JPWO2020203970A1 - 艶消しインク組成物、それを用いて製造される積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents

艶消しインク組成物、それを用いて製造される積層体及び積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

被体の光沢度を抑制して被体の表面をマット調にすることのできる艶消しインク組成物を提供する。インクジェット法によって被体の表面に吐出される艶消しインク組成物であって、前記艶消しインク組成物は、a)活性エネルギー線重合性化合物、又はb)バインダー樹脂及び溶剤と、平均粒径が0.6μm以上2.0μm以下の有機樹脂フィラーと、を含有する艶消しインク組成物である。

Description

本発明は、艶消しインク組成物、それを用いて製造される積層体及び積層体の製造方法に関する。
従来、インクジェットプリント製品に高い付加価値を付与するため、インク組成物が吐出されて形成された印刷層の表面及び又は基材等(被体)の光沢度を抑制して被体の表面をマット調(艶消し)にする方法が開示されている。
例えば、特許文献1にはインク組成物とクリアインクとを所定のパターンに形成することにより表面がマット調となったインクジェット印刷物を得る方法が記載されている。特許文献1によれば、被体の表面に所定パターンの層を形成することにより、表面が均一にマット調になったインクジェット印刷物を得ることができる。
又、特許文献2には印刷層の表面に表面処理用部材を積層させて表面がマット調にする表面処理方法が記載されている。特許文献2によれば、表面がマット調になった印刷物が、容易に得ることができる。
特開2011−224955号公報 特開2017−065004号公報
さて、特許文献1の表面がマット調になった印刷物を得る技術は、画像の一部の領域にマット調の領域を形成する方法であり、ドット径を変えてクリアインクを吐出する必要がある。又、特許文献2の表面処理する技術は、表面処理用部材を用いて表面処理面を形成する方法であることから工程の数が増加する。
本発明は、被体の光沢度を抑制して被体の表面をマット調にすることのできる艶消しインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討をした結果、活性エネルギー線重合性化合物(又はバインダー樹脂及び溶剤)と、所定粒径の有機樹脂フィラーを含有する艶消しインク組成物であれば上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1)インクジェット法によって被体の表面に吐出される艶消しインク組成物であって、前記艶消しインク組成物は、a)活性エネルギー線重合性化合物、又はb)バインダー樹脂及び溶剤と、平均粒径が0.6μm以上2.0μm以下の有機樹脂フィラーと、を含有する艶消しインク組成物。
(2)前記艶消しインク組成物は、前記a)活性エネルギー線重合性化合物を含有する(1)に記載の艶消しインク組成物。
(3)前記被体の表面は、色材を含有する印刷層の表面及び/又は基材の表面である(1)又は(2)に記載の艶消しインク組成物。
(4)前記有機樹脂フィラーの含有量は1質量%以上10質量%以下である(1)から(3)のいずれかに記載の艶消しインク組成物。
(5)前記有機樹脂フィラーの屈折率が1.40以上1.70以下である(1)から(4)のいずれかに記載の艶消しインク組成物。
(6)(1)から(5)に記載の艶消しインク組成物の硬化膜である艶消しインク層が印刷層の表面及び/又は基材の表面に形成される積層体。
(7)前記艶消しインク層の光沢度が50以下である(6)に記載の積層体。
(8)前記艶消しインク層は、前記有機樹脂フィラーと、樹脂と、を含み、前記有機樹脂フィラーの屈折率Frと前記樹脂の屈折率Brとの差Fr−Brは、0.3以下である(6)又は(7)に記載の積層体。
(9)前記艶消しインク層は、前記有機樹脂フィラーと、樹脂と、を含み、前記有機樹脂フィラーの比重Fsと前記樹脂の屈折率Bsとの差Fs−Bsは、0.3以下である(6)から(8)のいずれかに記載の積層体。
(10)インクジェット法によって被体の表面に(1)から(5)のいずれかに記載の艶消しインク組成物を吐出して艶消しインク層を形成する
積層体の製造方法。
(11)インクジェット法によって被体の表面に吐出される水性型の艶消しインク組成物であって、前記艶消しインク組成物は、バインダー樹脂と、溶剤と、水と、平均粒径が0.3μm以上2.0μm以下の有機樹脂フィラーと、を含有する水性型の艶消しインク組成物。
本発明によれば、被体の光沢度を抑制して被体の表面をマット調にすることのできる艶消しインク組成物である。
被体の表面に艶消しインク層が形成された積層体の断面を模式的に表した図(断面図)である。 艶消しインク層の1つのドットを拡大した図(断面図)である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<1.艶消しインク組成物の概要>
本実施の形態に係る艶消しインク組成物は、インクジェット法によって被体の表面に吐出されることにより艶消しインク層を形成して、被体の表面をマット調(艶消し)にすることができる。
そして、この艶消しインク組成物は、a)活性エネルギー線重合性化合物、又はb)バインダー樹脂及び溶剤と、平均粒径が0.6μm以上2.0μm以下の有機樹脂フィラーと、を含有することを特徴とする。
図1に被体の表面に艶消しインク層が形成された積層体の断面を模式的に表した断面図を示す。この積層体10は、基材13の表面に印刷層12が形成されており、その印刷層12の表面に艶消しインク層11が形成されている。この艶消しインク層11は、インクジェット法によって艶消しインク組成物が被体の表面に吐出されて、艶消しインク組成物が硬化する、又は艶消しインク組成物中の溶剤が揮発することにより形成される。
より具体的には、まず、艶消しインク組成物のインク滴がインクジェット法によってドット状に被体の表面に吐出される。そして、被体の表面に吐出された艶消しインク組成物に活性エネルギー線を照射することにより硬化させるか、又は、艶消しインク組成物中の溶剤を揮発させる。すると、吐出された艶消しインク組成物が被体の表面に吐出された形状のまま艶消しインク層11となるため、艶消しインク層の膜厚は均一とはならず、図1のように艶消しインク層11は、被体の表面にドット状に形成される。
図2の艶消しインク層の各ドットの拡大図(断面図)を示す。有機樹脂フィラー112がこの艶消しインク層11を構成するそれぞれのドットの最表面に集まってドットの表面に凹凸が形成されることとなる。
すなわち、艶消しインク層自体がドット状に形成されていることに加えて、各ドットにも図2に示すような凹凸が形成されているため、この艶消しインク層11に照射された光を効果的に拡散されることができる。これにより、被体の光沢度を抑制して被体の表面をマット調にすることができる。
なお、「有機樹脂フィラーが艶消しインク層の最表面に集まっている」とは、有機樹脂フィラーが艶消しインク層の最表面の近傍に集まっていればよい。例えば、有機樹脂フィラーが艶消しインク層の最表面から露出するような態様であってもよく、図2に示すような艶消しインク層の最表面から露出せずに有機樹脂フィラーの表面に樹脂が被覆されているような態様であってもよい。
又、艶消しインク組成物に含有される有機樹脂フィラーはその一部が艶消しインク層の最表面に集まっていればドットの表面を凹凸状にすることができる。そのため、艶消しインク層の最表面に集まらなかった有機樹脂フィラーが艶消しインク層中に分散されていてもよい。
更に、この有機樹脂フィラー112の平均粒径は0.6μm以上2.0μm以下である。有機樹脂フィラー112の平均粒径を0.6μm以上2.0μm以下にすることにより、被体の表面を効果的にマット調にすることができる。
なお、この艶消しインク組成物には、被体(下地の色インキなど)の視認性を損なわない程度であれば、色材を含有してもよい。色材は艶消しインク組成物全量中3.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましく、0.1質量%以下であることが更になお好ましく、色材が含まれないこと(すなわち、艶消しインク組成物がいわゆるクリアインクであること)が最も好ましい。
従来にも、被体の表面をマット調(艶消し)にする技術は開発されていたが、被体の表面に吐出することにより被体の表面をマット調にすることのできる艶消しインク組成物は新規の艶消しインク組成物である。このような艶消しインク組成物であれば、特定のパターンに吐出するインクジェット記録装置を用いる必要もなく、印刷層を形成するような通常のインクジェット記録装置を用いて被体の表面をマット調にすることができるため汎用性が高い。
なお、図1においては、基材13の表面全面に形成された印刷層12の表面に艶消しインク層11が形成されている一つの実施形態を説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。例えば、印刷層が基材13の表面の一部に形成されている場合であって、艶消しインク組成物が印刷層の表面及び基材の表面の両方に吐出される態様であってもよい(図示せず)。又、印刷層の表面及び/又は基材の表面に艶消しインク組成物を直接吐出してもよいし、プライマー層、コーティング層や受理溶液の層等の他の層を介して吐出してもよい。本明細書において、「印刷層の表面及び/又は基材の表面に塗布される」との用語は、このような態様を全て含む意味として理解される。
