JP2009040073A - 吸音構造 - Google Patents

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英治 村澤
Chie Fukuhara
千絵 福原
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Abstract

【課題】吸音性能を確保しつつ、一方の板材の支持剛性をも確保できる吸音構造を提供する。
【解決手段】
一対の板材2,3のうちの他方の板材3側から一方の板材2に向けて複数の突出部8を突出させて、一方の板材2を受け止める。その一方、一方の板材2を非通気とすると共に、突出部との関係で、一方の板材2の微振動可能として、音が一方の板材2に入力されたときには、一方の板材の微振動により、扁平な吸音空間4内の粒子速度を増大し、それを吸音空間4内の吸音材5に吸収させる。しかも、各突出部8を多孔質状態とすることにより、その各突出部8に吸音機能を発揮させ、各突出部8を吸音材として有効に利用する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、吸音構造に関する。
吸音材としては、特許文献1に示すように、基材と表皮との間に嵩高で柔軟性を有する低密度不織布を介挿したものがある。このものにおいては、低密度不織布は、表皮が通気性を有する場合には多孔質吸音作用を発揮し、表皮が非通気性の場合には表皮の膜振動によりエネルギを減衰する機能を発揮する。
ところで、吸音材を備えた吸音構造として、対向する一対の板材によりその一対の板材間に吸音空間を形成し、その吸音空間内に吸音材を配置し、一対の板材のうちの一方の板材を、振動可能とされた振動板部材としたものが開発されつつある。このものにおいては、音が一方の板材に入射されると、その一方の板材は振動してその音を吸音空間内に伝播し、その伝播された音は吸音空間内の吸音材に吸音されることになる。このため、このような吸音構造においては、一方の板材の振動を許容するため、一対の板材間に吸音材だけを介在する構成とするのが好ましい。
特開2002−215169号公報
しかし、そのような構成とした場合、一方の板材(例えば各種内装壁)側から外力を加えれば、その一方の板材は容易に撓むことになり、外力が人により加えられるときには、人は、その撓みに対して違和感を感じる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、吸音性能を確保しつつ、一方の板材の支持剛性をも確保できる吸音構造を提供することにある。
前記技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)においては、
対向する一対の板材により該一対の板材間に吸音空間が形成され、該吸音空間内に吸音材が配置され、前記一対の板材のうちの一方の板材が、振動可能とされた振動板部材とされている吸音構造において、
前記吸音空間が扁平状に形成され、
前記一対の板材のうちの他方の板材側から前記一方の板材に向けて複数の突出部が突出され、
前記複数の突出部が、前記一方の板材に対して前記振動として微振動を許容するように設定されていると共に、多孔質状態とされて吸音作用を発揮するように設定されている構成としてある。請求項1の好ましい態様としては、請求項2以下の記載の通りとなる。
請求項1の発明によれば、比較的大きな外力が一方の板材に加わったときには、複数の突出部が一方の板材を受け止めることになり、その複数の突出部により一方の板材の支持剛性が確保される。その一方、複数の突出部が設けられる構成とされていても、その各突出部が一方の板材に対して振動として微振動を許容するように設定されていることから、一方の板材(振動板部材)に音が入力されると、その一方の板材に微振動が生じることになり、その微振動を通じて音が扁平状の吸音空間内に伝播される。そして、その扁平状の吸音空間内においては、粒子速度が一方の板材に沿う方向に増大され、それに基づき吸音空間内の吸音材は音を有効に吸音する。これにより、吸音性能を確保しつつ、一方の板材の支持剛性をも確保できることになる。
しかも、複数の突出部が、多孔質状態とされて吸音作用を発揮するように設定されていることから、複数の突出部を有効に利用して、吸音性能を高めることができる。
