JP5052980B2 - 固体音低減構造 - Google Patents

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本発明は、各種機械や各種配管などの構造体の固体表面から放射される音(固体音)を低減する構造に関する。
従来、固体音の低減には、固体音を放射する構造体の表面にバネやゴムなどによって弾性支持された遮音板などの遮音部材を配置する構造が知られている。この構造によると、遮音対策後の騒音放射面である遮音板の振動が対策前の騒音放射面である構造体表面の振動より小さくなり、放射音が小さくなることが期待できる。特許文献1に記載の固体音低減構造は、固体音を発生させる構造体に弾性体部材を介在させて防音カバーを取り付けた構造であり、防音カバーの全周に亘って弾性体部材を貼付することにより、構造体と防音カバーとの間の空間を外気と遮断された閉空間としたものである。この構造体では、弾性体部材を接着するための接着剤として耐熱性、耐油性、金属接着性のある無溶剤反応硬化型シリコン系シール材を用いているため、良好な接着性とシール性を確保した防音カバー
の取り付けを可能としている。また、防音カバーの全周をシールすることで、構造体と防音カバーの間の空間から外部に漏れる音を抑制し、防音性を向上させている。
特開昭59−61888号公報
しかしながら、特許文献1に記載された固体音低減構造のように、弾性体部材としてゴムなどの樹脂材料を用いた場合、経年劣化により構造自体の耐久性の低下や、固体音低減機能の低下を引き起こしやすくなる恐れがあり、特に、高温、高湿など、使用環境による劣化の影響を受けやすく問題となる。また、弾性体部材として金属のバネを用いる場合においても、繰り返し振動を受けることにより疲労し、耐久性の低下や固体音低減機能の低下を引き起こす恐れがある。
また、遮音板を弾性支持する必要があるため、構造が複雑になり、部材点数も増加しやすく、固体音低減構造の作製コストが増加する恐れがある。
本発明は、上記実情に鑑みることにより、簡易な構造で固体音を低減可能であり、耐久性が高く劣化しにくい固体音低減構造を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び効果
本発明に係る固体音低減構造は、各種機械や各種配管などの構造体から放射される音(固体音)を低減する構造に関する。
そして、本発明に係る固体音低減構造は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の固体音低減構造は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
発明に係る固体音低減構造における第の特徴は、振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、を備え、低減すべき騒音の周波数帯域における前記構造体の表面を面内方向に伝搬する曲げ波の半波長、あるいは、前記曲げ波に起因する定在波の半波長よりも短い間隔で、前記表面板部は前記壁面部又は前記柱部に支持されていることである。
この構成によると、構造体表面とともに表面板部の全面が略一様に振動する。このとき表面板部に気体流通部が設けられていることによって表面板部の音響放射効率(振動から音への変換効率)が低減する。これより、振動している構造体から放射される音(固体音)を低減できる。また、外周壁面部により内部気体室と外部空間とが面内方向において仕切られている構造であるため、構造体表面から内部気体室へ放射された音が面内方向に進行して外部空間に伝搬することを当該外周壁面部によって遮ることができ、外部空間への音漏れを抑制することが可能となる。このように、表面板部の外周縁部を外周壁面部で支持する簡易な構造であるため、構造体の作製コストを抑えることが可能であるとともに、ゴムや金属ばねなどの弾性体部材を用いることなく構成されるため、経年劣化による影響を受けにくく、耐久性を向上させることができる。また、区画壁面部を更に備えることで表面板部の支持間隔(支持スパン)を短くすることができる。そのため、構造体の表面が振動分布を持って振動する場合であっても、区画壁面部により区画された領域内での表面板部に生じうる振動分布を小さくすることができ、固体音の低減効果をより顕著にすることが可能となる。また、表面板部の支持スパンを短くすると、表面板部の共振周波数がより高周波数になるため、共振を防止し、より広範な周波数範囲で固体音を低減できる。また、分割内部気体室の寸法などから決まる特定の周波数において共鳴が発生すると、共鳴で増幅した空間内音圧により表面板部の振動が増加してしまい問題となるが、この構成によれば、複数の分割内部気体室に区画することで、分割内部気体室一部屋の寸法は小さくなり、共鳴周波数をより高周波側にすることができるため、より広範な周波数範囲で固体音を低減することができる。また、柱部を更に備えることで、簡単な構造、且つ、低コストで、表面板部を構造体の表面から支持することができる。また、柱部を更に備えることで表面板部の支持間隔(支持スパン)を短くすることができるため、固体音の低減効果をより顕著にすることが可能となる。また、表面板部の支持スパンを短くすると、表面板部の共振周波数がより高周波数になるため、共振を防止し、より広範な周波数範囲で固体音を低減できる。また、隣り合う二つの壁面部及び/又は前記柱部からなる表面板部の支持部材(以下、支持部材と称する)の間隔が、曲げ波の半波長、あるいは、曲げ波に起因する定在波の半波長よりも短いため、当該隣り合う二つの支持部材がそれぞれ逆位相で振動することがなくなる。これより、隣り合う二つの支持部材の間における表面板部の振動分布を低減することができ、より安定的に固体音を低減することができる。
また、本発明に係る固体音低減構造における第の特徴は、振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、を備え、前記表面板部の一次共振周波数が低減すべき騒音の周波数帯域より高くなるように、前記表面板部と、前記壁面部又は前記柱部とが形成されていることである。
この構成によると、構造体表面とともに表面板部の全面が略一様に振動する。このとき表面板部に気体流通部が設けられていることによって表面板部の音響放射効率(振動から音への変換効率)が低減する。これより、振動している構造体から放射される音(固体音)を低減できる。また、外周壁面部により内部気体室と外部空間とが面内方向において仕切られている構造であるため、構造体表面から内部気体室へ放射された音が面内方向に進行して外部空間に伝搬することを当該外周壁面部によって遮ることができ、外部空間への音漏れを抑制することが可能となる。このように、表面板部の外周縁部を外周壁面部で支持する簡易な構造であるため、構造体の作製コストを抑えることが可能であるとともに、ゴムや金属ばねなどの弾性体部材を用いることなく構成されるため、経年劣化による影響を受けにくく、耐久性を向上させることができる。また、区画壁面部を更に備えることで表面板部の支持間隔(支持スパン)を短くすることができる。そのため、構造体の表面が振動分布を持って振動する場合であっても、区画壁面部により区画された領域内での表面板部に生じうる振動分布を小さくすることができ、固体音の低減効果をより顕著にすることが可能となる。また、表面板部の支持スパンを短くすると、表面板部の共振周波数がより高周波数になるため、共振を防止し、より広範な周波数範囲で固体音を低減できる。また、分割内部気体室の寸法などから決まる特定の周波数において共鳴が発生すると、共鳴で増幅した空間内音圧により表面板部の振動が増加してしまい問題となるが、この構成によれば、複数の分割内部気体室に区画することで、分割内部気体室一部屋の寸法は小さくなり、共鳴周波数をより高周波側にすることができるため、より広範な周波数範囲で固体音を低減することができる。また、柱部を更に備えることで、簡単な構造、且つ、低コストで、表面板部を構造体の表面から支持することができる。また、柱部を更に備えることで表面板部の支持間隔(支持スパン)を短くすることができるため、固体音の低減効果をより顕著にすることが可能となる。また、表面板部の支持スパンを短くすると、表面板部の共振周波数がより高周波数になるため、共振を防止し、より広範な周波数範囲で固体音を低減できる。また、低減すべき騒音の周波数帯域(対策周波数帯域)において表面板部が共振することを防止でき、より確実に固体音を低減できる。
また、本発明に係る固体音低減構造における第の特徴は、振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、を備え、低減すべき騒音の周波数帯域において前記表面板部が一次の共振を起こす前記表面板部の寸法よりも短い間隔で、前記表面板部が前記壁面部又は前記柱部に支持されるように、前記表面板部と、前記壁面部又は前記柱部とが形成されていることである。