又、図1に示した印刷層12のように印刷層は均一である必要はなく、艶消しインク層と同様にインクジェット法によって被体の表面にインク組成物を吐出して形成されたドット状の印刷層であってもよい。
この艶消しインク層11に含まれる樹脂111は、艶消しインク組成物に含まれる成分に由来する。例えば、艶消しインク組成物に含まれるバインダー樹脂がそのままこの艶消しインク層11の樹脂111となってもよいし、艶消しインク組成物に含まれる活性エネルギー線重合性化合物が被体の表面に吐出された後に活性エネルギー線を照射して重合されて形成された樹脂であってもよい。しかしながら、本実施の形態に係る艶消しインク組成物は、活性エネルギー線重合性化合物を含有することが好ましい。活性エネルギー線重合性化合物を含有する艶消しインク組成物は、活性エネルギー線重合性化合物そのものが重合して硬化する艶消しインク組成物であることから、艶消しインク組成物が被体の表面に吐出された形状が変化せずにドット状のまま艶消しインク層を形成することができる。そのため、活性エネルギー線重合性化合物を含有する艶消しインク組成物であれば、艶消しインク層に照射された光を効果的に拡散されることができる。
なお、以下、活性エネルギー線重合性化合物を含有する艶消しインク組成物を活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物と表記し、バインダー樹脂及び溶剤を含有する艶消しインク組成物を溶剤型のインク組成物と表記する。
次に、活性エネルギー線硬化型のインク組成物、及び溶剤型のインク組成物について各々説明する。
<2−1.活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物>
活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物とは、活性エネルギー線重合性化合物を含有する艶消しインク組成物である。活性エネルギー線重合性化合物とは、遠紫外線、紫外線、近紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線等の電磁波のほか、電子線、プロトン線、中性子線の活性エネルギー線を照射することにより重合されるエチレン性不飽和二重結合を有する化合物である。
この艶消しインク組成物はインクジェット法によって被体の表面に吐出される。そして、被体の表面に吐出された艶消しインク組成物に活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線重合性化合物が重合される。これにより、被体の表面に吐出された艶消しインク組成物は硬化して艶消しインク層となる。この際、艶消しインク組成物に含まれる有機樹脂フィラーは、艶消しインク層を構成する有機樹脂フィラーとなり、艶消しインク組成物に含まれる活性エネルギー線重合性化合物は、艶消しインク層を構成する樹脂となる。
活性エネルギー線重合性化合物を含む艶消しインク組成物は、活性エネルギー線を照射することで硬化するため速乾性があり、どのような被体であっても好適に使用することができる。
以下、活性エネルギー線硬化型のインク組成物に含まれる各成分について各々説明する。
[有機樹脂フィラー]
有機樹脂フィラーとは、有機樹脂等からなる粒子状のフィラーである。本実施の形態に係る艶消しインク組成物に含有されることで、ドットの表面に凹凸が形成されて被体の光沢度を抑制して被体の表面をマット調にすることができる。
有機樹脂フィラーの平均粒径は0.6μm以上2.0μm以下である。有機樹脂フィラーの平均粒径が0.6μm未満であると、艶消しインク層における各ドットに凹凸が小さくなりすぎることになり、艶消しインク層11照射された光が十分に拡散することができず、被体の表面を十分にマット調にすることができない。有機樹脂フィラーの平均粒径が2.0μm超であると、単位面積(表面積)に対するフィラーの数が減少し、艶消しインク層における各ドットに形成される凹凸の数自体が減少することとなり、艶消しインク層11照射された光が十分に拡散することができず、被体の表面を十分にマット調にすることができない。有機樹脂フィラーの平均粒径を0.6μm以上2.0μm以下にすることにより、被体の表面を効果的にマット調にすることができる。なお、有機樹脂フィラーの形状は特に限定されるものではないが、例えば球形であることが好ましい。
有機樹脂フィラー112の平均粒径は0.8μm以上であることが好ましい。有機樹脂フィラー112の平均粒径は1.8μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましい。なお、有機樹脂フィラーの平均粒径はJIS Z8825−1に準拠したMie理論に基づくレーザー回折散乱法により測定することができる。
ここで、水性型の艶消しインク組成物の場合、有機樹脂フィラーの平均粒径が0.3μm以上0.6μm以下であっても被体の光沢度を抑制して被体の表面をマット調にすることができる。このため、水性型の艶消しインク組成物の場合、有機樹脂フィラーの平均粒径が0.3μm以上2.0μm以下である。また、水性型の艶消しインク組成物の場合、有機樹脂フィラーの平均粒径は、0.6μm以上であることが好ましい。水性型の艶消しインク組成物の場合、有機樹脂フィラーの平均粒径が1.8μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましい。
被体をマット調にするために、有機樹脂フィラーの屈折率を調整することが好ましい。具体的には、艶消しインク層を構成する樹脂の屈折率にもよるが、有機樹脂フィラーの屈折率の下限は、1.40以上であることが好ましく、1.45以上であることがより好ましい。有機樹脂フィラーの屈折率が1.40以上であることにより、被体の表面の反射(艶)を効果的に消すことができる。有機樹脂フィラーの屈折率の上限は、1.70以下であることが好ましく、1.60以下であることがより好ましい。有機樹脂フィラーの屈折率が1.70以下であることにより、艶消しインク層の透明性が向上することから被体の視認性が向上する。なお、有機樹脂フィラーの屈折率は、JIS K7142に準拠したアタゴ製 アッベ屈折率計等を使用して測定することができる。
有機樹脂フィラーが艶消しインク層の最表面に集まるように、有機樹脂フィラーの比重を調整することが好ましい。具体的には、艶消しインク層を構成する樹脂の比重にもよるが、有機樹脂フィラーの比重(真比重)は、1.60以下であることが好ましく、1.40以下であることがより好ましい。有機樹脂フィラーの比重(真比重)は、1.60以下であることにより、有機樹脂フィラーが艶消しインク層の最表面により多く集まるようになるため、艶消しインク層のドットの表面により効果的に凹凸が形成されて被体の表面を効果的にマット調にすることができる。なお、比重(真比重)は、JIS Z 8807に準拠した気体置換法を用いて測定することができる。
有機樹脂フィラーを構成する樹脂としては、特に制限されるものではないが、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、エチレン系樹脂等を挙げることができる。艶消しインク層を構成する樹脂との屈折率差及び比重差を小さくする観点から艶消しインク層を構成する樹脂と同一種類の樹脂を用いることが好ましい。なお、本明細書において「同一種類の樹脂」とは、例えば同じアクリル系樹脂であって異なる分子が共重合されているようなアクリル系樹脂も同一種類の樹脂に含まれる概念で使用される。
有機樹脂フィラーの含有量は、特に限定されるものではないが、有機樹脂フィラーの含有量の下限は、艶消しインク組成物全量中0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましい。有機樹脂フィラーの含有量の下限が艶消しインク組成物全体に対して0.5質量%以上であることにより、有機樹脂フィラーが艶消しインク層の最表面により多く集まるようになるため艶消しインク層のドットの表面により効果的に凹凸が形成されて被体の表面を効果的にマット調にすることができる。
有機樹脂フィラーの含有量の上限は、艶消しインク組成物全量中10.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以下であることがより好ましい。有機樹脂フィラーの含有量の上限は、艶消しインク組成物全体に対して10.0質量%以下であることにより有機樹脂フィラーの分散性が向上し、インクジェット吐出性が向上する。
そして、有機樹脂フィラーは、艶消しインク組成物中における分散性の観点から単分散粒子であることが好ましい。単分散粒子とは、サイズ分布の標準偏差を平均サイズで割った変動係数にして0.1以下程度の粒子を意味する。
[活性エネルギー線重合性化合物]
活性エネルギー線重合性化合物としては、例えば、重合性化合物A):下記一般式(1)で表される単官能重合性化合物、及び/又は重合性化合物B):下記一般式(2)で表される多官能重合性化合物を挙げることができる。尚、本明細書において、「重合性化合物A)等の重合性化合物を含有する」とは、分子構造が同一の単独の重合性化合物A)等の重合性化合物を含有することのみならず、分子構造が異なる2種以上の重合性化合物A)等の重合性化合物を含有することも含まれる概念である。
Figure 2020203970
