JP2010102013A - 吸音体 - Google Patents

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Kunio Hiyama
邦夫 樋山
Yasutaka Nakamura
康敬 中村
Yasuhito Tanase
廉人 棚瀬
Hiroshi Nakajima
弘 中嶋
Keiichi Fukatsu
圭一 深津
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Abstract

【課題】全体の薄型化を図りつつ、特に中低域の吸音性能を向上することができるようにすること。
【解決手段】吸音体10は、筐体11と、この筐体11に取り付けられた振動体12とを備えて構成されている。筐体11は、周壁14と、この周壁14の一端側に連設された底壁15とを備え、周壁14の他端側に開口部11Aを形成している。振動体12は、開口部11Aの全領域をカバーする。周壁14の他端を含む領域には、補強部16が設けられ、この補強部16は、内向きのフランジ状部17により形成されて周壁14の他端を含む領域の剛性を高める。これにより、周壁14の他端において振動体12をより強固に拘束することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、吸音体に係り、更に詳しくは、特に中低域の吸音性能を向上することができる吸音体に関する。
従来より、種々の室内空間において、吸音体が利用されており、かかる吸音体は、快適な音場を作り出すため、周波数が250Hz前後の中低域での吸音が要求されている。このような要求を満たし得る吸音体として、不織布等の多孔質材が広く利用されているが、当該多孔質材は、中低域での吸音性能を良好に発揮するために、厚みや平面サイズを大きく設定することが不可欠となる。従って、多孔質材にあっては、自動車の室内等の比較的狭い空間で用いるには不向きとなる。
ここで、吸音体の他の構造としては、特許文献1に開示されているものが知られている。同文献の吸音体は、板状体及び筐体の間に設けられた弾性体からなる制振材を備え、当該制振材を介して板状体を振動させることで吸音作用が得られるようになっている。
ところで、更に他の吸音体(以下、「従来構造A」と称する)としては、箱状の筐体の開口部に膜状体を張設し、筐体と膜状体との内部に閉塞した空気層を形成したタイプのものがある。
この従来構造Aにあっても、膜状体を振動させることで吸音作用が得られるものであり、この振動時に、前記空気層がばねとして働くようになる。ここで、前記膜状体が振動するときの共振周波数fは、以下の数1により求められる(数1中、m:膜状体の単位面積当たりの質量(kg/m)、L:空気層の厚み(m)、ρ:空気の密度(kg/m)、c:音速(m/s))。従来構造A及び特許文献1の吸音体によれば、多孔質材に比べて薄型化及びコンパクト化を達成することができる。
Figure 2010102013
特開2005−134653号公報
しかしながら、従来構造Aでは、空気層の厚みが20mm以下と薄くなる場合、前記空気層のばねとしての働きによる影響がより大きくなる。このため、膜状体が空気層を圧縮し難くなって吸音する周波数を低下させることが困難となり、中低域の吸音性能を十分に改善できなくなる。これは、前記数1において、空気層の厚みLが小さくなる程、共振周波数fが大きくなることからも理解できる。
従って、従来構造Aにあっては、自動車等の狭い室内空間に配置する要請に応じるべく、吸音体全体を薄型化すると、中低域での吸音作用が得られ難くなる、という不都合がある。一方、空気層の厚みを大きくすれば中低域での吸音作用を改善できるものの、前記狭い室内空間がより一層狭くなったり、室内での納まり上の理由から配置できなくなる、という反射的不都合を生じる。
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に基づいて案出されたものであり、その目的は、薄型化やコンパクト化を図りつつ、特に中低域の吸音性能を向上することができる吸音体を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、周壁の一端側に連設された底壁を備えて周壁の他端側に開口部を形成する筐体と、前記他端側に取り付けられて開口部の全領域をカバーする板状若しくは膜状の振動体とを有する吸音体において、
前記周壁の他端を含む領域の剛性を高める補強部を設けた、という構成を採っている。
