JPH11338476A - 吸音構造体 - Google Patents

吸音構造体

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JPH11338476A
JPH11338476A JP10141131A JP14113198A JPH11338476A JP H11338476 A JPH11338476 A JP H11338476A JP 10141131 A JP10141131 A JP 10141131A JP 14113198 A JP14113198 A JP 14113198A JP H11338476 A JPH11338476 A JP H11338476A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い周波数帯域の騒音に対する有効な吸音性
能を有すると共に、吸音効果の大きな吸音構造体とす
る。 【解決手段】 第一の吸音構造体1は、吸音材12によ
り形成された各ヘルムホルツ共鳴器14の共鳴洞14a
の容積と、オリフィス孔14bの内周の空気塊の質量に
より共鳴周波数をチューニングする。第二の吸音構造体
2は、第一の吸音構造体1の振動板11を弾性体16を
介して取付対象面10に弾性的に浮上支持した構造を有
し、振動板11及び吸音材12の質量と、弾性体16及
び空気バネ17aのバネ定数とによって、ヘルムホルツ
共鳴器14よりも低い周波数帯域に共鳴周波数をチュー
ニングする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防音壁等による防
音技術において、ヘルムホルツ共鳴器により音を共鳴吸
収する吸音構造を有するものに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の吸音構造体の典型的な従来技術
が、例えば特開平4−225398号公報に開示されて
いる。この吸音構造体は、音源であるエンジンの下側に
設けられた振動板(アンダーカバー)の上面(エンジン
側)に、多数のヘルムホルツ共鳴器を配置したものであ
り、すなわち図6にその一部を示すように、振動板10
0の音源側に吸音材200が添着され、この吸音材20
0に隆起形成された中空凸部202の頂部にオリフィス
孔203を開設した構造の、大きさが異なる多数のヘル
ムホルツ共鳴器201を備えている。
【0003】この種の吸音構造体は、各ヘルムホルツ共
鳴器201が、中空凸部202の内部共鳴洞202aに
おける空気バネのバネ定数と、オリフィス孔203の内
周の気柱の質量に応じた共鳴周波数(吸音周波数)fを
有し、ヘルムホルツの共鳴理論によって、音源からの特
定周波数帯域の音を取り込んで共鳴吸収するものであ
る。すなわち、中空凸部202内の共鳴洞202aの容
積をV、オリフィス孔203の開口面積をS、オリフィ
ス孔203の長さをL、音速をcとした場合、中空凸部
202による共鳴周波数fは、次の(1)式;
【数1】 により求められる。また、共鳴洞202aの容積Vによ
る空気バネのバネ定数をk、空気の密度をρとすると、
中空凸部202による共鳴周波数fは、次の(2)式;
【数2】 で表される。したがって、共鳴周波数fを低い周波数帯
域にチューニングするには、上記(1)(2)式から、
オリフィス孔203の長さLを大きくすることによって
オリフィス孔203の内周の空気塊の質量SLρを大き
くしたり、共鳴洞202aの容積Vを大きくすれば良
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
においては、ヘルムホルツ共鳴器201は空気のみで共
振系を構成するものであり、しかもオリフィス孔203
の長さLは中空凸部202の肉厚tと同等の短いもので
あるため、その内周の空気塊の質量SLρを大きくする
ことが困難である。また、中空凸部202の高さを高く
することによって共鳴洞202aの容積Vを大きくする
ことも成形上の限界がある。このため、吸音周波数を低
周波数帯域にチューニングすることが事実上困難である