(式中、Rは含酸素複素環構造を有する官能基である。Rは炭素数1以上5以下のアルキレン基を示す。Rは水素原子又メチル基を示す。Rは水素原子を示す。)
−CH=CR−COOR−O−CH=CH−R ・・・(2)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2以上20以下の2価の有機残基を示し、Rは水素原子又は炭素数1以上11以下の1価の有機残基を示し、Rは水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。)
一般式(1)で表される重合性化合物A)と、一般式(2)で表される重合性化合物B)は粘度が低い。そのため、一般式(1)で表される重合性化合物A)と、一般式(2)で表される重合性化合物B)と、を含有した艶消しインク組成物は、室温であっても粘性が低く、吐出安定性も高い。
又、一般式(1)で表される単官能重合性化合物及び一般式(2)で表される多官能重合性化合物は臭気が小さいため、これらの重合性化合物を含有した艶消しインク組成物の臭気が小さい。尚、本明細書において艶消しインク組成物の臭気が小さいとは、艶消しインク組成物の臭いの低さを意味するものであり、臭気が小さい艶消しインク組成物であれば、艶消しインク組成物を取り扱う際、艶消しインク組成物を使用して被体の表面に艶消しインク層を形成する際に、作業員が臭気を気にすることなく作業に集中することが可能となり、又、鼻が敏感な作業者であってもマスク無しで作業することが可能となるというメリットがある。
重合性化合物A)の例として、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)、トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート(CTFA)、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、(2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、(シクロヘキサンスピロ−2−(1,3−ジオキソラン−4−イル))メチル(メタ)アクリレート等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。臭気が極めて少ないという観点から、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレートが好ましく、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)が最も好ましい。
重合性化合物A)以外の単官能重合性化合物としては、従来公知の単官能重合性化合物であれば用いることができるが、例えば、アルキルシクロアルキルアクリレートである4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、γ−ブチロラクトンアクリレート、クレゾールアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−アクリロイロキシプロピルフタレート、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、1−アダマンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、3−3−5−トリメチルシクロヘキサンアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルカプロラクタム、イミドアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、及び、これらのアクリレートにアルコキシ変性、及びカプロラクトン変性等の各種変性を有するもの、を挙げることができる。重合性化合物A)以外の単官能重合性化合物は、本実施の形態に係る艶消しインク組成物では必須ではないが、重合性化合物A)以外の単官能重合性化合物を用いる場合には、低臭であり、粘度が低いという観点から、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート等のアルキルシクロアルキルアクリレートを用いることが好ましい。
一般式(2)で表される重合性化合物B)の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
重合性化合物B)以外の多官能重合性化合物としては、従来公知の多官能重合性化合物であれば用いることができるが、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート、アルコキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセリントリアクリレート、及びこれらの変性数違い、変性種違い、構造違いの(メタ)アクリレートを挙げることができる。
[活性エネルギー線重合開始剤]
活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物は、必要に応じて活性エネルギー線重合開始剤を含有してもよい。活性エネルギー線は、ラジカル、カチオン、アニオン等の重合反応の契機となり得るエネルギー線であれば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波のほか、電子線、プロトン線、中性子線等のいずれであっても良いが、硬化速度、照射装置の入手容易さ、価格等の観点において、紫外線照射による硬化が好ましい。活性エネルギー線重合開始剤としては、活性エネルギー線の照射により活性エネルギー線硬化型インク組成物中のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の重合反応を促進するものであれば特に限定されず、従来公知の活性エネルギー線重合開始剤を用いることができる。活性エネルギー線重合開始剤の具体例として、例えば、チオキサントン等を含む芳香族ケトン類、α−アミノアルキルフェノン類、α−ヒドロキシケトン類、アシルフォスフィンオキサイド類、芳香族オニウム塩類、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物等が挙げられる。
活性エネルギー線重合開始剤の量は、活性エネルギー線重合性化合物の重合反応を適切に開始できる量であればよく、艶消しインク組成物全量中1.0質量%以上であることが好ましく、3.0質量%以上であることがより好ましい。又、艶艶消しインク組成物全量中20.0質量%以下であることが好ましい。なお、本発明においては、活性エネルギー線重合開始剤は必ずしも必須でなく、例えば活性エネルギー線として電子線を用いる場合には活性エネルギー線重合開始剤は用いなくてもよい。
[レベリング剤]
活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物は、更にレベリング剤を含有していても良い。レベリング剤としては特に限定されないが、具体例としては、ジメチルポリシロキサンを有するビックケミー社製「BYK−306」、「BYK−333」、「BYK−371」、「BYK−377」、エボニックデグサジャパン社製「TegoRad2010」「TegoRad2100」、「TegoRad2200N」、「TegoRad2300」等が挙げられる。
レベリング剤の含有量は、艶消しインク組成物全量に対して0.1質量%以上であることが好ましい。又、レベリング剤の含有量は、艶消しインク組成物全量中5.0質量%以下であることが好ましい。0.1質量%以上、又は、5.0質量%以下とすることで、艶消しインク組成物が熱可塑性樹脂基材等に対し好ましい濡れ性を有することとなり、被体の表面に吐出される際に艶消しインク組成物がはじかれることを抑制することができる。
[分散剤]
活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物は、必要に応じて分散剤を含有してもよい。分散剤としては例えば高分子分散剤が挙げられる。この高分子分散剤の主鎖はポリエステル系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリアミン系、ポリカプロラクトン系等からなり、高分子分散剤は、側鎖としてアミノ基、カルボキシル基、スルホン基、ヒドロキシル基等の極性基やこれらの塩を有するのが好ましい。
好ましい高分子分散剤はポリエステル系分散剤であり、具体例として、日本ルーブリゾール社製「ソルスパース33000」、「ソルスパース32000」、「ソルスパース24000」;ビックケミー社製「Disperbyk168」、;味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」、エボニック・ジャパン社製「TEGO Dispers685」等が挙げられる。
[その他の添加剤]
活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物は、その他の添加剤として、可塑剤、重合禁止剤、光安定化剤、酸化防止剤等、種々の添加剤を含有していても良い。なお、活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物であっても溶剤を含有していてもよいが、溶剤は含有していないことが好ましい。溶剤は含有していない活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物であれば、被体の表面に吐出された形状を変化させずに艶消しインク層を形成することができる。
