JP2010069592A - テクスチャー加工研磨布 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セルロース繊維を含む不織布を構成要素とする研磨布であって、該研磨布の片側表面に平均繊維径が20μm以下のセルロース繊維が存在し、該不織布の保水率が400%以上であり、吸水速度が160mm/10分以上であり、該研磨布の湿潤時のC硬度が40度以下であることを特徴とするテクスチャー加工研磨布。
【選択図】なし
Description
加速度的に開発が進むハードディスクにおいて、情報記録密度向上のためには、スクラッチを形成せずにエラーの原因となる突起を除去して、基板表面を平滑化し、表面粗さを低減することができるような研磨精度の向上が極めて重要である。
しかし、極細繊維の素材としてポリエステルやポリアミドを用いる場合、繊維を極細化してスクラッチの抑制を試みようとしても、研磨布の湿潤時の硬度(ソフト性)と繊維の湿潤時のモジュラスが大きいため、スクラッチの抑制には限界があった。
しかし、特許文献2には、研磨パッドに用いられる親水性繊維の繊維径や、研磨パッドの湿潤時の硬度と研磨特性との関係については言及されていない。また、特許文献2に記載されている研磨パッドの主な用途はCMP研磨であり、テクスチャー工程での研磨とは用途分野だけでなく、研磨メカニズムを異にするものであった。
(ii)研磨面に、保水率に優れたセルロース繊維を配し、砥粒スラリー吸液量を多くすることで、研磨層に存在する研磨砥粒の量を増加させ、その結果として、接圧が小さくても十分な研削量が得られるようになる。
(iv)研磨面のセルロース繊維が、水流交絡され、不織布として結合一体化されているため、表面の耐摩耗性に優れ、研磨耐久性に優れる。
即ち、本発明は下記の通りである。
2.前記不織布におけるセルロース繊維の含有率が50wt%以上であり、水流交絡されていることを特徴とする上記1に記載のテクスチャー加工研磨布。
4.前記不織布が、少なくとも2層以上の積層された不織布からなり、平均繊維径が最小の不織布層が研磨側の表面の第1層にあることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のテクスチャー加工研磨布。
6.前記不織布の空隙率が75〜90%であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のテクスチャー加工研磨布。
8.前記不織布に、砥粒スラリーが非透過性である基材が貼合されていることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載のテクスチャー加工研磨布。
本発明の研磨布の最大の特徴は、表面研磨層がセルロース繊維を含む不織布から構成されていることである。
このように、セルロース繊維を含む不織布が、少なくとも2層以上の積層された不織布からなる場合は、平均繊維径が最小の不織布層が研磨側の表面の第1層にあることが好ましい。
湿式スパンボンド法を利用して水流交絡させることにより得られる再生セルロース繊維不織布は、耐摩耗性に優れているため、スクラッチの原因となり得る研磨時の繊維脱落の可能性が小さいこと、及び、バインダーが不要であるため、研磨時に研磨布から異物が発生する可能性が小さいという利点がある。
従来のポリエステル繊維やポリアミド繊維から構成される研磨布は、界面活性剤の添加などにより親水化した場合でも保水率は高々200〜250%であるが、本発明のセルロース繊維を含む不織布から構成される研磨布は、自重のほぼ4〜5倍以上の保水が可能であるため、砥粒スラリーを大量に含有することができる。
研磨布試料表面を走査型電子顕微鏡(JSM−5610:日本電子株式会社製)で観察し、加速電圧10kVで倍率1000倍の画像を撮影し、任意の50点の繊維の直径を測定し、それらの算術平均値をセルロース繊維の平均繊維径とした。
研磨布の長手方向をタテ方向として、タテ100mm、ヨコ20mmの試験片を3枚採取し、試験片の質量(W1)を測定した。
試験片を水中(蒸留水(和光純薬工業株式会社製))に20分間浸漬させ、その後取り出し、吊り下げて水滴を十分に除去し(10分間室温で放置)、直ちに試験片の質量(W2)を測定し、下式によって保水率を算出した。
水に浸漬後、1分間室温で放置した研磨布試料を、C硬度95度以上の表面硬度を有する平面上に3枚積層させて置き、JIS規格(硬さ試験)K6253に準拠して、デュロメーター・タイプC(実際には、高分子計器株式会社製アスカーC硬度計)を用い、室温で5点測定し、その算術平均値を湿潤時のC硬度とした。
鉛直につるした試験片の下端を水中に浸し、一定時間(10分間)室温で放置した後、上昇した水の高さを測定した(JIS L 1907−2003:バイレック法)。
研磨布の長手方向をタテ方向として、タテ250mm、ヨコ20mmの試験片を5枚採取して、1mgまで秤量可能な精密天秤で不織布の質量を測定する。得られた測定値を算術平均し、それを試験片の面積で除すことにより1m2当たりの質量である目付を算出した。
ダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所社製、ピーコックH型)を用いて、研磨布の長手方向に5点、不織布の厚みを測定し、得られた測定値を算術平均したものを不織布の厚みとした。上記で得られた目付を厚みで除すことで、嵩密度を算出した。
