JP4103140B2 - 自動車のフロアパネル構造及び製造方法 - Google Patents
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Description
この場合、振動源として、エンジン自体の振動や、サスペンションから伝わるロードノイズが問題となり、このロードノイズには、一般に、タイヤの空洞共鳴によるものと、タイヤの空洞共鳴に起因したサスペンションの共振によるものとがある。
また、剛性調整部は矩形状であるので、2×1モード又は2×2モードの振動の腹の振動振幅自体を小さくすることが出来、その結果、放射音を互いに打ち消し合う相殺効果に加え、さらに放射音自体をより低減することが出来る。
また、剛性調整部は矩形状であるので、フロアパネルの振動領域内における振動の腹が発生する領域を規定し易くなり、その結果、隣り合う振動の腹の振動容積が同じになるようにして音響放射効率を大きく低減することが出来る。
また、剛性調整部は矩形状であるので、その外周縁部が直線状に形成されており、剛性調整部を円形状に形成するよりも、1×1モードの振動を発生しにくくし、或いは、1×1の振動モードが発生する場合にもその発生周波数を高めて2×1の発生周波数により近づけることが出来る。
また、剛性調整部は矩形状であるので、2×1モードの振動の腹の振動振幅自体を小さくすることが出来、その結果、放射音を互いに打ち消し合う相殺効果に加え、さらに放射音自体をより低減することが出来る。
また、剛性調整部は矩形状であるので、フロアパネルの振動領域内における振動の腹が発生する領域を規定し易くなり、その結果、隣り合う振動の腹の振動容積が同じになるようにして音響放射効率を大きく低減することが出来る。
このように構成された本発明においては、フロアパネルの振動モード調整構造が、タイヤの空洞共鳴周波数にほぼ一致する周波数帯で2×1モードの振動をフロアパネルに発生させるように、フロアパネルを上方又は下方に突出させた矩形状に形成した剛性調整部を有するので、タイヤの空洞共鳴周波数にほぼ一致する周波数帯で2×1モードの振動を生じさせて、車体のフレーム部材からフロアパネルに伝わる振動によるフロアパネルの放射音を大きく低減して、車室内の騒音の低減を図ることができる。
また、剛性調整部は矩形状であるので、2×1モード又は2×2モードの振動の腹の振動振幅自体を小さくすることが出来、その結果、放射音を互いに打ち消し合う相殺効果に加え、さらに放射音自体をより低減することが出来る。
また、剛性調整部は矩形状であるので、フロアパネルの振動領域内における振動の腹が発生する領域を規定し易くなり、その結果、隣り合う振動の腹の振動容積が同じになるようにして音響放射効率を大きく低減することが出来る。
また、剛性調整部は矩形状であるので、その外周縁部が直線状に形成されており、剛性調整部を円形状に形成するよりも、1×1モードの振動を発生しにくくし、或いは、1×1の振動モードが発生する場合にもその発生周波数を高めて2×1の発生周波数により近づけることが出来る。
さらに、外周縁部に設けられた段差部と、この段差部の内方に設けられた突出部とを有し、これらの段差部及び突出部がそれぞれ立上がり部を備え、上記段差部の立上がり部が上記突出部の立上がり部よりも垂直に近い角度に形成されているので、段差部を設けていない、例えば、突出部のみで構成された矩形状の剛性調整部よりも、1×1モードの振動をさらに発生しにくくし、或いは、1×1の振動モードが発生するとしても1×1モードの発生周波数を2×1又は2×2モードの発生周波数にさらに近づけることが出来る。その結果、矩形状の剛性調整部の大きさや配置によっては、1×1の振動モードを160Hz付近の周波数帯で発生しないようにすることが容易になり、サスペンションの共振によるロードノイズである160Hz付近の周波数によるフロアパネルからの放射音を低減し易くなる。