本発明において、前記補強部は、外向き及び又は内向きに突出するフランジ状部により形成される、という構成を採用してもよい。このとき、補強部は、前記フランジ状部に設けられたリブを更に備える、という構成を採ることができる。
また、前記補強部は、前記周壁の周方向に沿って複数設けられたリブ状体により形成される、という構成を採ってもよい。
更に、前記周壁は、その他端を形成する他端形成体を備え、この他端形成体の比重を周壁の他の領域より部分的に大きくすることで前記補強部が形成される、という構成を採用することができる。
更に、前記周壁は、その他端を形成する他端形成体を備え、この他端形成体のヤング率を周壁の他の領域より部分的に大きくすることで前記補強部が形成される、という構成を採用してもよい。
本発明によれば、補強部により周壁を補強するので、振動体が取り付けられる周壁の他端において当該振動体をより強固に拘束することができる。
ここで、本発明の吸音体では、前述した振動体の質量と空気層のばねとしての働きとによってなるバネマス系と、振動体の屈曲振動によってなる後述する屈曲系とが連成して吸音周波数が決定される。この吸音周波数は、前記バネマス系だけで決定される吸音周波数より低い周波数で吸音現象が発現されることがある。この現象を発現するためには、振動板に屈曲振動が励起されなければならないが、その条件の一つとして、筐体による振動体の拘束を強固にすることが挙げられる。すなわち、周壁が振動板を拘束する条件が強固であるほど、屈曲振動がより大きく励起され、吸音周波数での振動エネルギーを増大でき、ひいては、振動体内で消散されるエネルギーも大きくなって、吸音効果を高めることが可能となる。これにより、後述するように、前記中低域に吸音ピークを持たせたり、中低域での垂直入射吸音率を高めて中低域での吸音性能を向上させることができ、快適な音場を良好に維持することが可能となる。
しかも、多孔質材だけからなる吸音体に比べ、厚みを薄くしつつコンパクトなサイズとすることができる。これにより、自動車等の比較的狭い室内空間であっても、吸音体により前記室内空間が狭くなることを抑制することが可能となる。
また、補強部は、前述のフランジ状部やリブ、リブ状体、比重やヤング率を部分的に大きくする他端形成体により形成でき、補強部の構造のバリエーションを増やして設計の自由度を高めることができ、室内空間等の様々な制約に容易に対応することが可能となる。また、条件によっては、吸音効率の向上も期待することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1(A)には、第1実施形態に係る吸音体を模式的に表した概略横断面図が示され、同図(B)には、前記吸音体の平面図が示されている。これらの図において、吸音体10は、剛体からなる筐体11と、この筐体11に設けられた一枚の振動体12とを備えて構成されている。なお、図1では、説明の便宜上、吸音体10を一体だけ図示しているが、図1(B)の上下左右方向に複数の吸音体10を並設し、隣り合う吸音体10と密接するように連結したユニットを構成してもよい。
前記筐体11は、平面視略方形をなす周壁14と、この周壁14の一端側すなわち図1(A)中下端側に連設された底壁15とを備え、周壁14の他端側すなわち上端側に開口部11Aを形成する有底容器状に設けられている。周壁14の上端を含む領域には、補強部16が設けられ、この補強部16は、周壁14の上端に連設されて内向きに突出するフランジ状部17により形成されている。補強部16は、周壁14の上部領域の断面二次モーメントを増大して機械インピーダンスを大きくし、周壁14の上部領域の剛性を高めるようになっている。なお、周壁14の上部領域の機械インピーダンスは、以下の数2により求められる(同数式において、Z:機械インピーダンス、E:ヤング率、I:断面二次モーメント、ρ:密度)。周壁14の内部には、空気層18が形成される。この空気層18の厚みLは、振動体12の裏面と底壁15内面との間とされ、5mm〜50mm、好ましくは10mm〜20mmに設定されている。周壁14、底壁15及びフランジ状部17の厚みは、1mm〜10mm、好ましくは、2mm〜5mmにそれぞれ設定されている。
Figure 2010102013
