JP3723977B2 - 車体のフロアパネル構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体のフロアパネル構造に係り、特に、車体前後方向及び車幅方向に配設されエンジン又はサスペンションに連結された複数のフレーム部材に、その外周端部が連結されたフロアパネルにより、自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造に係る。
【0002】
【従来の技術】
エンジンやサスペンションが連結されたフレーム部材からの振動がフロアパネルに伝達され、このフロアパネルに伝達された振動により、フロアパネルの大部分の面積を示すパネル部が振動し、その結果、車室内の空気を大きく振動させることにより、不快な車室内振動や騒音が発生することが知られている。
この場合、振動源として、エンジン自体の振動や、サスペンションから伝わるロードノイズが問題となり、このロードノイズには、一般に、タイヤの空洞共鳴によるものと、サスペンションの共振によるものとがある。
従来から、これらの振動騒音を抑制するためにフロアパネル及びその近傍の車体各部に、種々の防振及び防音対策として、制振材や防振材を貼付けることが一般的に行われている。これにより、振動及び騒音の低減が可能であるが、一方で非常に大量の制振材や防振材を必要とするため、車両重量が増加し、それにより、様々な悪影響やコストの面で大きな問題があった。
【0003】
さらに、エンジンやサスペンションから伝達される不快な振動が自動車では300Hz以下に集中していることから、フロアパネルにビードを多数形成したり、パネル厚を大きくすることでその剛性を高め、それにより、フロアパネルの固有振動数を300Hzよりも高い高帯域にずらすことも知られている。つまり、フロアパネルがサスペンションの共振周波数やタイヤの空洞共鳴周波数帯域等で共振しないようにして、不快な振動騒音を低減するようにしているのである。
この場合、低周波の領域における共振ピークを抑制できる利点があるが、一方で、高音域の振動が逆に多くなるため、高周波領域における振動騒音を抑制するための制振材や防音材が多く必要となり、上記と同様に、車両重量が増加し、それにより、様々な悪影響やコストの面で問題があり、この問題を解決することが要望されていた。
【0004】
そこで、本発明者らは、フロアパネルに伝わる振動の振動周波数と振動モードの関係に着目し、特定の振動周波数(共振領域)で音響放射レベルがより小さい振動モードになるようなフロアパネル構造を提案した(特許文献1)。即ち、このフロアパネル構造は、特定の周波数として、最も不快な振動としてフロアパネルに伝達されるタイヤの空洞共鳴に起因したロードノイズである250Hz付近の周波数域で、フロアパネルの振動モードが2×2モード又は2×1モードのように振動の腹が偶数個生じる振動モードになるようにフロアパネルの剛性を部分的に調節し、それぞれの振動の腹から放射される音波が互いに打ち消し合うように設定することで音響放射レベルを低下させて、車室内の騒音を低減するようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−202269号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したフロアパネルの全面に制振材や防音材を貼り付ける方法では、制振材等の多用により、材料コストが高くなるとともに、車体の重量が増大するという問題が生じる。また、パネル厚を大きくすると車体重量が増加してしまうという問題が生じる。
また、上記の特許文献1に記載されたフロアパネル構造では、特定の周波数域の騒音を低減させるのに有用であるが、その特定周波数域以外の周波数の騒音を同時に低減させるのは難しいという問題がある。
【0007】
ここで、本発明者らは、最も不快な車室内振動や騒音の要因であるエンジンからの振動やサスペンションからの振動(ロードノイズ)が、車体のフレーム部材を経由してフロアパネルに伝わり、フロアパネルが振動することにより生じることに着目し、上述した従来技術の問題点を解決することを試みた。
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、車体のフレーム部材からフロアパネルの大半部の面積を占めるパネル部へ伝わる振動の伝達量そのものを低減して車室内の騒音を低減することができる車体のフロアパネル構造を提供することを目的としている。
さらに、本発明は、騒音を低減するための制振材の使用量を低減して車両の軽量化を図ることができる車両のフロアパネル構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、車体前後方向及び車幅方向に配設されエンジン又はサスペンションに連結された複数のフレーム部材に、その外周端部が連結されたフロアパネルにより、自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、フロアパネルは、その外周端部の少なくとも一部がフレーム部材に接合される接合部と、この接合部の全長に沿って形成された低剛性部と、この低剛性部よりも内方に形成されフロアパネルの大部分の面積を占めると共に高剛性部として構成されたパネル部とを有し、低剛性部が、高剛性部との剛性差により、接合部の全長に沿って所定値以上の周波数の振動の伝達を低減する振動遮断部を形成するよう構成され、パネル部は、所定値以下の周波数の振動による音響放射の発生を抑制する振動モード調整部を有し、低剛性部のみ又は低剛性部とその近傍のみに制振材を設けたことを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、フロアパネルに低剛性部と高剛性部を形成し、この低剛性部が高剛性部との剛性差により、フロアパネルのフレーム部材との接合部の全長に沿って振動遮断部を形成しているので、フレーム部材からフロアパネルの大半の面積を占めるパネル部に伝達される振動がこの振動遮断部により遮断(低減)され、フロアパネルのパネル部の振動を抑制できる。さらに、本発明においては、制振材により振動エネルギが集中している低剛性部の振動を減衰させることが出来るので、より確実に、パネル部に伝達される振動が遮断(低減)される。さらに、パネル部に振動モード調整部を設けることにより、所定値以下の周波数の振動による音響放射の発生が抑制される。これらの結果、本発明によれば、タイヤの空洞共鳴によるロードノイズと、サスペンションの共振によるロードノイズの両方を低減し、それにより、車室内の騒音を低減することができる。
【0009】
また、上記の目的を達成するために、本発明は、車体前後方向及び車幅方向に配設されエンジン又はサスペンションに連結された複数のフレーム部材に、その外周端部が連結されたフロアパネルにより、自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、フロアパネルは、その外周端部の少なくとも一部がフレーム部材に接合される接合部と、この接合部の全長に沿って形成された低剛性部と、この低剛性部よりも内方に形成されフロアパネルの大部分の面積を占めると共に高剛性部として構成されたパネル部とを有し、低剛性部が、高剛性部との剛性差により、接合部の全長に沿って所定値以上の周波数の振動の伝達を低減する振動遮断部を形成するよう構成され、パネル部は、所定値以下の周波数の振動による音響放射の発生を抑制する振動モード調整部を有し、低剛性部に第1の制振材を設けると共にパネル部に第1の制振材より制振性能の小さい又は厚さが薄い第2の制振材を設けたことを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、フロアパネルに低剛性部と高剛性部を形成し、この低剛性部が高剛性部との剛性差により、フロアパネルのフレーム部材との接合部の全長に沿って振動遮断部を形成しているので、フレーム部材からフロアパネルの大半の面積を占めるパネル部に伝達される振動がこの振動遮断部により遮断(低減)され、フロアパネルのパネル部の振動を抑制できる。さらに、本発明においては、第1の制振材により振動エネルギが集中している低剛性部の振動を減衰させることが出来るので、より確実に、パネル部に伝達される振動が遮断(低減)され、さらに、第2の制振材を主に透過音を防止するように設定することで、車室内の振動や騒音を非常に効果的に低減することができる。さらに、パネル部に振動モード調整部を設けることにより、所定値以下の周波数の振動による音響放射の発生が抑制される。これらの結果、本発明によれば、タイヤの空洞共鳴によるロードノイズと、サスペンションの共振によるロードノイズの両方を低減し、それにより、車室内の騒音を低減することができる。
【0010】
また、上記の目的を達成するために、本発明は、車体前後方向及び車幅方向に配設されエンジン又はサスペンションに連結された複数のフレーム部材に、その外周端部が連結されたフロアパネルにより、自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、フロアパネルは、その外周端部の少なくとも一部がフレーム部材に接合される接合部と、この接合部の全長に沿って形成された低剛性部と、この低剛性部よりも内方に形成されフロアパネルの大部分の面積を占めると共に高剛性部として構成されたパネル部とを有し、低剛性部が、高剛性部との剛性差により、接合部の全長に沿って所定値以上の周波数の振動の伝達を低減する振動遮断部を形成するよう構成され、パネル部は、所定値以下の周波数の振動による音響放射の発生を抑制する振動モード調整部を有し、低剛性部に制振材を設けると共にパネル部に透過音を吸収する吸音材を設けたことを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、フロアパネルに低剛性部と高剛性部を形成し、この低剛性部が高剛性部との剛性差により、フロアパネルのフレーム部材との接合部の全長に沿って振動遮断部を形成しているので、フレーム部材からフロアパネルの大半の面積を占めるパネル部に伝達される振動がこの振動遮断部により遮断(低減)され、フロアパネルのパネル部の振動を抑制できる。さらに、本発明においては、制振材により振動エネルギが集中している低剛性部の振動を減衰させることが出来るので、より確実に、パネル部に伝達される振動が遮断(低減)され、さらに、吸音材により透過音を吸収して、車室内の振動や騒音を非常に効果的に低減することができる。さらに、パネル部に振動モード調整部を設けることにより、所定値以下の周波数の振動による音響放射の発生が抑制される。これらの結果、本発明によれば、タイヤの空洞共鳴によるロードノイズと、サスペンションの共振によるロードノイズの両方を低減し、それにより、車室内の騒音を低減することができる。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、周波数の所定値は、約200Hzである。
