JP3661779B2 - 多孔質防音構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や鉄道車両等の防音カバーとして好適なものであり、音圧加振および機械加振に対して防音性能を発揮する多孔質防音構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、多数の貫通穴が板面全体に形成された内装板を外装板に対して空気層を介して対向配置した構成とすることによって、ヘルムホルツ共鳴原理を利用して防音する多孔質防音構造体が注目されている。例えば特開平6−298014号公報には、ヘルムホルツ共鳴原理の一般式が"f=(c/2π) ×√{β/(t+1.6b)d}"であることに着目し、この一般式に基づいて特定の共鳴周波数fの騒音を効率良く低減するように構成された多孔質防音構造体が開示されている。そして、このように構成された多孔質防音構造体であれば、内装板と外装板との単純な2層構造であるため、軽量であることが要求される自動車や鉄道車両等の防音カバーとして好適なものとなる。尚、上記の一般式は、音速cと開口率βと内装板の板厚tと穴径bと空気層厚dとをパラメータとして共鳴周波数fを示したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のように、ヘルムホルツ共鳴原理の一般式に基づいて構成された多孔質防音構造体では、パラメータの組み合わせ方によっては共鳴周波数f以外の周波数の騒音に対する吸音率が極めて低くなることがあるため、複数の周波数をピーク成分として含む騒音に対して十分に吸音性能を発揮することができない場合がある。
【0004】
即ち、例えば750Hzの共鳴周波数fとなるように上述の一般式に基づいてパラメータを決定して吸音率αと周波数との関係を調査したところ、図12に示すように、共鳴周波数fである750Hzにおいて吸音率αのピーク値が出現し、このピーク値から急激に吸音率αが低下する吸音特性を示すものがあることが確認された。そして、このような吸音特性である場合には、共鳴周波数以外の騒音に対する吸音性能が極めて劣るため、例えば自動車の防音カバーに適用したときに、エンジン等の駆動機構から発生する広い周波数帯域幅の騒音を十分に防音(遮音)することができないものになる。
【0005】
また、エンジン等の駆動機構は、騒音の発生源であると共に、機械的な振動の発生源でもある。従って、多孔質防音構造体からなる防音カバーが適切なパラメータの組み合わせによって、広い周波数帯域幅の騒音を大きな吸音率で吸音可能に構成されている場合であっても、駆動機構の振動により防音カバーが加振される結果、防音カバー自体が振動して騒音を発生することになる。この結果、従来の構成では、機械的に加振される自動車等の防音カバーとしては防音性能が不十分であるという問題がある。
【0006】
従って、本発明は、機械的な加振に対して十分な防音性能を発揮する多孔質防音構造体を提供し、さらに、広い周波数帯域幅の騒音に対して十分な防音性能を発揮する多孔質防音構造体を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、外装板と多数の貫通穴を有した内装板とを対向配置して構成された多孔質防音構造体において、前記内装板には、前記外装板側に頂部を位置させるように凸部が形成されており、前記凸部の頂部は、振動を減衰させる制振部材を介して前記外装板に接合されていることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、ヘルムホルツ共鳴原理により共鳴周波数周辺の周波数帯域の騒音を良好に吸収することができる。また、機械的な加振により外装板が振動したときに、この振動に伴う歪みエネルギーを制振部材が吸収して振動を減衰させるため、外装板自体が振動することによる騒音の発生を抑制することができる。この結果、騒音に対する防音性能と機械的な加振に対する防音性能とが要求される自動車や鉄道車両等の防音カバーとして最適なものとなる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の多孔質防音構造体であって、前記制振部材は、騒音を吸収する機能を備える吸音材であることを特徴としている。
