JP4433292B2 - 車体のフロアパネル構造 - Google Patents
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Description
また、上述したフロアパネルの全面に制振材や防振材を貼り付ける方法では、制振材等の多用により、材料コストが高くなるとともに、車体の重量が増大するという問題が生じる。また、パネル厚を大きくすると車体重量が増加してしまうという問題が生じる。
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、車体のフレーム部材から伝わったフロアパネルの振動エネルギを低減させ、フロアパネルからの音響放射を低減することができる車体のフロアパネル構造を提供することを目的としている。
このように構成された本発明においては、フロアパネルのパネル領域に、高剛性部が形成されると共にこの高剛性部の周りに低剛性部がほぼ平らに形成されているので、高剛性部と低剛性部との剛性差により、低剛性部に振動エネルギが集中する。さらに、高剛性部に補機類が取り付けられるので、補機類により高剛性部の剛性がさらに高まり、より大きな剛性差が得られる。また、補機類により高剛性部の重量が増大し、高剛性部と低剛性部との重量差が得られる。このような重量差によっても、低剛性部に振動エネルギを集中させることが出来る。従って、例えば、パネル領域の面積が比較的小さくパネル領域自体の剛性がもともと比較的高い場合や、パネル領域の幅が小さく高剛性部を設けるとその周辺の低剛性部との剛性差を大きくとれない場合等においても、大きな剛性差及び重量差により、低剛性部に振動エネルギを確実に集中させることが出来る。そして、低剛性部に大きく集中した振動エネルギが、フロアパネルを構成する材質の減衰能により熱エネルギに変換される。その結果、パネル領域全体の振動エネルギが低減し、パネル領域からの音響放射を低減することが出来る。さらに、本発明においては、フロアパネルのパネル領域内において、低剛性部の全域のみに制振材が設けられ、即ち、高剛性部の領域には制振材が設けられていないので、振動エネルギの低減効果を維持しつつ、制振材の量を少なくして車体の軽量化を図ることができる。
このように構成された本発明においては、高剛性部は、フレーム部材及び振動規制部と接しないようにパネル領域のほぼ中央部に形成されているので、剛性が比較的低いほぼ中央部に高剛性部が設けられ、高剛性部と低剛性部との剛性差をより大きくすることが出来る。その結果、低剛性部で振動エネルギをより確実に低減させることが出来る。また、補機類によりパネル領域のほぼ中央部の重量が高められるので、低剛性部との重量差により、低剛性部により大きく振動エネルギを集中させることが出来る。
このように構成された本発明においては、ほぼ矩形状に形成された高剛性部の1辺がフレーム部材又は振動規制部と接しているので、高剛性部の剛性を大きく高めることが出来、その結果、低剛性部との剛性差をより大きくすることが出来る。
このように構成された本発明においては、ほぼ矩形状に形成された高剛性部の隣り合う2辺がフレーム部材及び/又は振動規制部と接しているので、高剛性部の剛性を大きく高めることが出来、その結果、低剛性部との剛性差をより大きくすることが出来る。
このように構成された本発明においては、高剛性部は、フレーム部材及び/又は振動規制部と接している部分からパネル領域のほぼ中央部まで延びているので、剛性が比較的低いほぼ中央部まで高剛性部が延びて、高剛性部と低剛性部との剛性差をより大きくすることが出来ると共に、高剛性部のフレーム部材又は振動規制部に接していない3辺又は2辺の周辺の低剛性部に振動エネルギをより確実に集中させることが出来る。
このように構成された本発明においては、高剛性部の突出して形成された上方向又は下方向の空間内に、補機類が取り付けられるブラケットが設けられているので、高剛性部がブラケット自身の剛性によりその空間内で突っ張るように支持されて、高剛性部の剛性をさらに高めることが出来る。さらに、ブラケット自体の重量により、高剛性部と低剛性部との重量差が得られるので、低剛性部に振動エネルギをより効果的に集中させることが出来る。さらに、高剛性部の突出して形成された空間内にブラケットが設けられているので、ブラケットが低剛性部に当接して低剛性部の剛性が高まることを防止することが出来る。また、高剛性部は、フロアパネル自身を上方向又は下方向に突出して形成されているので、その剛性をプレス成形により容易に高めることが出来る。
このように構成された本発明においては、ブラケットは、少なくとも高剛性部と低剛性部とにより形成される境界部に隣接して配置されているので、高剛性部の剛性を確実に高めることが出来ると共に、その境界部近傍の高剛性部の剛性を大きく高めて高剛性部と低剛性部との剛性差をより大きくすることが出来る。
このように構成された本発明においては、高剛性部は、ほぼ矩形状に形成され、その1辺がフレーム部材に接し、且つ、パネル領域のほぼ中央部まで延びているので、剛性が比較的低いほぼ中央部まで高剛性部が延びて、高剛性部と低剛性部との剛性差をより確実に大きくすることが出来る。また、高剛性部の突出して形成された上方向又は下方向の空間内に、補機類が取り付けられるブラケットが設けられているので、高剛性部の剛性をさらに高めることが出来ると共に高剛性部と低剛性部との重量差が得られ、さらに、ブラケットが低剛性部に当接して低剛性部の剛性が高まることを防止することが出来る。また、ブラケットは、高剛性部が接するフレーム部材に取り付けられるので、低剛性部の剛性を高めることなく、ブラケットの強度を確保することが出来る。また、ブラケットはパネル領域のほぼ中央部まで延び、補機類がこのブラケットのパネル領域のほぼ中央部の近傍に取り付けられるので、高剛性部と低剛性部との剛性差及び重量差をより大きくすることが出来る。これらの結果、低剛性部に振動エネルギをより効果的に集中させることが出来る。
