JP5402077B2 - 電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品に関し、より特定的には、回路素子を内蔵する積層体を備えた電子部品に関する。
従来の電子部品として、内部にコイルを内蔵した積層型電子部品が知られている。このような積層型電子部品は、コイルパターンが形成された絶縁体層が積層されて積層体が作製され、該積層体の表面に外部電極が形成されることにより作製される。図7(a)及び図7(b)は、積層型電子部品に用いられる絶縁体層210,310の一例を示した図である。
図7(a)に示す絶縁体層210の主面上には、内部導体212が設けられている。内部導体212は、コイル導体214及び引き出し導体216a,216bを有する。引き出し導体216a,216bは、絶縁体層210の短辺全体に沿って設けられている。そして、コイル導体214は、引き出し導体216a,216bを接続するように設けられている。
絶縁体層210が用いられた積層型電子部品では、図7(a)に示した絶縁体層210と、内部導体212が設けられていない絶縁体層とを積層して、積層体を作製する。この際、複数の積層型電子部品を同時に作製可能とするために、内部導体212がマトリクス状に設けられた大判の絶縁体層を用いて、マザー積層体を作製する。そして、マザー積層体を、カット刃やダイサーによって、個別の積層体にカットする。この後、積層体に外部電極を作製して、電子部品を得る。
ところで、絶縁体層210が用いられた積層型電子部品では、カット刃やダイサーの刃が痛みやすいという問題がある。より詳細には、図7(a)の長辺に沿って、マザー積層体をカットする際には、絶縁体層210と共に、引き出し導体216a,216bをカットする必要がある。引き出し導体216a,216bは、例えば、Agを主成分とする導電性ペーストにより作製され、絶縁体層210に比べて硬い。よって、カット刃やダイサーは、マザー積層体のカットの際に痛んでしまう。
そこで、例えば、図7(b)に示す絶縁体層310を用いることが考えられる。絶縁体層310の主面上には、内部導体312が設けられている。内部導体312は、コイル導体314及び引き出し導体316a,316bを有する。引き出し導体316a,316bは、絶縁体層310の短辺に沿って設けられている。ただし、引き出し導体316a,316bは、絶縁体層310の長辺には接していない。そして、コイル導体314は、引き出し導体316a,316bを接続するように設けられている。
前記絶縁体層310が用いられた積層型電子部品では、図7(b)の長辺に沿って、マザー積層体をカットする際に、引き出し導体316a,316bをカットする必要がない。よって、カット刃やダイサーは、マザー積層体のカットの際に痛みにくい。
しかしながら、絶縁体層310では、引き出し導体316a,316bは、絶縁体層310の短辺の一部にしか設けられていない。よって、外部電極と引き出し導体316a,316bとの接触面積は、外部電極と引き出し導体216a,216bとの接触面積に比べて小さくなってしまう。よって、絶縁体層310が用いられた積層型電子部品は、直流抵抗値が大きくなってしまったり、外部電極と引き出し電極316a,316bとの接続信頼性が低下したりするという問題を有する。
上記問題を解決しうる電子部品としては、例えば、特許文献1に記載の積層チップインダクタが知られている。図7(c)は、積層チップインダクタ410を積層方向から平面視したときの透視図である。積層チップインダクタ410は、積層体411及び外部電極418a,418bを備えている。また、積層体411は、コイルとなる内部導体412を内蔵している。内部導体412は、コイル導体414及び引き出し導体416a,416bを有している。コイル導体414は、螺旋状をなすコイルを構成しており、積層方向から平面視したときには、互いに重なり合って、図7(c)に示すように長方形状の環をなしている。引き出し導体416a,416bはそれぞれ、積層体411の短辺に沿って設けられており、積層体411のいずれか一方の長辺と接している。
以上のような構成を有する特許文献1に記載の積層チップインダクタでは、引き出し導体416a,416bは、いずれか一方の長辺にしか接していない。そのため、図7(c)の長辺に沿ってマザー積層体をカットする際には、引き出し導体416a,416bのそれぞれの短辺方向における一方の端部をカットするだけで足りる。よって、該積層チップインダクタでは、図7(a)の絶縁体層210が用いられた電子部品よりも、マザー積層体のカットの際に、カット刃やダイサーが痛みにくい。
