JP2010062502A - 電子部品及びこれを備えた電子装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】外部電極を形成すべき側面を特定する必要がない電子部品及びこれを備えた電子装置を提供する。
【解決手段】積層体12は、正方形状の複数の磁性体層が積層されることにより構成されている。コイルLは、積層体12内に内蔵されている複数のコイル電極18により構成されている。外部電極14a〜14dは、積層体12の側面S3〜S6が交差することにより形成されている4つの角C1〜C4のそれぞれに設けられている。引き出し電極20a,20bは、コイル電極18aに接続され、かつ、外部電極14a,14bと接続されている。引き出し電極20c、20dは、コイル電極18jに接続され、かつ、外部電極14c,14dと接続されている。
【選択図】図1
【解決手段】積層体12は、正方形状の複数の磁性体層が積層されることにより構成されている。コイルLは、積層体12内に内蔵されている複数のコイル電極18により構成されている。外部電極14a〜14dは、積層体12の側面S3〜S6が交差することにより形成されている4つの角C1〜C4のそれぞれに設けられている。引き出し電極20a,20bは、コイル電極18aに接続され、かつ、外部電極14a,14bと接続されている。引き出し電極20c、20dは、コイル電極18jに接続され、かつ、外部電極14c,14dと接続されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子部品及びこれを備えた電子装置に関し、より特定的には、積層体内にコイルを含んでいる電子部品及びこれを備えた電子装置に関する。
コイルを内蔵した電子部品としては、巻き線コイルが一般的に知られている。該巻き線コイルは、コアに導線が巻きつけられて構成されており、コイル軸方向の一端において、外部電極が形成されている正方形状の下面を有している。巻き線コイルは、下面と回路基板とが対向するように、該回路基板上に実装される。
また、前記のような巻き線コイルに代わる電子部品として、近年、積層型の電子部品が多く普及している。積層型の電子部品は、一般的に、複数の長方形状の絶縁体層が積層されることにより構成されている積層体と、該積層体内に内蔵されている複数の内部電極からなるコイルとにより構成されている。また、積層型の電子部品では、外部電極が、積層体の互いに対向する側面を覆うように設けられている。そして、積層型の電子部品は、積層方向の一端に位置する下面と回路基板とが対向するように、該回路基板上に実装される。
ところで、前記巻き線コイルの下面は、正方形状を有しているのに対して、前記積層型の電子部品の下面は、長方形状を有している。故に、巻き線コイルの代わりに積層型の電子部品をそのまま回路基板上に実装することはできない。そのため、近年では、正方形状の下面を有する積層型の電子部品が要求され始めている。このような、正方形状の下面を有する電子部品としては、例えば、特許文献1に記載の磁心型積層インダクタが知られている。以下に、該磁心型積層インダクタについて図面を参照しながら説明する。図6は、特許文献1に記載の磁心型積層インダクタ100の構成図である。図6(a)は、磁心型積層インダクタ100の外観斜視図であり、図6(b)は、磁心型積層インダクタ100のコイル電極106を積層方向から透視した図である。
磁心型積層インダクタ100は、図6(a)に示すように、積層体102及び外部電極104a,104bを備えている。積層体102は、正方形状の絶縁体層が積層されることにより構成されている。また、外部電極104a,104bは、積層体102の互いに対向する側面を覆うように設けられている。また、積層体102には、複数のコイル電極106からなるコイルLが内蔵されている。コイルLと外部電極104a,104bとは、図6(b)に示すように、コイル電極106が積層体102の互いに対向する側面に引き出されることにより接続されている。
しかしながら、前記磁心型積層インダクタ100では、以下に説明するように、外部電極104a,104bを形成すべき側面を特定する際に手間がかかるという問題がある。より詳細には、一般的な積層型の電子部品では、上面及び下面は、長方形状を有している。そして、コイル電極が引き出されている側面は、上面及び下面の長辺を構成している側面又は上面及び下面の短辺を構成している側面のいずれかであると予め決まっている。よって、一般的な積層型の電子部品では、上面又は下面の形状を見ただけで外部電極を形成すべき側面を特定することが可能である。
