JP2010059357A - ポリアセタール共重合体の連続的製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】結晶化速度を短く制御し、剛性と靭性両方の向上を可能としたポリアセタール共重合体を連続的に製造する方法を提供する。
【解決手段】(A)トリオキサンと、(B)少なくとも一つの炭素間結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマール、(C)単官能グリシジル化合物及び/又は単官能エポキシ化合物と、(D)多官能グリシジルエーテル及び/又は多官能エポキシ化合物をカチオン重合触媒を用いて塊状重合させ、ポリアセタール共重合体を連続的に製造するにあたり、単官能グリシジル化合物及び多官能グリシジル化合物を所定量添加し、更に全グリシジル化合物及び/又はエポキシ化合物のトリオキサンに対する全導入量が、トリオキサンに対して0.001〜0.5wt%であることを特徴とするポリアセタール共重合体の連続的製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明はポリアセタール共重合体の製造方法に関し、詳しくは、結晶化速度を短縮し、剛性/強度及び靭性の向上を可能としたポリアセタール共重合体を連続的に製造する方法に関する。
ポリアセタール共重合体は、機械的及び熱的性能に優れており、代表的なエンジニアリングプラスチックとして、機械関連、電気・電子関連、自動車関連などの広範囲な分野で利用されている。近年、利用範囲の拡大に伴って該プラスチックに対する要求性能も高度化する一方で、低コスト化の要求も強い。ポリアセタール共重合体は結晶性の高い樹脂であり、溶融状態から過冷却、固化する過程において球晶の速やかな生成が確認される。このときの結晶化速度をバラツキなく短く制御することで成形生産性が向上し、不良成形品の生産防止及びコストダウンに大きく寄与する。結晶化速度を制御する方法として、タルクや窒化ホウ素のような無機化合物を微細に分散せしめる方法や、特定の有機化合物を添加する方法が知られている。無機化合物の場合、タルクは十分な効果を得るために多くの添加を必要とする為、ポリアセタール共重合体との親和性が乏しい場合には球晶外に存在するタルクが原因で靭性が低下するといった問題が生じ、窒化ホウ素の場合では非常に高額のため、低コスト化の要求に相反する。有機化合物の場合には、その効果が十分でなく、添加によりポリアセタール共重合体への着色、熱安定性が悪化するという影響が懸念される。
一方、結晶化速度を制御する方法として、分岐又は網状構造を有するポリアセタール共重合体の添加が知られている(特許文献1〜3参照)。これは多官能的に反応する化合物をコモノマーもしくはターモノマーとして添加し、分岐又は網状構造を有するポリアセタール共重合体を製造せしめ、これを線状ポリアセタール共重合体に押出工程、もしくはコンパウンド工程にて添加するものである。この分岐又は網状構造を有するポリアセタール共重合体の製造は、分岐又は網状構造を形成するための化合物を添加することで重合速度が小さくなること、メルトインデックスが非常に小さい為に重合工程において所要動力が大きく変動し、更には押出工程でも所要動力や樹脂温度の制御のために生産性が著しく低下するなどの問題があり、必ずしも生産性の面で満足のいく効果を得られないのが現状である。この分岐又は網目構造を有するポリアセタール共重合体を単独で使用する場合には、造核作用の効果を高めるため、1)前述のように非常に小さいメルトインデックスとなること、2)高い分岐又は網目密度を形成させるために靭性の低下が認められることが問題として挙げられる。
特公昭55−19942号公報 特公平7−5694号公報 特許第2928823号公報
本発明は掛かる現状を鑑み、結晶化速度を短く制御し、剛性と靭性両方の向上を可能としたポリアセタール共重合体を連続的に製造することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、
(A)トリオキサンと、(B)少なくとも一つの炭素間結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、(C)単官能グリシジル化合物及び/又は単官能エポキシ化合物と、(D)多官能グリシジルエーテル及び/又は多官能エポキシ化合物をカチオン重合触媒によって塊状重合させ、ポリアセタール共重合体を連続的に製造することにより従来の分岐ポリアセタール共重合体の中に、分岐しながら分子間が網状に架橋化したポリアセタール共重合体を不均一に生成させ、これが製品中の結晶化速度を有効に制御するだけでなく、剛性及び靭性両方とも向上せしめることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下に示すポリアセタール共重合体を連続的に製造する方法に関する。