このように構成された本発明においては、ブラケットのパネル領域のほぼ中央部の近傍の重量は、それ以外の部分の重量より大であるので、剛性が比較的低く振動し易いほぼ中央部において重量差を得ることが出来る。その結果、低剛性部により大きく振動エネルギを集中させることが出来る。
このように構成された本発明においては、パネル領域にブラケットが設けられ、このブラケット及びパネル領域のブラケットが設けられた部分が高剛性部として構成されているので、パネル領域をプレス成形することなく高剛性部を設けることが出来る。また、パネル領域のそのブラケットの周りの部分が低剛性部として構成されので、高剛性部と低剛性部との剛性差を得ることが出来ると共にブラケット自体の重量により剛性部と低剛性部との重量差を得ることが出来る。また、ブラケットはパネル領域のほぼ中央部にフレーム部材及び振動規制部と接しないよう設けられているので、剛性が比較的低いほぼ中央部に高剛性部が設けられ、高剛性部と低剛性部との剛性差をより大きくすることが出来る。また、ブラケットによりフロアパネルに補機類が取り付けられるので、高剛性部と低剛性部との重量差をより大きくすることが出来る。
図1は、本発明の実施形態による車体のフロアパネル構造を備えた自動車のアンダボディを示す斜視図である。
図1に示すように、自動車のアンダボディ1は、複数のフレーム部材と、これらのフレーム部材に接続され車室の床部分(フロア部分)を構成する複数のフロアパネル2、4、6、8、10、12、14、16とから構成されている。
このNo.2クロスメンバ27より車体後方のフロア部分には、車体前後方向の補強部材である一対のサイドシル20、一対のフロアサイドフレーム22及び一対のリアサイドフレーム24が設けられている。
これらのリアサイドフレーム24は、フロア部分の車体後側の端縁部まで延び、そのNo.7クロスメンバ32とNo.8クロスメンバ33との間にリアサスペンションクロスメンバ46が取り付けられ、このリアサスペンションクロスメンバ46には、リアサスペンション48が取り付けられている。
No.3クロスメンバ28は、No.2クロスメンバ27の車体後方側に設けられ、No.2クロスメンバ27に平行に車幅方向に直線状に延びている。このNo.3クロスメンバ28は、その車幅方向の左右両端部がそれぞれサイドシル20に接合され、また、その車幅方向の左右両側においてフロアサイドフレーム22と交差すると共にフロアサイドフレーム22に接合されている。
No.7クロスメンバ32の車体後方側には、その車幅方向のほぼ中央が前方側に湾曲したNo.8クロスメンバ33が車幅方向に延びるように設けられ、その車幅方向の左右両端部がそれぞれリアサイドフレーム24に接合されている。
このNo.8クロスメンバ33の車体後方側には、フロア部分の車体後側の端縁部に、車幅方向に直線状に延びる閉断面構造のNo.9クロスメンバ34が設けられ、その車幅方向の左右両端部がそれぞれリアサイドフレーム24の後端部に接合されている。
No.1トンネルサイドメンバ36は、No.2クロスメンバ27とNo.3クロスメンバ28との間にわたって直線状に延び、その車体前後方向の両端部は、それぞれ、No.2クロスメンバ27及びNo.3クロスメンバ28に接合されている。
No.3トンネルサイドメンバ38は、No.6クロスメンバ31とNo.7クロスメンバ32との間にわたって直線状に延び、その車体前後方向の両端部は、それぞれ、No.6クロスメンバ31及びNo.7クロスメンバ32に接合されている。
第1フロアパネル2は、No.2クロスメンバ27、一対のサイドシル20及びNo.3クロスメンバ28により囲まれた空間を覆うように設けられ、その車幅方向のほぼ中央位置で車体前後方向に延びるように上方に膨出するフロアトンネル部50が形成されている。第1フロアパネル2は、その前縁部がNo.2クロスメンバ27の車体後方側面に接合され、残りの3辺の縁部の下面が、一対のサイドシル20及びNo.3クロスメンバ28にそれぞれ接合され、さらに、その車幅方向の左右両側において、No.1トンネルサイドメンバ36及びフロアサイドフレーム22に、その下面が接合されている。
第1フロアパネル2には、これらの各フレーム部材20、22、27、28、36及び折れ部52により囲まれた8つのパネル領域S1乃至S8が形成され、それらの領域のうち、パネル領域S5乃至S8が、パネル領域S1乃至S4に対して車体後方に向けて斜め上方に延びている。
このビード部56は、No.3クロスメンバ28からNo.4クロスメンバ29まで延びている。
第2フロアパネル4には、各フレーム部材20、22、28、29、折れ部54及びビード部56により囲まれた4つのパネル領域S9乃至S12が形成されている。
第3フロアパネル6には、各フレーム部材22、29、30、37及びビード部58により囲まれた4つのパネル領域S13乃至S16が形成されている。
第5フロアパネル10は、No.5クロスメンバ30、No.6クロスメンバ31、一対のフロアサイドフレーム22及び一対のリアサイドフレーム24により囲まれた空間を覆うように設けられ、その4辺の縁部の下面が、それぞれ、それらのフレーム部材22、24、30、31に接合されている。
第7フロアパネル14は、No.7クロスメンバ32、No.8クロスメンバ33及び一対のリアサイドフレーム24により囲まれた空間を覆うように設けられ、その4辺の縁部の下面が、それぞれ、それらのフレーム部材24、32、33に接合されている。
