおよびルーフインナパネル Download PDF

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本発明は、例えば、ロードノイズ等の比較的低い周波数のロードノイズを吸音することが可能な車体構造体に関する。
従来、車両の屋根にて吸音する構造として、空気の粒子速度を減衰させずに反射させるための反射板と、粒子速度を高速状態で通過させる吸音材とを、ルーフパネルに交互に配置するルーフ構造(特許文献1)がある。
特開2005−247267号公報
ところで、前述したルーフ構造では、吸音材に、フェルト等の天然繊維・ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成繊維が使用されており、空気粒子が繊維を通過することで吸音を行うものである。このルーフ構造では、粒子速度駆動に基づく吸音機構を利用しているため、低周波数領域における音に対しては、大きな背後空気層が必要であり、エンジン音、走行中の風切り音、タイヤや路面からひろうロードノイズ等のように、比較的低い周波数領域における音に対しては減衰することができなかった。
また、インナパネルとアウタパネルの間に挿入されるグラスウール、フェルト等の多孔質吸音材は、音響粒子速度が最大となる位置に、その速度が最大となる方向と垂直に配設されたときに、吸音効率が最大になる。このため、室境界(壁面)から、対象周波数のλ/4程度の空間を背後に有する必要があり、低音域を吸音するためには、大きな空気層(例えば315Hzで27cm)が必要となり、現実的に車室内に設置することが出来なかった。換言すれば、背後空気層が少ない多孔質吸音構造では、低周波数を吸音することは出来ず、低周波の音響エネルギーを消散することは出来なかった。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低周波領域における音を効率良く吸音する吸音構造体を有する車体構造体、車両用支柱およびインナパネルを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明が採用する車体構造体は、車両の支柱に支えられたルーフと、前記ルーフに設けられ、音圧駆動によって吸音を行う吸音構造体と、を具備することを特徴とする。
上記構成において、前記吸音構造体の音圧駆動によって駆動される部位は、前記車室における音圧が高い部分に配置されることが望ましい。例えば、セダン型車両の場合、音圧が高い部分は、車両の屋根となることが多い。また、音圧駆動に基づく吸音機構では、壁面近傍で吸音できるため、低周波数領域に音に対しても大きな背後空気層を必要としない。さらに、車室の境界面で、音響粒子速度が大きな値をとらないのに対し、音圧は高いところと低いところが生じる(音圧分布)。音圧駆動による吸音機構の場合、吸音される音響エネルギーは、吸音効率とそこに入射する音響エネルギーの積で決まるため、高音圧の部位に前記音圧駆動の吸音構造を優先的に配置することで、効率的に車室内の音響エネルギーを消散することができる。
上記構成において、前記吸音構造体の音圧駆動によって駆動される部位は、前記ルーフの音圧が高い部分に位置するように配置されることが望ましい。
上記構成において、前記吸音構造体は、振動板と、該振動板の背後に画成される空気層と、を有する板吸音体であることが望ましい。
上記構成において、前記吸音構造体は、一端が閉塞した閉塞部となり他端が開口した開口部となる空洞を有する管吸音体であることが望ましい。
上記構成において、前記空洞は、複数形成されることが望ましい。
上記構成において、前記空洞は、長さが異なって複数形成されることが望ましい。
上記構成において、前記吸音構造体は、閉空間と、この閉空間と前記車室の空間とを連通する管状部材と、を有するヘルムホルツ吸音体であることが望ましい。
上記構成において、前記吸音構造体は、振動板と、該振動板の背後に画成される空気層と、を有する板吸音体、一端が閉塞した閉塞部となり他端が開口した開口部となる空洞を有する管吸音体、閉空間と、この閉空間と外部とを連通する管状部材と、を有するヘルムホルツ吸音体、いずれかの吸音体の組み合わせによって構成されることが望ましい。
上記構成において、前記ルーフの基台となるシャーシは、前記吸音構造体の一部を構成することが望ましい。
上記構成において、前記吸音構造体は、前記ルーフの基台となるシャーシに取り付けられることが望ましい。
上記構成において、前記ルーフは、当該車体構造体の基台となるシャーシの一部をなすルーフアウタパネルと、該ルーフアウタパネルを車室側から覆うルーフインナパネルとを有し、前記吸音構造体は、前記ルーフアウタパネルと前記ルーフインナパネルとの間に配置されることが望ましい。
上記構成において、前記ルーフは、当該車体構造体の基台となるシャーシの一部をなすルーフアウタパネルと、該ルーフアウタパネルを車室側から覆い、芯材とこの芯材の表面を覆う表面材とを有するルーフインナパネルと、を備え、前記芯材が前記吸音構造体の一部を構成することが望ましい。
上記構成において、前記ルーフは、当該車体構造体の基台となるシャーシの一部をなすルーフアウタパネルと、該ルーフアウタパネルを車室側から覆い、芯材とこの芯材の表面を覆う表面材とを有するルーフインナパネルと、を備え、前記吸音構造体は、前記芯材に取り付けられることが望ましい。
上記構成において、前記ルーフインナパネルは、音圧透過部を有することが望ましい。
上述した課題を解決するために、本発明が採用する車両用ルーフは、車両の支柱によって支えられるルーフであって、当該ルーフの基台となす芯材と、前記芯材に設けられ、音圧駆動によって吸音を行う吸音構造体と、を具備することを特徴とする。
