JP4170160B2 - 分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造方法 - Google Patents

分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロー成形、押出成形等における成形加工性及び成形品の表面特性に優れた分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアセタール樹脂は機械的低質、耐薬品性、摺動性等のバランスに優れ、かつ、その加工が容易であることにより代表的なエンジニアリングプラスチックとして、電気・電子部品、自動車部品、その他の各種機械部品を中心として広く利用されているが、その殆どは射出成形によるものである。
【0003】
一方、近年、ポリアセタール樹脂の耐薬品性、特に有機溶剤に対する優れた耐性等を生かして、自動車の燃料タンクあるいはエンジンルーム内関連の中空部品等や各種の容器類等に応用する期待が高まっている。このような中空成形部品等の製造には、一般にブロー成形法や押出成形法が効率的な手段として用いられているが、これらの成形法による成形を可能とするためには、溶融しダイから賦形して押出された樹脂やパリソンのドローダウンが少なく、またブロー成形においてはブロー時の成形品の破れや偏肉が生じないことが必要であり、このためには、使用する樹脂が十分な溶融張力を有していることが必要条件とされている。そして、溶融張力を上げるために一般には樹脂の高分子量化が図られており、例えばブロー成形に使用されるポリエチレン等の汎用樹脂では超高分子量タイプのものが広く利用されている。
【0004】
ポリアセタール樹脂においても、射出成形等に汎用される樹脂材料では溶融張力が低く、ダイで賦形された樹脂やパリソンにドローダウンが生じるため、ブロー成形や押出成形を行うことは至難である。これらの成形性等の改善のため、高分子量化させたポリアセタール樹脂を用いることが提案されている(特許文献1参照)。この文献では、高分子量化されたポリアセタール樹脂を得るための製造方法が特徴の1つとされている。
【0005】
また、分岐又は架橋構造を有するポリアセタール共重合体を用いることも提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−301271号公報(請求項1、請求項2、【0004】欄、【0007】欄)
【特許文献2】
特開平8−12734号公報(請求項1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1のように高分子量化されたポリアセタール樹脂をブロー成形等に用いる方法では、ドローダウン性の改善に必要な程度まで高分子量化されたポリアセタール樹脂は流動性が著しく劣るものとなるため、成形加工性は依然として好ましくない。
【0008】
また、上記特許文献2のように分岐又は架橋構造を形成させたポリアセタール樹脂を用いる場合、分岐又は架橋ポリアセタール樹脂は高分子量の割に高剪断状態での粘度が低い傾向にあり、この点ではブロー成形や押出成形にとって好ましいものではあるが、従来から知られた製造方法によって分岐又は架橋ポリアセタール樹脂を製造しようとすると、ブロー成形等に必要な十分な溶融張力を得るためには導入する分岐・架橋構造の増加が必要となり、流動性が損なわれることになる。このため、従来から知られた製造方法により製造されたかかる分岐又は架橋ポリアセタール樹脂を用いた場合には、成形品表面の平滑性の低下、斑点状物の発生等、成形品の表面外観を損ねる問題があった。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の新たな製造方法により、ブロー成形や押出成形用としての従来にない優れた特性、即ちブロー成形や押出成形のための重要な特性である溶融張力及びドローダウン性と流動性とを兼備した分岐又は架橋ポリアセタール樹脂を提供することを目的とするものであり、これにより、ブロー成形等における優れた成形加工性と、表面外観にも優れた成形品の製造を可能にするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、特定条件で分岐又は架橋ポリアセタール樹脂を製造することにより、上述の課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち本発明は、分岐又は架橋ポリアセタール樹脂を製造するにあたり、(A)トリオキサン、(B)環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれる化合物及び(C)グリシジルエーテル化合物を、(D)カチオン重合触媒を用いて塊状重合し、一旦固体状の共重合体を得た後、触媒の失活処理を行うことなく該共重合体を溶融下又は有機溶媒下で加熱処理し、続いてカチオン重合触媒の失活処理を行うことを特徴とする、分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造方法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造方法について説明する。本発明は、(A)トリオキサン、(B)環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれる化合物及び(C)グリシジルエーテル化合物を(D)カチオン重合触媒を用いて重合してなる分岐又は架橋ポリアセタール樹脂を対象とし、後で詳述する如く、その製造において特定の手法を採用したことを特徴とするものである。