ところが、磁心型積層インダクタ100では、上面及び下面が正方形状を有している。そのため、上面又は下面の形状を見ただけでは、いずれの側面にコイル電極106が引き出されているのか特定できないので、いずれの側面に外部電極104a,104bを形成すべきなのかを特定できない。そのため、磁心型積層インダクタ100では、例えば、上面に浮き出ているコイル電極106のパターンを画像処理により認識して、該コイル電極106が引き出されている側面を特定する等の複雑な処理が必要となっていた。
特開2005−45108号公報
そこで、本発明の目的は、外部電極を形成すべき側面を特定する必要がない電子部品及びこれを備えた電子装置を提供することである。
本発明の一形態である電子部品は、正方形状の複数の絶縁体層が積層されることにより構成されている積層体と、前記積層体内に内蔵されている複数の内部電極により構成されている回路素子であって、少なくともコイルを含んでいる回路素子と、前記積層体の側面が交差することにより形成されている4つの角のそれぞれに設けられている4つの外部電極と、所定の前記内部電極に接続されていると共に、前記4つの角の内の所定の2つの角において、前記外部電極と接続されている2つの第1の引き出し電極と、前記所定の内部電極とは異なる前記内部電極に接続されていると共に、前記所定の2つの角とは異なる2つの角において、前記外部電極と接続されている2つの第2の引き出し電極と、を備えていること、を特徴とする。
前記電子部品において、前記2つの第1の引き出し電極は、積層方向から平面視したときに、前記積層体の辺を挟んで隣り合っている該積層体の2つの角において、前記外部電極と接続されていてもよい。
前記電子部品において、前記2つの第1の引き出し電極は、積層方向から平面視したときに、前記積層体の対角において、前記外部電極と接続されていてもよい。
前記電子部品において、前記第1の引き出し電極及び前記第2の引き出し電極が前記積層体から露出している部分は、前記外部電極により覆われていてもよい。
本発明の一形態である電子装置は、前記電子部品が基板に実装された電子装置において、前記基板は、前記基板に設けられている回路に電気的に接続され、かつ、前記電子部品が実装されている正方形状の領域の対角に設けられている2つの第1の接続電極と、前記基板に設けられている回路に電気的に接続されておらず、かつ、前記正方形状の領域において、前記第1の接続電極が設けられている前記対角とは異なる対角に設けられている2つの第2の接続電極と、を含んでいること、を特徴とする。
本発明のその他の形態に係る電子装置は、前記電子部品が基板に実装された電子装置において、前記基板は、前記基板に設けられている回路に電気的に接続され、かつ、前記電子部品が実装されている正方形状の領域において辺を挟んで隣り合う2つの角に設けられている2つの第1の接続電極と、前記基板に設けられている回路に電気的に接続されておらず、かつ、前記正方形状の領域において、前記第1の接続電極が設けられている前記2つの角とは異なる2つの角に設けられている2つの第2の接続電極と、を含んでいること、を特徴とする。
本発明によれば、外部電極を形成すべき側面を特定する必要がない。
以下に、本発明の一実施形態に係る電子部品及びこれを備えた電子装置について説明する。
(第1の実施形態)
(電子部品及び電子装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電子部品10a及び回路基板50aからなる電子装置1aの外観斜視図である。図2は、図1の電子部品10aの積層体12の分解斜視図である。図1では、積層体12内のコイル電極18a,18j及び引き出し電極20a〜20dも示してある。また、電子装置1aでは、実際には、電子部品10aが回路基板50a上に実装されているが、理解の容易のため、図1では、電子部品10aと回路基板50aとは離して記載してある。以下、電子部品10aの積層方向をz軸方向と定義し、z軸方向に直交する方向をx軸方向及びy軸方向と定義する。x軸方向及びy軸方向は、互いに直交し、電子部品10aの辺に平行である。
(電子部品及び電子装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電子部品10a及び回路基板50aからなる電子装置1aの外観斜視図である。図2は、図1の電子部品10aの積層体12の分解斜視図である。図1では、積層体12内のコイル電極18a,18j及び引き出し電極20a〜20dも示してある。また、電子装置1aでは、実際には、電子部品10aが回路基板50a上に実装されているが、理解の容易のため、図1では、電子部品10aと回路基板50aとは離して記載してある。以下、電子部品10aの積層方向をz軸方向と定義し、z軸方向に直交する方向をx軸方向及びy軸方向と定義する。x軸方向及びy軸方向は、互いに直交し、電子部品10aの辺に平行である。