活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、バインダー樹脂(非反応性樹脂)を含有してもよい。活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物に含まれるバインダー樹脂は、活性エネルギー線重合性化合物が重合された樹脂とともに、艶消しインク層を構成する樹脂となる。
又、活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物の表面張力は、インクジェット吐出性、吐出安定性の点から、40℃での表面張力が20mN/m以上であることが好ましい。又、40℃での表面張力が40mN/m以下であることが好ましい。
<<活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物の製造方法>>
活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物には、分散機を用いて、活性エネルギー線重合性化合物、分散剤等で分散し、その後、必要に応じて活性エネルギー線重合開始剤、レベリング剤等を添加して均一に撹拌することにより、混合物を得て、その後有機樹脂フィラーを添加して更にフィルターで濾過することによって艶消しインク組成物が得られる。
又、有機樹脂フィラーの添加は、均一に有機樹脂フィラーを分散させる観点から分散機により混合物を撹拌しながら混合物中に有機樹脂フィラーを添加することが好ましい。更に、有機樹脂フィラーは、有機樹脂フィラー単独を混合物に添加してもよいが、有機樹脂フィラーを含む分散液を予め製造し、その分散液を混合物に添加することがより好ましい。
<2−2.溶剤型の艶消しインク組成物>
溶剤型の艶消しインク組成物は、バインダー樹脂及び溶剤を含有する。この艶消しインク組成物はインクジェット法によって被体の表面に吐出され、その艶消しインク組成物から溶剤を揮発させて艶消しインク層となる。この際、艶消しインク組成物に含まれる有機樹脂フィラーは、艶消しインク層を構成する有機樹脂フィラーとなり、艶消しインク組成物に含まれるバインダー樹脂はそのまま艶消しインク層を構成する樹脂となる。
溶剤型の艶消しインク組成物に含まれる有機樹脂フィラーは、上述した活性エネルギー線硬化型のインク組成物に含まれる有機樹脂フィラーと同一種類の樹脂(アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、エチレン系樹脂等)を使用することができる。又、好ましい平均粒径、屈折率、比重(真比重)、含有量も上述した活性エネルギー線硬化型のインク組成物に含まれる有機樹脂フィラーと同様である。
溶剤型の艶消しインク組成物は、水を主成分とする水性型の艶消しインク組成物と、水を含有せず、有機溶剤を主成分とする油性型の艶消しインク組成物と、が挙げられる。以下、水性型の艶消しインク組成物と、油性型の艶消しインク組成物と、についてそれぞれ説明する。
<<2−2−1.水性型の艶消しインク組成物>>
水性型の艶消しインク組成物とは、水を主成分とし、有機溶媒を含有してもよい艶消しインク組成物である。この艶消しインク組成物は、水を主成分とする溶剤を使用しているため、安全であり環境面でも優れる。
[水]
水性型の艶消しインク組成物において、含有される水としては、種々のイオンを含有するものではなく、脱イオン水を使用することが好ましい。水の含有量としては、各成分を分散又は溶解可能な含有量であれば特に限定されるものではないが、艶消しインク組成物全量中に10質量%以上であることが好ましく、中でも艶消しインク組成物全量中に20質量%以上であることが好ましく、特に艶消しインク組成物全量中に30質量%以上であることが好ましい。艶消しインク組成物全量中に95質量%以下であることが好ましく、中でも艶消しインク組成物全量中に90質量%以下であることがより好ましい。
[有機溶剤]
水性型の艶消しインク組成物に含有される有機溶剤は、艶消しインク組成物に含有される成分を分散又は溶解することができるものである。このような有機溶剤としては、水溶性を有する水溶性溶媒であっても非水溶性溶媒であってもよい。ここで、水溶性を有するとは、25℃の水100質量%中に、1気圧下で5質量%以上溶解することができるものをいう。
水溶性溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−n−ブタノール等の1価のアルコール類;1−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、3−メトキシプロパンアミド、3−ブトキシプロパンアミド、N,N−ジメチル−3−メトキシプロパンアミド、N,N−ジブチル−3−メトキシプロパンアミド、N,N−ジブチル−3−ブトキシプロパンアミド、N,N−ジメチル−3−ブトキシプロパンアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、イソブチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等のトリオール類:メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等の4価アルコール類;エチレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n−ブチル,イソブチル)エーテル等のモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールのジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素複素環化合物;γ−ブチロラクトン、スルホラン等の環状化合物等が挙げられる。
水溶性溶媒の含有量は、艶消しインク組成物全量中20質量%以上であることが好ましい。水溶性溶媒の含有量は、艶消しインク組成物全量55質量%以下であることが好ましい。これにより、インク組成物に含まれる樹脂の分散性や溶解性を向上させることができる。
又、沸点が250℃以上の水溶性溶媒を含有してもよいが、艶消しインク組成物に含まれる沸点が250℃以上の水溶性有機溶媒の含有量は、艶消しインク組成物全量中15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。
[バインダー樹脂]
バインダー樹脂は、艶消しインク組成物中に含有される樹脂であり、艶消しインク層の定着性や耐水性を向上させる。更に、バインダー樹脂は、艶消しインク組成物中の溶剤が揮発することにより、艶消しインク層11の樹脂111を構成する樹脂となる。
バインダー樹脂は、水溶性樹脂であっても半溶解状態のコロイダルディスパージョンであっても樹脂エマルジョンとして含有してもよいが、含有するバインダー樹脂の少なくとも一部は、樹脂エマルジョンとして含有することが好ましい。樹脂エマルジョンとは、連続相が水溶性溶媒であり、分散粒子が樹脂微粒子である水性分散液を意味する。樹脂エマルジョンを形成することによって、バインダー樹脂が静電反発力や立体反発力によって樹脂微粒子として艶消しインク組成物中に分散することができる。上記樹脂エマルジョンは、一般に連続相である水溶性溶媒が蒸発や浸透等により減少すると、増粘・凝集する性質を持ち、艶消しインク層の定着性を向上させることができる。
本実施形態の水性型の艶消しインク組成物に含有されるバインダー樹脂は、所望の耐水性を示すことができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン(シリコン)樹脂、アクリルアミド樹脂、エポキシ樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂や混合物を用いることができる。これらのものは耐水性に加えて耐溶剤性も向上させることができる点で好ましい。中でも、吐出安定性、耐水性及び耐溶剤性に優れたものとすることができることから、アクリル樹脂を含むものであることが好ましい。
水性型の艶消しインク組成物において、艶消しインク組成物全量中に含まれる樹脂(樹脂エマルジョン)の質量%は、所望の耐水性及び耐溶剤性を有する印刷物を形成可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、艶消しインク組成物全量中に0.05質量%以上であることが好ましく、中でも、0.1質量%以上であることが好ましく、更に0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上より好ましい。艶消しインク組成物全量中に20質量%以下であることが好ましく、中でも、15質量%以下であることが好ましい。
上記の活性エネルギー線硬化型のインク組成物に含まれる有機樹脂フィラーと同様の理由により、有機樹脂フィラーの樹脂は、艶消しインク層を構成する樹脂(艶消しインク組成物に含有されるバインダー樹脂)と同一種類の樹脂を用いることが好ましい。
[界面活性剤]