また、振動モード調整構造の矩形状の剛性調整部は、その外周縁部に設けられた段差部と、この段差部の内方に設けられた突出部とを有し、これらの段差部及び突出部がそれぞれ立上がり部を備え、上記段差部の立上がり部が上記突出部の立上がり部よりも垂直に近い角度に形成されているので、矩形状の剛性調整部全体の剛性を容易に高めることが出来る。ここで、矩形状の剛性調整部は、その外周縁が直線状の辺で構成されているので、円形状の剛性調整部に比べて、剛性調整部自体に曲げ振動やねじり振動が発生しやすいが、このように剛性を高めることによって、剛性調整部自体の曲げ振動やねじり振動の発生を抑制することが出来る。
また、振動モード調整構造の矩形状の剛性調整部は、その外周縁部に設けられた段差部と、この段差部の内方に設けられた突出部とを有し、これらの段差部及び突出部がそれぞれ立上がり部を備え、上記段差部の立上がり部が上記突出部の立上がり部よりも垂直に近い角度に形成されているので、プレス成型時に剛性調整部の成型精度を高めることが出来、その結果、2×2及び2×1の振動モードが250Hz付近の周波数帯で確実に発生するようにすることが出来る。
上記の目的を達成するために本発明は、車体のフレーム部材に接続されたフロアパネルにより自動車のフロアを構成すると共に所定のモードの振動を発生させてフロアパネルの音響放射の発生を抑制する振動モード調整構造を有する車体のフロアパネル構造であって、フロアパネルの振動モード調整構造は、250Hz付近の周波数帯で2×1モード又は2×2モードの振動を上記フロアパネルに発生させるように、フロアパネルを上方又は下方に突出させた矩形状に形成した剛性調整部を有し、振動モード調整構造の矩形状の剛性調整部は、その外周縁部に設けられた段差部と、この段差部の内方に設けられた突出部とを有し、これらの段差部及び突出部がそれぞれ立上がり部を備え、上記段差部の立上がり部が上記突出部の立上がり部よりも垂直に近い角度に形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、フロアパネルの振動モード調整構造が、250Hz付近の周波数帯で2×1モードの振動をフロアパネルに発生させるように、フロアパネルを上方又は下方に突出させた矩形状に形成した剛性調整部を有するので、250Hz付近の周波数帯で2×1モードの振動を生じさせて、車体のフレーム部材からフロアパネルに伝わる振動によるフロアパネルの放射音を大きく低減して、車室内の騒音の低減を図ることができる。一方、1×1の振動モードを160Hz付近の周波数帯でフロアパネルに発生させないように、フロアパネルを上方又は下方に突出させた矩形状に形成した剛性調整部を有するので、サスペンションの共振によるロードノイズによる放射音の増大を防止して、車室内の騒音の低減を図ることができる。
また、剛性調整部は矩形状であるので、2×1モードの振動の腹の振動振幅自体を小さくすることが出来、その結果、放射音を互いに打ち消し合う相殺効果に加え、さらに放射音自体をより低減することが出来る。
また、剛性調整部は矩形状であるので、フロアパネルの振動領域内における振動の腹が発生する領域を規定し易くなり、その結果、隣り合う振動の腹の振動容積が同じになるようにして音響放射効率を大きく低減することが出来る。
さらに、外周縁部に設けられた段差部と、この段差部の内方に設けられた突出部とを有し、これらの段差部及び突出部がそれぞれ立上がり部を備え、上記段差部の立上がり部が上記突出部の立上がり部よりも垂直に近い角度に形成されているので、段差部を設けていない、例えば、突出部のみで構成された矩形状の剛性調整部よりも、1×1モードの振動をさらに発生しにくくし、或いは、1×1の振動モードが発生するとしても1×1モードの発生周波数を2×1又は2×2モードの発生周波数にさらに近づけることが出来る。その結果、矩形状の剛性調整部の大きさや配置によっては、1×1の振動モードを160Hz付近の周波数帯で発生しないようにすることが容易になり、サスペンションの共振によるロードノイズである160Hz付近の周波数によるフロアパネルからの放射音を低減し易くなる。