この構成によると、構造体表面とともに表面板部の全面が略一様に振動する。このとき表面板部に気体流通部が設けられていることによって表面板部の音響放射効率(振動から音への変換効率)が低減する。これより、振動している構造体から放射される音(固体音)を低減できる。また、外周壁面部により内部気体室と外部空間とが面内方向において仕切られている構造であるため、構造体表面から内部気体室へ放射された音が面内方向に進行して外部空間に伝搬することを当該外周壁面部によって遮ることができ、外部空間への音漏れを抑制することが可能となる。このように、表面板部の外周縁部を外周壁面部で支持する簡易な構造であるため、構造体の作製コストを抑えることが可能であるとともに、ゴムや金属ばねなどの弾性体部材を用いることなく構成されるため、経年劣化による影響を受けにくく、耐久性を向上させることができる。また、区画壁面部を更に備えることで表面板部の支持間隔(支持スパン)を短くすることができる。そのため、構造体の表面が振動分布を持って振動する場合であっても、区画壁面部により区画された領域内での表面板部に生じうる振動分布を小さくすることができ、固体音の低減効果をより顕著にすることが可能となる。また、表面板部の支持スパンを短くすると、表面板部の共振周波数がより高周波数になるため、共振を防止し、より広範な周波数範囲で固体音を低減できる。また、分割内部気体室の寸法などから決まる特定の周波数において共鳴が発生すると、共鳴で増幅した空間内音圧により表面板部の振動が増加してしまい問題となるが、この構成によれば、複数の分割内部気体室に区画することで、分割内部気体室一部屋の寸法は小さくなり、共鳴周波数をより高周波側にすることができるため、より広範な周波数範囲で固体音を低減することができる。また、柱部を更に備えることで、簡単な構造、且つ、低コストで、表面板部を構造体の表面から支持することができる。また、柱部を更に備えることで表面板部の支持間隔(支持スパン)を短くすることができるため、固体音の低減効果をより顕著にすることが可能となる。また、表面板部の支持スパンを短くすると、表面板部の共振周波数がより高周波数になるため、共振を防止し、より広範な周波数範囲で固体音を低減できる。また、対策周波数帯域において表面板部が共振を起こしうる寸法よりも短い間隔で表面板部を支持することで、低減すべき騒音の周波数帯域(対策周波数帯域)において表面板部が共振することを防止でき、より確実に固体音を低減できる。
また、本発明に係る固体音低減構造における第の特徴は、振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、を備え、前記表面板部の一つの共振周波数と当該共振周波数の次の次数の共振周波数との間の周波数帯域に、低減すべき騒音の周波数帯域すべてが含まれるように、前記表面板部と、前記壁面部又は前記柱部が形成されていることである。
この構成によると、構造体表面とともに表面板部の全面が略一様に振動する。このとき表面板部に気体流通部が設けられていることによって表面板部の音響放射効率(振動から音への変換効率)が低減する。これより、振動している構造体から放射される音(固体音)を低減できる。また、外周壁面部により内部気体室と外部空間とが面内方向において仕切られている構造であるため、構造体表面から内部気体室へ放射された音が面内方向に進行して外部空間に伝搬することを当該外周壁面部によって遮ることができ、外部空間への音漏れを抑制することが可能となる。このように、表面板部の外周縁部を外周壁面部で支持する簡易な構造であるため、構造体の作製コストを抑えることが可能であるとともに、ゴムや金属ばねなどの弾性体部材を用いることなく構成されるため、経年劣化による影響を受けにくく、耐久性を向上させることができる。また、区画壁面部を更に備えることで表面板部の支持間隔(支持スパン)を短くすることができる。そのため、構造体の表面が振動分布を持って振動する場合であっても、区画壁面部により区画された領域内での表面板部に生じうる振動分布を小さくすることができ、固体音の低減効果をより顕著にすることが可能となる。また、表面板部の支持スパンを短くすると、表面板部の共振周波数がより高周波数になるため、共振を防止し、より広範な周波数範囲で固体音を低減できる。また、分割内部気体室の寸法などから決まる特定の周波数において共鳴が発生すると、共鳴で増幅した空間内音圧により表面板部の振動が増加してしまい問題となるが、この構成によれば、複数の分割内部気体室に区画することで、分割内部気体室一部屋の寸法は小さくなり、共鳴周波数をより高周波側にすることができるため、より広範な周波数範囲で固体音を低減することができる。また、柱部を更に備えることで、簡単な構造、且つ、低コストで、表面板部を構造体の表面から支持することができる。また、柱部を更に備えることで表面板部の支持間隔(支持スパン)を短くすることができるため、固体音の低減効果をより顕著にすることが可能となる。また、表面板部の支持スパンを短くすると、表面板部の共振周波数がより高周波数になるため、共振を防止し、より広範な周波数範囲で固体音を低減できる。また、対策周波数帯域が表面板部の共振周波数を跨がないため、対策周波数帯域において表面板部が共振することを防止できるとともに、一つの共振周波数と次の次数の共振周波数との間で起こる効果的な固体音低減特性を利用することができる。この場合、特に対策周波数帯域が反共振点近傍に位置するように表面板部及び壁面部を形成することで、より顕著に固体音を低減することが可能となる。
また、本発明に係る固体音低減構造における第の特徴は、振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、を備え、前記構造体の表面と前記表面板部との間隔が、低減すべき騒音の周波数帯域における音波の半波長よりも短いことである。
この構成によると、構造体表面とともに表面板部の全面が略一様に振動する。このとき表面板部に気体流通部が設けられていることによって表面板部の音響放射効率(振動から音への変換効率)が低減する。これより、振動している構造体から放射される音(固体音)を低減できる。また、外周壁面部により内部気体室と外部空間とが面内方向において仕切られている構造であるため、構造体表面から内部気体室へ放射された音が面内方向に進行して外部空間に伝搬することを当該外周壁面部によって遮ることができ、外部空間への音漏れを抑制することが可能となる。このように、表面板部の外周縁部を外周壁面部で支持する簡易な構造であるため、構造体の作製コストを抑えることが可能であるとともに、ゴムや金属ばねなどの弾性体部材を用いることなく構成されるため、経年劣化による影響を受けにくく、耐久性を向上させることができる。また、対策周波数帯域において、構造体の表面と表面板部との間での音波の共鳴を防止でき、より確実に固体音を低減することが可能である。
また、本発明に係る固体音低減構造における第の特徴は、振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、を備え、低減すべき騒音の周波数帯域における音波の半波長よりも短い間隔で、前記表面板部が前記壁面部又は前記柱部に支持されていることである。
この構成によると、構造体表面とともに表面板部の全面が略一様に振動する。このとき表面板部に気体流通部が設けられていることによって表面板部の音響放射効率(振動から音への変換効率)が低減する。これより、振動している構造体から放射される音(固体音)を低減できる。また、外周壁面部により内部気体室と外部空間とが面内方向において仕切られている構造であるため、構造体表面から内部気体室へ放射された音が面内方向に進行して外部空間に伝搬することを当該外周壁面部によって遮ることができ、外部空間への音漏れを抑制することが可能となる。このように、表面板部の外周縁部を外周壁面部で支持する簡易な構造であるため、構造体の作製コストを抑えることが可能であるとともに、ゴムや金属ばねなどの弾性体部材を用いることなく構成されるため、経年劣化による影響を受けにくく、耐久性を向上させることができる。また、区画壁面部を更に備えることで表面板部の支持間隔(支持スパン)を短くすることができる。そのため、構造体の表面が振動分布を持って振動する場合であっても、区画壁面部により区画された領域内での表面板部に生じうる振動分布を小さくすることができ、固体音の低減効果をより顕著にすることが可能となる。また、表面板部の支持スパンを短くすると、表面板部の共振周波数がより高周波数になるため、共振を防止し、より広範な周波数範囲で固体音を低減できる。また、分割内部気体室の寸法などから決まる特定の周波数において共鳴が発生すると、共鳴で増幅した空間内音圧により表面板部の振動が増加してしまい問題となるが、この構成によれば、複数の分割内部気体室に区画することで、分割内部気体室一部屋の寸法は小さくなり、共鳴周波数をより高周波側にすることができるため、より広範な周波数範囲で固体音を低減することができる。また、柱部を更に備えることで、簡単な構造、且つ、低コストで、表面板部を構造体の表面から支持することができる。また、柱部を更に備えることで表面板部の支持間隔(支持スパン)を短くすることができるため、固体音の低減効果をより顕著にすることが可能となる。また、表面板部の支持スパンを短くすると、表面板部の共振周波数がより高周波数になるため、共振を防止し、より広範な周波数範囲で固体音を低減できる。また、前記構造体の表面の面内方向において隣り合う支持部材間の距離が、対策周波数帯域における音波の半波長よりも短いため、当該隣り合う支持部材間における音波の共鳴を防止することができる。したがって、対策周波数帯域においてより確実に固体音を低減することが可能である。
また、本発明に係る固体音低減構造における第の特徴は、制振材を前記表面板部に設置することである。
この構成によると、制振材の変形により振動エネルギーが消費され振動を減衰させることができるため、表面板部の共振を抑制することができ、広範な周波数範囲で固体音を低減できる。