上述した課題を解決するために、本発明が採用するルーフインナパネルは、車両の支柱によって支えられるルーフの一部を構成するルーフインナパネルであって、当該ルーフインナパネルの外形をなす芯材と、前記芯材に設けられ、吸音を行う吸音構造体と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、吸音構造体が、音波を振動に変換して、音波エネルギーを機械エネルギーとして消費して吸音を行う。例えば、吸音構造体が吸音する周波数を低い値に設定した場合には、例えばロードノイズのような低周波数の音を効率良く吸音することができる。
以下、吸音構造体を備えた車体構造体について説明する。
<第1実施形態>
本発明者達は、車室内にこもる音に着目して、車室内における種々の場所における音圧を測定した。その結果、ルーフ(屋根)の部分で、音圧が比較的大きくなっていることを検知した。そこで、このルーフに吸音構造体を設けることに着目した。
一般に、車室の境界面においては、音波の粒子速度が大きな値をとらないのに対し、音圧は高いところと低いところが生じる(所謂、音圧分布)。そこで、上記構成のように、音圧駆動による吸音機構を有する吸音構造体は、吸音される音響エネルギーが、吸音効率とそこに入射する音響エネルギーの積で決まるため、高音圧の部位に前記音圧駆動の吸音構造を優先的に配置することで、効率的に車室内の音響エネルギーを消散することが可能となる。また、音圧駆動に基づく吸音構造体では、λ/4の背後空気層を構成することなく実現できるため、壁面近傍での吸音を可能とし、低周波数領域における音に対しても大きな背後空気層を必要としないという利点がある。
(1−1)構成
(1−1−1)車両
図1は、本発明の第1実施形態に係る4ドアセダン形の車両100を示す斜視図である。この車両100は車体構造体の基台となるシャーシ110に対してボンネット101、4枚のドア102、トランクドア103が開閉可能に取り付けられる。
図2は、シャーシ110を模式的に示す図である。シャーシ110はベース111と、このベース111から上側に延びる一対のフロントアウタパネル112・センタアウタパネル113・リアアウタパネル114と、アウタパネル112,113,114によって支えられるルーフアウタパネル120と、車両100内を車室105とエンジン室106とに分けるエンジン仕切隔壁115と、車室105と荷室107とに分けるトランク仕切隔壁116とを有する。
また、ルーフアウタパネル120とルーフインナパネル130によってルーフ140を構成する。
(1−1−2)ルーフ
本実施形態の特徴は、箱形の板吸音体10を前席(運転席・助手席)上のルーフ140に設けたことにある。なお、図3には、板吸音体10を1個しか図示していないが、実際には、図1に示すように、形状の異なった4個の板吸音体10をルーフ140に設けるようにしている。
図3は、図2中のa部を拡大した断面図である。
ルーフ140は、シャーシ110の一部をなすルーフアウタパネル120と、このルーフアウタパネル120にクリップ止め等によって取り付けられるルーフインナパネル130とを具備する。
ルーフアウタパネル120は、ルーフ140の外形をなす隔壁部121と、この隔壁部121を強化するため、車幅方向に延びる略「コ」字状の梁部122とを有する。また、隔壁部121の外周側には、ルーフインナパネル130を取り付けるためのパネル取付孔(図示せず)が複数個穿設され、梁部122には、板吸音体10を取り付けるための吸音体取付孔123が穿設される(図3、参照)。
ルーフインナパネル130は、例えば木質繊維板によって形成され、基台をなす芯材131と、音圧を透過する布材によって形成され、芯材131の表面を覆う表面材138と、を具備する。
芯材131には、前席(運転席・助手席)の位置に矩形状の挿通孔132Aが穿設され、表面材138のうちこの挿通孔132Aに対向する部分が音圧透過部139Aとなり、この音圧透過部139Aを介して板吸音体10を車室105内に開放させる。なお、本実施形態では、音圧透過部139Aは、ルーフ140前面において音圧が高くなる位置となる。
(1−1−3)板吸音体
次に、板吸音体10の構造について説明する。
板吸音体10は、開口部12を有する矩形状の筐体11と、開口部12を閉塞する振動板13と、筐体11内に画成される空気層14と、を具備する。筐体11は合成樹脂材料(例えば、ABS樹脂)によって形成され、振動板13は高分子化合物(例えば、無機充填材を含むポリオレフィン系シート)によって形成される。本発明においては、振動板13は、弾性を有する素材を膜状に形成してもよい。
また、板吸音体10の底部には吸音体取付孔123に挿入される先端が傘状の抜止部15Aとなった取付突起15が突出形成される。この取付突起15を吸音体取付孔123に無理嵌めすることにより、取付突起15の抜止部15Aがルーフアウタパネル120の梁部122に係止されることにより、板吸音体10はルーフアウタパネル120に対して抜け止めされた状態で固定される。
板吸音体10は、後述する条件に設定することで、音圧透過部139Aを通して振動板13に伝わる車室105側の音圧と空気層14側の音圧との差(即ち、振動板13の前後の音圧差)によって振動板13が駆動される。これにより、当該板吸音体10に到達する音波のエネルギーは、この振動板13の振動により消費されて音が吸音されることになる。即ち、板吸音体10は、音圧駆動により励振された振動により吸音効果を発揮する。
(1−1−4)板吸音体の設定条件
ここで、板吸音体10の設定条件について説明する。