また、振動モード調整構造の矩形状の剛性調整部は、その外周縁部に設けられた段差部と、この段差部の内方に設けられた突出部とを有し、これらの段差部及び突出部がそれぞれ立上がり部を備え、上記段差部の立上がり部が上記突出部の立上がり部よりも垂直に近い角度に形成されているので、矩形状の剛性調整部全体の剛性を容易に高めることが出来る。ここで、矩形状の剛性調整部は、その外周縁が直線状の辺で構成されているので、円形状の剛性調整部に比べて、剛性調整部自体に曲げ振動やねじり振動が発生しやすいが、このように剛性を高めることによって、剛性調整部自体の曲げ振動やねじり振動の発生を抑制することが出来る。
また、振動モード調整構造の矩形状の剛性調整部は、その外周縁部に設けられた段差部と、この段差部の内方に設けられた突出部とを有し、これらの段差部及び突出部がそれぞれ立上がり部を備え、上記段差部の立上がり部が上記突出部の立上がり部よりも垂直に近い角度に形成されているので、プレス成型時に剛性調整部の成型精度を高めることが出来、その結果、2×2及び2×1の振動モードが250Hz付近の周波数帯で確実に発生するようにすることが出来る。
さらに、本発明は、車体のフレーム部材に接続されたフロアパネルにより自動車のフロアを構成すると共に所定のモードの振動を発生させてフロアパネルの音響放射の発生を抑制する振動モード調整構造を有する車体のフロアパネル構造であって、フロアパネルの振動モード調整構造は、250Hz付近の周波数帯で2×1モード又は2×2モードの振動をフロアパネルに発生させるように、フロアパネルを上方又は下方に突出させた剛性調整部を有し、1×1の振動モードを160Hz付近以外の周波数帯で発生させることが出来る場合には、剛性調整部を円形状に形成し、1×1の振動モードを160Hz付近以外の周波数帯で発生させることが出来ない場合には、剛性調整部を矩形状に形成したことを特徴としている。
また、1×1の振動モードを160Hz付近以外の周波数帯で発生させることが出来る場合には、剛性調整部を円形状に形成している。ここで、円形状の剛性調整部は、プレス加工が比較的容易であり、また、ドーム状に膨らませることにより剛性調整部自体に曲げ振動やねじり振動が生じにくくすることが出来る。従って、プレス加工のコスト低減を図ると共に160Hz付近の周波数帯、例えば、120乃至180Hzの周波数帯のサスペンションの共振によるロードノイズによる放射音を低減することが出来る。
また、1×1の振動モードを160Hz付近以外の周波数帯で発生させることが出来ない場合には、剛性調整部を矩形状に形成している。ここで、剛性調整部を矩形状に形成した場合には、その外周縁部が直線状に形成されているので、剛性調整部を円形状に形成するよりも、1×1モードの振動を発生しにくくし、或いは、1×1の振動モードが発生する場合にもその発生周波数を高めて2×1又は2×2モードの発生周波数により近づけることが出来るので、フロアパネルに1×1の振動モードが160Hz付近の周波数帯で発生しないようにすることが出来る。従って、160Hz付近の周波数帯、例えば、120乃至180Hzの周波数帯のサスペンションの共振によるロードノイズによる放射音を低減することが出来る。
また、振動モード調整構造の矩形状の剛性調整部は、その外周縁部に設けられた段差部と、この段差部の内方に設けられた突出部とを有し、これらの段差部及び突出部がそれぞれ立上がり部を備え、上記段差部の立上がり部が上記突出部の立上がり部よりも垂直に近い角度に形成されているので、矩形状の剛性調整部全体の剛性を容易に高めることが出来る。ここで、矩形状の剛性調整部は、その外周縁が直線状の辺で構成されているので、円形状の剛性調整部に比べて、剛性調整部自体に曲げ振動やねじり振動が発生しやすいが、このように剛性を高めることによって、剛性調整部自体の曲げ振動やねじり振動の発生を抑制することが出来る。