(A)トリオキサンと、(B)少なくとも一つの炭素間結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、(C)単官能グリシジル化合物及び/又は単官能エポキシ化合物と、(D)多官能グリシジルエーテル及び/又は多官能エポキシ化合物をカチオン重合触媒を用いて塊状重合させ、ポリアセタール共重合体を連続的に製造するにあたり、
(C)単官能グリシジル化合物及び/又は単官能エポキシ化合物をトリオキサンに対して0.001〜1.0wt%連続的に添加しながら、(D)多官能グリシジル化合物及び/又は多官能エポキシ化合物の導入濃度を、最大値がトリオキサンに対して0.01〜1.0wt%、最小値がトリオキサンに対して0〜0.001wt%とし、更に全グリシジル化合物及び/又はエポキシ化合物のトリオキサンに対する全導入量が、トリオキサンに対して0.001〜0.5wt%であることを特徴とするポリアセタール共重合体の連続的製造方法。
本願発明により、結晶化速度を短縮し、剛性/強度及び靭性の向上を可能としたポリアセタール共重合体を連続的に製造することが可能となった。
本発明におけるポリアセタール共重合体の重合方法としては、実質上溶媒を用いない塊状重合法が好適である。これは溶融状態にあるモノマーを用いた重合方法であり、重合の進行に伴い、モノマー混合液中に重合物が晶析し、やがて系全体が塊状化及び粉状化して固体状のポリマーを得るものである。重合は、酸素の非存在下、好ましくは窒素雰囲気下に行う。
本発明で用いることのできる重合触媒は、三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五塩化リン、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン及びこれらの配位化合物、ヘテロポリ酸、イソポリ酸、パーフルオロアルキルスルホン酸またはその誘導体などの公知のカチオン活性触媒などである。また、これらの触媒を2種以上併用することも可能である。その中でも特に三フッ化ホウ素を含む化合物、あるいは三フッ化ホウ素水和物および配位錯体化合物が好適である。エ−テル類との配位錯体である三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートは特に好ましい。その添加量は、主モノマーのトリオキサンに対して、三フッ化ホウ素換算で、一般的には3.0×10−6〜2.0×10−4wt%であり、好ましくは8.0×10−6〜8.0×10−5wt%の範囲で使用される。これらの触媒は反応系に均一に分散させるために重合反応に悪影響の無い有機溶媒で希釈して使用することが好ましい。この有機溶媒としては、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、n−ブチルエーテルなどのエーテル類、並びにベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、メチレンジクロライド、エチレンジクロライドなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
本発明における原料モノマーは、(A)成分としてホルムアルデヒドの環状三量体であるトリオキサンであり、(B)成分としてコモノマーである少なくとも一つの炭素間結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールが用いられる。コモノマーの具体例として、例えば、1,3−ジオキソラン、2−エーテル−1,3−ジオキソラン、2−プロピル−1,3−ジオキソラン、2−ブチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−フェニル−2−メチル−1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、2,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−エーテル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2,2,4−トリメチル−1,3−ジオキソラン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−ブチルオキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−フェノキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−クロルメチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキカビシクロ[3,4,0]ノナン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン、スチレンオキシド、オキシタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン及び1,3−ジオキセパンなどのオキセパン類、1,3,6−トリオキソカンなどのオキソカン類、更にはオキセタン類が挙げられる。これらの中でも1,3−ジオキソランが特に好ましい。
