JP2010097113A - 吸音体 - Google Patents

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Yasutaka Nakamura
康敬 中村
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廉人 棚瀬
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弘 中嶋
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Abstract

【課題】全体の薄型化や振動体の面積の縮小化を図りつつ、特に中低域の吸音性能を向上することができるようにすること。
【解決手段】吸音体10は、筐体11と、この筐体11に取り付けられた振動体12とを備えて構成されている。筐体11は、内部に空気層18を形成する周壁14と、この周壁14の一端側に連設された底壁15と、周壁14の他端側に連設されて面内に開口部16Aを形成する頂壁16とを備えている。振動体12は、開口部16Aの全領域をカバーする。平面視において、開口部16Aの開口面積は、空気層18の面積より小さく設定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、吸音体に係り、更に詳しくは、特に中低域の吸音性能を向上することができる吸音体に関する。
従来より、種々の室内空間において、吸音体が利用されており、かかる吸音体は、快適な音場を作り出すため、周波数が250Hz前後の中低域での吸音が要求されている。このような要求を満たし得る吸音体として、不織布等の多孔質材が広く利用されているが、当該多孔質材は、中低域での吸音性能を良好に発揮するために、厚みや平面サイズを大きく設定することが不可欠となる。従って、多孔質材にあっては、自動車の室内等の比較的狭い空間で用いるには不向きとなる。
ここで、吸音体の他の構造としては、特許文献1に開示されているものが知られている。同文献の吸音体は、板状体及び筐体の間に設けられた弾性体からなる制振材を備え、当該制振材を介して板状体を振動させることで吸音作用が得られるようになっている。
同文献の吸音体によれば、多孔質材に比べて薄型化及びコンパクト化を達成することができる。
特開2005−134653号公報
しかしながら、特許文献1の吸音体では、筐体と板状体の平面積が略同じとなる。このため、自動車の室内等の狭い空間では、音場に向けられる板状体だけでなく、筐体の平面積も小さくなり、吸音作用が得られ難くなる、という不都合がある。更に、車内の内装面にスイッチ類が装備されたり、内装の意匠上の制約によっても、筐体及び板状体の平面積が縮小化する傾向があり、吸音性能を十分に改善できなくなる、という不都合を招来する。
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に基づいて案出されたものであり、その目的は、薄型化やコンパクト化、振動体の面積の縮小化を図りつつ、特に中低域の吸音性能を向上することができる吸音体を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、筐体に取り付けられた板状若しくは膜状の振動体を有する吸音体において、
前記筐体は、内部に空気層を形成する周壁と、この周壁の一端側に連設された底壁と、周壁の他端側に連設されて面内に開口部を形成する頂壁とを備え、
前記振動体は、前記開口部の全領域をカバー可能に設けられ、
平面視において、前記開口部の開口面積は、前記空気層の面積より小さく設定される、という構成を採っている。
本発明において、振動体は、表側又は裏側に膨出する形状に設けられる、という構成を採用してもよい。
また、前記開口部は、前記頂壁の面内中央よりずれた位置に設けられる、という構成を採ってもよい。
更に、前記底壁は、前記振動体に対して傾斜する方向に向けられる、という構成を採用することができる。
本発明によれば、開口部をカバーする振動体の面積を縮小しつつ、空気層の面積の拡大化を図ることができる。
ここで、本発明の吸音体では、音場の音響エネルギーによって、振動体の表裏に圧力差が生じる。この圧力差により、振動体が振動して音響エネルギーが振動体の振動エネルギーに変換され、これが消散されることによって吸音現象が発現する。空気層の面積を拡大したことで、振動体が吸音挙動をする際の空気層内の音圧が低下し易くなり、振動体が動き易くなって振動を大きくすることができる。つまり、振動体の振動エネルギーを大きくして、これに比例する消散エネルギーも大きくなり、空気層の拡張によって吸音効率を向上させることが可能となる。これにより、後述するように、前記中低域に吸音ピークを持たせたり、中低域での垂直入射吸音率を高めて中低域での吸音性能を向上させることができ、快適な音場を良好に維持することが可能となる。