このように構成した本発明によれば、タイヤの空洞共鳴による主に200Hz〜300Hzの周波数と、サスペンションの共振による200Hz以下の周波数のロードノイズを低減することができる。
また、本発明において、好ましくは、振動モード調整部は、所定値以下の特定の周波数で2×1振動モードで振動する。
このように構成された本発明においては、フロアパネルのパネル部に生じる所定値以下の特定の周波数付近の音響放射を低減させることができる。
また、本発明において、好ましくは、低剛性部は溝部により形成されている。
このように構成された本発明によれば、低剛性部が溝部の場合には、その水平部及び垂直部がフレーム部材からの振動により振動し易いので、フレーム部材からパネル部に伝達される振動をより効果的に遮断(低減)することができ、さらに、振動エネルギが集中している低剛性部に制振材を設けていることから、制振材による振動減衰効果が大きく発揮され、フロアパネルのパネル部の振動を抑制できる。
また、本発明において、好ましくは、低剛性部がビード部により形成され、このビード部により振動モード調整部の領域を規制し、ビード部を含む振動遮断部及び振動モード調整部が、一体的に成形される。
このように構成された本発明によれば、ビード部が低剛性部を形成すると共に振動モード調整部の領域を規制しているので、振動遮断構造と振動モード調整構造とをプレス加工で一体的に成形することができる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、振動遮断部及び振動モード調整部は、プレスで一体成形されている。
また、本発明において、好ましくは、パネル部の振動モード調整部の領域がほぼ2×1の大きさに規制され、パネル部の振動モード調整部以外の領域が低剛性部で囲まれて第2の振動遮断部が形成されている。
このように構成された本発明においては、振動モード調整部の領域以外の領域に第2の振動遮断部を形成するようにしているので、フレーム部材からこの振動モード調整部の領域以外の領域のパネル部に伝達される振動をより効果的に遮断(低減)することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態による車両のフロアパネル構造を備えた自動車のアンダボディを示す斜視図であり、図2は、フロントフロアパネルの拡大斜視図である。
図1に示すように、自動車のアンダボディ1は、車室の床部分(フロア部分)を構成するフロントフロアパネル2と、このフロントフロアパネル2の車体後方の一段高い位置に配設されリヤシート(図示せず)が配置されるセンタフロアパネル4と、さらに、このセンタフロアパネル2よりも車体後方の一段高い位置に配設され荷室の床部分を構成するリヤフロアパネル6とを備えている。
また、フロントフロアパネル2の車体前側の端縁部には、車室とエンジンルームを仕切るダッシュパネル8の下端縁部がスポット溶接等により接合されており、さらに、ダッシュパネル8の前方には、エンジンルームの左右両側を囲むように一対のフロントサイドフレーム10とフェンダエプロン12が設けられている。このフロントサイドフレーム10には、エンジン11が弾性体(図示せず)を介して着脱自在に取付けられている。
【0014】
ダッシュパネル8の下側の部分である傾斜部8aには、車幅方向の補強部材であるNo.1クロスメンバ14が取り付けられている。このNo.1クロスメンバ14は、各フロントサイドフレーム10の車体外側に設けられそのフランジがフロントサイドフレーム10とダッシュパネル8の傾斜部8aに接合された閉断面構造である一対のトルクボックスメンバ16と、一対のフロントサイドフレーム10の中間に挟まるように配置され両端がフロントサイドフレーム10に接合されたダッシュロアクロスメンバ18とから構成されている。
このNo.1クロスメンバ14及び一対のフロントサイドフレーム10には、フロントサスペンションクロスメンバ15が取付けられ、このフロントサスペンションクロスメンバ15には、フロントサスペンション17が取り付けられている。
【0015】
図1及び図2に示すように、フロントフロアパネル2は、所定厚(例えば、厚さ0.65〜0.7mm)の鋼板をプレス成形したもので、車幅方向のほぼ中央位置において上方に膨出するフロアトンネル部20が車体前後方向に延びている。また、フロアパネル2の車幅方向の両端側には、それぞれ、自動車のサイドボディ(図示せず)が取り付けられるようになっており、このサイドボディの下端縁部を車体前後方向に延びる閉断面構造のサイドシル21(仮想線で示す)には、スポット溶接等によりフロントフロアパネル2が接合されている。このサイドシル21の前方部は、No.1クロスメンバ14に接合されている。
【0016】
さらに、フロアトンネル部20と各サイドシル21との中間には、それぞれ車体前後方向に延びるように一対のフロアサイドフレーム22が設けられている。これらのフロアサイドフレーム22の前端は、上述したフロントサイドフレーム10の後端に接続され、後端は、リアサイドフレーム23に接続されている。これらのフロアサイドフレーム22は、断面コ字状の鋼板製部材をフロントフロアパネル2の底面に下方から重ね合わせて、略矩形の閉断面を構成している。この閉断面積を確保するために、フロントフロアパネル2には上方に突出する凸部24が形成され、この凸部24はこのフロントフロアパネル2の前縁部から車体前後方向の中央位置よりも後方の所定箇所まで前後方向に延びている。
さらに、リアサイドフレーム23には、リアサスペンションクロスメンバ25が取り付けられ、このリアサスペンションクロスメンバ25には、リアサスペンション27が取り付けられている。
【0017】
つまり、フロントフロアパネル2には、車体前後方向の補強構造として、左右両端側のサイドシル21に加えて、フロアトンネル部20とサイドシル21との間のほぼ中間にフロアサイドフレーム22及び凸部24が配設されており、これにより、自動車のボディの曲げ剛性やねじり剛性を十分に確保できるとともに、特に自動車の正面衝突時における車室の変形を最小限に抑えて、乗員を確実に保護することができるようになっている。
【0018】
さらに、車幅方向の補強構造としては、上述したNo.1クロスメンバ14に加えて、フロントフロアパネル2の車体前後方向のほぼ中央位置においてフロアトンネル部20を跨ぐようにして車幅方向に延びるNo.2クロスメンバ26と、フロアパネル2の後端縁部において車幅方向に延びるNo.3クロスメンバ28とが配設されている。No.2クロスメンバ26は、下向きに開放するコ字状断面の部材をフロアパネル2の上面に接合したもので、車幅方向の略中央部がフロアトンネル部20の形状に対応するように上方に屈曲している一方、左右両端部はそれぞれサイドシル21に接合されている。また、No.3クロスメンバ28は、下向きに開放するコ字状断面の部材をフロアパネル2の上面に接合したもので、その左右両端部は、それぞれ、サイドシル21に接合され、さらに、その一部がフロアサイドフレーム22に接合されている。
【0019】
以上の構成により、フロントフロアパネル(フロアパネル)2によって構成されるフロアは、各々車体前後方向に延びるフロアトンネル部20、フロアサイドフレーム22(凸部24を含む)及びサイドシル21、並びに、各々車幅方向に延びる各クロスメンバ14、26、28によって略長方形状の若しくは長方形状に近い形状の8つのフロアパネルS1,S2,S3,S4から構成されている。そして、フロントサスペンション及びエンジンの振動は、フロアサイドフレーム22を経由してNo.1クロスメンバ14に伝わり、また、リアサスペンションから伝わる振動はフロアサイドフレーム22を経由してNo.3クロスメンバ28に伝わり、これらの振動が、さらに、サイドシル21を経由してNo.2クロスメンバ26に伝わり、これらのフロアサイドフレーム22、サイドシル21及び各クロスメンバ14、26、28の振動が、フロアパネルS1,S2,S3,S4に伝達される。本発明の実施形態は、後述するように、フロアサイドフレーム22、サイドシル21、No.1クロスメンバ14、No.2クロスメンバ26及びNo.3クロスメンバ28からフロアパネルS1,S2,S3に伝達される振動を低減するようにしている。
以下、上述したフロアサイドフレーム22、サイドシル21、No.1クロスメンバ14、No.2クロスメンバ26及びNo.3クロスメンバ28を総称してフレーム部材と呼ぶ。
【0020】
図2に示すように、第1フロアパネルS1は、それ自体単独でプレス成形されるもので、4辺の全ての縁部が、フロアトンネル部20の左右両側においてそれぞれフロアサイドフレーム22(凸部24を含む)、サイドシル21、No.1クロスメンバ14及びNo.2クロスメンバ26の内側に溶接により接合されている。
第2フロアパネルS2は、フロアトンネル部20と一体的にプレス成形され、両側の第1エリアS1の車体内方寄りに位置し、その3辺が、フロアサイドフレーム22(凸部24を含む)、No.1クロスメンバ14及びNo.2クロスメンバ26の内側に溶接により接合されている。
