JP2010053265A - 筆記具用水性インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 隠蔽力を発現させる材料の沈降がなく、更に、筆記直後と筆跡乾燥後の隠蔽力の差を少なくし、筆記直後と筆跡乾燥後の両方の状態において、筆跡が隠蔽力を発現する筆記具用水性インキ組成物を提供することである。
【解決手段】 少なくとも水と樹脂粒子を配合し、該樹脂粒子として、特定の屈折率と特定の粒径を有する第1の樹脂粒子と、特定の屈折率と特定の粒径を有する第2の樹脂粒子を併用した隠蔽力を有する筆記具用水性インキ組成物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、筆記具用水性インキ組成物に関する。さらに詳しくは、筆跡が隠蔽力を有する筆記具用水性インキ組成物に関するものである。
筆記具により筆記する際において、下地に影響されず、筆跡を残すためには、当該インキが隠蔽力を有するインキであることが必要である。従来、隠蔽力を有する筆記具用インキ組成物としては、酸化チタン等の無機顔料を隠蔽力を発現させる材料として配合したインキが提案されている。しかしながら、酸化チタンは、隠蔽力は大きいもののその比重が大きいため、ゲル化剤や粘度調整剤等を添加して、沈降を押さえるなど、インキの組成に制約があった(例えば特許文献1参照)。
そこで近年、その課題を解消するために、高分子球状粒子や高分子球状中空粒子などを酸化チタンの一部、または全部を代替して用いるインキが提案されている。しかしながら、一部を代替したインキは、比重の大きい酸化チタンの沈降を抑える為の課題に対して、根本的な解決策とはなっておらず、依然、沈降等の問題は解決できていない(例えば特許文献2〜3参照)。
また、酸化チタンの全部を一種類の樹脂粒子で代替したインキは、筆跡乾燥後には隠蔽力を有する筆跡を発現させることができるが、筆記直後に隠蔽力を有していなかったり、その逆に、筆記直後には隠蔽力を有するものの筆跡乾燥後には十分な隠蔽力を発現しないもののどちらかになってしまっており、十分な性能を得るものではなかった(例えば特許文献4参照)。
また、より白色に見せるための工夫として、白色樹脂微粒子の屈折率と粒径を特定したパステル調水性顔料インキ組成物の提案もあるが、筆記直後と筆跡乾燥後に関しての隠蔽力についての解決手段を提案するものではなかった(特許文献5)。
更に、白色系隠蔽剤として特定の高分子扁平粒子を用いた中芯式筆記具用水性顔料インキ組成物が提案されているが、用いる樹脂が、スチレン系の中央陥没状の扁平樹脂粒子と制限があり、この粒子形状を有した粒子でないと、課題が解決できないとの記載があり、更に、高分子中空樹脂粒子では、筆記直後は、その性質から水を含有しており、隠蔽力を発現できないとの記載がある。(特許文献6)。
特公平01−49433号公報 特開昭63−145328号公報 特許第2668422号公報 特開昭63−243179号公報 特公平08−9703号公報 特許第3049186号公報
本発明は、隠蔽力を発現させる材料の沈降がなく、更に、筆記直後と筆跡乾燥後の隠蔽力の差を少なくし、筆記直後から筆跡が隠蔽力を有する筆記具用水性インキ組成物を提供するものである。
本発明は、特定の屈折率と特定の粒径を有する第1の樹脂粒子と、特定の屈折率と特定の粒径を有する第2の樹脂粒子を併用することにより、上記課題が解決され、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
「1.少なくとも水と樹脂粒子を配合し隠蔽力を有する筆記具用水性インキ組成物において、樹脂粒子として、屈折率が1.49〜1.60、平均粒径が800nm〜2000nmの第1の樹脂粒子と、屈折率が1.49〜1.60、平均粒径が300nm〜700nmの第2の樹脂粒子を併用したことを特徴とする筆記具用水性インキ組成物。
2.第1および/または第2の樹脂粒子が、高分子球状密実粒子または高分子球状中空粒子から選ばれる少なくとも1種類以上用いることを特徴とする、第1項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