第8フロアパネル16は、No.8クロスメンバ33、No.9クロスメンバ34及び一対のリアサイドフレーム24により囲まれた空間を覆うように設けられ、その4辺の縁部の下面が、それぞれ、それらのフレーム部材24、33、34に接合されている。
ここで、振動低減構造について説明する。本実施形態の車体のフロアパネル構造における振動低減構造は、フレーム部材などで囲まれたフロアパネルの所定の領域(S1〜S16)に、所定の剛性の高い部分(高剛性部)と所定の剛性の低い部分(低剛性部)とを設けたものである。この領域に伝達された振動の振動エネルギは、高剛性部と低剛性部との剛性差或いは重量差により低剛性部に集中し、この集中した振動エネルギにより生じる大きな振動ひずみとフロアパネルを構成する材質(鋼板)の減衰能により、振動が低減される(振動低減効果)。特に、本実施形態の振動低減構造では、高剛性部と低剛性部の剛性差が大きくなるように、或いは、重量差も大きくなるように、所定の高剛性部と所定の低剛性部を形成している。このようにして、振動低減構造により、各領域から放射される音響放射が低減される。さらに、より大きく振動が低減されるように低剛性部に制振材を設けている。
図2は、本発明の実施形態によるパネル領域S2を示す拡大平面図(a)及びそのII-II線に沿って見たパネル領域S2の車幅方向の断面構造を示す断面図(b)であり、同様に、図3は、パネル領域S10を示す拡大平面図(a)及びそのIII-III線に沿って見た断面図(b)であり、図4は、パネル領域S13を示す拡大平面図(a)及びそのIV-IV線に沿って見た断面図(b)であり、図5は、パネル領域S14を示す拡大平面図(
a)及びそのV-V線に沿って見た断面図(b)である。
図2(a)に示すように、パネル領域S2は、上述したようにフレーム部材であるNo.2クロスメンバ27、フロアサイドフレーム22及びNo.1トンネルサイドメンバ36と、折れ部52とに囲まれて形成されている。また、このパネル領域S2は、それらの各フレーム部材22、27、36及び折れ部52がそれぞれ直線状に延びると共に、No.2クロスメンバ27と折れ部52、及び、フロアサイドフレーム22とNo.1トンネルサイドメンバ36とがそれぞれ互いに平行に延びる矩形状に形成されている。ここで、折れ部52は、上述したように、第1フロアパネル2を一直線状に折り曲げて形成されており、隣り合うパネル領域S6に生じる振動とこのパネル領域S2に生じる振動とが互いに連成しないように振動を規制する振動規制部としての役割を果たしている。
ここで、低剛性部62は、その幅、即ち、高剛性部60との境界部aと、フレーム部材22又は折れ部52との間の距離が、低剛性部62の剛性が高まらないような所定の大きさとなるように形成されている。
このブラケット64は、高剛性部60の各辺即ち低剛性部62との境界部aに隣接するような大きさに形成されており、その2辺がNo.2クロスメンバ27及びNo.1トンネルサイドメンバ36に固定されている。また、ブラケット64には、補機類66を取り付けるためのネジ孔(図示せず)が設けられている。
ここで、制振材68は、比重が約1.7、硬度が鉛筆硬度で6B程度のアスファルト系制振材(製品名:ダンピングシート(株式会社ヒロタニ))であり、低剛性部62のL字状の外形に合わせた形状にシート状に形成され、低剛性部62に貼り付けられている。
図3(a)に示すように、パネル領域S10は、上述したようにフレーム部材であるNo.3クロスメンバ28及びNo.4クロスメンバ29と、フロアトンネル部50の縁部に形成された折れ部54と、フロアサイドフレーム22の湾曲部22aに沿って形成されたビード部56とに囲まれて形成されている。
また、このパネル領域S10は、各フレーム部材28、29、折れ部54及びビード部56がそれぞれ直線状に延びると共にNo.3クロスメンバ28とNo.4クロスメンバ29とが互いに平行に延びるほぼ矩形状に形成されている。特に、本実施形態では、フロアサイドフレーム22の湾曲部22aに沿って直線状のビード部56を形成して、このようなほぼ矩形状の領域を形成するようにしている。ここで、折れ部54及びビード部56は、いずれもパネル領域S10の振動領域を規制する振動規制部としての役割を果たしている。
また、図3(a)及び(b)に示すように、高剛性部60の突出して形成された空間内にはブラケット64が設けられ、このブラケット64により高剛性部60の上面に補機類66が設けられるようになっている。このブラケット64は、高剛性部60の各辺即ち低剛性部62との境界部aに隣接するように矩形状に形成されており、その1辺がNo.4クロスメンバ29に固定されている。
図4(a)に示すように、パネル領域S13は、上述したように、フレーム部材であるNo.4クロスメンバ29、フロアサイドフレーム22及びNo.2トンネルサイドメンバ37と、ビード部58とに囲まれて形成されている。また、このパネル領域S13は、それらの各フレーム部材22、29、37及びビード部58がそれぞれ直線状に延びると共に、No.4クロスメンバ29とビード部58とが互いに平行に延びるほぼ矩形状に形成されている。特に、フロアサイドフレーム22は、No.4クロスメンバ29及びNo.5クロスメンバ30との連結部29a、30aにおいて折り曲げられ(折曲部22b、22c)(図1参照)、No.4クロスメンバ29とNo.5クロスメンバ30との間で直線状に延びるように形成されている。ここで、ビード部58は、隣り合うパネル領域S15に生じる振動とこのパネル領域S13に生じる振動とが互いに連成しないように振動を規制する振動規制部としての役割を果たしている。