請求項2の発明によれば、各突出部を含む面であって吸音空間に臨む全ての面に、遮音層が設けられ、各突出部の多孔質状態が、吸音材の吸音音域とは異なる吸音音域の周波数音を吸音するように設定されていることから、各突出部を有効利用して、吸音材の吸音音域とは異なる吸音音域の周波数音を吸音できる一方、その周波数音が吸音空間側に進入することを遮音層により防止できる。このため、一方の板材側と他方の板材側とで異なる音域の周波数音を確実に吸音できる。
請求項3の発明によれば、各突出部が、800Hz以上10kHz以下の音域における高周波数音を吸音する特性を有し、吸音材が、100Hz以上800Hz未満の音域における低・中周波数音を吸音する特性を有していることから、遮音層を基準として一方の板材側においては、100Hz以上800Hz未満の音域における低・中周波数音を吸音することができ、遮音層を基準として他方の板材側においては、800Hz以上10kHz以下の音域における高周波数音を吸音できる。
請求項4の発明によれば、吸音空間に臨む他方の板材の全表面に、遮音層が設けられ、各突出部の多孔質状態が、吸音材の吸音音域とは同じ吸音音域の周波数音を吸音するように設定されていることから、吸音材の吸音音域とは異なる吸音音域の周波数音が吸音空間側に進入することを遮音層により抑制できる一方、吸音材の吸音音域と同じ吸音音域の周波数音を、吸音材だけでなく、各突出部によっても吸音することにでき、吸音材の吸音音域と同じ吸音音域の周波数音の吸音性能を高めることができる。
請求項5の発明によれば、各突出部が他方の板材にそれぞれ取付けられ、遮音層が、各突出部の端面と該端面が臨む前記他方の板材の板面との間にも介在されていることから、吸音材の吸音音域とは異なる吸音音域の周波数音が、吸音空間側に進入することを遮音層により防止できる。
請求項6の発明によれば、吸音材及び各突出部が、100Hz以上800kHz未満の音域における低・中周波数音を吸音する特性を有していることから、当該音域における低・中周波数音を各突出部によっても吸音することができることになり、当該音域における低・中周波数音の吸音性能を高めることができる。
請求項7の発明によれば、複数の突出部は、隣り合う突出部同士が互いに間隔をあけつつ他方の板材に沿って延ばされ、隣り合う突出部間に、区画空間がそれぞれ形成されていることから、複数の突出部が、一方の板材に向けて開口する複数の区画空間を形成することになり、一方の板材の微振動により扁平な吸音空間内に生じる粒子速度は、各区画空間の絞り効果に基づき一層、増大され、それが各区画空間内の吸音材に効果的に吸収される。また、各区画空間の延び形状が、所定の周波数以上の周波数音が共鳴を起こすように設定されされていることから、一方の板材が微振動すると、各区画空間内において、音波の振動方向が一方向に制御されて共鳴が促進され、区画空間の延び方向に延びる所定の定常波が生じることになり、その際の増大された粒子速度(定常波の腹の部分の速度)が吸音材に効果的に吸収される。このため、絞り効果に加えて、共鳴効果によっても吸音性能を高めることができる。
請求項8の発明によれば、各突出部が柱状に形成され、その各突出部の外周側の空間全体に吸音材が配置されていることから、全突出部の全体積を少なくして、その分だけ吸音材の配置量(充填量)を増やすことができ、吸音材配置量の増大に基づき吸音性能を高めることができる。
請求項9の発明によれば、吸音材が、吸音空間内に、該吸音空間の厚み方向において略充填状態をもって配置されていることから、本件発明者の知見に基づき、吸音空間への吸音材の充填程度の面から、吸音性能を最大限、引き出すことができる。
請求項10の発明によれば、振動板部材の振動部が、該振動板部材の振動部以外の部分の剛性よりも低い剛性に設定されていることから、振動板部の微振動を促進して、吸音空間内における低・中周波数音についての粒子速度の増大を図ることができ、吸音材による低・中周波数音の吸音性能を、一層向上させることができる。その一方、本件発明者の知見に基づき、高周波数音の吸音に対して一方の板材の剛性が及ぼす影響が極めて小さいことから、低・中周波数音の吸音のため振動部の剛性を低めたとしても、高周波数音の吸音性能の低下を極力抑えることができる。
請求項11の発明によれば、一方の板材が、既存の構造物の構成部材である内側部材を利用して形成されていることから、既存の構造物に当該吸音構造を形成するに際して、別途、振動板部材を用意する必要はなくなり、投入部材の節約を図ることができる。