水性型の艶消しインク組成物において、界面活性剤が含有されていてもよい。本実施形態の水性型の艶消しインク組成物において用いることのできる界面活性剤は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリシロキサン化合物、アニオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アルキレンオキサイド変性アセチレングリコール系界面活性剤、アルキレンオキサイド非変性アセチレングリコール系界面活性剤等を挙げることができる。
本実施形態の水性型の艶消しインク組成物においては、中でも、アルキレンオキサイド非変性アセチレングリコール系界面活性剤、アルキレンオキサイド変性アセチレングリコール系界面活性剤、及びポリシロキサン化合物のいずれかを、表面張力調整剤として含むことが、記録媒体に対する濡れ広がり性をより優れたものとすることができるため、好ましい。
<<2−2−1.油性型の艶消しインク組成物>>
油性型の艶消しインク組成物とは、水を含有せず、有機溶剤を主成分とする艶消しインク組成物である。本実施形態の油性型の艶消しインク組成物において「水を含有しない」とは、水を意図的に含有させずに製造されたインク組成物であることを意味し、例えば大気中等に含有される水蒸気等や添加剤に含有される水等に起因するような製造者が意図しないような原因により含有されてしまうような水は考慮しない。
[有機溶剤]
油性型の艶消しインク組成物において、上述した水性型のインク組成物に含有される有機溶剤と同様の有機溶剤を使用することができ、従来の油性型のインクジェット用のインク組成物で用いることができる通常の有機溶剤が用いることができる。
有機溶剤として下記式(A)〜(D)より選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含有する。
CO(OROR 式(A)
CO(OROCOR 式(B)
(OROR 式(C)
10(OR11OR12 式(D)
式中、R、R、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を表し、R10、R12は両方が水素原子かもしくは片方が水素原子で片方が炭素数1〜6のアルキル基を表し、R11は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、Zは1〜3の整数を表す。アルキレン基およびアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい。
式(A)に該当する有機溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、プロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート、メトキシブチルアセテート等のグリコールモノアセテート類がある。
また式(B)に該当する有機溶剤としては、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、エチレングリコールプロピオネートブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールアセテートジブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールプロピオネートブチレート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートジブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールプロピオネートブチレート、プロピレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールアセテートジブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールプロピオネートブチレート、ジプロピレングリコールジプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートジブチレート等のグリコールジアセテート類がある。
さらに式(C)に該当する有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、等のグリコールジアルキルエーテル類が挙げられる。
式(D)に該当する有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−3メチルブタノール、3−メトキシブタノール等のグリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチルヘキサンジオール等のアルカンジオール等が挙げられる。
その他の溶剤として例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−プロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン、エチルイソブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル等の酢酸エステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、乳酸エチルヘキシル、乳酸アミル、乳酸イソアミル等の乳酸エステル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ノナン、イソノナン、ドデカン、イソドデカン等の飽和炭水素類、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等の不飽和炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、デカリン等の環状飽和炭化水素類、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、1,1,3,5,7−シクロオクタテトラエン、シクロドデセン等の環状不飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、3−メチル−2−オキサゾリジノン、3−エチル−2−オキサゾリジノン等の3−アルキル−2−オキサゾリジノン類、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等のN−アルキルピロリドン類、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類、β−アルコキシプロピオンアミド等のアミド系溶剤、テルペン系溶剤、エーテル系溶剤、および環状イミドなど、一般的な有機溶剤を挙げることができる。
その中でもγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類を含有してもよいが、ラクトン類の有機溶剤(特にγ−ブチロラクトン)を含有しないことが好ましい。ラクトン類の有機溶剤を含有しないことにより、例えば、基材として塩化ビニル樹脂を使用する場合に、ラミネートフィルムの浮きがなくなるなど積層体の後加工性が向上する。
また、印刷媒体や印刷層を溶解させて、艶消しインク層の定着性、耐候性等を向上させる点から、3−アルキル−2−オキサゾリジノン類、N−アルキルピロリドン類、アミド系溶剤を含有することが好ましい。
[バインダー樹脂]
バインダー樹脂は、艶消しインク組成物中に含有される樹脂であり、艶消しインク層の定着性や耐水性を向上させる。バインダー樹脂は、艶消しインク組成物中の溶剤が揮発することにより、艶消しインク層11の樹脂111を構成する樹脂となる。バインダー樹脂としては、特に限定はなく、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ウレタン樹脂、ロジン変性樹脂、フエノール樹脂、テルペン系樹脂、ポリアミド樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、セルロースアセテートブチレート、シリコーン(シリコン)樹脂、アクリルアミド樹脂、エポキシ樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂や混合物を用いることができる。
本実施形態の油性型の艶消しインク組成物においては、中でも、高速印刷時の吐出応答性を向上する点、及び、吐出安定性、耐水性及び耐溶剤性を向上させることができることから、少なくとも、アクリル樹脂、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合樹脂(塩酢ビ)を1種以上含むものであることが好ましい。
本実施形態の油性型の艶消しインク組成物において、艶消しインク組成物全量中に含まれるバインダー樹脂の質量%は、特に限定されるものではないが、例えば、艶消しインク組成物中に0.05質量%以上であることが好ましく、中でも、0.1質量%以上であることが好ましく、更に0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。艶消しインク組成物全量中に含まれるバインダー樹脂の質量%は、特に限定されるものではないが、例えば、艶消しインク組成物中に20質量%以下であることが好ましく、中でも、15質量%以下であることがより好ましい。
[分散剤]