上記の構成によれば、制振部材が外装板の振動の抑制に加えて、騒音の吸収も行うため、一層防音性能が向上することになる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1に記載の多孔質防音構造体であって、前記制振部材の周囲に、騒音を吸収する吸音部材が設けられていることを特徴としている。上記の構成によれば、吸音部材が広い周波数帯域の騒音を吸収するため、一層防音性能が向上することになる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1に記載の多孔質防音構造体であって、前記内装板における音源側の全体に吸音部材が設けられていることを特徴としている。 上記の構成によれば、吸音部材が広い周波数帯域の騒音を吸収するため、一層防音性能が向上することになる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項2ないし4の何れか1項に記載の多孔質防音構造体であって、前記吸音部材は、繊維状や短冊状の金属を圧縮した多孔質体または不織布からなる多孔質体であることを特徴としている。
上記の構成によれば、一般的な材料からなる多孔質体で吸音部材を形成することができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4に記載の多孔質防音構造体であって、前記吸音部材は、空気層を介して配設される多数の貫通穴を有する1枚以上の多孔板であることを特徴としている。
上記の構成によれば、内装板に空気層を介して多孔板が1枚以上重ねられると、内装板による共鳴周波数に加えて、多孔板の枚数に対応した共鳴周波数が現れ、それらの共鳴周波数周辺の周波数帯域の騒音を良好に吸収することができ、広い周波数帯域の騒音を吸収するため、一層防音性能が向上することになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1ないし図13に基づいて以下に説明する。
本実施の形態に係る多孔質防音構造体は、例えば自動車や鉄道車両、建設車両、船舶、自動搬送装置のように内部にエンジン等の駆動機構を備えた移動装置、モータやギヤ等の駆動機構を内部に備えた設備機械の防音カバーとして好適に使用される。多孔質防音構造体は、図1に示すように、例えば騒音が問題となるような外部に面した平板状の外装板1と、エンジン等の駆動機構等からなる騒音を発生する音源4側に面した内装板5とを有している。これらの外装板1および内装板5は、鉄やアルミニウム等の金属や合成樹脂により形成されている。尚、外装板1および内装板5は、リサイクル時の分別処理を不要にするように、同一の材質で形成されていることが望ましい。
【0015】
上記の外装板1と内装板5とは、空気層3を介して対向配置されている。内装板5には、円形状の貫通穴5aが多数形成されている。そして、空気層3の層厚dと開口率βと内装板5の板厚tと穴径bとは、防音対象となる周波数の騒音に対して基本的には上述のヘルムホルツ共鳴原理の一般式を満足するように設定されている。
【0016】
尚、上記の一般式における層厚d、開口率β、板厚tおよび穴径bからなるパラメータは、内装板5の貫通穴2aを通過する空気に対して粘性作用を生じさせるように設定されていることが好ましい。この理由は、これらのパラメータで多孔質防音構造体を形成すると、空気に粘性作用を生じさせることにより振動と減衰性を発生させ、吸音率が0.3以上となる周波数帯域幅が共鳴周波数fに対して10%以上となる吸音特性を発揮させることができるからである。
【0017】
即ち、多孔質防音構造体のパラメータは、上記の吸音特性を有するように、層厚dが10mm〜50mmの場合において、開口率βが3%以下、板厚tが0.3mm以上および穴径bが0.8mm以下の設計条件に設定されていることが好ましい。尚、吸音率が0.3以上となる周波数帯域幅は、開口率βが小さく、板厚tが厚く、穴径bが小さくなるのに従って拡大する傾向にある。具体的には、層厚dが25mm、開口率βが1%、板厚tが0.3mmおよび穴径bが0.5mmのパラメータに設定した場合には、図10に示すように、1100Hzの共鳴周波数fに対して97%となる1067Hzの周波数帯域幅の吸音特性を有した多孔質防音構造体とすることができる。
【0018】
また、貫通穴5aの穴径は、特に範囲が限定されるものではないが、1mm以下であることが望ましい。さらに、貫通穴5aの穴径にのみ着目して多孔質防音構造体が構成されていても良い。即ち、多孔質防音構造体は、外装板1と直径が1mm以下の多数の貫通穴5aを有した内装板5とを対向配置して形成されたものであっても良い。そして、このように貫通穴5aの穴径を1mm以下に設定した場合には、図11に示すように、1mmを境として吸音率が急激に立ち上がっていることから、貫通穴5aを流動する空気に粘性作用を確実に発生させることができる。
【0019】
尚、貫通穴5aの直径の下限値は、0.2mmであることが好ましい。この理由は、貫通穴5aの直径が0に近づくと、その吸音率のピークが理論上1.0になるが、現実的には1.0に至ることはなく、直径が0.2mm以下のように極めて小さくなると、貫通穴5aの空気の粘性が大きくなりすぎるため、貫通穴5a部の空気の流れに対する抵抗が大きくなり、吸音率が却って低下すると考えられるからである。また、直径が0.2mm以下のように極めて小さくなると、製造が大幅に困難となり、使用環境によってはゴミや埃等により貫通穴5aが閉塞し易くなるからである。
