JP2009040072A - 吸音構造 - Google Patents

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英治 村澤
Chie Fukuhara
千絵 福原
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Abstract

【課題】吸音性能を確保しつつ、一方の板材の支持剛性をも確保できる吸音構造を提供する。
【解決手段】
一対の板材2,3のうちの他方の板材3側から一方の板材2に向けて複数の突出部8を突出させて、一方の板材2を受け止める。その一方、一方の板材2を非通気とすると共に、突出部との関係で、一方の板材2の微振動可能として、音が一方の板材2に入力されたときには、一方の板材の微振動により、吸音空間4内の粒子速度を増大し、それを吸音空間4内の吸音材5に吸収させる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、吸音構造に関する。
吸音材として、特許文献1に示すように、通気性を有する第1の層と第2の層との間に吸音部を配設し、音を第1の層側から入射することにより、その音の一部を第1の層の振動により吸収し、残り音を、吸音部を通過させ、さらには、第2の層を共振させることより、吸収するものが提案されている。
ところで、吸音材を備えた吸音構造として、対向する一対の板材によりその一対の板材間に吸音空間を形成し、その吸音空間内に吸音材を配置し、一対の板材のうちの一方の板材を、振動可能とされた振動板部材としたものが開発されつつある。このものにおいては、音が一方の板材に入射されると、その一方の板材は振動してその音を吸音空間内に伝播し、その伝播された音は吸音空間内の吸音材に吸音されることになる。このため、このような吸音構造においては、一方の板材の振動を許容するため、一対の板材間に吸音材だけを介在する構成とするのが好ましい。
特開平05−46180号公報
しかし、そのような構成とした場合、一方の板材(例えば各種内装壁)側から外力を加えれば、その一方の板材は容易に撓むことになり、外力が人により加えられるときには、人は、その撓みに対して違和感を感じる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、吸音性能を確保しつつ、一方の板材の支持剛性をも確保できる吸音構造を提供することにある。
前記技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)においては、
対向する一対の板材により該一対の板材間に吸音空間が形成され、該吸音空間内に吸音材が配置され、前記一対の板材のうちの一方の板材が、振動可能とされた振動板部材とされている吸音構造において、
前記一対の板材のうちの他方の板材側から前記一方の板材に向けて複数の突出部が突出され、
前記複数の突出部が、前記一方の板材に対して前記振動として微振動を許容するように設定されている構成としてある。請求項1の好ましい態様としては、請求項2以下の記載の通りとなる。
請求項1の発明によれば、比較的大きな外力が一方の板材に加わったときには、複数の突出部が一方の板材を受け止めることになり、その複数の突出部により一方の板材の支持剛性が確保される。その一方、複数の突出部が設けられる構成とされていても、その各突出部が一方の板材に対して振動として微振動を許容するように設定されていることから、一方の板材(振動板部材)に音が入力されると、その一方の板材に微振動が生じることになり、その微振動を通じて音が吸音空間内に伝播される。そして、その吸音空間内において、粒子速度が増大され、それに基づき吸音空間内の音は吸音材に有効に吸音される。これにより、吸音性能を確保しつつ、一方の板材の支持剛性をも確保できることになる。
請求項2の発明によれば、複数の突出部が、一方の板材に向けて開口する複数の区画空間を形成するように設定され、各区画空間内に吸音材がそれぞれ充填されていることから、吸音空間内において、粒子速度が、各区画空間の絞り効果に基づき一層、増大されることになり、それに基づき、音はさらに効果的に各区画空間内の吸音材に吸収される。このため、一層、吸音性能を高めることができる。
請求項3の発明によれば、複数の突出部は、隣り合うもの同士が互いに間隔をあけつつ前記他方の板材に沿って延ばされ、各区画空間が、複数の突出部における隣り合う突出部間により形成されていると共に、各区画空間の延び形状が、所定の低周波数以上の周波数音が共鳴を起こすように設定されていることから、一方の板材に音が入力されると、各区画空間内において、所定の周波数以上の周波数音に対して共鳴が起き、区画空間の延び方向に延びる所定の定常波が生じることになる。このとき、各区画空間では、入力音波の進行方向が一方向に制御されるため、定常波は、その腹、節が明瞭なものとなり、その際の増大された粒子速度(定常波の腹の部分の速い速度)に基づき音は吸音材に効果的に吸収される。このため、絞り効果の他に、共鳴効果によっても吸音性能を高めることができる。
請求項4の発明によれば、各突出部における先端部よりも基端側が、各突出部の幅方向において、各突出部の先端部よりも薄肉化されていることから、各突出部における先端部よりも基端側において、その幅方向両側における区画空間の体積を増大させることができ、その区画空間に充填する吸音材の充填量を増大させることができる。これにより、各突出部の先端部(先端面)による外力の受け止め面積を維持しつつ、吸音性能を高めることができる。また、各突出部の形状に基づき、各区画空間が、突出部の先端部側において絞られた形状となることから、一度、各区画空間に入った音を出にくくして、各区画空間内での音のエネルギ密度を高めることができ、吸音材の効果を高めることができる。
請求項5の発明によれば、各突出部と一方の板材との間に、弾性部材が介在されていることから、一方の板材の微振動の低下を抑制しつつ、各突出部と一方の板材との間に隙間が形成される場合よりも、粒子速度の共鳴系を崩しにくくして、吸音性能を高めることができる。