請求項12の発明によれば、一方の板材が車両のトリムであることから、既存の構造物としての車両に当該吸音構造を形成するに際して、その車両のトリムを有効に利用して、投入部材の節約を図ることができる。
請求項13の発明によれば、トリムがルーフトリムであることから、ルーフトリムを有効に利用して、投入部材の節約を図ることができる。しかもこの場合、ルーフトリムの広い面積を利用して、吸音材の設置自由度を高めることができるばかりか、吸音材を広範囲に設置できることになり、吸音性能を、より効果的に高めることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る吸音構造1を示す。吸音構造1は、基本的に、対向する一対の板材2,3により、その一対の板材2,3間に吸音空間4が形成され、その吸音空間4内に吸音材5が配置されている。
前記一対の板材2,3のうち、一方の板材2は、ある程度の硬さを有しつつ、低・中周波音(100〜800Hz)の入力に対して微振動可能とされた非通気の振動板部材とされている。具体的に説明すれば、一方の板材2は、図2に示すように、比較的高い剛性(例えばヤング率:1.4×105(N/m2)〜1.9×105(N/m2))を示す固定部6と、その固定部6よりも薄肉化された複数の振動部7とを備えている。振動部7は、固定部6の剛性よりもかなり剛性が低くされて比較的高い可撓性を有しており、本実施形態においては、ヤング率が、例えば8.0×104(N/m2)〜1.1×104(N/m2)に設定されている。これにより、各振動部7は、低・中周波数音の入力に対して微振動(振動速度:〜2.1mm/s)することになり、それに基づき低・中周波数音が吸音空間4内に伝播され、吸音空間4内の粒子速度(図3中、動き、方向等を矢印で示す)は、図3に示すように、増大される。
尚、図3においては、粒子速度(矢印で示す)の状態を理解し易くするため、他方の板材3から後述の突出部8、吸音材5等は省かれている。
前記一対の板材2,3のうち、他方の板材3には、図1に示すように、複数の突出部8が一体的に設けられている。この各突出部8は、一方の板材2を支えることを目的としており、その各突出部8の先端面は、外力が作用したときに一方の板材2を的確に受け止めることを考慮して平坦面とされ、その各突出部8先端面の幅方向(図2中、左右方向)長さは、一方の板材2を人が押すことを考慮して、指の長さ程度、具体的には20mm程度に設定されている。また、この各突出部8の先端面と一方の板材2(面)との間には、図2に示すように、若干、隙間9(図2においては、存在を明らかにするため誇張して記載)が形成されている。この隙間9は、一方の板材2が微振動することを妨げないようにすることを目的としており、この隙間9は、できるだけ狭い方が好ましい(微振動が許容される限りにおいては、当接状態も含む)。
この各突出部8は、図1に示すように、隣り合うもの同士が互いに間隔をあけつつ他方の板材3に沿って、図1中、Y方向に延ばされており、その隣り合う突出部8は、その両者間に区画空間10を形成している。この各区画空間10は、突出部8同様、その延び方向であるY方向に延びており、その区画空間10の断面は、全体(全長)を通じて一定にされている。また、各区画空間10の延び方向両端は、図示を略す閉塞部材により閉塞されており、各区画空間10は、一方の板材2に向けてのみ開口されている。このため、各区画空間10は、絞られた状態となっている。
上記各区画空間10は、その延び形状が、低・中周波数音以上(100Hz以上)で共鳴を起こして所定の定常波を生じるように設定されている。具体的には、図4に示すように、反射端(固定端)となる区画空間10の閉塞端面の幅方向長さをb、高さをh、全長をLとし、共鳴を図りたい音の周波数の波長をλとすると、L=1/2・λ・nとする関係(全長Lが半波長の整数倍の場合に共鳴が起こって定常波を生じる関係)があることから、その関係に基づき区画空間10の全長Lが設定されている。より具体的に述べれば、本実施形態においては、共鳴を100Hz以上で起こすようにすべく、上記関係式に基づき、L=43cm前後と設定されている。