電子部品10aは、図1に示すように、積層体12及び外部電極14a〜14dを備えている。積層体12は、上面S1,下面S2及び側面S3〜S6からなる直方体であって、螺旋状のコイルLを内蔵している。上面S1は、z軸方向の正方向側に位置する面であり、下面S2は、z軸方向の負方向側に位置する面である。また、側面S3は、x軸方向の正方向側に位置する面であり、側面S4は、x軸方向の負方向側に位置する面である。また、側面S5は、y軸方向の正方向側に位置する面であり、側面S6は、y軸方向の負方向側に位置する面である。
外部電極14a〜14dは、積層体の側面S3〜S6が交差することにより形成されている4つの角C1〜C4のそれぞれに設けられている。より詳細には、外部電極14aは、側面S4と側面S6とが交差することにより形成されている角C1を覆うように設けられている。外部電極14bは、側面S3と側面S6とが交差することにより形成されている角C2を覆うように設けられている。外部電極14cは、側面S4と側面S5とが交差することにより形成されている角C3を覆うように設けられている。外部電極14dは、側面S3と側面S5とが交差することにより形成されている角C4を覆うように設けられている。
積層体12は、図2に示すように、磁性体層16a〜16oが積層されることにより構成されている。磁性体層16a〜16oは、磁性を有するフェライト(例えば、Ni−Zn−Cuフェライト又はNi−Znフェライト等)からなる正方形状の絶縁体層である。以下では、個別の磁性体層16a〜16oを指す場合には、参照符号の後ろにアルファベットを付し、これらを総称する場合には、参照符号の後ろのアルファベットを省略する。
コイルLは、図2に示すように、コイル電極18a〜18j及びビアホール導体b1〜b9により構成されている。コイル電極18a〜18jはそれぞれ、Ag等からなる導電性材料からなり、7/8ターンの長さで周回しており、磁性体層16d〜16m上に設けられている。
ビアホール導体b1〜b9は、コイル電極18a〜18jを接続している。より詳細には、ビアホール導体b1は、磁性体層16dをz軸方向に貫通するように設けられ、コイル電極18aとコイル電極18bとを接続している。ビアホール導体b2は、磁性体層16eをz軸方向に貫通するように設けられ、コイル電極18bとコイル電極18cとを接続している。ビアホール導体b3は、磁性体層16fをz軸方向に貫通するように設けられ、コイル電極18cとコイル電極18dとを接続している。ビアホール導体b4は、磁性体層16gをz軸方向に貫通するように設けられ、コイル電極18dとコイル電極18eとを接続している。ビアホール導体b5は、磁性体層16hをz軸方向に貫通するように設けられ、コイル電極18eとコイル電極18fとを接続している。ビアホール導体b6は、磁性体層16iをz軸方向に貫通するように設けられ、コイル電極18fとコイル電極18gとを接続している。ビアホール導体b7は、磁性体層16jをz軸方向に貫通するように設けられ、コイル電極18gとコイル電極18hとを接続している。ビアホール導体b8は、磁性体層16kをz軸方向に貫通するように設けられ、コイル電極18hとコイル電極18iとを接続している。ビアホール導体b9は、磁性体層16lをz軸方向に貫通するように設けられ、コイル電極18iとコイル電極18jとを接続している。これにより、磁性体層16a〜16oが積層されると、コイル電極18a〜18j及びビアホール導体b1〜b9は、積層体12内において、螺旋状のコイルLを構成するようになる。
磁性体層16d上には、図1及び図2に示すように、z軸方向の最も正方向側に位置しているコイル電極18aに接続されている引き出し電極20a,20bが設けられている。引き出し電極20a,20bは、コイル電極18aにおいて1/4ターンの長さだけ離れた位置に接続されている。また、引き出し電極20a,20bは、4つの角C1〜C4の内の2つの角C1,C2に引き出されている。本実施形態では、引き出し電極20a,20bは、z軸方向から平面視したときに、側面S6を構成している辺を挟んで隣り合っている2つの角C1,C2に引き出されている。これにより、引き出し電極20aは、側面S4,S6の角C1近傍において積層体12から露出して、角C1において外部電極14aと接続されている。同様に、引き出し電極20bは、側面S3,S6の角C2近傍において積層体12から露出して、角C2において外部電極14bと接続されている。