また、特許文献1に記載の積層チップインダクタでは、引き出し導体416a,416bはそれぞれ、積層体411の短辺に沿って設けられており、積層体411のいずれか一方の長辺と接している。一方、図7(b)の絶縁体層310では、引き出し導体316a,316bは、両方の長辺に接していない。よって、特許文献1に記載の積層チップインダクタでは、図7(b)の絶縁体層310が用いられた電子部品よりも、引き出し導体416a,416bの短辺方向における長さを長くしやすい。よって、外部電極418a,418bと引き出し導体316a,316bとの接触面積は、外部電極と引き出し導体316a,316bとの接触面積に比べて大きくしやすい。よって、特許文献1に記載の積層チップインダクタは、直流抵抗値を低減することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の積層チップインダクタでは、カット時に、積層体411がいびつに変形してしまうという問題を有する。より詳細には、内部導体412は、Agを主成分とする導電性材料により作製され、積層体411に比べて硬い。よって、カット刃又はダイサーは、引き出し導体416a,416bをカットする際に、引き出し導体416a,416bからの力により曲げられてしまう。その結果、積層体411の側面は、積層体411の上面に対して傾いてしまう。特に、積層チップインダクタでは、積層方向から平面視したときに、積層体411の四隅の内の2つの角にしか引き出し導体416a,416bが設けられていない。そのため、マザー積層体のカット時において、引き出し導体416a,416bの近傍の側面が局所的に傾いてしまい、積層体411にいびつな変形が発生してしまう。
実開平5−69916号公報
そこで、本発明の目的は、マザー積層体のカット時にカット刃やダイサーが痛むことを抑制でき、直流抵抗値を低減でき、かつ、積層体にいびつな変形が発生することを抑制できる電子部品を提供することである。
本発明の一形態に係る電子部品は、長方形状の絶縁体層が積層されることにより構成されている積層体と、前記積層体に内蔵されている回路素子と、前記回路素子と接続されている第1の引き出し導体であって、前記絶縁体層上において、第1の辺に接しながら該第1の辺に沿って延在していると共に、該第1の辺に隣接している第2の辺に接し、かつ、該第1の辺に隣接している第3の辺に接していない第1の引き出し導体と、前記回路素子と接続されている第2の引き出し導体であって、前記第1の引き出し導体が設けられている前記絶縁体層とは異なる前記絶縁体層上において、前記第1の辺に接しながら該第1の辺に沿って延在していると共に、前記第3の辺に接し、かつ、前記第2の辺に接していない第2の引き出し導体と、前記第1の引き出し導体及び前記第2の引き出し導体と接続され、かつ、前記積層体の表面に設けられている第1の外部電極と、を備えていること、を特徴とする。
本発明によれば、マザー積層体のカット時にカット刃やダイサーが痛むことを抑制でき、直流抵抗値を低減でき、かつ、積層体に変形が発生することを抑制できる。
本発明の実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。 本発明の一実施形態に係る電子部品の積層体の分解斜視図である。 磁性体層となるべきセラミックグリーンシートを示した図である。 実験結果を示したグラフであり、サンプルのW2−W1の値を示している。 第1の変形例に係る電子部品の積層体の分解斜視図である。 第2の変形例に係る電子部品の積層体の分解斜視図である。 図7(a)及び図7(b)は、積層型電子部品に用いられる絶縁体層の一例を示した図である。図7(c)は、特許文献1に記載の積層チップインダクタの透視図である。
以下に本発明の実施形態に係る電子部品について説明する。
(電子部品の構成)