一般に、板状または膜状の振動体と空気層により音を吸収する吸音構造について、減衰させる周波数は、振動体の質量成分(マス成分)と空気層のバネ成分とによるバネマス系の共振周波数によって設定される。空気の密度をρ[kg/m3]、音速をc[m/s]、振動体の密度をρ[kg/m3]、振動体の厚さをt[m]、空気層の厚さをL[m]とすると、バネマス系の共振周波数は数1の式で表される。
Figure 0005286856
また、板・膜振動型吸音構造において振動体が弾性を有して弾性振動をする場合には、弾性振動による屈曲系の性質が加わる。建築音響の分野においては、振動体の形状が長方形で一辺の長さをa[m]、もう一辺の長さをb[m]、振動体のヤング率をE[Pa]、振動体のポアソン比をσ[−]、p,qを正の整数とすると、以下の数2の式で板・膜振動型吸音構造の共振周波数を求め、求めた共振周波数を音響設計に利用することも行われている(周辺が固定支持の場合)。
Figure 0005286856
そして、本実施形態においては、上記数式から160〜315Hzバンド(1/3オクターブ中心周波数)を吸音するよう、以下のようにパラメータが設定される。

空気の密度ρ ;1.225[kg/m3]
音速c ;340[m/s]
振動体の密度ρ ;1440[kg/m3]
振動体の厚さt ;0.00085[m]
空気層の厚さをL ;0.03[m]
筐体の長さa ;0.3[m]
筐体の長さb ;0.3[m]
振動体のヤング率E ;0.4[GPa]
ポアソン比をσ ;0.4
モード次数 ;p=q=1
一方、上記数2において、バネマス系の項(ρ /ρtL)と屈曲系の項(バネマス系の項の後に直列に加えられている項)とが加算される。このため、上記式で得られる共振周波数は、バネマス系の共振周波数より高いものとなり、吸音のピークとなる周波数を低く設定することが難しい場合がある。
このような吸音体においては、バネマス系による共振周波数と、板の弾性による弾性振動による屈曲系の共振周波数との関連性は十分に解明されておらず、低音域で高い吸音力を発揮する板吸音体の構造が確立されていないのが実情である。
そこで、発明者達は鋭意実験を行った結果、屈曲系の基本振動周波数の値をfa、バネマス系の共振周波数の値をfbとし場合、以下の数3の関係を満足するように、上記パラメータを設定する。これにより、屈曲系の基本振動が背後の空気層のバネ成分と連成して、バネマス系の共振周波数と屈曲系の基本周波数との間の帯域に振幅の大きな振動が励振されて(屈曲系共振周波数fa<吸音ピーク周波数f<バネマス系基本周波数fb)、吸音率が高くなるという事実を検証した。
Figure 0005286856
さらに、以下の数4に設定する場合、吸音ピークの周波数がバネマス系の共振周波数より十分に小さくなる。この場合、低次の弾性振動のモードにより屈曲系の基本周波数がバネマス系の共振周波数より十分に小さく、300[Hz]以下の周波数の音を吸音する吸音構造として適していることも検証した。
Figure 0005286856
このように、上記した数3,4の条件を満足するように各種パラメータを設定することにより、吸音のピークとなる周波数を低くした吸音体が構成できる。
(1−2)第1実施形態の作用・効果
本実施例による板吸音体10においては、車室105内にこもる音が音圧透過部139Aを通して振動板13に伝達され、この振動板13を振動させる。この振動により、車室105内の音波エネルギーが機械エネルギーとして消費されて吸音を行う。例えば、板吸音体10の設定を上記パラメータの数値に設定することにより、ロードノイズのような低周波数の音(車室105内の固有振動に対応した音圧が局所的に高くなる音の周波数(500Hz以下))を効率良く吸音することができる。
そこで、本実施形態においては、特に車室105内において音圧の高い位置、即ちルーフ140に箱形の板吸音体10を設けている。荷室からトランク仕切隔壁116を抜けて車室105内に伝わった比較的周波数の低いロードノイズは、ルーフ140に設けられた板吸音体10に効率良く吸音される。
ここで、比較的低い周波数とは、車室内の固有振動のうちその振動数が最も低い周波数である基本振動の周波数(通常の車室では約80Hz)と、当該車室が拡散音場とみなせる周波数帯域(通常の車室では約500Hz以上の帯域)との間の周波数帯域であって、当該車室において離散的にモードがあるとみなせる周波数をいう。
そこで、図4に前席(運転席・助手席)上のルーフ140に板吸音体10を設けた実験を行った結果を示す。このグラフは、前部座席における音圧を示した周波数特性であり、実線が吸音構造体なし、点線が吸音構造体有りを示している。
具体的には、板吸音体10は、図1に示すように、その筐体11の大きさの異なった板吸音体10を配置する。各板吸音体10の筐体11の大きさは以下のようになる。
板吸音体10aの筐体:300mm×200mm×30mm
板吸音体10bの筐体:200mm×200mm×30mm
この図4に示すように、周波数160〜315Hzの範囲において、騒音レベルが0.3〜1.0dB低減され、騒音(ロードノイズ等)が集中する低い周波数における音を吸音できる結果が得られた。
この結果、本実施形態における車体構造体においては、ルーフ140に設けられた板吸音体10によって、例えばロードノイズ等を効率良く吸音させることができ、車室105内の静粛感を高めることができる。
また、筐体11の寸法によって板吸音体10の共振周波数が異なるため、例えば、ルーフ140に、寸法の小さい板吸音体10bと寸法の大きい板吸音体10aを配置する。
これにより、タイヤ音等のロードノイズに適した共振周波数を有する板吸音体10を配置することができ、吸音される周波数の範囲を広げることができ、より確実に吸音を行うことができる。
一方、箱形の板吸音体10を後部座席上のルーフ140に設けた場合について、図5および図6を参照しつつ説明する。