【0013】
本発明で使用する(A)トリオキサンとは、ホルムアルデヒドの環状三量体であり、例えばホルムアルデヒド水溶液を用いて酸性触媒の存在下で反応させることにより合成され、さらに蒸留等により精製して用いられる。
【0014】
本発明に使用する(B)環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれる化合物の例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキシド、オキセタン、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン、トリオキセパン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられ、その中でも、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましい。これら環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれる化合物の使用量は、得られるポリアセタール樹脂の熱安定性、該ポリアセタール樹脂からなる成形品の剛性、耐薬品性等を考慮すると、好ましくはトリオキサン100重量部に対して0.01〜20重量部、特に好ましくは0.05〜15重量部である。
【0015】
本発明に使用する(C)グリシジルエーテル化合物は、1分子中に少なくとも1個のグリシジル基を有するものであり、その中でも、特に、1分子中に少なくとも2個のグリシジル基を有するジグリシジルエーテル化合物、トリグリシジルエーテル化合物及びテトラグリシジルエーテル化合物からなる群から選ばれる化合物が好ましい。
【0016】
ジグリシジルエーテル化合物の例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。トリグリシジルエーテル化合物としては、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル等が挙げられる。テトラグリシジルエーテル化合物としてはペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0017】
これらの(C)グリシジルエーテル化合物は、(A)トリオキサン100重量部に対して0.001〜0.2重量部の範囲で使用するのが好ましく、特に好ましくは0.005〜0.15重量部である。
【0018】
かかる(C)グリシジルエーテル化合物は、後述する分子量調整成分と共に作用し、重合体の剪断粘度の調節にも寄与する。(C)グリシジルエーテル化合物の使用量が0.001重量部よりも少ない場合には、分岐又は架橋ポリアセタールとしての特性を得るのが難しく、また、0.2重量部よりも多い場合には剪断粘度が高くなりすぎるため成形性が著しく低下し、いずれも好ましくない。
【0019】
本発明の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造方法においては、上記成分の他に分子量を調整する成分を併用することも可能である。分子量調整をする成分としては、不安定末端を形成することのない連鎖移動剤、即ち、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラール、オキシメチレンジ−n−ブチルエーテルの如きアルコキシ基を有する化合物の1種または2種以上が例示される。
【0020】
本発明に使用する(D)カチオン重合触媒としては、四塩化鉛、四塩化スズ、四塩化チタン、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三塩化バナジウム、三塩化アンチモン、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配位化合物、過塩素酸、アセチルパークロレート、t−ブチルパークロレート、ヒドロキシ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の無機および有機酸、トリエチルオキソニウムテトラフロロボレート、トリフェニルメチルヘキサフロロアンチモネート、アリルジアゾニウムヘキサフロロホスフェート、アリルジアゾニウムテトラフロロボレート等の複合塩化合物、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド等のアルキル金属塩、ヘテロポリ酸、イソポリ酸等の1種または2種以上が挙げられる。その中でも特に三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配位化合物が好ましい。これらの(D)カチオン重合触媒はそのままでも、有機溶剤等で予め希釈してもよく、その調製方法は特に限定されない。これらの(D)カチオン重合触媒は、(A)トリオキサン100重量部に対して0.0001〜0.1重量部の範囲で使用するのが好ましく、特に好ましくは0.005〜0.05重量部である。
