JP2016000790A - 筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料及びそれを用いた筆記具用液体インク組成物 - Google Patents

筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料及びそれを用いた筆記具用液体インク組成物 Download PDF

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達哉 村田
正昭 松本
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正昭 松本
藤沢 清志
Kiyoshi Fujisawa
清志 藤沢
清彦 小林
Kiyohiko Kobayashi
清彦 小林
有美 諸岡
Ariyoshi Morooka
有美 諸岡
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Katsunori Kitazawa
勝徳 北澤
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Abstract

【課題】 アート紙、コート紙、プラスチック、金属等の平滑な非吸収面に筆記しても蛍光色等高彩度で、かつ濃く筆記することができ、特に、有色アート紙、有色コート紙、着色したPET等プラスチック、金属、ブラックボード等においても、蛍光色等高彩度で、かつ濃く筆記することができる筆記具用インク、布用インク、インクジェット記録用、プリンタ用、記録計用などに好適に用いることができる筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料及びそれを用いた筆記具用液体インク組成物を提供する。【解決手段】 染着した合成樹脂中に隠蔽性顔料が内包された状態で含んだことを特徴とする筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料。本発明の筆記具用液体インク組成物は、少なくとも、上記筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料と、水または有機溶剤と、樹脂とからなることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料及びそれを用いた筆記具用液体インク組成物に関し、更に詳しくは、有色アート紙、有色コート紙、着色したPET等プラスチック、金属、ブラックボード等に蛍光色等高彩度で、かつ濃く筆記することができる筆記具用インク、布用インク、インクジェット記録用、プリンタ用、記録計用などの用途に好適な筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料及びそれを用いた筆記具用液体インク組成物に関する。
従来より、筆記具用などのインク組成物については、種々のものが知られており、その中で、特に、アート紙、コート紙、PET等プラスチック、金属、ガラス、ホワイトボード等の平滑な非吸収面に、濃く、細くかつ細かく描画することが可能な筆記具用液体インク組成物などが提供されてきている。
例えば、1)水系媒体または有機溶剤系媒体中にマイクロカプセルを含有したインクジェット記録用インクにおいて、前記マイクロカプセルには少なくとも顔料を内包させ、前記マイクロカプセルの比重と、前記水系媒体または有機溶剤系媒体の比重とを略同一に設定したことを特徴とするインクジェット記録用インク(例えば、特許文献1参照)、2)酸化チタンを内包したマイクロカプセル顔料と、水と、水溶性有機溶媒とを少なくとも含有し、上記マイクロカプセル顔料が油溶性樹脂及び/又は非水系分散剤を含む油性媒体中に酸化チタンを均質状態に分散してなる着色媒体を内包した顔料であるボールペン用白色インキ組成物(例えば、特許文献2参照)、3)隠蔽性粒子、構造粘性付与剤が溶媒に分散されている分散体が封入されたマイクロカプセル粒子を含有することを特徴とする筆記具用インキ組成物(例えば、特許文献3参照)、4)真密度が1.0g/cm3以下の高分子樹脂中に隠蔽性粒子が分散されている複合粒子を含有することを特徴とする筆記具用インキ組成物(例えば、特許文献4参照)などが知られている。
しかしながら、これらの文献1〜4において、文献1〜3に用いられている顔料は、マイクロカプセル中に酸化チタン等の顔料を含む複合顔料であり、また、文献4の顔料は高分子樹脂中に酸化チタン等を分散、解砕した複合粒子であり、本発明の染着した合成樹脂中に隠蔽性顔料が内包された状態で含んだ樹脂固溶体型顔料とは異なるものである。
また、上記特許文献1〜4などに記載の顔料を含有するこれまでの筆記具用インク組成物では、アート紙、コート紙、PET等のプラスチック、金属、ガラス、ホワイトボード等の平滑な非吸収面に筆記して得られた描線濃度や隠蔽性、また、筆記面への定着性を問題等としているものであり、筆記された描線の彩度、色調などの状態がどうかについては全く想定しておらず、不十分なものであり、更なる向上が切望されているのが現状である。