ルーフインナパネル130の芯材131には、後部座席の位置に矩形状の挿通孔132Bが穿設され、表面材138のうちこの挿通孔132Bに対向する部分が音圧透過部139Bとなり、この音圧透過部139Bを介して板吸音体10を車室105内に開放させる。
ここで、板吸音体10を後部座席上のルーフ140に設けた実験を行った。
その実験結果は図6のようになり、このグラフは、後部右席における音圧を示した周波数特性であり、実線が吸音構造体なし、点線が吸音構造体有りを示している。
この図6に示すように、図4と同様に、周波数160〜315Hzの範囲において、騒音レベルが0.8〜1.0dB低減され、騒音(ロードノイズ等)が集中する低い周波数における音を吸音できる結果が得られた。
(1−3)第1実施形態の変形例
本発明は、前述した第1実施形態の構成に限らず、種々の対応が可能である。以下の変形例では、板吸音体10の取付構造について説明している。また、以下の変形例では、板吸音体10のルーフ140への取付位置は、前席,後部座席のいずれでもよいため、前席の挿通孔132Aおよび音圧透過部139A、後部座席の挿通孔132Bおよび音圧透過部139Bと区別せずに、挿通孔132および音圧透過部139を用いる。
(1−3−1)
この変形例による構成は、図7に示すように、矩形状の挿通孔132に代えて、複数個の小径な連通孔133,133,…を、ルーフインナパネル130の芯材131に穿設したものである。そして、表面材138のうちこの各連通孔133に対向する部分が音圧透過部139となる。
(1−3−2)
以下の変形例は、ルーフインナパネル130に板吸音体10を設けた例を示す。このため、ルーフインナパネル130のみ図示する。
この変形例による構成は、ルーフインナパネル130に板吸音体10を設ける一例である。具体的には、図8に示すように、ルーフインナパネル130の芯材131に車室105側に開口する矩形状の凹部134を設け、この凹部134内に板吸音体10を挿入する。凹部134の底部に吸音体取付孔135を穿設する。板吸音体10の取付突起15が吸音体取付孔135に挿入されることにより、板吸音体10は、凹部134内に固定される。
(1−3−3)
この変形例による構成は、ルーフインナパネル130に板吸音体10を設ける一例であり、ルーフインナパネル130の一部を板吸音体10とする例である。具体的には、図9に示すように、ルーフインナパネル130の芯材131に形成した矩形状の凹部134の開口部134Aに直接振動板13を固着し、凹部134と、振動板13と、凹部134および振動板13によって画成される空気層14とによって板吸音体10Aを構成する。
(1−3−4)
この変形例による構成は、ルーフインナパネル130に板吸音体10を設ける一例であり、図10に示すように、ルーフインナパネル130の芯材131に車室105側に開口する矩形状の貫通孔136を穿設し、この貫通孔136を塞ぐように板吸音体10がルーフアウタパネル120側から接着剤等で固定される。
(1−3−5)
この変形例による構成は、ルーフインナパネル130に板吸音体10を設ける一例であり、図11に示すように、ルーフインナパネル130の芯材131に矩形状の貫通孔136を穿設し、前記段部136Aに係合する鍔部11Aを板吸音体10の筐体11に形成する。鍔部11Aに取付孔11B、芯材131に取付突起136Aを形成し、取付孔11Bに取付突起136Aを挿入することにより、板吸音体10をルーフインナパネル130に固定する。
なお、鍔部11Aに取付突起を形成し、段部136Aに取付孔を穿設して、各部位を係合させることで固定しても、鍔部11Aと段部137Aとを接着剤等によって固定してもよい。
(1−3−6)
この変形例による構成は、ルーフアウタパネル120に板吸音体10を設ける一例であり、ルーフアウタパネル120の一部を板吸音体10とする例である。具体的には、図12に示すように、ルーフアウタパネル120に形成した矩形状の凹部124の開口部124Aに直接振動板13を固着し、筐体となる凹部124と、振動板13と、凹部124および振動板13によって画成される空気層14とによって板吸音体10Bを構成する。
一方、ルーフインナパネル130の芯材131には、車室105側に開口する矩形状の貫通孔136が穿設され、この貫通孔136の周囲には板吸音体10に向けて延びる角柱状の筒部136Aが形成される。この貫通孔136および筒部136Aは、車室105内の音圧を板吸音体10Bに導く。
(1−3−7)
この変形例による構成は、ルーフアウタパネル120の一部を板吸音体10とする例である。具体的には、図13に示すように、ルーフ140の隔壁部121に形成された梁部122に矩形状の凹部125を形成し、この凹部125の開口部125Aに直接振動板13を固着し、筐体となる凹部125と、振動板13と、凹部125および振動板13によって画成される空気層14とによって板吸音体10Cを構成する。
一方、ルーフインナパネル130の芯材131には、車室105側に開口する矩形状の貫通孔136が穿設される。この貫通孔136は、車室105内の音圧を板吸音体10Cに導く。
(1−3−8)
本発明による構成は、上記実施形態および変形例(1−3−1)〜(1−3−7)に限らず、ルーフ140に板吸音体10が設けられる構造であれば、他の構造であってもよい。
また、変形例(1−3−2)〜(1−3−5)にあっては、ルーフインナパネル130に板吸音体10を備える構成となっているため、ルーフアウタパネル120に板吸音体10を取り付けるための構造を形成する必要がないため、既に一度組み上がった車両100であっても、ルーフインナパネル130を交換することで、上記効果を得ることができる。
(1−3−9)