【0021】
本発明の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造は、上記の如き成分及び触媒を用い、以下に記載する方法で行われる。
【0022】
まず、(A)トリオキサン、(B)環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれる化合物及び(C)グリシジルエーテル化合物を(D)カチオン重合触媒を用いて塊状重合し、一旦固体状の共重合体(以下、粗ポリアセタール共重合体と称する場合もある)を得る。かかる塊状重合に用いる装置は特に限定されるものではなく、公知の装置が使用され、また、バッチ式、連続式等、いずれの方法も可能である。また、重合温度は65〜135℃に保つことが好ましい。
【0023】
また、重合にあたり、(A)、(B)、(C)の各成分を混合したものに触媒(D)を添加して重合する方法、(A)、(B)、(C)から選択した1又は2の成分と触媒(D)を予め混合しておき、これを他の成分に添加して重合する方法等が何れも可能である。
【0024】
次に、本発明においては、上記により塊状重合させて得られた固体状の粗ポリアセタール共重合体を、触媒の失活処理を行うことなく溶融下又は有機溶媒下で加熱処理する。本発明は、活性な触媒を含有したままの該共重合体にかかる加熱処理を施すことを特徴とし、これにより本発明が目的とする優れた特性を有する分岐又は架橋ポリアセタール樹脂が得られる。
【0025】
従来、ポリアセタール共重合体或いは分岐又は架橋を有するポリアセタール共重合体の製造においては、塊状重合させて得られた固体状の粗ポリアセタール共重合体は直ちにカチオン重合触媒の失活処理が行なわれていた。これは、活性な重合触媒を含有したままの粗ポリアセタール共重合体を保持した場合、共重合体に分解等の好ましくない反応が生じると考えられていたためである。
【0026】
しかるに、本発明が対象とする分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造においては、触媒の存在下で上記の如き加熱処理を施すことにより、本発明が目的とする優れた諸特性を有する分岐又は架橋ポリアセタール樹脂が得られることは驚くべきことである。
【0027】
本発明におけるかかる加熱処理によって共重合体に如何なる反応や作用が生じて効果を発現しているのか、その理由は必ずしも明確ではないが、本発明者は、活性な触媒が存在する状態で加熱処理することにより共重合体分子鎖でのトランスアセタリゼ−ションが進行し、分岐又は架橋単位、さらにはコモノマー単位のより均一でランダムな分散が生じるためと推察している。
【0028】
本発明において、上記の加熱処理は溶融下又は有機溶媒下で行う。
【0029】
溶融下での加熱処理は、塊状重合させて得られた固体状の粗ポリアセタール共重合体を融点以上の温度で一旦溶融させることにより実施する。溶融温度は特に120〜250℃が好ましい。溶融時間は一般に温度が低いほど長時間を必要とし、温度が高いほど短時間となるが、特に限定されるものではない。溶融方法は、スクリューを備えた押出機、攪拌翼を備えたバッチ式混合機、スタティックミキサーを備えたパイプ中、或いは、圧力容器等で行い、又、発生ガスをベント、排出弁等で系外へ除去することができる。
【0030】
また、有機溶媒下での加熱処理は、塊状重合させて得られた固体状の粗ポリアセタール共重合体を有機溶媒中で加熱することにより実施する。有機溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチレン、トリクロルエチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、ジメチルスルホキシド等の硫黄含有化合物、ニトロベンゼン等の窒素含有化合物、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物等が挙げられる。固体状の共重合体は溶媒に溶解させてもよく、不均一に分散させても良い。加熱温度は有機溶媒の種類により異なるが、特に60〜250℃が好ましい。
【0031】
加熱時間は一般に温度が低いほど長時間を必要とし、温度が高いほど短時間となり、特に限定されるものではないが、通常は、溶融下での加熱処理の場合は、0.1〜200分が好ましく、特に好ましくは1〜30分である。また、有機溶媒下での加熱処理の場合は、1〜500分が好ましく、特に好ましくは2〜200分である。上記を超える未満の加熱時間をとっても効果が飽和に達し、また重合体の加熱分解等の問題が生じる。また、上記を下回る加熱時間では、十分な効果を得るのが難しく好ましくない。