また、振動モード調整構造の矩形状の剛性調整部は、その外周縁部に設けられた段差部と、この段差部の内方に設けられた突出部とを有し、これらの段差部及び突出部がそれぞれ立上がり部を備え、上記段差部の立上がり部が上記突出部の立上がり部よりも垂直に近い角度に形成されているので、プレス成型時に剛性調整部の成型精度を高めることが出来、その結果、2×2及び2×1の振動モードが250Hz付近の周波数帯で確実に発生するようにすることが出来る。
また、その外周縁部に段差部を有する矩形状の剛性調整部を形成する第2ステップを有しているので、段差部を設けていない矩形状の剛性調整部よりも、1×1モードの振動をさらに発生しにくくし、或いは、1×1の振動モードが発生するとしても1×1モードの発生周波数を2×1又は2×2モードの発生周波数にさらに近づけることが出来、その結果、1×1の振動モードを160Hz付近の周波数帯で発生しないようにすることが出来る。
図1は、本発明の実施形態による車体のフロアパネル構造を備えた自動車のアンダボディを示す平面図である。
図1に示すように、自動車のアンダボディ1は、後述する複数のフレーム部材と、これらのフレーム部材に接続される車室の床部分(フロア部分)を構成するフロントフロアパネル2と、このフロントフロアパネル2の車体後方の一段高い位置に配設されるセンタフロアパネル4と、さらに、このセンタフロアパネル4よりも車体後方の一段高い位置に配設され荷室の床部分を構成するリアフロアパネル6とから構成されている。
フレーム部材は、フロントサイドフレーム10、サイドシル12、フロアサイドフレーム14、リアサイドフレーム16、No.1クロスメンバ18、No.2クロスメンバ20、サブクロスメンバ22、No.3クロスメンバ24及びNo.4クロスメンバ26である。
これらのフロアサイドフレーム14の前端は、エンジンルームの左右両側を囲むように設けられた一対のフロントサイドフレーム10に接合されている。このフロントサイドフレーム10には、エンジン28及びフロントサスペンションクロスメンバ30が取り付けられており、フロントサスペンションクロスメンバ30には、フロントサスペンション32が取り付けられている。
また、各サイドシル12の後方部の車幅方向内方側には、車体前後方向に延びる閉断面構造のリアサイドフレーム16が接合され、また、このリアサイドフレーム16には、リアサスペンションクロスメンバ34が取り付けられ、このリアサスペンションクロスメンバ34には、リアサスペンション36が取り付けられている。
No.2クロスメンバ20の左右両端部はそれぞれサイドシル12に接合され、サブクロスメンバ22の車幅方向内方端部はフロアサイドフレーム14に接合され、車幅方向外方端部はリアサイドフレーム16に接合されている。また、No.3クロスメンバ24の左右両端部は、それぞれ、リアサイドフレーム16に接合され、このNo.3クロスメンバ24には、上述したフロアサイドフレーム14の後端部が接合されている。No.4クロスメンバ26の左右両端部は、リアサイドフレーム16に接合されている。
フロントフロアパネル2は、車幅方向左右両端において各々車体前後方向に延びるサイドシル12、フロアサイドフレーム14、リアサイドフレーム16及びフロアトンネル部40、並びに、各々車幅方向に延びる各クロスメンバ18、20、22、24によって取り囲まれた8つのフロアパネル部S1〜S8から構成されている。
フロアパネル部S3及びS4は、一体成形されるフロントフロアパネル2の一部を構成し、フロアトンネル部40の左右両側においてそれぞれフレーム部材であるサイドシル12、フロアサイドフレーム14、No.2クロスメンバ20及びサブクロスメンバ22に取り囲まれた空間内に設けられ、その周縁が各フレーム部材12、14、20、22に接合されている。