また、板吸音体10の構成は、矩形状の筐体11、筐体11の開口部12を閉塞する振動板13と、筐体11内に画成される空気層14と、を具備する構成としたが、本発明による筐体の形状は矩形状に円形状、多角形状であっても、振動板13に対して振動条件を変更するための集中質量を、振動板13の中央部に設けるようにしてもよい。
板吸音体10は、先にも説明した通り、バネマス系と屈曲系で吸音メカニズムが形成されている。ここで、発明者達は、振動板13の面密度を変えた際の共振周波数における吸音率の実験を行った。
図14は、空気層14の縦と横の大きさが100mm×100mmで厚さが10mmの筐体11に振動板13(大きさが100mm×100mm、厚さ0.85mm)を固着し、中央部(大きさが20mm×20mm、厚さ0.85mm)の面密度を変化させた際の板吸音体10の垂直入射吸音率のシミュレート結果を示した図である。なお、シミュレート手法は、JIS A 1405−2(音響管による吸音率及びインピーダンスの測定−第2部:伝達関数法)に従って、上記板吸音体10を配置した音響室の音場を有限要素法により求め、その伝達関数より吸音特性を算出した。
具体的には、中央部の面密度を、(1)399.5[g/m2]、(2)799[g/m]、(3)1199[g/m2]、(4)1598[g/m2]、(5)2297[g/m2]とし、周縁部材の面密度を799[g/m2]とし、振動板13の平均密度を、(1)783[g/m2]、(2)799[g/m2]、(3)815[g/m2]、(4)831[g/m2]、(5)863[g/m]とした場合のシミュレーション結果である。
シミュレートの結果を見ると、300〜500[Hz]の間と、700[Hz]付近において吸音率が高くなっている。
700[Hz]付近で吸音率が高くなっているのは、振動板13のマスと空気層14のバネ成分によって形成されるバネマス系の共振によるものである。板吸音体10においては上記バネマス系の共振周波数での吸音率をピークとし音が吸音されており、中央部の面密度大きくしても、振動板13全体のマスは大きく変わらないので、バネマス系の共振周波数も大きく変わらないことが分かる。
また、300〜500[Hz]の間で吸音率が高くなっているのは、振動板13の屈曲振動によって形成される屈曲系の共振によるものである。板吸音体10においては、屈曲系の共振周波数での吸音率が低音域側のピークとして表れており、中央部の面密度を大きくしてゆくと屈曲系の共振周波数だけが低くなっていることが分かる。
一般に、屈曲系の共振周波数は、振動板13の弾性振動を支配する運動方程式で決定され、振動板13の密度(面密度)に反比例する。また、前記共振周波数は、固有振動の腹(振幅が極大値となる場合)の密度により大きく影響される。このため、上記シミュレーションでは、1×1の固有モードの腹となる領域を中央部で異なる面密度に形成したので、屈曲系の共振周波数が変化したものである。
このように、シミュレーション結果は、中央部の面密度を周縁部の面密度より大きくすると、吸音のピークとなる周波数のうち、低音域側の吸音率のピークがさらに低音域側へ移動することを表している。従って、中央部の面密度を変更することにより吸音のピークとなる周波数の一部をさらに低音域側または高音域側に移動(シフト)させることができることを表している。
上述した板吸音体10においては、中央部の面密度を変えるだけで、吸音される音のピークの周波数を変える(シフトさせる)ことができるため、振動板13を板吸音体10全体と同じ素材で板状に形成し、板吸音体10全体の質量を重くして吸音する音を変更する場合と比較して、板吸音体10全体の質量を大きく変えることなく吸音させる音を低くできる。
このように、車室内や荷室内の吸音力の変更(人や荷物の数量、形状の変化等)や発生騒音の変更(タイヤの変更、路面状況の変化等)により車室内の騒音特性の変化に対応できる。
さらに、板吸音体10の空気層14内には、多孔質吸音材(例えば、発泡樹脂、フェルト,ポリエステルウール等の綿状繊維)を充填することにより、吸音率ピーク値を増加させてもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明による第2実施形態について説明する。本実施形態の特徴は、ルーフに設けられる吸音構造体に管吸音体を用いた点にある。なお、前述した第1実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
(2−1)構成
図15は、第2実施形態に係る4ドアセダン形の車両100を示す斜視図である。この車両100のルーフ140には、管吸音体30が設けられる。
ここで、本実施形態に用いられる管吸音体の構造について説明する。
この管吸音体30は、図16に示すように、長さの異なる複数本のパイプ31(31−1〜31−9)を横一列に並べて、相互に連結、或いは別途専用の部材で相互に連結させて一体に構成されている。各パイプ31は、所定の肉厚(例えば、約2mm)および所定の内径(例えば、直径60mm)を有する合成樹脂製等の断面円形の直線状剛性パイプで構成される。各パイプ31の一端部は閉じられて閉塞部32となり、他端部は開かれて開口部33となる。開口部33の位置は各パイプ31で一列に揃えられることにより、開口部33同士が隣接して配置される。本実施形態の場合には、管吸音体30は、ルーフ140のうち前席(運転席・助手席)の頭上位置に各パイプ31の開口部33が配置されるように取り付けられる。
各パイプ31内の長さは、パイプ31の空洞単体で吸収される音波の中心の周波数の1/4の波長に相当する。
ここでは、空洞の長さL(=パイプの長さ)が0.85m,0.68m,0.53mの3種類のパイプが用いられており、これらはそれぞれ100Hz,125Hz,160Hz(つまり1/3オクターブバンドピッチ)を中心に吸音する(音速=340m)。