コモノマーの添加量は、トリオキサンに対して0.5〜40.0mol%が好ましく、より好ましくは1.1〜20.0mol%である。コモノマーの使用量がこれより多い場合には重合収率が低下し、少ない場合には熱安定性が低下する。
(C)成分である単官能グリシジル化合物及び/又は単官能エポキシ化合物としては、エポキシ/グリシジル化合物であれば特に限定されないが、例えば本発明の単官能エポキシ/グリシジルエーテル系化合物はエポキシ/グリシジル系化合物であれば特に限定されないが、例えばメチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル等が挙げられる。
これら単官能グリシジル化合物と単官能エポキシ化合物のどちらか一方又は合計を、トリオキサンに対する全導入量として、トリオキサン1molあたり0.0004〜0.5mmolの範囲で添加する。
(D)成分である多官能グリシジル化合物及び/又は多官能エポキシ化合物としては、エポキシ系化合物やグリシジル系化合物であれば特に限定されないが、例えば、メチルグリシジルホルマール、エチルグリシジルホルマール、プロピルグリシジルホルマール及びブチルグリシジルホルマールといったアルキルグリシジルホルマールや、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾンシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブチレングリコールジグリシジルエーテル、等のジグリシジルエーテル;グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のトリグリシジルエーテル;ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のテトラグリシジルエーテル;或いは上記例のグリシジルエーテル基の代わりにメリリデングリセリルエーテル基の如き環状ホルマール基を有する化合物等が挙げられ、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルは好適に用いることができる。グリシジル化合物中に残留する塩素量は特に規定がないが、できるだけ残塩素濃度が低いものが好ましい。これらは単独あるいは溶液の形で使用することができ、溶液の形で使用される場合、溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メチレンジクロライド、エチレンジクロライドなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
これら、グリシジル化合物とエポキシ化合物のどちらか一方又は合計を、トリオキサンに対する全導入量として、トリオキサンに対して0.001〜1.0wt%の範囲で添加する。添加量がこれより少なくても結晶化速度及び機械物性に与える影響が見えなくなり、逆にこれより多くても重合性が低下する。
グリシジル化合物及び/又はエポキシ化合物を、連続で添加した場合にはポリアセタール共重合体のおよそ全体が分岐又は網状構造を有するため、メルトインデックスが極めて小さく(高粘性と)なるため、メルトインデックスを調整するための連鎖移動剤が多量に必要になるばかりでなく、衝撃に対して弱い(脆い)、靭性に乏しい材料になる。従って、不連続もしくは不連続に近い状態で、限られた短時間の間に該化合物を所定量導入して反応させ、分岐又は網状構造を有するポリアセタール共重合体を不均一に生成させる必要がある。その添加条件としては、その導入濃度の最大値をトリオキサンに対して0.01〜1.0wt%の濃度とし、且つ、最小値をトリオキサンに対して0〜0.001wt%の濃度とする。このような導入濃度にすることによって、パルス状又は正弦カーブを描くように導入することが出来る。
この時、最大値が低い場合には、結晶化速度を増大させる効果が小さいか、もしくは認められない。一方、最小値が高い場合には連続で添加する場合と同様の結果になる。
グリシジル化合物とエポキシ化合物を導入する位置は特に規定はない。トリオキサン、コモノマー、連鎖移動剤、触媒と共に全てを重合機入口で合流させて重合機内部に速やかに導入する方法や、トリオキサン、コモノマー、連鎖移動剤の何れか1種以上と予め混合した後に、触媒と合流させて重合反応を行うか、コモノマー、連鎖移動剤の何れか1種以上と、更には触媒も含めて予め混合した後にトリオキサンと合流させて重合反応を行う方法が実施可能である。