以下に、本発明の一実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電子部品10a〜10cの外観斜視図である。図2は、電子部品10aの積層体12aの分解斜視図である。電子部品10aにおいて、z軸方向は、積層方向を示す。また、積層体12aの長辺に沿った方向をx軸方向とし、積層体12aの短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。また、x軸方向、y軸方向及びz軸方向の正方向及び負方向は、積層体12aの中心を基準とする。
電子部品10aは、図1及び図2に示すように、積層体12a、外部電極14a,14b、引き出し導体22a,24a,26a,28a及びコイル(回路素子)Lを備えている。積層体12aは、磁性体層16(16a〜16h)が積層されることにより構成され、直方体状をなしている。また、積層体12aは、コイルLを内蔵している。
磁性体層16は、磁性材料(例えば、Ni−Cu−Zn系フェライト)からなる長方形状の層である。磁性体層16は、互いに平行であってy軸方向に延在している短辺A1,A4、及び、互いに平行であってx軸方向に延在している長辺A2,A3を有している。短辺A1は、x軸方向の負方向側に位置し、短辺A4は、x軸方向の正方向側に位置している。また、長辺A2は、y軸方向の正方向側に位置し、長辺A3は、y軸方向の負方向側に位置している。図2において、短辺A1,A4及び長辺A2,A3の符号については、図面が煩雑になることを避けるために、磁性体層16dのみに付してある。
引き出し導体22a,26aは、磁性体層16dの主面上に設けられている。引き出し導体22aは、磁性体層16d上において、短辺A1に接しながら短辺A1に沿ってy軸方向に延在している。そして、引き出し導体22aは、短辺A1に隣接している長辺A2に接し、かつ、短辺A1に隣接している長辺A3に接していない。よって、引き出し導体22aと 長辺A3との間には隙間SP1が設けられている。
引き出し導体26aは、磁性体層16d上において、短辺A1に平行な短辺A4に接しながら短辺A4に沿ってy軸方向に延在している。そして、引き出し導体26aは、短辺A1に隣接している長辺A3に接し、かつ、短辺A1に隣接している長辺A2に接していない。よって、引き出し導体26aと 長辺A2との間には隙間SP2が設けられている。
引き出し導体24aは、磁性体層16e上において、短辺A1に接しながら短辺A1に沿ってy軸方向に延在している。そして、引き出し導体24aは、短辺A1に隣接している長辺A3に接し、かつ、短辺A1に隣接している長辺A2に接していない。よって、引き出し導体24aと 長辺A2との間には隙間SP3が設けられている。
引き出し導体28aは、磁性体層16e上において、短辺A1に平行な短辺A4に接しながら短辺A4に沿ってy軸方向に延在している。そして、引き出し導体28aは、短辺A1に隣接している長辺A2に接し、かつ、短辺A1に隣接している長辺A3に接していない。よって、引き出し導体28aと 長辺A3との間には隙間SP4が設けられている。
コイルLは、コイル導体(素子導体)20a,20bにより構成されている。コイル導体20aは、磁性体層16d上において、引き出し導体22a,26a間をx軸方向に延在している。これにより、引き出し導体22a,26aは、コイルLに接続されている。また、コイル導体20bは、磁性体層16e上において、引き出し導体24a,28a間をx軸方向に延在している。これにより、引き出し導体24a,28aは、コイルLに接続されている。
また、コイル導体20a,20bは、z軸方向から平面視したときに重なるように設けられており、短辺A1の中点と短辺A4の中点とを結ぶように設けられている。これにより、引き出し導体22a,26a及びコイル導体20aは、磁性体層16dの対角線の交点に対して対称な形状を有している。同様に、引き出し導体24a,28a及びコイル導体20bは、磁性体層16eの対角線の交点に対して対称な形状を有している。
外部電極14aは、図1に示すように、積層体12aのx軸方向の負方向側の側面(表面)に設けられており、引き出し導体22a,24aに接続されている。また、外部電極14aは、z軸方向の両端の上面及び下面、並びに、y軸方向の両端の側面に対して折り返されている。外部電極14bは、図1に示すように、積層体12aのx軸方向の正方向側の側面(表面)に設けられており、引き出し導体26a,28aに接続されている。また、外部電極14bは、z軸方向の両端の上面及び下面、並びに、y軸方向の両端の側面に対して折り返されている。
(電子部品の製造方法)