各パイプ31の開口部33のネック部分(開口部33またはその近傍)は、グラスウール、クロス、ガーゼ等の通気性を有する流れ抵抗材(流れ抵抗を有する材料)34で塞がれている。
(2−2)管吸音体の動作原理
次に、管吸音体30による吸音原理について説明する。
図17は、図16に示す管吸音体30のうち隣接する2本のパイプ31−j,31−kを示したものである。各パイプ31−j,31−kの空洞の長さをL1,L2とする。車室105内の音波は、開口部33−j,33−kから空洞内に入射され、他端の閉塞部32−j,32−kで反射されて、開口部33−j,33−kから再び室内に放出される。このとき、空洞の長さL1,L2の4倍に相当する波長λ1,λ2(L1=λ1/4,L2=λ2/4)の音波が定在波S1,S2を作り、振動を繰り返すうちに空洞の内壁面での摩擦や開口部33−j,33−kでの空気粒子間の粘性作用により、エネルギーを消費し、この波長λ1,λ2を中心に吸音が行なわれる。例えば、L1=1.35m、L2=0.53mとすると、λ1=5.4m、λ2=2.12mとなり、それぞれで吸音される音波の中心の周波数f1,f2は、f1=63Hz、f2=160Hzとなる。
一方、閉塞部32−j,32−kで反射されて、開口部33−j,33−kから放出される音波は、開口部33−j,33−kで回折してエネルギーを放射する。そのエネルギーの一部は相互に隣接する他方のパイプ31−k,31−jの開口部33−k,33−jから空洞内に入射される。このようにして、隣接するパイプ31−j,31−k相互間で連成振動を生じ、エネルギーの授受が行なわれる。この連成振動の際に、空洞の内壁面での摩擦や開口部33−j,33−kでの空気粒子間の粘性作用により、エネルギーを消費し、吸音が行なわれる。この連成振動は、パイプ31−j,31−kを一連のパイプとみなした両端閉管モードとして捉えることができ、L1+L2=λ3/2として定まる波長λ3を中心に吸音が行なわれる。例えばL1=1.35m、L2=0.53mの場合には、λ3=3.76mとなり、連成振動で吸音される音波の中心の周波数f3はf3=90Hzとなる。図14の配列の場合、隣接するパイプ間での連成振動の周波数は次のようになる。
L1(m) L2(m) 連成振動周波数(Hz)
0.85 0.68 111
0.85 0.53 123
0.68 0.53 140
これによれば、パイプ31−1〜31−9単体での吸音(100,125,160Hzが中心)とあわせて約100〜160Hzの範囲で平均的に吸音力が得られることになる。
(2−3)第2実施形態の作用・効果
このように、ルーフ140に管吸音体30を設けることにより、荷室107からトランク仕切隔壁116を抜けてリアガラス117で反射されたタイヤ音等の比較的周波数の低いロードノイズは、ルーフ140に設けられた管吸音体30により効率良く吸音される。この結果、車室105内の静粛感を高めることができる。
なお、第2実施形態では、管吸音体30は、ルーフ140のうち前席(運転席・助手席)の頭上位置に各パイプ31の開口部33が配置されるように取り付けられた場合を例示したが、図18に示すように、各パイプ31の開口部33が後部座席の頭上位置に配置されるように取り付けてもよい。この場合、ルーフインナパネル130の芯材131には、後部座席の位置に矩形状の挿通孔132Bが穿設され、表面材138のうちこの挿通孔132Bに対向する部分が音圧透過部139Bとなる。
また、管吸音体30のルーフ140への取付構成は、種々の取付構造がある。例えば、予めルーフアウタパネル120にパイプ31を形成しておいて、パイプ31の開口部33のみが車室105側に開口するようにしたり、予めルーフインナパネル130の芯材131にパイプ31を形成しておいて、パイプ31の開口部33のみが車室105側に開口するようにしたり、ルーフインナパネル130の芯材131とルーフアウタパネル120との間にパイプ31を配置したり等、種々の組み付け構造がある。
さらに、管吸音体30の構成は、第2実施形態の構成に限らず、長さの異なったパイプを平行にルーフアウタパネル120に設けるだけでもよく。この場合であっても、パイプの振動によってある程度の吸音効果が得られる。さらに、管吸音体30はいわゆる閉管ではなく、各パイプ31の両端部が開かれた開口部33,33となった管(いわゆる開管)で構成してもよいし、これら閉管と開管とを混合して配置してもよい。
<第3実施形態>
次に、本発明による第3実施形態について説明する。本実施形態の特徴は、ルーフ140に設けられる吸音構造体にヘルムホルツ吸音体を用いた点にある。なお、前述した第1実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図19は、ルーフインナパネル130の芯材131にヘルムホルツ吸音体40を設けた第3実施形態を示した図である。
本実施形態に用いられるヘルムホルツ吸音体40は、内部に空間が形成された直方体状の筐体41と、この筐体41の上部側に穿設された挿入孔42A,42Bに挿入された管状部材43A,43Bと、を有している。筐体41の内側には密閉空間44が画成され、管状部材43A,43Bの内側には密閉空間44と車室105とを連通する開口45A,45Bが形成されている。
筐体41は、例えばFRP(繊維強化プラスチック)によって直方体状に形成されている。管状部材43A,43Bは、例えば塩化ビニール製のパイプを使用でき、空気との摩擦が生じやすいように、内面を粗くしておく。このヘルムホルツ吸音体40は、寸法の小さい空洞である密閉空間44の中の空気がバネとして働くことにより、車室105内に発生した音を減衰するように作用する。
