JP2004359757A - ポリアセタール共重合体 - Google Patents

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JP2004359757A JP2003158118A JP2003158118A JP2004359757A JP 2004359757 A JP2004359757 A JP 2004359757A JP 2003158118 A JP2003158118 A JP 2003158118A JP 2003158118 A JP2003158118 A JP 2003158118A JP 2004359757 A JP2004359757 A JP 2004359757A
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大輔 須長
Daigo Nakatani
大吾 中谷
Masanori Furukawa
昌典 古川
Masayuki Nakajima
正之 中島
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Abstract

【課題】剛性強度および靭性強度を合わせ持つポリアセタール共重合体を提供する。
【解決手段】トリオキサン1モルあたり、環状エーテル及び/又は環状ホルマール化合物0.12〜0.20モル、及び多官能エポキシ/グリシジルエーテル系化合物0.001〜0.40ミリモルを、トリオキサンと共重合して得られる分岐・架橋ポリアセタール共重合体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に引張強度で示される機械的を損なうことなく優れた靭性及び耐衝撃性に優れたポリアセタール共重合体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアセタール共重合体は、機械的性質、耐薬品性、摺動性等のバランスに優れ、かつその加工が容易であることにより代表的なエンジニアリングプラスチックとして、電気・電子部品、自動車部品その他の各種機械部品を中心として広く利用されている。
【0003】
しかしながら、靭性という面では未だ画期的な改善策は見出されていない。一般に熱可塑性樹脂はその物性を補う性質を有する他樹脂を配合することで、その欠点を補うことが通常行われ、その目的を達成する場合が多い。
【0004】
例えば、自動車部品や衣料部品等のように、軽量で且つ高い靭性を必要とされる部品としての用途には、脆く、柔軟性に劣り、その機能を損なうというような不都合が生じ、その点においても強く改善を望まれていた。
【0005】
ポリアセタール樹脂は、一般の熱可塑性樹脂と異なり、他の熱可塑性樹脂を配合する場合、樹脂間の相互の相溶性、分散性が特に悪く、両相の界面の接着も不十分で、界面での相分離を生じ、成形品とした場合に、表層剥離を生じる場合もあり、かかる他樹脂の配合手段による改質は極めて困難である。
【0006】
また、耐衝撃性を必要とされる部位を有する用途に使用した場合、耐久性が不十分であり、その点においても改善が望まれていた。
【0007】
機械的強度を維持しながら靭性及び耐衝撃性に優れたポリアセタール共重合体を得る手段として、トリオキサン99.8〜85.0重量%に環状エーテル及び/又は環状ホルマール0.1〜10重量%に加えてジグリシジルエーテル化合物0.02〜5重量%添加して、ポリアセタールに分岐構造を形成させることで、機械的強度と靭性をバランスよく保持するポリアセタール樹脂薄肉成形品を提供する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0008】
また、コモノマーとして環状エーテル及び/又は環状ホルマール、分岐・架橋剤として1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを主としたグリシジル系化合物を含有した分岐・架橋ポリアセタール80〜99.5重量%と線状高分子量ポリアセタールを配合させることでブロー成形性に優れ、面衝撃性にも優れたポリアセタール共重合体を提供する方法が開示されている(特許文献2参照)。
【0009】
さらにMI=0.05〜1.8であり、環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマーとして0.1〜10重量%、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを主としたグリシジル化合物を分岐・架橋剤として0.005〜0.2重量%含有した分岐・架橋ポリアセタール90〜99.5重量%に高密度ポリエチレン及びポリエチレンを主としたポリオレフィン系樹脂10〜0.5重量%を配合することで高い溶融張力を有し、ブロー成形性にも優れ、耐衝撃性、耐薬品性にも優れたポリアセタール共重合体を提供する方法が開示されている(特許文献3参照)。
【0010】