【0032】
加熱方法は、攪拌翼を備えたバッチ式混合機、スタティックミキサーを備えたパイプ中、或いは、圧力容器等で行う。
【0033】
尚、溶融下又は有機溶媒下での加熱処理を行うにあたり、塊状重合させて得られた固体状の粗ポリアセタール共重合体に、更に前出の(D)カチオン重合触媒を追加添加して実施することもできる。追加添加するカチオン重合触媒は塊状重合時に使用したものと同一でも、異なっていても良く、又、複数の触媒を併用することも可能である。ここで、追加添加するカチオン重合触媒は、(A)トリオキサン100重量部に対して0.0001〜0.1重量部の範囲で使用するのが好ましい。
【0034】
次に、上記のように溶融下又は有機溶媒下で粗ポリアセタール共重合体の加熱処理を行なった後、カチオン重合触媒の失活処理を行う。カチオン重合触媒の失活処理は、溶融下での加熱処理、或いは有機溶媒下での加熱処理に続き同じ処理装置中で行なってもよく、また、一旦加熱処理装置から取り出した後に、新たに別の容器や押出機中で行っても良い。
【0035】
かかる触媒の失活処理は、加熱処理された粗ポリアセタール共重合体に塩基性化合物、あるいはその水溶液等を加えて行う。重合触媒を中和し失活するための塩基性化合物としては、アンモニア、或いは、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン、ヒンダードアミン等のアミン類、或いは、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物塩類、メラミン、グアナミン、ヒドラジド、尿素等の含窒素化合物、その他公知の触媒失活剤が用いられる。又、この際、必要な各種安定剤、添加剤等を配合することもできる。
【0036】
触媒の失活処理が行なわれた後、必要に応じて共重合体の洗浄、未反応モノマーの分離回収、乾燥等を従来公知の方法で行うこともできる。更に、不安定末端部の分解除去または安定物質による不安定末端の封止等、必要に応じて公知の方法にて安定化処理を行い、又、必要な各種安定剤、添加剤等を配合する。
【0037】
本発明で用いられる安定剤としては、ヒンダートフェノール系化合物、窒素含有化合物、アルカリ或いはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩、カルボン酸塩等のいずれか1種または2種以上を挙げることができる。又、本発明で用いられる添加剤としては、熱可塑性樹脂に対する一般的な添加剤、例えば染料、顔料等の着色剤、滑剤、核剤、離型剤、帯電防止剤、界面活性剤、或いは、有機高分子材料、無機または有機の繊維状、粉体状、板状の充填剤等を1種または2種以上が挙げられ、本発明を阻害しない限り、必要に応じて使用することができる。
【0038】
本発明では、上記のような方法を用いることにより、ブロー成形や押出成形等における成形加工性に優れ、成形品の表面外観にも優れた分岐又は架橋ポリアセタール樹脂を得ることができる。
【0039】
本発明において、上記ポリアセタール樹脂を用いてブロー成形や押出成形により中空成形品を製造するにあたっては、一般の熱可塑性樹脂のブロー成形や押出成形に用いられる成形機を使用し、従来公知の方法に準じて行えばよい。例えばブロー成形においては、上記のポリアセタール樹脂組成物から成るペレットを押出機又は射出成形機で可塑化し、これを環状のダイにより押出し、或いは射出して環状の溶融または軟化したパリソンを形成し、これを金型にはさんで内部に気体を吹込み、膨らませて冷却固化し、中空体として成形される。特に、大型成形品の製造に好適である。成形条件としては、シリンダー温度およびダイ温度180〜250℃で行うのが好ましく、特に190〜220℃が好ましい。また、金型温度は40〜140℃が好ましく、特に50〜120℃が好ましい。内部に吹き込む気体としては、空気、窒素、その他いずれでも良いが、経済的理由から通常空気が用いられる。更に、三次元ブロー成形機等の特殊成形機を使用することも可能であり、また、本発明のポリアセタール樹脂組成物と2層以上にしたり、ポリオレフイン、ポリエステル、ポリアミド樹脂等の他材料による層と組み合わせて多層ブロー成形を行うことも可能である。
【0040】
【発明の効果】
本発明のポリアセタール樹脂の製造方法により、ブロー成形や押出成形に重要な溶融張力、ドローダウン性と流動性を兼備し、成形加工性に優れ、また、成形品の表面外観にも優れた分岐又は架橋ポリアセタール樹脂を得ることができる。
【0041】
また、本発明の製造方法により得られる分岐又は架橋ポリアセタール樹脂は、良好な機械的特性、耐薬品性を有し、自動車の燃料タンク或いはエンジンルーム内関連の中空部品、容器、パイプ等の配管材料、その他、各種工業用途に広く利用することができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0043】
尚、実施例及び比較例における評価方法は次の通りである.