フロアパネル部S7及びS8は、一体成形されるフロントフロアパネル2の一部を構成し、フロアトンネル部40の左右両側においてそれぞれフロアトンネル部40と、フレーム部材であるフロアサイドフレーム14及びNo.3クロスメンバ24とに取り囲まれた空間内に設けられ、その2辺の外縁が各フレーム部材14、24に接合されている。
この振動モード調整構造の基本原理は、上述した特許文献1(特開平9−202269号公報)に詳しく説明されている。要するに、矩形状の振動領域の縦横にそれぞれ励起される振動の腹の数をそれぞれn、mとしたときに、図2に一例を示すように、「n×m=偶数」であれば、当該パネル内で隣接する逆相の部分からの放射音が互いに打ち消し合って、音響放射効率が大幅に低下することになる。
これに対し、振動領域に振動の腹が一つ発生する1×1の振動モードでは、逆相で振動する部分がなく、音響放射効率が大きなものとなる。
また、フロアパネルS2の振動領域S2bには、2×1モードの振動が250Hz付近の周波数帯で発生すると共に1×1モードの振動が160Hz付近の周波数帯で発生しないようにフロアパネル部S2の剛性を部分的に調整するためのほぼ正方形の剛性調整部62を、長方形状の振動領域S2bの長手方向に沿って車体前後方向に2つ並べて形成している。
なお、剛性調整部の形状は、上述した正方形でなくても長方形などの矩形状であれば良く、互いに隣接する剛性調整部のそれぞれの一辺が対向して互いに平行になると共にそれらの剛性調整部の間に直線状の細長い平らなパネル部分64を形成するように配置すれば良い。
剛性調整部62は、段差部68の立上がり部68aが突出部66の立上がり部66aよりも垂直に近い角度に形成され、段差部68の垂直部68aは、平らなパネル部分から鋭角に折れ曲がるように、即ち、平らなパネル部分と垂直部68aのそれぞれの法線方向が不連続となるように形成されている。
そこで本実施形態では、段差部68を設け、この段差部68の立上がり部68aを突出部66の立上がり部66aよりも垂直に近い角度に形成して、剛性を高めると共にプレス成形精度を高めるようにしている。このような垂直部(立上がり部)の角度は、所望の剛性が得られ、又、剛性調整部のプレス成形精度を高めることが出来るような角度であれば良く、フロアパネルの板厚によって適切な角度が定まる。
図6(a)に示す第1の変形例では、上述したような段差部68を円弧状に形成している。この場合においても、段差部68の立上がり部68aを、突出部66の立上がり部66aよりも垂直に近い角度に形成すると良い。
図6(b)に示す第2の変形例では、上述したような段差部68の代わりにビード部69を設けている。このビード部69は、段差部68と同様に機能するように曲面部66に隣接してその周囲に延びるように配置されており、このビード部69と曲面部66とにより剛性調整部を構成するようにしている。
本実施形態のフロアパネル構造のパネル部S1及びS2においては、フロアパネル部S1及びS2において、タイヤの空洞共鳴によるロードノイズである250Hz付近の周波数帯で音響放射効率の低い2×1又は2×2の振動モードを発生させると共にその振動振幅そのものを低減して、振動領域からの放射音を低減することが出来る。さらに、サスペンションの共振によるロードノイズである160Hz付近の周波数帯で音響放射効率の高い1×1の振動モードが発生しないようにして、その周波数帯での放射音をも低減することが出来る。以下、具体的に説明する。
本実施形態のフロアパネル構造のパネル部S1及びS2においては、矩形状の剛性調整部62を、振動領域S1a及びS2bの形状に対応させて並べて形成することにより、タイヤの空洞共鳴周波数にほぼ一致する250Hz付近の周波数帯で2×2モード又は2×1モードの振動を発生させると共に4つ又は2つの振動の腹の振動容積が同じになるようにしているので、これらの振動領域からの放射音を低減することができる。