なお、トリオキサン100重量%に分岐・架橋剤としてジ、トリ、テトラグリシジルエーテル系化合物0.0005〜2重量%及びコモノマーとしてトリオキサンと共重合可能な環状エーテル及び/又は環状ホルマール0.1〜20重量%を共重合してヘミホルマール末端基量が4mmol/kg以下となる分岐・架橋構造を有するポリアセタール共重合体からなる成形品であって、成形品の流動方向及び該方向に垂直方向におけるX線回折強度による比が0.7≦Fx/Rx≦1.0(但し、Fx:X線の入射方向と透過方向により形成される面が、成形品の流動方向と同方向となるように測定された[100]面のX線回折強度とアモルファスハロー強度との比率。Rx:X線の入射方向と透過方向より形成される面が、成形品の流動方向と垂直方向となるように測定された[100]面のX線回折強度とアモルファスハロー強度との比率)を満足することで、優れた外観、摺動性、熱安定性等の諸物性を維持しつつ、剛性と靭性を両立させたポリアセタール樹脂成形品を提供する方法が開示されている(特許文献4参照)。
【0011】
以上に加えて、トリオキサン100重量部にコモノマーとして環状エーテル及び/又は環状ホルマールを0.05〜20重量部及び含有水酸基量が5mol/kg以下である1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを主としたグリシジル化合物を分岐・架橋剤として0.05〜20重量部を共重合することで、優れた耐衝撃性、剛性、耐クリープ性等を有するポリアセタール共重合体を安定に製造する方法が開示されている(特許文献5参照)。
【0012】
上記のように、靭性及び耐衝撃性を改良する方法として、熱可塑性エラストマ等の他樹脂を配合する以外に、トリオキサン、1,3−ジオキソランを主とした環状エーテル及び/又は環状ホルマールと主にジグリシジル系化合物を共重合させることによって、分岐及び架橋構造を有するポリアセタール共重合体とすることは既に知られている。
【0013】
しかし、優れた靭性及び耐衝撃性を付与するにあたり、トリオキサンと共重合可能な環状エーテル及び/又は環状ホルマール及びグリシジル系化合物に最適含有量が存在することまでは知られていなかった。
【0014】
【特許文献1】
特開平4−339831
【特許文献2】
特開平9−241476
【特許文献3】
特開平9−324106
【特許文献4】
特開平11−35649
【特許文献5】
特開2002−234922
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ASTM D638規格で規定された引張破断伸びで示されるような靭性に富み、且つ良好な耐衝撃性を有するポリアセタール共重合体を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、分岐・架橋剤として、特定量の多官能エポキシ/グリシジルエーテル系化合物を共重合させることにより、上記目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
【発明の実施の形態】
即ち、本発明は、トリオキサン1モルあたり、環状エーテル及び/又は環状ホルマール化合物0.12〜0.20モル、及び多官能エポキシ/グリシジルエーテル系化合物0.001〜0.40ミリモルを、トリオキサンと共重合して得られる分岐・架橋ポリアセタール共重合体である。
【0018】
本発明に用いる分岐・架橋ポリアセタールは、従来公知のオキシメチレンユニット(−CHO−)を主たる構成要素とし、分岐・架橋構造を有するものを総称する。また、分子中主鎖にオキシメチレンユニット以外のコモノマー単位を導入したもの、ブロック成分を導入したものも全て包括される。好ましくは、トリオキサンを主モノマーとし、これと環状エーテル及び/又は環状ホルマール化合物をコモノマーとし、更に分岐・架橋構造を形成しうる特定の化合物を用いて、カチオン活性触媒、例えば三フッ化ホウ素又はその配位化合物或いは各種プロトン酸触媒の存在下で共重合したポリアセタール樹脂が良い。また、分子量の調節及び安定化のために、不安定末端を形成することのない両末端がアルコキシ基を有するメチラール等の低分子量線状アセタールを連鎖移動剤として使用することも勿論可能である。
【0019】
本発明で用いる環状エーテル及び/又は環状ホルマール化合物は、トリオキサンと共重合可能なものであって、例えば、1,3−ジオキソラン、2−エチル−1,3−ジオキソラン、2−プロピル−1,3−ジオキソラン、2−ブチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−フェニル−2−メチル−1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、2,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−エチル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2,2,4−トリメチル−1,3−ジオキソラン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−ブチルオキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−フェノキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−クロルメチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキカビシクロ[3,4,0]ノナン等が挙げられ、これらの中でも1,3−ジオキソランが好ましい。