請求項6の発明によれば、各突出部に、該各突出部の幅方向両側における区画空間に連通する連通孔がそれぞれ形成され、各連通孔が、該各連通孔の両端を開放端として、所定の周波数以上の周波数音が共鳴を起こすように設定されていることから、その共鳴に基づき生じる定常波における粒子速度の最も速い部分(波の腹の部分)を連通孔の両端開口に位置させることができ、それを、区画空間に配置されて連通孔の両端開口に臨む吸音材に吸収させることができる。このため、各区画空間における絞り効果、共鳴効果に加えて、各突出部における連通孔の共鳴効果をも利用して吸音を図ることができ、吸音性能を格段に高めることができる。
請求項7の発明によれば、区画空間が、各突出部の内部において、該各突出部の突出方向に延びるようにしてそれぞれ形成され、各区画空間の基端側断面が、該区画空間の先端側開口断面よりも小さくされ、各突出部内部の区画空間内に、吸音材として、低・中周波数音吸音特性を有する吸音材が配置されていることから、一方の板材の微振動により吸音空間内の粒子速度が増大されると、その粒子速度の方向は突出部内の区画空間により基端側に向くように案内され、それと共に、区画空間の絞り形状に基づき、粒子速度は一層、増大される。これを、突出部内(区画空間内)の吸音材が吸収することになり、低・中周波数音の吸音特性を向上させることができる。
請求項8の発明によれば、各突出部が非通気部材を用いて形成され、各突出部の外周側に、吸音材として高周波数音用吸音材が配置されていることから、各突出部の基端側が先端側よりも絞られている形状に基づき、その基端側において、高周波数用吸音材の配置量を増大させることができる。しかも、各突出部の形状に基づき、高周波数音が反射されて、それが、再度、各突出部周囲の高周波数音用吸音材に吸収される。このため、高周波数音に対しても、吸音性能を高めることができる。
請求項9の発明によれば、突出部先端が一方の板材に当接され、吸音材が一方の板材から離間されていることから、吸音材により一方の板材の微振動が妨げられることが回避できる一方、各突出部の先端を一方の板材に当接することで、その先端開口内における一方の板材の微振動を区画空間内に音として確実に伝播でき、その音をその区画空間内の吸音材に的確に吸音させることができる。
請求項10の発明によれば、各突出部が、柱状に形成され、各突出部に該各突出部の側部を貫通する連通孔がそれぞれ形成され、各連通孔が、該各連通孔の両端を開放端として共鳴を起こすように設定され、各突出部における連通孔の両開放端に吸音材が配置されていることから、その共鳴に基づき生じる定常波における粒子速度の最も速い部分(定常波の腹の部分)を連通孔の両端開口に位置させることができ、それを、区画空間に配置されて連通孔の両端開口に臨む吸音材に吸収させることができる。このため、連通孔の共鳴に基づき吸音性能を高めることができる。
請求項11の発明によれば、各突出部の外周側の空間全体に吸音材が充填されていることから、各突出部が柱状とされて突出部全体が占める体積が少なくされていることに基づき、吸音材の充填量(配置量)を、その少なくされた分だけ増やすことができ、吸音材の充填量の増大に基づき吸音性能を高めることができる。
請求項12の発明によれば、各突出部が、連通孔の両開放端が平坦面から外部に開口するように形成されていることから、連通孔の両開放端とした共鳴を起き易くすることができる。
請求項13の発明によれば、吸音材が、吸音空間内に、該吸音空間の厚み方向において略充填状態をもって配置されていることから、本件発明者の知見に基づき、吸音空間への吸音材の充填程度の面から、吸音性能を最大限、引き出すことができる。
請求項14の発明によれば、振動板部材の振動部が、該振動板部材の振動部以外の部分の剛性よりも低い剛性に設定されていることから、振動板部の微振動を促進して、吸音空間内における低・中周波数音についての粒子速度の増大を図ることができ、吸音材による低・中周波数音の吸音性能を、一層向上させることができる。その一方、本件発明者の知見に基づき、高周波数音の吸音に対して一方の板材の剛性が及ぼす影響が極めて小さいことから、低・中周波数音の吸音のため振動部の剛性を低めたとしても、高周波数音の吸音性能の低下を極力抑えることができる。
請求項15の発明によれば、一方の板材が、既存の構造物の構成部材である内側部材を利用して形成されていることから、既存の構造物に当該吸音構造を形成するに際して、別途、振動板部材を用意する必要はなくなり、投入部材の節約を図ることができる。
請求項16の発明によれば、一方の板材が車両のトリムであることから、既存の構造物としての車両に当該吸音構造を形成するに際して、その車両のトリムを有効に利用して、投入部材の節約を図ることができる。
請求項17の発明によれば、トリムがルーフトリムであることから、ルーフトリムを有効に利用して、投入部材の節約を図ることができる。しかもこの場合、ルーフトリムの広い面積を利用して、吸音材の設置自由度を高めることができるばかりか、吸音材を広範囲に設置できることになり、吸音性能を、より効果的に高めることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る吸音構造1を示す。吸音構造1は、基本的に、対向する一対の板材2,3により、その一対の板材2,3間に吸音空間4が形成され、その吸音空間4内に吸音材5が配置されている。
前記一対の板材2,3のうち、一方の板材2は、ある程度の硬さを有しつつ、低・中周波音(100〜800Hz)の入力に対して微振動可能とされた非通気の振動板部材とされている。具体的に説明すれば、一方の板材2は、図2に示すように、比較的高い剛性(例えばヤング率:1.4×105(N/m2)〜1.9×105(N/m2))を示す固定部6と、その固定部6よりも薄肉化された複数の振動部7とを備えている。振動部7は、固定部6の剛性よりもかなり剛性が低くされて比較的高い可撓性を有しており、本実施形態においては、ヤング率が、例えば8.0×104(N/m2)〜1.1×104(N/m2)に設定されている。これにより、各振動部7は、低・中周波数音の入力に対して微振動(振動速度:〜2.1mm/s)することになり、それが吸音空間4内に伝播され、吸音空間4内の粒子速度(図3中、動き、方向等を矢印で示す)は、図3に示すように、増大されることになる。