【0020】
また、貫通穴5aは、楕円形状や矩形状、多角形状、スリット状であっても良いし、各種の形状が混在していても良い。さらに、貫通穴5aは、同一のサイズおよび径に設定されていても良いし、各種のサイズや径が混在していても良い。各種のサイズや径が混在している場合には、十分な吸音性能を発揮する周波数帯域幅を拡大することができる。
【0021】
上記のように多数の貫通穴5aを有した内装板5には、内装板5の剛性を高める複数の凸部5bが分散配置されている。尚、凸部5bは、一端から他端にかけて条設されたものであっても良い。各凸部5bは、外装板1側に頂部が位置するように形成されており、凸部5bの頂部は、振動を減衰させる制振部材6を介して外装板1に接合されている。尚、外装板1に接合された凸部5bおよび制振部材6の配設ピッチは、外装板1が機械的に加振されて振動することにより発生する騒音を低減するように、外装板1の変形半波長の2/3以下の長さに設定されていることが望ましい。
【0022】
上記の制振部材6は、粘性樹脂や制振性弾性部材により形成されている。粘性樹脂は、振動に対する減衰性を有していれば、特定の樹脂に限定されることはないが、ポリエステル系やポリエーテル系の樹脂を熱処理して発泡させることによって、軟質の発泡ウレタン化されていることが好ましい。また、粘性樹脂は、ポリエステル系やポリエーテル系の樹脂をこのまま或いはシリコン等で変性させたものであっても良いし、単一の樹脂系であっても、複数の樹脂系を適宜混合したものであっても良い。さらに、制振部材6は、弾性を有した多孔質体で形成されていても良く、この場合には、振動を減衰させる減衰機能と騒音を吸収する吸音機能とを有することになる。一方、制振性弾性部材は、例えば制振性ゴム等からなっている。
【0023】
上記の構成において、多孔質防音構造体の動作について説明する。
音源4が騒音を発生すると、この騒音は、音源4に対向配置された多孔質防音構造体に進行して到達する。この際、多孔質防音構造体は、ヘルムホルツ共鳴原理の一般式により決定された開口率や内装板の板厚、穴径、空気層厚でもって形成されており、吸音特性が共鳴周波数の周辺帯域において高い吸音率を示した構成にされている。従って、騒音が多孔質防音構造体に到達すると、共鳴周波数の周辺帯域の騒音成分が高い吸音率で吸音されるため、エンジン等の音源4が発生する主要な周波数帯域の騒音を遮音することができる。
【0024】
また、エンジン等の音源4が振動すると、この振動は、音源4の周囲を取り囲む隔壁部材8を介して多孔質防音構造体に伝達され、多孔質防音構造体の外装板1および内装板5を加振する。これにより、外装板1および内装板5は、振動の周波数に対応した波長でもって波打つように変形する作用を受けることになるが、内装板5の凸部5bおよび制振部材6により変形が十分に抑制されることになる。
【0025】
即ち、内装板5は、凸部5bにより高い剛性を有しているため、音源4からの振動による機械的な加振力が付与されただけでは殆ど変形することがない。そして、内装板5の凸部5bは、制振部材6を介して外装板1に接合されており、制振部材6は、外装板1の変形による歪みエネルギーを吸収して振動を減衰させる性質を有している。
【0026】
一方、制振部材6を介して内装板5に接合された外装板1は、平板状に形成されることにより低い剛性となっているため、機械的な加振力により容易に変形(振動)し易い状態にある。従って、外装板1に機械的な加振力が付与されると、外装板1は、この加振力により波打つように変形することになるが、この変形に伴う歪みエネルギーは、内装板5に支持された制振部材6により吸収されることになる。この結果、平板状の外装板1が低い剛性により変形し易い状態であっても、機械的な加振による変形が十分に抑制されることになる。さらに、制振部材6の配設ピッチが変形半波長の2/3以下の長さに設定されていれば、制振部材6による歪みエネルギーの吸収がより高い効率で行われることによって、変形の抑制が一層十分に行われることになる。
【0027】
これにより、多孔質防音構造体は、音源4からの騒音をヘルムホルツ共鳴原理を利用して吸収することによって、主要な周波数帯域の騒音を吸音することができると共に、音源4による機械的な加振が付与されても殆ど振動しないため、防音構造体自体が振動することによる騒音の発生を十分に抑制することができる。つまり、遮音特性をもつものである。この結果、音源4が発生する騒音と、機械的な加振による振動に起因した騒音とが防音対象となる自動車や鉄道車両等の防音カバーとして好適なものとなる。
【0028】