勿論この態様以外にも、例えば800Hz以下の任意の周波数で共鳴させる態様を採ることができ、そのような場合には、L≧21cm(800Hzで共鳴する長さ)のLを設定する必要がある。ここで、nは定常波の腹の数で、n=1,2,3・・・・である。また、本実施形態においては、この区画空間10の幅方向長さb及び高さhについて、共鳴を多方向に生じさせずに「明瞭な共鳴」にする観点から、共鳴を図りたい周波数の波長の1/8倍以下、すなわちb≦1/8・λ、h≦1/8・λが設定され、さらには、各区画空間10の扁平率について、各区画空間10の延び方向への粒子速度を増大させる観点から、h/L<50%、b/L<50%が設定されている。これにより、各区画空間10内においては、低・中周波数音以上(100Hz以上)で共鳴が起こって所定の定常波が生じることになり、これに基づき粒子速度が増大される(媒質である空気が大きく振動)。尚、このような区画空間10を区画する突出部8の全体積については、吸音材5の吸音性能が関係するが、これについては後述する。
前記他方の板材3及び前記各突出部8は、多孔質状態とされている。他方の板材3及び各突出部8内部の連続孔を利用して、それらを、高周波数音(800Hz〜10kHz)を吸音する高周波数音用吸音材として利用するためである。このため、他方の板材3及び各突出部8の材料として、発泡金属、発泡ウレタン等の発泡材料が用いられ、その多孔質性に関しては、その材料の見かけ上の容積に占める気泡の容積の割合を示すポロシティ(多孔度)Ωをもって、0.9≦Ω≦0.98が好ましい範囲として設定されている。また、この他方の板材3及び各突出部8には、吸音空間4に臨む面において、遮音層としての遮音シート(非通気層)17が設けられている。この遮音シート17は、遮音を目的として、他方の板材3及び各突出部8が吸音空間4に露出しないようにしており、その遮音シート17として、PVCシート、セロファンシート、PPシート、ポリエチレンフィルム、ゴムシート等が用いられる。
尚、図1中、符号18は、他方の板材3の外面側に配置される外装板部材である。
前記吸音材5は、図1,図2に示すように、前記各区画空間10内において、前記振動部7に面するようにしてそれぞれ配置されている。具体的には、吸音材5は、天然繊維、合成繊維等の繊維を用いて、突出部8の突出長さよりも長い厚みをもった成形体として形成されており、その吸音材5の上部側が各区画空間10の内壁に接着剤等により保持されている一方、その吸音材5の下面が、区画空間10から突出して振動部7に臨んでいる。このとき、吸音材5の下面は、薄肉化された振動部7(一方の板材2)から若干、離間されており(振動部7の形成に伴って形成された凹所内に遊嵌状態)、その吸音材5の配置に基づき、一方の板材2が微振動することが妨げられないことになっている。勿論この場合、一方の板材2の微振動に実質的な支障を与えない限り、振動部7に吸音材5の下面を軽く当接させてもよい。
この吸音材5としては、低・中周波数音(100〜800Hz)から高周波数音(1kHz〜10kHz)までのいずれの周波数音についても吸音できるものが用いられている。具体的には、この吸音性能を確保すべく、流れ抵抗が、流れ抵抗≧ 3.3×104、ヤング率が1.2×103〜2.0×104、損失係数が、損失係数≦0.12とされたものが用いられている。この場合、吸音材5としては、上記のものが最も好ましいが、それに代えて、低・中周波数音(100〜800Hz)の吸音を専用とした低・中周波数音用吸音材を用いてもよい。前述のように、前記他方の板材3及び前記各突出部8が多孔質状態とされて、それらにより高周波数音(1kHz〜10kHz)を吸音できることになっているからである。
図5は、上記吸音材(本件吸音材)5の吸音性能を具体的に示したものである。この場合、図5においては、比較例に係る吸音材として、A,Bが用いられ、本件吸音材に属する吸音材として、Cが用いられた。具体的に図6をもって説明すれば、吸音材Aは、高周波音用吸音材(現在における高性能品)であり、この吸音材Aは、流れ抵抗に関しては上記吸音材5の範囲に属するものの、ヤング率及び損失係数については上記吸音材5の範囲から外れている。吸音材Bは、低・中周波数音用吸音材(現在における高性能品)であり、この吸音材Bは、ヤング率及び損失係数については、吸音材5の範囲に属するものの、流れ抵抗については、吸音材5の範囲から外れている。吸音材Cは、吸音材5の範囲に属する具体例であり、その流れ抵抗、ヤング率及び損失係数のいずれもが吸音材5の範囲に属している。この図5の結果によれば、吸音材Cは、低・中周波数音帯(100〜800Hz)において、吸音材B(低・中周波数音用吸音材として現在高性能品)よりも吸音率が高くなると共に、高周波数音帯(1kHz以上)においても、吸音材A(高周波数音用吸音材として現在高性能品)よりも吸音率が高くなり、全周波数音領域において、吸音材Cが、吸音特性に関し、格段に優れている結果を示した。