また、本発明に係る固体音低減構造における第の特徴は、前記構造体の表面と前記表面板部との間に配置される1枚又は複数枚の仕切り板を更に備えた多層構造であることである。
この構成によると、表面板部の音響放射効率をより広範な周波数範囲で、より大きく低減できる。したがって、固体音をより広範な周波数範囲でより大きく低減することが可能となる。
また、本発明に係る固体音低減構造における第の特徴は、前記構造体の表面と前記表面板部との間に吸音材が設置されていることである。
この構成によると、内部気体室の共鳴で増幅された音圧が表面板部の振動を増大させることを抑制することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の固体音低減構造を、振動して騒音を放射する構造体(例えば、振動しながら駆動する機器、流体が通過することにより振動する配管、ダクト等)の表面に設置した第1実施形態の断面模式図を示す。
固体音低減構造100は、多孔板1(表面板部)と、多孔板1を支持する枠材2(外周壁面部)とを備えている。
多孔板1は、気体が多孔板1の厚さ方向(図中の上下方向)に通過可能な貫通孔1a(気体流通部)を複数備えている。貫通孔1aは、多孔板1の全面に亘って略均一に分布されている。多孔板1は、振動して騒音を放射する構造体200の表面である振動面200aを覆うように枠材2によって振動面200aから支持されている。尚、貫通孔1aは多孔板1の全面に亘って均一に分布されている場合に限らず、部分的に集中して配置することも可能である。
枠材2は、剛性の高い材料、例えばアルミ等の金属材料、プラスチック等からなり、構造体200が振動することにより、多孔板1は振動面200aと一体となって振動するように多孔板1を支持している。即ち、多孔板1は、振動面200aの振動の振幅・位相と略同じ振幅・位相で振動するように枠材2に支持される。また、枠材2は、多孔板1の縁部の全周を覆うように連続して支持している。即ち、枠材2は、振動面200aと多孔板1との間の空間を振動面200aの面内方向において外部と遮断するように形成されている。これより、当該枠材2は、振動面200aと多孔板1との間に、貫通孔1aを通る通路を除いて密閉された空間である内部気体室3を形成している。
構造体200が振動した場合、枠材2を介して振動面200aとともに多孔板1の全面が略一様に振動する。このとき多孔板1に貫通孔1aが設けられていることによって、音響放射効率(振動から音への変換効率)が低減される。このように多孔板1の音響放射効率が低下することにより、多孔板1からの放射音は固体音低減構造100を設置する前(対策前)の構造体200からの放射音よりも小さくなる。
また、構造体の振動面200aに固体音低減構造100を設置した状態(対策後)においては、振動面200aから内部気体室3に放射される放射音は当該振動面200aに対して垂直な方向に向かって外部に漏れることを多孔板1によって抑制されるとともに、振動面200aと多孔板1との間の空間と外部とを遮るように設置される枠材2により、内部気体室3から振動面200aに沿った方向に向かって外部に伝搬する音が遮断される。これより、振動面200aから内部気体室3に放射される放射音が周囲に漏れることが抑制できる。以上の結果として、振動する構造体から周囲に放射される音(固体音)を低減することが可能である。
また、上記構造は、振動面200aと多孔板1との間が枠材2により区画された簡易な構造であるため、固体音低減構造100の作製コストを抑えることが可能であるとともに、弾性部材を用いることなく構成されるため、経年劣化による影響を受けにくく、耐久性を向上させることができる。
また、図2に第1実施形態の変形例を示す。この変形例では、構造体200の表面に設けられ、多孔板1を支持するとともに、内部気体室3を構造体200の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室3a、3b、3cを形成する枠材2p(区画壁面部)を更に備える構成となっている。即ち、多孔板1は枠材2により外周縁部を支持されているだけでなく、枠材2pにより面内方向における中間部分も支持されている。また、分割内部気体室3a、3b、3cは図1に示した内部気体室3と同様に、貫通孔1aを通る通路を除き、それぞれ閉空間となるように形成されている。
このように多孔板1を複数の位置において枠材2及び枠材2pで支持することにより、多孔板1は枠材2及び枠材2pにより支持される間隔が短くなる。そのため、構造体200の振動が振動面200a全面において一様ではない場合、即ち振動面200aの面内方向において部分的に振動の振幅・位相が異なるなど、振動分布がある場合であっても、分割内部気体室3a、3b、3cそれぞれの上面となる領域(図2中A、B、Cでしめす個々の領域)においては多孔板1の振動が一様な振幅・位相に近づく(振動分布がなくなる)ようにすることができる。尚、1つの分割内部気体室の上面となる領域における多孔板1が面内方向において振動分布を持つ場合、固体音低減効果が小さくなることが分かっており、上述したように、多孔板1における振動分布の発生を抑制することで、より安定的に固体音を低減することが可能である。
また、振動面200a全面が一様に同振幅、同位相で振動する場合においても、多孔板1がその縁部のみ枠材2によって支えられている場合(例えば図1に示す構造の場合)には、多孔板1が面内方向において振動分布ができる可能性もある。これに対し、枠材2pにより多孔板1の中央付近も支持することで、多孔板1と構造体200とをより一体的に振動させることができるため、多孔板1が面内方向において振動分布を持つことを抑制することができ、全面に亘って一様に振動しやすくすることができる。これより、より安定的に固体音を低減することが可能である。
また、このように枠材2及び枠材2pによる多孔板1の支持間隔L(支持スパン)が短くなることにより、多孔板1の共振周波数をより高周波側に移行させることが可能である。そのため、多孔板1の共振周波数が、低減すべき騒音の周波数帯域(対策周波数帯域)の範囲外になるように、例えば多孔板1の共振周波数が、機械(構造体)の固有振動数、配管系(構造体)の共鳴振動数などと異なる周波数となるように支持スパンを設計して当該機械や配管等に設置することで、多孔板1の共振を防ぎ、当該機械や配管等から周囲に放射される固体音を低減することができる。
また、固体音低減構造100内の閉空間(内部気体室3)の寸法などから決まる特定の周波数において共鳴が発生し、共鳴で増幅した空間内音圧により多孔板1の振動が増加する可能性があるが、変形例(図2参照)で示すように複数の分割内部気体室3a、3b、3cに区画することで、固体音低減構造101内の閉空間(分割内部気体室3a、3b、3c)の外寸が小さくなり、当該共鳴周波数をより高周波側に移行させることができるため、これにより共振を回避することが可能である。
尚、表面板部に形成する気体流通部は本実施形態のように貫通孔1aである場合に限らず、表面板部に形成したスリットとしてもよい。この場合、気体流通面積の広い気体流通部を容易に作製することができ、開孔率の調整が容易に可能となる。
次に、実験データにより、本発明の具体的な効果について説明する。
(実験例1)
図3に、実験に使用した固体音低減構造102の概略図を示す。図4は、実験によって得られた、騒音を放射する構造体の振動周波数と、音圧レベル低減量との関係を示すグラフである。
実験には、騒音を放射する振動構造体201として厚さ20mmのアルミ板を用いた。また、振動構造体201の振動面201aに設置した固体音低減構造102は、表面板部11と振動構造体201との間の空間を、縦横に各3つ、合計9つの分割内部気体室が形成されるように区画したものである。尚、1つの分割内部気体室は、面内方向において横寸法45mm、縦寸法30mmとなるように格子状に区画された空間であり、分割内部気体室の高さは40mmである。
また、固体音低減構造102は、9つの分割内部気体室を1枚の表面板部11で覆った構成とした。固体音低減構造102の表面板部11としては、開孔率((孔部総面積/分割内部気体室に面した表面板部総面積)×100)が2%となるように孔径2mmの貫通孔11aが1区画につき9個(縦3個×横3個)、計81個(9個×9区画)形成された厚さ2mmのアルミ板を用いた。
尚、以上の分割内部気体室の高さ、孔径、開孔率、板厚は、600Hz以上の固体音を低減できるように設計したものである。
また、表面板部11を支持するとともに固体音低減構造102の側面を形成する外周壁面部12として厚さ6mmのアルミ板を用い、外周壁面部12に囲まれた固体音低減構造102の内部を区画する区画壁面部13として厚さ3mmのアルミ板を用いた。
実験では、振動構造体201を加振機(図示せず)により所定の周波数で振動構造体201の厚さ方向(図3中の矢印方向)に加振し、表面板部11の上方における音圧レベルをマイクロホンで測定し、固体音低減構造102を設置しない場合における同条件で測定した音圧レベルとの差(音圧レベル低減量)を算出した。尚、測定点は、固体音低減構造102を設置した場合(対策後)においては、表面板部11の面内方向の中心から振動構造体201と逆側に向かって10mm離れた位置とし、固体音低減構造102を設置しない場合(対策前)は、振動面201aから上方へ10mm離れた位置とした。