尚、本実施形態においては、外装板1と内装板5との間に制振部材6を配置した構成について説明しているが、これに限定されるものではない。即ち、多孔質防音構造体は、図2に示すように、制振部材6の周囲に多孔質体からなる環形状の第1吸音部材7aを設けた構成であっても良い。この場合には、ヘルムホルツ共鳴原理で十分に吸収可能な周波数帯域よりも広い帯域の騒音を第1吸音部材7aにより吸収することができるため、防音性能を一層向上させることができる。
【0029】
また、多孔質体は、アルミニウムやステンレス等の金属繊維または短冊状金属を圧縮して形成されていても良いし、不織布からなっていても良い。また、金属や樹脂材料の発泡体でも良い。さらに、多孔質体は、外装板1および内装板5が金属製であれば、良好なリサイクル性が得られるように、同一の金属で形成されていることが望ましい。
【0030】
さらに、多孔質防音構造体は、図3に示すように、外装板1と内装板5と制振部材6とで囲まれた空間の全体に多孔質体からなる第2吸音部材7bを設け、この第2吸音部材7bにより空気層3を形成した構成であっても良い。この場合には、大きな体積の第2吸音部材7bによって、広い周波数帯域の騒音を一層十分に吸収することができる。また、多孔質防音構造体は、図4に示すように、外装板1と内装板5とで囲まれた空間の全体に多孔質体からなる第3吸音部材7cを設け、この第3吸音部材7cにより空気層3を形成すると共に内装板5の凸部5bと外装板1とを接合させた構成であっても良い。この場合には、制振部材6の機能を第3吸音部材7cにより発揮させることができるため、部品点数を削減することができる。また、多孔質防音構造体は、図5に示すように、内装板5における音源4側の底面全体に多孔質体からなる平板状の第4吸音部材7dを設けた構成であっても良いし、図6に示すように、内装板5の底面全体に沿って多孔質体からなる第5吸音部材7eを貼設した構成であっても良い。
【0031】
次に、図1ないし図6のように構成された多孔質防音構造体および図9の従来の多孔質防音構造体に対して吸音率および放射音圧レベルを調査した。尚、調査にあたっては、図1の構成を実施例1、図2の構成を実施例2、図3の構成を実施例3、図4の構成を実施例4、図5の構成を実施例5、および図6の構成を実施例6とすると共に、図9の従来の構成を比較例とした。
【0032】
この結果、図7に示すように、実施例1と比較例との関係においては、500〜630Hzの周波数帯域で吸音率が高くなる同一の吸音特性を示しているが、図8に示すように、制振部材6を備えた実施例1の放射音圧レベルが比較例よりも優れていることが確認された。これにより、外装板1自体が機械的な加振により振動することで発生する騒音を制振部材6により低減できることが確認された。
【0033】
また、図7に示すように、実施例2〜6と比較例との関係においては、第1〜第5吸音部材7eを備えた実施例2〜6が比較例よりも広い周波数帯域で高い吸音率を示すことが確認された。これにより、第1〜第5吸音部材7eが広い周波数帯域で吸音し、特に、実施例5・6のように、内装板5における音源4側の底面全体に設けられた吸音部材7d・7eは、高周波数帯域においても高い吸音率を示すことが確認された。
【0034】
また、多孔質防音構造体は、図12に示すように、内装板5における音源4側の全体に、吸音材として多数の円形状の貫通穴9aを有する多孔板9を設けた構成であっても良い。設け方は、フラットな多孔板9を内装板5の音源側の頂部に接するように張り付けるか、前記頂部から離れるように内装板5の両端側に取付けるものである。このような多孔板9の設け方により、内装板5の凹部に空気層3´が形成される。
【0035】
具体的に、空気層3´の層厚dが25mm、多孔板9の貫通穴9aの開口率βが1%、板厚tが0.3mmおよび穴径が0.5mmのパラメータに設定した場合には、図13に示すように、700Hz近辺の共鳴周波数の他に、1700Hz近辺の共鳴周波数を有することになり、多孔板9を設けない場合と比較して、複数の周波数周辺の広い範囲で、高い吸音率を有することなる。
【0036】
また、多孔板9に平行に、更に1枚以上の多孔板を空気層を介して設置すると、設置枚数によりさらに共鳴周波数が増えるため、更に多くの周波数周辺の広い範囲で、高い吸音率を有する構成とすることが可能である。なお、多孔板5の貫通穴5aの位置と、多孔板9の貫通穴29aの位置は、同じ位置で重なっていても、ずれていても、どちらでもよい。
【0037】
【発明の効果】
請求項1の発明は、外装板と多数の貫通穴を有した内装板とを対向配置して構成された多孔質防音構造体において、前記内装板には、前記外装板側に頂部を位置させるように凸部が形成されており、前記凸部の頂部は、振動を減衰させる制振部材を介して前記外装板に接合されている構成である。
【0038】