前記吸音空間4内への前記吸音材5の配置に関しては、吸音空間4に対する吸音材5の充填率が考慮されている。低・中周波数の音低減効果代と吸音材5の充填率(吸音材5の体積/吸音空間4の体積)との関係を、吸音材5を吸音空間4に略均等の厚みをもって配置する前提の下で調べたところ、図7の結果を得た。この図7によれば、音低減効果に関し、充填率が53%から飽和状態に移行し、充填率が75%以上では音低減効果代はほぼ一定となった。このため、吸音性能を考慮し、吸音空間4内に対する吸音材5の充填率は53%以上に設定される一方、吸音空間4内に突出する突出部8の全体積は、吸音空間4(突出部8の全体積を省いた体積)の体積に対して47%未満に設定されている。尚、充填率100%は、吸音空間4内にその厚さ方向において吸音材5が圧縮されることなく一杯に充填された状態である。
前記吸音空間4については、粒子速度の水平速度成分の割合を増大させるべく、扁平率が考慮されている。吸音空間4の扁平率が粒子速度の速度成分の方向に与える影響を調べるべく、図8において、左右方向をX方向、紙面直交方向をY方向、上下方向をZ方向として、吸音空間4を、Y方向の長さを一定にした状態の下で、Z方向の長さとX方向の長さとの比(扁平率)Z/Xをもって特定した。そして、扁平率Z/Xを変えて、一方の板材2の微振動に基づいて発生する粒子速度のX,Y,Z方向の各速度成分Vp(X),Vp(Y),Vp(Z)の割合について調べたところ、図8に示す結果を得た。この図8に示す結果によれば、扁平率Z/Xが50%以下であれば、Z方向の速度成分がほとんど発生せず、大部分がX,Y方向の速度成分Vp(X),Vp(Y)により占められることを示した。このため、吸音空間4については、基本的に、扁平率が50%以下に設定されている。
したがって、このような吸音構造1においては、各突出部8先端面と一方の板材2(面)との間に、図9のS部分に示すように、若干、隙間9があけられているにすぎず(図9においても誇張表示)、人が一方の板材2に外力を加えても、各突出部8がその一方の板材2を支えてその撓みを規制することになり、その外力を加えた者が違和感を感じることはなくなる。
また、この吸音構造1においては、各突出部8先端面と一方の板材2(面)との間に隙間9があけられて、一方の板材2が低・中周波数音(100〜800Hz)に基づき微振動可能とされていることから、外部から一方の板材2に音(低・中周波数音)が入力されると、一方の板材2が微振動することになり、その微振動に基づき音が扁平な吸音空間内4内に伝播され、その吸音空間4内において、粒子速度が一方の板材2に沿って分布する現象が生じる。これにより、吸音空間4内の粒子速度は増大され、それに基づき音(低・中周波数音)は吸音空間4内の吸音材5に吸収される。特に本実施形態においては、各振動部7が、固定部6の剛性に比べて格段に低い剛性、すなわち可撓性を有するようにされて、低・中周波数音に対して微振動し易くなっており、その微振動に基づき吸音空間4内の粒子速度の水平方向成分はさらに増大される。このため、低・中周波数音の吸音効果は、基本的に高いものとなる。
図10は、吸音構造1における一方の板材2の振動部12等に関する上記内容を裏付けるべく、低・中周波数音(100〜800Hz(具体的には60km/hロードノイズ))の下で、板材の剛性と吸音効果との関係を調べたものである。この図10によれば、板材の剛性が低ければ低いほど、低・中周波数音の吸音効果が大きくなることを示し、上記内容が確認された。この場合、各サンプルとしての板材(一方の板材2)の剛性の評価については、図11に示すように、板材50の一端部を固定用重り51により台52上に固定する一方、その板材50の他端部を負荷用重り(一定荷重)53により撓ませ、その撓み変位xが大きいものほど剛性が低いと評価した。
