JP2010050307A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】トレードオフの関係にあるオン電圧の低減とターンオフ損失を改善することにより、IGBTの高性能化を実現する技術を提供する。
【解決手段】p型コレクタ層PCLのキャリア量/n型フィールドストップ層NFのキャリア量の比の値を4以上16以下とする。そして、n型ベース層NBとp型チャネル形成層PCHの間に、n型ベース層NBの不純物濃度よりも高濃度のn型ホールバリア層NHBを設ける。さらに、p型コンタクト層PCとn型ホールバリア層NHBの間にp型ラッチアップ防止層PLを設ける。このとき、p型ラッチアップ防止層PLの不純物濃度は、p型チャネル形成層PCHの不純物濃度よりも高く、p型コンタクト層PCの不純物濃度よりも低くなっている。
【選択図】図4

Description

本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、IGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor)を含む半導体装置およびその製造に適用して有効な技術に関するものである。
特開2008−85050号公報(特許文献1)には、高耐圧で、かつ、スイッチング特性の優れたIGBTを実現することのできる技術が記載されている。具体的には、フィールドストップ層(n型半導体領域)を形成するためにイオン注入されたn型不純物イオンの活性化アニールと、コレクタ領域(p型半導体領域)を形成するためにイオン注入されたp型不純物イオンの活性化アニールとを別工程で行い、フィールドストップ層のn型不純物イオンの活性化率を60%以上とし、コレクタ領域のp型不純物イオンの活性化率を1〜15%とすることにより、高耐圧で、かつ、高速なスイッチング特性を有するIGBTを形成することができるとしている。さらに、コレクタ電極にニッケルシリサイド膜、チタン膜、ニッケル膜および金膜からなる積層膜を用いることにより、コレクタ領域とオーミック接合が可能となり、また、コレクタ電極の水分等による腐食を防止することができるとしている。
特開2008−85050号公報
IGBTとは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)の高速スイッチング特性や電圧駆動特性と、バイポーラトランジスタの低オン電圧特性を兼ね備える半導体素子である。このような特徴を有するIGBTは、主にパワーエレクトロニクスの分野で使用されている。パワーエレクトロニクス分野とは、電気回路において、大電流や高電圧(高耐圧)を制御することにより、電力の変換や制御を行なう分野である。具体的にIGBTは、汎用インバータ、ACサーボや無停電電源、スイッチング電源などの産業分野をはじめ、電子レンジ、炊飯器などの民生機器分野へも応用されてきている。モータを制御する電子応用機器の汎用インバータは、ベルトコンベア、ファン制御、ポンプなどの制御に使用され、ACサーボは、ロボット、半導体製造装置などのモータ制御に使用される。
IGBTは、上述したようにパワーエレクトロニクスの分野で使用されることから高耐圧性が要求される。このため、IGBTは、高耐圧化のために必要なn型ベース層を有している。そして、IGBTの動作時には、このn型ベース層に電子と正孔(キャリア)を蓄積することにより、低いオン電圧を確保している。したがって、IGBTでは、n型ベース層に蓄積される電子と正孔(キャリア)の蓄積量を多くすればするほど動作時のオン電圧を低くすることができる。ところが、n型ベース層に蓄積されたキャリアは、IGBTのターンオフ下降時間を長くする(以下、このことをターンオフ損失という)現象を引き起こす。このことから、IGBTの動作時におけるオン電圧を下げるために、n型ベース層に多量のキャリアを蓄積すると、IGBTのターンオフ損失が大きくなることになる。すなわち、IGBTにおいて、オン電圧の低減とターンオフ損失とは、トレードオフの関係にある。このトレードオフの関係にあるオン電圧の低減とターンオフ損失を改善することがIGBTの高性能化に必要である。
本発明の目的は、トレードオフの関係にあるオン電圧の低減とターンオフ損失を改善することにより、IGBTの高性能化を実現する技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
代表的な実施の形態における半導体装置は、IGBTを含み、前記IGBTは、(a)p型コレクタ層と、(b)前記p型コレクタ層上に形成されたn型フィールドストップ層と、(c)前記n型フィールドストップ層上に形成されたn型ベース層と、(d)前記n型ベース層上に形成されたn型ホールバリア層とを有する。そして、IGBTは、(e)前記n型ホールバリア層上に形成されたp型チャネル形成層と、(f)前記p型チャネル形成層上に形成されたn型エミッタ層と、(g)前記n型エミッタ層と前記p型チャネル形成層を貫通し、n型ホールバリア層に達するゲートトレンチとを有する。さらに、IGBTは、(h)前記ゲートトレンチの内壁に形成されたゲート絶縁膜と、(i)前記ゲートトレンチ内の前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、(j)前記ゲート電極および前記n型エミッタ層上に形成された層間絶縁膜とを有する。その上、IGBTは、(k)前記層間絶縁膜および前記n型エミッタ層を貫通して前記p型チャネル形成層に達するコンタクトホールと、(l)前記コンタクトホール内に形成され、前記n型エミッタ層と前記p型チャネル形成層を電気的に接続するエミッタ電極とを有する。さらに、IGBTは、(m)前記p型チャネル形成層内に形成され、前記コンタクトホールと接するように形成されたp型コンタクト層と、(n)前記p型コレクタ層の裏面に形成され、前記p型コレクタ層と電気的に接続されたコレクタ電極とを有する。このとき、代表的な実施の形態におけるIGBTは、前記p型コレクタ層のキャリア量をQp、前記n型フィールドストップ層のキャリア量をQnとした場合、4≦(Qp/Qn)≦16を満たすことを特徴とするものである。