しかも、多孔質材だけからなる吸音体に比べ、厚みを薄くしつつコンパクトなサイズとすることができる。これにより、自動車等の比較的狭い室内空間であっても、吸音体により前記室内空間が狭くなることを抑制でき、且つ、音場に向けられる振動体の面積の縮小化を通じて、スイッチ類の装備や内装デザインの自由度を高めることが可能となる。
また、振動体の形状や、開口部の位置、底壁の向きを前述したように設定した場合、各構成の形状等のバリエーションを増やして設計の自由度を高めることができ、室内空間等の様々な制約に容易に対応することが可能となる。また、条件によっては、吸音効率の向上も期待することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「平面視」とは、開口部を直交する方向から見た状態、すなわち、図1(B)に示される方向から見た状態を意味する。
[第1実施形態]
図1(A)には、第1実施形態に係る吸音体を模式的に表した概略横断面図が示され、同図(B)には、前記吸音体の平面図が示されている。これらの図において、吸音体10は、振動体よりも剛体が高い材料からなる筐体11と、この筐体11に取り付けられた一枚の膜状をなす振動体12とを備えて構成されている。なお、図1では、説明の便宜上、吸音体10を一体だけ図示しているが、図1(B)の上下左右方向に複数の吸音体10を並設し、隣り合う吸音体10と密接するように連結したユニットを構成してもよい。
前記筐体11は、平面視略方形をなす周壁14と、この周壁14の一端側すなわち図1(A)中下端側に連設された底壁15と、周壁14の他端側すなわち同図中上端側に連設され、前記振動体12が取り付けられる頂壁16とを備えている。周壁14の内部には、空気層18が形成される。この空気層18の厚みLは、振動体12の裏面と底壁15内面との間とされ、5mm〜50mm、好ましくは10mm〜20mmに設定されている。頂壁16の面内中央部には、平面視略方形の開口部16Aが形成され、これにより、筐体11が図1(A)中上方を開放する有底容器状に設けられている。ここで、平面視において、開口部16Aの開口面積(図1(B)中点線で示される内側の方形で囲まれる面積)は、前記空気層18の面積(同図中点線で示される外側の方形で囲まれる面積)より小さく設定されている。周壁14、底壁15及び頂壁16の厚みは、1mm〜10mm、好ましくは、2mm〜5mmにそれぞれ設定されている。
筐体11の平面形状は、本実施形態では、一辺の長さが30mm〜300mm(好ましくは50mm〜200mm)の正方形に設けられている。筐体11の材質は、ABS、PP、PA等の熱可塑性プラスチックおよびそれらのポリマーアロイ、エポキシ樹脂等の熱硬化性プラスチック、熱可塑性プラスチックおよびそれらのポリマーアロイをマトリクスとした繊維強化プラスチック(FRTP)、エポキシ樹脂等の熱硬化性プラスチックをマトリクスとした繊維強化プラスチック(FRP)が例示できる。
前記振動体12は、平面視において、その面積が開口部16Aより若干大きく設定され、開口部16Aの全領域をカバー可能に設けられるとともに、前記空気層18より小さい平面積に形成される。振動体12は、前記頂壁16に張設され、前記空気層18を閉塞した空間として形成している。振動体12の接合方法としては、超音波振動による振動体12及び頂壁16の局所的な摩擦熱による融着や、振動体12及び頂壁16の何れか一方に導電性の充填材を持たせた高周波加熱による融着、振動体12及び頂壁16のCOガスレーザー加熱による融着などを用いることができる。
前記振動体12の材質は、有機高分子又は無機高分子を主成分とし、有機低分子(加硫剤、可塑剤、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤、酸化防止剤)や、無機充填材を入れた複合素材も含む。有機高分子は、CPE、PVC、PET、PE、PP、ポリエステル、合成ゴム(イソプレンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ブタジエンスチレン共重合体、その他共重合体ポリマー)、PA(ポリアミド)、およびこれらのポリマーのアロイが例示でき、無機高分子は、シリコンゴム等が例示できる。加硫剤としては、硫黄、過酸化物、QO、可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、架橋促進剤としては、スルフェンアミド系DCBS、老化防止剤、酸化防止剤としては、ビスフェノール系TBMTBP、無機充填材としては、炭酸カルシュウム、珪酸カルシュウム、雲母(マイカ)、カーボンブラック、PZT、シリカ等が例示できる。