図4に実験結果を示すように、600Hz以上で音圧レベル低減量が正になっており、650Hzから750Hzで特に音圧レベル低減量が大きくなっている。これより、設計通り600Hz以上で大きな固体音低減効果が得られることが確認できた。
尚、外周壁面部12及び区画壁面部13の高さ、表面板部11の板厚、孔径、開孔率を変更することにより、低減すべき騒音の周波数(対策周波数)や当該騒音の大きさに合わせて、固体音低減効果を得ることができる周波数帯域、及び、固体音低減効果量(音圧レベル低減量)を調整することが可能である。例えば、本実験では、外周壁面部12及び区画壁面部13の高さ、表面板部11の板厚、孔径、開孔率を変更することにより、音圧レベル低減量が正になる領域(低減領域)を変化させ、当該低減領域に対策周波数が含まれるように調整することが可能である。
(実験例2)
次に、構造体の表面に振動分布がある場合において、本発明の実施形態に係る固体音低減構造の効果を検証するための実験結果について説明する。
まず、構造体を、300mm×150mm×厚さ4.5mmの鋼板で模擬し、当該鋼板の4隅を単純支持し、当該鋼板の中心を加振機で加振して、鋼板の振動分布の測定を行った結果を図27(a)に示す。また、当該鋼板上に、当該鋼板の長手方向に10mmピッチで、短手方向全長に亘って延びる支持壁を設け、当該支持壁頂部に多孔板を接合して、鋼板を加振し、多孔板の振動分布の測定を行った結果を図27(b)に示す。尚、多孔板は、厚さ0.3mm、孔径0.3mm、開孔率0.3%のアルミ板であり、鋼板の表面から多孔板までの空気層の厚さが20mmとなるように、支持壁によって支持されるものとした。尚、以上の仕様は、1050Hz以上で固体音低減効果を奏するように設計したものである。
図27(a)、(b)は、同位相で振動する領域をX又はYで示した振動分布図である。即ち、図中Xで示す領域においては、図中Yで示す領域とは逆位相で振動することを示している。
図27(a)から、鋼板のみを所定の周波数で加振したときに、当該鋼板が長手方向において曲げ3次モードで振動していることが分かる。また、図27(b)に示すように、鋼板上に支持壁を介して結合された多孔板は、図27(a)で示した鋼板の振動分布と同様に、長手方向の曲げ3次モードで振動していることが分かる。このように、多孔板は、支持壁により鋼板に結合されることで、鋼板と一体となって振動する。
また、鋼板上に多孔板を設置したときの、放射音の低減効果を測定した結果を図28に示す。図28は、多孔板を設置する前の鋼板表面の中心から50mm離れた位置における音圧レベルを基準として、多孔板を鋼板に設置した時の当該多孔板の中心から50mm離れた位置における音圧レベルの低減量を測定した測定結果であり、当該音圧レベル低減量と鋼板を加振する振動周波数との関係を示すグラフである。
図28に示すように、約1050Hz以上の帯域で音圧レベルの低減量が正となり、放射音低減効果が得られる。また、1420〜1450Hzの帯域において最も放射音低減効果が高く、最大で約22dBの放射音低減効果を得ることが可能となっている。
(比較例)
図29(a)に比較例として、長手方向に20mmピッチ、短手方向に35mmピッチで柱状部材により多孔板を鋼板から支持したときの、当該多孔板の振動分布を示す。また、図29(b)に、当該多孔板を設置した時の音圧レベル低減量を示す。尚、測定条件は、実験例2において多孔板の音圧レベル低減量を測定した測定条件と同様である。
図29(a)に示すように、比較例における多孔板には、鋼板の振動(図27(a)参照)とは無相関の振動が生じている。また、図29(b)に示すように、比較例においては、音圧レベル低減量は、ほぼ全体域において負となっており、放射音が増大している。このように、比較例において放射音が増大するのは、図29(a)で示すように多孔板の振動が鋼板と一体になっていないことが原因の一つと考えられる。
次に、数値解析による固体音低減構造の設計例について説明する。
(解析例1)
図5に本解析における数値解析モデルを示す。本解析では、固体音低減構造103の表面板部21の貫通孔21aの孔径および開孔率を変化させたときの表面板部の表面からの音響放射パワー低減量を算出した。解析条件を以下に示す。尚、解析条件に示す所定の孔数の貫通孔21aが解析モデルの上面に一様に分布するものとして解析を行った。
表面板部21は、縦寸法(L)を35mm、横寸法(W)を45mm、厚さを2mmとした長方形のアルミ板とし、表面板部21に貫通する貫通孔21aの孔径及び開孔率を表1に示す5つの条件に変化させて解析を行った。また、壁面部22は、騒音を放射する構造体の振動面202aから表面板部21までの高さ(H)が40mmとなるように、表面板部21の周囲全周と振動面202aとを連結するものとした。また、音波を伝達する媒質は空気とした。
尚、数値解析は、板部には有限要素法を、音場に境界要素法を適用した板―音場連成解析を用いて実施した。
Figure 0005052980
振動面202a、及び、壁面部22により構造体と連結されている表面板部21の周囲4辺を、1m/sで高さ(H)方向に強制振動させたときの、表1に示す各条件における表面板部21の表面からの音響放射パワーをそれぞれ算出した。
図6に数値解析結果を示す。縦軸で示される放射パワー低減量は、固体音低減構造103を設置していない振動面202aからの音響放射パワー(表面板部21と同面積分)を基準として音響放射パワーの増減を算出したものである。また、図6中にしめす条件1〜5は、表1に示す表面板部21の設計条件に対応したものである。
図6に示すように、600Hz以上の周波数帯域で効果が得られ、音響放射パワーの低減量の最大値は、孔径が大きいほど、また、開孔率が大きいほど大きくなっている。また、600Hz以下の周波数帯域において音響放射パワーの低減量が負になっており、本解析条件においては、孔径が大きいほど、また、開孔率が大きいほど音響放射パワーが増加する。
このように、600Hz以上の周波数帯域において固体音低減効果が現れるように設計する場合においても、表面板部21の設計条件を変化させることで、音響放射パワーの低減量を様々に変化させることが可能である。
(解析例2)
図7に、解析例1の解析条件において、表面板部21の孔径を2mm、開孔率を1.3%に変更し、壁面部22の高さ(H)を12mmに変更したときの解析結果を示す。
図7に示すように、表面板部21と壁面部22の設計条件を変更することによって、900Hz以上の周波数帯域において固体音低減効果が発揮され、解析例1においては約600〜700Hzの範囲であった固体音低減効果を発揮するピーク周波数を、900Hz付近に変化させることを可能としている。
また、3800Hz付近において音響放射パワーが増加(放射パワー低減量が低下)している。これは、壁面部22により囲まれた内部気体室の長さW(45mm)と3800Hzの音波の半波長とが一致するために、内部気体室で音波の共鳴が起こったためである。
したがって、例えば、図2に示す固体音低減構造101において、区画壁面部2pとしてのアルミ板を、対策周波数帯域における分割内部気体室3a、3b、3cを通る音波の半波長よりも短い間隔で、構造体200の表面と多孔板1との間の空間を区画するように配置することにより、隣接する区画壁面部2pの間での音波の共鳴を防止でき、より確実に固体音を低減することが可能である。尚、区画壁面部2pの間隔は音波の波長の1/2未満であって1/32以上とすることが望ましく、区画壁面部2pの間隔を音波の波長の1/32以上とすることで区画壁面部2pの数が過度に増加することを防止し、区画壁面部2pの体積(区画壁面部2pが占める容積)により固体音低減効果を発揮するのに必要な空間(分割内部気体室)の容積が減少することを抑制可能である。
また、内部気体室における音波の共鳴は、図2に示す構造体200の振動面200aと多孔板1との間の距離が音波の半波長と一致する場合にも起こりうる。したがって、振動面200aと多孔板1との間隔が、低減すべき騒音の周波数帯域における内部気体室3を通過する音波の半波長よりも短くなるように設計することで、対策周波数帯域において、振動面200aと多孔板1との間で起こる音波の共鳴を防止でき、より確実に固体音を低減することが可能である。
(解析例3)
図8に、解析例2の解析条件において、表面板部21の材料のヤング率を解析例2で用いたヤング率の1/24として同様の解析を行った結果を示す。
図8に示すように、3000Hz付近の周波数において、表面板部21の共振が起こるため、放射パワー低減量が著しく低下している。また、解析例2においては放射パワー低減量が正の値であった1100〜3500Hzの周波数帯域において放射パワー低減量が負になっている。これより、表面板部21が共振することにより、固体音低減構造を設置しない状態に比べ、広い周波数帯域において放射パワーが増加することがわかる。
一方、表面板部21の一次共振周波数である3000Hzよりも高い周波数帯域である3500Hz以上の周波数帯域において、大きな固体音低減効果を発揮している。
表面板部21の一次共振周波数は、表面板部21の形状、寸法、材質、板厚、及び、壁面部22の形状、材質その他の支持条件により変化させることが可能である。
したがって、騒音を低減すべき周波数である対策周波数が、一次共振周波数以上の周波数帯域における、放射パワー低減量が正になる周波数帯域に含まれるように、表面板部21の形状、寸法、材質、板厚、及び、壁面部22の形状、材質その他の支持条件を設計することにより、対策周波数において表面板部21が共振することを防止でき、一次共振周波数以上の周波数帯域において発揮する効果的な固体音低減特性を利用することが可能となり、確実に固体音を低減できる。