また、代表的な実施の形態における半導体装置の製造方法は、(a)n型ベース層からなる半導体基板を用意する工程と、(b)前記半導体基板に素子分離領域を形成する工程と、(c)前記(b)工程後、IGBT形成領域の前記n型ベース層上にn型ホールバリア層を形成する工程とを有する。そして、(d)前記(c)工程後、前記半導体基板の主面から前記n型ホールバリア層に達するゲートトレンチを形成する工程と、(e)前記(d)工程後、前記ゲートトレンチの内壁にゲート絶縁膜を形成する工程と、(f)前記(e)工程後、前記ゲートトレンチ内の前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、を有する。次に、(g)前記(f)工程後、前記半導体基板の内部にp型チャネル形成層を形成することにより、前記n型ホールバリア層上に前記p型チャネル形成層を形成する工程と、(h)前記(g)工程後、前記半導体基板の主面にn型エミッタ層を形成することにより、前記p型チャネル形成層上に前記n型エミッタ層を形成する工程とを有する。続いて、(i)前記(h)工程後、前記半導体基板の主面上に層間絶縁膜を形成する工程と、(j)前記(i)工程後、前記層間絶縁膜および前記n型エミッタ層を貫通して前記p型チャネル形成層に達するコンタクトホールを形成する工程とを有する。その後、(k)前記(j)工程後、前記p型チャネル形成層内に前記コンタクトホールと接するようにp型コンタクト層を形成する工程と、(l)前記(k)工程後、前記コンタクトホール内を含む前記層間絶縁膜上にエミッタ電極を形成することにより、前記n型エミッタ層と前記p型チャネル形成層を電気的に接続する工程とを有する。さらに、(m)前記(l)工程後、前記n型ベース層の裏面にn型フィールドストップ層を形成する工程と、(n)前記(m)工程後、前記n型フィールドストップ層の裏面にp型コレクタ層を形成する工程と、(o)前記(n)工程後、前記p型コレクタ層の裏面にコレクタ電極を形成する工程とを有する。このとき、代表的な実施の形態における半導体装置の製造方法は、前記p型コレクタ層のキャリア量をQp、前記n型フィールドストップ層のキャリア量をQnとした場合、4≦(Qp/Qn)≦16を満たすように前記p型コレクタ層と前記n型フィールドストップ層を形成することを特徴とするものである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
トレードオフの関係にあるオン電圧の低減とターンオフ損失を改善することができる結果、IGBTの高性能化を実現することができる。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態1における半導体装置は、例えば、ハイブリッド車などに使用される3相モータの駆動回路に使用されるものである。図1は、本実施の形態1における3相モータの回路図を示す図である。図1において、3相モータ回路は、3相モータ1、パワー半導体装置2、制御回路3を有している。3相モータ1は、位相の異なる3相の電圧により駆動するように構成されている。パワー半導体装置2には、3相に対応してIGBT4とダイオード(フリーホイールダイオード)5が設けられている。すなわち、各単相において、電源電位(Vcc)と3相モータの入力電位との間にIGBT4とダイオード5が逆並列に接続されており、3相モータの入力電位と接地電位(GND)との間にもIGBT4とダイオード5が逆並列に接続されている。すなわち、単相ごとに2つのIGBT4と2つのダイオード5が設けられており、3相で6つのIGBT4と6つのダイオード5が設けられている。そして、個々のIGBT4のゲート電極には、制御回路3が接続されており、この制御回路3によって、IGBT4が制御されるようになっている。このように構成された3相モータの駆動回路において、制御回路3でパワー半導体装置2を構成するIGBT4を流れる電流を制御することにより、3相モータ1を回転させるようになっている。すなわち、制御回路3によってIGBT4のオン/オフを制御することにより、3相モータ1を駆動することができる。このように3相モータ1を駆動させる場合には、IGBT4をオン/オフする必要があるが、3相モータ1にはインダクタンスが含まれている。したがって、IGBT4をオフすると、3相モータ1に含まれるインダクタンスによって、IGBT4の電流が流れる方向と逆方向の逆方向電流が発生する。IGBT4では、この逆方向電流を流す機能を有していないので、IGBT4と逆並列にダイオード5を設けることにより、逆方向電流を還流させてインダクタンスに蓄積されるエネルギーを開放している。
上述した3相モータ回路に使用されるIGBTは、例えば、半導体チップに形成される。以下では、IGBTを形成した半導体チップの構成について説明する。図2は、IGBTを形成した半導体チップCHPの上面を示す平面図である。図2に示すように、半導体チップCHPは矩形形状をしており、半導体チップCHP内の周辺部を囲むようにガードリングGRが形成されている。このガードリングGRは、IGBTの周辺部における耐圧劣化を防止するために設けられたリング状の接合構造である。そして、このガードリングGRで囲まれた半導体チップCHPの内部に素子形成領域が形成されており、この素子形成領域に複数のIGBTが形成されている。具体的には、図2に示すように、紙面の上下方向に沿ってストライプ状にゲート電極Gが形成されている。このゲート電極G上に層間絶縁膜(図示せず)を介してエミッタ電極(エミッタパッド)EEが形成されている。ストライプ状に形成されたゲート電極Gは、ゲート配線GLを介してゲートパッドGPに接続されている。このように半導体チップCHPの上面には、ゲートパッドGPとエミッタ電極EEが形成されている。一方、図2では示されないが、半導体チップCHPの裏面には、コレクタ電極が形成されている。したがって、半導体チップCHPには、外部接続端子として、ゲートパッドGP、エミッタ電極EEおよびコレクタ電極が形成されており、これらの外部接続端子に電圧を印加することによりIGBTが駆動される。すなわち、本実施の形態1におけるIGBTは、半導体チップCHPの厚さ方向に形成されており、半導体チップCHPの上面にエミッタ電極EEとゲートパッドGPが形成され、半導体チップCHPの裏面にコレクタ電極が形成された構造をしている。