磁性体層16m上には、図1及び図2に示すように、コイル電極18aとは異なるz軸方向の最も負方向側に位置しているコイル電極18jに接続されている引き出し電極20c,20dが設けられている。引き出し電極20c,20dは、コイル電極18jにおいて1/4ターンの長さだけ離れた位置に接続されている。また、引き出し電極20c,20dは、2つの引き出し電極20a,20bが引き出されている2つの角C1,C2とは異なる2つの角C3,C4に引き出されている。本実施形態では、引き出し電極20c,20dは、z軸方向から平面視したときに、側面S5を構成している辺を挟んで隣り合っている2つの角C3,C4に引き出されている。これにより、引き出し電極20cは、側面S4,S5の角C3近傍において積層体12から露出して、角C3において外部電極14cと接続されている。同様に、引き出し電極20dは、側面S3,S5の角C4近傍において積層体12から露出して、角C4において外部電極14dと接続されている。
回路基板50aは、図1に示すように、基板本体52、接続電極54a〜54d及び配線56a,56bを備えている。基板本体52は、絶縁性の板状部材であり、その主面又は内部に形成された回路(図示せず)を有している。また、基板本体52の主面上には、電子部品10aが実装される正方形状の領域Eが設けられている。
接続電極54b,54cは、前記回路に配線56a,56bを介して接続され、かつ、領域Eの対角に設けられている。本実施形態では、接続電極54b,54cは、電子部品10aが回路基板50aに実装された際に、角C2,C3と一致する領域Eの角に設けられている。
接続電極54a,54dは、前記回路に接続されておらず、かつ、領域Eにおいて、接続電極54b,54cが設けられている対角とは異なる対角に設けられている。本実施形態では、接続電極54a,54dは、電子部品10aが回路基板50aに実装された際に、角C1,C4と一致する領域Eの角に設けられている。
以上のような構成を有する電子部品10aが回路基板50aに実装されると、外部電極14a〜14dはそれぞれ、接続電極54a〜54dと接続されるようになる。これにより、z軸方向の正方向側におけるコイルLの端部(すなわち、コイル電極18a)は、引き出し電極20b、外部電極14b、接続電極54b及び配線56aを介して、回路基板50aに設けられている回路に電気的に接続される。また、z軸方向の負方向側におけるコイルLの端部(すなわち、コイル電極18j)は、引き出し電極20c、外部電極14c、接続電極54c及び配線56bを介して、回路基板50aに設けられている回路に電気的に接続される。これにより、電子部品10aは、回路基板50aと電気的に接続された状態で実装されている。
(効果)
以上のように構成された電子部品10a及び電子装置1aでは、以下に説明するように、外部電極14a〜14dを形成すべき側面S3〜S6を特定する必要がない。
以上のように構成された電子部品10a及び電子装置1aでは、以下に説明するように、外部電極14a〜14dを形成すべき側面S3〜S6を特定する必要がない。
特許文献1に記載の磁心型積層インダクタ100では、図6に示すように、上面及び下面が正方形状を有している。そのため、上面又は下面の形状を見ただけでは、いずれの側面にコイル電極106が引き出されているのか特定できないので、いずれの側面に外部電極104a,104bを形成すべきなのかを特定できない。
これに対して、電子部品10aでは、引き出し電極20a〜20dは、z軸方向から平面視したときに、積層体12の全ての角C1〜C4に引き出されている。更に、外部電極14a〜14dはそれぞれ、積層体12の全ての角C1〜C4を覆うように設けられている。そのため、引き出し電極20a〜20dはそれぞれ、外部電極14a〜14dと対をなして接続されるようになる。すなわち、引き出し電極20a〜20dの中に外部電極14a〜14dと接続されないものが存在しない。よって、電子部品10aでは、外部電極14a〜14dの形成時に、外部電極14a〜14dを形成すべき側面S3〜S6を特定する必要がない。
また、電子装置1a及び電子部品10aによれば、以下に説明するように、回路基板50a上に電子部品10aを実装する際に、電子部品10aの方向を確認する必要がない。図3は、図1に示した電子部品10aを、z軸方向を回転軸として、z軸方向の正方向側から見て時計回りに90度回転させたものを示した外観斜視図である。
電子部品10aは、z軸方向の正方向側から平面視したときに、正方形状を有しており、更に、角C1〜C4において同じ形状の外部電極14a〜14dを有している。そのため、電子部品10aの完成後において、外部電極14a〜14dのそれぞれを区別することができないので、いずれの外部電極14が、コイル電極18a又はコイル電極18jに接続されているのかを特定できない。