図4(a)及び(b)に示すように、高剛性部60の突出して形成された空間内には矩形状のブラケット64が設けられ、このブラケット64により高剛性部60の上面に補機類66が取り付けられるようになっている。このブラケット64は、高剛性部60の直線上に延びる2辺の境界部aに隣接するような大きさ及び配置になっている。
図5(a)に示すように、パネル領域S14は、上述したパネル領域S13と同様に、フレーム部材であるNo.4クロスメンバ29、フロアサイドフレーム22及びNo.2トンネルサイドメンバ37と、ビード部58とに囲まれたほぼ矩形状に形成されている。
一方、この高剛性部60の周りには、ロ字状に延びるほぼ平らな部分が形成され、この平らな部分が低剛性部62として構成されている。この低剛性部62は、上述したパネル領域S2と同様に所定の幅で延びるように形成され、その全域に上述したパネル領域S2と同様に制振材68が貼り付けられている。
本実施形態のフロアパネル構造のパネル領域S2、S10、S13及びS14においては、高剛性部60と、この高剛性部60の周りに形成された低剛性部62とが設けられているので、高剛性部60と低剛性部62との剛性差により、低剛性部62に振動エネルギが集中する。
さらに、高剛性部60に補機類66が取り付けられるようになっているので、補機類66により高剛性部60の剛性がさらに高まり、より大きな剛性差が得られる。また、補機類66により高剛性部60の重量が増大し、高剛性部60と低剛性部62との重量差が得られる。このような重量差によっても、低剛性部62に振動エネルギを集中させることが出来る。従って、振動エネルギが低剛性部62により大きく集中する。
先ず、本実施形態のパネル領域S2及びS10においては、高剛性部60が各パネル領域のほぼ中央部まで延びるように形成され、また、パネル領域S13及びS14においては、高剛性部60が、各パネル領域のほぼ中央部に形成されている。
さらに、補機類66によりパネル領域のほぼ中央部の重量を高めることで、重量差により、振動エネルギを低剛性部62により大きく集中させることが出来る。また、低剛性部62は、その剛性が高まらないように所定の幅で延びるように形成されているので、振動エネルギを低剛性部62に確実に集中させることが出来る。
また、パネル領域S2、S10においては、高剛性部60がほぼ中央部まで延びているので、その2辺又は3辺の周辺の低剛性部62に、より確実に振動エネルギを集中させることが出来る。
先ず、パネル領域S2、S10、S14においては、高剛性部60の各辺の境界部aが直線状に延び、パネル領域S13においては、高剛性部60の2辺の境界部aが直線状に延びているので、それらの辺に隣接した低剛性部62の部分の剛性を高めずに、高剛性部60と低剛性部62との境界部aを含む低剛性部62に振動エネルギを集中させることが出来る。
ここで、振動エネルギが特に大きく集中する範囲を、図2(a)、図3(a)、図4(a)及び図5(a)においてそれぞれEで示す。各図中Eで示すように、振動エネルギは、低剛性部62のうち、高剛性部60に近い範囲に集中し易く、特に、高剛性部60の直線上に延びる辺の近傍では、高剛性部60と低剛性部62との境界部aを含む範囲に振動エネルギが特に大きく集中する。
即ち、
ここで、図4中Eで示すように、このような曲線状に延びる境界部aに隣接した低剛性部62の剛性が高まり、図中Xで示すような振動エネルギが集中しにくい部分が生じる。
これに対し、本実施形態のパネル領域S13においては、残り2辺を直線状に形成して、振動エネルギが集中する図中Eの範囲をあまり狭めないようにしている。
先ず、パネル領域S2、S10及びS13においては、ブラケット64が、高剛性部60の突出して形成された空間内に設けられている。従って、ブラケット64が低剛性部62に当接して低剛性部62の剛性が高まることを防止することが出来ると共に、高剛性部60がブラケット64自身の剛性によりその空間内で突っ張るように支持されるので高剛性部60の剛性を高めることが出来る。さらに、ブラケット64自体の重量により、高剛性部60と低剛性部62との重量差が得られるので、低剛性部62に振動エネルギをより効果的に集中させることが出来る。
さらに、ブラケット64は高剛性部60と低剛性部62とにより形成される境界部aに隣接するように延びているので、高剛性部60の剛性を確実に高めることが出来ると共にその境界部a近傍の高剛性部60の剛性を大きく高めて、高剛性部60と低剛性部62との剛性差をより大きくすることが出来る。
また、パネル領域S10においては、ブラケット64がパネル領域のほぼ中央部まで延び、補機類66が、そのパネル領域のほぼ中央部に取り付けられるので、高剛性部60と低剛性部62との剛性差及び重量差をより大きくすることが出来、低剛性部62に振動エネルギを大きく集中させることが出来る。さらに、ブラケット64は、パネル領域のほぼ中央部の近傍の重量が、それ以外の部分の重量より大きくなるように板厚が高められている部分64aを有するので、低剛性部62に振動エネルギをさらに大きく集中させることが出来る。さらに、ブラケット64は、上述したように振動伝達量が比較的小さいNo.4クロスメンバ29取り付けられているので、このブラケット64を介してパネル領域S10に伝わる振動による音響放射が大きくならないようにすることが出来る。
本実施形態では、フレーム部材22、27〜30、36、37及び、振動規制部である折れ部52、54及びビード部56、58のパネル領域S2、S10、S13、S14を形成する部分が直線状に延びるように形成されているので、低剛性部62の剛性が高まることを防止し、高剛性部60と低剛性部62との剛性差がより確実に得られるようにすることが出来る。即ち、それらのフレーム部材22、27〜30、36、37及び、振動規制部である折れ部52、54及びビード部56、58が曲線状に形成されると、その近傍の部分の剛性が高まり、低剛性部62に振動エネルギが集中しにくくなるので、このようなことを防止するようにしている。