尚、図3においては、粒子速度の状態を理解し易くするため、他方の板材3から後述の突出部8は省かれている。
前記一対の板材2,3のうち、他方の板材3には、図1に示すように、複数の突出部8が一体的に設けられている。この各突出部8は、一方の板材2を支えることを目的としており、その各突出部8の先端面は、外力が作用したときに一方の板材2を的確に受け止めることを考慮して平坦面とされ、その各突出部8先端面の幅方向(図2中、左右方向)長さは、一方の板材2を人が押すことを考慮して、指の長さ程度、具体的には20mm程度に設定されている。また、この各突出部8の先端面と一方の板材2(面)との間には、図2に示すように、若干、隙間9(図2においては、存在を明らかにするため誇張して記載)が形成されている。この隙間9は、一方の板材2が微振動することを妨げないようにすることを目的としており、この隙間9は、できるだけ狭い方が好ましい(微振動が許容される限りにおいては、当接状態も含む)。
この各突出部8は、図1に示すように、隣り合うもの同士が互いに間隔をあけつつ他方の板材3に沿って、図1中、Y方向に延ばされており、その隣り合う突出部8は、その両者間に区画空間10を形成している。この各区画空間10は、突出部8同様、その延び方向であるY方向に延びており、その区画空間10の断面は、全体(全長)を通じて一定にされている。また、各区画空間10の延び方向両端は、図示を略す閉塞部材により閉塞されており、各区画空間10は、一方の板材2に向けてのみ開口されている。このため、各区画空間10は、絞られた状態となっている。
上記各区画空間10は、その延び形状が、低・中周波数音以上(100Hz以上)で共鳴を起こして所定の定常波を生じるように設定されている。具体的には、図4に示すように、反射端(固定端)となる区画空間10の閉塞端面の幅方向長さをb、高さをh、全長をLとし、共鳴を図りたい音の周波数の波長をλとすると、L=1/2・λ・nとする関係(全長Lが半波長の整数倍の場合に共鳴が起こって定常波を生じる関係)があることから、その関係に基づき区画空間10の全長Lが設定されている。より具体的に述べれば、本実施形態においては、共鳴を100Hz以上で起こすようにすべく、上記関係式に基づき、L=43cm前後と設定されている。勿論この態様以外にも、例えば800Hz以下の任意の周波数で共鳴させる態様を採ることができ、そのような場合には、L≧21cm(800Hzで共鳴する長さ)のLを設定する必要がある。ここで、nは定常波の腹の数で、n=1,2,3・・・・である。また、本実施形態においては、この区画空間10の幅方向長さb及び高さhについて、共鳴を多方向に生じさせずに「明瞭な共鳴」にする観点から、共鳴を図りたい周波数の波長の1/8倍以下、すなわちb≦1/8・λ、h≦1/8・λが設定され、さらには、各区画空間10の扁平率について、各区画空間10の延び方向への粒子速度を増大させる観点から、h/L<50%、b/L<50%が設定されている。これにより、各区画空間10内においては、低・中周波数音以上(100Hz以上)で共鳴が起こって所定の定常波が生じることになり、これに基づき粒子速度が増大される(媒質である空気が大きく振動)。尚、このような区画空間10を区画する突出部8の全体積については、吸音材5の吸音性能が関係するが、これについては後述する。
前記吸音材5は、図1,図2に示すように、前記各区画空間10内において、前記振動部7に面するようにしてそれぞれ配置されている。具体的には、吸音材5は、天然繊維、合成繊維等の繊維を用いて、突出部8の突出長さよりも長い厚みをもった成形体として形成されており、その吸音材5の上部側が各区画空間10の内壁に接着剤等により保持されている一方、その吸音材5の下面が、区画空間10から突出して振動部7に臨んでいる。このとき、吸音材5の下面は、薄肉化された振動部7(一方の板材2)から若干、離間されており(振動部7の形成に伴って形成された凹所内に遊嵌状態)、その吸音材5の配置に基づき、一方の板材2が微振動することが妨げられないことになっている。勿論この場合、一方の板材2の微振動に実質的な支障を与えない限り、振動部7に吸音材5の下面を軽く当接させてもよい。
この吸音材5としては、低・中周波数音(100〜800Hz)から高周波数音(1kHz〜10kHz)までのいずれの周波数音についても吸音できるものが用いられている。具体的には、この吸音性能を確保すべく、流れ抵抗が、流れ抵抗≧ 3.3×104、ヤング率が1.2×103〜2.0×104、損失係数が、損失係数≦0.12とされたものが用いられている。
図5は、上記吸音材(本件吸音材)5の吸音性能を具体的に示したものである。この場合、図5においては、比較例に係る吸音材として、A,Bが用いられ、本件吸音材に属する吸音材として、Cが用いられた。具体的に図6をもって説明すれば、吸音材Aは、高周波音用吸音材(現在における高性能品)であり、この吸音材Aは、流れ抵抗に関しては上記吸音材5の範囲に属するものの、ヤング率及び損失係数については上記吸音材5の範囲から外れている。吸音材Bは、低・中周波数音用吸音材(現在における高性能品)であり、この吸音材Bは、ヤング率及び損失係数については、吸音材5の範囲に属するものの、流れ抵抗については、吸音材5の範囲から外れている。吸音材Cは、吸音材5の範囲に属する具体例であり、その流れ抵抗、ヤング率及び損失係数のいずれもが吸音材5の範囲に属している。この図5の結果によれば、吸音材Cは、低・中周波数音帯(100〜800Hz)において、吸音材B(低・中周波数音用吸音材として現在高性能品)よりも吸音率が高くなると共に、高周波数音帯(1kHz以上)においても、吸音材A(高周波数音用吸音材として現在高性能品)よりも吸音率が高くなり、全周波数音領域において、吸音材Cが、吸音特性に関し、格段に優れている結果を示した。