尚、一次共振周波数以上の周波数帯域においても、二次共振周波数に達すると表面板部21の共振が起こり、再び放射パワー低減量が低下する(固体音低減構造の設置により放射パワーが増加する)ことになるため、対策周波数は、表面板部21の二次共振周波数以下の周波数となるように固体音低減構造を設計することが望ましい。
また、上述したような一次共振周波数と二次共振周波数との間の周波数帯域において現れる効果的な固体音低減特性は、二次共振周波数と三次共振周波数との間、三次共振周波数と四次共振周波数との間など、ある共振周波数とその次の次数の共振周波数との間において現れる。したがって、例えば、一定の幅を持つ対策周波数帯域に共振周波数が含まれないように固体音低減構造体を設計することで効果的に固体音を低減することができる。特に、対策周波数帯域に、ある共振周波数とその次の次数の共振周波数との間に存在する反共振点が含まれるように設計することで更に固体音低減効果を顕著にすることが可能となる。
また、本解析結果から分かるように、表面板部21のヤング率を低くすることで、解析例2に比べ表面板部21の一次共振周波数がより低周波数側に変化している。具体的には、表面板部21の一次共振周波数は3000Hzとなっており、解析例2で示した固体音低減効果の高い周波数(900Hz)により近づいている。そのため、上述したように、3500Hz以上の周波数帯域において、大きな固体音低減効果を発揮する一方、解析例2において顕著であった900Hz以上の領域における固体音低減効果が減少している。
このように、表面板部の形状、寸法、材質、板厚、及び、壁面部での支持条件等により表面板部21の共振周波数は変化する。したがって、このような設計条件を変化させることで、対策周波数が固体音低減効果の大きい周波数帯域に含まれるように共振周波数を最適な値に調整し、対策周波数に対してより高い固体音低減効果を発揮できる固体音低減構造を設計することも可能となる。
〔共振周波数の算出〕
ここで、表面板部の形状、寸法、材質、板厚、及び、壁面部による表面板部の支持条件を決めれば、表面板部が長方形、円形の場合には、以下に示すように共振周波数理論式(理論解析による厳密解や近似解)により表面板部の共振周波数を算出できる。
・表面板部が長方形で、周囲4辺が単純支持されている場合
式1を用いて共振周波数fを算出できる。式1において、aは短辺長さ、bは長辺長さ(正方形の場合はa=b)、iは短辺方向次数、jは長辺方向次数(一次共振の場合はi=j=1)、Eはヤング率、νはポアソン比、ρは密度、tは板厚である。
Figure 0005052980
・表面板部が長方形で、周囲4辺が固定支持されている場合
式2を用いて共振周波数fを算出できる。式2において、λは次数、縦横比(長辺/短辺)から決まる定数、aは短辺長さ、Eはヤング率、νはポアソン比、ρは密度、tは板厚である。
Figure 0005052980
・表面板部が円形の場合
式3を用いて共振周波数fを算出できる。式3において、λは次数、周囲支持条件から決まる定数、aは半径、Eはヤング率、νはポアソン比、ρは密度、tは板厚である。
Figure 0005052980
上記以外にも理論式が存在する仕様については、それらを用いて算出するのが簡便である。理論式が存在しない仕様については、有限要素法などの数値解析を用いて算出すれば良い。
これより、表面板部21の一次共振周波数が低減すべき騒音の周波数帯域より高くなるように、前述した共振周波数理論式や数値解析を用いて、表面板部21及び壁面部22の設計条件を決定し、当該設計条件に従って表面板部21及び壁面部22を形成することで、低減すべき騒音の周波数帯域(対策周波数帯域)において表面板部21が共振することを防止できるとともに、解析例2で示したような900Hz以上の領域における固体音低減効果をより広い周波数帯域において利用することが可能となり、確実に固体音を低減することが可能である。
また、騒音を低減すべき周波数、表面板部の形状、材質、板厚、及び、壁面部による表面板部の支持条件(支持スパンを除く)が決まった場合に、前述した共振周波数理論式や数値解析を用いれば、表面板部に一次共振が生じる寸法(一区画当たりの寸法)を求めることができる。その寸法よりも短い間隔で壁面部が表面板部を支持すれば、騒音を低減すべき周波数において表面板部の一次共振が起こるのを避けることができ、より確実に固体音を低減可能である。
例えば、正方形に区画された板で各区画の周囲4辺が単純支持されている場合、式2においてa=b、i=j=1として、さらに変形した式4により、周波数fにおいて一次共振が生じる表面板部の1区画の寸法aを求めることができる。
Figure 0005052980
また、逆に、1区画の寸法aが所定の寸法となるように固体音低減構造を形成しなければならないような場合においては、対策周波数帯域において表面板部に一次の共振が生じることになる1区画の寸法を、表面板部及び壁面部の形状、材料等の組み合わせを適宜変更しながら前述した共振周波数理論式や数値解析により予め算出し、当該算出される寸法が所定の寸法よりも長くなるような、表面板部及び壁面部の形状、材料等の組み合わせを実際の設計条件として選択し、当該設計条件に基づいて表面板部及び壁面部を形成することにより、低減すべき騒音の周波数帯域(対策周波数帯域)において表面板部が共振することを防止でき、より確実に固体音を低減できる。
(解析例4)
次に、図9に解析例4における解析モデルを示す。解析例4では、解析例1において用いた解析モデルにおいて(図5参照)、構造体の振動面202aと表面板部21との間の空間に、振動面202aの法線方向において空間を区画して2層の内部気体室24、25を形成する仕切り板23を配置した多層構造の固体音低減構造103における音響放射パワー低減量を算出した。仕切り板23は、貫通孔23aが一様に分布するように形成された多孔板であり、板厚0.1mm、貫通孔23aの孔径0.4mm、孔数22個、開孔率0.2%として形成され、振動面202aと表面板部21との中間に位置するように振動面202aから高さ20mmの位置に配置されている。また、表面板部21は、貫通孔21aの孔径1mm、孔数29個、開孔率1.7%として形成されており(解析例1における条件3と同じ形状)、他の条件は解析例1と同様である。尚、解析例1と同様に、貫通孔21aは表面板部21上に一様に分布するものとして解析を行った。
図10に解析結果を示すように、仕切り板23により固体音低減構造を多層構造とした場合、800Hz〜1100Hzの周波数帯において、放射パワー低減量が10dBを超え、固体音低減効果が大きい。一方、仕切り板23を取り除いた構造(解析例1の条件3の構造)の場合、放射パワー低減量は最大でも5dB以下である(図6参照)。これより、多層構造にすることで、表面板部の音響放射効率をより広範な周波数範囲でより大きく低減できることがわかる。
尚、図9に示す解析モデルのように、表面板部21と振動面202aとの間に仕切り板23を1枚挟んだ構造とする場合に限らず、図11に示すように、貫通孔26a、27aを有する複数枚の仕切り板26、27を挟んだ構造とすることもできる。この場合、放射パワーの低減量を更に大きくすることが可能である。また、仕切り板は、必ずしも多孔板である必要はなく、図12に示すように、孔を有しない平板28を用いることも可能である。この場合、貫通孔を形成する必要はなく容易に作製することが可能である。また、箔、シートなどの薄膜状の仕切りを用いることも可能である。尚、図11、図12において、図1に示す固体音低減構造100と同一部材には同一符号を付している。
また、図13に示すように、振動して騒音を放射する構造体200が、振幅・位相が一様でない振動をして騒音を放射する場合においては、隣接する2つの枠材、例えば枠材2aと枠材2bとのその時々の振動振幅が異なる(変位方向及びその変位量が異なる)。図13において、枠材2aは静止位置から上方に変位しているのに対し、枠材2bは枠材2aとは逆に静止位置から下方に変位した状態となっている。このように枠材が変位することで、枠材2aと枠材2bとの間の多孔板1は、枠材2aに近い位置では静止位置から上方に移動し、枠材2bに近い位置においては静止位置から下方に移動しているため、振動が一様ではなくなっている。このように多孔板1の振動が一様でなくなると、固体音低減効果が減少するため問題となる。特に、枠材2によって多孔板1を支持する間隔Lが構造体200の表面を面内方向に伝搬する曲げ波、あるいは、曲げ波に起因する定在波の波長λの1/2となる場合は、枠材2aと枠材2bはそれぞれ逆位相で振動することになり、振動分布が大きくなってしまう。
そのため、図14に示すように、枠材2によって多孔板1を支持する間隔Lを、低減すべき騒音の周波数帯域における構造体200の表面を面内方向に伝搬する曲げ波の半波長、あるいは、前記曲げ波に起因する定在波の半波長よりも短い間隔とすることにより、隣接する枠材(例えば枠材2cと枠材2dと)のその時々の振動振幅の差をより小さくすることができる。ここで、図14においては、枠材2c、枠材2dはどちらも静止位置から上方に変位しているとともに、変位量の差も少なくなっている。これより、枠材間における多孔板1はより一様に振動することになり、より安定的に固体音を低減することができる。尚、枠材の間隔は曲げ波、あるいは、曲げ波に起因する定在波の波長の1/32以上とすることが望ましい。枠材の間隔を音波の波長の1/32以上とすることで枠材の数が過度に増加することを防止し、枠材自体の体積により固体音低減効果を発揮するのに必要