【0021】
第3フロアパネルS3は、フロアトンネル部20と一体的にプレス成形され、第2フロアパネルS2の車体後方に位置し、その3辺が、フロアサイドフレーム22(凸部24を含む)、No.2クロスメンバ26及びNo.3クロスメンバ28の内側に溶接により接合されている。これらの第3フロアパネルS3の車体外方には、フロアサイドフレーム22からサイドシル21に亘る補強部材30が架設されている。
なお、図1に示すように、この補強部材30は、フロントシート32の取付座を兼用しており、フロントシート32の2つの前側の脚がNo.2クロスメンバ26に締結され、後側の一方の脚が補強部材30に締結され他方の脚がフロアトンネル部20に締結されるようになっている。
第4フロアパネルS4は、フロントトンネル部20と一体的にプレス成形され、第1フロアパネルS1の車体後方に位置し、その3辺が、No.2クロスメンバ26、サイドシル21及びNo.3クロスメンバ28の内側に接続され、1辺の一部がフロアサイドフレーム22(凸部24を含む)に溶接により接合されている。
【0022】
次に、図2及び図3により、本実施形態の車両のフロアパネル構造を具体的に説明する。
上述したように、エンジンやサスペンションからフレーム部材に伝達される振動は300Hz以下であり、このうち、タイヤの空洞共鳴によるロードノイズは、200〜300Hzに周波数のピークを有する。このピーク周波数は、タイヤの大きさ、仕様、重量、空気圧等によって異なるため、タイヤ毎に異なるピーク周波数に合わせて車両の構造を調整することが考えられるが、これは現実的ではないため、本実施形態では、各フロアパネルS1,S2,S3に振動遮断構造(振動遮断部)を設けることにより、主に250Hzの周波数の振動を振動遮断するとともに、200Hz以上(即ち、200Hz〜300Hz)の広範囲の周波数帯の振動を低減させるようにしている。
【0023】
まず、第1フロアパネルS1に設けた振動遮断構造(振動遮断部)を説明する。第1フロアパネルS1は、上述したように、No.1クロスメンバ14、サイドシル21、No.2クロスメンバ26及びフロアサイドフレーム22の内方に形成された空間内に設けられ、この第1フロアパネルS1は、これらのフレーム部材と溶接により接合され、このフレーム部材との接合部の全長に沿って振動遮断構造(振動遮断部)が形成されている。より具体的には、第1フロアパネルS1において、振動遮断構造として、その前方縁部、車体外方縁部、後方縁部及び車体内方縁部に沿って溝部33がほぼ4角形で且つ直線的に形成されている。
【0024】
図3(A)は、この第1フロアパネルS1の断面構造を模式的に示したものである。なお、図3(A)には、後述する剛性調整部66は省略し、図示していない。また、図3(A)において、フレーム部材34は、第1フロアパネルS1を取り囲む、No.1クロスメンバ14、サイドシル21、No.2クロスメンバ26又はフロアサイドフレーム22のいずれかに該当する。この第1フロアパネルS1は、フレーム部材34の側面にその一端が接続され且つ内側に水平方向に延びる水平部36と、この水平部36の内側縁から上方に垂直方向に延びる垂直部38と、この垂直部38の上方縁から内側に延びるパネル部40とを有している。そして、これらの水平部36と、垂直部38とから溝部33が形成されている。
この溝部33は、第1フロアパネルS1の4辺の全ての縁部にわたって同じ形状で延び、水平部36の4辺の外側縁は、それぞれ、フロアパネルS1の前縁においてNo.1クロスメンバ14に、車体外側縁においてサイドシル21に、後縁においてNo.2クロスメンバ26に、車体内方縁においてフロアサイドフレーム22に、それぞれ溶接されている。また、溝部33には、図1及び図2には図示されていないが、制振材42が溝部33の全周にわたり取り付けられている。
【0025】
本実施形態では、第1フロアパネルS1において、これらの溝部33及び制振材42により、フレーム部材34からパネル部40へ伝わる振動を遮断、即ち、振動の伝達量を低減するようにしている。
フレーム部材34は、車体上下方向、水平方向(車幅方向又は車体前後方向)及びフレーム部材の軸線周りの回転を含む様々な方向の振動を伴うため、この振動を受けた水平部36及び垂直部38は、これらの方向において複合的に振動する。このような複合的な振動に対し、溝部33は、その形状により、水平部36が車体上下方向の振動に対し曲げ振動し易く、垂直部38が水平方向(車幅方向又は車体前後方向)の振動に対し曲げ振動し易いようになっている。
【0026】
このような状態を、従来のフロアパネルとの比較において説明すると、従来の全面が平らなフロアパネルでは、フレーム部材の車体上下方向振動がフロアパネルに直接伝わり、フロアパネルには曲げ振動が生じやすい。一方、本実施形態では、フレーム部材34の振動は、まず溝部33の水平部36を加振し、その振動が垂直部38を介してパネル部40に伝わる。ここで、水平部36及び垂直部38は、その境界部を境に互いに近づいたり遠ざかったりして、折れ曲がるように変形することができる。そのため、フレーム部材34の振動は、水平部36と垂直部38、垂直部38とパネル部40との角度変化を生じさせる。
【0027】
このように、溝部33においては、水平方向に延びるパネル部40よりも実質的に振動の自由度が多く、特に、パネル部40に比べて、左右方向に振動し易くなっている。これは、フレーム部材34から伝わる振動に関し、溝部33の剛性がパネル部40の剛性よりも低いからである。また、溝部33において、垂直部38とパネル部40との境界部を境に剛性が不連続に変化しているとも言える。なお、このようなフロアパネルの各部の剛性の違いを定性的に表すと図3(B)のようになる。このようにして、溝部33とパネル部40との剛性差が大きい程、溝部33はパネル部40に比べて振動し易く、さらに、溝部33に制振材42を設けることで、制振効果が大きく発揮される。
【0028】
次に、図3(C)に、本実施形態によるフロアパネルに生じる歪みエネルギー分布を、従来のフロアパネルの歪みエネルギー部分と共に示す。図3(C)は、後述する図8に示す、本実施形態によるフロアパネル及び従来のフロアパネルの実験モデルをFEM解析モデルに置き換えて解析した結果である。
図3(C)に示すように、従来のフロアパネルでは、パネル面全体に亘って歪みエネルギーが分布しているのに対して、本実施形態によるフロアパネルでは、パネル部40に相当する部分の歪みエネルギーが非常に小さくなっている。この結果、本実施形態の振動遮断構造(振動遮断部)による効果が解析により確認できた。
また、本実施形態によるフロアパネルでは、歪みエネルギー即ち振動エネルギーが溝部33に集中していることが分かる。この結果、この溝部33に制振材を設けることで、大きな振動減衰効果が得られるようになっていることが確認できた。
このように、溝部33に振動エネルギーが集中するのは、上述したように、溝部33がパネル部40に比べて振動し易くなっているからであり、一方、このように、溝部33に振動エネルギーを集中させれば、フレーム部材34からパネル部40に伝達される振動を遮断(低減)することができる。
【0029】
次に、図4は図2の溝部33及び制振材42を拡大して示した部分拡大図であり、この図4により、溝部33に配置された制振材42の変形状態の一例を説明する。図4において、実線は、溝部33、パネル部40、及び、制振材42の静止状態を示し、破線は、これらの変形状態を示している。この例では、水平部36が、フレーム部材34への取付け部Aが固定端となるような曲げ変形を生じ、垂直部38及びパネル部40もそれぞれ曲げ変形している。このような変形状態下では、制振材42が、フレーム部材34、水平部36及び垂直部38のそれぞれの間の相対変位によって大きく変形し、圧縮膨張変形及びせん断変形を受ける。例えば、制振材42は、フレーム部材34と垂直部26との間の相対変位で圧縮され(破線P1の状態)、又は、膨張され(破線P2の状態)、さらに、フレーム部材34、水平部36及び垂直部38との間でせん断変形を受ける。このように、制振材42は、パネルに貼付けたシート状の制振材がパネルの曲げ振動による伸縮によってのみ歪む従来のフロアパネル構造と比べて、より大きく歪み且つその変形状態が複雑であることから、その制振効果及び減衰効果は非常に大きいものとなる。
【0030】
このように、溝部33に制振材42を配置すれば(制振材を溝部及びその近傍に配置した場合を含む)、図3(C)において上述したように、溝部33には振動エネルギが集中していることから、制振材による振動減衰効果が大きく発揮される。従って、フレーム部材34からパネル部40に伝達される振動を効果的に減衰させることができる。
すなわち、本実施形態のフロアパネルでは、従来のフロアパネル構造のようにパネル面全体に制振材を貼る場合に比べて、少量の制振材で、パネル部の振動量を従来と同程度まで下げることができ、一方、同じ量の制振材で、従来以上の制振効果を得ることができることになる。
この結果、本実施形態による振動遮断構造では、低剛性部である溝部33と、この溝部33に配置した制振材42によって、高い制振効果を発揮し、パネル部40に伝わる振動を減少させることができる。また、従来に比べて、少量の制振材で従来と同様の振動減衰効果が得られることから、車体の軽量化、コスト低減を図ることもできる。反対に同量の制振材でより大きな振動減衰効果を得ることも可能となる。
【0031】
なお、フレーム部材34を介して伝わるエンジンやサスペンションの振動の他に、フロアパネルを直接振動させるようないわゆる透過音による音響放射が問題となる場合がある。この音響放射を防止するために、図5に示すように、溝部33に、制振性能即ち減衰力が大きい制振材42を配置し、フロアパネルの他の部分(パネル部40等)に、透過音による騒音を防止するために、制振性能の小さい又はその厚さが薄い制振材43を貼り付けるようにすると効果的である。また、透過音による騒音を防止する吸音材を制振材として貼付けるようにしてもよい。言いかえれば、溝部には、フレーム部材から伝達される振動を遮断する目的で制振材を集中させ、パネル部には、フレームから伝播される振動に起因する騒音の防止を目的とする制振材を設定する必要がない一方、主に、透過音を防止する目的の制振材を設定することが車室内の振動や騒音を低減する上で非常に効果的である。