ここで、振動の腹が一つである1×1の振動モードが発生する場合、その振動の腹は、フロアパネルの振動領域内で、大きく曲面状に盛り上がるように、即ち、その断面が、例えばサインカーブを描いて変形するように分布しようとする。
ところで、2×1又は2×2の振動モードをタイヤの空洞共鳴周波数にほぼ一致する250Hz付近の周波数帯で発生させるために必要な2つ又は4つの剛性調整部によるフロアパネルの剛性調整量は、剛性調整部を円形状に形成しても矩形状に形成しても同じ程度のものである。
それらの結果、仮に、円形状の剛性調整部の大きさ及び深さ等を車体構造上又は加工上の制約による所定の範囲で調節して1×1モードの振動を160Hz付近の周波数帯以外の周波数で発生させることが出来ない場合にも、矩形状の剛性調整部を形成することによって、1×1モードの振動が160Hz付近の周波数帯で発生しないようにして、サスペンションの共振によるロードノイズである160Hz付近の周波数帯の放射音を低減することが出来る。
図4及び図7に示すように、フロアパネル部S5は、それぞれ、その4辺の縁部が、フロアサイドフレーム14、リアサイドフレーム16、サブクロスメンバ22及びNo.3クロスメンバ24によって取り囲まれている。また、フロアパネル部S5には、フロアパネルの強度を確保するための補強ビード部46が設けられている。
図4及び図6に示すように、これらの剛性調整部72は、その外周がほぼ円形にされ、フロアパネルS5自身をドーム状に下方に突出させて形成されている。
フロアパネル部S5及びS6の振動領域S5a及びS6aに、それぞれ、振動モード調整構造であるほぼ円形の剛性調整部72を設けることにより、タイヤの空洞共鳴周波数にほぼ一致する250Hz付近の周波数帯で2×1モードの振動を発生させると共に2つの振動の腹の振動容積が同じになるようにしているので、この振動領域からの放射音を低減することができる。
即ち、円形状の剛性調整部は、矩形状の剛性調整部より、その形状及び剛性の違いにより、1×1の振動モードが発生する周波数をあまり高めないようにすることが出来るので、例えば、全面が平らなフロアパネルに1×1の振動モードが160Hz付近の周波数帯より低い周波数帯で生じている場合には、矩形状の剛性調整部ではなく、円形状の剛性調整部を選択して、1×1の振動モードが発生する周波数をあまり高めないようにして、160Hz付近の周波数帯で音響放射効率の高い1×1の振動モードが発生しないようにすることが出来る。
また、円形状の剛性調整部は、その形状により、剛性調整部自体に曲げ振動やねじり振動が生じにくく、放射音を効果的に低減することが出来る。
さらに、円形状の剛性調整部は、矩形状の剛性調整部よりも加工性が良く、剛性調整部をフロアパネルに形成する際に容易にプレス加工することが出来るので、加工コストを低減することが出来る。
図8(a)、(b)及び図9(a)、(b)は、それぞれ、振動モード調整構造の第1の変形例、第2の変形例、第3の変形例及び第4の変形例を示す平面図である。
この製造方法は、振動モード調整構造として円形状の剛性調整部、段差部を設けていない矩形状の剛性調整部又は段差部を設けた矩形状の剛性調整部のうち、フロアパネルからの音響放射を低減するために適切な形状の剛性調整部を選択してフロアパネルに形成するようにした設計手法を採用している。
本実施例では、以下に説明する各ステップのうち、S3、S7及びS9を除く各ステップにおいて、CAE(例えば、FEM(有限要素法))による解析により、フロアパネルへの剛性調整部の設定、或いは、その寸法の調整を行って、フロアパネルに発生する振動モード及び振動周波数等を推定すると共に剛性調整部の形状の選択の判断の基準としている。このような解析においては、その利点を活かし、フロアパネルが設けられている車体固有の条件として、装着されるタイヤの種類によるタイヤの空洞共鳴周波数の違いや、放射音が問題となる周波数帯や音響放射レベル等を詳細に考慮している。