特開平9−208871号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2000−265105号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2006−28370号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2006−28371号公報(特許請求の範囲、実施例等)
そこで、本発明は、アート紙、コート紙、プラスチック、金属等の平滑な非吸収面に筆記しても蛍光色等高彩度で、かつ濃く筆記することができ、特に、有色アート紙、有色コート紙、着色したPET等のプラスチック、金属、ブラックボード等においても、蛍光色等高彩度で、かつ濃く筆記することができる筆記具用インクなどの顔料に好適な筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料及びそれを用いた筆記具用液体インク組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記従来の課題等を解決するために、鋭意研究を行った結果、筆記具用液体インク組成物などに用いる顔料として、染着した合成樹脂中に隠蔽性顔料が内包された状態で含んだ樹脂固溶体型とすることで、上記目的の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料及びそれを用いた筆記具用液体インク組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は次の(1)〜(5)に存する。
(1) 染着した合成樹脂中に隠蔽性顔料が内包された状態で含んだ樹脂固溶体型であることを特徴とする筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料。
(2) 内包される前記隠蔽性顔料の含有量は、隠蔽性顔料も含めた樹脂固溶体型顔料全量に対して、15質量%以上であることを特徴とする上記(1)記載の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料。
(3) 樹脂固溶体型顔料の平均粒子径が1〜30μmの範囲にあることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料。
(4) 前記隠蔽性顔料を凝集、または無色または淡色樹脂で固め、その周りを前記染着合成樹脂で被覆した状態で含むことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料。
(5) 少なくとも、上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の樹脂固溶体型顔料と、水または有機溶剤と、樹脂とからなることを特徴とする筆記具用液体インク組成物。
本発明によれば、アート紙、コート紙、プラスチック、金属等の平滑な非吸収面に筆記しても蛍光色等高彩度で、かつ濃く筆記することができ、特に、有色アート紙、有色コート紙、着色したPET等プラスチック、金属、ブラックボード等においても、蛍光色等高彩度で、かつ濃く筆記することができる筆記具用インクなどの用途に好適な筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料及びそれを用いた筆記具用液体インク組成物が提供される。
本発明の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料の実施形態の一例を示す概略断面図である。 本発明の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料の実施形態の他例を示す概略断面図である。 本発明の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料の実施形態の他例を示す概略断面図である。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
〔樹脂固溶体型顔料〕
本発明の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料は、染着した合成樹脂中に隠蔽性顔料が内包された状態で含んだ樹脂固溶体型であることを特徴とするものである。
本発明において「隠蔽性顔料」とは、筆記具用液体インク組成物等に用いた場合に、筆記等により得られた塗膜が、下地を隠蔽することに寄与する成分となるものである。具体的には、二酸化チタンなどが本発明における隠蔽性顔料として好ましく使用することができる。その他の用いることができる隠蔽性顔料としては、例えば、酸化亜鉛、白色樹脂粒子等が挙げられるが、隠蔽力等の観点から、二酸化チタンが最も好ましい。