図7は、本発明の第1参考例によるパネル領域S1及びS5を示す拡大平面図(a)及びそのVII-VII線に沿って見たパネル領域S1及びS5の車体前後方向の断面構造を示す断面図(b)であり、同様に、図8は、パネル領域S3及びS7を示す拡大平面図(a)及びそのVIII-VIII線に沿って見た断面図(b)であり、図9は、パネル領域S4及びS8を示す拡大平面図(a)及びそのIX-IX線に沿って見た断面図(b)であり、図10は、パネル領域S11を示す拡大平面図(a)及びそのX-X線に沿って見た断面図(b)であり、図11は、パネル領域S15を示す拡大平面図(a)及びそのXI-XI線に沿って見た断面図(b)である。
図7(a)に示すように、パネル領域S1及びS5は折れ部52を共有し、パネル領域S1は、上述したように、この折れ部52と、フレーム部材であるNo.2クロスメンバ27、サイドシル20及びフロアサイドフレーム22とに囲まれて形成され、パネル領域S5は、上述したように、その折れ部52と、フレーム部材であるサイドシル20、フロアサイドフレーム22及びNo.3クロスメンバ28とに囲まれて形成されている。また、これらのパネル領域S1、S5は、それらの各フレーム部材20、22、27、28及び折れ部52がそれぞれ直線状に延びると共に、No.2クロスメンバ27と折れ部52、この折れ部52とNo.3クロスメンバ28、及び、サイドシル20とフロアサイドフレーム22とがそれぞれ互いに平行に延びる矩形状にそれぞれ形成されている。ここで、折れ部52は、上述したように、振動規制部としての役割を果たしている。
また、高剛性部70には、2つのパネル領域S1、S5にわたるように、高剛性部70の車体前方側の辺から車体後方側の辺まで車体前後方向に延びる複数の補強ビード73が形成されている。
これらの低剛性部62は、パネル領域S1においては、折れ部52に接する高剛性部70の周りでL字状に延びる部分と、円形状の高剛性部74の周りでロ字状に延びる部分とを含む形状に延び、パネル領域S5においては、折れ部52に接する高剛性部70の周りでL字状に延びる部分と、矩形状の高剛性部76の周りでL字状に延びる部分とを含むT字状に延びている。また、これらの低剛性部62は、上述した本発明の実施形態のパネル領域S2と同様に、その幅が、低剛性部62の剛性が高まらないような所定の大きさとなるように形成されている。
図8(a)に示すように、パネル領域S3及びS7は折れ部52を共有し、パネル領域S3は、上述したように、この折れ部52と、フレーム部材であるNo.2クロスメンバ27、フロアサイドフレーム22及びNo.1トンネルサイドメンバ36とに囲まれて形成され、パネル領域S7は、上述したように、その折れ部52と、フレーム部材であるフロアサイドフレーム22、No.1トンネルサイドメンバ36及びNo.3クロスメンバ28とに囲まれて形成されている。また、これらのパネル領域S3、S7は、それらの各フレーム部材22、27、28、36及び折れ部52がそれぞれ直線状に延びると共に、No.2クロスメンバ27と折れ部52、この折れ部52とNo.3クロスメンバ28、及び、フロアサイドフレーム22とNo.1トンネルサイドメンバ36とがそれぞれ互いに平行に延びる矩形状にそれぞれ形成されている。ここで、折れ部52は、上述したように、振動規制部としての役割を果たしている。
次に、図8(a)及び(b)に示すように、パネル領域S7には、その車幅方向のほぼ中間に、一端部がNo.3クロスメンバ28に接すると共に領域S7のほぼ中央部まで延びる高剛性部78が形成されている。この高剛性部78と低剛性部62との境界部aは、車幅方向に対向する2辺がそれぞれ車体前後方向に直線状に延び、車体前後方向のそれぞれの端部が、円弧状に延びている。この高剛性部78は、フロアパネル自身を車体上方に突出して形成され、その断面形状は曲面高さが連続的に変化するドーム形状となっている。
これらの低剛性部62は、パネル領域S3においては、折れ部52に接する高剛性部70の車幅方向の左右両側でそれぞれ直線状に延びる部分を含む形状に延び、パネル領域S7においては、折れ部52に接する高剛性部70の周りでコ字状に延びる部分と、No.3クロスメンバ28に接する高剛性部78の周りでコ字状に延びる部分とを含むH字状に延びている。また、これらの低剛性部62は、上述した本発明の実施形態のパネル領域S2と同様に所定の幅で延びるように形成されている。
図9(a)に示すように、パネル領域S4及びS8は、上述したパネル領域S1及びS5と同様に形成され、振動規制部である折れ部52を共有すると共に、各パネル領域S4、S8は、各フレーム部材20、22、27、28及び折れ部52に囲まれて矩形状に形成されている。
これらの低剛性部62は、パネル領域S4においては、折れ部52に接する高剛性部70の周りでコ字状に延びる部分と、円形状の高剛性部74の周りでロ字状に延びる部分とを含むA字状に延び、パネル領域S8においては、折れ部52に接する高剛性部70の周りでコ字状に延びる部分と、矩形状の高剛性部76の周りでコ字状に延びる部分とを含むH字状に延びている。また、これらの低剛性部62は、上述した本発明の実施形態のパネル領域S2と同様に所定の幅で延びるように形成されている。
図10(a)に示すように、パネル領域S11は、上述した本発明の実施形態のパネル領域S10(図3参照)と同様に形成され、フレーム部材であるNo.3クロスメンバ28及びNo.4クロスメンバ29と、フロアトンネル部50の縁部に形成された直線状に延びる折れ部54と、フロアサイドフレーム22の湾曲部22aに沿って形成された直線状のビード部56とに囲まれてほぼ矩形状に形成されている。折れ部54及びビード部56は、いずれもパネル領域S11の振動領域を規制する振動規制部としての役割を果たしている。