といった問題が指摘される。
【0005】すなわち、ヘルムホルツ共鳴器201によ
る有効な吸音周波数帯域は、一般に約800〜4,00
0Hzであり、車両のエンジンルーム等の防音手段とし
ては適しているが、800Hz以下の低い周波数帯域の
騒音に対する防音対策、例えば道路や鉄道における防音
壁への適用には不向きであった。
【0006】したがって本発明が解決しようとする主な
技術的課題は、広い周波数帯域の騒音に対する有効な吸
音性能を有すると共に、吸音効果の大きな吸音構造体を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した技術的課題を有
効に解決するための手段として、本発明に係る吸音構造
体は、第一の吸音構造体と、この第一の吸音構造体に音
の入力方向に対して直列に連結された第二の吸音構造体
とからなるものである。前記第一の吸音構造体は、振動
板に吸音材によって共鳴洞及びこの共鳴洞を音源側へ開
放するオリフィス孔を有する複数のヘルムホルツ共鳴器
が形成されており、前記第二の吸音構造体は、前記第一
の吸音構造体を取付対象面に弾性的に浮上支持する弾性
体と、前記第一の吸音構造体と取付対象面との間の空気
層よりなる空気バネと、を有するものである。
【0008】本発明の構成においては、第一の吸音構造
体は先に説明した従来の吸音構造体と同様、各ヘルムホ
ルツ共鳴器が、共鳴洞の容積による空気バネのバネ定数
と、オリフィス孔の内周の気柱の質量に応じた共鳴周波
数を有し、音源からの特定周波数帯域の空気伝送音を取
り込んで共鳴吸収するものである。また、前記第一の吸
音構造体が空気のみによる共振系を構成するものである
のに対し、第二の吸音構造体は、前記第一の吸音構造体
の質量と、これを弾性的に支持する弾性体及び空気バネ
による共振系を構成するものである。このため前記ヘル
ムホルツ共鳴器よりも低い周波数帯域に共鳴周波数をチ
ューニングして、第一の吸音構造体により吸音可能な周
波数帯域よりも低周波数の音を有効に吸収することがで
きる。
【0009】また、第一の吸音構造体と第二の吸音構造
体は、第一の吸音構造体が第二の吸音構造体の振動系の
一部を構成するといった、音の入力方向に対して互いに
直列に連結された関係にあるため、全体として、それぞ
れの吸音特性の重ね合わせ作用によって、個々の吸音効
果よりも優れた吸音効果が発揮される。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る吸音構造体
の好ましい一実施形態を示すものである。この図1にお
いて、参照符号11は方形状の振動板、参照符号12は
この振動板11の音源側の面に固定手段13によって定
着された吸音材である。
【0011】吸音材12は例えばポリプロピレン等の合
成樹脂板からなるものであって、振動板11との間に共
鳴洞14aを画成する多数の中空凸部12aが形成され
ている。また、これら各中空凸部12aの頂部壁面12
bには、前記各共鳴洞14aを音源側の空間に開放する
オリフィス孔14bが開設されており、これによって、
振動板11の音源側の面に多数のヘルムホルツ共鳴器1
4が配置された第一の吸音構造体1が構成されている。
【0012】ヘルムホルツ共鳴器14を形成している吸
音材12の各中空凸部12aは、平面形状(振動板11
に対する投影形状)がそれぞれ互いに面積の異なる方形
状を呈するものであって、各中空凸部12aの頂部壁面
12bは、図1の断面と直交する方向に対しては互いに
同一高さであると共に、図1に示す断面においては、振
動板11に対して傾斜した同一平面上に形成され、すな
わち各中空凸部12aは、図1における左側から右側へ
向けて漸次高さが減少している。したがって、各中空凸
部12aは互いに異なる内部容積を有し、これによって
画成された各ヘルムホルツ共鳴器14,14,・・・・は、
先に説明した(1)(2)式で求められるように、中空
凸部12aの内部容積とオリフィス孔14bの孔径(面
積)及び長さによって、互いに異なる気柱共鳴周波数
(例えば800〜4,000Hz)にチューニングされ
ている。