そこで、電子部品1aでは、コイル電極18aに接続されている外部電極14とコイル電極18jに接続されている外部電極14とを対角に位置させると共に、回路に接続されている接続電極54b,54cを領域Eの対角に位置させている。これにより、図1に示す電子部品10aを、z軸方向を中心として時計回りにさせて、回路基板50aに実装したとしても、接続電極54b,54cには、コイル電極18aに接続されている外部電極14とコイル電極18jに接続されている外部電極14とが接続されるようになる(例えば、図3を参照)。以上のように、電子装置1aでは、電子部品10aは、いずれの方向を向いた状態で回路基板50aに実装されたとしても、回路基板50aと電気的に接続されるようになる。すなわち、回路基板50a上に電子部品10aを実装する際に、電子部品10aの方向を確認する必要がない。
また、電子装置1aでは、以下に説明するように、電子部品10aがいずれの方向を向いた状態で回路基板50aに実装されたとしても、コイルLの長さは常に一定となるので、コイルLのインダクタンス値等の特性が一定となる。より詳細には、接続電極54b,54cに接続され得る外部電極14の組み合わせは、外部電極14a,14d又は外部電極14b,14cである。ここで、外部電極14a,14d間のコイルLの長さは、8.5ターンである。また、外部電極14b,14c間のコイルLの長さも、8.5ターンである。故に、電子部品10aがいずれの方向を向いた状態で回路基板50aに実装されたとしても、コイルLの長さは8.5ターンで一定であるので、コイルLのインダクタンス値等の特性が一定となる。
また、電子部品10aでは、引き出し電極20a〜20dがそれぞれ、積層体12の角C1〜C4近傍においてのみ積層体12から露出しており、磁性体層16d,16mの辺に沿って形成されていない。そのため、引き出し電極20a〜20dが外部電極14a〜14dから露出する面積が低減される。その結果、引き出し電極20a〜20dが側面S3〜S6から露出している部分が、外部電極14a〜14dから大きくはみ出すことによって、積層体12の焼成時において、引き出し電極20a〜20dと磁性体層16との間でデラミネーションが発生することを抑制できる。更に、図1に示すように、引き出し電極20a〜20dが側面S3〜S6から露出している部分は、外部電極14a〜14dにより覆われていることが望ましい。これにより、より確実に前記デラミネーションの発生を抑制できる。
なお、本実施形態において、内部電極18は、コイルLの他に、例えば、ノイズフィルタを構成していてもよい。ただし、内部電極18が構成している回路素子は、少なくともコイルを含んでいる必要がある。
(製造方法)
以下に、電子部品10a及び電子装置1aの製造方法について図1及び図2を参照しながら説明する。
以下に、電子部品10a及び電子装置1aの製造方法について図1及び図2を参照しながら説明する。
まず、磁性体層16となるセラミックグリーンシートを作製する。酸化第二鉄(Fe2O3)を48.0mol%、酸化亜鉛(ZnO)を14.0mol%、酸化ニッケル(NiO)を29.0mol%及び酸化銅(CuO)を9.0mol%の比率で秤量したそれぞれの材料を原材料としてボールミルに投入し、湿式調合を行う。得られた混合物を乾燥してから粉砕し、得られた粉末を750℃で1時間仮焼する。得られた仮焼粉末をボールミルにて湿式粉砕した後、乾燥してから解砕して、フェライトセラミック粉末を得る。
このフェライトセラミック粉末に対して結合剤(酢酸ビニル、水溶性アクリル等)と可塑剤、湿潤材、分散剤を加えてボールミルで混合を行い、その後、減圧により脱泡を行う。得られたセラミックスラリーをドクターブレード法により、キャリアシート上に形成して乾燥させ、磁性体層16となるべきセラミックグリーンシートを作製する。
次に、磁性体層16d〜16lとなるべきセラミックグリーンシートのそれぞれに、ビアホール導体b1〜b9を形成する。具体的には、磁性体層16d〜16lとなるべきセラミックグリーンシートにレーザビームを照射してビアホールを形成する。次に、このビアホールに対して、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などの導電性ペーストを印刷塗布などの方法により充填する。