筐体11の平面形状は、本実施形態では、一辺の長さが30mm〜300mm(好ましくは50mm〜200mm)の正方形に設けられている。筐体11の材質は、ABS、PP、PA等の熱可塑性プラスチックおよびそれらのポリマーアロイ、エポキシ樹脂等の熱硬化性プラスチック、熱可塑性プラスチックおよびそれらのポリマーアロイをマトリクスとした繊維強化プラスチック(FRTP)、エポキシ樹脂等の熱硬化性プラスチックをマトリクスとした繊維強化プラスチック(FRP)が例示でき、意図的な外力を付与しない限り変形しない程度の剛性を有するようになっている。
前記振動体12は、前記筐体11と略同じ平面形状及びサイズに設けられ、開口部11Aの全領域をカバー可能に設けられている。振動体12は、前記周壁14の上端及びフランジ状部17に取り付けられて張設され、前記空気層18を閉塞した空間として形成している。振動体12の接合方法としては、超音波振動による振動体12及びフランジ状部17の局所的な摩擦熱による融着や、振動体12及びフランジ状部17の何れか一方に導電性の充填材を持たせた高周波加熱による融着、振動体12及びフランジ状部17のCOガスレーザー加熱による融着などを用いることができる。
前記振動体12の材質は、有機高分子又は無機高分子を主成分とし、有機低分子(加硫剤、可塑剤、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤、酸化防止剤)や、無機充填材を入れた複合素材も含む。有機高分子は、CPE、PVC、PET、PE、PP、ポリエステル、合成ゴム(イソプレンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ブタジエンスチレン共重合体、その他共重合体ポリマー)、PA(ポリアミド)、およびこれらのポリマーのアロイが例示でき、無機高分子は、シリコンゴム等が例示できる。加硫剤としては、硫黄、過酸化物、QO、可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、架橋促進剤としては、スルフェンアミド系DCBS、老化防止剤、酸化防止剤としては、ビスフェノール系TBMTBP、無機充填材としては、炭酸カルシュウム、珪酸カルシュウム、雲母(マイカ)、カーボンブラック、PZT、シリカ等が例示できる。
振動体12の厚みは、0.3mm〜3mm、好ましくは0.7mm〜2mmにそれぞれ設定され、音が入射したときに、その内部損失により音のエネルギーを消費可能に設けられている。
なお、振動体12は板状としてもよく、この場合の振動体12の材質は、前述した筐体11の材質の何れかを採用することができる。
以上の構成において、音場から振動体12に伝わる音圧と、空気層18側の音圧との差(即ち、振動体12の表裏の音圧差)によって振動体12が駆動される。これにより、当該吸音体10に到達する音波のエネルギーは、この振動体12の振動により消費されて音が吸音されることになる。即ち、吸音体10は、音圧駆動により励振された振動により吸音効果を発揮する。
従って、このような第1実施形態によれば、前記フランジ状部17により周壁14の上部領域が強固となり、ひいては、周壁14及びフランジ状部17による振動体12の拘束も強固とした状態で吸音作用を奏することができる。
また、筐体11の図1(A)中の上下幅を小さくすることで、吸音体10全体の薄型化を図ることができ、これにより、比較的狭い個室、車室、スピーカ内、電子機器内等において有効利用されることが期待できる。
[吸音体の設定条件]
ここで、吸音体10の設定条件について説明する。
一般に、板状または膜状の振動体と空気層により音を吸収する吸音構造について、減衰させる周波数は、振動体の質量成分(マス成分)と空気層のバネ成分とによるバネマス系の共振周波数によって設定される。空気の密度をρ[kg/m]、音速をc[m/s]、振動体の密度をρ[kg/m]、振動体の厚さをt[m]、空気層の厚さをL[m]とすると、バネマス系の共振周波数は数3の式で表される。
Figure 2010102013
また、板・膜振動型吸音構造において振動体が弾性を有して弾性振動をする場合には、弾性振動による屈曲系の性質が加わる。建築音響の分野においては、振動体の形状が長方形で一辺の長さをa[m]、もう一辺の長さをb[m]、振動体のヤング率をE[Pa]、振動体のポアソン比をσ[−]、p,qを正の整数とすると、以下の数4の式で板・膜振動型吸音構造の共振周波数を求め、求めた共振周波数を音響設計に利用することも行われている(周辺支持の場合)。
Figure 2010102013
そして、上記数式から160〜315Hzバンド(1/3オクターブ中心周波数)を吸音するよう、以下のようにパラメータを設定することが好ましい。