用いる隠蔽性顔料の平均粒子径は、後述する樹脂固溶体型顔料の平均粒子径の好ましい範囲内、並びに、樹脂固溶体型顔料内に内包する隠蔽性顔料の含有量などを勘案して好適な範囲となるものを用いることができ、例えば、200〜1500nmとなる範囲のもの、この範囲の市販品があれば市販品なども用いることができる。
また、本発明における「染着した合成樹脂(染着合成樹脂)」とは、筆記具用液体インク組成物等に用いた場合に、発色のための成分であり、これまで提供されてきている昼光顔料等が全て使用することができる。
具体的には、染料、特に、チオフラビン、ブリリアントスルホラビン、アクリジンオレンジ、ジ−およびトリフェニルメタン系、エオシン、ローダミンB、ローダミン6G等のキサンテン系、チアゾール系、メチレンブルー等チアジン系等の蛍光を有する染料を、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂などに溶解、粉末化された昼光蛍光顔料、前記染料等をモノマーと共に分散、乳化重合した昼光蛍光顔料などが挙げられる。
本発明の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料は、染着した合成樹脂中に隠蔽性顔料が内包された状態で含んだ樹脂固溶体型となるものであれば、その製法、構造などは特に限定されず、種々の形態が挙げられる。
例えば、図1に示すように、染着した合成樹脂(以下、単に「染着合成樹脂」という)中に隠蔽性顔料12,12…が分散された形で内包された状態で含んだ樹脂固溶体型顔料10、図2に示すように、染着合成樹脂11中に隠蔽性顔料12,12…が凝集された形で内包された状態で含んだ樹脂固溶体型顔料20、図3に示すように、隠蔽性顔料12を合成樹脂でコーティング等により被覆した粉体13の外周面に、更に染着合成樹脂11で被覆された状態となる樹脂固溶体型顔料30などが挙げられる。
本発明の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料を製造するには、例えば、図1や図2の形態では、前記染着合成樹脂をアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)などの有機溶剤等に溶解した溶液に、前記隠蔽性顔料を添加し、溶剤を乾燥後、粉砕する方法や、これまで知られているような、モノマーに染料を溶解させ、重合する染着合成樹脂製造過程で、前記モノマーと染料に、隠蔽性顔料を添加し、重合、顔料化する方法などが挙げられる。
また、図3の形態では、例えば、隠蔽性顔料とポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂などの無色または淡色樹脂とを所定の質量比で加熱等により混合後、冷却、粉砕し分級した粉体を、更に染着合成樹脂を有機溶剤等に溶解した溶液に添加し、溶剤を乾燥後、粉砕する方法などが挙げられる。
更に詳しくは、前記隠蔽性顔料を凝集、または無色または淡色樹脂で固め、その周りを前記染着合成樹脂固溶体型顔料で被覆した状態で含むことが好ましい。
この隠蔽性顔料と染着合成樹脂とが高分散しすぎると、非吸収面に濃く筆記できるものが得られるが、隠蔽性顔料が染着合成樹脂の彩度を低下させるので、できるだけ、染着合成樹脂(固溶体顔料)の中心部に、隠蔽性顔料を保持したされた状態で内包することが望ましいためである。
この場合も、隠蔽性顔料の周りに染着合成樹脂を被覆等するには、前記染着合成樹脂を有機溶剤等に溶解した溶液に、前記隠蔽性顔料を凝集、または前記無色または淡色樹脂で固めて、添加し、溶剤を乾燥、粉砕する方法や、モノマーに染料を溶解させ、重合する染着合成樹脂顔料製造過程で、前記モノマーと染料に、隠蔽性顔料を凝集、または無色または淡色樹脂で固めて、添加し、重合、顔料化することで製造することができる。
本発明において、内包される前記隠蔽性顔料の含有量は、隠蔽性顔料も含めた樹脂固溶体型顔料全量に対して、好ましくは、15質量%以上、更に好ましくは、20質量%以上であり、描線濃度、高分散時の顔料耐久性の点から、50質量%以下が望ましい。
この隠蔽性顔料の含有量が15質量%未満では、有色面に筆記した場合の隠蔽力が不十分となる。なお、内包される前記隠蔽性顔料の含有量の調整は、上述の各製法の際に添加する量を好適に調整することにより行うことができる。
本発明の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料の平均粒子径は、好ましくは、1〜30μmの範囲であることが望ましい。
この平均粒子径が1μmより小さいと、隠蔽性顔料の含有量が少ないため、隠蔽力向上効果が低く、一方、30μmを超えてより大きいと、インクの流量性が悪くなる。更に好ましくは、2〜10μmの範囲にあることが望ましい。
なお、本発明(実施例を含む)で規定する隠蔽性顔料の「平均粒子径」は、レーザー回折式粒度分布測定装置〔Microtrac;MT3000〕にて測定した値であり、また、樹脂固溶体型顔料の「平均粒子径」は電子顕微鏡観察より測定し、算術平均した値である。