定速伸長型引張試験機((株)オリエンテック社製、テンシロンRTC−1210A)を用いて測定した。試験条件は、以下の通りである(JIS L 1096−2003)。
・試験片の寸法:(幅)2.5cm、(長さ)20cm
・つかみ間隔:10cm
・引張速度:10cm/分
・砥粒:ダイヤモンド遊離砥粒(平均粒径:0.1μm)
・スラリー供給量:20cc/分
・スラリー濃度:10cc/5リットル
・基板回転数:150rpm
・研磨布供給速度:3cm/分
・研磨加工時間:30秒/枚
・トラバース条件:振幅1mm、83回/分
・接圧:0.5kgf
JIS B 0601−1994に準拠して、ディスク基板サンプルの任意の直線状表面についての粗さを原子間力顕微鏡(Nano Scope IV D3100:Digital Instruments社製)を用いて測定した。10箇所の測定値を算術平均することにより、表面平均粗さを求めた。
Micro−MAX VMX−4100Napier((有)ビジョンサイテック社製)を用いて10枚の基板のスクラッチ数を測定し、それらの算術平均値を求めた。
コットンリンターを銅アンモニア溶液で溶解し、セルロース濃度10wt%の紡糸原液を準備した。原液吐出孔の直径が0.6mm、110個/cm2で存在する長方形の紡糸口金から紡糸口金の単位面積当たり8.1cc/cm2・分で原液を押し出した。押し出された原液を、紡糸水と共に矩形一段漏斗に導入し、脱アンモニウムによる凝固と同時に延伸した。
実施例1で得られた再生セルロース連続長繊維ウェブ(A)を4枚、70メッシュのシート上で3MPaの高圧水流で繊維を交絡させた後、100℃でシリンダ乾燥を行い、再生セルロース連続長繊維不織布を得た。
得られた研磨布を、38mm幅のテープ状にスリットし、実施例1と同様にして研磨加工を行い、研磨性能を評価した。結果を表1に示す。
原液吐出孔の直径を0.3mmに変更した以外は、実施例1と同様にして再生セルロース連続長繊維ウェブ(B)を得た。
得られた再生セルロース連続長繊維ウェブ(B)と、実施例1で得た再生セルロース連続長繊維ウェブ(A)を各2枚ずつ、合計4枚を重ね、実施例1と同様に交絡させて再生セルロース連続長繊維不織布を作製した。
原液吐出孔の直径を1.0mmに変更した以外は、実施例1と同様にして再生セルロース連続長繊維不織布を作製し、研磨加工、研磨性能評価を実施した。結果を表1に示す。
実施例1で得られた再生セルロース連続長繊維ウェブ(A)を用い、ウェブ(A)の積層枚数を2枚に変更した以外は、実施例1と同様にして再生セルロース連続長繊維不織布を作製した。この不織布を研磨布として用い、研磨加工を行ったところ、加工中に研磨布が伸長・幅入れを起こしたため、研磨性能を評価することができなかった。
比較例2で得られた再生セルロース連続長繊維不織布を、基材であるPETフィルム(厚み0.2mm)に、ポリエステル用接着剤を用いて接着させ、積層体タイプの研磨布を作製した。この研磨布を用いて、実施例1と同様にして研磨加工を行い、研磨性能を評価した。結果を表1に示す。
海成分にアルカリ減量し易いポリエステル共重合体ポリマー(分子量4000のポリエチレングリコールを10%共重合したPET)、島成分にポリアミド(6ナイロン)樹脂を用い、この2種のポリマーを其々ギアポンプで計量し、海成分35wt%、島成分65wt%の割合で、島本数100本/ホールの紡口を用いて290℃で溶融紡糸して未延伸糸を得た。
この研磨布を用いて、実施例1と同様にして、研磨加工、研磨性能評価を実施した。結果を表1に示す。
Claims (8)
- セルロース繊維を含む不織布を構成要素とする研磨布であって、該研磨布の片側表面に平均繊維径が20μm以下のセルロース繊維が存在し、該不織布の保水率が400%以上であり、吸水速度が160mm/10分以上であり、該研磨布の湿潤時のC硬度が40度以下であることを特徴とするテクスチャー加工研磨布。
- 前記不織布におけるセルロース繊維の含有率が50wt%以上であり、水流交絡されていることを特徴とする請求項1に記載のテクスチャー加工研磨布。
- セルロース繊維が、再生セルロース繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載のテクスチャー加工研磨布。
- 前記不織布が、少なくとも2層以上の積層された不織布からなり、平均繊維径が最小の不織布層が研磨側の表面の第1層にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のテクスチャー加工研磨布。
- 前記不織布の目付が70〜300g/m2であり、嵩密度が0.15〜0.30g/cm3であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のテクスチャー加工研磨布。
- 前記不織布の空隙率が75〜90%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のテクスチャー加工研磨布。
- 長手方向の破断強度が3.0kgf/cm以上であり、破断伸度が35%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のテクスチャー加工研磨布。
- 前記不織布に、砥粒スラリーが非透過性である基材が貼合されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のテクスチャー加工研磨布。
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