3.第1および第2の樹脂粒子が、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種類以上の樹脂粒子を含むことを特徴とする、第1項または第2項のいずれか1項に記載の筆記具用水性インキ組成物。」に関する。
本発明によれば、隠蔽力を発現させる材料の沈降がなく、筆記直後と筆跡乾燥後の両方の状態において、隠蔽力を有する筆跡を得ることができる優れた効果を奏するものである。
本発明の筆記具用水性インキ組成物の構成は、少なくとも水と複数の樹脂粒子からなり、該樹脂粒子として、屈折率が1.49〜1.60であり、平均粒径が800nm〜2000nmである第1の樹脂粒子と、屈折率が1.49〜1.60であり、平均粒径が300nm〜700nmである第2の樹脂粒子を併用するものである。
なお、本発明でいう樹脂粒子の平均粒径は、粒子の外径を測定したときのD50の値で表されるが、ここでは、粒度分布計(マルバーン社製 マスターサイザー2000 Hydro 2000μP)を用いて粒子の外径を測定したときの、D50の値を用いる。
筆記具用水性インキ組成物に用いる樹脂粒子として平均粒径が800nm〜2000nmである第1の樹脂粒子のみを用いた場合、筆記直後は、隠蔽力を有するが、筆跡乾燥後、隠蔽力が小さくなる。
筆記具用水性インキ組成物に用いる樹脂粒子として平均粒径が300nm〜700nmである第2の樹脂粒子のみを用いた場合、筆跡乾燥後は、隠蔽力を有するが、筆記直後は隠蔽力がなく、筆跡として視認することはできない。
これらの結果等から、前記第1の樹脂粒子と第2の樹脂粒子を併用することで、筆記直後と筆跡乾燥後の両方の状態において、隠蔽力を有する筆跡を得ることができるという優れた知見を得るに至った。
樹脂粒子の粒径として、第1の樹脂粒子として、平均粒径が1000nm〜1500nmであり、第2の樹脂粒子として、平均粒径が400nm〜600nmの樹脂粒子を併用するとより好ましい。これらの範囲の平均粒径を有する第1および第2の樹脂粒子を用いると、可視光線の波長である400nm〜800nm全域における隠蔽力に偏りがなく、総体的な隠蔽力を高めることができるため好ましい。
第1の樹脂粒子の平均粒径が、この範囲を上回ると、筆記直後の筆跡は、十分な隠蔽力を有するが、全体的に赤味がかる傾向が見られ、この範囲を下回ると、筆記直後の筆跡は、十分な隠蔽力を有するが、青味がかる傾向が見られる。
第2の樹脂粒子の平均粒径が、この範囲を上回ると、筆跡乾燥後は、十分な隠蔽力を有するが、全体的に赤味がかる傾向が見られ、この範囲を下回ると、筆跡乾燥後は、十分な隠蔽力を有するが、青味がかる傾向が見られる。
樹脂粒子の平均粒径は、上記記載の通りであるが、可視光全域に隠蔽力を発現させる為には、樹脂粒子の粒度分布は、平均粒径から正規分布での広がりを持っていることが、好ましい。
一方、白色無機顔料における最大隠蔽力を出す粒径を計算する式が、下記(数1)に示す、Jaenickの式として知られている。
Figure 2010053265
本発明は、該式(数1)を樹脂粒子に応用し、筆記直後と筆跡乾燥後の両方の状態での隠蔽力を発現させる筆記具用インキ組成物を得るものである。
各状態における最大隠蔽力を有する樹脂粒子の粒径を求めるための因子としては、分散媒及び樹脂粒子の屈折率、吸収波長があげられる。
本発明の筆記具用水性インキ組成物において、筆記直後の分散媒は水(屈折率1.33)、筆跡乾燥後の分散媒は空気(屈折率1.00)となる。可視光線の波長は400nm〜800nmであり、これらと樹脂の屈折率を該式(数1)に代入し、そこから求めた、屈折率と各々の分散媒における、可視光線の波長と最大隠蔽力を発現させる粒径の関係を表したのが図1である。
図1から、光の波長が同じ場合、分散媒が水の時と空気の時で、最大隠蔽力を発現させる粒径が異なっている。また、樹脂の屈折率の違いによっても、最大隠蔽力を発現させる粒径が異なっている。更に、図1において、最大隠蔽力を発現させる粒径と光の波長は、1次式の比例関係になっていることがわかる。
図1において、分散媒の違いによる最大隠蔽力を発現させる粒径の差が小さいほど分散媒の影響を受けずに隠蔽力を発現させることができるが、水と空気を分散媒に用いた場合、同一波長における最大隠蔽力を発現させる粒径の差は、単独の樹脂粒子では埋めることができない。この欠点を補うことからも、粒径の異なる樹脂粒子を併用することが必要となるのである。