前記吸音空間4内への前記吸音材5の配置に関しては、吸音空間4に対する吸音材5の充填率(吸音材5の体積/吸音空間4の体積)が考慮されている。低・中周波数の音低減効果代と吸音材5の充填率との関係を、吸音材5を吸音空間4に略均等の厚みをもって配置する前提の下で調べたところ、図7の結果を得た。この図7によれば、音低減効果に関し、充填率が53%から飽和状態に移行し、充填率が75%以上では音低減効果代はほぼ一定となった。このため、吸音性能を考慮し、吸音空間4内に対する吸音材5の充填率は53%以上に設定される一方、吸音空間4内に突出する突出部8の全体積は、吸音空間4(突出部8の全体積を省いた体積)の体積に対して47%未満に設定されている。尚、充填率100%は、吸音空間4内にその厚さ方向において吸音材5が圧縮されることなく一杯に充填された状態である。
前記吸音空間4については、粒子速度の水平速度成分の割合を増大させるべく、扁平率が考慮されている。吸音空間4の扁平率が粒子速度の速度成分の方向に与える影響を調べるべく、図8において、左右方向をX方向、紙面直交方向をY方向、上下方向をZ方向として、吸音空間4を、Y方向の長さを一定にした状態の下で、Z方向の長さとX方向の長さとの比(扁平率)Z/Xをもって特定した。そして、扁平率Z/Xを変えて、一方の板材2の微振動に基づいて発生する粒子速度のX,Y,Z方向の各速度成分Vp(X),Vp(Y),Vp(Z)の割合について調べたところ、図8に示す結果を得た。この図8に示す結果によれば、扁平率Z/Xが50%以下であれば、Z方向の速度成分がほとんど発生せず、大部分がX,Y方向の速度成分Vp(X),Vp(Y)により占められることを示した。このため、吸音空間4については、後述の第10実施形態を除き、基本的に、扁平率が50%以下に設定されている。
したがって、このような吸音構造1においては、各突出部8先端面と一方の板材2(面)との間に、図9のS部分に示すように、若干、隙間9があけられているにすぎず(図9においても誇張表示)、人が一方の板材2に外力を加えても、各突出部8がその一方の板材2を支えてその撓みを規制することになり、その外力を加えた者が違和感を感じることはなくなる。
また、この吸音構造1においては、高周波数音(1kHz以上)の吸音に関しては、高周波数音に対しても吸音能力を有する吸音材5が吸音する一方、低・中周波数音(100〜800Hz)に関しては、一方の板材2の微振動により吸温空間4内に伝播された音を前記吸音材5が吸音することになる。すなわち、各突出部8先端面と一方の板材2(面)との間に隙間9があけられて、一方の板材2が低・中周波数音(100〜800Hz)に基づき微振動可能とされており、外部から一方の板材2に音(低・中周波数音)が入力されると、一方の板材2が微振動することになり、その微振動に基づき音が扁平な吸音空間内4内に伝播され、その吸音空間4内において、粒子速度が一方の板材2に沿って分布する現象が生じる。これにより、吸音空間4内の粒子速度は増大され、それに基づき音(低・中周波数音)は吸音空間4内の吸音材5に吸収される。特に本実施形態においては、各振動部7が、固定部6の剛性に比べて格段に低い剛性、すなわち可撓性を有するようにされて、低・中周波数音に対して微振動し易くなっており、その微振動に基づき吸音空間4内の粒子速度の水平方向成分はさらに増大される。このため、低・中周波数音の吸音効果は、基本的に高いものとなる。
図42は、吸音構造1における一方の板材2の振動部12等に関する上記内容を裏付けるべく、低・中周波数音(100〜800Hz(具体的には60km/hロードノイズ))の下で、板材の剛性と吸音効果との関係を調べたものである。この図42によれば、板材の剛性が低ければ低いほど、低・中周波数音の吸音効果が大きくなることを示し、上記内容が確認された。この場合、各サンプルとしての板材(一方の板材2)の剛性の評価については、図43に示すように、板材50の一端部を固定用重り51により台52上に固定する一方、その板材50の他端部を負荷用重り(一定荷重)53により撓ませ、その撓み変位xが大きいものほど剛性が低いと評価した。
これに対して、高周波数音の吸音効果に及ぼす一方の板材2の振動部7の影響をも調べるべく、高周波数音の吸音効果と一方の板材2の剛性との関係を調べた。図41がその結果を示すものであるが、図41によれば、高周波数音に関しては、剛性の相違が吸音代に与える影響が小さいことを示した。このため、低・中周波数音に対する吸音効果を高めるために振動部7を設け或いはその剛性を低めても、高周波数音の吸音効果の低下が極めて低く抑えることが確認された。尚、図41中、「通気性のある板」、「通気性のない板」とは、通気性のある一方の板材2と、通気性のない一方の板材2とを用いて実験したことを示している。
また、この第1実施形態においては、各区画空間10が一方の板材2側に対して絞り形状とされている。このため、吸音空間4内の粒子速度は、その絞り形状に基づきさらに増大され、それが吸音材5に吸収される。しかもこのとき、各区画空間10においては、所定の低周波数以上の周波数音が共鳴を起こして、区画空間10の延び方向に延びる所定の定常波が生じることになり、この点からも、各区画空間10の延び方向において粒子速度が増大される(媒質である空気が大きく振動)。それが、各区画空間10に配置される吸音材5に吸収される。このため、絞り効果、共鳴効果等を利用した複合的な結果が得られることになり、吸音性能(特に低・中周波数音の吸音性能)は、一段と高まることになる。
図10は第2実施形態、図11は第3実施形態、図12〜図14は第4実施形態、図18は第5実施形態、、図19は第6実施形態、図20は第7実施形態、図21は第8実施形態、図22,図23は第9実施形態、図24,図25は第10実施形態、図26〜図32は第11実施形態、図33〜図37は第12実施形態、図38〜図40は第11実施形態を示す。この各実施形態において、前記第1実施形態と同一の構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
