JP5052980B2 - 固体音低減構造 - Google Patents
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の取り付けを可能としている。また、防音カバーの全周をシールすることで、構造体と防音カバーの間の空間から外部に漏れる音を抑制し、防音性を向上させている。
また、遮音板を弾性支持する必要があるため、構造が複雑になり、部材点数も増加しやすく、固体音低減構造の作製コストが増加する恐れがある。
そして、本発明に係る固体音低減構造は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の固体音低減構造は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
図1は、本発明の固体音低減構造を、振動して騒音を放射する構造体(例えば、振動しながら駆動する機器、流体が通過することにより振動する配管、ダクト等)の表面に設置した第1実施形態の断面模式図を示す。
固体音低減構造100は、多孔板1(表面板部)と、多孔板1を支持する枠材2(外周壁面部)とを備えている。
図3に、実験に使用した固体音低減構造102の概略図を示す。図4は、実験によって得られた、騒音を放射する構造体の振動周波数と、音圧レベル低減量との関係を示すグラフである。
尚、以上の分割内部気体室の高さ、孔径、開孔率、板厚は、600Hz以上の固体音を低減できるように設計したものである。
次に、構造体の表面に振動分布がある場合において、本発明の実施形態に係る固体音低減構造の効果を検証するための実験結果について説明する。
まず、構造体を、300mm×150mm×厚さ4.5mmの鋼板で模擬し、当該鋼板の4隅を単純支持し、当該鋼板の中心を加振機で加振して、鋼板の振動分布の測定を行った結果を図27(a)に示す。また、当該鋼板上に、当該鋼板の長手方向に10mmピッチで、短手方向全長に亘って延びる支持壁を設け、当該支持壁頂部に多孔板を接合して、鋼板を加振し、多孔板の振動分布の測定を行った結果を図27(b)に示す。尚、多孔板は、厚さ0.3mm、孔径0.3mm、開孔率0.3%のアルミ板であり、鋼板の表面から多孔板までの空気層の厚さが20mmとなるように、支持壁によって支持されるものとした。尚、以上の仕様は、1050Hz以上で固体音低減効果を奏するように設計したものである。
図29(a)に比較例として、長手方向に20mmピッチ、短手方向に35mmピッチで柱状部材により多孔板を鋼板から支持したときの、当該多孔板の振動分布を示す。また、図29(b)に、当該多孔板を設置した時の音圧レベル低減量を示す。尚、測定条件は、実験例2において多孔板の音圧レベル低減量を測定した測定条件と同様である。
図5に本解析における数値解析モデルを示す。本解析では、固体音低減構造103の表面板部21の貫通孔21aの孔径および開孔率を変化させたときの表面板部の表面からの音響放射パワー低減量を算出した。解析条件を以下に示す。尚、解析条件に示す所定の孔数の貫通孔21aが解析モデルの上面に一様に分布するものとして解析を行った。
尚、数値解析は、板部には有限要素法を、音場に境界要素法を適用した板―音場連成解析を用いて実施した。
図7に、解析例1の解析条件において、表面板部21の孔径を2mm、開孔率を1.3%に変更し、壁面部22の高さ(H)を12mmに変更したときの解析結果を示す。
図7に示すように、表面板部21と壁面部22の設計条件を変更することによって、900Hz以上の周波数帯域において固体音低減効果が発揮され、解析例1においては約600〜700Hzの範囲であった固体音低減効果を発揮するピーク周波数を、900Hz付近に変化させることを可能としている。
したがって、例えば、図2に示す固体音低減構造101において、区画壁面部2pとしてのアルミ板を、対策周波数帯域における分割内部気体室3a、3b、3cを通る音波の半波長よりも短い間隔で、構造体200の表面と多孔板1との間の空間を区画するように配置することにより、隣接する区画壁面部2pの間での音波の共鳴を防止でき、より確実に固体音を低減することが可能である。尚、区画壁面部2pの間隔は音波の波長の1/2未満であって1/32以上とすることが望ましく、区画壁面部2pの間隔を音波の波長の1/32以上とすることで区画壁面部2pの数が過度に増加することを防止し、区画壁面部2pの体積(区画壁面部2pが占める容積)により固体音低減効果を発揮するのに必要な空間(分割内部気体室)の容積が減少することを抑制可能である。
図8に、解析例2の解析条件において、表面板部21の材料のヤング率を解析例2で用いたヤング率の1/24として同様の解析を行った結果を示す。
図8に示すように、3000Hz付近の周波数において、表面板部21の共振が起こるため、放射パワー低減量が著しく低下している。また、解析例2においては放射パワー低減量が正の値であった1100〜3500Hzの周波数帯域において放射パワー低減量が負になっている。これより、表面板部21が共振することにより、固体音低減構造を設置しない状態に比べ、広い周波数帯域において放射パワーが増加することがわかる。
表面板部21の一次共振周波数は、表面板部21の形状、寸法、材質、板厚、及び、壁面部22の形状、材質その他の支持条件により変化させることが可能である。