これに対して、高周波数音の吸音効果に及ぼす一方の板材2の振動部7の影響をも調べるべく、高周波数音の吸音効果と一方の板材2の剛性との関係を調べた。図12がその結果を示すものであるが、図12によれば、高周波数音に関しては、剛性の相違が吸音代に与える影響が小さいことを示した。このため、低・中周波数音に対する吸音効果を高めるために振動部7を設け或いはその剛性を低めても、高周波数音の吸音効果の低下が極めて低く抑えることが確認された。尚、図12中、「通気性のある板」、「通気性のない板」とは、通気性のある一方の板材2と、通気性のない一方の板材2とを用いて実験したことを示している。
さらに、この吸音構造1においては、各区画空間10が一方の板材2側に対して絞り形状とされている。このため、吸音空間4内の粒子速度は、その絞り形状に基づきさらに増大され、それが吸音材5に吸収される。しかもこのとき、各区画空間10においては、所定の低周波数以上の周波数音が共鳴を起こして、区画空間10の延び方向に延びる所定の定常波が生じることになり、この点からも、各区画空間10の延び方向において粒子速度が増大される(媒質である空気が大きく振動)。それが、各区画空間10に配置される吸音材5に吸収される。このため、絞り効果、共鳴効果等を利用した複合的な結果が得られることになり、吸音性能(特に低・中周波数音の吸音性能)は、一段と高まることになる。
一方、吸音構造1は、高周波数音(800Hz〜10kHz)の吸音に関し、高周波数音に対しても高い吸音能力を有する吸音材5が対処するだけでなく、他方の板材3及び各突出部8も対処することになる。すなわち、高周波数音に関しては、他方の板材3側から主として入力されることが考慮されており、この高周波数音に対して、広い面積の他方の板材3、各突出部8が、高周波数音用吸音材として有効に機能することになる。この場合、仮に、高周波数音が他方の板材3又は各突出部8を通過して吸音空間4に向けて進もうとしても、遮音シート17がその高周波数音を反射することになり、その高周波数音は、吸音空間4側に進むことが規制されると共に、その反射に基づく方向転換により、再度、他方の板材3又は各突出部8に吸音される。図1の矢印は、遮音シート17により高周波数音が反射されている状態を示す。
前記吸音構造1は、車両のルーフ部に用いることができる。
車両21の車体22内には、図13に示すように、車室23が区画されており、その上方には、車室23を内装すべく、ルーフトリム2Aが配設されている。このルーフトリム2Aは、その上方に離間して配置されるルーフパネル3Aに略沿った状態で配設されており、そのルーフトリム2Aとルーフパネル3Aとの間には空間4Aが形成されている。このような車両21においては、図13に示すように、走行中、車体22に対して、路面の凹凸が車輪24,サスペンション等を介して振動として入力されると共に、風圧変動が振動として入力され、それらは、ルーフトリム2Aに伝達される。また、路面から車体22に入力された振動は、車室23内に音波として伝達され、さらには、隙間音や透過音等も車室23内に入力されることになり、それら音波(周波数100〜800Hz)はルーフトリム2Aに衝突することになっている。しかも、風騒音、車室内から外部が吸い出される際の吸い出し音等が、高周波数音(1kHz以上)として車室内に入ってくる。
このため、このような車両21における音伝達に鑑み、車両21のルーフ構造に吸音構造1を適用するに当たっては、一方の板材2としてルーフトリム2A、吸音空間4として、ルーフパネル3Aとルーフトリム2Aの間の空間4Aが利用される。また、他方の板材3は、ルーフパネル3Aの内面に取付けることになる。尚、ルーフトリム2Aを一方の板材2として利用するに際しては、前述の構成(固定部6、振動部7を有する構成)が付加されることになる。
図14,図15は第2実施形態を示す。この第2実施形態において、前記第1実施形態と同一の構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