本実施形態の油性型の艶消しインク組成物において必要に応じて分散剤を用いてもよい。分散剤としては、油性型の艶消しインク組成物において用いられている任意の分散剤を用いることができる。分散剤としては、高分子分散剤を用いるとよい。こうした分散剤としては、主鎖がポリエステル系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリアミン系、ポリカプロラクトン系などからなり、側鎖としてアミノ基、カルボキシル基、スルホン基、ヒドロキシル基などの極性基を有するものである。ポリアクリル系分散剤では、例えば、Disperbyk−2000、2001、2008、2009、2010、2020、2020N、2022、2025、2050、2070、2095、2150、2151、2155、2163、2164、BYKJET−9130、9131,9132,9133,9151(ビック・ケミー社製)が用いられる。ポリカプロラクトン系分散剤では、例えば、アジスパーPB821、PB822、PB881(味の素ファインテクノ(株)製)が用いられる。好ましい分散剤としては、ポリエステル系分散剤であり、例えばヒノアクトKF−1000、T−6000、T−7000、T−8000、T−8000E、T−9050(川研ファインケミカル(株)製)、Solsperse20000、24000、32000、32500、32550、32600、33000、33500、34000、35200、36000、37500、39000、71000(ルーブリゾール社製)、フローレンDOPA−15BHFS、17HF、22、G−700、900、NC−500、GW−1500(共栄社化学(株)製)、Efka4310、4320、4330、4401、4402、4403N、4570、7411、7477、7700(BASF社製)の単独、又はそれらの混合物を用いることができる。
[界面活性剤]
又、本実施形態の油性型の艶消しインク組成物においては、ノズル部やチューブ内等の機器内での油性型の艶消しインク組成物の揮発抑制、固化防止、又、固化した際の再溶解性を目的として、室温、大気圧下で液状の非イオン性ポリオキシエチレン誘導体を添加してもよい。例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類であるノニオンP−208、P−210、P−213、E−202S、E−205S、E−215、K−204、K−220、S−207、S−215、A−10R、A−13P、NC−203、NC−207(日本油脂(株)製)、エマルゲン106、108、707、709、A−90、A−60(花王(株)製)、フローレンG−70、D−90(共栄社化学(株)製)、ポエムJ−0081HV(理研ビタミン(株)製)、アデカトールNP−620、NP−650、NP−660、NP−675、NP−683、NP−686、アデカコールCS−141E、TS−230E((株)アデカ製)等、ソルゲン30V、40、TW−20、TW−80、ノイゲンCX−100(第一工業製薬(株)製)等が例示される。
界面活性剤としては、上記に限られずアニオン系、カチオン系、両性又は非イオン系のいずれの界面活性剤も用いることができ、添加目的に合わせて適宜選択されればよい。
[その他の添加剤]
溶剤型の艶消しインク組成物は、その他の添加剤として、粘度調整剤、界面活性剤、pH調整剤、表面張力調整剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、電荷調整剤、湿潤剤等の公知の添加剤が任意成分として含有してもよい。
<<溶剤型の艶消しインク組成物の製造方法>>
溶剤型の艶消しインク組成物を製造する方法は、バインダー樹脂と、有機樹脂フィラーと、溶剤として水と有機溶剤とを含有する溶剤または水を含有せず有機溶剤を含有する溶剤と、を混合することにより艶消しインク組成物を製造する製造方法を挙げることができる。
例えば、水と有機溶剤とを含有する溶剤または水を含有せず有機溶剤を含有する溶剤、樹脂、界面活性剤及び必要に応じてその他の成分を添加して調製する方法、水と有機溶剤とを含有する溶剤または水を含有せず有機溶剤を含有する溶剤に、有機樹脂フィラーと分散剤を加えて分散した後、樹脂、界面活性剤及び必要に応じてその他の成分を添加して調製する方法、水と有機溶剤とを含有する溶剤または水を含有せず有機溶剤を含有する溶剤に有機樹脂フィラーと樹脂と界面活性剤と必要に応じてその他の成分を添加して調製する方法等が挙げられる。
又、有機樹脂フィラーの添加は、均一に有機樹脂フィラーを分散させる観点から分散機により混合物を撹拌しながら混合物中に有機樹脂フィラーを添加することが好ましい。更に、有機樹脂フィラーは、有機樹脂フィラー単独を混合物に添加してもよいが、有機樹脂フィラーを含む分散液を予め製造し、その分散液を混合物に添加することがより好ましい。
<2−3.積層体>
上記の実施形態に係る艶消しインク組成物の硬化膜である艶消しインク層が形成された積層体10について図1を用いて説明する。この積層体10は基材13と、印刷層12と、艶消しインク層11と、が、積層された積層体である。
[基材]
基材は特に限定されず、例えば塗工紙、非塗工紙、布帛等の吸収体、非吸収性基材のいずれも使用することができる。具体的には、非塗工紙としては、更紙、中質紙、上質紙、塗工紙としては、コート紙、アート紙、キャスト紙、軽量コート紙、微塗工紙、布帛等の吸収体としては、綿、化繊織物、絹、麻、布帛、不織布、皮革等を例示でき、非吸収性基材としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系合成紙、塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、金属、金属箔コート紙、ガラス、合成ゴム、天然ゴム等を例示できる。
しかしながら、基材は非吸収性基材であることが好ましい。基材は非吸収性基材であることにより、艶消しインク組成物が被体の表面に吐出された形状が変化せずにドット状のまま艶消しインク層を形成することができる。そのため、活性エネルギー線重合性化合物を含有する艶消しインク組成物であれば、艶消しインク層に照射された光を効果的に拡散されることができる。
[印刷層]
印刷層とは、色材を含有する層であり、主に基材の表面又は基材の表面に形成された層(プライマー層、コーティング層や受理溶液の層等)の表面に吐出されたインク組成物により形成される層である。このインク組成物は、色材を含有し、更に活性エネルギー線重合性化合物を含有する活性エネルギー線硬化型のインク組成物であってもよい。又、このインク組成物は、色材を含有し、バインダー樹脂及び溶剤を含有する溶剤型のインク組成物であってもよい。
印刷層には樹脂が含有されていてもよい。印刷層に樹脂が含有される場合、この樹脂は、インク組成物に含まれるバインダー樹脂がそのままこのインク層の樹脂となってもよいし、インク組成物に含まれる活性エネルギー線重合性化合物が被体の表面に吐出された後に活性エネルギー線を照射して重合されて形成された樹脂であってもよい。なお、この活性エネルギー線重合性化合物及びバインダー樹脂は上述した艶消しインク組成物のものと同様である。
印刷層に樹脂が含有される場合、この樹脂は、艶消しインク層の樹脂と同一種類の樹脂を用いることがより好ましい。印刷層と艶消しインク層との密着性を向上させることができる。
又、この印刷層を形成するためのインク組成物の塗布方法は、特に限定されるものではない。例えば、スプレー法、コーター法、インクジェット法、グラビア法、フレキソ法等を挙げることができる。中でもインクジェット法により吐出されることが好ましい。インクジェット法であれば、基材の任意の場所にパターン状に吐出することも、基材全面に塗布することも容易である。又、艶消しインク層を形成する艶消しインク組成物はインクジェット記録装置によって被体の表面に吐出されるため、同様のインクジェット記録装置を用いて連続的に積層体を製造することができる。
パターン状に形成された印刷層の表面に艶消しインク層が形成される場合には、その艶消しインク層は、印刷層の表面及び基材の表面に形成される。又、この印刷層は、図2に示すような均一な印刷層12である必要はなく、例えば、インクジェット法によって基材の表面に吐出される場合には、艶消しインク層同様にドット状に形成されることとなる。
インク組成物の色材は、特に限定されるものではなく、染料系であってもよいし、顔料系であってもよい。印字物の耐水性や耐光性等の耐性が良好である顔料系インク組成物を使用することが好ましい。インク組成物に用いることのできる顔料は特に限定されない。従来のインク組成物に使用されている有機顔料又は無機顔料等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。具体的な有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、染料からの誘導体、フタロシアニン系有機顔料、キナクリドン系有機顔料、ペリレン系有機顔料、ジオキサジン系有機顔料、ニッケルアゾ系顔料、イソインドリノン系有機顔料、ピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロン系有機顔料、イソインドリン系有機顔料、キナクリドン系固溶体顔料、ペリレン系固溶体顔料等の有機固溶体顔料、その他の顔料として、カーボンブラック等が挙げられる。インク組成物に用いることのできる顔料は、複数の有機顔料や無機顔料を併用してもよく、顔料分散剤によって水溶性溶媒中に分散させた顔料分散体と自己分散型顔料を併用したものであってもよい。
[艶消しインク層]