このとき、密閉空間44に設けられた小さな開口45A,45Bが車室105に通じているため、開口45A,45B内の空気の塊をマスとして1質点系バネ・マスモデルが形成される。そして、この系の共振周波数においては、開口45A,45B内の空気の塊が車室105の音圧によって振動し、開口45A,45Bの周壁と空気の塊との摩擦によって、音のエネルギーが熱エネルギーに変換される。つまり、音が減衰される。
いま、開口45A,45Bの長さをL、開口45A,45Bの横断面積をS(合計)、密閉空間44の容積をV、音速をC、開口45A,45Bの有効長さをLe(Le≒L+0.8・S1/2)とすると、ヘルムホルツ吸音体40の共鳴周波数f0は、f0=1/2π(C2 S/Le・V)1/2となる。
この式から、開口45A,45Bの横断面積S又は有効長さLe、即ち、管状部材43A,45Bの内径d又は長さLを変えることによって、共鳴周波数f0を調整でき、これにより、周波数の異なる音を減音できることが分かる。
このように、ルーフ140にヘルムホルツ吸音体40を設けることにより、荷室からトランク仕切隔壁116を抜けてリアガラス117で反射されたタイヤ音等の比較的周波数の低いロードノイズは、ヘルムホルツ吸音体40によって効率良く吸音される。
なお、ヘルムホルツ吸音体40のルーフ140への取付構成は、前述した第3実施形態の構成に限らず、種々の対応が可能である。例えば、筐体41をルーフアウタパネル120に設けたり、筐体41をルーフインナパネル130の芯材131或いはルーフアウタパネル120に一体形成しておいたり、種々の組み付け構造がある。
また、ヘルムホルツ吸音体40の筐体41の形状は、直方体に限らず、円柱状等、他の形状であってもよい。
さらに、ヘルムホルツ吸音体40では、管状部材43を2本とした場合を例示したが、本発明はこれに限らず、1本或いは3本以上であってもよい。要は、ヘルムホルツ吸音体40は、管状部材43の内径d又は長さLによって吸音する周波数が設定されるため、周波数に応じて適宜設定されればよい。
<第4実施形態>
次に、本発明による第4実施形態について説明する。本実施形態の特徴は、ルーフに設けられる吸音構造体に板吸音体および管吸音体を用いた点にある。なお、前述した第1実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図20は、第4実施形態に係る4ドアセダン形の車両100を示す斜視図である。この車両100のルーフインナパネル130には、板吸音体10および管吸音体30が設けられる。
このように、ルーフインナパネル130に板吸音体10および管吸音体30を設けることにより、第1実施形態および第2実施形態で述べたように、板吸音体10および管吸音体30によって、例えばロードノイズ等を効率良く吸音させることができ、車室105内の静粛感を高めることができる。
しかも、2種類の吸音体10,30を用いることにより、吸音効率を前記各実施形態よりも高めることができる。
なお、吸音体の組み合わせは、この第4実施形態に限らず、板吸音体10、管吸音体30およびヘルムホルツ吸音体40、管吸音体30およびヘルムホルツ吸音体40、板吸音体10およびヘルムホルツ吸音体40との組み合わせであってもよい。
板吸音体10およびヘルムホルツ吸音体40を吸音構造体としてルーフ140に設ける場合の変形例を、図21に示す。この例では、ルーフ140のルーフインナパネル130のうち平坦な部分に複数の板吸音体10が配置され、ルーフインナパネル130のうち平坦な部分に傾斜している部分で取り付け面積が比較的小さい部分にヘルムホルツ吸音体40が配置される。これにより、ルーフ140に対して吸音体10,40を効果的に搭載することが可能となる。
この場合、板吸音体10は、変形例(1−3−9)で延べたように、振動板13の中央部の面密度を変えるだけで、吸音される音のピークの周波数を変える(シフトさせる)ことができる。そこで、ルーフ140の場所に応じて振動板13の面密度を適宜変更した板吸音体10を配置すれば、より効率良く低周波のロードノイズを吸音することが可能となる。
<変形例>
以上、本発明による実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の様々な形態で実施可能である。
本各実施形態においては、4ドアのセダンタイプを例示したが、本発明はこれに限らず、屋根(ルーフ140)を有する車両であれば、適用が可能である。
さらに、板吸音体10は、ルーフインナパネル130全体に配置される場合であっても、音圧の高い位置に配置されるようにしてもよい。また、管吸音体30の開口部33においても、音圧の高い位置に配置されるようにすればよい。
前記各実施形態では、ルーフインナパネル130をルーフアウタパネル120に取り付ける構成を、クリップ止め等で行っているが、本発明はこれに限らず、各部位を接着剤等、他の固定方法で固定するようにしてもよい。
本発明の第1実施形態に係る4ドアセダン形の車両を示す斜視図である。 車両のシャーシを模式的に示す図である。 図2中のa部を拡大して示す断面図である。 前席の頭上に位置したルーフに板吸音体を設けた実験結果を示す図である。 第1実施形態と異なった位置に板吸音体を設ける状態を示す斜視図である。 後部座席の頭上に位置したルーフに板吸音体を設けた実験結果を示す図である。 変形例(1−3−1)を示す図である。 変形例(1−3−2)を示す図である。 変形例(1−3−3)を示す図である。 変形例(1−3−4)を示す図である。 変形例(1−3−5)を示す図である。 変形例(1−3−6)を示す図である。 変形例(1−3−7)を示す図である。 変形例(1−3−8)による実験結果を示す図である。 第2実施形態に係る4ドアセダン形の車両を示す斜視図である。 第2実施形態における管吸音体を拡大して示す図である。 管吸音体の原理を示す模式図である。 第2実施形態と異なった位置に板吸音体を設ける状態を示す斜視図である。 第3実施形態における図8と同様の断面図である。 第4実施形態に係る4ドアセダン形の車両を示す斜視図である。 第4実施形態の変形例を示す図である。