【0020】
本発明で用いる環状エーテル及び/又は環状ホルマール化合物は、トリオキサン1モルあたり、0.12〜0.20モルであり、好ましくは0.13〜0.18モルであり、さらに好ましくは0.13〜0.15モルである。環状エーテル及び/又は環状ホルマール化合物の使用量がこれより多い場合は重合収率低下につながり、少ない場合は靭性、耐衝撃性改良に及ぼす効果が低下する。
【0021】
本発明の多官能エポキシ/グリシジルエーテル系化合物は、エポキシ/グリシジル系化合物であれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾンシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブチレングリコールジグリシジルエーテル、等のジグリシジルエーテル;グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のトリグリシジルエーテル;ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のテトラグリシジルエーテル;或いは上記例のグリシジルエーテル基の代わりにメリリデングリセリルエーテル基の如き環状ホルマール基を有する化合物、更にはグリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビタンモノエステル、ジグリセリンモノエステル、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビタン、フルクトース、グルコース、ソルビトールおよびこれらのアルキレンオキシド付加体の多価アルコール、更にはジグリセリンテレフタラート等が挙げられる
【0022】
本発明の多官能エポキシ/グリシジルエーテル系化合物は、トリオキサン1モルあたり、0.001〜0.40ミリモルであり、好ましくは0.005〜0.20ミリモルであり、より好ましくは0.010〜0.15ミリモルである。0.001ミリモル未満では靭性、耐衝撃性の改善効果が薄く、0.40ミリモルを超えると、分岐・架橋度が過大となり、三次元構造を形成するようになる。それ故、脆くなり、靭性及び耐衝撃性が低下する。
【0023】
本発明の重合触媒としては、一般のカチオン活性触媒が用いられる。このようなカチオン活性触媒としては、ルイス酸、殊にホウ素、スズ、チタン、リン、ヒ素およびアンチモン等のハロゲン化物、例えば三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五塩化リン、五フッ化リン、五フッ化ヒ素および五フッ化アンチモン、およびその錯化合物または塩の如き化合物、プロトン酸、例えばトリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸、プロトン酸のエステル、殊にパークロル酸と低級脂肪族アルコールとのエステル、プロトン酸の無水物、特にパークロル酸と低級脂肪族カルボン酸との混合無水物、あるいは、トリエチルオキソニウムヘキサフルオロホスファート、トリフェニルメチルヘキサフルオロアルゼナート、アセチルヘキサフルオロボラート、ヘテロポリ酸またはその酸性塩、イソポリ酸またはその酸性塩などが挙げられる。特に三フッ化ホウ素を含む化合物、あるいは三フッ化ホウ素水和物および配位錯体化合物が好適であり、エ−テル類との配位錯体である三フッ化ホウ素ジエチルエ−テラ−ト、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートは特に好ましい。
【0024】
上記触媒使用量は、トリオキサン1molに対して、1×10−7〜1×10−3molであり、好ましくは1×10−7〜1×10−4molが適当である。本発明では、通常、重合収率が90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上に達した時点で触媒を失活させ重合を停止する。
【0025】
ポリアセタール樹脂の重合法は、従来公知のトリオキサンの共重合と同様の設備と方法で行うことが出来る。即ち、バッチ式、連続式のいずれでも可能であり、塊状重合やシクロヘキサンのような有機溶媒の存在下で行う重合法にも適用される。バッチ式では攪拌機付きの反応槽が使用でき、連続式塊状重合においては、重合時の急激な固化、発熱に対処可能な強力な攪拌能力、緻密な温度制御、さらにはスケ−ルの付着を防止するセルフクリ−ニング機能を備えたニ−ダ−、二軸スクリュー式連続押出混練機、二軸のパドル型連続混合機などの装置が好適に使用される。