【0032】
再び、図2及び図3を参照して、第2フロアパネルS2のフロアパネルについて説明する。図2に示すように、第2フロアパネルS2は、No.1クロスメンバ14、フロアサイドフレーム22及びNo.2クロスメンバ26の内方に形成された空間に設けられ、この第2フロアパネルS2は、これらのフレーム部材と溶接により接合され、このフレーム部材との接合部の全長に沿って振動遮断構造(振動遮断部)が形成されている。より具体的には、フロアパネルS2のフレーム部材との接合部である3辺に沿って振動遮断部を形成する溝部33がフロアパネルS2の3方を囲むように、それぞれ直線状に形成されている。さらに、この溝部33には、上述した制振材42(図示せず)が溝部33の全長に沿って取り付けられている。
【0033】
さらに、図2に示すように、第2フロアパネルS2の内方側縁の前方部分であるフロアトンネル部20に接する部分には、フロアトンネル部20の側面と第2フロアパネルS2とに跨るように車幅方向に延び且つ前後に離間した複数のビード44が設けられている。これらのビード44の車体外方側の端部の位置は、図2で二点鎖線で示すライン46上に並ぶように揃えられている。このビード部44は、後述する振動モード調整構造の2×1の領域を規制するためのものである。
【0034】
ここで、この第2のフロアパネルS2のフロアトンネル部20に接する部分には、振動遮断構造(振動遮断部)特に溝部を設けない方が好ましい。これは、フロアトンネル部20にはフレーム部材が存在せず、エンジンやサスペンションに直接に接続されていないことから、エンジンやサスペンションからフロアパネルS2に伝達される振動が小さく、又、振動遮断構造を設けると、以下に述べるようにフロントフロアパネル2の成形性に問題が生じるからである。
ここで、フロントフロアパネル2の成形性について説明する。この第2フロアパネルS2をフロアトンネル部20を含めて1枚の金属板からプレス成形する場合、フロアトンネル部20は、基本的には張出し成形となり、成形時に材料が車幅方向に流れる。従って、車体前後方向に延びる振動遮断構造(振動遮断部)特に溝部を設ければ、この振動遮断構造がプレス成形時の材料の塑性流れを阻害し、成形不良を生じ易くなることが問題となる。従って、第2フロアパネルS2の車体内方側縁において、振動遮断構造(振動遮断部)特に溝部を設けないことで、フロントフロアパネル2の成形性を阻害しないようにすることができる。
【0035】
しかしながら、フロアトンネル部20に対応する部分にも振動遮断構造(振動遮断部)を設定して、フロアトンネル部20からフロアパネルS2に伝達される振動を低減し、フロアパネルS2からの音響放射による騒音をさらに低減するようにしても良い。但し、この場合には、プレス成形によるフロアトンネル成形時に鋼鈑の変形や鋼鈑の伸縮に支障を来さないように、振動遮断構造(振動遮断部)をフロアトンネル部とは別部材として設け、フロアトンネルに接合する等の手段によって設定することが望ましい。
【0036】
一方、第2フロアパネルS2のパネル部40には、後述する剛性調整部66が設けられ、これらの剛性調整部66と、上述した車幅方向に延びるビード44によりその一部が規定されるライン46との間の領域であって二点鎖線のライン46と一点鎖線で示すライン50とで囲まれたパネル部40の一部の領域47は、剛性調整部66と比較して剛性が低くなっているため、両者の間で剛性差が生じ、実質的に振動遮断構造(振動遮断部)が形成されることになる。この場合、さらに、このパネル部40の一部の領域47に制振材を配置しても良い。
このように、車幅方向に延びるビード44と、剛性調整部66とにより実質的に振動遮断部が形成されれば、フロアトンネル部20のプレス成形性を阻害することなく、振動遮断部を設定することができる。
【0037】
なお、剛性調整部66と上述したライン46との間の領域であって二点鎖線のライン46と一点鎖線で示すライン50とで囲まれた領域に、パネル部40よりも板厚が小さく剛性の低い薄肉部(低剛性部)48を設けて、パネル部40と薄肉部48との間で剛性差をつくり、さらに、低剛性部である薄肉部48に制振材(図示せず)を配置することによって、フロアトンネル部20からパネル部40に伝わる振動を遮断(低減)するようにしても良い。この場合は、ビード部44により、振動遮断構造(振動遮断部)である薄肉部48の領域が規制される。
このように、薄肉部48を形成することにより、プレス成形性を阻害することなく、振動遮断部を形成することができる。
【0038】
次に、図2及び図3を参照して、第3フロアパネルS3について説明する。図2に示すように、第3フロアパネルS3は、No.2クロスメンバ26、フロアサイドフレーム22及びNo.3クロスメンバ28の内方に形成された空間に設けられ、この第3フロアパネルS3は、これらのフレーム部材と溶接により接合され、このフレーム部材との接合部の全長に沿って振動遮断構造(振動遮断部)が形成されている。より具体的には、第3フロアパネルS3のフレーム部材の接合部である3辺に沿って、振動遮断部を形成する溝部33がフロアパネルS3の3方を囲むように、それぞれ直線状に形成されている。さらに、この溝部33には、上述した制振材42(図示せず)が溝部33の全長に沿って取り付けられている。
【0039】
さらに、第3フロアパネルS3においても、上述した第2フロアパネルS2と同様に、フロアパネルS3の内方側縁において、フロアトンネル部20に接する部分に、後述する振動モード調整構造の2×1の領域を規制するための複数のビード44が設けられており、さらに、フロアトンネル部20に接する部分には、振動遮断構造(振動遮断部)を設けない方が好ましい。その理由は、上述した第2フロアパネルS2についての説明と同様である。
また、第3フロアパネルS3においても、上述した第2フロアパネルS2と同様に、そのパネル部40に、後述する剛性調整部66が設けられ、二点鎖線のライン46と一点鎖線で示すライン50とで囲まれたパネル部40の一部の領域47に実質的に振動遮断構造(振動遮断部)が形成され、さらに、この領域47に制振材を配置しても良い。
なお、二点鎖線のライン46と一点鎖線で示すライン50とで囲まれた領域に、パネル部40よりも板厚が小さく剛性の低い薄肉部(低剛性部)48を設け、さらに、この薄肉部48に制振材(図示せず)を取り付けて、フロアトンネル部20からパネル部40に伝わる振動を遮断(低減)するようにしても良い。
【0040】
図2に示すように、第1フロアパネルS1において、フロアパネルS1の全外周端部に接合部が形成され、溝部33がこの接合部の全長に沿って連続的に形成されているので、フレーム部材34であるNo.1クロスメンバ14、サイドシル21、フロアサイドフレーム22、No.2クロスメンバ26からの振動は、必ずこの溝部33を介してパネル部40に伝わることになるので、フレーム部材34からパネル部40に伝達される振動が確実に遮断(低減)され、パネル部40の振動を確実に抑制するようにすることができる。
さらに、第1フロアパネルS1において、溝部33の剛性は、フレーム部材34との接合部の全長に沿ってその剛性がほぼ一定にされている。このようにすることで、伝達された振動に起因して生じる低剛性部(振動遮断部)の振動を均一化することができ、それにより、パネル部への振動遮断効果を一層高くすることができ、振動を効率よく減衰させることができる。
【0041】
即ち、フレームから伝達される振動は、低剛性部(振動遮断部)で遮断(低減)され、フロアパネルのパネル部の振動を抑制できるが、この低剛性部(振動遮断部)には、振動エネルギーが集中し、大きく変形している状態である。このような状態において、この低剛性部(振動遮断部)の全周に沿って剛性が不均一であると、この不均一な部分で異なる振動モードが生じ、(振動を遮断したい特定の周波数において、)振動エネルギーが集中しにくくなるため、その部分からパネル部に振動が伝わりやすくなってしまう。また、部分的に少しでも剛性が高いところがあると低剛性部全体の剛性が上がって振動遮断効果が低下してしまう。従って、低剛性部(振動遮断部)の振動を均一化することで、パネル部への振動遮断効果を一層高くすることができ、振動を効率よく減衰させることができる。なお、低剛性部(振動遮断部)の全周に沿って振動モードが一定であると、実際に、様々な車種に本実施形態のフロアパネルを設ける場合に、低剛性部(振動遮断部)の形状や大きさの設定がし易くなる。
【0042】
同様に、第2フロアパネルS2及び第3フロアパネルS3においては、溝部33は、フレーム部材34即ち、第2フロアパネルS2においては、フロアサイドフレーム22、No.1クロスメンバ14及びNo.2クロスメンバ26、第3フロアパネルS3においては、フロアサイドフレーム22、No.2クロスメンバ26及びNo.3クロスメンバ28との接合部の全長に沿って設けられているので、振動の主な伝達源であるフレーム部材34から伝わる振動が、必ず溝部33を介してパネル部40に伝わることになるので、パネル部40の振動を確実に抑制するようにすることができる。
【0043】
また、図2に示すように、第1フロアパネルS1において、溝部33は、各フレーム部材34に沿って直線状に配置され、ほぼ四角形を形成している。また、第2フロアパネルS2及び第3フロアパネルS3においても、各フレーム部材34に沿って直線状に配置され、ほぼコの字形を形成している。このように溝部33を直線状に形成することで、溝部33が振動しやすくなる。即ち、図4において、破線P1及びP2で示すような溝部33の変形は、水平部36のフレーム部材34への取付け部A、水平部36と垂直部38との境界部B及び垂直部38とパネル部40との境界部Cが直線状の場合の方が、曲線である場合に比べて、生じ易いのである。また、上述した低剛性部の剛性を一定とした場合と同様に、低剛性部(振動遮断部)の全周に沿って振動モードが一定となり、パネル部への振動遮断効果を一層高くすることができ、振動を効率よく減衰させることができる。