図3は図2のA−A線で切断した断面図である。図3に示すように、半導体チップCHPの外周部側が図3の左側であり、半導体チップCHPの内周部側が図3の右側である。したがって、図3に示すように、最外周から内側領域に沿って、順次、ターミネーション領域、温度検知ダイオード形成領域、ゲート配線引き出し領域、セル領域が形成されている。このようなターミネーション領域、温度検知ダイオード形成領域、ゲート配線引き出し領域およびセル領域にわたる半導体チップCHPの裏面には、例えば、金属膜からなるコレクタ電極CLEが形成されており、このコレクタ電極CLE上にニッケルシリサイド膜NSが形成されている。そして、ニッケルシリサイド膜NS上にp型半導体層からなるp型コレクタ層PCLが形成され、このp型コレクタ層PCL上にn型半導体層からなるn型フィールドストップ層NFが形成されている。このn型フィールドストップ層NF上にn型半導体層からなるn型ベース層NBが形成されている。このn型ベース層NBよりも上層の構成が各領域で異なっているので、それぞれの領域についての構成について説明する。
まず、ターミネーション領域における構成について説明する。図3に示すように、ターミネーション領域においては、n型ベース層NBの表面に素子分離領域LOが形成されている。この素子分離領域LOで分離された半導体チップCHPの最外周には、n型半導体層NRが形成されている。そして、素子分離領域LOで分離された最外周より内側のn型ベース層NBには、p型半導体層からなるp型ウェルPWLが形成されている。素子分離領域LOおよびこの素子分離領域LOで分離された領域に形成されているn型半導体層NRとp型ウェルPWL上には層間絶縁膜IL1が形成されている。この層間絶縁膜IL1には、層間絶縁膜IL1を貫通するように複数のコンタクトホールC4が形成されており、複数のコンタクトホールC4には、n型半導体層NRに達するものと、p型ウェルPWLに達するものがある。これらのコンタクトホールC4を埋め込んで、かつ、層間絶縁膜IL1上に配置されるように金属膜からなるガードリングGRが形成されている。そして、ガードリングGRを覆うように表面保護膜(パッシベーション膜)PVが形成されている。このようにターミネーション領域には、ガードリングGRが何重にもわたって形成されており、半導体チップCHPの周辺部における耐圧低下を抑制している。例えば、p型ウェルPWLは、ある一定レベルの耐圧を確保する観点から、不純物濃度が決定されている。
次に、温度検知ダイオード形成領域における構成について説明する。この温度検知ダイオード形成領域は、図2に示す半導体チップCHPの平面図では図示を省略している。図3に示すように、温度検知ダイオード形成領域では、n型ベース層NBにp型半導体層からなるp型ウェルPWLが形成されており、このp型ウェルPWL上にゲート絶縁膜GOXを介して温度検知ダイオードが形成されている。この温度検知ダイオードは、直列にn型半導体層N1、p型半導体層P1、n型半導体層N2およびp型半導体層P2を接続した構造となっており、pn接合ダイオードで形成されている。これらのn型半導体層N1、p型半導体層P1、n型半導体層N2およびp型半導体層P2を覆うように層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1に複数のコンタクトホールC3が形成されている。複数のコンタクトホールC3のうち1つのコンタクトホールC3は、層間絶縁膜IL1を貫通してn型半導体層N1に達しており、別のコンタクトホールC3は、層間絶縁膜IL1を貫通してp型半導体層P2に達している。n型半導体層N1に達しているコンタクトホールC3を埋め込み、かつ、層間絶縁膜IL1上に配置されるようにカソード電極CEが形成されている。同様に、p型半導体層P2に達しているコンタクトホールC3を埋め込み、かつ、層間絶縁膜IL1上に配置されるようにアノード電極AEが形成されている。このカソード電極CEとアノード電極AEを覆うように表面保護膜PVが形成されているが、この表面保護膜PVに開口部が形成されてカソード電極CEとアノード電極AEが露出している。
このように構成されている温度検知ダイオードは、セル領域に形成されているIGBTの温度を検知するために設けられている。すなわち、IGBTの温度によって温度検知ダイオードの順方向電流電圧特性が変化することによりIGBTの温度を検知するようになっている。この温度検知ダイオードは、ポリシリコンに異なる導電型の不純物を導入することによりpn接合が形成されており、カソード電極CEとアノード電極AEとを有している。このカソード電極CEとアノード電極AEは、半導体チップCHPの外部に設けられる温度検知回路に接続される。この温度検知回路は、温度検知用ダイオードのカソード電極およびアノード電極間の出力に基づいて間接的にIGBTの温度を検知し、検知した温度がある一定温度以上になったとき、IGBTのゲート電極に印加されるゲート信号を遮断し、IGBTを保護するようになっている。