振動体12の厚みは、0.3mm〜3mm、好ましくは0.7mm〜2mmにそれぞれ設定され、音が入射したときに、その内部損失により音のエネルギーを消費可能に設けられている。
なお、振動体12は板状としてもよく、この場合の振動体12の材質は、前述した筐体11の材質の何れかを採用することができる。
以上の構成において、音場から振動体12に伝わる音圧と、空気層18側の音圧との差(即ち、振動体12の表裏の音圧差)によって振動体12が駆動される。これにより、当該吸音体10に到達する音波のエネルギーは、この振動体12の振動により消費されて音が吸音されることになる。即ち、吸音体10は、音圧駆動により励振された振動により吸音効果を発揮する。
従って、このような第1実施形態によれば、平面視での吸音体10の全領域に対し、振動体12の領域が部分的となり、自動車の室内等の狭い空間における吸音体10の納まり上の要請を満たす限られた振動体12の面積で吸音作用を得ることができる。
また、筐体11の厚みを薄くすることで、吸音体10全体の薄型化を図ることができ、これにより、比較的狭い個室、車室、スピーカ内、電子機器内等において有効利用されることが期待できる。
[吸音体の設定条件]
一般に、板状または膜状の振動体と空気層により音を吸収する吸音構造について、減衰させる周波数は、振動体の質量成分(マス成分)と空気層のバネ成分とによるバネマス系の共振周波数によって設定される。空気の密度をρ[kg/m]、音速をc[m/s]、振動体の密度をρ[kg/m]、振動体の厚さをt[m]、空気層の厚さをL[m]とすると、バネマス系の共振周波数は数1の式で表される。
Figure 2010097113
また、板・膜振動型吸音構造において振動体が弾性を有して弾性振動をする場合には、弾性振動による屈曲系の性質が加わる。建築音響の分野においては、振動体の形状が長方形で一辺の長さをa[m]、もう一辺の長さをb[m]、振動体のヤング率をE[Pa]、振動体のポアソン比をσ[−]、p,qを正の整数とすると、以下の数2の式で板・膜振動型吸音構造の共振周波数を求め、求めた共振周波数を音響設計に利用することも行われている(周辺支持の場合)。
Figure 2010097113
そして、上記数式から160〜315Hzバンド(1/3オクターブ中心周波数)を吸音するよう、以下のようにパラメータを設定することが好ましい。
空気の密度ρ ;1.225[kg/m]
音速c ;340[m/s]
振動体の密度ρ ;940[kg/m]
振動体の厚さt ;0.0017[m]
空気層の厚さL ;0.03[m]
振動体の一辺の長さa;0.1[m]
振動体のもう一辺の長さb;0.1[m]
振動体のヤング率E ;0.64 [GPa]
ポアソン比をσ ;0.4
モード次数 ;p=q=1
一方、上記数2において、バネマス系の項(ρ /ρtL)と屈曲系の項(バネマス系の項の後に直列に加えられている項)とが加算される。このため、上記式で得られる共振周波数は、バネマス系の共振周波数より高いものとなり、吸音のピークとなる周波数を低く設定することが難しい場合がある。
このような吸音体においては、バネマス系による共振周波数と、板の弾性による弾性振動による屈曲系の共振周波数との関連性は十分に解明されておらず、低音域で高い吸音力を発揮する板吸音体の構造が確立されていないのが実情である。
そこで、発明者達は鋭意実験を行った結果、屈曲系の基本振動周波数の値をfa、バネマス系の共振周波数の値をfbとし場合、以下の数3の関係を満足するように、上記パラメータを設定すればよいことがわかった。これにより、屈曲系の基本振動が背後の空気層のバネ成分と連成して、バネマス系の共振周波数と屈曲系の基本周波数との間の帯域に振幅の大きな振動が励振されて(屈曲系共振周波数fa<吸音ピーク周波数f<バネマス系基本周波数fb)、吸音率が高くなる。
Figure 2010097113
さらに、以下の数4に設定する場合、吸音ピークの周波数がバネマス系の共振周波数より十分に小さくなる。この場合、低次の弾性振動のモードにより屈曲系の基本周波数がバネマス系の共振周波数より十分に小さく、300[Hz]以下の周波数の音を吸音する吸音構造として適していることも分かった。
Figure 2010097113
このように、上記した数3,4の条件を満足するように各種パラメータを設定することにより、吸音のピークとなる周波数を低くした吸音体を構成できる。
さらに本願においては、平面視において開口部の面積すなわち振動体の面積が空気層の面積より小さく設定される。これにより、中低域に吸音ピークを持たせたり、中低域での垂直入射吸音率を高めて中低域での吸音性能を向上させることができる。すなわち、吸音体10は例えば次のように設定できる。