次に、電子部品10aの製造方法について図1ないし図3を参照しながら説明する。図3は、磁性体層16d,16eとなるべきセラミックグリーンシートを示した図である。
まず、磁性体層16となるべきセラミックグリーンシートを準備する。具体的には、酸化第二鉄(Fe23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニッケル(NiO)及び酸化銅(CuO)を所定の比率で秤量したそれぞれの材料を原材料としてボールミルに投入し、湿式調合を行う。得られた混合物を乾燥してから粉砕し、得られた粉末を800℃で1時間仮焼する。得られた仮焼粉末をボールミルにて湿式粉砕した後、乾燥してから解砕して、フェライトセラミック粉末を得る。
このフェライトセラミック粉末に対して結合剤(酢酸ビニル、水溶性アクリル等)と可塑剤、湿潤材、分散剤を加えてボールミルで混合を行い、その後、減圧により脱泡を行う。得られたセラミックスラリーをドクターブレード法により、キャリアシート上にシート状に形成して乾燥させ、磁性体層16となるべきセラミックグリーンシートを作製する。なお、該磁性体層16となるべきセラミックグリーンシートは、1つ分の磁性体層16の大きさを有しているのではなく、複数の磁性体層16がマトリクス状に配置された大きさを有している。
次に、磁性体層16d,16eとなるべきセラミックグリーンシート上に、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、コイル導体20a,20b及び引き出し導体22a,24a,26a,28aを形成する。ここで、コイル導体20a,20b及び引き出し導体22a,24a,26a,28aを形成する際には、図3に示すように、大判のセラミックグリーンシートに対して、x軸方向及びy軸方向において、コイル導体20a及び引き出し導体22a,26aと、コイル導体20b及び引き出し導体24a,28aとが交互に並ぶように、コイル導体20a,20b及び引き出し導体22a,24a,26a,28aを形成する。
次に、各セラミックグリーンシートを積層する。具体的には、磁性体層16hとなるべきセラミックグリーンシートを配置する。次に、磁性体層16hとなるべきセラミックグリーンシート上に磁性体層16gなるべきセラミックグリーンシートを配置する。この後、磁性体層16gとなるべきセラミックグリーンシートを磁性体層16hとなるべきセラミックグリーンシートに対して圧着する。圧着条件は、100トン〜120トンの圧力及び3秒間から30秒間程度の時間である。この後、磁性体層16f,16e,16d,16c,16b,16aとなるべきセラミックグリーンシートについても同様にこの順番に積層及び圧着する。
ここで、磁性体層16d,16eとなるべきセラミックグリーンシートの積層についてより詳細に説明する。磁性体層16d,16eとなるべきセラミックグリーンシートには、図3に示すセラミックグリーンシートが用いられる。まず、磁性体層16eとなるべきセラミックグリーンシートとして、図3に示すセラミックグリーンシートを、磁性体層16dとなるべきセラミックグリーンシート上に積層する。次に、磁性体層16dとなるべきセラミックグリーンシートとして、図3に示すセラミックグリーンシートを、磁性体層16eとなるべきセラミックグリーンシート上に積層する。この際、図3に示すセラミックグリーンシートを、磁性体層16の1つ分だけx軸方向又はy軸方向にずらす。これにより、図2に示すように、コイル導体20b及び引き出し導体24a,28a上にコイル導体20a及び引き出し導体22a,26aが位置するようになる。
なお、コイル導体20b及び引き出し導体24a,28a上にコイル導体20a及び引き出し導体22a,26aが位置している領域の隣では、コイル導体20a及び引き出し導体22a,26a上にコイル導体20b及び引き出し導体24a,28aが位置している領域が存在する。しかしながら、コイル導体20a及び引き出し導体22a,26aは、磁性体層16dの対角線の交点に対して点対称な構造を有していると共に、コイル導体20b及び引き出し導体24a,28aは、磁性体層16eの対角線の交点に対して点対称な構造を有している。したがって、コイル導体20a及び引き出し導体22a,26a上にコイル導体20b及び引き出し導体24a,28aが位置している領域は、コイル導体20b及び引き出し導体24a,28a上にコイル導体20a及び引き出し導体22a,26aが位置している領域を、z軸を中心に180度回転させたものである。よって、これらの領域は、実質的に同じ構造を有している。