続いて、ゲート配線引き出し領域における構成について説明する。ゲート配線引き出し領域は、セル領域に形成されるゲート電極をゲートパッドと接続するための領域である。図3に示すように、ゲート配線引き出し領域では、n型ベース層NBにp型ウェルPWLが形成されており、このp型ウェルPWLの表面から内部に達するようにトレンチTRが形成されている。トレンチTRの内壁にはゲート絶縁膜GOXを介してゲート引き出し線GHが形成されている。すなわち、トレンチTRの内部を埋め込み、かつ、ゲート絶縁膜GOXを介したp型ウェルPWL上に延在するようにゲート引き出し線GHが形成されている。このゲート引き出し線GHは、セル領域に形成されているゲート電極と電気的に接続されている。そして、ゲート引き出し線GHを覆うように層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1を貫通してゲート引き出し線GHに達するコンタクトホールC2が形成されている。このコンタクトホールC2を埋め込み、かつ、層間絶縁膜IL1上に延在するようにゲート配線GLが形成されている。このゲート配線GLは、ゲートパッドと電気的に接続されている。したがって、セル領域に形成されているゲート電極は、ゲート配線引き出し領域に形成されているゲート引き出し線GHとゲート配線GLによってゲートパッドと接続されていることになる。これにより、ゲートパッドに印加された電圧がゲート配線引き出し領域を介してセル領域に形成されているゲート電極に供給されることになる。ゲート配線引き出し領域に形成されているゲート配線GLを覆うように表面保護膜PVが形成されており、ゲート配線GLと接続するゲートパッドでは、この表面保護膜PVに開口部が形成されている。すなわち、ゲートパッドは、表面保護膜PVから露出するように構成されていることになる。これにより、半導体チップCHPの外部からゲートパッドに電圧を供給することができるようになっている。
次に、セル領域に形成されているIGBTの構成について説明する。ここで、セル領域に形成されているIGBTの構成は、図3のセル領域を拡大した図4を用いて説明する。図4は、セル領域の一部を拡大して示す断面図である。図4に示すように、IGBTには、p型半導体層からなるp型コレクタ層PCL上にn型半導体層からなるn型フィールドストップ層NFが形成されている。そして、n型フィールドストップ層NF上にn型半導体層からなるn型ベース層NBが形成され、このn型ベース層NB上にn型半導体層からなるn型ホールバリア層NHBが形成されている。このn型ホールバリア層NHB上には、p型半導体層からなるp型チャネル形成層PCHが形成され、p型チャネル形成層PCH上にn型半導体層からなるn型エミッタ層NEが形成されている。
このn型エミッタ層NEの表面からn型エミッタ層NEとp型チャネル形成層PCHを貫通してn型ホールバリア層NHBに達するようにトレンチTRが形成されている。トレンチTRの内壁にはゲート絶縁膜GOXが形成され、このゲート絶縁膜GOX上で、かつ、トレンチTRを埋め込むようにゲート電極Gが形成されている。ゲート電極G上を含むn型エミッタ層NE上には層間絶縁膜IL1が形成されており、複数のトレンチTRの間には、層間絶縁膜IL1とn型エミッタ層NEとを貫通してp型チャネル形成層PCHに達するコンタクトホールC1が形成され、このコンタクトホールC1の底部に接するようにp型チャネル形成層PCH内にp型半導体層からなるp型コンタクト層PCが形成されている。そして、p型コンタクト層PCとn型ホールバリア層NHBに接するようにp型半導体層からなるp型ラッチアップ防止層PLが形成されている。
コンタクトホールC1内を含む層間絶縁膜IL1上にはバリア導体膜であるチタンタングステン膜12とアルミニウム膜13の積層膜が形成されている。このチタンタングステン膜12とアルミニウム膜13よりなる積層膜はエミッタ電極EEとなるものである。
このように構成されているIGBTについて、回路構成とデバイス構造を対比して説明する。図5は、セル領域に形成されているIGBTについて、回路構成とデバイス構造を対応させた図である。まず、IGBTの回路構成について、図5を参照しながら説明する。図5に示すように、セル領域に形成されているIGBTは、pnpバイポーラトランジスタTr1と、npnバイポーラトランジスタTr2と、電界効果トランジスタTr3を有している。このとき、pnpバイポーラトランジスタTr1と電界効果トランジスタTr3により、IGBTが構成されており、npnバイポーラトランジスタTr2は、デバイス構造上寄生的に形成される寄生トランジスタである。すなわち、IGBTの主要構成は、pnpバイポーラトランジスタTr1と電界効果トランジスタTr3であり、npnバイポーラトランジスタTr2は寄生的な構成要素である。
pnpバイポーラトランジスタTr1は、p型コレクタ層PCLと、n型ベース層(n型フィールドストップ層NFおよびn型ホールバリア層NHBを含む)と、p型チャネル形成層PCH(p型コンタクト層PCおよびp型ラッチアップ防止層PLを含む)により構成されている。
一方、寄生的な構成要素であるnpnバイポーラトランジスタTr2は、n型ベース層(n型フィールドストップ層NFおよびn型ホールバリア層NHBを含む)と、p型チャネル形成層PCH(p型コンタクト層PCおよびp型ラッチアップ防止層PLを含む)と、n型エミッタ層NEにより構成されている。
さらに、電界効果トランジスタTr3は、ソース領域となるn型エミッタ層NEと、ドレイン領域となるn型ベース層(n型フィールドストップ層NFおよびn型ホールバリア層NHBを含む)と、このn型エミッタ層NEとn型ベース層NBとの間に設けられているp型チャネル形成層PCHとを有している。そして、トレンチTRの内壁に形成されたゲート絶縁膜GOXと、トレンチTRを埋め込むゲート電極Gから構成されている。
続いて、pnpバイポーラトランジスタTr1、npnバイポーラトランジスタTr2および電界効果トランジスタTr3の接続関係について説明する。IGBTのコレクタ電極CLEとIGBTのエミッタ電極EEの間にpnpバイポーラトランジスタTr1が接続されている。そして、pnpバイポーラトランジスタTr1のベースが電界効果トランジスタTr3のドレイン領域(n型ベース層NB)に接続され、電界効果トランジスタTr3のソース領域(n型エミッタ層NE)がIGBTのエミッタ電極EEに接続されている。このとき、寄生的に形成されるnpnバイポーラトランジスタTr2のコレクタがpnpバイポーラトランジスタTr1のベースに接続され、npnバイポーラトランジスタTr2のエミッタがIGBTのエミッタ電極EEに接続されている。そして、寄生的に形成されるnpnバイポーラトランジスタTr2のベースがIGBTのエミッタ電極EEに接続されている。