空気の密度ρ ; 1.225[kg/m
音速c ; 340[m/s]
振動体の密度ρ ; 940[kg/m
振動体の厚さt ; 0.0017[m]
空気層の厚さL ; 0.03[m]
開口部の一辺の長さa1 ; 0.08[m]
開口部のもう一辺の長さb1 ; 0.08[m]
空気層の一方の長さA ; 0.1[m]
空気層のもう一方の長さB ; 0.1[m]
振動体のヤング率E ; 0.64[GPa]
ポアソン比をσ ; 0.4
モード次数 ; p=q=1
[振動体の面密度、集中質量]
また、振動体12に対して振動条件を変更するための集中質量を、振動体12の中央部に設けることが望ましい。
吸音体10は、先にも説明した通り、バネマス系と屈曲系で吸音メカニズムが形成されている。ここで、発明者達は、振動体12の面密度を変えた際の共振周波数における吸音率のシミュレートを行った。
図2は、空気層18の平面視のサイズが100mm×100mmの方形、厚みLが10mmの筐体11に振動体12の平面視のサイズが80mm×80mm、厚さ0.85mmを固着し、中央部(大きさが20mm×20mm、厚さ0.85mm)の面密度を変化させた際の吸音体10の垂直入射吸音率のシミュレート結果を示した図である。なお、シミュレート手法は、JIS A 1405−2(音響管による吸音率及びインピーダンスの測定−第2部:伝達関数法)に従って、上記吸音体10を配置した音響室の音場を有限要素法により求め、その伝達関数より吸音特性を算出した。
具体的には、中央部の面密度を、(1)1399[g/m]、(2)2099[g/m]、(3)2799[g/m]、(4)4198[g/m]とし、周辺部材の面密度を1399[g/m]とし、振動体12の平均面密度を、(1)1399[g/m]、(2)1424[g/m]、(3)1449[g/m]、(4)1498[g/m]とした場合のシミュレーション結果である。
シミュレートの結果を見ると、250〜350[Hz]の間において吸音率が高くなっている。
また、250〜350[Hz]の間で吸音率が高くなっているのは、振動体12の屈曲振動によって形成される屈曲系の共振によるものである。吸音体10においては、屈曲系の共振周波数での吸音率が低音域側のピークとして表れており、中央部の面密度を大きくしてゆくと屈曲系の共振周波数だけが低くなっていることが分かる。
一般に、屈曲系の共振周波数は、振動体12の弾性振動を支配する運動方程式で決定され、振動体12の密度(面密度)に反比例する。また、前記共振周波数は、固有振動の腹(振幅が極大値となる場合)の密度により大きく影響される。このため、上記シミュレーションでは、1×1の固有モードの腹となる領域を中央部で異なる面密度に形成したので、屈曲系の共振周波数が変化したものである。
このように、シミュレーション結果は、中央部の面密度を周縁部の面密度より大きくすると、吸音のピークとなる周波数のうち、低音域側の吸音率のピークがさらに低音域側へ移動することを表している。従って、中央部の面密度を変更することにより吸音のピークとなる周波数の一部をさらに低音域側または高音域側に移動(シフト)させることができることを表している。
上述した吸音体10においては、中央部の面密度を変えるだけで、吸音される音のピークの周波数を変える(シフトさせる)ことができるため、振動体12を吸音体10全体と同じ素材で板状に形成し、吸音体10全体の質量を重くして吸音する音を変更する場合と比較して、吸音体10全体の質量を大きく変えることなく吸音させる音を低くできる。
このように、室内の吸音力の変更(人や荷物の数量、形状の変化等)や発生音の変更により室内の騒音特性の変化に対応できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図3を用いて説明する。なお、以下の説明において、前記第1実施形態と同一若しくは同等の構成部分については必要に応じて同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
第2実施形態の吸音体10は、前記空気層18内に多孔質材24を設けたものである。
多孔質材24は、不織布等の繊維類のように毛細管を持つ材料や、発泡体等の連続気泡を持つ材料からなり、音が入射したときに、その細孔中で音波が周壁との摩擦や粘性抵抗及び材料小繊維の振動などによって、音のエネルギーの一部を熱エネルギーとして消費可能に設けられている。具体的には、グラスウール、吸音ウレタンスポンジ、不織布状の有機繊維(PE、PET、PVA、PVC、PP等)及びそれらの組合せが例示できる。
このような第2実施形態によれば、第1実施形態の吸音体10による吸音性能だけでなく、多孔質材24による吸音性能も得られるようになる。これにより、良好な吸音作用が得られる音域の拡大化を図ることができ、快適な音場が作り出されることが期待できる。