上記の構成によれば、ヘルムホルツ共鳴原理により共鳴周波数周辺の周波数帯域の騒音を良好に吸収することができる。また、機械的な加振により外装板が振動したときに、この振動に伴う歪みエネルギーを制振部材が吸収して振動を減衰させるため、外装板自体が振動することによる騒音の発生を抑制することができる。この結果、騒音に対する防音性能と機械的な加振に対する防音性能とが要求される自動車や鉄道車両等の防音カバーとして最適なものとなるという効果を奏する。
【0039】
請求項2の発明は、請求項1に記載の多孔質防音構造体であって、前記制振部材は、騒音を吸収する機能を備る吸音材である構成である。
上記の構成によれば、制振部材が外装板の振動の抑制に加えて、騒音の吸収も行うため、一層防音性能が向上するという効果を奏する。
【0040】
請求項3の発明は、請求項1に記載の多孔質防音構造体であって、前記制振部材の周囲に、騒音を吸収する吸音部材が設けられている構成である。
上記の構成によれば、吸音部材が広い周波数帯域の騒音を吸収するため、一層防音性能が向上するという効果を奏する。
【0041】
請求項4の発明は、請求項1に記載の多孔質防音構造体であって、前記内装板における音源側の全体に吸音部材が設けられている構成である。
上記の構成によれば、吸音部材が広い周波数帯域の騒音を吸収するため、一層防音性能が向上するという効果を奏する。
【0042】
請求項5の発明は、請求項2ないし4の何れか1項に記載の多孔質防音構造体であって、前記吸音部材は、繊維状や短冊状の金属を圧縮した多孔質体または不織布からなる多孔質体である構成である。
上記の構成によれば、一般的な材料からなる多孔質体で吸音部材を形成することができるため、製造コストの上昇を抑制することができるという効果を奏する。
【0043】
請求項6の発明は、請求項4に記載の多孔質防音構造体であって、前記吸音部材は、空気層を介して配設される多数の貫通穴を有する1枚以上の多孔板である構成である。
上記の構成によれば、内装板に空気層を介して多孔板が1枚以上重ねられると、内装板による共鳴周波数に加えて、多孔板の枚数に対応した共鳴周波数が現れ、それらの共鳴周波数周辺の周波数帯域の騒音を良好に吸収することができ、広い周波数帯域の騒音を吸収するため、一層防音性能が向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】多孔質防音構造体の概略構成を示す説明図である。
【図2】多孔質防音構造体の概略構成を示す説明図である。
【図3】多孔質防音構造体の概略構成を示す説明図である。
【図4】多孔質防音構造体の概略構成を示す説明図である。
【図5】多孔質防音構造体の概略構成を示す説明図である。
【図6】多孔質防音構造体の概略構成を示す説明図である。
【図7】吸音特性を示すグラフである。
【図8】音圧特性を示すグラフである。
【図9】従来の多孔質防音構造体の概略構成を示す説明図である。
【図10】吸音特性を示すグラフである。
【図11】吸音特性を示すグラフである。
【図12】多孔質防音構造体の概略構成を示す説明図である。
【図13】吸音特性を示すグラフである。
【図14】板厚が0.3mmの場合における吸音率と穴径と開口率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 外装板
3 空気層
5 内装板
5b 凸部
6 制振部材
7a〜7e 第1〜第5吸音部材
8 隔壁部材

Claims (6)

  1. 外装板と多数の貫通穴を有した内装板とを対向配置して構成された多孔質防音構造体において、
    前記内装板には、前記外装板側に頂部を位置させるように凸部が形成されており、
    前記凸部の頂部は、振動を減衰させる制振部材を介して前記外装板に接合されていることを特徴とする多孔質防音構造体。
  2. 前記制振部材は、騒音を吸収する機能を備える吸音材であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質防音構造体。
  3. 前記制振部材の周囲に、騒音を吸収する吸音部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の多孔質防音構造体。
  4. 前記内装板における音源側の全体に吸音部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の多孔質防音構造体。
  5. 前記吸音部材は、繊維状や短冊状の金属を圧縮した多孔質体または不織布からなる多孔質体であることを特徴とする請求項2ないし4の何れか1項に記載の多孔質防音構造体。
  6. 前記吸音部材は、空気層を介して配設される多数の貫通穴を有する1枚以上の多孔板であることを特徴とする請求項4に記載の多孔質防音構造体。
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