(1)ブロー成形性の評価(耐ドローダウン性、メルトフラクチャー)
ブロー成形時にパリソンが100mmまで落下する時間と500mmまで落下する時間との比(ドローダウン指数)を計算し評価した。尚、樹脂の吐出速度は400g/分であった。この値が大きい程、パリリンがドローダウンしにくく、ブロー成形性が優れている。また、パリソンのメルトフラクチャーの有無から流動性を評価した。
(2)成形品の表面外観の評価(表面平滑性、斑点状物の有無)
実施例・比較例で成形した箱型ブロー成形品について、目視により表面平滑性を評価し、優、良、やや不良、不良にランク付けした。また、成形品中の斑点状物の有無について評価した。
実施例1
連続式二軸混合反応機を用い、パドルを付した2本の回転軸をそれぞれ回転させながら、その一端に設けられた供給口からトリオキサン100重量部、1,3−ジオキソラン3.3重量部、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル0.03重量部、メチラール0.05重量部の混合物を連続的に供給し、同時に三フッ化ホウ素0.003重量部(対トリオキサン)を重合機に連続的に供給しながら、塊状重合を行った。
【0044】
続いて、重合機排出口から排出された固体状の反応生成物(粗ポリアセタール共重合体)を、触媒の失活処理を行うことなく、ベントの付いた2軸押出機に供給し、200℃、平均滞留時間5分間で溶融混錬して溶融下での加熱処理を行った。
【0045】
続いて、加熱処理されたポリアセタール共重合体100重量部に対して、トリエチルアミンを5重量%含有する水溶液3重量部、メラミン0.15重量部、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフエニル)プロピオネート〕(Irganox1010、チバガイギー社製)0.3重量部を添加し、2軸押出機にて200℃で溶融混線することにより触媒を失活すると共に、不安定末端の安定化及び安定剤による安定化を行ない、ぺレット状の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂(メルトインデックス 1.2g/10min、ASTM D1238)を得た。
【0046】
得られた樹脂をブロー成形機で、シリンダー温度200℃、ダイ温度200℃、金型温度80℃、吹き込み圧6.5kg/cm2、ダイ径50mm、ダイのクリアランス2.5mmの条件で、50×80×100(mm)の箱型中空容器を成形し、前述した方法でブロー成形性(耐ドローダウン性、メルトフラクチャー)、成形品の表面外観(表面平滑性、斑点状物の有無)の評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1と同様にして塊状重合を行った。
【0047】
続いて、重合機排出口から排出された固体状の反応生成物(粗ポリアセタール共重合体)を、攪拌翼を備えたバッチ式混合機中でシクロヘキサンを溶媒として分散させ、温度80℃で2時間加熱することにより有機溶媒下での加熱処理を行なった後、溶媒を除去した。
【0048】
加熱処理されたポリアセタール共重合体は、引続いて実施例1と同様にして触媒の失活、安定化等を行ない、ぺレット状の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂(メルトインデックス 1.1g/10min、ASTM D1238)を得た。更に、箱型中空容器をブロー成形し評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1と同様にして塊状重合を行った。
【0049】
続いて、重合機排出口から排出された固体状の反応生成物(粗ポリアセタール共重合体)を実施例1或いは2のような触媒存在下での加熱処理を行うことなく、粗ポリアセタール共重合体100重量部に対して、トリエチルアミンを5重量%含有する水溶液3重量部、メラミン0.15重量部、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフエニル)プロピオネート〕(Irganox1010、チバガイギー社製)0.3重量部を添加し、2軸押出機にて200℃で溶融混線することにより直ちに触媒を失活すると共に、不安定末端の安定化及び安定剤による安定化を行ない、ぺレット状の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂(メルトインデックス 1.0g/10min、ASTM D1238)を得た。更に、箱型中空容器をブロー成形し評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1と同様にして塊状重合を行った。
【0050】
続いて、重合機排出口から排出された固体状の反応生成物(粗ポリアセタール共重合体)にトリエチルアミンを0.05重量%含有する60℃の水溶液に加えて速やかに触媒を失活し、分離、乾燥した。
【0051】
次いで、この粗ポリアセタール共重合体100重量部に対して、メラミン0.15重量部、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフエニル)プロピオネート〕(Irganox1010、チバガイギー社製)0.3重量部を添加し、2軸押出機にて200℃で溶融混線することにより、不安定末端の安定化及び安定剤による安定化を行ない、ぺレット状の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂(メルトインデックス 1.1g/10min、ASTMD1238)を得た。なお、触媒の失活は前処理によって行なわれているため、この溶融混練においては、触媒の失活に必要なトリエチルアミン水溶液の添加は行なわなかった。更に、箱型中空容器をブロー成形し評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルに代えてトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル0.03重量部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行ない、ぺレット状の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂(メルトインデックス 1.0g/10min、ASTM D1238)を得た。更に、箱型中空容器をブロー成形し評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルに代えてトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル0.03重量部を使用した以外は、比較例1と同様の操作を行い、ぺレット状の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂(メルトインデックス 0.9g/10min、ASTM D1238)を得た。更に、箱型中空容器をブロー成形し評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1と同様にして塊状重合を行った。