セル領域に形成されているIGBTは上記のように構成されており、以下に、その動作について図5を参照しながら説明する。まず、回路動作を説明し、その後、デバイス構造での動作を説明する。
IGBTのコレクタ電極CLEに高電位を印加し、IGBTのエミッタ電極EEに低電位を印加した状態で、ゲート配線GLを介して電界効果トランジスタTr3のゲート電極Gにしきい値以上のゲート電圧を印加する。すると、電界効果トランジスタTr3がオンして、pnpバイポーラトランジスタTr1のベース電流が流れる。この結果、pnpバイポーラトランジスタTr1が接続されているIGBTのコレクタ電極CLEとIGBTのエミッタ電極EEの間に電流が流れる。このようにして、IGBTがオンする。続いて、電界効果トランジスタTr3のゲート電極Gにしきい値電圧以下の電圧を印加する。すると、電界効果トランジスタTr3がオフして、pnpバイポーラトランジスタTr1のベース電流が流れなくなる。このため、ベース電流に基づいてIGBTのコレクタ電極CLEとIGBTのエミッタ電極EE間に流れている電流が流れなくなる。すなわち、pnpバイポーラトランジスタTr1がオフする結果、IGBTがオフする。このようにIGBTでは、電界効果トランジスタTr3のオン/オフを制御することによって、pnpバイポーラトランジスタTr1のベース電流の通電および遮断を制御している。このpnpバイポーラトランジスタTr1のベース電流の通電および遮断によって、結果的に、pnpバイポーラトランジスタTr1のコレクタ電流の通電および遮断が制御され、IGBTのオン/オフが制御されることになる。したがって、IGBTは、電界効果トランジスタTr3の高速スイッチング特性や電圧駆動特性と、pnpバイポーラトランジスタTr1の低オン電圧特性を兼ね備える半導体素子であることがわかる。なお、上述した回路動作は、IGBTが正常に動作することを前提として説明したものであり、寄生的に形成されているnpnバイポーラトランジスタTr2は動作しないものとして説明している。
続いて、デバイス構造での動作について説明する。IGBTのコレクタ電極CLEに高電位を印加し、IGBTのエミッタ電極EEに低電位を印加する。この状態で、ゲート電極Gにしきい値以上の電圧を印加する。すると、トレンチTRの側面に接触しているp型チャネル形成層にn型半導体層からなる反転層(チャネル)が形成される。したがって、n型エミッタ層NEとn型ホールバリア層NHBは反転層で電気的に接続されることとなり、n型エミッタ層NEから反転層およびn型ホールバリア層NHBを介してn型ベース層NBに電子eが流れる。一方、n型ベース層NB(n型フィールドストップ層NF)とp型コレクタ層PCLの間が順バイアスされるので、p型コレクタ層PCLからn型ベース層NBに正孔hが注入される。このため、n型ベース層NBには正孔hが蓄積される。この蓄積された正孔hによる正電荷によって電子eが引き寄せられる結果、n型ベース層NBに多量の電子eが流入する。これにより、n型ベース層NBの抵抗が低下する。この現象がいわゆる伝導度変調であり、この伝導度変調によりIGBTのオン電圧が低くなる。そして、n型ベース層NBに流入した正孔hは、n型ホールバリア層NHB、p型ラッチアップ防止層PLおよびp型コンタクト層PCを介してエミッタ電極EEに流出する。このようにして、コレクタ電極CLEからエミッタ電極EEに電流が流れることによりIGBTがターンオンする。このとき、p型コレクタ層PCLからn型ベース層NBに注入された正孔hは、n型ベース層NBに存在する電子と再結合することが考えられる。しかし、シリコンを主体とする半導体材料では、化合物半導体を主体とする半導体材料に比べて、電子と正孔の再結合が起こりにくい性質がある。したがって、n型ベース層NBに注入された正孔hの大部分は、n型ベース層NBにある電子eと再結合せず蓄積される。その結果、n型ベース層NBに正孔hが蓄積され、この蓄積された正孔hに引き寄せられるように、n型エミッタ層NEから流入した電子eがn型ベース層NBに蓄積されて伝導度変調が生じるのである。以上のことから、IGBTでは伝導度変調によりオン電圧が低くなる特徴がある。
次に、IGBTをターンオフする動作について説明する。すなわち、ゲート電極Gにしきい値以下の電圧を印加する。これにより、トレンチTRの側面に形成されている反転層が消滅して、n型エミッタ層NEとn型ホールバリア層NHB(n型ベース層NB)が電気的に切断される。すなわち、n型エミッタ層NEからn型ベース層NBへの電子eの供給が停止される。これにより、IGBTはオフすると考えられるが、実際には、ゲート電極Gにしきい値以下の電圧を印加して反転層を消滅させても、IGBTは直ちにターンオフするわけではない。つまり、IGBTでは、ゲート電極Gにオフ電圧を印加した直後でも完全に電流が遮断されるのではなく、IGBTが完全にターンオフするまで一定の時間がかかる。このことを本明細書ではターンオフ損失と呼んでいる。以下に、このターンオフ損失が生じる原因について説明する。