一般的な樹脂の屈折率は、1.4〜1.7程度であるが、本発明においては、式(数1)および図1等から、樹脂粒子の適正な屈折率の範囲として1.49〜1.60を選択し、そのような屈折率を有する樹脂粒子を用いる。次いで該屈折率を元に、水を分散媒とした時の樹脂粒子の適正な粒径範囲としては、図1から、粒径が800nm〜2000nmが選択でき、この範囲を第1の樹脂粒子の平均粒径として構成する。同様に、空気を分散媒とした時の樹脂粒子の適正な粒径範囲としては、300nm〜700nmが選択でき、この範囲を第2の樹脂粒子の平均粒径として構成する。すなわち異なる適正な平均粒径の第1と第2の樹脂粒子を併用することにより、本発明の目的を達成できるのである。
一方、一般的に隠蔽剤として好適とされる酸化チタンの屈折率は、2.7であり、図1から明らかなように、分散媒が水(屈折率1.33)の時と、分散媒が空気(屈折率1.00)の時で、可視光線の波長の範囲で、最大隠蔽力を発現させる粒径が同じ値を示し同一直線上に乗っている。このことから、酸化チタンが、筆記直後と筆跡乾燥後で、隠蔽力に差がみられないことがわかる。しかし、比重が大きいので、沈降の問題が発生しやすく、他のインキ組成成分、粘度設計等に対する自由度が制限されてしまう課題がある。
この結果を踏まえると、樹脂粒子を隠蔽剤として用い、分散媒が水である筆記直後と、分散媒が空気となる筆跡乾燥後の両者で、隠蔽力を有する筆跡を得るためには、平均粒径の異なる第1と第2の樹脂粒子を併用する必要性があることがわかる。更に可視光線の波長全域に隠蔽力を発現させるには、用いる樹脂粒子の粒度分布に広がりがあることが望ましいことがわかる。
第1の樹脂粒子と第2の樹脂粒子の質量比は、1:0.25〜1:4が好ましい。これよりも第2の粒子が多かった場合、筆記直後の筆跡隠蔽力がやや落ちる傾向が見られ、少なかった場合、筆跡乾燥後の隠蔽力が低下する傾向が見られる。
更に好ましくは、1:0.7〜1:1.5であり、この範囲内であると、筆記直後と筆跡乾燥後の隠蔽力の差がほとんどないので、好ましい。
用いる樹脂粒子としては、密実状の高分子球状密実粒子、中空状の高分子球状中空粒子等の球状樹脂粒子が好適に用いられる。
本発明でいう高分子球状密実粒子とは、樹脂粒子の中が樹脂で詰まったもので、本発明の特定の屈折率の範囲内であれば、2層、3層等多層構造になっていてもよいが、平均粒径としては、本発明の特定の第1および第2の樹脂粒子の範囲内である必要がある。
本発明でいう高分子球状中空粒子とは、樹脂粒子中に、空隙を設けたものであるが、本発明の特定の屈折率の範囲内であれば、単空、多空、多孔質状どのような状態でもよい。但し、樹脂粒子が、インキ作製時や筆記時に樹脂粒子にかかる剪断力によって、変形、破壊しないものが好ましい。また、平均粒径としては、本発明の特定の第1および第2の樹脂粒子の範囲内である必要がある。
本発明に扁平樹脂粒子を用いても構成可能であるが、扁平樹脂粒子は平均粒径の測定や作製する時に粒径の制御がやや難しいことがあり、狙いとする平均粒径にそろえることが困難になる恐れがあるので注意を要する。
樹脂粒子としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂から選ばれるものが好ましい。これらの樹脂は、屈折率が1.49〜1.60であるからである。より具体的には、アクリル樹脂およびその誘導体、スチレン樹脂およびその誘導体、更には、それらが、各種官能基等で変性されていてもよい。
以下具体的用いることができる樹脂をあげるが、これらに限定されない。アクリル系樹脂としては、メチルメタアクリレート樹脂(屈折率1.49)、アクリル酸樹脂およびそれらのエステル誘導体(屈折率約1.5)、メタクリル酸樹脂およびそれらのエステル誘導体(屈折率約1.5)、エポキシ変性またはカルボン酸変性アクリル樹脂(屈折率約1.5)、シリカ−アクリル複合樹脂(屈折率1.52)、スチレン−アクリル共重合樹脂(屈折率1.55)などがあげられる。