符号の説明
10,10a,10b,10A,10B,10C・・・板吸音体、11,41・・・筐体、12・・・開口部、13・・・振動板、14・・・空気層、30・・・管吸音体、31−1〜31−9・・・パイプ、32・・・閉塞部、33・・・開口部、34・・・抵抗材、40・・・ヘルムホルツ吸音体、43A,43B・・・管状部材、44・・・密閉空間、110・・・シャーシ、120・・・ルーフアウタパネル、130・・・ルーフインナパネル、131・・・芯材、138・・・表面材、139,139A,139B・・・音圧透過部、140・・・ルーフ。

Claims (13)

  1. 車両の支柱に支えられたルーフと、
    前記ルーフに設けられ、音圧駆動によって吸音を行う吸音構造体と、を具備し、
    前記吸音構造体は、
    振動板と、該振動板の背後に画成される空気層と、を有する板吸音体、
    閉空間と、この閉空間と外部とを連通する管状部材と、を有するヘルムホルツ吸音体、
    の吸音体の組み合わせによって構成され、
    前記ルーフのうち平坦な部分に複数の前記板吸音体が配置され、前記ルーフのうち前記平坦な部分に対して傾斜している部分に前記ヘルムホルツ吸音体が配置され
    ことを特徴とする車体構造体。
  2. 請求項1記載の車体構造体において、
    前記吸音構造体の音圧駆動によって駆動される部位は、前記ルーフの音圧が高い部分に位置するように配置される
    ことを特徴とする車体構造体。
  3. 求項1または2記載の車体構造体において、
    前記吸音構造体は、一端が閉塞した閉塞部となり他端が開口した開口部となる空洞を有する管吸音体、前記板吸音体及び前記ヘルムホルツ吸音体の組み合わせによって構成される
    ことを特徴とする車体構造体。
  4. 求項記載の車体構造体において、
    前記空洞は、複数形成される
    ことを特徴とする車体構造体。
  5. 求項記載の車体構造体において、
    前記空洞は、長さが異なって複数形成される
    ことを特徴とする車体構造体。
  6. 求項1乃至のいずれかに記載の車体構造体において、
    前記ルーフの基台となるシャーシは、前記吸音構造体の一部を構成する
    ことを特徴とする車体構造体。
  7. 求項1乃至のいずれかに記載の車体構造体において、
    前記吸音構造体は、前記ルーフの基台となるシャーシに取り付けられる
    ことを特徴とする車体構造体。
  8. 求項1乃至のいずれかに記載の車体構造体において、
    前記ルーフは、当該車体構造体の基台となるシャーシの一部をなすルーフアウタパネルと、該ルーフアウタパネルを車室側から覆うルーフインナパネルとを有し、
    前記吸音構造体は、前記ルーフアウタパネルと前記ルーフインナパネルとの間に配置される
    ことを特徴とする車体構造体。
  9. 求項1乃至のいずれかに記載の車体構造体において、
    前記ルーフは、当該車体構造体の基台となるシャーシの一部をなすルーフアウタパネルと、該ルーフアウタパネルを車室側から覆い、芯材とこの芯材の表面を覆う表面材とを有するルーフインナパネルと、を備え、
    前記芯材が前記吸音構造体の一部を構成する
    ことを特徴とする車体構造体。
  10. 求項1乃至のいずれかに記載の車体構造体において、
    前記ルーフは、当該車体構造体の基台となるシャーシの一部をなすルーフアウタパネルと、該ルーフアウタパネルを車室側から覆い、芯材とこの芯材の表面を覆う表面材とを有するルーフインナパネルと、を備え、
    前記吸音構造体は、前記芯材に取り付けられる
    ことを特徴とする車体構造体。
  11. 求項乃至10のいずれかに記載の車体構造体において、
    前記ルーフインナパネルは、音圧透過部を有する
    ことを特徴とする車体構造体。
  12. 両の支柱によって支えられるルーフであって、
    当該ルーフの基台となす芯材と、
    前記芯材に設けられ、音圧駆動によって吸音を行う吸音構造体と、を具備し、
    前記吸音構造体は、
    振動板と、該振動板の背後に画成される空気層と、を有する板吸音体、
    閉空間と、この閉空間と外部とを連通する部材と、を有するヘルムホルツ吸音体、
    の吸音体の組み合わせによって構成され、
    当該ルーフのうち平坦な部分に複数の前記板吸音体が配置され、当該ルーフのうち前記平坦な部分に対して傾斜している部分に前記ヘルムホルツ吸音体が配置され
    ことを特徴とする車両用ルーフ。
  13. 両の支柱によって支えられるルーフの一部を構成するルーフインナパネルであって、
    当該ルーフインナパネルの外形をなす芯材と、
    前記芯材に設けられ、吸音を行う吸音構造体と、を具備し、
    前記吸音構造体は、
    振動板と、該振動板の背後に画成される空気層と、を有する板吸音体、
    閉空間と、この閉空間と外部とを連通する管状部材と、を有するヘルムホルツ吸音体、
    の吸音体の組み合わせによって構成され、
    当該ルーフインナパネルのうち平坦な部分に複数の前記板吸音体が配置され、当該ルーフインナパネルのうち前記平坦な部分に対して傾斜している部分に前記ヘルムホルツ吸音体が配置され
    ことを特徴とするルーフインナパネル。
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