な内部気体室の容積が減少することを抑制可能である。
(第2実施形態)
図15に、第2実施形態に係る固体音低減構造104を示す。第2実施形態に係る固体音低減構造104は、図2で示した第1実施形態の変形例に係る固体音低減構造101において、多孔板1に制振材30を設置した構造である。尚、図1と同一部材には同一符号を付し、説明を省略する。
制振材30は、例えば粘弾性を有するシート状部材や接着剤等を用いることができ、多孔板1の変形に伴って変形するように、多孔板1の構造体200側に向く面(裏面)上に接着される。制振材30を多孔板1の外部に向く面(表面)に接着することも可能であるが、裏面に制振材30を取り付けることで固体音低減構造104が取り付けられた構造体200の外観を損ねることがないため有効である。また、貫通孔1aを塞ぐことなく接着されており、音響放射効率を増加させることはない。この構造では、構造体200の振動により、多孔板1が振動して変形することにより、制振材30も変形することになる。このとき制振材30の変形により振動エネルギーが消費されるため、振動を減衰させることができる。したがって、多孔板1の共振を抑制することができ、広範な周波数範囲で固体音を低減できる。尚、多孔板1の全面に制振材30を貼り付ける場合に限られず、部分的に制振材30を貼り付けることも可能である。この場合、制振材30の使用量を減らしコストを削減できる。
また、図16において、多孔板1と枠材2pとの接合部を拡大して示すように、制振材30は、多孔板1と枠材2pとの接合部近傍に設置されている。このような角部に制振材30が設置されることで、構造体200の振動により多孔板1が変形すると、制振材30は多孔板1と枠材2との間で圧縮又は引張り、あるいは、せん断の力を受けて変形することになる。このとき、制振材30を多孔板1のみに接合するような位置に設置した場合に比べ、多孔板1の変形量に対する制振材30の変形量の割合を大きくすることができ、多孔板1の振動をより減衰させることが可能となる。
また、図30に、多孔板1と枠材2pとの接合部の変形例を示す。図30(a)に示すように、枠材2pの頂部を尖らせて多孔板1と接合した構成とすることもできる。また、図30(b)に示すように、枠材2pの頂部を丸めて、多孔板1と接合した構成とすることもできる。このような構成とすることで、枠材2pと多孔板1との接触を線状に近づけることができる。この場合、図30に示す所定の断面において枠材2pと多孔板1との接触幅が狭くなることで、枠材2pから多孔板1へ当該断面内における曲げモーメントが伝わりにくくなる。したがって、多孔板1に作用する曲げモーメントが低減され、多孔板1の共振を抑制できるため、より安定的により広範な周波数範囲で固体音を低減できる。
枠材2pの、多孔板1に接合される端部を尖らせることにより(図30(a)参照)、また、枠材2pの多孔板1に接合される端部を多孔板1に向かって凸となる曲面状とすることにより(図30(b)参照)、簡易な構成で多孔板1へのモーメントの伝達を抑制できるため、固体音低減構造の設置が低コストで可能となる。尚、必ずしも枠材2pにおける多孔板1との接触部全てにおいて図30に示す形状にする場合に限定されず、部分的に形成されていてもよい。また、多孔板1の中間を支持する枠材2pに限定されず、多孔板1の外周縁部を支持する枠材2を、多孔板1へ曲げモーメントが伝わりにくくなるように構成することも可能である。
このように、図30(a)及び、図30(b)に記載の固体音低減構造においては、枠材2pと多孔板1との接触部において、枠材2pと多孔板1との接触面積S1が、枠材2pにおける支持方向中間部の断面積S2(多孔板1と平行な断面の面積)よりも小さくなるように枠材2pと多孔板1とが接合されている。この構成によると、枠材2pから多孔板1に曲げモーメントが伝わりにくくなり、多孔板1に作用する曲げモーメントが低減されるので、多孔板1の共振を抑制できる。これにより、より安定的に広範な周波数範囲で固体音を低減できる。
(第3実施形態)
図17に、第3実施形態に係る固体音低減構造105を示す。また、図18は、図17に示す固体音低減構造105における多孔板1と枠材2eとの接合部分の拡大図である。第3実施形態に係る固体音低減構造105は、多孔板1と構造体200との間の空間が枠材2、枠材2pにより複数に区画され、大きさが異なる分割内部気体室3a、3b、3c等が形成された構造となっている。また、多孔板1は枠材2pの先端部において分離された状態で接合されており、例えば枠材2eを挟んで隣接する二つの分割内部気体室3a、3bを覆うように配置される多孔板1は、枠材2eによる支持位置において多孔板1Aと多孔板1Bとに分離して形成されている(図18参照)。
図17に示すように、各区画(分割内部気体室)の大きさが異なる場合など、多孔板1の一部分(例えば多孔板1Bの部分)のみが大きく振動することがある(図中の矢印で振動を示す)。このような場合においても、多孔板1が枠材2pの先端部において分離していることにより、複数に分割された多孔板1の一部分である多孔板1Bの振動が、隣接する多孔板である多孔板1A、1Cなどに伝搬することが抑制される。したがって、より安定的に、より広範な周波数範囲で固体音を低減できる。
尚、上述した実施形態においては、多孔板と騒音を放射する構造体との間の空間である内部気体室は空気層として形成されているが、図19に示すように、内部気体室3に吸音材40を設置することもできる。吸音材40としては、グラスウール等の繊維材料や、発泡樹脂等の多孔質体などを用いることができる。吸音材40の設置により内部気体室3における空気の振動エネルギーを空気と吸音材40との摩擦エネルギーとして消費することができる。これより、内部気体室3における音波の共鳴により増幅された音圧が多孔板1の振動を増大させることを抑制することが可能となる。
また、表面板部、壁面部が、騒音を放射する構造体と別部材として形成されている場合に限られず、図20に示すように、振動して騒音を放射する機器203の表面に予め形成されているリブ50等を壁面部として利用して、部分的に枠材2を取り付けることにより表面板部1を機器203の表面に設置することも可能である。
また、図21に示すように、騒音を放射する構造体204、貫通孔31aを有する表面板部31及び表面板部31を支持する壁面部32を一体成形することもできる。この場合、表面板部31と壁面部32、及び、壁面部32と構造体204との接合部において、がたつき等が生じることがなく、接合部において発生する騒音を抑制することが容易に可能となる。また、同一材料で成形されるため、リサイクル性がよいものとなる。
(第4実施形態)
図22は、騒音を放射する構造体としてのコンプレッサー本体300を示す概略図の平面図(a)及び斜視図(b)である。また、図23は、図22に示すコンプレッサー本体の外表面に固体音低減構造400を設置した状態を示す概略図の平面図(a)及び斜視図(b)である。
図22に示すように、コンプレッサーのケーシング301は円筒形状に形成されており、コンプレッサー駆動時において本体内に媒質流入管302aから圧力伝達媒体が流入し、媒質流出管302bから外部へ流出する。図23に示すように、複数の貫通孔401aが形成された多孔板401はケーシング301外周表面の全面を覆うように、ケーシング301の外周表面と一定の間隔を空けて仕切り板402によって支持されている。仕切り板402は、ケーシング301の円筒軸方向に平行に延びる仕切り板402aと、当該仕切り板402aと直交する仕切り板402bとからなり、多孔板401を支持するとともに、多孔板401とケーシング301の外周表面との間の空間を区画して複数の分割内部気体室を形成している。
尚、本実施形態においては、多孔板401とケーシング301の外周表面との間の空間は、図23(a)に示すように仕切り板402aでケーシング301の周方向において3分割され、また、図23(b)に示すように仕切り板402bで円筒軸方向において3分割されているが、ケーシング301の振動周波数帯域(対策周波数帯域)に合わせて、適宜仕切り板402による区画の間隔や、区画数を変化させることができる。
このように、固体音低減構造をコンプレッサーのケーシング301の表面に設置することで、ケーシング301と一体となって多孔板401が振動するため、コンプレッサーの駆動時においてケーシング301の振動により周囲に放射される騒音を低減することができる。
また、ケーシング301の表面全体に多孔板401を取り付ける場合に限られない。例えば、図24(a)、図24(b)に示すように、表面の一部に一区画の多孔板401及び仕切り板402を取り付けて固体音低減構造400を形成することもできる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図31に、第5実施形態に係る固体音低減構造111を示す。第5実施形態に係る固体音低減構造111は、図2で示した第1実施形態の変形例に係る固体音低減構造101において、表面板部1を構造体200の振動面200aから支持する部材としての枠材2pを支持柱60(柱部)に変更した構造である。尚、図1と同一部材には同一符号を付し、説明を省略する。