図10に示す第2実施形態は、前記第1実施形態の変形例を示す。この第2実施形態においては、各突出部8における先端部8aよりも基端側(図10中、上端側)が、該各突出部8の幅方向(図10中、左右方向)において、該各突出部8の先端部8aよりも薄肉化されている。これにより、各突出部8における先端部8aよりも基端側において、その幅方向両側における区画空間10の体積が、薄肉化した分だけ、増大することになり、これに伴って、その各区画空間10に充填する吸音材5の充填量が増大されている。このため、各突出部8の先端部(先端面)8aによる外力の受け止め面積を維持しつつ、吸音材5の充填量増加に基づき吸音性能を高めることができる。尚、この第2実施形態においては、吸音材5の下端面が、一方の板材に微振動に支障を与えないように軽く当接されている。
図11に示す第3実施形態は、前記第2実施形態の変形例を示す。この第3実施形態においては、各突出部8の先端面と一方の板材2面との間に弾性部材(例えばゴム片)11が介在されている。この弾性部材11は、本実施形態においては、突出部8の先端面に取付けられており、弾性部材11は、突出部8の延び方向(区画空間10の延び方向)全体に亘って延びている。この弾性部材11は、その先端が、突出部8の延び方向全長に亘って一方の板材2(面)に圧縮することなく軽く当接した状態となっており、各突出部8の先端面と一方の板材2面との間の隙間9は弾性部材11により遮蔽され、各区画空間10は、閉空間とされている。また本実施形態において用いられる弾性部材11は、上述の内容に加えて、その剛性が、1.2×105(N/m2)以下とされており、剛性はかなり低くなっている。このため、この第3実施形態においては、一方の板材2の微振動の低下を抑制しつつ、各突出部8と一方の板材2との間に隙間9が形成される場合よりも粒子速度の共鳴系を崩しにくくして、吸音性能を高めることができる。
図12〜図14に示す第4実施形態は、前記第1実施形態の変形例を示す。この第4実施形態においては、各突出部8に、複数の連通孔12が、その延び方向に間隔をあけて形成されている。各連通孔12は、各突出部8の幅方向(図12中、左右方向)両側における区画空間10を連通しており、その各連通孔12の両端を開放端として、各連通孔12は、所定の周波数(例えば1700Hz以上の周波数音)が共鳴を起こすように設定されている。具体的には、反射端となる連通孔12の開放端面の幅方向長さをb、高さをh、全長をLとし、共鳴を図りたい音の周波数の波長をλとすると、L=1/2・λ・nなる関係(連通孔12の全長Lが半波長の整数倍の場合に共鳴が起こって定常波を生じる関係)があることから、その関係に基づき連通孔12の全長Lが設定されている。この場合、nは、定常波の腹の数で、n=1,2,3・・・・である。また、連通孔12の幅方向長さb及び高さhについては、上記共鳴系を崩さないようにすべく、共鳴を図りたい周波数の波長の1/8倍以下、すなわちb≦1/8・λ、h≦1/8・λと設定されている。これにより、各連通孔12内においては、図14に示すように、共鳴が起こって定常波が生じ、その定常波における粒子速度の最も速い部分(波の腹の部分)を連通孔12の両開放端(開口)に位置させることができる。これが、連通孔12の両開放端に臨む吸音材5に入り込むことになり、その粒子速度に基づき音は効果的に吸音材5に吸収される。このため、前述の各区画空間10における絞り効果、共鳴効果に加えて、各突出部8における連通孔12の共鳴効果をも利用して吸音を図ることができ、吸音性能を著しく高めることができる。この場合、各区画空間10における共鳴の周波数と、連通孔12の両開放端で生じる周波数とが重ならないようにするのが好ましい。
前記吸音構造1は、車両ルーフ部に用いることができる。
車両21の車体22内には、図15に示すように、車室23が区画されており、その上方には、車室23を内装すべく、ルーフトリム2Aが配設されている。このルーフトリム2Aは、その上方に離間して配置されるルーフパネル3Aに略沿った状態で配設されており、そのルーフトリム2Aとルーフパネル3Aとの間には空間4Aが形成されている。このような車両21においては、図15に示すように、走行中、車体22に対して、路面の凹凸が車輪24,サスペンション等を介して振動として入力されると共に、風圧変動が振動として入力され、それらは、そのままルーフトリム2Aに伝達される。また、路面から車体22に入力された振動は、車室23内に音波として伝達され、さらには、隙間音や透過音等も車室23内に入力されることになり、それら音波(周波数100〜800Hz)はルーフトリム2Aに衝突することになっている。
このため、このような車両21における音伝達に鑑み、車両21のルーフ構造に吸音構造1を適用するに当たって、振動板部材(一方の板材2)としてルーフトリム2A、吸音空間4として、ルーフパネルとルーフトリムの間の空間4Aが利用される。尚、ルーフトリム2Aを振動板部材として利用するに際しては、前述の構成(固定部6、振動部7を有する構成)が付加される。以下、このことを前提に、具体的に適用例について説明する。
ルーフ構造は、図16,図17に示すように、ルーフパネル3Aの内面側において、幅方向両側に左右一対のルーフレール25、ルーフパネル3Aの前側にはフロントヘッダ26、ルーフパネル3Aの後側にはリアヘッダ27が設けられ、フロントヘッダ26よりも後方側に、一対のルーフレール25を連結するルーフレイン28〜30が間隔をあけて配設されている。図18(第5実施形態)は、このような構造の下に、第1実施形態に係る吸音構造1を適用した例を示す。この第5実施形態においては、フロントヘッダ26とリアヘッダ27との間に複数の突出部8が間隔をあけて順次、配設され、その各突出部8の両端部は、一対のルーフレール25に連結されている。これにより、隣り合う突出部8間に区画空間10が形成され、その各区画空間10内に吸音材5が配置されている。この場合、突出部8としては、他方の板材3を含めて樹脂等により一体成形したもの(成形品)、ルーフパネルに取付け又は形成するものを用いることができ、さらには既存のルーフレイン28,29,30等を適宜、利用することができる。これにより、車体22からの振動、車室23内からの音波に基づき、ルーフトリム2Aが微振動すると、それに基づき音が吸音空間4A内の空気に伝播され、吸音空間4Aにおいて、粒子速度(水平速度成分も含む)は増大される。しかもこの場合、前記第1実施形態で説明した如く、各区画空間10による絞り効果及び共鳴効果に基づき、粒子速度は効果的に吸収されることになり、特に低・中周波数音の吸音性能は高まる。勿論、高周波数音については、吸音材5の高い吸音性能に基づき吸音される。この場合、この適用例においては、各区画空間10の延び長さが等しいから、ほぼ同じ周波数音に対して吸音を発揮でき、また、各突出部8等が一対のルーフレール25を跨ぐように延びて各区画空間10の延び方向長さが比較的長く確保されていることから、比較的低い周波数音まで吸音できる。