図14,図15に示す第2実施形態は、前記第1実施形態の変形例を示す。この第2実施形態においては、各突出部8が柱状(実施形態では円柱状)に形成され、それらは、他方の板材3の板面に方々に突設されている。この他方の板材3及び各突出部8のいずれもが、前記第1実施形態同様、多孔質状態とされているが、他方の板材3が、高周波数音用吸音材とする観点から形成されているのに対して、各突出部8は、低・中周波数音用吸音材とする観点から形成されている。このため、各突出部8は、他方の板材3とは異なる多孔質状態(低・中周波数音吸音用)に形成するべく、別個に形成され(例えば、流れ抵抗に基づき特性を特定すれば、3.3×104<流れ抵抗)、その形成の後、各突出部8は、他方の板材3にインサートナット、インサートボルト等の取付け具19を用いて取付けられる(図15においては一部の突出部8等のみに図示)。しかもその他方の板材3と各突出部8との取付けにおいては、他方の板材3の板面と各突出部8の端面との間にも遮音シート17が介在され、取付け具19のみが遮音シート17を貫通することになっている。前述の吸音材5については、この各突出部8の外周側の全空間に配置されており、その吸音材5の配置量は、突出部8の柱状形状に基づき全突出部8の全体積が少なくなることを利用して、第1実施形態の場合等に比して、増量化されている。尚、図14においては、吸音材5は省略されている。
したがって、このような第2実施形態においては、他方の板材3が、前記第1実施形態同様、高周波数音を吸音し、その高周波数音が吸音空間4に進入することが遮音シート17により規制される。一方、各突出部8は、吸音材5と共に、低・中周波数音を吸音することになり、低・中周波数音についての吸音性能は高まることになる。しかも、この第2実施形態においては、吸音材5の配置量は、突出部8の柱状形状に基づき増量化されており、その増えた吸音材5に基づいても吸音性能が高まることになる。
尚、この第2実施形態においては、前記第1実施形態と同様の形状を有する突出部8を用いて構成してもよいが、取り扱い性の観点から、柱状の突出部8を用いるのが好ましい。また、この第2実施形態と同様の形状(柱状)を有する突出部8を、前記第1実施形態に用いて構成してもよい。その場合には、他方の板材3、突出部8のいずれも、高周波数音を吸音することになることから、一体成形するのが好ましい。さらに、低・中周波数音の吸音性能を主に高める場合には、各突出部8と他方の板材3とを、低・中周波数音の吸音を目的とした多孔質状態にしつつ一体成形し、その各突出部8だけを、遮音シート17を貫通して吸音空間4内に突出させる構成としてもよい。加えて、遮音性に関しては、遮音シート17に限らず、他方の板材3、各突出部8に対する表面処理、加工処理等により遮音性を確保してもよい。
当該吸音構造1の適用については、車両においては、ルーフ部以外にも、サイドドア、フロアアンダカバー部分、エンジンルームの下方部分、トランクサイドルーム、トランクフロア等に適用することができ、車両以外についても、建物の壁面構造、高速道路の側壁構造等に適用できる。このとき、振動板部材(一方の板材2)を構成する部材は、吸音空間4を形成する他方の部材に対して内側配置となる。
第1実施形態に係る吸音構造1を説明する説明図。 一方の板材(振動板部材)における固定部、振動部を説明する図。 一方の板材の微振動に基づき、吸音空間内において粒子速度が増大されることを説明する説明図。 区画空間における共鳴を説明する説明図。 吸音材の吸音性能を示す図。 図5において用いた吸音材の物性値を示す図。 音低減効果代と吸音空間への吸音材の充填率との関係を示す図。 吸音空間の扁平率と粒子速度の各速度成分の割合との関係を示す図。 第1実施形態に係る吸音構造における作用を説明する説明図。 低・中周波数音の吸音効果に対して剛性が及ぼす影響を示す図。 図10において用いたサンプルとしての板材の剛性評価方法を説明する説明図。 高周波数音の吸音効果に対して剛性が及ぼす影響を示す図。 車両における音伝達を説明する説明図。 第2実施形態に係る吸音構造を示す斜視図。 第2実施形態に係る吸音構造を示す説明図。
符号の説明
1 吸音構造
2 一方の板材
2A ルーフトリム
3 他方の板材
4 吸音空間
5 吸音材
7 振動部
8 突出部
10 区画空間
17 遮音シート(遮音層)


Claims (13)

  1. 対向する一対の板材により該一対の板材間に吸音空間が形成され、該吸音空間内に吸音材が配置され、前記一対の板材のうちの一方の板材が、振動可能とされた振動板部材とされている吸音構造において、
    前記吸音空間が扁平状に形成され、
    前記一対の板材のうちの他方の板材側から前記一方の板材に向けて複数の突出部が突出され、