【0026】
また、重合に際して、分子量を調節するために、低分子量のアセタール化合物を用いることも一般的に行われる。かかるアセタール化合物としては、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラール、オキシメチレンジ−n−ブチルエーテル等が用いられるが、これらには限定されない。通常、メチラールが好ましく用いられる。一般に、かかるアセタール化合物は、目標とする分子量に応じて、トリオキサンに対して0〜1重量%の範囲で添加量が調整される。
【0027】
重合反応によって得られたポリアセタール共重合体は、三価の有機リン化合物、アミン化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物などの失活剤を、単独あるいは水溶液または有機溶液の形態で使用する公知の方法によって、触媒の失活化、除去処理を行う。これらの中で特に三価の有機リン化合物、三級アミン、ヒンダードアミンが好ましい。
【0028】
本発明のポリアセタール共重合体に、その目的に応じ所望の特性を付与するため、後述する従来公知の各種の熱安定剤、酸化防止剤、耐候(光安定)剤、滑剤、染顔料等の着色剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤、蛍光増白剤、充填剤等の添加剤を配合することが好ましい。
【0029】
酸化防止剤としては、例えば1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル〕プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロピオン酸1,6−ヘキサンジイルエステル等のヒンダードフェノール類が挙げられる。これらは単独、或いは2種以上併用しても良い。
【0030】
これらヒンダードフェノール系化合物の添加量は、ポリアセタール重合体100重量%に対し、0.01〜5.0重量%が好ましく、0.01〜2.0重量%がより好ましい。
【0031】
熱安定剤としては、例えばメラミン、メチロ−ルメラミン、グアナミン、ベンゾグアナミン、シアノグアニジン、N,N−ジアリールメラミン、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、尿素、尿素から加熱して合成される尿素加熱縮合体、ポリアクリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ウレタン化合物、ピリジン化合物等の含窒素化合物が挙げられ、これらの中でも、メラミン、メチロ−ルメラミン、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物がより好ましい。これらは単独、或いは2種以上併用しても良い。
【0032】
これら含窒素化合物の添加量は、ポリアセタール重合体100重量%に対し、0.01〜5.0重量%が好ましく、0.01〜1.0重量%がより好ましい。
【0033】
また、熱安定剤としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、あるいは、アルコキシドからなる郡で示される金属含有化合物を配合することが好ましく、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウムの水酸化物、無機酸塩、あるいはアルコキシド等が挙げられ、これらの中でも、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムが最も好ましい。これらは単独、或いは2種以上併用しても良い。
【0034】
これらアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、または、無機酸塩、あるいは、アルコキシドからなる郡で示される金属含有化合物の添加量は、ポリアセタール重合体100重量%に対し、0.001〜5.0重量%が好ましく、0.001〜1.0重量%がより好ましい。
【0035】
本発明では、耐候(光安定)剤として、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物、シアノアクリレート系化合物、蓚酸アニリド系化合物等を添加しても良い。これら耐候剤の添加量は、ポリアセタール共重合体100重量%に対し、0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜3重量%がより好ましい。
【0036】
本発明のポリアセタール共重合体に対して、滑剤および熱安定剤として高級脂肪酸の金属塩を添加しても良い。高級脂肪酸の金属塩は特に限定されないが、ラウリル酸、パルチミン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の高級脂肪酸のマグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等が好ましい。