以上の工程により、マザー積層体が形成される。このマザー積層体には、静水圧プレスなどにより本圧着が施される。
次に、マザー積層体をカット刃により所定寸法(1.6mm×0.8mm×0.6mm)の積層体12aにカットする。この際、図3の点線の位置をカット線とする。これにより未焼成の積層体12aが得られる。この未焼成の積層体12aには、脱バインダー処理及び焼成がなされる。脱バインダー処理は、例えば、低酸素雰囲気中において500℃で2時間の条件で行う。焼成は、例えば、800℃〜900℃で2.5時間の条件で行う。
以上の工程により、焼成された積層体12aが得られる。積層体12aには、バレル加工が施されて、面取りが行われる。その後、積層体12aの表面には、例えば、浸漬法等の方法により主成分が銀である電極ペーストが塗布及び焼き付けされることにより、外部電極14a,14bとなるべき銀電極が形成される。銀電極の焼き付けは、800℃で60分間行われる。
最後に、銀電極の表面に、Niめっき/Snめっきを施すことにより、外部電極14a,14bを形成する。以上の工程を経て、図1に示すような電子部品10aが完成する。
(効果)
電子部品10aによれば、以下に説明するように、マザー積層体のカット時にカット刃やダイサーが痛むことを抑制できる。より詳細には、図7(a)の絶縁体層210では、引き出し導体216a,216bは共に、両方の長辺に接していた。そのため、絶縁体層210を2枚重ねて得られるマザー積層体を長辺に沿って1回だけカットする際には、それぞれ2つの引き出し導体216a,216bをカットする必要がある。すなわち、1回のカットで、4つの引き出し導体216a,216bをカットする必要がある。
一方、電子部品10aでは、図2に示すように、長辺A2に接し、かつ、長辺A3に接していない引き出し導体22aと、長辺A3に接し、かつ、長辺A2に接していない引き出し導体24aとが、短辺A1に沿って設けられている。同様に、長辺A3に接し、かつ、長辺A2に接していない引き出し導体26aと、長辺A2に接し、かつ、長辺A3に接していない引き出し導体28aとが、短辺A4に沿って設けられている。よって、マザー積層体を長辺に沿って1回だけカットする際には、2つの引き出し導体(例えば、引き出し導体22a,28a又は引き出し導体24a,26a)をカットするだけで足りる。よって、電子部品10aでは、引き出し導体22a,24a,26a,28aをカットすることによって、カット刃又はダイサーが痛むことを抑制できる。
また、電子部品10aでは、以下に説明するように、直流抵抗値を低減できる。より詳細には、図7(b)に示す絶縁体層310では、引き出し導体316a,316bは、長辺に接することなく、短辺の一部にのみ設けられている。そのため、引き出し導体316a,316bと外部電極との接触面積は、比較的小さい。
一方、電子部品10aでは、引き出し導体22a,24a,26a,28aは、長辺A2,A3のいずれか一方に接している。そのため、引き出し導体22a,24a,26a,28aは、y軸方向において、引き出し導体316a,316bに比べて長い。よって、引き出し導体22a,24a,26a,28aと外部電極14a,14bとの接触面積は、引き出し導体316a,316bと外部電極との接触面積に比べて大きくなる。その結果、電子部品10aにおける直流抵抗値が低減される。更に、例えば、引き出し導体22aは、短辺A1と長辺A2とが交わる角部においても外部電極14aと接している。よって、引き出し導体22a,24a,26a,28aと外部電極14a,14bとの接続信頼性が向上する。
また、電子部品10aによれば、以下に説明するように、積層体12aのカット時に積層体12aにいびつな変形が発生することを抑制できる。より詳細には、図2に示すように、長辺A2に接し、かつ、長辺A3に接していない引き出し導体22aと、長辺A3に接し、かつ、長辺A2に接していない引き出し導体24aとが、短辺A1に沿って設けられている。同様に、長辺A3に接し、かつ、長辺A2に接していない引き出し導体26aと、長辺A2に接し、かつ、長辺A3に接していない引き出し導体28aとが、短辺A4に沿って設けられている。そのため、磁性体層16の長辺に沿ってマザー積層体がカットされる場合には、長辺A2の両端において引き出し導体22a,28aをカットするようになると共に、長辺A3の両端において引き出し導体24a,26aをカットするようになる。よって、カット時において、z軸方向から平面視したときに、積層体12aの四隅にかかる力の大きさが均等に近づく。その結果、積層体12aのカット時に積層体12aにいびつな変形が発生することを抑制できる。