したがって、騒音を低減すべき周波数である対策周波数が、一次共振周波数以上の周波数帯域における、放射パワー低減量が正になる周波数帯域に含まれるように、表面板部21の形状、寸法、材質、板厚、及び、壁面部22の形状、材質その他の支持条件を設計することにより、対策周波数において表面板部21が共振することを防止でき、一次共振周波数以上の周波数帯域において発揮する効果的な固体音低減特性を利用することが可能となり、確実に固体音を低減できる。
ここで、表面板部の形状、寸法、材質、板厚、及び、壁面部による表面板部の支持条件を決めれば、表面板部が長方形、円形の場合には、以下に示すように共振周波数理論式(理論解析による厳密解や近似解)により表面板部の共振周波数を算出できる。
式1を用いて共振周波数fを算出できる。式1において、aは短辺長さ、bは長辺長さ(正方形の場合はa=b)、iは短辺方向次数、jは長辺方向次数(一次共振の場合はi=j=1)、Eはヤング率、νはポアソン比、ρは密度、tは板厚である。
式2を用いて共振周波数fを算出できる。式2において、λは次数、縦横比(長辺/短辺)から決まる定数、aは短辺長さ、Eはヤング率、νはポアソン比、ρは密度、tは板厚である。
次に、図9に解析例4における解析モデルを示す。解析例4では、解析例1において用いた解析モデルにおいて(図5参照)、構造体の振動面202aと表面板部21との間の空間に、振動面202aの法線方向において空間を区画して2層の内部気体室24、25を形成する仕切り板23を配置した多層構造の固体音低減構造103における音響放射パワー低減量を算出した。仕切り板23は、貫通孔23aが一様に分布するように形成された多孔板であり、板厚0.1mm、貫通孔23aの孔径0.4mm、孔数22個、開孔率0.2%として形成され、振動面202aと表面板部21との中間に位置するように振動面202aから高さ20mmの位置に配置されている。また、表面板部21は、貫通孔21aの孔径1mm、孔数29個、開孔率1.7%として形成されており(解析例1における条件3と同じ形状)、他の条件は解析例1と同様である。尚、解析例1と同様に、貫通孔21aは表面板部21上に一様に分布するものとして解析を行った。
な内部気体室の容積が減少することを抑制可能である。
図15に、第2実施形態に係る固体音低減構造104を示す。第2実施形態に係る固体音低減構造104は、図2で示した第1実施形態の変形例に係る固体音低減構造101において、多孔板1に制振材30を設置した構造である。尚、図1と同一部材には同一符号を付し、説明を省略する。
図17に、第3実施形態に係る固体音低減構造105を示す。また、図18は、図17に示す固体音低減構造105における多孔板1と枠材2eとの接合部分の拡大図である。第3実施形態に係る固体音低減構造105は、多孔板1と構造体200との間の空間が枠材2、枠材2pにより複数に区画され、大きさが異なる分割内部気体室3a、3b、3c等が形成された構造となっている。また、多孔板1は枠材2pの先端部において分離された状態で接合されており、例えば枠材2eを挟んで隣接する二つの分割内部気体室3a、3bを覆うように配置される多孔板1は、枠材2eによる支持位置において多孔板1Aと多孔板1Bとに分離して形成されている(図18参照)。
また、図21に示すように、騒音を放射する構造体204、貫通孔31aを有する表面板部31及び表面板部31を支持する壁面部32を一体成形することもできる。この場合、表面板部31と壁面部32、及び、壁面部32と構造体204との接合部において、がたつき等が生じることがなく、接合部において発生する騒音を抑制することが容易に可能となる。また、同一材料で成形されるため、リサイクル性がよいものとなる。
図22は、騒音を放射する構造体としてのコンプレッサー本体300を示す概略図の平面図(a)及び斜視図(b)である。また、図23は、図22に示すコンプレッサー本体の外表面に固体音低減構造400を設置した状態を示す概略図の平面図(a)及び斜視図(b)である。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図31に、第5実施形態に係る固体音低減構造111を示す。第5実施形態に係る固体音低減構造111は、図2で示した第1実施形態の変形例に係る固体音低減構造101において、表面板部1を構造体200の振動面200aから支持する部材としての枠材2pを支持柱60(柱部)に変更した構造である。尚、図1と同一部材には同一符号を付し、説明を省略する。
次に、本発明の第6実施形態について説明する。図32に、第6実施形態に係る固体音低減構造112を示す。第6実施形態に係る固体音低減構造112は、構造体200の振動面200aに、6つの壁面を有する内部中空の直方体の箱部材70(箱状体)を、複数並べて設置した構成である。
1a 貫通孔(気体流通部)
2 枠材(壁面部)
3 内部気体室
3a、3b、3c 分割内部気体室
11、21 表面板部
12 外周壁面部
13 区画壁面部
22 壁面部
23 仕切り板
30 制振材
40 吸音材
60 支持柱(柱部)
70 箱部材(箱状体)
71 多孔板(表面板部)
100〜103、111、112、400 固体音低減構造
200〜206 騒音を放射する構造体
300 コンプレッサー
Claims (9)
- 振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、