IGBTがオンしているときはオン電圧が低くなっているが、IGBTがオフすると、コレクタ電極CLEとエミッタ電極EEの間に電源電圧に相当する電位が印加されることになる。このため、p型チャネル形成層PCH(p型ラッチアップ防止層PL)とn型ベース層NB(n型ホールバリア層NHB)との間のpn接合に印加される逆バイアスも電源電位程度に大きくなり、pn接合の境界からn型ベース層NBの内部に向って空乏層が延びる。IGBTをターンオフしたとき、n型ベース層NBの内部には、正孔hが蓄積されている。この蓄積されている正孔hのうち、n型ベース層NBの内部に向って延びている空乏層内に入るものは、空乏層内の電界によってすぐにn型ベース層NBから外部に掃き出される。一方、蓄積されている正孔hのうち、n型ベース層NBの内部に向って延びている空乏層内に入らないものは、n型ベース層NBの外部に流出しにくく徐々にテイル電流として流出する。したがって、ゲート電極Gをしきい値以下の電圧にしてもIGBTが直ぐにターンオフするのではなく、n型ベース層NBに蓄積された正孔hがIGBTの外部に流出する時間だけ遅れることになる。これがIGBTにおけるターンオフ損失のメカニズムであり、n型ベース層NBに蓄積された正孔hがIGBTの外部に掃き出される時間がターンオフ損失となるのである。
以上のようにIGBTでは、オン動作時のオン電圧が低くなるという特徴を有するとともに、ターンオフ時にターンオフ損失と呼ばれる現象が生じることがわかる。IGBTにおいて、オン動作時のオン電圧を低くする観点からは、p型コレクタ層PCLからn型ベース層NBに注入される正孔hの量を多くすることが望ましい。なぜなら、n型ベース層NBに注入される正孔hが多ければ、n型ベース層NBに蓄積される正孔hの量が多くなりn型ベース層NBでの伝導度変調が高まるからである。一方、IGBTのターンオフ時におけるターンオフ損失を低減する観点からは、p型コレクタ層PCLからn型ベース層NBに注入される正孔hの量を制限することが望ましい。なぜなら、n型ベース層NBに注入される正孔hが多ければ、n型ベース層NBに蓄積される正孔hの量が多くなり、n型ベース層NBに蓄積された正孔hをIGBTの外部に流出させる時間が長くなるからである。したがって、IGBTのオン電圧を低減することと、IGBTのターンオフ損失を低減することは、n型ベース層NBに蓄積される正孔hの量の観点で考えるとトレードオフの関係にあることがわかる。このトレードオフの関係にあるオン電圧の低減とターンオフ損失の低減を如何に調和させることができるかがIGBTの高性能化の鍵となる。
ここで、IGBTのターンオフ損失を低減するには、上述したIGBTのターンオフ時の動作で説明したように、n型ベース層NBに延びる空乏層の幅を大きくすればよいと考えられる。つまり、n型ベース層NBに蓄積された正孔hは空乏層内に入れば空乏層内の電界により加速されてp型チャネル形成層PCHに掃き出されるからである。したがって、IGBTのオフ時動作に、n型ベース層NBの全体が空乏化するように設定すれば、IGBTのターンオフ損失を低減できると考えられる。このようにn型ベース層NBの全体が空乏化するIGBTをパンチスルー型IGBTという。このパンチスルー型IGBTでは、n型ベース層NBの全体を空乏化するように構成されるが、空乏層が延びすぎてn型ベース層NBの下層に形成されているp型コレクタ層PCLにまで空乏層が達すると、p型チャネル形成層PCHとp型コレクタ層PCLが空乏層でつながることになり、パンチスルーが生じてしまう。このため、n型ベース層NBとp型コレクタ層PCLの間にn型ベース層NBよりも不純物濃度の高いn型フィールドストップ層NFを設けている。このn型フィールドストップ層NFを設けることにより、n型ベース層NBから延びる空乏層がp型コレクタ層PCLに達することなくn型フィールドストップ層NFで止まることになる。つまり、n型フィールドストップ層NFは、n型ベース層NBから延びる空乏層がp型コレクタ層PCLに達することを防止する機能を有しているのである。以上のように、IGBTのターンオフ時に、n型ベース層NBの全体が空乏化するパンチスルー型IGBTとすれば、ターンオフ損失を低減できると考えられる。しかし、このパンチスルー型IGBTであっても、n型ベース層NBに蓄積される正孔量が多ければ、蓄積された正孔hをすべてIGBTの外部に掃き出すために時間がかかることになり、ターンオフ損失が大きくなってしまう。このことから、パンチスルー型IGBTであっても、n型ベース層NBに流入する正孔量を制限する必要があるのである。IGBTの高性能化には、トレードオフの関係にあるオン電圧の低減とターンオフ損失の低減とを両立させる必要があり、n型ベース層NBに注入する正孔の注入効率を最適化する必要があることがわかる。
以下では、n型ベース層NBに注入する正孔の注入効率を最適化する構成について説明する。まず、正孔の注入効率を定量化するにあたって、注入効率を以下に示す量で近似する。すなわち、p型コレクタ層PCLからn型ベース層NBへの正孔の注入効率を(Qp/Qn)に比例すると仮定するのである。このとき、Qpはp型コレクタ層PCL内に存在するキャリア量(正孔量)を示しており、Qnはn型フィールドストップ層NF内に存在するキャリア量(電子量)を示している。
このとき、p型コレクタ層PCL内に存在するキャリア量(正孔量)Qpが大きくなると、p型コレクタ層PCLからn型ベース層NBへの正孔の注入効率が高まる。一方、n型フィールドストップ層NF内に存在するキャリア量(電子量)Qnが大きくなると、p型コレクタ層PCLからn型ベース層NBへの正孔の注入効率が低くなる。これは、n型フィールドストップ層NFがp型コレクタ層PCLからn型ベース層NBへの正孔の注入を制限する機能を有しているといえる。この正孔の注入を制限する機能は、n型フィールドストップ層NF内に存在するキャリア量(電子量)が多いほど高まることが分かっている。n型フィールドストップ層NFは、n型ベース層NBから延びる空乏層がp型コレクタ層PCLに達することを防止する機能を有しているとともに、その他の別の機能として、p型コレクタ層PCLからの正孔の注入を制限する機能も有しているということがわかる。以上のことから、正孔の注入効率を(Qp/Qn)に比例するという近似が妥当であることがわかる。