次に、磁性体層16d〜16mとなるべきセラミックグリーンシート上に、図2に示すように、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、コイル電極18a〜18jを形成する。また、コイル電極18a,18jの形成と同時に、磁性体層16d,16mとなるべきセラミックグリーンシート上に、図2に示すように、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、引き出し電極20a〜20dを形成する。なお、コイル電極18a〜18jを形成する工程とビアホールに対して導電性ペーストを充填する工程とは、同じ工程において行われてもよい。
次に、各セラミックグリーンシートを積層する。具体的には、磁性体層16oとなるべきセラミックグリーンシートを配置する。該磁性体層16oとなるべきセラミックグリーンシートの上に磁性体層16nとなるべきセラミックグリーンシートを積層し、圧着を行う。この後、磁性体層16m,16l,16k,16j,16i,16h,16g,16f,16e,16d,16c,16b,16aとなるべきセラミックグリーンシートについても同様にこの順番に積層及び圧着する。これにより、マザー積層体が形成される。このマザー積層体には、静水圧プレスなどにより本圧着が施される。
次に、マザー積層体をギロチンカットにより2.9mm×2.9mm×0.9mmのサイズの積層体12にカットする。これにより未焼成の積層体12が得られる。この未焼成の積層体12には、脱バインダー処理及び焼成がなされる。脱バインダー処理は、例えば、低酸素雰囲気中において500℃で2時間の条件で行う。焼成は、例えば、大気中において890℃で2.5時間の条件で行う。
以上の工程により、焼成された積層体12が得られる。積層体12には、バレル加工が施されて、面取りが行われる。その後、積層体12の表面に、例えば、ローラ転写工法等の方法により主成分が銀である電極ペーストを塗布及び焼き付けすることにより、外部電極14a〜14dとなるべき銀電極を形成する。銀電極の乾燥は、100℃で10分間行われ、銀電極の焼き付けは、780℃で2.5時間行われる。なお、マスク等を用いためっきや蒸着により銀電極を形成してもよい。
最後に、銀電極の表面に、Niめっき/Snめっきを施すことにより、外部電極14a〜14dを形成する。以上の工程を経て、図1に示すような電子部品10が完成する。
(第2の実施形態)
(電子部品及び電子装置の構成)
図4は、本発明の第2の実施形態に係る電子部品10b及び回路基板50bからなる電子装置1bの外観斜視図である。図5は、図4の電子部品10bの積層体12の分解斜視図である。図4では、積層体12内のコイル電極18a,18j及び引き出し電極22a〜22dも示してある。また、電子装置1bでは、実際には、電子部品10bが回路基板50b上に実装されているが、理解の容易のため、図4では、電子部品10bと回路基板50bとは離して記載してある。以下、電子部品10bの積層方向をz軸方向と定義し、z軸方向に直交する方向をx軸方向及びy軸方向と定義する。x軸方向及びy軸方向は、互いに直交し、電子部品10bの辺に平行である。なお、図4及び図5において、図1及び図2と同じ構成については、同じ参照符号が付してある。
(電子部品及び電子装置の構成)
図4は、本発明の第2の実施形態に係る電子部品10b及び回路基板50bからなる電子装置1bの外観斜視図である。図5は、図4の電子部品10bの積層体12の分解斜視図である。図4では、積層体12内のコイル電極18a,18j及び引き出し電極22a〜22dも示してある。また、電子装置1bでは、実際には、電子部品10bが回路基板50b上に実装されているが、理解の容易のため、図4では、電子部品10bと回路基板50bとは離して記載してある。以下、電子部品10bの積層方向をz軸方向と定義し、z軸方向に直交する方向をx軸方向及びy軸方向と定義する。x軸方向及びy軸方向は、互いに直交し、電子部品10bの辺に平行である。なお、図4及び図5において、図1及び図2と同じ構成については、同じ参照符号が付してある。
電子装置1aと電子装置1bとの相違点は、以下の2点である。1つ目の相違点は、電子部品10aでは、図1に示すように、コイル電極18aに接続されている引き出し電極20a,20bが、z軸方向から平面視したときに、積層体12の側面S6を構成している辺を挟んで隣り合う角C1,C2に引き出されているのに対して、電子部品10bでは、図4に示すように、コイル電極18aに接続されている引き出し電極22a,22bが、z軸方向から平面視したときに、積層体12の対角C1,C4に引き出されている点である。2つ目の相違点は、回路基板50aでは、図1に示すように、回路に接続されている接続電極54b,54cが、領域Eの対角に位置しているのに対して、回路基板50bでは、図4に示すように、回路に接続されている接続電極54c,54dが、領域Eの辺を挟んで隣り合う角に位置している点である。以下に、これらの相違点を中心に説明する。