空気の密度ρ ;1.225[kg/m]
音速c ;340[m/s]
振動体の密度ρ ;940[kg/m]
振動体の厚さt ;0.0017[m]
空気層の厚さL ;0.03[m]
筐体の長さa ;0.1[m]
筐体の長さb ;0.1[m]
振動体のヤング率E ;0.64 [GPa]
ポアソン比をσ ;0.4
モード次数 ;p=q=1
一方、上記数4において、バネマス系の項(ρ /ρtL)と屈曲系の項(バネマス系の項の後に直列に加えられている項)とが加算される。このため、上記式で得られる共振周波数は、バネマス系の共振周波数より高いものとなり、吸音のピークとなる周波数を低く設定することが難しい場合がある。
このような吸音体においては、バネマス系による共振周波数と、板の弾性による弾性振動による屈曲系の共振周波数との関連性は十分に解明されておらず、低音域で高い吸音力を発揮する板吸音体の構造が確立されていないのが実情である。
そこで、発明者達は鋭意実験を行った結果、屈曲系の基本振動周波数の値をfa、バネマス系の共振周波数の値をfbとし場合、以下の数5の関係を満足するように、上記パラメータを設定すればよいことがわかった。これにより、屈曲系の基本振動が背後の空気層のバネ成分と連成して、バネマス系の共振周波数と屈曲系の基本周波数との間の帯域に振幅の大きな振動が励振されて(屈曲系共振周波数fa<吸音ピーク周波数f<バネマス系基本周波数fb)、吸音率が高くなる。
Figure 2010102013
さらに、以下の数6に設定する場合、吸音ピークの周波数がバネマス系の共振周波数より十分に小さくなる。この場合、低次の弾性振動のモードにより屈曲系の基本周波数がバネマス系の共振周波数より十分に小さく、300[Hz]以下の周波数の音を吸音する吸音構造として適していることも分かった。
Figure 2010102013
このように、上記した数5,6の条件を満足するように各種パラメータを設定することにより、吸音のピークとなる周波数を低くした吸音体を構成できる。
[振動体の面密度、集中質量]
また、振動体12に対して振動条件を変更するための集中質量を、振動体12の中央部に設けることが望ましい。
吸音体10は、先にも説明した通り、バネマス系と屈曲系で吸音メカニズムが形成されている。ここで、発明者達は、振動体12の面密度を変えた際の共振周波数における吸音率のシミュレートを行った。
図2は、空気層18の平面視のサイズが100mm×100mmの方形、厚みLが10mmの筐体11に振動体12(平面視のサイズが100mm×100mm、厚さ0.85mm)を固着し、中央部(大きさが20mm×20mm、厚さ0.85mm)の面密度を変化させた際の吸音体10の垂直入射吸音率のシミュレート結果を示した図である。なお、シミュレート手法は、JIS A 1405−2(音響管による吸音率及びインピーダンスの測定−第2部:伝達関数法)に従って、上記吸音体10を配置した音響室の音場を有限要素法により求め、その伝達関数より吸音特性を算出した。
具体的には、中央部の面密度を、(1)399.5[g/m]、(2)799[g/m]、(3)1199[g/m]、(4)1598[g/m]、(5)2297[g/m]とし、周縁部材の面密度を799[g/m]とし、振動体12の平均密度を、(1)783[g/m]、(2)799[g/m]、(3)815[g/m]、(4)831[g/m]、(5)863[g/m]とした場合のシミュレーション結果である。
シミュレートの結果を見ると、300〜500[Hz]の間と、700[Hz]付近において吸音率が高くなっている。
700[Hz]付近で吸音率が高くなっているのは、振動体12のマスと空気層18のバネ成分によって形成されるバネマス系の共振によるものである。吸音体10においては上記バネマス系の共振周波数での吸音率をピークとして音が吸音されており、中央部の面密度大きくしても、振動体12全体のマスは大きく変わらないので、バネマス系の共振周波数も大きく変わらないことが分かる。
また、300〜500[Hz]の間で吸音率が高くなっているのは、振動体12の屈曲振動によって形成される屈曲系の共振によるものである。吸音体10においては、屈曲系の共振周波数での吸音率が低音域側のピークとして表れており、中央部の面密度を大きくしてゆくと屈曲系の共振周波数だけが低くなっていることが分かる。