スチレン系樹脂としては、スチレン樹脂(屈折率1.59)、アクリロニトリル−スチレン樹脂(屈折率1.56)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(屈折率1.50〜1.59程度)、メタクリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(屈折率1.50〜1.59程度)、アクリロニトリル−アクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂(屈折率1.50〜1.59程度)、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂(屈折率1.56)等があげられる。
本発明に用いられる第1および第2の樹脂粒子は、インキ組成物の状態および筆記直後、筆跡乾燥後に本発明の範囲の粒径を有していれば、架橋されていても、架橋されていなくてもよい。また、第1および第2の樹脂粒子は、通常樹脂を製造する、乳化重合法、懸濁重合法などの製造法により、狙いとする平均粒径を有する状態で作製することができる。
本発明の筆記具用水性インキ組成物に用いる樹脂粒子は、材料としてその形態が粉体状の樹脂粒子でもエマルジョンなどの分散体となっているものでもよい。用いることができる樹脂粒子としては、ケミスノーSX−130H(綜研化学(株)社製、平均粒径1300nm、屈折率1.59、架橋スチレン樹脂、高分子球状密実粒子)、同MR−2HG(同社製、平均粒径2000nm、屈折率1.49、架橋メチルメタアクリレート樹脂、高分子球状密実粒子)、同MP−1000(同社製、平均粒径400nm、屈折率1.49、メチルメタアクリレート樹脂、高分子球状密実粒子)、同MP−1600(同社製、平均粒径800nm、屈折率1.49、メチルメタアクリレート樹脂、高分子球状密実粒子)、同MR−2G(同社製、平均粒径1000nm、屈折率1.49、架橋メチルメタアクリレート樹脂、高分子球状密実粒子)、同MX−150(同社製、平均粒径1500nm、屈折率1.49、架橋メチルメタアクリレート樹脂、高分子球状密実粒子)、同MP−180A(同社製、平均粒径1800nm、屈折率1.49、メチルメタアクリレート樹脂、高分子球状密実粒子)、ソリオスターシリーズ((株)日本触媒社製、平均粒径1100nm〜2000nm、屈折率1.52、シリカ−アクリル複合樹脂、高分子球状密実粒子)、リオスフィアシリーズ(東洋インキ製造(株)社製、平均粒径500nm〜2000nm、屈折率1.49〜1.59、架橋アクリル系樹脂、高分子球状密実粒子)、SX866(A)(JSR(株)社製、平均粒径300nm、屈折率1.55、架橋スチレン−アクリル共重合樹脂、高分子球状中空粒子)等があげられる。これらは、すべて、第1または第2の樹脂粒子いずれかの樹脂粒子として使用可能である。
エマルジョン等の分散体としては、ローペイクHP−1055(ロームアンドハースジャパン(株)社製、平均粒径1000nm、屈折率1.55、スチレン−アクリル共重合樹脂分散体、高分子球状中空粒子)、ローペイクウルトラ(同社製、平均粒径380nm、屈折率1.55、スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体、高分子球状中空粒子)、SX866(B)(JSR(株)社製、平均粒径300nm、屈折率1.55、架橋スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体、高分子球状中空粒子)、SX8782(A)(同社製、平均粒径1100nm、屈折率1.55、架橋スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体、高分子球状中空粒子)、SX8782(D)(同社製、平均粒径1000nm、屈折率1.55、架橋スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体、高分子球状中空粒子)、グランドールPP−1000EF(DIC(株)社製、平均粒径1000nm、屈折率1.55、スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体、高分子球状密実粒子)、ニポールMH5055(日本ゼオン(株)社製、平均粒径500nm、屈折率1.55、変性スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体、高分子球状中空粒子)などがあげられる。これらは、すべて、第1または第2の樹脂粒子いずれかの樹脂粒子として使用可能である。