前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、
前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、
前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、
を備え、
低減すべき騒音の周波数帯域における前記構造体の表面を面内方向に伝搬する曲げ波の半波長、あるいは、前記曲げ波に起因する定在波の半波長よりも短い間隔で、前記表面板部は前記壁面部又は前記柱部に支持されていることを特徴とする固体音低減構造。 - 振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、
前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、
前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、
前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、
を備え、
前記表面板部の一次共振周波数が低減すべき騒音の周波数帯域より高くなるように、前記表面板部と、前記壁面部又は前記柱部とが形成されていることを特徴とする固体音低減構造。 - 振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、
前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、
前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、
前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、
を備え、
低減すべき騒音の周波数帯域において前記表面板部が一次の共振を起こす前記表面板部の寸法よりも短い間隔で、前記表面板部が前記壁面部又は前記柱部に支持されるように、前記表面板部と、前記壁面部又は前記柱部とが形成されていることを特徴とする固体音低減構造。 - 振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、
前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、
前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、
前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、
を備え、
前記表面板部の一つの共振周波数と当該共振周波数の次の次数の共振周波数との間の周波数帯域に、低減すべき騒音の周波数帯域すべてが含まれるように、前記表面板部と、前記壁面部又は前記柱部が形成されていることを特徴とする固体音低減構造。 - 振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、
前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、
前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、
を備え、
前記構造体の表面と前記表面板部との間隔が、低減すべき騒音の周波数帯域における音波の半波長よりも短いことを特徴とする固体音低減構造。 - 振動し、騒音を放射する構造体の表面に設置され、当該構造体の表面から周囲に放射される騒音を低減する固体音低減構造であって、
前記構造体の表面の少なくとも一部を覆うように配置され、気体が厚さ方向に通過可能な気体流通部を備える表面板部と、
前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部が前記構造体の表面と一体となって振動するように当該表面板部の外周縁部を支持するとともに、当該構造体の表面と当該表面板部との間に内部気体室を形成する壁面部である外周壁面部と、
前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持するとともに、前記内部気体室を前記構造体の表面の面内方向に区画して複数の分割内部気体室を形成する壁面部である区画壁面部、又は、前記構造体の表面に設けられ、前記表面板部を支持する柱部と、
を備え、
低減すべき騒音の周波数帯域における音波の半波長よりも短い間隔で、前記表面板部が前記壁面部又は前記柱部に支持されていることを特徴とする固体音低減構造。 - 制振材を前記表面板部に設置することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の固体音低減構造。
- 前記構造体の表面と前記表面板部との間に配置される1枚又は複数枚の仕切り板を更に備えた多層構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の固体音低減構造。
- 前記構造体の表面と前記表面板部との間に吸音材が設置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の固体音低減構造。
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