図19(第6実施形態)〜図21(第8実施形態)は、前記第5実施形態同様、車両21ルーフ部への第1実施形態に係る吸音構造1の適用例を示すものであり、その各構成は、突出部8、区画空間10、吸音材5の配置を変えただけである。図19に示す第6実施形態においては、各区画空間10、吸音材5等を前後方向に延ばすようにしている。これにより、第1実施形態と同様の作用効果を生じるだけでなく、フロントヘッダ26の湾曲形状、さらには区画空間10が前後方向にルーフレイン28〜30により分断されていることに基づき、区画空間10として、その延び長さが複数種類からなるものを用意することができ、複数の周波数音の吸音に効果を発揮できる。特にこの場合、ルーフレイン28と29との間、29と30との間において、区画空間10の延び方向長さを短くできることから、比較的高い周波数音に対して吸音効果を発揮できる。
図20に示す第7実施形態においては、突出部8、区画空間10、吸音材5は、前部、後部領域においては、その各延び方向が前後方向に向くように配置され、前後方向中央部領域においては、その各延び方向が左右方向(図20中、上下方向)に向くように配置されている。この場合、風騒音等の高周波数音の寄与が高い個所は、突出部8、区画空間10、吸音材5の各延び長さが短く設定される。
図21に示す第8実施形態においては、突出部8、区画空間10、吸音材5は、その延び方向が、前後方向中央を基準として対称的に斜めを向くように配置されている。これにより、突出部8、区画空間10、吸音材5の各延び長さを複数種類とすることができ、複数の周波数音の吸音に対して効果を発揮できる。しかもこの場合、突出部8、区画空間10、吸音材5の斜め配置に基づき、区画空間10の延び方向長さとして比較的長いものを用意できることになり、比較的低い周波数音の吸音に対しても効果を発揮できる。
図22,図23に示す第9実施形態は、第4,第5実施形態の変形例を示す。この第9実施形態においては、前述の第5実施形態の構成に加えて、各突出部8等に、共鳴効果を発揮する連通孔12が形成され、それらが、斜めの状態をもって配列されている。図22中の矢印は、複数の連通孔12を通って進む音波の進行状態を示す。この場合、各連通孔12で共鳴し易くするため、図23に示すように、連通孔12の開口縁部にガイド部材13を設けることが好ましい。尚、勿論、このような連通孔12に基づく共鳴効果(第4実施形態)を前述の第5〜第8実施形態の構成に適用してもよい。
図24,図25は、第10実施形態に係る吸音構造1を示している。この吸音構造1においては、各突出部8が、一方の板材2に向けた状態で他方の板材3に取付けられており、その形状は、先端側(一方の板材2側)形状が滑らかではあるものの急激に基端側(他方の板材3側)形状よりも拡径されるもの(いわゆるラッパ状)とされ、その先端は一方の板材2(面)に当接されている。この突出部8の内部には区画空間10が形成されており、その区画空間10は、突出部8の突出方向に延び、その区画空間10の断面(内径)は、突出部8の外形形状に対応して、その基端側断面が先端側断面(開口)よりも格段に小さくされている(絞り形状)。この各突出部8内部の区画空間10内には、本実施形態においては、主として低・中周波数音を吸音すべく、低・中周波数音吸音特性を有する吸音材5Aが配置されており、その吸音材5Aは、一方の板材2から離間されている。また、各突出部8は、非通気部材により形成されて、高周波数音を反射させる機能を有するようにされている一方、そのような各突出部8の外周側には、先端部よりも基端側において、高周波数音用吸音材5Bが配置されている。上記低・中周波数音用吸音材、高周波数音用吸音材5A,5Bとしては、例えば図25に示すものを用いられる。
このような吸音構造1においては、音が一方の板材2に入力されて、一方の板材2が微振動すると、その微振動は、吸音空間4内の空気粒子に伝達され、粒子速度が発生、増大する。この空気粒子は、突出部8内の区画空間10内壁により基端側に向くように案内され、そこでの絞り形状に基づき、その粒子速度は一層、増大される。このような状態の音を突出部8内(区画空間10内)の吸音材5Aが吸収することになり、低・中周波数音の吸音効果が高められる。このとき、吸音材5Aが一方の板材2から離間されて、その吸音材5が一方の板材2の微振動を妨げない一方、各突出部8の先端部8aが一方の板材2に当接されて、その先端開口内に臨む微振動を区画空間10内に音として効率良く伝播することから、上述の低・中周波数音の吸音効果は確実なものとなる。
一方、高周波数音については、他方の板材3側から入力されることを考慮して、各突出部8の外周側に高周波数音用吸音材5が配置されており、このとき、各突出部8の基端側が先端側よりも絞られている形状に基づき、他方の板材3側に臨む高周波数音用吸音材5の配置量は増大されている。このため、高周波数音が、直接、高周波数音用吸音材5に入り込む確率を高めて、高周波数音の吸音性能を高めることができる。また、高周波数音が高周波数音用吸音材5に入り込んで吸音材5を通過した後においても、非通気部材からなる突出部8の形状に基づき、高周波数音が反射され、それを、再度、各突出部8周囲の高周波数用吸音材5が吸収することになる(図24中、高周波数音用吸音材5B内の矢印参照)。