本発明の重合法においても、ポリアセタール共重合体の重合度調節のために連鎖移動剤を添加することができる。連鎖移動剤としては、カルボン酸、カルボン酸無水物、エステル、アミド、イミド、フェノ−ル類、アセタール化合物などが挙げられ、特にフェノール、2,6−ジメチルフェノール、メチラール、ポリアセタールジメトキシドは好適に用いられる。その中でも最も好ましいのはメチラールであり、これを単独あるいは溶液の形で使用することができる。その添加量としては、主モノマーのトリオキサンに対して、メチラールとして2×10−1wt%未満の範囲で通常使用される。溶液の形で使用される場合、溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メチレンジクロライド、エチレンジクロライドなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
重合反応後の失活は、三価の有機リン化合物、アミン化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物などの触媒失活剤が使用できる。アミン化合物としては、一級、二級、三級の脂肪族アミンや芳香族アミン、ヘテロ環アミン、ヒンダードアミン類、その他公知の触媒失活剤が使用できる。例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−n−ブチルアミン、ジ―n―ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、アニリン、ジフェニルアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリンなどが使用できる。これらの中で特に三価の有機リン化合物および三級アミンは好ましく、トリフェニルホスフィンが最も好適である。その添加量としては、触媒を失活させるのに十分な量であれば特に制限はないが、触媒に対するモル比として、1.0×10−1〜1.0×10の範囲で通常使用される。これらの触媒失活剤を溶液、懸濁液の形態で使用する場合、使用される溶剤は特に限定されるものではないが、水、アルコール類の他、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド等の各種の脂肪族及び芳香族の有機溶媒が使用可能である。
掛かる重合及び失活操作の後(安定化前のポリアセタール共重合体を“粗共重合体”と呼ぶ)、必要に応じて、粗共重合体の洗浄、未反応モノマーの分離回収、乾燥等を行っても良いが、本発明では、高収率で熱安定性に優れる粗共重合体が得られるため、この工程を省略することもできる。
本発明では、分岐又は網状となったポリアセタール共重合体を不均一に生成させるが、最終製品ではこれが均一に分散されていることが好ましい。その方法としては、ナウターミキサーなどのブレンダーを用いて数時間内に得られた粗共重合体をバッチで、もしくは、重合工程から粗共重合体を受け入れ、且つ、次の工程へ排出しながら連続的に均一ブレンドすることが挙げられる。均一ブレンドを最終製品のペレットの段階で行うことも可能だが、粗共重合体を実用に供するために必要に応じて、不安定な構造の分解除去又は安定化物質による不安定な末端構造の封止を目的として、公知の方法にて加熱溶融による安定化処理を行う場合、不均一に存在する高粘度の分岐又は網状となった粗重合体のために押出機などの機器所要動力が不安定となる可能性があり、好ましくない。
安定化処理としては、上記で得られたポリアセタール共重合体を加熱溶融して、不安定部分を除去する方法が挙げられる。この時には、ヒンダードフェノール系化合物、窒素含有化合物、アルカリ或いはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩、カルボン酸塩などの何れか1種又は2種以上を添加してもよい。更に必要に応じて、熱可塑性樹脂に対する一般的な添加剤、例えば、染料、顔料などの着色剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、界面活性剤、或いは、有機高分子材料、無機又は有機の繊維状、粉体状、板状の充填剤などを1種又は2種以上添加することができる。
以下に本発明の実施例および比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものでないことは言うまでもない。なお、実施例、比較例中の用語および測定方法を以下に示す。