また、これら高級脂肪酸の金属塩の添加量は、ポリアセタール重合体100重量%に対し、0.0001〜5重量%が好ましく、0.0001〜3重量%がより好ましい。
【0037】
また、離型剤として炭素数10以上の長鎖を有する高級脂肪酸アミド、多価アルコールの脂肪酸エステル及びパラフィンワックスを配合することが好ましい。炭素数10以上の長鎖を有する高級脂肪酸アミドとしては特に限定されないが、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアロアミド、メチレンビスステアロアミド、メチレンビスラウアアミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド等を挙げることができる。これらの中でもエチレンビスステアロアミド、メチレンビスステアロアミド、メチレンビスラウロアミドがより好ましい。多価アルコールの脂肪酸エステル等としては、具体的にはグリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン等の多価アルコールとベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸、ラクセル酸等との脂肪酸エステルが挙げられ、また、パラフィンワックスとしては分子量1000〜200万のものが好ましい。これらは、単独、或いは2種以上併用しても良い。
【0038】
これらパラフィンワックス、炭素数10以上の長鎖を有する高級脂肪酸アミド及び多価アルコールの脂肪酸エステルの添加量は、ポリアセタール重合体100重量%に対し、0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜3重量%がより好ましい。
【0039】
本発明のポリアセタール共重合体に対して、成形性の向上や成形サイクルの短縮を目的として、核化剤を添加してもよく、窒化ホウ素、三次元架橋ポリアセタール等が挙げられる。
【0040】
窒化ホウ素を用いる場合は、平均粒径が光透過法による測定値で100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下が最も好ましい。なお、添加配合される核化剤の量はポリアセタール重合体100重量%に対し、0.0001〜10.0重量%が好ましく、0.001〜5.0重量%がより好ましい。
【0041】
本発明のポリアセタール共重合体に対して、蛍光増白剤としてクマリン系蛍光増白剤、ベンズオキサゾール系蛍光増白剤を添加しても良い。クマリン系蛍光増白剤、ベンズオキサゾール系蛍光増白剤は特に限定されないが、3−(4’−アセチルアミノフェニル)−7−アセチルアミノクマリン、3−(4’−カルボキシフェニル)−4−メチル−7−ジエチルアミノクマリン、2,5−ビス(5’−t−ブチルベンズオキサゾル−2’−イル)チオフェン、2,5−ビス〔5’−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)〕チオフェンが好ましい。これらクマリン系蛍光増白剤、ベンズオキサゾール系蛍光増白剤の添加量はポリアセタール重合体に対し、0.001〜500ppmが好ましく、0.01〜100ppmがより好ましい。
【0042】
また、充填剤としてガラスビーズ、マイカ、カオリン、二酸化ケイ素、クレー、アスベスト、シリカ、ケイソウ土、グラファイト、二硫化モリブデン、カーボンブラック、酸化チタン、ガラス繊維、ミルドファイバー、チタン酸カリウム繊維、ボロン繊維、炭素繊維、アラミド繊維等を添加しても良い。これら充填剤の量は、ポリアセタール重合体100重量%に対し、0.01〜200重量%が好ましく、0.1〜100重量%がより好ましい。
【0043】
本発明によるポリアセタール共重合体のメルトフローインデックス(MI)値(190℃、荷重2,160g)は、通常、0.5〜100g/10minであり、好ましくは1.0〜70g/10minである。
【0044】
重合触媒の失活化を行ったポリアセタール共重合体は、そのまま後段の安定化工程に送ることができるが、一層の精製が必要であるならば、洗浄、未反応モノマーの分離回収、乾燥等を経ることができる。
【0045】
本発明において、これら各種安定剤及び添加剤は重合触媒の失活化を行ったポリアセタール重合体に混合され、単軸又は二軸押出機、二軸のパドル型連続混合機等により加熱溶融混練して、熱安定化処理される。この際、これら各種安定剤或いは添加剤の一部を、熱安定化処理後に分割して添加しても良い、また、熱安定化の際に、水、アルコール、アミン等を添加しても良い。
【0046】
これら各種安定剤及び添加剤を重合触媒の失活化を行ったポリアセタール重合体に配合、混合する方法は特に限定されず、工業的に使用可能な方法であればどのような方法でも良い。例えば、各成分をターンブルミキサーやヘンシェルミキサー等のブレンダーで混合した後、単軸又は二軸押出機、二軸のパドル型連続混合機、バンパリーミキサー、ロール等で混練する方法が適宜選択される。各成分は混練前に予め乾燥することが好ましい。