【0013】吸音材12は、例えば加熱軟化させた合成
樹脂板を真空成形法によって雌型に押し付けるといった
方法で中空凸部12a,12a,・・・・を形成し、その頂
部壁面12b,12b,・・・・にそれぞれオリフィス孔1
4bを打ち抜き形成することによって製作される。各中
空凸部12a,12a,・・・・の頂部壁面12b,12
b,・・・・は互いに同一平面上に位置するように形成され
るので、オリフィス孔14bの打ち抜き工程において
は、前記各頂部壁面12b,12b,・・・・の音源側とな
る面に平板を当て、互いに同一平面上に配置したポンチ
によって各中空凸部12a,12a,・・・・の内側から打
ち抜くことができる。
【0014】図1において、参照符号10は例えば道路
や鉄道等の左右の路肩に沿って構築される防音壁等にお
いて音源側(前記道路や鉄道側)を向いた取付対象面で
あり、上述のように構成された第一の吸音構造体1は、
この取付対象面10に対して弾性的に浮上支持された状
態に取り付けられている。すなわち前記取付対象面10
には、ケース部材15がその基部フランジ15aに開設
された取付孔に挿通したボルト等の固定手段15bを介
して固定されており、第一の吸音構造体1における振動
板11が、エラストマからなる弾性体16を介して前記
ケース部材15の上端部15cに連結されており、これ
によって第一の吸音構造体1は、前記取付対象面10に
対して適当な高さhをもって浮上支持されている。
【0015】ケース部材15は、平面形状が方形状をな
す振動板11の周縁部11aをその周囲から取り囲むよ
うな箱形を呈するものであり、弾性体16は、このケー
ス部材15の上端内側面と前記振動板11の周縁部11
aとの間に加硫接着等の手段によって一体的に設けられ
ている。また、前記弾性体16の一部16aが膜状に延
びて、ケース部材15の内側面全体に被着されており、
このため、音の伝達等によってケース部材15に励起さ
れた振動が減衰されるようになっている。
【0016】弾性体16は、ケース部材15と振動板1
1の周縁部11aとの間を塞ぐように連続して形成され
ている。このため取付対象面10と振動板11、ケース
部材15及び弾性体16との間には密閉状の空気室17
が画成され、この空気室17内に閉じ込められた空気が
空気バネ17aとして作用する。このため図2に概略的
に示すように、振動板11及び吸音材12を備える第一
の吸音構造体1と取付対象面10の間に弾性体16から
なるバネ系k及び空気室17内の空気からなるバネ系
が介在する第二の吸音構造体2が構成される。すな
わち、この第二の吸音構造体2は、第一の吸音構造体1
の振動板11及び吸音材12を質量体とする共振系を構
成するものであり、音源(例えば道路を走る自動車等)
からの空気伝送音の入射方向に対して、第一の吸音構造
体1と互いに直列的な連結関係にある。
【0017】振動板11及び吸音材12からなる質量
は、第一の吸音構造体1におけるオリフィス孔14bの
内周の空気塊の質量に比較して充分に大きなものであ
る。また、弾性体16は音源からの音の入射による振動
板11の振動変位に対して剪断方向に変位されるため、
バネ系kのバネ定数を充分に小さくでき、空気室17
内の空気によるバネ系kは、取付対象面10に対する
振動板11の支持高さh、言い換えれば空気バネの厚さ
によって、バネ定数を充分に小さくできる。このため、
第二の吸音構造体2の共振周波数は、第一の吸振構造体
1における各ヘルムホルツ共鳴器14の共鳴周波数に比
較して低い周波数帯域、例えば250〜800Hzにチ
ューニングされる。
【0018】すなわちこの実施形態による吸音構造体に
おいて、第一の吸音構造体1は、各ヘルムホルツ共鳴器
14が、音源からの例えば800〜4,000Hzの範
囲の特定周波数帯域の空気伝送音を取り込むことによっ
て、その音の共鳴吸収を行うものであるのに対し、第二
の吸音構造体2は、250〜800Hzの低周波数帯域
の音を共鳴吸収するものである。また、第一の吸音構造
体1による共振系と第二の吸音構造体2による共振系は
互いに独立したものではなく、先に説明したように音の