連続反応機:二つの円が一部重なった内断面を有し、内断面の長径が20cm、L/Dが7.2であり、周囲にジャケットを有する長いケース内に1対のシャフトを備え、それぞれのシャフトには互いにかみ合う擬三角形板が多数はめ込まれ、擬三角形板の先端でケース内面および相手の擬三角形板の表面をクリーニングできる連続混合機。
停止剤混合機:二つの円が一部重なった内断面を有し、内断面の長径が12cm、L/Dが7.2であり、周囲にジャケットを有する長いケース内に1対のシャフトを備え、それぞれのシャフトにはスクリュー様の羽根が多数はめ込まれた構造を有し、供給口部分より停止剤溶液を注入し、連続的に重合生成物と混合せしめる連続反応機。
MI値(溶融指数):粗共重合体100重量部に、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバガイギー社製、商品名イルガノックス245)0.3重量部、メラミン0.1重量部、水酸化マグネシウム0.05重量部を添加、混合した後、ラボプラストミルにおいて220℃、窒素気流下で20分間溶融混錬させて安定化処理した後、ASTM−D1238(190℃、2.16kg加重下)に従って測定した。このMI値は、その値が低いほど、粗共重合体の重合度が高いことを示す。
1/2結晶化時間:90℃で3時間以上乾燥したポリアセタール共重合体のペレット約10mgを2枚のカバーガラスに挟み、200℃に加熱したホットプレート上で溶融、加圧して約100μm厚みのフィルムとした。このフィルムを用い、コタキ製作所製のポリマー結晶化速度測定装置(MK-701型)で1/2結晶化時間を測定した。フィルムをエアーバス中で再溶融させる条件は200℃,3分間とし、等温結晶化を行うオイルバス温度は148℃とした。1/2結晶化時間とは、図1に示したように等温結晶化開始から結晶化が1/2終了するまでの時間を意味する。
引張破断伸び:ASTM D638規格の方法に従い、引張試験速度50mm/分で引張破断伸び(標線間)を測定した。
〈実施例1〜4、比較例1〜5〉
連続反応装置として、前述の連続反応機2台および停止剤混合機を直列に接続したものを使用し、ポリアセタール共重合体の製造を実施した。1台目の反応機の入口より90.0kg/hrのトリオキサンおよび3.8kg/hrの1,3−ジオキソランの混合流に、表1に記載した条件でグリシジル化合物、エポキシ化合物のベンゼン溶液、メチラールのベンゼン溶液(25wt%)、更には触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートのベンゼン溶液(調製濃度:0.3モル/kg)を添加して直ちに反応機内に導き、連続的に反応を行った。1台目ジャケット温度(重合温度)を85℃、第2段目および停止剤混合機ジャケット温度を各々60,40℃に設定した。また、停止剤混合機の入口より、使用した触媒量の2倍モルのトリフェニルホスフィンをベンゼン溶液(調製濃度:0.6モル/kg)で連続的に供給して重合を停止し、粉砕して粗共重合体を収得した。この時に得られた粗共重合体の重合収率は98%であった。次に得られた粗共重合体100重量部に、グリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート(チバスペシャリティケミカル社製、商品名;イルガノックス245)0.3重量部、メラミン 0.1重量部、水酸化マグネシウム 0.05重量部を添加しヘンシェルミキサーを用いて予備混合を行った。この後ベント付二軸押出機に供給し、21.3kPaの減圧下、200℃で溶融混練した後にペレット化した。得られたペレットを用いて、引張試験の測定を行った。結果を表1に示す
Figure 2010059357


1/2結晶化時間の算出方法を図示したものである。

Claims (1)

  1. (A)トリオキサンと、(B)少なくとも一つの炭素間結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、(C)単官能グリシジル化合物及び/又は単官能エポキシ化合物と、(D)多官能グリシジルエーテル及び/又は多官能エポキシ化合物をカチオン重合触媒を用いて塊状重合させ、ポリアセタール共重合体を連続的に製造するにあたり、
    (C)単官能グリシジル化合物及び/又は単官能エポキシ化合物をトリオキサンに対して0.001〜1.0wt%連続的に添加しながら、(D)多官能グリシジル化合物及び/又は多官能エポキシ化合物の導入濃度を、最大値がトリオキサンに対して0.01〜1.0wt%、最小値がトリオキサンに対して0〜0.001wt%とし、更に全グリシジル化合物及び/又はエポキシ化合物のトリオキサンに対する全導入量が、トリオキサンに対して0.001〜0.5wt%であることを特徴とするポリアセタール共重合体の連続的製造方法。
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