特に、電子部品10aでは、長辺A2に接している引き出し導体22aの数と、長辺A3に接している引き出し導体24aの数とは同じである。同様に、長辺A3に接している引き出し導体26aの数と、長辺A2に接している引き出し導体28aの数とは同じである。よって、z軸方向から平面視したときに、積層体12aの四隅には、同じ数(1つ)ずつ引き出し導体22a,24a,26a,28aが設けられていることになる。その結果、積層体12aの四隅にかかる力の大きさがより均等に近づく。よって、積層体12aのカット時に積層体12aにいびつな変形が発生することをより効果的に抑制できる。
本願発明者は、電子部品10aが奏する効果をより明確なものとするために、以下に説明する実験を行った。具体的には、電子部品10aをサンプルS1として10個作製した。この際、図1に示す、L1,L2,W1,W2,Lを以下のように設定した。
L1=1.6mm
L2=0.4mm
W1=W2=0.8mm
H=0.6mm
また、比較例として、磁性体層16d,16eを図7(a)の絶縁体層210に置き換えた電子部品をサンプルS2として10個作製した。そして、サンプルS1,S2のW2とW1との差を計測した。図4は、実験結果を示したグラフであり、サンプルS1,S2のW2−W1の値を示している。
図4のグラフによれば、サンプルS1の方がサンプルS2よりも、W2−W1の値が小さくなっていることが分かる。これにより、電子部品10aは、マザー積層体のカットの際における積層体12aの変形を低減できていることが分かる。
(変形例)
以上のように構成された本発明に係る電子部品は、前記実施形態に示した電子部品10aに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。以下に第1の変形例に係る電子部品10bについて図面を参照しながら説明する。図5は、第1の変形例に係る電子部品10bの積層体12bの分解斜視図である。
電子部品10aと電子部品10bとの相違点は、磁性体層16iの有無である。電子部品10bでは、コイル導体20c及び引き出し導体22b,26bが設けられた磁性体層16iが、磁性体層16e,16f間に追加されている。このように、コイル導体及び引き出し導体が設けられた磁性体層16は、3層以上設けられていてもよい。なお、コイル導体20c及び引き出し導体22b、26bは、コイル導体20a及び引き出し導体22a,26aと同じ構造であるので、これ以上の説明を省略する。
なお、電子部品10a,10bにおいて、コイル導体20は、x軸方向に延在している。しかしながら、コイル導体20は、x軸方向に対して斜め方向に延在していてもよい。
次に、第2の変形例に係る電子部品10cについて図面を参照しながら説明する。図6は、第2の変形例に係る電子部品10cの積層体12cの分解斜視図である。
電子部品10aと電子部品10cとの相違点は、コイルLの形状である。より詳細には、電子部品10aでは、コイルLは、直線状をなしていたのに対して、電子部品10cでは、コイルLは、螺旋状をなしている。具体的には、コイルLは、コイル導体50a〜50f及びビアホール導体b1〜b6により構成されている。コイル導体50a〜50dは、3/4ターンの長さを有する線状導体である。コイル導体50e,50fは、1/4ターンの長さを有する線状導体である。なお、コイル導体50d,50e間には、図示しない更なるコイル導体50が設けられている。
更に、コイル導体50a,50bは同じ形状を有している。そして、コイル導体50a,50bは、引き出し導体26a,28a、外部電極14b及びビアホール導体b1により並列に接続されている。また、コイル導体50c、50dは同じ形状を有している。そして、コイル導体50c,50dは、ビアホール導体b3,b4により並列に接続されている。また、コイル導体50e,50fは同じ形状を有している。コイル導体50e,50fは、引き出し導体22a,24a、外部電極14a及びビアホール導体b6により並列に接続されている。ビアホール導体b2は、コイル導体50b,50cを接続している。ビアホール導体b5は、コイル導体50dと図示しないコイル導体50とを接続している。これにより、螺旋状のコイルLが構成されている。