艶消しインク層とは、艶消しインク組成物の硬化膜であり、有機樹脂フィラーと、樹脂と、を含む。そして、艶消しインク層は、被体の表面にドット状に形成されており、このドットの表面に形成された凹凸の表面によって、この艶消しインク層11に照射された光を効果的に拡散されることができる。
艶消しインク層を構成する樹脂は、艶消しインク組成物に含まれる成分に由来し、艶消しインク組成物に含まれるバインダー樹脂に由来してもよいし、艶消しインク組成物に含まれる活性エネルギー線重合性化合物脂に由来してもよい。
艶消しインク層の光沢度は、50以下であることが好ましく、45以下であることがより好ましく、40以下であることが更に好ましい。この艶消しインク層11に照射された光を効果的に拡散されることができる。
被体をマット調にするために、有機樹脂フィラー及び樹脂の屈折率をそれぞれ調整することが好ましい。具体的には、有機樹脂フィラーの屈折率Frと前記樹脂の屈折率Brとの差Fr−Brは、0.3以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましい。Fr−Brが0.3以下であることにより、艶消しインク層の透明性が向上することから被体の視認性が向上する。
有機樹脂フィラーが艶消しインク層の最表面に集まるように、有機樹脂フィラー及び樹脂の比重を調整することが好ましい。具体的には、有機樹脂フィラーの屈折率Fsと前記樹脂の屈折率Bsとの差Fs−Bsは、0.3以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましい。Fs−Bsが0.3以下であることにより、有機樹脂フィラーが効果的に艶消しインク層の最表面に集まるようになるため、艶消しインク層のドットの表面により効果的に凹凸が形成されて被体の表面を効果的にマット調にすることができる。
なお、この屈折率及び比重の差を小さくする(Fr−Br及びFs−Bsと小さくする)観点から、有機樹脂フィラーを構成する樹脂と、艶消しインク層の樹脂とは同一種類の樹脂を用いることがより好ましい。
艶消しインク層の膜厚は、図1のTによって定義され、印刷層12の表面から各ドットの頂点までの距離の平均値を意味する。艶消しインク層の膜厚は、有機樹脂フィラーの平均粒径にもよるが、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。艶消しインク層の膜厚は、3μm以上であることにより被体の艶を効果的に消すことができる程度の大きさのドットを形成することができる。艶消しインク層の膜厚は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。艶消しインク層の膜厚は、30μm以下であることにより艶消しインク層の透明性が向上することから被体の視認性が向上する。
<<積層体の製造方法>>
艶消しインク組成物を用いた積層体(印刷物)の製造方法としては、インクジェット法によって被体の表面(印刷層の表面及び/又は基材)に上記の艶消しインク組成物を塗布してクリア硬化層を形成する方法を挙げることができる。
艶消しインク組成物を被体の表面に吐出するインクジェット記録装置は、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等のいずれのインクジェット記録装置にも適用することができる。中でも、ピエゾ方式のインクジェット記録装置に用いられることが好ましい。ピエゾ方式のインクジェット記録装置に用いることにより、インク噴出量や液滴サイズを制御して艶消しインク層のドットを精密に制御することができる。
艶消しインク組成物が活性エネルギー線硬化型の艶消しインク組成物である場合、被体の表面に吐出された艶消しインク組成物に活性エネルギー線を照射する。活性エネルギー線は、遠紫外線、紫外線、近紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線等の電磁波のほか、電子線、プロトン線、中性子線の活性エネルギー線を挙げることができる。活性エネルギー線を照射する光源は特に限定されるものではなく、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、紫外線レーザー、太陽光、LEDランプ等が挙げられる。省エネルギーであり、印刷装置の設計設備の自由度が高いという観点から光源としてLEDランプを用いることがより好ましい。
艶消しインク組成物が溶剤型の艶消しインク組成物である場合、被体の表面に吐出された艶消しインク組成物を乾燥させる。乾燥は、艶消しインク組成物に含まれる溶剤の沸点によって適宜設定される。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<クリアインクの製造>
まず、重合性高分子等を含むクリアインクを以下の割合になるように混合し、分散機にて室温(20〜25℃)にて1時間撹拌した。
Figure 2020203970
表中、「THFA」とは、THFA(テトラヒドロフルフリルアクリレート(単官能重合性化合物))である。
表中、「TBCH」とは、4−tert−ブチルシクロヘキシルアクリレート(単官能重合性化合物)である。
表中、「CTFA」とは、トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート(単官能重合性化合物)である。
表中、「VEEA」とは、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(二官能重合性化合物)である。
表中、「TDP」とは、フェノチアジン(重合禁止剤)である。
表中、「TEGO2010」とは、レベリング剤(エボニックデグサジャパン社製)である。
表中、「819」とは、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−フォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア 819 BASF・ジャパン社製)である。
表中、「TPO」とは、(2,4,6‐トリメトキシベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリン TPO BASF・ジャパン社製)である。
なお、このクリアインクについて活性エネルギー線を照射して硬化後の膜の屈折率(Br)、比重(Bs)を測定したところ、Br=1.50、Bs=1.16であった。なお屈折率は、JIS K7142に基づきアッベ屈折率計を用いて測定し、比重(真比重)は、JIS Z 8807に準拠した気体置換法を用いて測定した。
<艶消しインク組成物の製造1>
次に上記の「クリアインク」を使用して実験例の艶消しインク組成物を製造した。具体的には、各フィラーを上記の混合物に混合し、室温(20〜25℃)にて1時間撹拌することで、試験例の艶消しインク組成物を製造した。各試験例の艶消しインク組成物の配合率は表3に示す。
なお、実験例A、Bについては、フィラー単独をクリアインクに撹拌しながら添加して艶消しインク組成物を得た。
実験例C〜F、Hについては、予め上記のクリアインク17gとフィラー3gとを混合して分散液を製造し、この分散液を残りのクリアインク80gに撹拌しながら添加して艶消しインク組成物を得た。
実験例Gについては、予め上記のクリアインク42gとフィラー3gとを混合して分散液を製造し、この分散液を残りのクリアインク55gに撹拌しながら添加して艶消しインク組成物を得た。
表2に各フィラーの材質、形状、粒径、屈折率、真比重を示す。
Figure 2020203970
<評価>
[フィルター通液性試験]
実験例の艶消しインク組成物について分散性試験を行った。具体的には、6μmのフィルターに実施例及び比較例の艶消しインク組成物を12g通液し、つまり具合を確認した。評価結果を表3に示す。
(評価基準)
○:艶消しインク組成物がフィルターに全て詰まることなく通液することができた。
△:艶消しインク組成物が残り1/4程度でフィルターに詰まりが生じた。
×:艶消しインク組成物がフィルターに通過しなかった。
[光沢度評価]
実験例の艶消しインク組成物について光沢度評価を行った。具体的には、PETフィルム(被体)に実験例の艶消しインク組成物をバーコート法により吐出し、活性エネルギー線を照射することにより、艶消しインク層の膜厚が10μmとなるように積層体を製造した。
そして、積層体の艶消しインク層の表面の光沢度を測定した。評価結果を表3に示す。
Figure 2020203970
表3より、アクリル系樹脂(有機樹脂フィラー)を含有する試験例3の艶消しインク組成物は、フィルター通液性が高いものとなっていた。
なお、試験例3の艶消しインク組成物については、粒度分布計を用いて粒度分布を評価したところ、平均値で800〜900nmとなっており、添加したフィラーの粒径(0.8μm)と同等であった。このため、試験例3の艶消しインク組成物は分散性が高く、インクジェット法によって吐出する際の吐出性は高い艶消しインク組成物であることが推認される。
更に、アクリル系樹脂(有機樹脂フィラー)を含有する試験例3の艶消しインク組成物により得られた積層体の光沢度は低い。このことから、他のフィラーを含有する艶消しインク組成物と比べて試験例3の艶消しインク組成物は、インクジェット法によって吐出した場合であっても艶消しインク層の艶消し性は高いものであることが推認される。