図26〜図32に示す第11実施形態は、前記第10実施形態の変形例を示す。この第11実施形態においては、第10実施形態に係る複数の突出部8を集合させてユニット14が形成されている。このユニット14は、各突出部8の基部が他方の板材3に取付けられ、その各突出部8の先端部は、隣り合うもの同士が一体化されて、ユニット14の先端側開口端面として機能することになっている。このユニット14の先端側開口端面としては、各突出部8の先端開口を、三角形としたもの(図27,図28参照)、四角形としたもの(図29,図30参照)、六角形したもの((図31,図32参照)等が用いられる。また、各突出部8内(区画空間10内)には、低・中周波数音用吸音材5Aが配置され、隣り合う突出部8間には高周波数音用吸音材5Bが配置されている。この吸音構造1は、基本的に、前記第10実施形態と同じであるが、特に、エンジンアンダーフロア、フロアマット、トップシーリング(ルーフトリム)、ダッシュインシュレーター、トランクマット等に適用するのが好ましい。
図33〜図37に示す第12実施形態は、前記第4実施形態の変形例を示す。この第12実施形態においては、各突出部8が柱状に形成され、その各突出部8に連通孔12がそれぞれ形成されている。連通孔12は、その連通孔12の両端を開放端として、共鳴を起こすように設定されており、その共鳴を起こすための連通孔12の寸法については、第4実施形態の場合と同様になっている。また、各突出部8の外周側の全体空間には、吸音材5が充填されており(図33では図示略)、その吸音材5は、各突出部8における連通孔12の両開放端に臨むことになっている。
これにより、各連通孔12内においては、共鳴が起こって定常波が生じ、その定常波における粒子速度の最も速い部分(波の腹の部分)を連通孔12の両端開口に位置させることができる。このような状態の音が連通孔12の両端開口に臨む吸音材5に入り込み、その際の粒子速度(振動エネルギ)は効果的に吸音材5に吸収される。この場合、突出部8の周面が円柱状のように曲面とされているときには、図34〜図35に示すように、突出部8の連通孔12の開口周縁部にガイド部15を設け、連通孔12の両開放端(開口)が平坦面から外部に開口するようにすることが好ましい。共鳴が崩れにくくするためである。
この場合、連通孔12の中で共鳴を生じさせるためには、音波が連通孔2内に伝わり易くすべく、連通孔12の軸心延び方向(一方の板材2に沿う方向)に対応して、吸音空間4内の粒子速度を一方の板材2に沿うようにすることが好ましい。このため、前述の吸音空間4の扁平率を一定以下としたり、一方の板材2に振動部7を設ける等して、粒子速度の水平速度成分を増大したりすることが好ましい。
また、この第12実施形態においては、前記第1実施形態に係る吸音構造1の場合に比して、突出部8全体の体積を格段に少なくすることができ、その残りの広い空間に吸音材5を充填することができる。このため、吸音材5の充填量(配置量)を増やして、その増えた吸音材5に基づき吸音性能を高めることができる。したがって、この実施形態において用いる吸音材5としては、低・中周波数音から高周波数音にまで効用のあるもの(例えば第1実施形態で示したもの)が好ましい。
図38〜図40に示す第13実施形態は、前記第12実施形態の適用例を示すもので、前記第5実施形態等と同様、車両21のルーフ構造に当該吸音構造1が適用されている。このため、この第13実施形態において、第5実施形態等と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
この第13実施形態においては、フロントヘッダ26、リアヘッダ27、一対のルーフレール25で囲まれる領域において、ルーフパネル3A側から複数の突出部8が突出されている。この複数の突出部8は、図38に示すように、方々にまばらに配置されており、その各突出部8の外周側の全空間には、吸音材5が配置されている。これにより、このような吸音構造1を適用した車両21においても、前述の第12実施形態同様、各突出部8における連通孔12内の共鳴効果(図39,図40参照)、吸音材5の充填量(配置量)増大に基づき、吸音性能を高めることができる。
当該吸音構造1の適用については、車両21においては、ルーフ部以外にも、サイドドア、フロアアンダカバー部分、エンジンルームの下方部分、トランクサイドルーム、トランクフロア等に適用することができ、車両21以外についても、建物の壁面構造、高速道路の側壁構造等に適用できる。このとき、振動板部材(一方の板材2)を構成する部材は、吸音空間4を形成する他方の部材に対して内側配置となる。
第1実施形態に係る吸音構造1を説明する説明図。 一方の板材(振動板部材)における固定部、振動部を説明する図。 一方の板材の微振動に基づき、吸音空間内において粒子速度が増大されることを説明する説明図。 区画空間における共鳴を説明する説明図。 吸音材の吸音性能を示す図。 図5において用いた吸音材の物性値を示す図。 音低減効果代と吸音空間への吸音材の充填率との関係を示す図。 吸音空間の扁平率と粒子速度の各速度成分の割合との関係を示す図。 第1実施形態に係る吸音構造における作用を説明する説明図。 第2実施形態に係る吸音構造を示す説明図。 第3実施形態に係る吸音構造を示す説明図。 第4実施形態に係る吸音構造を示す説明図。 図12のX13−X13線拡大断面図。 図12の縦断面図。 車両における音伝達を説明する説明図。 ルーフ構造を側方側から見た図。 ルーフ構造を内面側から見た図。 第5実施形態を示す図。 第6実施形態を示す図。 第7実施形態を示す図。 第8実施形態を示す図。 第9実施形態を示す図。 連通孔両端における好ましい構成を説明する説明図。 第10実施形態を説明する説明図。 第10実施形態に用いられる吸音材の具体例を示す図。 第11実施形態を説明する説明図。 第11実施形態におけるユニットの先端側開口形状例を模式的に示す図。 第11実施形態におけるユニットの先端側開口形状例を模式的に示す図。 第11実施形態におけるユニットの先端側開口形状例を模式的に示す図。 第11実施形態におけるユニットの先端側開口形状例を模式的に示す図。 第11実施形態におけるユニットの先端側開口形状例を模式的に示す図。 第11実施形態におけるユニットの先端側開口形状例を模式的に示す図。 第12実施形態を説明する説明図。 第12実施形態に係る突出部の正面図。 図34の右側面図。 図34の平面図。 図34のX37−X37拡大線断面図。 第13実施形態を説明する説明図。 図38のX39−X39拡大線断面図。 図38のX40−X40拡大線断面図。 高周波数音の吸音効果に対して剛性が及ぼす影響を示す図。 低・中周波数音の吸音効果に対して剛性が及ぼす影響を示す図。 図42において用いたサンプルとしての板材の剛性評価方法を説明する説明図。