このS1においては、所定の円形状の剛性調整部として、予め定めた標準的な寸法の剛性調整部を設定するようにしている。この標準的な寸法は、実験や他の車両に設けている剛性調整部などのデータに基づくものである。
また、所定の剛性調整部として、剛性調整部を設ける前の平らなフロアパネルに発生する2×1モード又は2×2モードの振動の発生周波数から、2×1モード(又は2×2モード)を250Hz付近の周波数帯で発生させるために必要な剛性量を予測して、その剛性量から寸法を定めたものでも良い。
4 センタフロアパネル
6 リアフロアパネル
10 フロントサイドフレーム
12 サイドシル
14 フロアサイドフレーム
16 リアサイドフレーム
18 No.1クロスメンバ
20 No.2クロスメンバ
22 サブクロスメンバ
24 No.3クロスメンバ
26 No.4クロスメンバ
40 フロアトンネル部
42 リアボディ
44 ホイールハウス
46、60 補強ビード部
62 矩形状の剛性調整部
64 直線状の細長い平らなパネル部分
66 曲面部(突出部)
66a 突出部の立上がり部
68 段差部
68a 段差部の立上がり部
72 円形状の剛性調整部
S1〜S13 フロアパネル部
S1a、S2a、S5a、S6a 振動領域
Claims (10)
- 車体のフレーム部材に接続されたフロアパネルにより自動車のフロアを構成すると共に所定のモードの振動を発生させてフロアパネルの音響放射の発生を抑制する振動モード調整構造を有する車体のフロアパネル構造であって、
上記フロアパネルの振動モード調整構造は、タイヤの空洞共鳴周波数にほぼ一致する周波数帯で2×1モードの振動を上記フロアパネルに発生させ且つ1×1の振動モードを160Hz付近の周波数帯で上記フロアパネルに発生させないように、上記フロアパネルを上方又は下方に突出させた矩形状に形成した剛性調整部を有することを特徴とする車体のフロアパネル構造。 - 車体のフレーム部材に接続されたフロアパネルにより自動車のフロアを構成すると共に所定のモードの振動を発生させてフロアパネルの音響放射の発生を抑制する振動モード調整構造を有する車体のフロアパネル構造であって、
上記フロアパネルの振動モード調整構造は、250Hz付近の周波数帯で2×1モードの振動を上記フロアパネルに発生させ且つ1×1の振動モードを160Hz付近の周波数帯で上記フロアパネルに発生させないように、上記フロアパネルを上方又は下方に突出させた矩形状に形成した剛性調整部を有することを特徴とする車体のフロアパネル構造。 - 車体のフレーム部材に接続されたフロアパネルにより自動車のフロアを構成すると共に所定のモードの振動を発生させてフロアパネルの音響放射の発生を抑制する振動モード調整構造を有する車体のフロアパネル構造であって、
上記フロアパネルの振動モード調整構造は、タイヤの空洞共鳴周波数にほぼ一致する周波数帯で2×1モード又は2×2モードの振動を上記フロアパネルに発生させるように、上記フロアパネルを上方又は下方に突出させた矩形状に形成した剛性調整部を有し、
上記振動モード調整構造の矩形状の剛性調整部は、その外周縁部に設けられた段差部と、この段差部の内方に設けられた突出部とを有し、これらの段差部及び突出部がそれぞれ立上がり部を備え、上記段差部の立上がり部が上記突出部の立上がり部よりも垂直に近い角度に形成されていることを特徴とする車体のフロアパネル構造。 - 車体のフレーム部材に接続されたフロアパネルにより自動車のフロアを構成すると共に所定のモードの振動を発生させてフロアパネルの音響放射の発生を抑制する振動モード調整構造を有する車体のフロアパネル構造であって、
上記フロアパネルの振動モード調整構造は、250Hz付近の周波数帯で2×1モード又は2×2モードの振動を上記フロアパネルに発生させるように、上記フロアパネルを上方又は下方に突出させた矩形状に形成した剛性調整部を有し、