【0052】
続いて、重合機排出口から排出された固体状の反応生成物(粗ポリアセタール共重合体)の触媒の失活処理を行うことなく更に三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート0.003重量%(対粗ポリアセタール樹脂)を加え、ベントの付いた2軸押出機に供給して、200℃、平均滞留時間5分間で溶融混錬し、溶融下での加熱処理を行った。
【0053】
続いて、加熱処理されたポリアセタール共重合体100重量部に対して、トリエチルアミンを5重量%含有する水溶液3重量部、メラミン0.15重量部、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフエニル)プロピオネート〕(Irganox1010、チバガイギー社製)0.3重量部を添加し、2軸押出機にて200℃で溶融混練することにより触媒を失活すると共に、不安定末端の安定化及び安定剤による安定化を行ない、ぺレット状の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂(メルトインデックス 1.5g/10min、ASTM D1238)を得た。更に、箱型中空容器をブロー成形し評価を行った。結果を表1に示す。
比較例4
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを0.3重量部使用した以外は、比較例1と同様の操作を行ない、ドローダウン指数が実施例1と同程度のぺレット状の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂(メルトインデックス 0.3g/10min、ASTM D1238)を得た。更に、箱型中空容器をブロー成形し評価を行った。結果を表1に示す。
【0054】
本発明の手法をとることなく、ブロー成形や押出成形における成形加工性の指標とされるドローダウン指数を実施例1等と同程度に調整しただけでは、本発明が目的とする効果は得られなかった。
比較例5
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル及びメチラールを使用しないこと以外は、比較例1と同様の操作を行ない、ドローダウン指数が実施例1と同程度のぺレット状のポリアセタール樹脂(メルトインデックス 0.1g/10min、ASTM D1238)を得た。更に、箱型中空容器をブロー成形し評価を行った。結果を表1に示す。
【0055】
本発明の手法をとることなく、ブロー成形や押出成形における成形加工性の指標とされるドローダウン指数を実施例1等と同程度に調整しただけでは、本発明が目的とする効果は得られなかった。
【0056】
【表1】
Figure 0004170160

Claims (7)

  1. 分岐又は架橋ポリアセタール樹脂を製造するにあたり、(A)トリオキサン、(B)環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれる化合物及び(C)グリシジルエーテル化合物を、(D)カチオン重合触媒を用いて塊状重合し、一旦固体状の共重合体を得た後、触媒の失活処理を行うことなく該共重合体を溶融下又は有機溶媒下で加熱処理し、続いてカチオン重合触媒の失活処理を行うことを特徴とする、分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造方法。
  2. 塊状重合させて得られた固体状の共重合体に、更に(D)カチオン重合触媒を添加して溶融下又は有機溶媒下で加熱処理し、続いてカチオン重合触媒の失活処理を行うものである請求項1記載の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造方法。
  3. (A)トリオキサン100重量部、(B)環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれた化合物0.01〜20重量部及び(C)グリシジルエーテル化合物0.001〜0.2重量部を塊状重合させるものである請求項1又は2に記載の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造方法。
  4. (B)環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれる化合物が、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール及び1,4−ブタンジオールホルマールから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造方法。
  5. (C)グリシジルエーテル化合物が、ジグリシジルエーテル化合物、トリグリシジルエーテル化合物及びテトラグリシジルエーテル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造方法。
  6. (D)カチオン重合触媒が、三フッ化ホウ素及び三フッ化ホウ素配位化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造方法。
  7. 加熱処理を、溶融下においては120〜250℃、有機溶媒下においては60〜250℃で行うものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の分岐又は架橋ポリアセタール樹脂の製造方法。
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