支持柱60は、構造体の振動面200aと多孔板1(表面板部)との間を連結して支持する円柱状の柱である。尚、当該支持柱60を円柱状に形成する場合に限らず、四角柱状等、多角柱の部材として構成することもできるし、また、内部中空の円筒状、角筒状の柱であってもよい。当該支持柱60は、多孔板1の全面を略均一に支持するように、構造体の振動面200aに縦横に間隔Lを空けて並んで配置されている。尚、間隔Lは、低減すべき騒音の周波数帯域における構造体の振動面200aを面内方向に伝搬する曲げ波の半波長、あるいは、前記曲げ波に起因する定在波の半波長よりも短い間隔となるように設定される。
このように、多孔板1を支持柱60により支持することで、簡単な構造、且つ、低コストで、表面板部を構造体の表面から支持することができる。更に、多孔板1を全面に亘って均等に支持しつつ、支持部材と多孔板1との接合面積を減少させることができるため有効である。また、多孔板1の周縁部を支持する枠材2のみで支持する場合(図1参照)に比べると、支持柱60により多孔板1の中間部分を支持させることで多孔板1の支持間隔(支持スパン)を短くすることができる。これにより、固体音の低減効果をより顕著にすることが可能となる。また、多孔板1の支持スパンを短くすると、多孔板1の共振周波数がより高周波数になるため、共振を防止し、より広範な周波数範囲で固体音を低減できる。
また、支持スパン(間隔L)が、低減すべき騒音の周波数帯域における前記構造体の表面を面内方向に伝搬する曲げ波の半波長、あるいは、前記曲げ波に起因する定在波の半波長よりも短くなるように、多孔板1が枠材2及び支持柱60に支持されているので、近接する支持柱60は、それぞれ同位相で振動しやすくなる。これより、隣り合う二つの支持部材の間における表面板部の振動分布を低減することができ、より安定的に固体音を低減することができる。
尚、低減すべき騒音の周波数帯域(対策周波数帯域)において多孔板1の共振を防ぎ、より確実に固体音を低減するために、多孔板1の一次共振周波数が低減すべき騒音の周波数帯域より高くなるように、支持柱60の数や支持位置を定めることが望ましい。
また、他の設計条件により支持柱60の数や支持位置を調整することができず、支持柱60による支持スパンが所定の寸法に固定されている場合は、解析等により予め、低減すべき騒音の周波数帯域において多孔板1が一次の共振を起こす支持スパンを算出して、当該算出される支持スパンが、所定の寸法よりも長くなるような、多孔板1及び枠材2の形状、材料等の組み合わせを選択することが望ましい。これにより、低減すべき騒音の周波数帯域(対策周波数帯域)において表面板部が共振することを防止でき、より確実に固体音を低減できる。
また、多孔板1の一つの共振周波数と当該共振周波数の次の次数の共振周波数との間の周波数帯域に、低減すべき騒音の周波数帯域すべてが含まれるように、多孔板1、枠材2、及び支持柱60を形成すれば、対策周波数帯域が多孔板1の共振周波数を跨がないため、対策周波数帯域において多孔板1が共振することを防止できるとともに、一つの共振周波数と次の次数の共振周波数との間で起こる効果的な固体音低減特性を利用することができる。
また、支持柱60と多孔板1との接触部において、支持柱60と多孔板1との接触面積が、支持柱60の支持方向中間部の断面積(多孔板1と平行な断面の面積)よりも小さくなるように、支持柱60と多孔板1とを接合して構成することもできる。例えば、支持柱60における多孔板1に接触する側の端部を尖らせて形成することも可能である。具体的には、支持柱60を、多孔板1側に向かって細くなる円すい台状のテーパ部分と、テーパ部分の底面に連続する円柱状の胴体部と、により構成することができる。また、支持柱60の多孔板1側の端部を丸めて形成することも可能である。この構成によると、支持柱60から多孔板1に曲げモーメントが伝わりにくくなり、多孔板1に作用する曲げモーメントが低減されるので、多孔板1の共振を抑制できる。これにより、より安定的に広範な周波数範囲で固体音を低減できる。
尚、第5実施形態に係る固体音低減構造111においては、支持柱60の配置が等ピッチである場合を示したが、この場合に限定されず、固体音低減構造を設置する構造体に応じて最適に配置することができる。
また、図2に示す固体音低減構造101が有する区画壁面部としての枠材2pと、第5実施形態に係る固体音低減構造111が有する支持柱60とを併用して、コストパフォーマンスが良い、最適な設計を行うことが可能である。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。図32に、第6実施形態に係る固体音低減構造112を示す。第6実施形態に係る固体音低減構造112は、構造体200の振動面200aに、6つの壁面を有する内部中空の直方体の箱部材70(箱状体)を、複数並べて設置した構成である。
箱部材70は、一の壁面が複数の貫通孔71aが形成されたアルミ製の多孔板71として形成され、他の壁面は、鋼板により形成されている。そして当該箱部材70は、多孔板71に対向する壁面を構造体の振動面200aに接合させて当該振動面200aに固定されている。即ち、箱部材70を形成する他の壁面を介して多孔板71が振動面200aから支持されるように、箱部材70が振動面200aに設けられている。このとき、多孔板71は、構造体の振動面200aと略平行に配置される。尚、箱部材70は、構造体に当接させる面において開口するように、即ち、多孔板71及びその周囲4辺に連続する側壁部分からなる箱部材として構成してもよい。この場合は、多孔板71の周囲4辺から延びる側壁部分の端部を構造体の振動面200aに接合することにより、箱部材70を構造体200に設置することができる。
また、箱部材70は、多孔板71の一辺の長さが、低減すべき騒音の周波数帯域における構造体の振動面200aを面内方向に伝搬する曲げ波の半波長、あるいは、前記曲げ波に起因する定在波の半波長よりも短い間隔となるように形成されている。
箱部材70は、構造体の振動面200aに複数設置され、それぞれ所定の隙間を空けて配置される。複数の箱部材70は、それぞれ独立して製造されるため、構造体の振動面200aにおける取り付け可能な面積が狭い場合でも、取り付け数を調整して箱部材70を配置することが可能であるため、構造体200の形状により適した固体音低減構造を構成することが可能となる。尚、同形状の箱部材70を並べて配置する場合に限らず、構造体200の形状に合わせて異なる形状の箱部材を並べて配置することも可能である。
このように、箱部材70を構造体の振動面200aに設置することで、多孔板71を構造体の振動面200aに対して間隔を空けて配置できるので、構造体の振動面200aへの多孔板71の設置が容易となる。更に、箱部材70により、多孔板71と壁面とで囲まれた一の区画が構成される。これにより、箱部材70を複数隣接させて設けた場合においても、一の多孔板71と、隣接する区画の多孔板71と、は互いに縁切りされた状態で配置されることになる。これにより、一つの区画の多孔板71の振動が隣接する区画の多孔板71に伝搬することをより確実に抑制でき、より安定的により広範な周波数範囲で固体音を低減できる。
また、多孔板71の周囲4辺に連結する側壁部分が、低減すべき騒音の周波数帯域における構造体の振動面200aを面内方向に伝搬する曲げ波の半波長、あるいは、前記曲げ波に起因する定在波の半波長よりも短い間隔で、対向するように構成されている。これにより、多孔板71を挟んで対向する側壁部分がそれぞれ逆位相で振動することを抑制できる。
尚、低減すべき騒音の周波数帯域(対策周波数帯域)において多孔板1の共振を防ぎ、より確実に固体音を低減するために、多孔板71の一次共振周波数が低減すべき騒音の周波数帯域より高くなるように、箱部材70の形状を定めることが望ましい。
また、多孔板71の一つの共振周波数と当該共振周波数の次の次数の共振周波数との間の周波数帯域に、低減すべき騒音の周波数帯域すべてが含まれるように、箱部材70を形成すれば、対策周波数帯域が多孔板1の共振周波数を跨がないため、対策周波数帯域において多孔板71が共振することを防止できるとともに、一つの共振周波数と次の次数の共振周波数との間で起こる効果的な固体音低減特性を利用することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
例えば、図25に模式的に示すように、本発明の固体音低減構造は、上記実施形態で示したような騒音を放射する構造体の振動面200aが平面であり、かつ、表面板部1が平板である形状(図25(a))である場合に限らず、図25(b)に示すように、振動面200a及び表面板部1が曲面形状である場合、図25(c)に示すように、振動面200aのみが曲面形状である場合、図25(d)に示すように、表面板部1のみ曲面形状である場合など、騒音を放射する構造体の形状や、固体音低減構造の設置スペース等に合わせて適宜設計することが可能である。図25(b)、図25(d)に示すように、表面板部1が曲面形状である場合には、平面である場合よりも表面板部1の曲げ剛性が向上するので、表面板部1の共振周波数がより高周波数になり、より高い周波数まで放射音を低減することが可能になる。
また、ダクトや配管などから放射される固体音の低減を行うことも可能である。例えば、図25(e)に示すように円筒状の構造体205の周囲に同心円の筒状に形成された表面板部1を壁面部2を介して設置できる。また、図25(f)に示すように、矩形状に形成されている構造体206の外面に平板状の表面板部1を設置することもできる。