まず、電子部品10bの構成について説明する。コイル電極18aに接続されている引き出し電極22a,22bはそれぞれ、図4及び図5に示すように、z軸方向から平面視したときに、積層体12の対角C1,C4に引き出されている。これにより、引き出し電極22a,22bはそれぞれ、角C1,C4において外部電極14a,14dに接続されている。また、コイル電極18jに接続されている引き出し電極22c,22dはそれぞれ、図4及び図5に示すように、z軸方向から平面視したときに、積層体12の対角C3,C2に引き出されている。これにより、引き出し電極22c,22dはそれぞれ、角C3,C2において外部電極14c,14bに接続されている。電子部品10bのその他の構成については、電子部品10aと同じであるので説明を省略する。
次に、回路基板50bの構成について説明する。図4に示すように、接続電極54c,54dは、回路基板50bの回路に配線58a,58bを介して接続され、かつ、領域Eの辺を挟んで隣り合う角に位置している。また、接続電極54a,54bは、回路基板50bの回路に接続されておらず、かつ、領域Eの辺を挟んで隣り合う角に位置している。
以上のような構成を有する電子部品10bが回路基板50bに実装されると、外部電極14a〜14dはそれぞれ、接続電極54a〜54dと接続されるようになる。これにより、z軸方向の正方向側におけるコイルLの端部(すなわち、コイル電極18a)は、引き出し電極22b、外部電極14d、接続電極54d及び配線58bを介して、回路基板50bに設けられている回路に電気的に接続される。また、z軸方向の負方向側におけるコイルLの端部(すなわち、コイル電極18j)は、引き出し電極22c、外部電極14c、接続電極54c及び配線58aを介して、回路基板50bに設けられている回路に電気的に接続される。これにより、電子部品10bは、回路基板50bと電気的に接続された状態で実装されている。
(効果)
以上のように構成された電子部品10b及び電子装置1bでは、電子部品10a及び電子装置1aと同じ作用効果を奏することができる。より詳細には、電子部品10b及び電子装置1bでは、電子部品10a及び電子装置1aと同様に、外部電極14a〜14dを形成すべき側面S3〜S6を特定する必要がない。理由については、第1の実施形態において説明したので、これ以上の説明を省略する。
以上のように構成された電子部品10b及び電子装置1bでは、電子部品10a及び電子装置1aと同じ作用効果を奏することができる。より詳細には、電子部品10b及び電子装置1bでは、電子部品10a及び電子装置1aと同様に、外部電極14a〜14dを形成すべき側面S3〜S6を特定する必要がない。理由については、第1の実施形態において説明したので、これ以上の説明を省略する。
また、電子装置1b及び電子部品10bによれば、電子部品10a及び電子装置1aと同様に、回路基板50b上に電子部品10bを実装する際に、電子部品10bの方向を確認する必要がない。
より詳細には、電子部品10bは、z軸方向の正方向側から平面視した場合には、正方形状を有しており、更に、角C1〜C4において同じ形状の外部電極14a〜14dを有している。そのため、電子部品10aの完成後において、外部電極14a〜14dのそれぞれを区別することができないので、いずれの外部電極14a〜14dに対して引き出し電極22a〜22dが接続されているのかを特定できない。
そこで、電子部品1bでは、コイル電極18aに接続されている外部電極14とコイル電極18jに接続されている外部電極14とを積層体12の辺を挟んで隣り合っている角に位置させると共に、回路に接続されている接続電極54c,54dを領域Eの辺を挟んで隣り合っている角に位置させている。これにより、図4に示す電子部品10bを、z軸方向を中心として時計回りにさせて、回路基板50bに実装したとしても、接続電極54c,54dには、コイル電極18aに接続されている外部電極14とコイル電極18jに接続されている外部電極14とが接続されるようになる。以上のように、電子装置1bでは、電子部品10bは、いずれの方向を向いた状態で回路基板50bに実装されたとしても、回路基板50bと電気的に接続されるようになる。すなわち、回路基板50b上に電子部品10bを実装する際に、電子部品10bの方向を確認する必要がない。
また、電子装置1bでは、電子部品1aと同様に、電子部品10bがいずれの方向を向いた状態で回路基板50bに実装されたとしても、コイルLの長さは常に一定となるので、コイルLのインダクタンス値等の特性が一定となる。理由については、第1の実施形態において説明したので、これ以上の説明を省略する。