符号の説明
1 吸音構造
2 一方の板材
2A ルーフトリム
3 他方の板材
4 吸音空間
5 吸音材
5A 低・中周波数音用吸音材
5B 高周波数音用吸音材
7 振動部
8 突出部
10 区画空間
12 連通孔
13 ガイド部材
15 ガイド部


Claims (17)

  1. 対向する一対の板材により該一対の板材間に吸音空間が形成され、該吸音空間内に吸音材が配置され、前記一対の板材のうちの一方の板材が、振動可能とされた振動板部材とされている吸音構造において、
    前記一対の板材のうちの他方の板材側から前記一方の板材に向けて複数の突出部が突出され、
    前記複数の突出部が、前記一方の板材に対して前記振動として微振動を許容するように設定されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  2. 請求項1において、
    前記複数の突出部が、前記一方の板材に向けて開口する複数の区画空間を形成するように設定され、
    前記各区画空間内に、前記吸音材がそれぞれ充填されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  3. 請求項2において、
    前記複数の突出部は、隣り合うもの同士が互いに間隔をあけつつ前記他方の板材に沿って延ばされ、
    前記各区画空間が、前記複数の突出部における隣り合う突出部間により形成されていると共に、該各区画空間の延び形状が、所定の周波数以上の周波数音が共鳴を起こすように設定されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  4. 請求項3において、
    前記各突出部における先端部よりも基端側が、該各突出部の幅方向において、該各突出部の先端部よりも薄肉化されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  5. 請求項3において、
    前記各突出部と前記一方の板材との間に、弾性部材が介在されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  6. 請求項3において、
    前記各突出部に、該各突出部の幅方向両側における区画空間に連通する連通孔がそれぞれ形成され、
    前記各連通孔が、該各連通孔の両端を開放端として、所定の周波数以上の周波数音が共鳴を起こすように設定されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  7. 請求項2において、
    前記区画空間が、前記各突出部の内部において、該各突出部の突出方向に延びるようにしてそれぞれ形成され、
    前記各区画空間の基端側断面が、該区画空間の先端側開口断面よりも小さくされ、
    前記各突出部内部の区画空間内に、前記吸音材として、低・中周波数音吸音特性を有する吸音材が配置されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  8. 請求項7において、
    前記各突出部が、非通気部材を用いて形成され、
    前記各突出部の外周側に、吸音材として高周波数音用吸音材が配置されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  9. 請求項7において、
    前記突出部先端が、前記一方の板材に当接され、
    前記吸音材が、前記一方の板材から離間されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  10. 請求項1において、
    前記各突出部が、柱状に形成され、
    前記各突出部に、該各突出部の側部を貫通する連通孔がそれぞれ形成され、
    前記各連通孔が、該各連通孔の両端を開放端として、共鳴を起こすように設定され、
    前記各突出部における連通孔の両開放端に前記吸音材が配置されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  11. 請求項10において、
    前記各突出部の外周側の空間全体に前記吸音材が充填されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  12. 請求項10において、
    前記各突出部が、前記連通孔の両開放端が平坦面から外部に開口するように形成されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  13. 請求項1において、
    前記吸音材が、前記吸音空間内に、該吸音空間の厚み方向において略充填状態をもって配置されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  14. 請求項1又は13において、
    前記一方の板材が、低・中周波の波動によって微振動可能な振動部を備える振動板部材とされ、
    前記振動板部材の振動部が、該振動板部材の振動部以外の部分の剛性よりも低い剛性に設定されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  15. 請求項1,13,14のいずれか1項において、
    前記一方の板材が、既存の構造物の構成部材である内側部材を利用して形成されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  16. 請求項15において、
    前記一方の板材が車両のトリムである、
    ことを特徴とする吸音構造。
  17. 請求項16において、
    前記トリムが、ルーフトリムである、
    ことを特徴とする吸音構造。





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