また、表面板部1としてコルゲート状の多孔板や、表面にエンボス加工を施した多孔板やリブなどの補強を設けた多孔板などを用いることも可能である。これらにより、表面板部1の曲げ剛性が向上するので、表面板部1の共振周波数がより高周波数になり、より高い周波数まで放射音を低減することが可能になる。また、壁面部をハニカム構造として固体音低減構造の強度を高めることもできる。
例えば、図26(a)に模式的に示すように、表面板部1における構造体側の表面にリブ1rを設けることもできる。当該リブ1rは表面板部1の一方向(図中奥行き方向)に連続して形成されており、表面板部1の曲げ剛性を高くすることができる。また、表面板部1の曲げ剛性を更に高くするために、図26(b)に模式的に示すように、リブ1rを表面板部1の表面に格子状に形成することもできる。また、図26(c)に模式的に示すように、断面T字形状となるようなリブ1rを形成することもできる。また、図26(d)に模式的に示すように、曲面状に形成された表面板部1にリブ1rを形成することもできる。
また、1つの内部気体室を有する固体音低減構造を1ユニットとして、当該ユニットを複数接続して設置することもでき、用途に合った使用形態とすることが可能である。
本発明の第1実施形態に係る固体音低減構造を示す断面模式図である。 図1に示す固体音低減構造の変形例を示す断面模式図である。 実験に用いた固体音低減構造の概略図である。 実験により得られた振動周波数と音圧レベル低減量との関係を示すグラフである。 本発明に係る固体音低減構造の数値解析モデルを示す図である。 解析例1の解析結果を示すグラフである。 解析例2の解析結果を示すグラフである。 解析例3の解析結果を示すグラフである。 解析例4における解析モデルを示す図である。 解析例4の解析結果を示すグラフである。 図1に示す固体音低減構造の変形例を示す断面模式図である。 図1に示す固体音低減構造の変形例を示す断面模式図である。 振動している固体音低減構造を示す断面模式図である。 図1に示す固体音低減構造の変形例を示す断面模式図である。 第2実施形態に係る固体音低減構造を示す断面模式図である。 図15に示す固体音低減構造の部分拡大図である。 第3実施形態に係る固体音低減構造を示す断面模式図である。 図17に示す固体音低減構造の部分拡大図である。 図1に示す固体音低減構造の変形例を示す断面模式図である。 本発明に係る固体音低減構造の変形例を示す断面模式図である。 本発明に係る固体音低減構造の変形例を示す断面模式図である。 騒音を放射する構造体としてのコンプレッサーを示す概略図である。 図22に示すコンプレッサーに固体音低減構造を設置した状態を示す概略図である。 図22に示すコンプレッサーに固体音低減構造を設置した状態を示す概略図である。 本発明に係る固体音低減構造の変形例を示す断面模式図である。 本発明に係る固体音低減構造の変形例を示す断面模式図である。 (a)鋼板、及び、(b)多孔板の振動分布の測定結果を示す図である。 実験により得られた振動周波数と音圧レベル低減量との関係を示すグラフである。 比較例における(a)多孔板の振動分布、及び、(b)振動周波数と音圧レベル低減量との関係を示すグラフである。 多孔板と枠材との接合部の変形例を示す図である。 第5実施形態に係る固体音低減構造を示す断面模式図である。 第6実施形態に係る固体音低減構造を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1 多孔板(表面板部)
1a 貫通孔(気体流通部)
2 枠材(壁面部)
3 内部気体室
3a、3b、3c 分割内部気体室
11、21 表面板部
12 外周壁面部
13 区画壁面部
22 壁面部
23 仕切り板
30 制振材
40 吸音材
60 支持柱(柱部)
70 箱部材(箱状体)
71 多孔板(表面板部)
100〜103、111、112、400 固体音低減構造
200〜206 騒音を放射する構造体
300 コンプレッサー

Claims (9)

  1. 振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、
    前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、
    前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、
    前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、
    を備え、
    低減すべき騒音の周波数帯域における前記構造体の表面を面内方向に伝搬する曲げ波の半波長、あるいは、前記曲げ波に起因する定在波の半波長よりも短い間隔で、前記表面板部は前記壁面部又は前記柱部に支持されていることを特徴とする固体音低減構造。
  2. 振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、
    前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、
    前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、
    前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、
    を備え、
    前記表面板部の一次共振周波数が低減すべき騒音の周波数帯域より高くなるように、前記表面板部と、前記壁面部又は前記柱部とが形成されていることを特徴とする固体音低減構造。
  3. 振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、
    前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、
    前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、
    前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、
    を備え、
    低減すべき騒音の周波数帯域において前記表面板部が一次の共振を起こす前記表面板部の寸法よりも短い間隔で、前記表面板部が前記壁面部又は前記柱部に支持されるように、前記表面板部と、前記壁面部又は前記柱部とが形成されていることを特徴とする固体音低減構造。
  4. 振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、
    前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、
    前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、
    前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、
    を備え、
    前記表面板部の一つの共振周波数と当該共振周波数の次の次数の共振周波数との間の周波数帯域に、低減すべき騒音の周波数帯域すべてが含まれるように、前記表面板部と、前記壁面部又は前記柱部が形成されていることを特徴とする固体音低減構造。
  5. 振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、
    前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、
    前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、
    を備え、
    前記構造体の表面と前記表面板部との間隔が、低減すべき騒音の周波数帯域における音波の半波長よりも短いことを特徴とする固体音低減構造。
  6. 振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、
    前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、
    前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、
    前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、
    を備え、
    低減すべき騒音の周波数帯域における音波の半波長よりも短い間隔で、前記表面板部が前記壁面部又は前記柱部に支持されていることを特徴とする固体音低減構造。
  7. 制振材を前記表面板部に設置することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の固体音低減構造。
  8. 前記構造体の表面と前記表面板部との間に配置される1枚又は複数枚の仕切り板を更に備えた多層構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の固体音低減構造。
  9. 前記構造体の表面と前記表面板部との間に吸音材が設置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の固体音低減構造。
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