また、粉体状の樹脂粒子を、分散剤等を用い、一般的な湿式分散法に用いられる分散機により分散した分散体を作製した後にインキ化してもよい。分散剤としては、高分子系、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性の分散剤を用いることができる。
本発明の筆記具用水性インキ組成物は分散媒として水を用いるが、水溶性有機溶剤を併用することができる。具体的には、アルコール系、グリコール系、グリコールエーテル系溶剤等があげられる。
本発明の筆記具用水性インキ組成物を作製するにあたっては、一般的に用いられているインキ作製法を用いることができる。
また、筆跡隠蔽力に影響を及ぼさない程度に、保湿剤、定着剤、防かび剤、酸化防止剤、pH調整剤等を用いることができる。
所望の筆跡色を得るために、着色剤を併用してもよい。併用できる着色剤としては、染料系、顔料系などの通常の筆記具用水性インキ組成物に用いられる着色剤があげられる。所望の筆跡色の効果を上げる為に、該着色剤の発色波長を勘案し、その補色や同系色となる最適な平均粒径を有する第1および第2の樹脂粒子を用いるとより好ましい。
また、媒質の屈折率を考慮して第1の樹脂粒子の最適粒径範囲を設定することを応用すれば、媒質は水性に限らず揮発性または浸透性を有する油性であってもよく、油性インキへの応用も可能である。
尚、ここでいう媒質とは、分散媒に筆跡乾燥性、インキ保湿性などのインキ性能を向上させる為に、各種添加剤を添加したものである。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1
スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体(第1の樹脂粒子) 20質量部
(DIC(株)社製、グランドールPP−1000EF、固形分:45%、平均粒径:1000nm、屈折率:1.55、高分子球状密実粒子)
架橋スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体(第2の樹脂粒子)30質量部
(JSR(株)社製、SX−866(B)、固形分:20%、平均粒径:300nm、屈折率:1.55、高分子球状中空粒子)
グリセリン 10質量部
イオン交換水 40質量部
上記配合物を混合攪拌し、筆記具用水性インキ組成物を得た。
実施例2
架橋スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体(第1の樹脂粒子)30質量部
(JSR(株)社製、SX8782(A)、固形分:24%、平均粒径:1100nm、屈折率:1.55、高分子球状中空粒子)
変性スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体(第2の樹脂粒子)30質量部
(日本ゼオン(株)社製、MH5055、固形分:30%、平均粒径:500nm 屈折率:1.55、高分子球状中空粒子)
グリセリン 10質量部
イオン交換水 30質量部
上記配合物を混合攪拌し、筆記具用水性インキ組成物を得た。
実施例3
架橋スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体(第1の樹脂粒子)48質量部
(JSR(株)社製、SX8782(D)、固形分:28%、平均粒径:1000nm、屈折率:1.55、高分子球状中空粒子)
変性スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体(第2の樹脂粒子)30質量部
(日本ゼオン(株)社製、MH5055、固形分:30%、平均粒径:500nm 屈折率:1.55、高分子球状中空粒子)
グリセリン 10質量部
イオン交換水 12質量部
上記配合物を混合攪拌し、筆記具用水性インキ組成物を得た。
実施例4
架橋スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体(第1の樹脂粒子)38質量部