次に、p型コレクタ層PCL内に存在するキャリア量(正孔量)Qpと、n型フィールドストップ層NF内に存在するキャリア量(電子量)Qnがどのように定量化されるかについて説明する。図6は、p型コレクタ層PCLとn型フィールドストップ層NFとn型ベース層NBにおけるキャリア濃度Nと半導体チップの裏面からの深さとの関係を示すグラフである。図6において、縦軸はキャリア濃度(個/cm)を示しており、横軸は深さ(μm)を示している。図6に示すように、半導体チップの裏面から深さaまでの領域にp型コレクタ層PCLが形成されており、深さaから深さbまでの領域にn型フィールドストップ層NFが形成されている。そして、深さbよりも深い領域にn型ベース層NBが形成されている。このとき、まず、p型コレクタ層PCL内に存在するキャリア量(正孔量)Qpは、図6の式(1)で示されるように定量化される。式(1)は、p型コレクタ層PCLのキャリア濃度(正孔の濃度)Nを深さ0から深さaまで積分することを示しており、この積分値をp型コレクタ層PCL内に存在するキャリア量(正孔量)Qp(個/cm)と定義している。これにより、p型コレクタ層PCL内に存在するキャリア量(正孔量)Qp(個/cm)は、p型コレクタ層PCLの単位面積あたりの(キャリア量)正孔量を示していることがわかる。同様に、n型フィールドストップ層NF内に存在するキャリア量(電子量)Qnは、図6の式(2)で示されるように定量化される。式(2)は、n型フィールドストップ層NFのキャリア濃度(電子の濃度)Nを深さaから深さbまで積分することを示しており、この積分値をn型フィールドストップ層NF内に存在するキャリア量(電子量)Qn(個/cm)と定義している。これにより、n型フィールドストップ層NF内に存在するキャリア量(電子量)Qn(個/cm)は、n型フィールドストップ層NFの単位面積あたりの(キャリア量)電子量を示していることがわかる。
続いて、正孔の注入効率を示す(Qp/Qn)とIGBTのオン電圧との関係について説明する。図7は、(Qp/Qn)とIGBTのオン電圧との関係を示すグラフである。図7において、縦軸はIGBTのオン電圧(V)を示しており、横軸は正孔の注入効率を表す(Qp/Qn)を示している。図7に示すように、(Qp/Qn)が大きくなるにつれて、IGBTのオン電圧が低くなっていることがわかる。したがって、オン電圧を低減する観点からは、(Qp/Qn)を大きくすることが望ましいことがわかる。(Qp/Qn)を大きくするということは、Qpの値を大きくすることを意味しており、正孔の注入効率が大きくなることに対応している。正孔の注入効率が大きくなるということは、n型ベース層に蓄積される正孔量が大きくなり、伝導度変調の効果が高まってn型ベース層の抵抗が下がることを意味している。このため、(Qp/Qn)を大きくすると、IGBTのオン電圧が低下することがわかる。
次に、正孔の注入効率を示す(Qp/Qn)とIGBTのターンオフ下降時間(ターンオフ損失)との関係について説明する。図8は、(Qp/Qn)とIGBTのターンオフ下降時間との関係を示すグラフである。図8において、縦軸はIGBTのターンオフ下降時間(ns)を示しており、横軸は正孔の注入効率を表す(Qp/Qn)を示している。図8に示すように、(Qp/Qn)が大きくなると、ターンオフ下降時間も上昇することがわかる。(Qp/Qn)が大きくなることは、p型コレクタ層PCLからn型ベース層NBへの正孔の注入効率が大きくなることを意味し、この結果、n型ベース層NBに蓄積されている正孔量が大きくなるので、n型ベース層NBに蓄積されている正孔をIGBTの外部に掃き出すのに必要な時間(ターンオフ下降時間)が長くなることを示している。そして、(Qp/Qn)が小さくなると、ターンオフ下降時間も短くなる傾向が示されている。これは、p型コレクタ層PCLからn型ベース層NBへの正孔の注入効率が小さくなる結果、n型ベース層NBに蓄積されている正孔量が小さくなり、正孔をIGBTの外部に掃き出す時間が短くなることによるものと推察される。さらに、(Qp/Qn)を小さくすると、逆に、ターンオフ下降時間が急上昇することがわかる。この現象は、p型コレクタ層PCLからn型ベース層NBへの正孔の注入効率が小さくなることから、n型ベース層NBに蓄積されている正孔量が小さくなり、正孔をIGBTの外部に掃き出す時間が短くなるとの推察に反する結果である。この現象を説明するメカニズムとしては以下に示すものが考えられる。すなわち、(Qp/Qn)が小さくなるということは、n型フィールドストップ層NF内に存在するキャリア量(電子量)Qnが大きくなることを意味している。IGBTがオンしているときには、p型コレクタ層PCLとn型フィールドストップ層NFとの間に順バイアスが印加されているので、p型コレクタ層PCLからn型ベース層NBに正孔が流入すると同時に、n型フィールドストップ層NFからp型コレクタ層PCLに電子が流入すると考えられる。いまの場合、n型フィールドストップ層NFのキャリア量(電子量)が大きいので、n型フィールドストップ層NFからp型コレクタ層PCLに流入するキャリア量(電子量)も大きいと考えられる。この状態で、IGBTがターンオフすると、p型コレクタ層PCLに流入している電子がIGBTの外部に掃き出されるが、p型コレクタ層PCLに流入している電子量が大きいため、この電子をIGBTの外部に掃き出す時間が長くなりIGBTのターンオフ下降時間が長くなると考えることができる。つまり、(Qp/Qn)が非常に小さい領域では、n型ベース層NBに蓄積されている正孔の掃き出し時間よりも、p型コレクタ層PCLに流入している電子の掃き出し時間が顕在化してくるものと推察されるのである。このようにして図8に示すグラフの特徴を説明することができる。