【0047】
本発明によるポリアセタール共重合体は引張り破断伸びで示される靭性に富み、ASTM D638規格で規定された引張破断伸びの測定値において、80%以上となる成形品を得ることができる。
【0048】
また、本発明によるポリアセタール共重合体は耐衝撃性に優れており、シャルピー衝撃強度で示される衝撃値が7.0kJ/m以上となる成形品を得ることができる。
【0049】
【実施例】
以下に本発明の実施例および比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の用語および測定方法を以下に示す。
【0050】
1)引張試験
ASTM D638規格の方法に従って、引張試験速度50mm/分で引張強度(降伏点)及び引張破断伸び(標線間)を測定した時の、引張破断伸びを測定した。
【0051】
2)シャルピー衝撃試験
ノッチングツール(型式A−3(株)東洋精機製作所製)で幅 10.7mm、厚み 3.2mm、切込み 2.0mmに切削加工した試験片を、シャルピー衝撃試験機(デジタル衝撃試験器:型式DG−CB(株)東洋精機製作所製)において、0.50Jでハンマーを落として破壊されたときの衝撃強度を測定した。
【0052】
実施例1
トリオキサン1mol、1,3−ジオキソランを0.137mol、及び分岐・架橋剤として1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDGE)を0.010mmolの比率で、また、触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートをベンゼン溶液としてトリオキサン1molに対して0.065mmolを各々連続的に添加し、温度を65℃に設定したジャケットを有するセルフクリーニング型パドルを持つ二軸のニーダー中で、重合機中の滞在時間が20分になる様に連続的に重合を行った。分子量調整剤としてメチラールをベンゼン溶液として、トリオキサン1molに対して0.24mmolとなる様に連続的に添加した。
生成した重合物に対して、トリフェニルホスフィンをベンゼン溶液として、添加した三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート 1molに対して2molとなる様に添加し、触媒を失活後、粉砕してポリアセタール共重合体を得た。共重合体の収率は98%であった。
得られたポリアセタール重合体100重量部に、グリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート (チバスペシャリティケミカル社製、商品名;イルガノックス245)0.3重量部、メラミン 0.1重量部、水酸化マグネシウム 0.05重量部を添加しヘンシェルミキサーを用いて予備混合を行った。この後ベント付二軸押出機に供給し、21.3kPaの減圧下、200℃で溶融混練しペレット化した。得られたペレットを用いて、引張試験、シャルピー衝撃試験の測定を行った。結果を表1に示す。
【0053】
実施例2〜5
分岐・架橋剤種、添加量を表1に示した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0054】
比較例1
分岐・架橋剤を添加しないこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0055】
比較例2〜3
分岐・架橋剤種、添加量を表1に示した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
Figure 2004359757
【0057】
【発明の効果】
分岐・架橋剤として多官能エポキシ/グリシジル系化合物を特定量添加し、共重合させて得られるポリアセタール共重合体は、機械的強度を損なうことなく、優れた靭性及び耐衝撃性を有するため、自動車部品、衣料部品、OA機器機構部品、ブロー成形あるいはフィルム等の非射出成形に好適な成形品を得ることができる。

Claims (4)

  1. トリオキサン1モルあたり、環状エーテル及び/又は環状ホルマール化合物0.12〜0.20モル、及び多官能エポキシ/グリシジルエーテル系化合物0.001〜0.40ミリモルを、トリオキサンと共重合して得られる分岐・架橋ポリアセタール共重合体。
  2. トリオキサン1モルあたり、多官能エポキシ/グリシジルエーテル系化合物を、0.005〜0.20ミリモル用いる請求項1記載の分岐・架橋ポリアセタール共重合体。
  3. 環状エーテル及び/又は環状ホルマール化合物が1,3−ジオキソランである請求項1記載の分岐・架橋ポリアセタール共重合体。
  4. 多官能エポキシ/グリシジルエーテル系化合物が1,4−ブタンジオールジグジシジルエーテルである請求項1記載の分岐・架橋ポリアセタール共重合体。
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