また、高剛性部70には、高剛性部70が接しているNo.4クロスメンバ29及び折れ部54の側から、低剛性部62の側に向けて放射状に延びる複数の補強ビード73が形成されている。
一方、低剛性部62は、ほぼ平らに形成され、その全域に上述した本発明の実施形態のパネル領域S2と同様に制振材68が貼り付けられている。
図1及び図11(a)に示すように、パネル領域S15(S16)は、上述したようにフレーム部材であるフロアサイドフレーム22、No.2トンネルサイドメンバ37及びNo.5クロスメンバ30と、ビード部58とに囲まれて形成されている。また、このパネル領域S15は、それらの各フレーム部材22、30、37及びビード部58がそれぞれ直線状に延びると共に、ビード部58とNo.5クロスメンバ30とが互いに平行に延びるほぼ矩形状に形成されている。特に、パネル領域S13、S14と同様に、フロアサイドフレーム22を、No.4クロスメンバ29及びNo.5クロスメンバ30との連結部29a、30aにおいて折り曲げるように形成して、この領域S15(S16)を形成する部分が直線状に延びるようにしている。ここで、ビード部58は、本発明の実施形態のパネル領域S13で上述したように、振動規制部としての役割を果たしている。
本実施形態のフロアパネル構造のパネル領域S1、S3乃至S8、S11、S15及びS16においては、本発明の実施形態と同様に、高剛性部70と、この高剛性部70の周りに形成された低剛性部62との剛性差により、低剛性部62に振動エネルギが集中する。
先ず、パネル領域S1及びS5、S3及びS7、S4及びS8の作用効果について説明する。
本実施形態のパネル領域S1及びS5、S3及びS7、S4及びS8は、それぞれ、一直線状に折り曲げて形成された剛性の高い折れ部52を共有し、高剛性部70はこの折れ部52に接すると共にそれらの2つの領域にわたって形成されているので、高剛性部70の剛性を大きく高めて低剛性部62との剛性差を大きくとることが出来る。特に、高剛性部70は、くの字状に延びる各パネル領域S1及びS5、S3及びS7、S4及びS8に挟まれるように車体上方に突出して形成されているので、高剛性部70の剛性を大きく高めることが出来る。
これらのパネル領域S1及びS4、S3及びS7、S4及びS8では、低剛性部62のL字状、コ字状或いは直線状に延びる部分は、その剛性が高まらないように所定の幅で延びるように形成されているので、上述したE1で示すような範囲に振動エネルギをより確実に集中させることが出来る。
また、パネル領域S7には、さらに、高剛性部76が形成され、この周りに延びる低剛性部62のコ字状の部分により、図8中E2で示すような範囲に振動エネルギを特に大きく集中させることが出来る。
また、パネル領域S4及びS8には、さらに、円形状の高剛性部74及び矩形状の高剛性部76が形成され、これらの周りに延びる低剛性部62のロ字状或いはコ字状に延びる部分により、図9中E2で示すような範囲に振動エネルギを特に大きく集中させることが出来る。
本実施形態のパネル領域S6においては、矩形状の高剛性部76の2辺の全部がNo.3クロスメンバ28及びNo.1トンネルサイドメンバ36に接し、また、パネル領域S11においては、ほぼ矩形状の高剛性部70の1辺が折れ部54に接し、他の1辺がNo.4クロスメンバ29に接しているので、いずれも、高剛性部70の剛性を大きく高めて低剛性部62との剛性差を大きくすることが出来る。
また、パネル領域S11においては、高剛性部70がその領域S11のほぼ中央部まで延びるように形成されているので、本発明の実施形態で説明したように、高剛性部70とその周囲の低剛性部62との剛性差をより大きくすることが出来る。また、その周囲に低剛性部62のL字状に延びる部分を形成し易くなり、振動エネルギが集中する範囲をより確実に得ることが出来る。
本実施形態のパネル領域S15及びS16においては、それぞれ、高剛性部70の1辺がNo.5クロスメンバ30に接するので、高剛性部70の剛性を大きく高めて、低剛性部62との剛性差を大きくとることが出来る。
先ず、パネル領域S1及びS5、或いは、S4及びS8にそれぞれわたって設けられた高剛性部70、或いは、パネル領域S11に設けられた高剛性部70は、その周囲に延びる低剛性部62のとの境界部aがほぼ直線状に形成されているので、低剛性部62の剛性を高めないようにして、振動エネルギが特に大きく集中するEの範囲を大きく狭めないようにすることが出来る。その結果、振動低減効果を確実に発揮させるようにすることが出来る。
本実施形態では、パネル領域S1、S3〜S8、S11、S15、S16において、フレーム部材20、22、27〜30、36、37及び、振動規制部である折れ部52、54及びビード部56、58のパネル領域を形成する部分が直線状に延びているので、低剛性部62の剛性が高まることを防止し、高剛性部70と低剛性部62との剛性差がより確実に得られるようにすることが出来る。また、パネル領域S1、S3乃至S8は矩形状に形成され、パネル領域S11、S15及びS16は2辺が平行であるほぼ矩形状に形成されているので、各パネル領域の全体の剛性が高まって振動低減効果が小さくなることを防止することが出来る。