なお、フィルター通液性の評価について、各クリアインクについて一週間静置後のクリアインクについて同様に評価を行ったが、いずれのインクも同様の結果となった。
<艶消しインク組成物の製造2>
次に上記の「クリアインク」を使用して上記試験例の艶消しインク組成物と同様に、艶消しインク組成物を製造し、これを実施例及び比較例の艶消しインク組成物とした。表4に各樹脂フィラーC−1〜C−5の材質、形状、粒径、屈折率、真比重を示す。
Figure 2020203970
各実施例、比較例の艶消しインク組成物の配合率は表5に示す。この実施例、比較例の艶消しインク組成物について同様にフィルター通液性試験及び光沢度評価を行った。
Figure 2020203970
表5より、平均粒径が0.6μm以上2.0μm以下の有機樹脂フィラーを含有する実施例1〜4の艶消しインク組成物は、フィルター通液性の評価において「○」又は「△」となっていた。このため、平均粒径が0.6μm以上2.0μm以下の有機樹脂フィラーの艶消しインク組成物は分散性が高く、インクジェット法によって吐出する際の吐出性は高い艶消しインク組成物であることが推認される。
又、実施例1〜4の艶消しインク組成物により得られた積層体は、2.0μm超の有機樹脂フィラーを含む比較例1の艶消しインク組成物により得られた積層体と比較して光沢度は低い。このことから、平均粒径が0.6μm以上2.0μm以下の有機樹脂フィラーを含む艶消しインク組成物は、インクジェット法によって吐出した場合であっても艶消しインク層の艶消し性は高いものであることが推認される。
[インクジェット吐出試験]
実施例1の艶消しインク組成物をインクジェット記録装置によってPETフィルム(被体)の表面に吐出し、活性エネルギー線を照射することにより、積層体を製造し、これを実施例5の積層体とした。
一方、実施例1の艶消しインク組成物をバーコード法によってPETフィルム(被体)の表面に吐出し、活性エネルギー線を照射することにより、積層体を製造し、これを比較例2の積層体とした。
なお、有機樹脂フィラーを含まないクリアインクをインクジェット記録装置又はバーコード法によってPETフィルム(被体)の表面に吐出し、活性エネルギー線を照射することにより、積層体を製造した(参考例1、2)。又、PETフィルムそのものを参考例3とした。
実施例5、比較例2、参考例1、2の積層体及び参考例3のPETフィルムについて艶消しインク層の表面の光沢度を測定した。評価結果を表6に示す。
Figure 2020203970
表6より、インクジェット法によって被体(PETフィルム)の表面に艶消しインク組成物を塗布してクリア硬化層が形成された実施例5の積層体は、バーコード法によって塗布してクリア硬化層が形成された比較例2の積層体と比較すると、光沢度が更に低下していた。これは、インクジェット法によってクリア硬化層が形成されることにより、各ドットにも図2に示すような凹凸が形成されているため、被体の表面をよりマット調にすることができることが分かる。
<艶消しインク組成物の製造3>
フィラーを除く各成分を下記表8〜10の割合になるように混合し、分散機にて室温(20〜25℃)にて1時間撹拌して溶剤型の艶消しインク組成物用のクリアインクを製造した。そして、各フィラーをクリアインクに混合し、室温(20〜25℃)にて1時間撹拌することで、溶剤型の艶消しインク組成物を製造した。なお、フィラーは表4及び下記表7に記載のフィラーを使用した。
表8〜10中、「アクリル樹脂」とは、バインダー樹脂であり、ダウケミカル社「パラロイドB60」である。
表8〜10中、「塩酢ビ」とは、バインダー樹脂であり、日信化学工業社「ソルバインCL」である。
表8〜10中、「DEDE」とは、ジエチレングリコールジエチルエーテルである。
表8〜10中、「BTG」とは、ブチルトリグリコールである。
表8〜10中、「BTG」とは、γ-ブチロラクトンである。
表8〜10中、「MEDG」とは、メチルエチルジグリコールである。
Figure 2020203970
<評価>
[フィルター通液性試験]
実験例の艶消しインク組成物について分散性試験を行った。具体的には、6μmのフィルターに実施例及び比較例の艶消しインク組成物を12g通液し、つまり具合を確認した。評価結果を表8〜10に示す。
(評価基準)
○:艶消しインク組成物がフィルターに全て詰まることなく通液することができた。
△:艶消しインク組成物が多少は抵抗があったが、詰まることなく通液することができた。
×:艶消しインク組成物がフィルターに途中から通液できなかった。
[光沢度評価]
表8〜10の艶消しインク組成物について光沢度評価を行った。具体的には、PETフィルム(被体)に艶消しインク組成物をバーコート法(バー#8)により吐出し、50℃で3分間乾燥後させた。
そして、積層体の艶消しインク層の表面の光沢度を測定した。評価結果を表8〜10に示す。
Figure 2020203970
Figure 2020203970
Figure 2020203970
表8〜10より、バインダー樹脂及び溶剤と0.6μm以上2.0μm以下の有機樹脂フィラーと、を含有する油性型の艶消しインク組成物であってもフィルター通液性の評価において「○」となっており、光沢度は低くなっていた。このことから、平均粒径が0.6μm以上2.0μm以下の有機樹脂フィラーを含む油性型の艶消しインク組成物であっても、インクジェット法によって吐出した場合に艶消しインク層の艶消し性は高いものであることが推認される。
<艶消しインク組成物の製造4>
上記艶消しインク組成物の製造3と同様に下記表11の割合になるように混合して水性型の艶消しインク組成物を製造し、同様にフィルター通液性を試験し、光沢度を評価した。
Figure 2020203970
表11より、0.4μm以上2.0μm以下の有機樹脂フィラーと、を含有する水性型の艶消しインク組成物であってもフィルター通液性の評価において「○」又は「△」となっており、光沢度は低くなっていた。このことから、平均粒径が0.4μm以上2.0μm以下の有機樹脂フィラーを含む水性型の艶消しインク組成物であっても、インクジェット法によって吐出した場合に艶消しインク層の艶消し性は高いものであることが推認される。
<艶消しインク組成物の製造5>
フィラーを除く各成分を下記表12〜14の割合になるように混合し、分散機にて室温(20〜25℃)にて1時間撹拌して溶剤型の艶消しインク組成物用のクリアインクを製造した。そして、各フィラーをクリアインクに混合し、室温(20〜25℃)にて1時間撹拌することで、ラクトン系有機溶剤を含有しない溶剤型の艶消しインク組成物を製造した。なお、フィラーは表4及び表7に記載のフィラーを使用した。
Figure 2020203970
Figure 2020203970
Figure 2020203970
表12〜14より、バインダー樹脂及び溶剤と0.6μm以上2.0μm以下の有機樹脂フィラーと、を含有し、ラクトン系有機溶剤を含有しない油性型の艶消しインク組成物であってもフィルター通液性の評価において「○」となっており、光沢度は低くなっていた。
10 積層体
11 艶消しインク層
111 樹脂
112 有機樹脂フィラー
12 印刷層
13 基材

Claims (11)

  1. インクジェット法によって被体の表面に吐出される艶消しインク組成物であって、
    前記艶消しインク組成物は、a)活性エネルギー線重合性化合物、又はb)バインダー樹脂及び溶剤と、
    平均粒径が0.6μm以上2.0μm以下の有機樹脂フィラーと、
    を含有する
    艶消しインク組成物。
  2. 前記艶消しインク組成物は、前記a)活性エネルギー線重合性化合物を含有する
    請求項1に記載の艶消しインク組成物。
  3. 前記被体の表面は、色材を含有する印刷層の表面及び/又は基材の表面である
    請求項1又は2に記載の艶消しインク組成物。
  4. 前記有機樹脂フィラーの含有量は1質量%以上10質量%以下である
    請求項1から3のいずれかに記載の艶消しインク組成物。
  5. 前記有機樹脂フィラーの屈折率が1.40以上1.70以下である
    請求項1から4のいずれかに記載の艶消しインク組成物。
  6. 請求項1から5に記載の艶消しインク組成物の硬化膜である艶消しインク層が印刷層の表面及び/又は基材の表面に形成される
    積層体。
  7. 前記艶消しインク層の光沢度が50以下である
    請求項6に記載の積層体。
  8. 前記艶消しインク層は、前記有機樹脂フィラーと、樹脂と、を含み、
    前記有機樹脂フィラーの屈折率Frと前記樹脂の屈折率Brとの差Fr−Brは、0.3以下である
    請求項6又は7に記載の積層体。
  9. 前記艶消しインク層は、前記有機樹脂フィラーと、樹脂と、を含み、
    前記有機樹脂フィラーの比重Fsと前記樹脂の屈折率Bsとの差Fs−Bsは、0.3以下である
    請求項6から8のいずれかに記載の積層体。
  10. インクジェット法によって被体の表面に請求項1から5のいずれかに記載の艶消しインク組成物を吐出して艶消しインク層を形成する
    積層体の製造方法。
  11. インクジェット法によって被体の表面に吐出される水性型の艶消しインク組成物であって、
    前記艶消しインク組成物は、バインダー樹脂と、溶剤と、水と、
    平均粒径が0.3μm以上2.0μm以下の有機樹脂フィラーと、
    を含有する
    水性型の艶消しインク組成物。
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