以下に本発明の実施例を比較例とともに説明する。
[実施例、比較例]
実施例1では、前記第1実施形態と同じ形態の吸音体10を作製した。筐体11の材質をABSとし、筐体11の平面形状を106mm×106mmの方形、周壁14、底壁15及び頂壁16の各厚みを3mm、空気層18の厚みLを10mm、空気層18の平面形状を100mm×100mmの方形、開口部16Aの平面形状を80mm×80mmの方形とした。振動体12は、厚み1.7mmのオレフィン系シートとし、頂壁16における開口部16Aに沿う位置で融着した。
比較例は、図4に示されるように、実施例1に対し、頂壁16の構成を省略した。また、空気層18の平面形状を80mm×80mmの方形、すなわち、実施例1の開口部16Aの平面形状と同じに設定した。
各実施例及び各比較例の吸音体を評価するにあたって、垂直入射吸音率を評価指標として用いた。各実施例及び各比較例の垂直入射吸音率の結果を図5のグラフに示す。
図5のグラフにおいて、周波数が250Hz〜315Hzにおいて、比較例より実施例の方が垂直入射吸音率も高くなる。つまり、実施例は比較例に比べ、中低域の周波数で吸音性能が良好となることが理解できる。
また、実施例は比較例に比べ、空気層18内の音圧が4%減、振動体12の振幅が1.3倍となることが数値解析により確認でき、これによっても、実施例の方が優れた吸音性能を有すると言える。
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態、実施例に対し、形状、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
例えば、筐体11の平面形状は、種々の変更が可能であり、長方形、円形、楕円形、多角形やそれらを組み合わせた形状等としてもよい。この場合、筐体11の平面サイズは、第1実施形態の筐体11の平面サイズに収まるように設定されることが好ましい。
また、底壁15は、図6に示されるように、振動体12に対して傾斜する方向に向けてもよい。
更に、前記実施形態では、振動体12をフラットな形状としたが、これに限られず、図7に示されるように、球面状或いは円筒面状に形成して表側に膨出する形状に設けてもよい。なお、振動体12の膨出する方向は、図7とは反対に裏側(同図中下側)に設定してもよい。
また、開口部16Aの形状は、図8(A)に示されるように円形にする等、種々の変更が可能であり、円形の他、正方形、長方形、楕円形、多角形やそれらを組み合わせた形状等としてもよい。
更に、図8(B)に示されるように、開口部16Aは、同図中頂壁16の左半分領域に設ける等、頂壁16の面内中央よりずれた位置に設けてもよい。また、図8(C)に示されるように、筐体11の平面形状を二つの長方形を連結してT字状に設けた場合、何れか一方の長方形部分に開口部16A及び振動体12を設けてもよい。
(A)は、第1実施形態に係る吸音体を模式的に表した概略横断面図、(B)は、(A)の吸音体の平面図。 振動体の面密度を変えたシミュレート結果を示す図 第2実施形態に係る吸音体の図1(A)と同様の横断面図。 比較例に係る吸音体の図1(A)と同様の横断面図。 実施例及び比較例の吸音率を表すグラフ。 変形例に係る吸音体の図1(A)と同様の横断面図。 他の変形例に係る吸音体の図1(A)と同様の横断面図。 (A)〜(C)は、更に他の変形例に係る吸音体の図1(B)と同様の平面図。
符号の説明
10・・・吸音体、11・・・筐体、12・・・振動体、14・・・周壁、15・・・底壁、16・・・頂壁、16A・・・開口部、18・・・空気層

Claims (4)

  1. 筐体に取り付けられた板状若しくは膜状の振動体を有する吸音体において、
    前記筐体は、内部に空気層を形成する周壁と、この周壁の一端側に連設された底壁と、周壁の他端側に連設されて面内に開口部を形成する頂壁とを備え、
    前記振動体は、前記開口部の全領域をカバー可能に設けられ、
    平面視において、前記開口部の開口面積は、前記空気層の面積より小さく設定されていることを特徴とする吸音体。
  2. 前記振動体は、表側又は裏側に膨出する形状に設けられていることを特徴とする請求項1記載の吸音体。
  3. 前記開口部は、前記頂壁の面内中央よりずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の吸音体。
  4. 前記底壁は、前記振動体に対して傾斜する方向に向けられていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の吸音体。
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