【0044】
また、図3に示すように、溝部33は、各フレーム部材34に直接溶接されているため、振動の伝達源であるフレーム部材34と振動遮断を行う溝部33との間に、音を大きく放射させる例えばフラットなパネル部分が存在しないため、このフラットパネル部分の存在に起因する音響放射による騒音が生じない。第2フロアパネルS2及び第3フロアパネルS3においても、溝部33は、フレーム部材34、即ち、サイドシル21、フロアサイドフレーム22、No.1クロスメンバ14、No.2クロスメンバ26及びNo.3クロスメンバ28に直接溶接されているため、同様に、振動の主な伝達源であるフレーム部材34と振動遮断を行う溝部33との間に、音を大きく放射させる例えばフラットなパネル部分が存在しないため、そのようなパネルからの音響放射による騒音が生じない。
【0045】
次に、図6及び図7により、第1乃至第3フロアパネルS1、S2、S3に形成された溝部33の角部の構造について説明する。
図6は、溝部33の角部の一例を示すものであり、フレーム部材34及び制振材42は省略し、図示していない。溝部33の角部52において、2つの水平部36同士及び垂直部38同士は、互いに固定されておらず、それらの間は伸縮可能なシール材54で互いに接続されている。このように、水平部36同士及び垂直部38同士を非固定とすることにより、これらの溝部33の各垂直部36及び/又は各水平部38の互いに隣接する部分を動きを許容するように接続している。その結果、溝部33の剛性が高まることを防止し、また、溝部での各垂直部及び又は各水平部の振動を互いに抑制しないようにすることができ、それにより、上述した制振効果を有効に発揮させるようにしている。また、水平部36同士又は垂直部38同士のいずれかを非固定とするようにしても良い。
ここで、シール材54の代わりに、粘性(軟性)接着剤、制振材等を配しても良い。
【0046】
さらに、図7に示すように、水平部36同士、及び、垂直部38同士は互いに固定するが、これらの各固定部分に隙間36a、38aを形成することにより、これらの溝部33の各垂直部36及び/又は各水平部38の互いに隣接する部分を動きを許容するように接続して、溝部33の剛性が高まることを防止し、また、溝部での各垂直部及び又は各水平部の振動を互いに抑制しないようにしても良い。
また、溝部33の1辺の長さが長い場合には、溝部33の各辺を角部で互いに固定しても、溝部33の剛性が大きく高まることなく、各辺の溝部の振動を互いに抑制する影響が少ないので、水平部36同士及び/又は垂直部38同士を、溶接等により互いに固定しても良い。
【0047】
次に、図8乃至図10により、本実施形態による振動遮断構造(振動遮断部)による振動遮断特性を、低剛性部が溝部の場合を例として説明する。図8Aは、本実施形態によるフロアパネルの実験モデルを示し、図8Bは従来のフロアパネルの実験モデルを示す。これらの実験モデルは、上方から見て正方形状に配置した断面矩形の実験用のフレーム部材34に、本実施形態による振動遮断構造(振動遮断部)を有するパネル72(図8A参照)、及び、従来のパネル74(図8B参照)をそれぞれ設けたものである。本実施形態によるパネル72は、図8Aに示すように、振動遮断構造(振動遮断部)である溝部33を有し、この溝部33に制振材42を取り付け、パネル面中央には、剛性を高めるための凹部76を設けたものである。なお、この凹部76は、後述する、図14(E)に示すフロアパネルの曲面部82に相当するものである。従来のパネル74は、図8Bに示すように、全面が平らなパネルの全面に制振材42を貼り付けたものである。実験では、フロアパネルが取付けられているフレーム部材34の一部を加振器78で所定範囲の周波数(ホワイトノイズ)の加振力Fを与えて、パネル面の振動状態α及び音響放射パワーPを測定した。
【0048】
図9は、上述した実験モデルから得た実験結果を示す。図9Aに示すように、本実施形態によるパネル72では、パネルの振動(α/F)は周波数の全域に亘って低下している。この結果、本実施形態による振動遮断構造(振動遮断部)の効果が確認できた。さらに、図9Bに示すように、本実施形態によるパネル72では、約230Hz付近より高周波の領域で音響放射パワー(P/F)が低下している。この結果、本実施形態の振動遮断構造(振動遮断部)による効果が、一定の周波数域の広い範囲に亘って確認できた。なお、音響放射パワーが低下する周波数領域は、溝部の形状、フロアパネルの大きさ、構造などにより変化し、本実施形態の振動遮断構造(振動遮断部)は、ほぼ200Hz以上からほぼ300Hzにわたる広い周波数領域の音響放射を減少させることができる。
【0049】
次に、図10は、上述した実験モデルにおいて、制振材の量(重量)を変えた場合の実験結果を示す。図10に示すように、本実施形態によるパネル72の音響放射パワー比は、フラットなパネル全面に制振材を配置した従来のパネルに比べてより小さくなっている。即ち、同じ重量の制振材を、本実施形態の溝部33に配置した場合と、従来のフラットなパネル全面に配置した場合とでは、本実施形態のパネルの方が音響放射パワーが大きく下がることになる。言い換えると、本実施形態によるパネル72は、従来のフラットなパネル全面に制振材を配置する場合に比べ、少ない制振材の量で音響放射パワーを下げることができる。このように、振動遮断構造(振動遮断部)を設けたパネルによれば、制振材の使用量を低減して車両の軽量化を図ることができる。
【0050】
上述したように、本実施形態の車体のフロアパネル構造は、振動遮断構造(振動遮断部)を設けることにより、200Hz以上の周波数の振動による騒音を大幅に低減できるものである。
一方、一般的には、タイヤの空洞共鳴によるロードノイズのピークは200〜300Hzの範囲の周波数帯域に現れ、サスペンションの共振によるロードノイズのピークは200Hz以下の帯域に現れ、それぞれの帯域でのロードノイズが問題となる。
このため、本実施形態の車体のフロアパネル構造では、上述した振動遮断構造(振動遮断部)に加え、さらに振動モード調整構造(振動モード調整部)を設け、サスペンションの共振による200Hz以下の周波数領域の振動による音響放射をも低減させるようにしている。
本実施形態では、振動モード調整構造(振動モード調整部)により、ストラットサスペンションを有する車両において問題となる160Hz付近の周波数を音響放射低減の設定目標値としている。サスペンションの共振により生じる振動の周波数(設定目標値)は、サスペンションの形式により異なるため、Wウィシュボーン等の他の形式のサスペンションの場合には、設定目標値は他の値となる。
【0051】
図11は、ストラット形式のサスペンションを示す概略図である。前輪56のナックル・スピンドル58の下端にサスペンションアーム60がボールジョイント62で連結され、ダンパ64の下端はナックル・スピンドル58の上端にリジット(結合部を黒丸で表している。)に結合されている。なお、ダンパ64の上端は車体のタイヤハウスに連結されている。
【0052】
本実施形態の車体のフロアパネル構造における振動モード調整構造(振動モード調整部)は、特定の周波数、例えば、本実施形態では160Hz付近の周波数で、フロアパネルを音響放射効率の低い振動モードで振動させるようにしたものである。ここで、音響放射効率の低い振動モードについては、上述した特許文献1(特開平9−202269号公報)に詳しく説明されている。要するに、矩形状の領域の縦横にそれぞれ励起される定在波の腹の数をそれぞれn,mとしたときに、図12に一例を示すように、「n×m=偶数」であれば、当該パネル内で隣接する逆相の部分からの放射音が互いに打ち消し合って、音響放射エネルギが大幅に低下することになる。
【0053】
すなわち、図12Aに示す「2×1=2」の振動モードでは、フロアパネル内の2つの部分が逆位相かつ同振幅で振動し、放射音同士が打ち消し合うことになり、このときに音響放射効率が最小となる。
また、この2×1モードの振動を起こすためには各フロアパネルS1〜S3の略長方形状のパネル部(振動領域)40、特に横辺と縦辺との比が略1:2である長方形状のパネル部(パネル面)40、例えば、横辺の長さが150mm、縦辺の長さが300mmである長方形状の、ないしは横辺の長さが200mm、縦辺の長さが400mmである長方形状の振動領域を形成することが好ましい。
【0054】
本実施形態においては、上述した第1フロアパネルS1は、図2に示すように、溝部33が全周に亘って形成され、その内方にパネル部40が形成されている。この第1フロアパネルS1では、この溝部33により囲まれたパネル部40の車両前後方向の長さと車幅方向の長さが、ほぼ2×1の長さの長方形状になっている。
【0055】
第2フロアパネルS2は、その車体内方側のフロアトンネル部20の裾幅が変化するため、第1フロアパネルS1とは異なり、前方の幅が後方の幅よりも広い非長方形状に形成されている。そこで、このフロアパネルS2は、複数のビード44の車体外方の端及びこれらのビード44の後方のフロアトンネル部20の裾を通って車体前後方向に延びるライン46と対向する溝部33との間隔、即ち、パネル部40の幅(車幅方向の寸法)が車体前後方向の全長に亘って略一定となるようにしている。この結果、第2フロアパネルS2においては、パネル部40を3方から囲む溝部33で形成される振動遮断構造(振動遮断部)とライン46とにより囲まれたパネル部40の車両進行方向の長さと車幅方向の長さが、ほぼ2×1の長さの長方形状になるようにしている。また、上述した薄肉部(低剛性部)48を設けた場合には、この薄肉部48と対向する溝部33との間隔が車体前後方向の全長に亘ってほぼ一定になるようにするのが良い。