(JSR(株)社製、SX8782(A)、固形分:24%、平均粒径:1100nm、屈折率:1.55、高分子球状中空粒子)
架橋スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体(第2の樹脂粒子)30質量部
(JSR(株)社製、SX−866(B)、固形分:20%、平均粒径:300nm、屈折率:1.55、高分子球状中空粒子)
グリセリン 10質量部
イオン交換水 22質量部
上記配合物を混合攪拌し、筆記具用水性インキ組成物を得た。
比較例1
実施例1において、以下のように第1の樹脂粒子のみを使用し、第2の樹脂粒子を用いなかった他は実施例1と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体(第1の樹脂粒子) 50質量部
(DIC(株)社製、グランドールPP−1000EF、固形分:45%、平均粒径:1000nm、屈折率:1.55、高分子球状密実粒子)
グリセリン 10質量部
イオン交換水 40質量部
上記配合物を混合攪拌し、筆記具用水性インキ組成物を得た。
比較例2
実施例1において、以下のように第2の樹脂粒子のみを使用し、第1の樹脂粒子を用いなかった他は実施例1と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
架橋スチレン−アクリル共重合樹脂水分散体(第2の樹脂粒子)90質量部
(JSR(株)社製、SX−866(B)、固形分:20%、平均粒径:300nm、屈折率:1.55、高分子球状中空粒子)
グリセリン 10質量部
上記配合物を混合攪拌し、筆記具用水性インキ組成物を得た。
上記のように実施例1〜4、比較例1〜2により得られた筆記具用水性インキ組成物について下記の要領により各種評価を行った。
筆跡隠蔽力評価:(株)パイロットコーポレーション製 パラレルプレートペン(筆記幅2.4mm)に、上記インキを充填し、黒色紙(紀州製紙(株)社製、色上質紙、中厚口)に筆記をし、筆記直後と筆跡乾燥後の隠蔽力を目視により観察した。結果を(表1)に示した。
Figure 2010053265
(表1)に示した通り、実施例1〜4のものは筆記直後と筆跡乾燥後の両方の状態において、筆跡が隠蔽力を有しており、良好な結果を得ることができた。
一方、比較例1では、筆記直後には筆跡が隠蔽力を有しているが、筆跡乾燥後は、明らかに、隠蔽力が劣っていた。
比較例2のものは、筆記直後に筆跡隠蔽力を有しておらず、筆跡乾燥後には、筆跡が隠蔽力を有していた。
この様に、比較例においては、筆記直後と筆跡乾燥後の両方の状態で筆跡の隠蔽力は得られず、本発明の課題が解決されていなかった。
尚、上記各例のインキ組成物は、比較的比重の小さい樹脂粒子を隠蔽剤として用いたので、酸化チタンを用いたインキ組成物のように粒子が沈降することもなく安定性のあるものであった。
本発明は、上記構成としたことなどにより、筆記直後と筆跡乾燥後の両方の状態で筆跡の隠蔽力が得られ、実用性が広く、且つ、良好な筆記性能を得ることができる筆記具用水性インキ組成物として、利用可能である。
分散媒が水および空気の場合における樹脂の屈折率を固定した時の光の波長と最大隠蔽力を有する粒径の関係を表したグラフ

Claims (3)

  1. 少なくとも水と樹脂粒子を配合し隠蔽力を有する筆記具用水性インキ組成物において、樹脂粒子として、屈折率が1.49〜1.60、平均粒径が800nm〜2000nmの第1の樹脂粒子と、屈折率が1.49〜1.60、平均粒径が300nm〜700nmの第2の樹脂粒子を併用したことを特徴とする筆記具用水性インキ組成物。
  2. 第1および/または第2の樹脂粒子が、高分子球状密実粒子または高分子球状中空粒子から選ばれる少なくとも1種類以上用いることを特徴とする、請求項1に記載の筆記具用水性インキ組成物。
  3. 第1および第2の樹脂粒子が、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種類以上の樹脂粒子を含むことを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
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