    前記複数の突出部が、前記一方の板材に対して前記振動として微振動を許容するように設定されていると共に、多孔質状態とされて吸音作用を発揮するように設定されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  2. 請求項1において、
    前記各突出部を含む面であって前記吸音空間に臨む全ての面に、遮音層が設けられ、
    前記各突出部の多孔質状態が、前記吸音材の吸音音域とは異なる吸音音域の周波数音を吸音するように設定されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  3. 請求項2において、
    前記各突出部が、800Hz以上10kHz以下の音域における高周波数音を吸音する特性を有し、
    前記吸音材が、100Hz以上800Hz未満の音域における低・中周波数音を吸音する特性を有している、
    ことを特徴とする吸音構造。
  4. 請求項1において、
    前記吸音空間に臨む前記他方の板材の全表面に、遮音層が設けられ、
    前記各突出部の多孔質状態が、前記吸音材の吸音音域とは同じ吸音音域の周波数音を吸音するように設定されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  5. 請求項4において、
    前記各突出部が前記他方の板材にそれぞれ取付けられ、
    前記遮音層が、前記各突出部の端面と該端面が臨む前記他方の板材の板面との間にも介在されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  6. 請求項4又は5において、
    前記吸音材及び前記各突出部が、100Hz以上800kHz未満の音域における低・中周波数音を吸音する特性を有している、
    ことを特徴とする吸音構造。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項において、
    前記複数の突出部は、隣り合う突出部同士が互いに間隔をあけつつ前記他方の板材に沿って延ばされ、
    前記隣り合う突出部間に、区画空間がそれぞれ形成されていると共に、該各区画空間の延び形状が、所定の周波数以上の周波数音が共鳴を起こすように設定されされている、
    前記各区画空間内に、前記吸音材が配置されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項において、
    前記各突出部が、柱状に形成され、
    前記各突出部の外周側の空間全体に前記吸音材が配置されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  9. 請求項1において、
    前記吸音材が、前記吸音空間内に、該吸音空間の厚み方向において略充填状態をもって配置されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  10. 請求項1において、
    前記一方の板材が、低・中周波の波動によって微振動可能な振動部を備える振動板部材とされ、
    前記振動板部材の振動部が、該振動板部材の振動部以外の部分の剛性よりも低い剛性に設定されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  11. 請求項1,9,10のいずれか1項において、
    前記一方の板材が、既存の構造物の構成部材である内側部材を利用して形成されている、
    ことを特徴とする吸音構造。
  12. 請求項11において、
    前記一方の板材が車両のトリムである、
    ことを特徴とする吸音構造。
  13. 請求項12において、
    前記トリムが、ルーフトリムである、
    ことを特徴とする吸音構造。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020518510A (ja) * 2017-05-05 2020-06-25 ヴァレオ システム テルミク Hvacシステム用の多孔性空気入口ダクト

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