本発明の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料は、染着した合成樹脂中に隠蔽性顔料が内包された状態で含んだ樹脂固溶体型となるので、蛍光色等高彩度で、かつその濃度も濃く調整できるので、筆記具用液体インクの他、布用インク、インクジェット記録用、プリンタ用、記録計用などに用いる顔料に好適に適用することができる。
〔筆記具用液体インク組成物〕
本発明の筆記具用液体インク組成物は、少なくとも、上記構成の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料と、水または有機溶剤と、樹脂とからなることを特徴とするものである。
上記構成の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料の含有量は、筆記具の用途(ボールペン用、マーキングペン用)、水性インク、油性インク、ゲルインクのインク特性などにより変動するものであるが、上記特性の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料の機能を効果的に発揮せしめる点から、インク組成物全量に対して、好ましくは、20質量%以上、更に好ましくは、25質量%以上、流動性、固着性の点から、好ましくは、50質量%以下、更に好ましくは、45質量%以下とすることが望ましい。
本発明における「有機溶剤」とは、筆記具用液体インクの構成成分のうち一般的に有機溶剤として分類されるものをいう。具体的には、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸エチル等エステル類、キシレン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類、メチルエチルケトン等のケトン類、1-メトキシ2-プロパノール等のグリコールエーテル類など、これまで筆記具用インキ用として知られているものが、いずれも本発明における有機溶剤として使用可能である。
用いる有機溶剤の含有量は、筆記具の用途(ボールペン用、マーキングペン用)、水性インク、油性インク、ゲルインクのインク特性などにより好適に調整される。
本発明における「樹脂」は、具体的には、水系ではアクリル樹脂、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や、エマルションタイプの樹脂、有機溶剤系では、キシレン樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール等、いずれも天然、合成を問わず、これまで筆記具用インク用樹脂として知られているものがいずれも本発明で使用可能である。
用いる樹脂の含有量は、筆記具の用途(ボールペン用、マーキングペン用)、水性インク、油性インク、ゲルインクのインク特性などにより好適に調整される。
さらに、その他の成分として、例えば、水系インクの場合の界面活性剤、分散剤、pH調整や、粘度調整を目的として、これまで筆記具用インク樹脂として知られている添加材等が、いずれも本発明で使用可能である。
本発明の筆記具用液体インク組成物を製造するには、従来から知られている方法が採用可能であり、例えば、上記筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料と、水または有機溶剤と、樹脂などの各成分を所定量配合し、ホモミキサー、もしくはディスパー等の攪拌機により攪拌混合することによって得られる。更に必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去してもよい。
このように構成される本発明の筆記具用液体インク組成物では、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップを筆記先端部に備えたマーキングペン体や、ボールペンチップを筆記先端部に備えたボールペン体に搭載して使用に供される。
本発明の筆記具用液体インク組成物では、少なくとも上記特性の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料と、水または有機溶剤と、樹脂とからなることを特徴とするものであり、アート紙、コート紙、プラスチック、金属等の平滑な非吸収面に筆記しても蛍光色等高彩度で、かつ濃く筆記することができ、特に、有色アート紙、有色コート紙、着色したPET等プラスチック、金属、ブラックボード等においても、蛍光色等高彩度で、かつ濃く筆記することができる筆記具用液体インク組成物が提供されることとなる。
このように構成される本発明の筆記具用液体インク組成物は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。