一般に、屈曲系の共振周波数は、振動体12の弾性振動を支配する運動方程式で決定され、振動体12の密度(面密度)に反比例する。また、前記共振周波数は、固有振動の腹(振幅が極大値となる場合)の密度により大きく影響される。このため、上記シミュレーションでは、1×1の固有モードの腹となる領域を中央部で異なる面密度に形成したので、屈曲系の共振周波数が変化したものである。
このように、シミュレーション結果は、中央部の面密度を周縁部の面密度より大きくすると、吸音のピークとなる周波数のうち、低音域側の吸音率のピークがさらに低音域側へ移動することを表している。従って、中央部の面密度を変更することにより吸音のピークとなる周波数の一部をさらに低音域側または高音域側に移動(シフト)させることができることを表している。
上述した吸音体10においては、中央部の面密度を変えるだけで、吸音される音のピークの周波数を変える(シフトさせる)ことができるため、振動体12を吸音体10全体と同じ素材で板状に形成し、吸音体10全体の質量を重くして吸音する音を変更する場合と比較して、吸音体10全体の質量を大きく変えることなく吸音させる音を低くできる。
このように、室内の吸音力の変更(人や荷物の数量、形状の変化等)や発生音の変更により室内の騒音特性の変化に対応できる。
次に、本発明の第1実施形態以外の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、前記第1実施形態と同一若しくは同等の構成部分については必要に応じて同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
[第2実施形態]
図3(A)には、本発明の第2実施形態に係る吸音体を模式的に表した概略横断面図が示され、同図(B)には、(A)の吸音体の平面図が示されている。この第2実施形態において、補強部16は、周壁14の周方向に沿って複数設けられたリブ状体20により形成されている。本実施形態では、各リブ状体20は、図3(B)中上下左右の周壁14に三体ずつ突設され、隣り合うリブ状体20又は周壁14とのピッチ間隔が略同一となっている。また、各リブ状体20は、底壁15より立設するとともに、その図3(A)中上端面が周壁14の上面と同一面上に位置している。
従って、このような第2実施形態によれば、各リブ状体20により周壁14の上部領域を補強でき、周壁14及びリブ状体20による振動体12の拘束を強固とした状態で吸音を行うことができる。
[第3実施形態]
図4には、本発明の第3実施形態に係る吸音体を模式的に表した概略横断面図が示されている。同実施形態の吸音体10は、前記空気層18内に多孔質材24を設けたものである。多孔質材24は、不織布等の繊維類のように毛細管を持つ材料や、発泡体等の連続気泡を持つ材料からなり、音が入射したときに、その細孔中で音波が周壁との摩擦や粘性抵抗及び材料小繊維の振動などによって、音のエネルギーの一部を熱エネルギーとして消費可能に設けられている。具体的には、グラスウール、吸音ウレタンスポンジ、不織布状の有機繊維(PE、PET、PVA、PVC、PP等)及びそれらの組合せが例示できる。
従って、このような第3実施形態によれば、第1実施形態の吸音体10による吸音性能だけでなく、多孔質材24による吸音性能も得られるようになる。これにより、良好な吸音作用が得られる音域の拡大化を図ることができ、快適な音場が作り出されることが期待できる。
以下に本発明の実施例を比較例とともに説明する。
[実施例1−1、実施例1−2、比較例1]
実施例1−1では、前記第1実施形態と同じ形態の吸音体10を作製した。筐体11の材質をABSとし、筐体11の平面形状を160mm×160mmの方形、前記空気層18の厚みLを10mm、周壁14、底壁15及びフランジ状部17の厚みを3mm、フランジ状部17の周壁14外面からの突出幅を9mmとした。振動体12は、厚み1.7mmのオレフィン系シートとし、周壁14及びフランジ状部17の上面を融着した。
実施例1−2は、前記第2実施形態と同じ形態の吸音体10を作製した。各リブ状体20の周壁14からの突出高さを6mm、各リブ状体20の厚みを3mmとし、それ以外の条件は、実施例1−1と同様にした。
比較例1は、図5に示されるように、実施例1−1に対し、フランジ状部17を省略した構成とした。
各実施例及び比較例1の吸音体を評価するにあたって、垂直入射吸音率を評価指標として用いた。各実施例及び各比較例の垂直入射吸音率の結果を図6のグラフに示す。
図6のグラフにおいて、実施例1−1,1−2と比較例1とを比べると、実施例1−1,1−2の方が、垂直入射吸音率が最大値となる吸音ピークが高くなる。また、実施例1−1,1−2の方が、周波数が300〜350Hzにおいて、吸音ピークに近い垂直入射吸音率が得られる周波数が広くなる。