先ず、パネル領域S1及びS5、S4及びS8においては、各高剛性部70に、2つのパネル領域S1及びS5、S4及びS8にわたるように、車体前方側の辺から車体後方側の辺まで車体前後方向に延びる複数の補強ビード73が形成されているので、高剛性部70を折れ部52に接することにより剛性を高めることに加え、高剛性部70の車体前後方向の剛性を大きく高めることが出来る。その結果、車体前方側の辺及び車体高校方側の辺の周りに延びる低剛性部62の部分との剛性差をより大きくすることが出来る。従って、例えば、上述した図7及び図9におけるE1で示す範囲においても、特に図中Fで示すような範囲でさらに大きく振動エネルギを集中させることが出来る。
その結果、パネル領域S15においては、特に、No.5クロスメンバ30に接する辺に対向する車体後方側の辺の周りに延びる低剛性部62の部分との剛性差をより大きくすることが出来、例えば、上述した図11中Eで示す範囲においても、特に図中Fで示すような範囲でより大きく振動エネルギを集中させることが出来る。
また、パネル領域S16においては、複数の補強ビード73は、コ字状に延びる低剛性部62の部分のほぼ全範囲に向けて延びるようになっているので、高剛性部70とそのコ字状に延びる低剛性部62の部分との剛性差を大きくすることが出来る。
また、図12に示すように、2つの領域にわたって形成された高剛性部70を各領域のほぼ中央部まで延びるように形成しても良い。この場合には、本発明の実施形態で説明したように、高剛性部70が、剛性が比較的低いパネル領域のほぼ中央部まで延びるので、その周囲の低剛性部62との剛性差をより大きくすることが出来る。なお、一方の領域だけ、高剛性部70をほぼ中央部まで延びるように形成しても良い。
図13は、本発明の第2参考例によるパネル領域S9を示す拡大平面図(a)及びそのXIII-XIII線に沿って見たパネル領域S9の車幅方向の断面構造を示す断面図(b)である。
このパネル領域S9(S12)においては、No.3クロスメンバ28とNo.4クロスメンバ29とが、互いに平行に直線状に延び、振動規制部であるビード部56が直線状に延びている。また、サイドシル20は、上述したようにNo.3クロスメンバ28及びNo.4クロスメンバ29のほぼ中間位置からNo.4クロスメンバ29にかけて湾曲し、この湾曲した部分により、その領域S9(S12)の2辺がそれぞれ曲線部20aを含むほぼ矩形状の領域として形成されている。
ここで、曲線部20aは、図13中Kで示す2箇所で曲率半径が最も小さくなっており、2つの第2高剛性部81は、いずれも、これらの曲率半径が最も小さい箇所Kと第1高剛性部80との間に設けられている。また、2つの第2高剛性部81は、それぞれの面積が第1高剛性部80の面積よりも小さく、それぞれ、曲線部20aの近傍(接触する場合も含む)に形成されている。本実施形態では、これらの第2高剛性部81は、曲線部20aと接触し、また、第1高剛性部80とも接触している。なお、これらの第2高剛性部81は、曲線部20aの近傍にあれば曲線部20aと接触せずに少し離れていても良く、また、第1高剛性部80とは、互いに近傍に位置するように少し離れていても良い。
本実施形態のフロアパネル構造のパネル領域S9及びS12においては、本発明の実施形態と同様に、高剛性部80、81と、この高剛性部80、81の周りに形成された低剛性部62との剛性差により、低剛性部62に振動エネルギが集中する。
本実施形態のパネル領域S9及びS12においては、曲線部20aの近傍からほぼ中央部まで延びるように高剛性部80、81が形成されているので、本発明の実施形態で上述したように、剛性が比較的低いパネル領域のほぼ中央部まで高剛性部80、81が延びて、高剛性部80、81の周囲の低剛性部62に、より確実に振動を集中させることが出来ると共に剛性差をより大きくすることが出来る。その結果、高剛性部80、81の周囲に延びる低剛性部62の部分に振動エネルギを大きく集中させることが出来、図13中Eで示すような範囲で振動エネルギを特に大きく集中させることが出来る。
さらに、第1及び第2高剛性部80、81は円形状に形成されているので、第2高剛性部81と曲線部20aの間、又、各高剛性部80、81間に上述した隙間G1、G2を形成し易く、また、各高剛性部80、81の剛性を大きく高めて低剛性部62との剛性差を大きくとることが出来る。
本実施形態では、パネル領域S9及びS12において、サイドシル20の曲線部20aを除き、フレーム部材20、28、29及び振動規制部であるビード部56のパネル領域を形成する部分が直線状に延びているので、低剛性部62の剛性が高まることを防止し、高剛性部80、81と低剛性部との剛性差がより確実に得られるようにすることが出来る。特に、上述したパネル領域S10と同様に、フロアサイドフレーム22の湾曲部22aに沿って振動規制部である直線状のビード部56が形成されているので、パネル領域S9、S12の全体の剛性が高まって振動低減効果が小さくなることを防止することが出来る。
先ず、図14に示すように、例えば、パネル領域S9の曲線部20aの最も曲率半径が小さい部分Kが1カ所である場合に、上述した第2参考例の2つの第2高剛性部81の間に設けられた平らな部分83が、この最も曲率半径が小さい部分と第1高剛性部80との間に形成されるようにしても良い。
この場合にも上述した作用と同様の作用が得られる。特に、2つの第2高剛性部81の間に設けられた平らな部分83が、この最も曲率半径が小さい部分Kと第1高剛性部80との間に形成されているので、この曲率半径が小さい部分Kと低剛性部62との間に第1及び第2高剛性部80、81及び平らな部分83が配置されることになり、低剛性部62の剛性が高まることを防止することが出来る。その結果、低剛性部62に効果的に振動エネルギをより確実に集中させることが出来る。
この場合にも上述した作用と同様の作用が得られる。特に、第2高剛性部81の面積が、第1高剛性部80の面積よりも小さいので、第2高剛性部81の両側まで低剛性部62の部分を広げ、低剛性部の部分の面積を比較的大きくとることが出来る。その結果、第2高剛性部81の近傍の低剛性部62の部分の剛性が高まることを防止することが出来る。