また、電子部品10bでは、引き出し電極22a〜22dがそれぞれ、積層体12の角C1〜C4近傍においてのみ積層体12から露出しており、磁性体層16d,16mの辺に沿って形成されていない。そのため、引き出し電極22a〜22dが外部電極14a〜14dから露出する面積が低減される。その結果、引き出し電極22a〜22dが側面S3〜S6から露出している部分が、外部電極14a〜14dから大きくはみ出すことによって、積層体12の焼成時において、引き出し電極22a〜22dと磁性体層16との間でデラミネーションが発生することを抑制できる。更に、図4に示すように、引き出し電極22a〜22dが側面S3〜S6から露出している部分は、外部電極14a〜14dにより覆われていることが望ましい。これにより、より確実に前記デラミネーションの発生を抑制できる。
なお、本実施形態においても、内部電極18は、コイルLの他に、例えば、ノイズフィルタを構成していてもよい。ただし、内部電極18が構成している回路素子は、少なくともコイルを含んでいる必要がある。
C1〜C4 角
L コイル
S1 上面
S2 下面
S3〜S6 側面
b1〜b9 ビアホール導体
1a,1b 電子装置
10a,10b 電子部品
12 積層体
14a〜14d 外部電極
16a〜16o 磁性体層
18a〜18j コイル電極
20a〜20d,22a〜22d 引き出し電極
50a,50b 回路基板
52 基板本体
54a〜54d 接続電極
56a,56b,58a,58b 配線
L コイル
S1 上面
S2 下面
S3〜S6 側面
b1〜b9 ビアホール導体
1a,1b 電子装置
10a,10b 電子部品
12 積層体
14a〜14d 外部電極
16a〜16o 磁性体層
18a〜18j コイル電極
20a〜20d,22a〜22d 引き出し電極
50a,50b 回路基板
52 基板本体
54a〜54d 接続電極
56a,56b,58a,58b 配線
Claims (6)
- 正方形状の複数の絶縁体層が積層されることにより構成されている積層体と、
前記積層体内に内蔵されている複数の内部電極により構成されている回路素子であって、少なくともコイルを含んでいる回路素子と、
前記積層体の側面が交差することにより形成されている4つの角のそれぞれに設けられている4つの外部電極と、
所定の前記内部電極に接続されていると共に、前記4つの角の内の所定の2つの角において、前記外部電極と接続されている2つの第1の引き出し電極と、
前記所定の内部電極とは異なる前記内部電極に接続されていると共に、前記所定の2つの角とは異なる2つの角において、前記外部電極と接続されている2つの第2の引き出し電極と、
を備えていること、
を特徴とする電子部品。 - 前記2つの第1の引き出し電極は、積層方向から平面視したときに、前記積層体の辺を挟んで隣り合っている該積層体の2つの角において、前記外部電極と接続されていること、
を特徴とする請求項1に記載の電子部品。 - 前記2つの第1の引き出し電極は、積層方向から平面視したときに、前記積層体の対角において、前記外部電極と接続されていること、
を特徴とする請求項1に記載の電子部品。 - 前記第1の引き出し電極及び前記第2の引き出し電極が前記積層体から露出している部分は、前記外部電極により覆われていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子部品。 - 請求項2に記載の電子部品が基板に実装された電子装置において、
前記基板は、
前記基板に設けられている回路に電気的に接続され、かつ、前記電子部品が実装されている正方形状の領域の対角に設けられている2つの第1の接続電極と、
前記基板に設けられている回路に電気的に接続されておらず、かつ、前記正方形状の領域において、前記第1の接続電極が設けられている前記対角とは異なる対角に設けられている2つの第2の接続電極と、
を含んでいること、
を特徴とする電子装置。 - 請求項3に記載の電子部品が基板に実装された電子装置において、
前記基板は、
前記基板に設けられている回路に電気的に接続され、かつ、前記電子部品が実装されている正方形状の領域において辺を挟んで隣り合う2つの角に設けられている2つの第1の接続電極と、
前記基板に設けられている回路に電気的に接続されておらず、かつ、前記正方形状の領域において、前記第1の接続電極が設けられている前記2つの角とは異なる2つの角に設けられている2つの第2の接続電極と、
を含んでいること、
を特徴とする電子装置。
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