【0056】
第3フロアパネルS3においては、フロアトンネル部20の裾幅の変化のために、前方の幅が後方の幅よりも狭い非長方形状に形成されている。そこで、第3フロアパネルS3においても、パネルS2と同様に、ライン46と対向する溝部33との間隔、即ち、パネル部40の幅(車幅方向の寸法)が車体前後方向の全長に亘って略一定となるようにしている。この結果、第3フロアパネルS3においては、パネル部40を3方から囲む溝部33で構成される振動遮断構造(振動遮断部)とライン46とにより囲まれたパネル部40の車両進行方向の長さと車幅方向の長さが、ほぼ2×1の長さの長方形状になるようにしている。また、薄肉部(低剛性部)48を設けた場合には、この薄肉部48と対向する溝部33との間隔が車体前後方向の全長に亘ってほぼ一定になるようにするのが良い。
【0057】
従って、本実施形態のフロアパネルS1〜S3において、パネル部40が2×1の長さの長方形状にされ、その結果、2×1モードの振動を生じやすくなっている。また、振動遮断構造(振動遮断部)である溝部33(薄肉部48)がその構造上、振動モード調整構造(振動モード調整部)の2×1の領域を形成するようになっている。
なお、溝部33に代えて、上述した薄肉部48又は後述するフラット部83を形成しても良い。また、後述するビード部により振動遮断部の低剛性部を形成し、このビード部が、振動モード調整構造(振動モード調整部)の領域即ち2×1の長方形状のパネル面を規制するように、ビード部を含む振動遮断部及び振動モード調整構造(振動モード調整部)をプレス成形で一体的に成形しても良い。
【0058】
一方、フレーム部材34であるNo.1クロスメンバ14、サイドシル21、フロアサイドフレーム22、No.2クロスメンバ26及びNo.3クロスメンバ28、又、フロアトンネル部20は、それら本来の機能を発揮する必要があるため、それらの寸法、形状やレイアウトを大きく変更できない場合がある。このため、本実施形態では、「2×1モード」の振動を励起させるためのほぼ2×1の長方形状のパネル面を確保することが困難な場合には、図13に示すように、フレーム部材34(1辺がフロアトンネル部20である場合も含む)に囲まれた領域において、上述した溝部33から構成される振動遮断構造(振動遮断部)を出来る限り大きなほぼ2×1の長方形状となるように形成し、内側にほぼ2×1の長さの長方形状のパネル部(パネル面)40を形成し、さらに、その残部から音が大きく放射されるのを防止するために、残部を溝部33である振動遮断構造(振動遮断部)で囲むようにすることが好ましい。また、このようにして囲まれた領域を2×1の長さの長方形状に形成し、上記2×1モードの振動を生じるようにしても良い。
なお、このような場合も、溝部33に代えて、上述した薄肉部48又は後述するフラット部83を形成しても良く、また、後述するビード部により振動遮断部の低剛性部を形成しても良い。
【0059】
本実施形態においては、振動モード調整構造(振動モード調整部)が、パネル部40による2×1モードの振動が特定の周波数で生じるようにする必要がある。そのため、図2に示すように、フロアパネルS1〜S3には、2×1モードがほぼ160Hzで生じるようにそれぞれのパネル部(パネル面)剛性を調整するために、ほぼ円形の2つの剛性調整部66が車体前後方向に並んで形成されている。
図2に示すように、これらの剛性調整部66は、ほぼ同じ形状であり、パネル部40の前部及び後部をほぼ円形の凹曲面状に下方へ窪ませて(又は凸曲面状に上方へ突出させて)形成されている。
なお、各剛性調整部66には剛性の調整と滑り止めとを兼ねたほぼ十字状の凹凸ラインが形成されている。また、第1フロアパネルS1及び第3フロアパネルS3には、水抜きのための孔部68が設けられているが、これは、それぞれのパネル部40における振動モードに悪影響を及ぼさないように配置されている。
【0060】
本実施形態では、これらの剛性調整部66の形状を適宜、変更することで、上述した所定周波数帯域つまり160Hz付近の周波数の振動入力に対して確実に2×1モードの振動を励起させることができ、これにより、各フロアパネルにおいて相隣る逆位相の部分からの放射音を互いに打ち消し合わせて(放射音のキャンセレーション)、音響放射効率を極めて低くすることができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態では、上述したフロアパネルS1〜S3においては、それぞれ、振動遮断構造(振動遮断部)により、所定周波数帯域(200Hz以上)の振動入力、特にほぼ250Hzの振動入力に対して振動を有効に遮断するようにすると共に、振動モード調整構造(振動モード調整部)により、所定周波数帯域(200Hz以下)の振動入力、特にほぼ160Hzの振動入力に対して音響放射効率の低い2×1の振動モードが励起されるようになっている。
さらに、第4フロアパネルS4においては、フロアパネルS4の固有振動数が300Hz以上となるようにその剛性が調整されている。
従って、本実施形態による車両のフロアパネル構造によれば、振動遮断構造(振動遮断部)及び振動モード調整構造(振動モード調整部)により、ロードノイズとして問題となる周波数として目標設定した160Hz付近の周波数と、250Hz付近の周波数とにおいて、振動を低減させ且つ音響放射を低減させることができる。
【0062】
上述した実施形態では、低剛性部と高剛性部との剛性差を利用した振動遮断構造(振動遮断部)の低剛性部に制振材を設けることにより、フレーム部材からパネル部に伝達される振動を遮断(低減)するようにしたものであるが、本発明は、これに限らず、制振材を設けない場合でも、振動を遮断(低減)することが可能である。以下、その理由を、必要に応じて従来の車体のフロアパネル構造である全面が平らなフロアパネルと対比して説明する。
【0063】
先ず、振動遮断構造(振動遮断部)の低剛性部が溝部又は後述するビード部である場合の振動形態の影響について説明を加える。なお、溝部とビード部では、両者の基本挙動が同じであるため、ここでは、溝部を例にして説明する。
従来の全面が平らなフロアパネルでは、フレーム部材の車体上下方向振動がフロアパネルに直接伝わり、フロアパネルには曲げ振動が生じやすい。
一方、本発明の振動遮断構造(振動遮断部)の低剛性部として溝部を設け制振材を設けない実施形態では、フレーム部材の車体上下方向振動は、まず溝部の水平部を加振し、その振動が垂直部を介してパネル部に伝わる。ここで、水平部及び垂直部は、その境界部を境に互いに近づいたり遠ざかったりして、折れ曲がるように変形することができ、また、水平部が車体上下方向の振動に対し曲げ振動し易く、垂直部が水平方向(車幅方向又は車体前後方向)の振動に対し曲げ振動し易いようになっている。そのため、フレーム部材の車体上下方向振動は、水平部の曲げ振動を励起し、水平部と垂直部、垂直部とパネル部との角度変化を生じさせるが、パネル部の曲げ振動を直接励起するものではないため、その結果、パネル部の曲げ振動は低減する。なお、このような現象は、フレーム部材が軸線周りで回転するような振動によっても生じ、この場合も、同様に、振動を低減することができる。
【0064】
また、従来の全面が平らなフロアパネルは、フレーム部材から水平方向(車幅方向又は車体前後方向)の振動を受けると、車体上下方向の曲げ振動が励起される。
一方、溝部の垂直部は、車体上下方向に延びているので水平方向の振動に対し曲げ振動し易いようになっている。このため、垂直部が曲げ振動してフレーム部材からの水平方向の振動を受けとめ、パネル部の曲げ振動が励起されにくいようになっている。その結果、パネル部には、フレーム部材からの左右方向の振動により励起される曲げ振動が生じにくくなり、その分、振動が遮断(低減)される。
【0065】
次に、振動遮断部が振動を遮断する際のパネル部の重量の影響について説明する。従来のフロアパネルでは、フレーム部材は、フロアパネルに比べて非常に剛性が高いので、フレーム部材に接続するフロアパネルは、フレーム部材から直接的に加振力を受けて振動し易い状態となっている。
一方、パネル部は、振動し易い低剛性部に囲まれており、且つ、パネル部は低剛性部に比べて面積が広く、そのパネル自身の重量による慣性力によりその場に留まろうとする。即ち、低剛性部はフレーム部材により加振されて振動するのに対し、パネル部はその場に留まろうとし、パネル部より剛性の小さい低剛性部は、ばねのように働いて振動を受け止めるので、パネル部は、フレーム部材に直接取付けた場合よりも振動しにくくなる。
【0066】
さらに、振動の反射の影響を説明すると、従来の全面が平らなフロアパネルでは、そのフロアパネル内で振動の反射は通常生じない。
一方、本実施形態では、低剛性部と高剛性部のパネル部との間の剛性が変化する境界部で振動の反射が生じて、フレーム部材からパネル部に伝わる振動が、反射した分だけ、遮断(低減)される。
さらに、振動エネルギーの影響を考慮すると、従来の全面が平らなフロアパネルでは、その全面の剛性が一定であるため、振動エネルギーが、その振動モードに従ってフロアパネル全面に分布する。
一方、本実施形態では、低剛性部は、高剛性部に比べて振動し易く、この低剛性部に振動エネルギーが集中し易くなっている。従って、フロアパネルの大半部を占める高剛性部(パネル部)の周りに、このような振動エネルギーが集中し易い低剛性部を設けることによって、高剛性部であるパネル部の振動が低減する。
【0067】
次に、図14により、本発明の車体のフロアパネル構造の他の実施形態を説明する。この他の実施形態は、上述した振動遮断構造(振動遮断部)の他の例を示したものである。ここで、上述した図2に示す実施形態では、低剛性部である溝部33と高剛性部であるパネル部40とにより剛性差を設け、この低剛性部である溝部33に制振材42を配置して、フレーム部材34からのパネル部40に伝達される振動を遮断するようにしているが、基本的な構成は同じである。