次に、本発明となる筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料の製造例、並びに、この筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料等を用いた筆記具用液体インク組成物の実施例及び比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記製造例、実施例に何等限定されるものではない。
〔製造例1〜2:筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料の製造〕
(製造例1)
ローダミンBで染着されたメラミン・ホルムアミド樹脂70質量%を同質量のアセトンに溶解し、二酸化チタン(平均粒子径:300〜900nm、以下同様)30質量%を添加後、超音波をかけて分散後、PETフィルム上に塗布し、アセトンを除去した後、フィルムから剥離させ、粉砕、分級して、平均粒子径4.8μmの蛍光桃色顔料を得た。
比較対照用として、上記製造例1において、二酸化チタンを配合しないで製造例1と同様にして平均粒子径4.8μmの蛍光桃色顔料を得た(以下、「比較製造例1」という)。
(製造例2)
低密度ポリプロピレンと二酸化チタンを、質量比1:1で、ニーダーで加熱混合後、3本ロールで混練し、その後冷却、粉砕、分級し、白色粉体を得た。次に、ローダミン6Gで染着されたメラミン・ホルムアミド樹脂60質量%を同重量のアセトンに溶解し、前記白色粉体40質量%を添加後、超音波をかけて分散後、PETフィルム上に塗布し、アセトン除去後、フィルムから剥離させ、粉砕、分級して、平均粒子径5.6μmの蛍光桃色顔料を得た。
比較対照用として、上記製造例2において、白色粉体を配合しないで製造例2と同様にして平均粒子径5.6mの蛍光桃色顔料を得た(以下、「比較製造例2という)。
〔実施例1〜4及び比較例1〜4:筆記具用液体インク組成物の調製〕
(実施例1)
蛍光桃色顔料(製造例1) 40質量%
アクリル樹脂 7質量%
ウレタンエマルジョン 3質量%
トリエタノールアミン 0.5質量%
キサンタンガム 0.2質量%
エチレングリコール 6質量%
精製水 43.3質量%
上記配合組成物をガラスビーズと共に、ペイントシェーカーで分散し、桃色筆記具用液体インク組成物を得た。
(実施例2)
蛍光桃色顔料(製造例2) 35質量%
アクリル樹脂 7質量%
ウレタンエマルジョン 3質量%
トリエタノールアミン 0.5質量%
キサンタンガム 0.3質量%
エチレングリコール 5質量%
精製水 49.2質量%
上記配合組成物をガラスビーズと共に、ペイントシェーカーで分散し、桃色筆記具用液体インク組成物を得た。
(実施例3)
蛍光桃色顔料(製造例1) 35質量%
ポリビニルブチラール 8質量%
エタノール 28質量%
1−メトキシ−2−プロパノール 29質量%
上記配合組成物をガラスビーズと共に、ビーズミルで分散し、桃色筆記具用液体インク組成物を得た。
(実施例4)
蛍光桃色顔料(製造例2) 30質量%
ポリビニルブチラール 7質量%
エタノール 31質量%
1−メトキシ−2−プロパノール 32質量%
上記配合組成物をガラスビーズと共に、ビーズミルで分散し、桃色筆記具用液体インク組成物を得た。
(比較例1)
蛍光桃色顔料(比較製造例1) 28質量%
二酸化チタン 12質量%
アクリル樹脂 7質量%
ウレタンエマルジョン 3質量%
トリエタノールアミン 0.5質量%
キサンタンガム 0.2質量%
エチレングリコール 6質量%
精製水 43.3質量%
上記配合組成物をガラスビーズと共に、ペイントシェーカーで分散し、桃色筆記具用液体インク組成物を得た。
(比較例2)
蛍光桃色顔料(比較製造例2) 24質量%
二酸化チタン 8質量%
ポリビニルブチラール 7質量%
エタノール 30質量%
1−メトキシ−2−プロパノール 31質量%
上記配合組成物をガラスビーズと共に、ビーズミルで分散し、桃色筆記具用液体インク組成物を得た。
(比較例3)
蛍光桃色顔料(比較製造例1) 40質量%
アクリル樹脂 7質量%
ウレタンエマルジョン 3質量%
トリエタノールアミン 0.5質量%
キサンタンガム 0.2質量%
エチレングリコール 6質量%
精製水 43.3質量%
上記配合組成物をガラスビーズと共に、ペイントシェーカーで分散し、桃色筆記具用液体インク組成物を得た。
(比較例4)
蛍光桃色顔料(比較製造例2) 30質量%
ポリビニルブチラール 7質量%
エタノール 31質量%
1−メトキシ−2−プロパノール 32質量%
上記配合組成物をガラスビーズと共に、ビーズミルで分散し、桃色筆記具用液体インク組成物を得た。
上記実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた筆記具用液体インク組成物について、下記評価方法により、黒画用紙、黒アクリル板に描画した際の隠蔽性、並びに、黒画用紙、黒アクリル板に描画した際の蛍光性ついて評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