本変形例では、図15中Xで示すような範囲の剛性が高まることを防止することが出来、振動エネルギが集中する図15中Eの範囲をあまり狭めないようにすることが出来る。
この場合にも、少なくともパネル領域S9、S12の辺の曲線部20aの近傍に楕円形状の高剛性部85が設けられているので、上述した作用と同様の作用が得られる。特に、高剛性部85が、曲線部20aの近傍からほぼ中央にわたって楕円形状に延びているので、この楕円形状の高剛性部85と曲線部20aとの間に、図16中Gで示すような隙間が形成され、上述したように、このような隙間により、この隙間の近傍の剛性が高まることを防止することが出来る。本変形例では、図16中Xで示すような範囲の剛性が高まることを防止することが出来、振動エネルギが集中する図16中Eの範囲をあまり狭めないようにすることが出来る。
2 第1フロアパネル
4 第2フロアパネル
6 第3フロアパネル
18 フロントサイドフレーム
20 サイドシル
20a パネル領域S9、S12の曲線部
22 フロアサイドフレーム
22a 湾曲部
22b 折曲部
22c 折曲部
22d フランジ部
22e フランジ部の縁部
24 リアサイドフレーム
26 No.1クロスメンバ
27 No.2クロスメンバ
28 No.3クロスメンバ
29 No.4クロスメンバ
29a 連結部
30 No.5クロスメンバ
30a 連結部
36 No.1トンネルサイドメンバ
37 No.2トンネルサイドメンバ
40 エンジン
42 フロントサスペンションクロスメンバ
44 フロントサスペンション
46 リアサスペンションクロスメンバ
48 リアサスペンション
50 フロアトンネル部
52、54 折れ部(振動規制部)
56、58 ビード部(振動規制部)
60 高剛性部
62 低剛性部
64 ブラケット
66 補機類
68 制振材
70 高剛性部
73 高剛性部の補強ビード
74 円形状の高剛性部
76 矩形状の高剛性部
80 第1高剛性部
81 第2高剛性部
85 楕円形状の高剛性部
S1〜S16 パネル領域
a 高剛性部と低剛性部との境界部
Claims (10)
- 車体前後方向及び車幅方向に配設された複数のフレーム部材に連結されたフロアパネルにより、自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、
上記フロアパネルには、上記フレーム部材、又は、上記フレーム部材及び振動領域を規制する振動規制部により囲まれたパネル領域が形成され、
上記フロアパネルの上記パネル領域には、高剛性部が形成されると共にこの高剛性部の周りに低剛性部がほぼ平らに形成され、
上記高剛性部に補機類が取り付けられ、
上記フロアパネルのパネル領域内において上記低剛性部の全域のみに制振材が設けられていることを特徴とする車体のフロアパネル構造。 - 上記高剛性部は、上記フレーム部材及び上記振動規制部と接しないように上記パネル領域のほぼ中央部に形成されている請求項1記載の車体のフロアパネル構造。
- 上記高剛性部は、ほぼ矩形状に形成され、その1辺が上記フレーム部材又は上記振動規制部と接している請求項1記載の車体のフロアパネル構造。
- 上記高剛性部は、ほぼ矩形状に形成され、その隣り合う2辺が上記フレーム部材及び/又は上記振動規制部と接している請求項1記載の車体のフロアパネル構造。
- 上記高剛性部は、上記フレーム部材及び/又は上記振動規制部と接している部分から上記パネル領域のほぼ中央部まで延びている請求項3又は請求項4に記載の車体のフロアパネル構造。
- 上記高剛性部は、上記フロアパネル自身を上方向又は下方向に突出して形成され、この突出して形成された上方向又は下方向の空間内にブラケットが設けられ、このブラケットに上記補機類が取り付けられている請求項1乃至5の何れか1項記載の車体のフロアパネル構造。
- 上記ブラケットは、少なくとも上記高剛性部と上記低剛性部とにより形成される境界部に隣接して配置されている請求項6記載の車体のフロアパネル構造。
- 上記高剛性部は、ほぼ矩形状に且つ上記フロアパネル自身を上方向又は下方向に突出して形成され、その1辺が上記フレーム部材に接し、且つ、上記パネル領域のほぼ中央部まで延び、
この高剛性部の突出して形成された上方向又は下方向の空間内にブラケットが設けられ、
このブラケットは、上記高剛性部が接するフレーム部材に取り付けられると共に上記パネル領域のほぼ中央部まで延び、上記補機類が、このブラケットの上記パネル領域のほぼ中央部の近傍に取り付けられる請求項1記載の車体のフロアパネル構造。 - 上記ブラケットの上記パネル領域のほぼ中央部の近傍の重量は、それ以外の部分の重量より大である請求項8記載の車体のフロアパネル構造。
- 車体前後方向及び車幅方向に配設された複数のフレーム部材に連結されたフロアパネルにより、自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、
上記フロアパネルには、上記フレーム部材により囲まれた、又は、上記フレーム部材及び振動領域を規制する振動規制部により囲まれたパネル領域が形成され、
このパネル領域のほぼ中央部に上記フレーム部材及び上記振動規制部と接しないようにブラケットが設けられ、このブラケット及び上記パネル領域の上記ブラケットが設けられた部分が高剛性部として構成されると共に上記パネル領域の上記ブラケットの周りの部分が低剛性部として構成され、
上記ブラケットに補機類が取り付けられることを特徴とする車体のフロアパネル構造。
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