なお、図14において、フレーム部材34は、上述したNo.1クロスメンバ14、サイドシル21、フロアサイドフレーム22、No.2クロスメンバ26又はNo.3クロスメンバ28の何れかに対応している。
【0068】
図14Aに示す実施形態は、溝部33及びパネル部40を有し、これらの溝部33及びパネル部40の下方に制振材42を配置したものである。この制振材の位置においては、垂直部38とパネル部40との間の相対変位により制振材42が大きく変形して大きな制振効果を得るようにしている。
【0069】
図14Bは、フロアパネルのフレーム部材34の近傍に低剛性部であるビード部80を形成したものである。このビード部80は、フレーム部材34に沿って直線的に配置され且つ湾曲した断面形状により、車体上下方向及び水平方向(車幅方向又は車両前後方向)に振動し易く、また、ビード部80を境として折れ曲がり易くなっている。このように、ビード部80は、上述した溝部33と同様に、パネル部40よりも実質的に振動の自由度が多く、振動が様々な変形を伴って生じ、パネル部40よりも振動し易くなっている。制振材42は、このビード部80を下方から覆うように取り付けられ、ビード部80及び制振材42は、フレーム部材34からパネル部40への振動伝達を有効に遮断(低減)するようになっている。なお、制振材42は、ビード部80の内側(上方)に配置しても良い。
【0070】
また、フロアパネルのフレーム部材34との接合部と、ビード部80との間の領域aは、無くするか又は小さくすることで、振動の伝達源であるフレーム部材34と振動遮断を行うビード部80との間に、音を大きく放射させるフラットな部分の面積を無くするか又は小さくできるので、その領域aからの音響放射による騒音の発生を防止することができる。溝部33の場合は、フレーム部材34に直接溶接することでそのような領域を無くすることができるが(図3、図14A等参照)、例えば、後述する図17に示すような下方に拡がる溝部33を設ける場合には、上記領域aに相当する図17に示す第1水平部92を小さくすることで、その第1水平部92からの音響放射による騒音の発生を防止することができる。
【0071】
図14Cは、フロアパネルの中央に凹状の曲面部(パネル部)82を設け、この曲面部82の周辺にフラット部83を設け、さらに、このフラット部83に制振材42を配置したものである。この曲面部82は、水平方向(車体の前後方向及び車幅方向)にその曲面高さが連続的に変化するドーム形状となっているので、フラット部83に比べて上下方向及び水平方向に変形し難くなっている。この例では、このようにして、曲面部82とフラット部83により剛性差を形成し、低剛性部であるフラット部83に制振材42を設けて、フレーム部材34から曲面部(パネル部)82に伝わる振動を遮断(低減)するようにしている。
図14Dは、図14Cの例と比べて、曲面部(パネル部)82がフレーム部材34のより近傍まで広がったものであり、フラット部83の領域がより狭くなっている。また、制振材42は、フラット部83及び曲面部82の端部の下方に配置されている。この例においても、上記と同様に、フレーム部材34から曲面部(パネル部)82に伝わる振動を遮断(低減)している。
【0072】
図14E、図14F及び図14Gは、いずれも、パネル部の中央に高剛性部として曲面部(パネル部)を形成したものである。
図14Eは、曲面部(パネル部)82の周辺に溝部33を設け、この溝部33に制振材42を設けることにより、高剛性部である曲面部82と、フラット部よりもより低い剛性部である溝部33とにより、より大きな剛性差を作ることができ、その分、制振効果が増大する。
図14Fは、曲面部(パネル部)82の周辺に凹状のビード部80を設け、このビード部80に制振材42を設けることにより、高剛性部である曲面部82と、フラット部よりもより低い剛性部であるビード部80とにより、より大きな剛性差を作ることができ、その分、制振効果が増大する。
図14Gは、凸状のビード部80を形成し、図14Fと同様に、制振効果が増大する。
【0073】
なお、溝部33やビード80の深さが浅いと、その剛性がパネル部40の剛性よりも高くなってしまうので、溝部33やビード80は、剛性を低下させるように、それら深さをある程度深くすると共にそれらの幅との比も考慮して深さを設定するのがよい。
本実施形態の振動遮断構造(振動遮断部)を実際に車両に設ける場合には、上述した溝部33及びビード部80の形状や大きさ、例えば、深さは、その車両自体に固有の実際にフレーム部材を介して伝達されてくる振動の大きさや周波数ピーク、フロアパネルの板厚や形状・寸法、その他車両の構造上の制約等を考慮して定められる。この場合、それらの深さは、低剛性部である溝部33やビード部80の剛性がより低く、振動エネルギーがより集中し、振動遮断効果がより大きく発揮されるようにする。その他の寸法も同様に定められる。
また、曲面部82の曲率やフラット部83の幅なども、同様に、低剛性部であるフラット部83に振動がより集中するようにする。
【0074】
次に、図15により、本発明の車体のフロアパネル構造の更なる他の実施形態を説明する。この実施形態は、フロアパネルの振動遮断構造(振動遮断部)を、フレーム部材34に取り付けられた平板のパネル部40のフレーム部材34の近傍において全周にわたって一定間隔で連続して設けられた複数の貫通孔84により形成したものである。この実施形態では、これらの貫通孔84に沿って且つ貫通孔を覆うように制振材42(鎖線で示す)が配置されている。この制振材42は、貫通孔84をシールする機能を有している。
【0075】
次に、図16乃至図18により、本実施形態の振動遮断部である溝部の変形例を説明する。
先ず、図16に示す溝部の第1変形例は、溝部33が、フレーム部材34に溶接され且つ内方に斜め上方に延びる傾斜部86と、この傾斜部86の内方縁から内方に水平方向に延びる水平部88と、この水平部88の内方縁から上方に垂直に延びる垂直部90からなり、この垂直部90の上方縁から内方にパネル部(パネル面)40が延びている。このようにして振動遮断部の低剛性部である溝部33を構成すれば、傾斜部86によってフロアパネルの縦方向の剛性が増し、フロアパネルに乗員が乗ったときのフロアの剛性感を確保することができる。
【0076】
図17に示す溝部の第2変形例は、溝部33が、フレーム34に溶接され且つ水平に内方に延びる第1水平部92と、この第1水平部92の内方縁から斜め下方に外方に延びる第1傾斜部94と、この第1傾斜部94の下方縁から内方に水平方向に延びる第2水平部96と、この第2水平部96の内方縁から斜め上方に外方に延びる第2傾斜部98からなり、この第2傾斜部98の上方縁から内方にパネル部(パネル面)40が延びている。このように、溝部33を下方に広がるような形状とすると、第1水平部92と第1傾斜部94の境界縁、第1傾斜部94と第2水平部96との境界縁、水平部96と第2傾斜部98との境界縁、及び、第2傾斜部98とパネル部40との境界縁のそれぞれを境に、互いに折れ曲がりやすくなるので振動し易くなる。つまり、溝部33の剛性をパネル部40に対しより小さくすることができる。従って、制振材の効果と相俟って、フレーム部材34からパネル面40に伝わる振動を遮断(低減)させることができる。
【0077】
ここで、フロアパネルは、溝部とパネル部とを一体的にプレス成形してもよいが、上述した溝部の第1変形例及び第2変形例においては、溝部の形状が複雑となるので、プレス成形が困難な場合がある。
この場合、図16に示す第1変形例では、フロアパネルを、溶接部A部からB部までの溝部33と、パネル部(パネル面)40の2つパネルで構成し、それぞれをプレス加工で形成した後、A部及びB部で溶接して一体形成すればよい。
また、図17の第2変形例では、フロアパネルを、溶接部A部からB部までの溝部33と、パネル部(パネル面)40の2つパネルで構成し、それぞれをプレス加工で形成した後、A部及びB部で溶接して一体形成すればよい。
なお、フロアパネルを、A部から第2水平部96の中間C部までの部分と、このC部から内方の部分(溝部33の一部及びパネル部40)との2つのパネルで構成し、それぞれの形状をプレス加工するようにしても良い。
さらに、フロアパネルを、A部から第2水平部96の中間C部までの部分と、C部からB部までの部分と、パネル部40との3つのパネルで構成し、それぞれの形状をプレス加工するようにしても良い。
【0078】
図18に示す溝部の第3変形例は、溝部33が、水平部100と垂直部102を有するが、垂直部102とパネル部40との境界部104をR形状(所定の大きさの曲率もった形状)としている。このようにR形状とすることで、垂直部102とパネル部40との境界部104が、振動により疲労破壊することを防止できる。
さらに、本実施形態では、垂直部102とパネル部40との境界部104にR形状部を設けない場合であっても、制振材を溝部から境界部104まで延長して設け、この境界部104を覆うようにすることで、この制振材により境界部104に生ずる振動を抑制して疲労破壊を防止するようにしても良い。
【0079】
次に、図19乃至図21により、上述した実施形態における振動遮断構造(振動遮断部)である溝部及びビード部に制振材を取り付けるための方法を説明する。
図19に示す第1の制振材設定方法は、先ず、図19Aに示すように、溝部33の水平部36をフレーム部材34に溶接した後、発泡ゴム106を溝部33の水平部36、垂直部38及びパネル部40の一部に沿って、溝部33の全周にわたって連続的に貼り付ける。この場合、発泡ゴム106の形状及び貼り付け位置は、発泡ゴム106が発泡後に溝部33を埋めることができれば任意でよい。例えば、発砲ゴム106を水平部36上に配置するようにしても良い。また、発泡後に溝部の全周にわたって溝部を埋めることができれば、一定長さの発泡ゴムを、数本、不連続に貼り付けても良い。
その後、塗装の乾燥工程において、乾燥炉(図示せず)で発泡ゴム106を発泡させ、図19Bに示すように、最終形状の制振材42を設定する。