なお、電子部品10cにおける引き出し導体22a,24a,26a,28aは、電子部品10aにおける引き出し導体22a,24a,26a,28aと同じ構成であるので説明を省略する。以上のように、電子部品10cのように、コイルLは、螺旋状をなしていてよい。なお、同じ形状を有するコイル導体50が2つずつ並列接続されることにより、電子部品10cの直流抵抗値が低減される。
なお、本発明に係る電子部品では、回路素子は、コイルL以外の素子であってもよい。よって、回路素子は、コンデンサや、コイルとコンデンサとからなるフィルタなどであってもよい。
本発明は、電子部品に有用であり、特に、マザー積層体のカット時にカット刃やダイサーが痛むことを抑制でき、直流抵抗値を低減でき、かつ、積層体にいびつな変形が発生することを抑制できる点において優れている。
A1,A4 短辺
A2,A3 長辺
L コイル
10a〜10c 電子部品
12a〜12c 積層体
14a,14b 外部電極
16a〜16l 磁性体層
20a〜20c,50a〜50f コイル導体
22a、22b,24a,26a,26b,28a 引き出し導体

Claims (4)

  1. 長方形状の絶縁体層が積層されることにより構成されている積層体と、
    前記積層体に内蔵されている回路素子と、
    前記回路素子と接続されている第1の引き出し導体であって、前記絶縁体層上において、第1の辺に接しながら該第1の辺に沿って延在していると共に、該第1の辺に隣接している第2の辺に接し、かつ、該第1の辺に隣接している第3の辺に接していない第1の引き出し導体と、
    前記回路素子と接続されている第2の引き出し導体であって、前記第1の引き出し導体が設けられている前記絶縁体層とは異なる前記絶縁体層上において、前記第1の辺に接しながら該第1の辺に沿って延在していると共に、前記第3の辺に接し、かつ、前記第2の辺に接していない第2の引き出し導体と、
    前記第1の引き出し導体及び前記第2の引き出し導体と接続され、かつ、前記積層体の表面に設けられている第1の外部電極と、
    を備えていること、
    を特徴とする電子部品。
  2. 前記第1の引き出し導体が設けられている前記絶縁体層と、前記第2の引き出し導体が設けられている前記絶縁体層とは、同じ数だけ積層されていること、
    を特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  3. 前記回路素子と接続されている第3の引き出し導体であって、前記絶縁体層上において、前記第1の辺に平行な第4の辺に接しながら該第4の辺に沿って延在していると共に、前記第3の辺に接し、かつ、前記第2の辺に接していない第3の引き出し導体と、
    前記回路素子と接続されている第4の引き出し導体であって、前記第3の引き出し導体が設けられている前記絶縁体層とは異なる前記絶縁体層上において、前記第4の辺に接しながら該第4の辺に沿って延在していると共に、前記第2の辺に接し、かつ、前記第3の辺に接していない第4の引き出し導体と、
    前記第3の引き出し導体及び前記第4の引き出し導体と接続され、かつ、前記積層体の表面に設けられている第2の外部電極と、
    を更に備えていること、
    を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子部品。
  4. 前記回路素子は、前記複数の絶縁体層に設けられている複数の素子導体により構成されており、
    前記第1の引き出し導体、前記第3の引き出し導体及び前記素子導体は、同じ前記絶縁体層上に設けられていると共に、該絶縁体層の対角線の交点に対して対称な形状を有し、
    前記第2の引き出し導体、前記第4の引き出し導体及び前記素子導体は、同じ前記絶縁体層上に設けられていると共に、該絶縁体層の対角線の交点に対して対称な形状を有していること、
    を特徴とする請求項3に記載の電子部品。
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