以上のように、フランジ状部17やリブ状体20により形成される補強部16を設けた方が、各グラフで示す中低域の周波数で、吸音性能が良好となることが理解できる。これは、補強部16を介して振動体12の拘束が強固になったことが一因と考えられる。
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態、実施例に対し、形状、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
例えば、筐体11の平面形状は、種々の変更が可能であり、長方形、円形、楕円形、多角形やそれらを組み合わせた形状等としてもよい。この場合、筐体11の平面サイズは、第1実施形態の筐体11の平面サイズに収まるように設定されることが好ましい。
また、補強部16は、周壁14の他端(上端)を含む領域の剛性を高めることができる限りにおいて種々の設計変更が可能である。例えば、図7(A)に示されるように、フランジ状部17の同図中上面にリブ26を突設したり、図7(B)に示されるように、フランジ状部17の同図中下面に複数のリブ27を垂下させてもよい。
更に、図8(A)に示されるように、フランジ状部17を外向きに突出して形成し、このフランジ状部17の外周部に同図中上下両側に突出するリブ28(図8(B)参照)を設けたり、フランジ状部17を断面視筒状(図8(C)参照)に形成してもよい。また、外向きのフランジ状部17と周壁14の外面との間にリブ状体20を連設し、当該リブ状体20を周壁14の周方向に沿って複数設けてもよい。
また、図9に示されるように、周壁14の他端(同図中上端)を形成する他端形成体30により補強部16を形成してもよく、この他端形成体30は、周壁14の他の領域よりも比重やヤング率が部分的に大きくなっている。更に、周壁14を発泡体により形成して軽量化を図りつつ、周壁14の厚みを増大して補強部16を形成してもよい。要するに、補強部16は、周壁14の他端側の剛性を高めるべく、前述の数2の機械インピーダンスZが大きくなるよう、ヤング率、密度、断面二次モーメントを増大させる構成とすればよい。
(A)は、第1実施形態に係る吸音体を模式的に表した概略横断面図、(B)は、(A)の吸音体の平面図。 振動体の面密度を変えたシミュレート結果を示す図。 (A)及び(B)は、第2実施形態に係る吸音体の図1(A)及び(B)と同様の横断面図及び平面図。 第3実施形態に係る吸音体の図1(A)と同様の横断面図。 各比較例に係る吸音体の図1(A)と同様の横断面図。 実施例1−1、実施例1−2及び比較例1の吸音率を表すグラフ。 (A)及び(B)は、変形例に係る吸音体の図1(A)と同様の横断面図。 (A)〜(D)は、他の変形例に係る吸音体の図1(A)と同様の横断面図。 更に他の変形例に係る吸音体の図1(A)と同様の横断面図。
符号の説明
10・・・吸音体、11・・・筐体、11A・・・開口部、12・・・振動体、14・・・周壁、15・・・底壁、16・・・補強部、18・・・空気層、20・・・リブ状体、26〜28・・・リブ、30・・・他端形成体

Claims (6)

  1. 周壁の一端側に連設された底壁を備えて周壁の他端側に開口部を形成する筐体と、前記他端側に取り付けられて開口部の全領域をカバーする板状若しくは膜状の振動体とを有する吸音体において、
    前記周壁の他端を含む領域の剛性を高める補強部を設けたことを特徴とする吸音体。
  2. 前記補強部は、外向き及び又は内向きに突出するフランジ状部により形成されることを特徴とする請求項1記載の吸音体。
  3. 前記補強部は、前記フランジ状部に設けられたリブを更に備えていることを特徴とする請求項2記載の吸音体。
  4. 前記補強部は、前記周壁の周方向に沿って複数設けられたリブ状体により形成されることを特徴とする請求項1記載の吸音体。
  5. 前記周壁は、その他端を形成する他端形成体を備え、この他端形成体の比重を周壁の他の領域より部分的に大きくすることで前記補強部が形成されることを特徴とする請求項1記載の吸音体。
  6. 前記周壁は、その他端を形成する他端形成体を備え、この他端形成体のヤング率を周壁の他の領域より部分的に大きくすることで前記補強部が形成されることを特徴とする請求項1記載の吸音体。
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