【0080】
この実施形態では、フレーム部材34が接合用のフランジ部34aを有し、このフランジ部34aが、溝部33の上方に位置しているので、発泡ゴムが乾燥後に、このフランジ部34aと溝部33自体とにより、溝部内に確実に保持される。
なお、上述した図14B、C、D、F及びGに示すように、低剛性部としてビード部80又はフラット部83を使用する場合に制振材を設定する場合も、同様に、発泡ゴム106をビード部80又はフラット部83に貼り付け、その後、塗装の乾燥工程において、乾燥炉で発泡させれば良い。
【0081】
図20に示す第2の制振材設定方法は、溝部33の水平部36をフレーム部材34に溶接した後、注入用ガン108で、液状ゴム等の液状物質である制振材42を溝部33の全周に亘って注入する。ここで、制振材42は、注入用ガン108で注入できる制振機能を持つ液状物質であれば、液状ゴムに限らない。制振材の注入の際には、例えば、注入用ガン108から連続して一定量の液状物質を吐出させつつ、注入用ガン108を溝部33の全周に沿って一定速度で移動させ、一周させる。このとき、注入用ガン108の先端を溝部33に沿って確実に移動させるため、溝部33及びその開口部の形状及び大きさが、注入用ガン108をガイドすることができるように設定されている。
【0082】
図21に示す第3の制振材設定方法は、フレーム部材34が、対向するフランジ部110を有し、これらのフランジ部110が互いに溶接接続され、これらの溶接されたフランジ部110が溝部33内に位置するような場合に適用可能である。通常、溶接接続されたフランジ部110の接合部110aは錆防止用のシール材が埋め込まれるが、この第3例では、液状物質の制振材42を注入用ガンで溝部33に沿って注入し、この制振材(液状物質)42がフランジ部110の接合部110aを覆うようにしている。これにより、制振材42が、フランジ部110の接合部110aのシール材の役目を兼ねることができる。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、車体のフレーム部材からフロアパネルへ伝わる振動の伝達量そのものを低減して車室内の騒音を低減するができる。また、騒音を低減するための制振材の使用量を低減して車両の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による車両のフロアパネル構造を備えた自動車のアンダボディを示す斜視図である。
【図2】本発明の車体のフロアパネル構造の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】本実施形態による振動遮断構造(振動遮断部)を備えたフロアパネルを模式的に示した断面図、剛性を示す線図及び歪みエネルギー分布を示す線図である。
【図4】本実施形態による振動伝達低減構造(振動遮断部)の溝部及び制振材を拡大した示す部分拡大図である。
【図5】図3のフロアパネルにさらなる制振材を設けたフロアパネルを模式的に示した断面図である。
【図6】本実施形態による溝部の角部の一例を示す部分拡大図である。
【図7】本実施形態による溝部の角部の他の例を示す部分拡大図である。
【図8】本発明の実施形態による振動遮断構造(振動遮断部)による振動遮断特性を説明するための実験モデルを示す断面斜視図である。
【図9】図8の実験モデルから得た実験結果を示す線図である。
【図10】図8の実験モデルから得た実験結果を示す線図である。
【図11】ストラット形式のサスペンションを示す概略図である。
【図12】本実施形態による振動モード調整構造のフロアパネルの放射音の相殺(キャンセレーション)を示す概念図である。
【図13】本実施形態による振動モード調整構造の他の例を示す平面図である。
【図14】本発明の車体のフロアパネル構造の他の実施形態を示す断面図である。
【図15】本発明の車体のフロアパネル構造の更なる他の実施形態を示す断面図である。
【図16】本実施形態の振動遮断構造(振動遮断部)である溝の第1変形例を示す部分断面図である。
【図17】本実施形態の振動遮断構造(振動遮断部)である溝の第2変形例を示す部分断面図である。
【図18】本実施形態の振動遮断構造(振動遮断部)である溝の第3変形例を示す部分断面図である。
【図19】本実施形態における第1の制振材設定方法を説明するためのフロアパネルの部分拡大断面図である。
【図20】本実施形態における第2の制振材設定方法を説明するためのフロアパネルの部分拡大断面図である。
【図21】本実施形態における第3の制振材設定方法を説明するためのフロアパネルの部分拡大断面図である。
【符号の説明】
S1 第1フロアパネル
S2 第2フロアパネル
S3 第3フロアパネル
S4 第4フロアパネル
1 自動車のアンダボディ
2 フロントフロアパネル
10 フロントサイドフレーム
11 エンジン
14 No.1クロスメンバ
17 フロントサスペンション
20 フロアトンネル部
21 サイドシル
22 フロアサイドフレーム
23 リアサイドフレーム
24 凸部
26 No.2クロスメンバ
27 リアサスペンション
28 No.3クロスメンバ
33 溝部
34 フレーム部材
36 水平部
38 垂直部
40 パネル部
42 制振材
43 制振材
44 ビード
47 パネル部の一部の領域
48 薄肉部
54 シール材
66 剛性調整部
80 ビード部
82 曲面部
83 フラット部
84 貫通孔
86 傾斜部
88 水平部
90 垂直部
92 第1水平部
94 第1傾斜部
96 第2水平部
98 第2傾斜部
104 境界部
106 発泡ゴム
108 注入用ガン
110 フランジ部

Claims (9)

  1. 車体前後方向及び車幅方向に配設されエンジン又はサスペンションに連結された複数のフレーム部材に、その外周端部が連結されたフロアパネルにより、自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、
    上記フロアパネルは、その外周端部の少なくとも一部が上記フレーム部材に接合される接合部と、この接合部の全長に沿って形成された低剛性部と、この低剛性部よりも内方に形成されフロアパネルの大部分の面積を占めると共に高剛性部として構成されたパネル部とを有し、上記低剛性部が、上記高剛性部との剛性差により、上記接合部の全長に沿って所定値以上の周波数の振動の伝達を低減する振動遮断部を形成するよう構成され、
    上記パネル部は、上記所定値以下の周波数の振動による音響放射の発生を抑制する振動モード調整部を有し、
    上記低剛性部のみ又は上記低剛性部とその近傍のみに制振材を設けたことを特徴とする車体のフロアパネル構造。
  2. 車体前後方向及び車幅方向に配設されエンジン又はサスペンションに連結された複数のフレーム部材に、その外周端部が連結されたフロアパネルにより、自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、
    上記フロアパネルは、その外周端部の少なくとも一部が上記フレーム部材に接合される接合部と、この接合部の全長に沿って形成された低剛性部と、この低剛性部よりも内方に形成されフロアパネルの大部分の面積を占めると共に高剛性部として構成されたパネル部とを有し、上記低剛性部が、上記高剛性部との剛性差により、上記接合部の全長に沿って所定値以上の周波数の振動の伝達を低減する振動遮断部を形成するよう構成され、
    上記パネル部は、上記所定値以下の周波数の振動による音響放射の発生を抑制する振動モード調整部を有し、
    上記低剛性部に第1の制振材を設けると共に上記パネル部に上記第1の制振材より制振性能の小さい又は厚さが薄い第2の制振材を設けたことを特徴とする車体のフロアパネル構造。
  3. 車体前後方向及び車幅方向に配設されエンジン又はサスペンションに連結された複数のフレーム部材に、その外周端部が連結されたフロアパネルにより、自動車のフロアを構成する車体のフロアパネル構造であって、
    上記フロアパネルは、その外周端部の少なくとも一部が上記フレーム部材に接合される接合部と、この接合部の全長に沿って形成された低剛性部と、この低剛性部よりも内方に形成されフロアパネルの大部分の面積を占めると共に高剛性部として構成されたパネル部とを有し、上記低剛性部が、上記高剛性部との剛性差により、上記接合部の全長に沿って所定値以上の周波数の振動の伝達を低減する振動遮断部を形成するよう構成され、
    上記パネル部は、上記所定値以下の周波数の振動による音響放射の発生を抑制する振動モード調整部を有し、
    上記低剛性部に制振材を設けると共に上記パネル部に透過音を吸収する吸音材を設けたことを特徴とする車体のフロアパネル構造。
  4. 上記周波数の所定値は、約200Hzである請求項1乃至3のいずれか1項記載の車体のフロアパネル構造。
  5. 上記振動モード調整部は、上記所定値以下の特定の周波数で2×1振動モードで振動する請求項1乃至4の何れか1項記載の車体のフロアパネル構造。
  6. 上記低剛性部は溝部により形成されている請求項1乃至5のいずれか1項記載の車体のフロアパネル構造。
  7. 上記低剛性部がビード部により形成され、このビード部により上記振動モード調整部の領域を規制し、上記ビード部を含む振動遮断部及び振動モード調整部が、一体的に成形される請求項1乃至5の何れか1項記載の車体のフロアパネル構造。
  8. 上記振動遮断部及び振動モード調整部は、プレスで一体成形されている請求項1乃至7の何れか1項記載の車体のフロアパネル構造。
  9. 上記パネル部の振動モード調整部の領域がほぼ2×1の大きさに規制され、上記パネル部の振動モード調整部以外の領域が低剛性部で囲まれて第2の振動遮断部が形成されている請求項1乃至8の何れか1項記載の車体のフロアパネル構造。
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