〔隠蔽性(黒画用紙、黒アクリル板)の評価方法〕
上記の各実施例及び比較例で得た筆記具用液体インク組成物を、それぞれ100μmのバーコーターを用いて黒い画用紙、黒いアクリル板に塗布し、その時の被筆記面の様子を下記評価基準A〜Eの5段階で評価した。
評価基準:
A:下地の黒色が完全に隠蔽され、見えない。
B:下地の黒色がほぼ隠蔽され、注意しないと見えない。
C:下地の黒色が薄く見える。
D:下地の黒色がはっきりと見える。
E:下地の黒色がほとんど見える
〔蛍光性(黒画用紙、黒アクリル板)の評価方法〕
上記の各実施例及び比較例で得た筆記具用液体インク組成物を、それぞれ100μmのバーコーターを用いて黒い画用紙、黒いアクリル板に塗布し、その時の蛍光度合を下記評価基準A〜Eの5段階で評価した。
評価基準:
A:彩度が非常に高く、蛍光性が高い。
B:彩度が高く、蛍光感が有る。
C:彩度は少し高いが、蛍光感は不十分である。
D:彩度が低いが、少し蛍光感が有る
E:彩度が低く、蛍光感が無い(ただし、上記隠蔽性の評価がD又はEであった場合はこの評価とした)。
Figure 2016000790
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜4に係る筆記具用液体インク組成物は、いずれの評価方法も良好な結果を示した。すなわち、黒等濃色紙面や黒いアクリル板等濃色平滑面の下地色を隠蔽して濃く描画でき、その描画面は蛍光色等高彩度となる筆記具用液体インク組成物であった。
これに対し、本発明の範囲外である各比較例のうち、比較例1〜2の評価結果は、描線、描画面の彩度が低く、蛍光感が劣るものであった。また、比較例3〜4は、描線の隠蔽性能の評価が極端に悪く、そのため、下地色が見えて、結果的に蛍光感が劣るものであった。
上記比較例1、2は、「隠蔽性顔料が内包された染着合成樹脂固溶体型顔料」の代わりに「隠蔽性顔料」である二酸化チタンと「染着合成樹脂固溶体型顔料」である蛍光桃色顔料が分散して配合されているので、隠蔽性は高いが、無彩色の二酸化チタンが蛍光顔料の彩度を著しく低下させ、蛍光感が無い桃色描画面になることが確認された。
更に、比較例3、4は、隠蔽性が低い組成物のみが配合されているので、樹脂固溶体型顔料である桃色蛍光顔料の含有率は大きいが、隠蔽性、蛍光性を共に供することは不可能であることが判った。
アート紙、コート紙、プラスチック、金属等の平滑な非吸収面に筆記しても蛍光色等高彩度で、かつ濃く筆記することができ、特に、有色アート紙、有色コート紙、着色したPET等プラスチック、金属、ブラックボード等においても、蛍光色等高彩度で、かつ濃く筆記することができる筆記具用インクの他、布用インク、インクジェット記録用、プリンタ用、記録計用などの用途に好適な筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料、及びそれを用いた筆記具用液体インク組成物が得られる。

Claims (5)

  1. 染着した合成樹脂中に隠蔽性顔料が内包された状態で含んだ樹脂固溶体型であることを特徴とする筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料。
  2. 内包される前記隠蔽性顔料の含有量は、隠蔽性顔料も含めた樹脂固溶体型顔料全量に対して、15質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料。
  3. 樹脂固溶体型顔料の平均粒子径が1〜30μmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料。
  4. 前記隠蔽性顔料を凝集、または無色または淡色樹脂で固め、その周りを前記染着合成筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料で被覆した状態で含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料。
  5. 少なくとも、請求項1〜4の何れか一つに記載の筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料と、水または有機溶剤と、樹脂とからなることを特徴とする筆記具用液体インク組成物。
JP2014121554A 2014-06-12 2014-06-12 筆記具用液体インク組成物用樹脂固溶体型顔料及びそれを用いた筆記具用液体インク組成物 Pending JP2016000790A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024157634A1 (ja) * 2023-01-26 2024-08-02 ソマール株式会社 塗料用樹脂組成物及び塗料

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