入射方向に対して互いに直列に連結された構造であるた
め、図3に示すように、第一の吸音構造体1の吸音効果
α1と、第二の吸音構造体2の吸音特性α2が重ね合わ
さり、全体としての吸音効果αは個々の吸音効果よりも
大きなものとなる。
【0019】図4及び図5は、本発明の第二の実施形態
を示しており、この第二実施形態では、吸音材12が振
動板11の反音源側(取付対象面10側)に取り付けら
れており、オリフィス孔14bが振動板11に設けられ
ている。また弾性体16が所要数の円柱形弾性体よりな
り、この弾性体16が例えば平面四角形の振動板11の
四隅に一本ずつ配置されて振動板11を弾性的に支持し
ている。したがって振動板11と取付対象面10との間
の空気室14はその四方が大気開放されており、この状
態で振動板11と取付対象面10との間に空気バネ17
aが構成されている。他の構成および作用効果は、上記
した第一実施形態と同じである。
【0020】なお、本発明は、図示の実施形態によって
限定されるものではない。例えば、ヘルムホルツ共鳴器
14を形成する各中空凸部12aは、その頂部壁面12
bが必ずしも互いに同一傾斜面をなして順次高さが変化
するものとする必要はなく、前記高さは図6のようにラ
ンダムに変化させてもよい。
【0021】
【発明の効果】本発明の吸音構造体によると、第一の吸
音構造体が、ヘルムホルツ共鳴器によって音源からの空
気伝送音のうち比較的高周波数帯域の音を有効に吸収
し、また第二の吸音構造体が、前記第一の吸音構造体で
は吸音されない低周波数帯域の音を有効に吸収すること
ができるため、広い周波数帯域で吸音効果を奏すること
ができ、したがって例えば道路や鉄道の両側に構築され
る防音壁等の防音性能を向上させる手段として有効に適
用可能である。また、第一の吸音構造体と第二の吸音構
造体が、音の入力方向に対して互いに直列に連結された
関係にあるため、全体として、第一及び第二の吸音構造
体による個々の吸音効果よりも優れた吸音効果が発揮さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸音構造体の好ましい一実施形態
を示す一部省略した断面図である。
【図2】上記実施形態における第二の吸音構造体による
振動系の構成を概略的に示す説明図である。
【図3】上記実施形態の吸音構造体による吸音特性を示
す説明図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る吸音構造体の断面
図である。
【図5】上記第二実施形態における第二の吸音構造体に
よる振動系の構成を概略的に示す説明図である。
【図6】従来技術による吸音構造体を示す部分的な断面
図である。
【符号の説明】
1 第一の吸音構造体 2 第二の吸音構造体 10 取付対象面 11 振動板 11a 周縁部 12 吸音材 12a 中空凸部 12b 頂部壁面 13 固定手段 14 ヘルムホルツ共鳴器 14a 共鳴洞 14b オリフィス孔 15 ケース部材 15a 基部フランジ 15b 固定手段 16 弾性体 16a 弾性体の一部 17 空気室 17a 空気バネ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の吸音構造体(1)と、 この第一の吸音構造体(1)に音の入力方向に対して直
    列に連結された第二の吸音構造体(2)とからなり、 前記第一の吸音構造体(1)は、 振動板(11)に吸音材(12)によって共鳴洞(14
    a)及びこの共鳴洞(14a)を音源側へ開放するオリ
    フィス孔(14b)を有する複数のヘルムホルツ共鳴器
    (14)が形成されたものであり、 前記第二の吸音構造体(2)は、 前記第一の吸音構造体(1)を取付対象面(10)に弾
    性的に浮上支持する弾性体(16)と、 前記第一の吸音構造体(1)と取付対象面(10)との
    間の空気層よりなる空気バネ(17a)と、を有するこ
    とを特徴とする吸音構造体。
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