上記振動モード調整構造の矩形状の剛性調整部は、その外周縁部に設けられた段差部と、この段差部の内方に設けられた突出部とを有し、これらの段差部及び突出部がそれぞれ立上がり部を備え、上記段差部の立上がり部が上記突出部の立上がり部よりも垂直に近い角度に形成されていることを特徴とする車体のフロアパネル構造。 - 車体のフレーム部材に接続されたフロアパネルにより自動車のフロアを構成すると共に所定のモードの振動を発生させてフロアパネルの音響放射の発生を抑制する振動モード調整構造を有する車体のフロアパネル構造であって、
上記フロアパネルの振動モード調整構造は、250Hz付近の周波数帯で2×1モード又は2×2モードの振動を上記フロアパネルに発生させるように、上記フロアパネルを上方又は下方に突出させた剛性調整部を有し、
1×1の振動モードを160Hz付近以外の周波数帯で発生させることが出来る場合には、上記剛性調整部を円形状に形成し、1×1の振動モードを160Hz付近以外の周波数帯で発生させることが出来ない場合には、上記剛性調整部を矩形状に形成したことを特徴とする車体のフロアパネル構造。 - 上記振動モード調整構造は、2つの矩形状の剛性調整部を有し、各剛性調整部のそれぞれの一辺が対向して互いに平行になると共に各剛性調整部の間に細長いパネル部分を形成するように配置され、2×1の振動モードを発生させる請求項1乃至5の何れか1項に記載の車体のフロアパネル構造。
- 上記振動モード調整構造は、4つの矩形状の剛性調整部を有し、互いに隣接する剛性調整部のそれぞれの一辺が対向して互いに平行になると共に4つの剛性調整部により十字形状に延びる細長いパネル部分を形成するように配置され、2×2モードの振動を発生させる請求項3乃至5の何れか1項に記載の車体のフロアパネル構造。
- 上記振動モード調整構造の矩形状の剛性調整部は、その外周縁部に設けられた段差部と、この段差部の内方に設けられた突出部とを有し、これらの段差部及び突出部がそれぞれ立上がり部を備え、上記段差部の立上がり部が上記突出部の立上がり部よりも垂直に近い角度に形成されている請求項1、請求項2又は請求項5に記載の車体のフロアパネル構造。
- 車体のフレーム部材に接続され自動車のフロアを構成すると共に所定のモードの振動を発生させて音響放射の発生を抑制する振動モード調整構造を有し、この振動モード調整構造が円形状及び/又は矩形状の剛性調整部を備えた車体のフロアパネルの製造方法であって、
上記剛性調整部の寸法を所定の範囲で調整することにより、2×1モード又は2×2モードの振動を250Hz付近の周波数帯で発生させると共に1×1モードの振動を160Hz付近以外の周波数帯で発生させることができる場合には、円形状の剛性調整部を形成するステップと、
上記円形状の剛性調整部の寸法を所定の範囲で調整しても、1×1モードの振動を160Hz付近以外の周波数帯で発生させることができない場合には、矩形状の剛性調整部を形成するステップと、
を有することを特徴とする車体のフロアパネルの製造方法。 - 上記矩形状の剛性調整部を形成するステップは、上記剛性調整部の寸法を所定の範囲で調整することにより、1×1モードの振動が発生しない又は1×1モードの振動を160Hz付近以外の周波数帯で発生させることができる場合には、その外周縁部に段差部を有さない矩形状の剛性調整部を形成する第1ステップと、上記矩形状の剛性調整部の寸法を所定の範囲で調整しても、1×1モードの振動が発生しない又は1×1モードの振動を160Hz付近以外の周波数帯で発生させることができない場合には、その外周縁部に段差部を有する矩形状の剛性調整部を形成する第2ステップと、を有する請求項9記載の車体のフロアパネルの製造方法。
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