図7に示す(Qp/Qn)とオン電圧の関係と図8に示す(Qp/Qn)とターンオフ下降時間(ターンオフ損失)との関係から、オン電圧を低減し、かつ、ターンオフ下降時間を短くできる最適な(Qp/Qn)の値が存在することを本発明者らは見出した。以下に(Qp/Qn)の範囲の求め方を説明する。図8に示す関係から、ターンオフ下降時間を短くするためには(Qp/Qn)の値を5〜8程度にすることが望ましいことが分かる。一方、図7からは(Qp/Qn)が大きいほどオン電圧が小さいことが分かる。これらの関係から、ターンオフ下降時間を短くし、かつオン電圧を低減するためには、(Qp/Qn)の値を8程度に設定すればよいことを本発明者らは見出した。ただし、(Qp/Qn)の値を8程度に設定するようにしても実際には以下に示す理由からばらつきが生じるので、実際には(Qp/Qn)の値に幅をもたせる必要がある。本実施の形態1では、その範囲を4≦(Qp/Qn)≦16とした。(Qp/Qn)がこの範囲にあれば、充分にオン電圧を低減し、かつ、ターンオフ下降時間を短くできる。
以下に、正孔の注入効率を示す(Qp/Qn)の範囲を4以上16以下のように幅をもたせている理由について説明する。Qpは、p型コレクタ層PCL内に存在するキャリア量(正孔量)であり、Qnはn型フィールドストップ層NF内に存在するキャリア量(電子量)である。このとき、p型コレクタ層PCLやn型フィールドストップ層NFは、半導体基板にイオン注入法を用いて不純物を導入した後、活性化アニールを施すことにより形成される。例えば、n型フィールドストップ層NFを形成するには、半導体基板にリンなどのn型不純物を導入し、その後、レーザアニールでn型不純物を活性化することにより形成される。ここで、活性化したn型不純物が多くなれば、n型フィールドストップ層NF内に存在するキャリア(電子)量も多くなる。言い換えれば、n型不純物を多く導入してもn型不純物の活性化量が少なければ、n型フィールドストップ層NF内に存在するキャリア(電子)量は少なくなる。
図9は、n型フィールドストップ層NFを形成する場合におけるリンドーズ量とキャリア量Qnとの関係を示すグラフである。図9において、縦軸がキャリア量(個/cm)を示しており、横軸がリンドーズ量(個/cm)を示している。図9に示すように、リンドーズ量が多くなればなるほどキャリア量Qnも大きくなっていることがわかる。図9中には複数種類のプロット(例えば、三角印、丸印、×印)が存在するが、これらはレーザアニール条件を変えていることに対応している。図9からわかることは、レーザアニール条件を変えても、リンの活性化率はばらつきが少ないことである。つまり、n型フィールドストップ層NFを形成する場合、キャリア量Qnは、ほぼリンドーズ量が決定されれば、レーザアニール条件によらないと考えることができる。したがって、所望のキャリア量Qnを得るには、リンドーズ量を正確に制御すれば実現できることになる。
一方、p型コレクタ層PCLを形成するには、半導体基板にボロン(ホウ素)などのp型不純物を導入し、その後、レーザアニールでp型不純物を活性化することにより形成される。ここで、活性化したp型不純物が多くなれば、p型コレクタ層PCL内に存在するキャリア(正孔)量も多くなる。言い換えれば、p型不純物を多く導入してもp型不純物の活性化量が少なければ、p型コレクタ層PCL内に存在するキャリア(正孔)量は少なくなる。
図10は、p型コレクタ層PCLを形成する場合におけるボロンドーズ量とキャリア量Qpとの関係を示すグラフである。図10において、縦軸がキャリア量(個/cm)を示しており、横軸がボロンドーズ量(個/cm)を示している。図10に示すように、ボロンドーズ量が多くなればなるほどキャリア量Qpも大きくなっていることがわかる。図10中には複数種類のプロット(例えば、三角印、丸印、×印)が存在するが、これらはレーザアニール条件を変えていることに対応している。図10からわかることは、レーザアニール条件を変えると、ボロンの活性化率がばらつくことである。つまり、p型コレクタ層PCLを形成する場合、キャリア量Qpは、ボロンドーズ量が決定されても、レーザアニール条件を変えるとばらつくと考えることができる。したがって、p型コレクタ層PCLを形成する場合、所望のキャリア量Qpを得ようとして、ボロンドーズ量を正確に制御しても、活性化アニールの条件によってばらつくことがわかる。
以上より、(Qp/Qn)を所望の値に設定するように、QpとQnを制御する場合、Qnはドーズ量で正確に制御できる一方、Qpはドーズ量だけでは正確に制御することができず、ばらつきが大きくなる。したがって、図7および図8から(Qp/Qn)が8になるように設定することが、オン電圧の低減とターンオフ損失の低減を両立する観点から望ましいが、図10に示すように、Qpは同じボロンドーズ量であっても、キャリア量Qpが半分から倍程度ばらつくことを考慮すると、(Qp/Qn)の範囲を4以上16以下のように幅をもたせる必要があることがわかる。この場合、(Qp/Qn)の範囲を4以上16以下としても、充分にオン電圧の低減とターンオフ損失を低減することができ、IGBTの高性能化を実現できる。言い換えれば、トレードオフの関係にあるオン電圧の低減とターンオフ損失の低減を同時に改善するには、正孔の注入効率を示す(Qp/Qn)の範囲を4以上16以下に最適化することが必要であることがわかる。このように本実施の形態1における第1特徴点は、正孔の注入効率を示す(Qp/Qn)の範囲を4以上16以下にすることにある。この第1特徴点により、トレードオフの関係にあるIGBTのオン電圧の低減とターンオフ損失を改善できる結果、高性能なIGBTを実現することができるのである。
以上の理由から、本実施の形態1では、(Qp/Qn)の範囲を4以上16以下としている。具体的に、(Qp/Qn)の値の範囲を4以上16以下とする場合、例えば、p型コレクタ層PCLのキャリア量Qpは、4.0×1013〜8.0×1013(個/cm)であり、n型フィールドストップ層NFのキャリア領域Qnは、5×1012〜1.0×1013(個/cm)である。
本実施の形態1の第1特徴点は、正孔の注入効率を示す(Qp/Qn)の範囲を4以上16以下にすることにあるが、実際に(Qp/Qn)の値を測定する方法について説明する。まず、第1の測定方法は、SPRである。SPR(Spreading Resistance Profiling method)とは、広がり抵抗測定と呼ばれる測定方法である。この広がり抵抗測定法は、試料を斜めに研磨し、研磨面の探針(プローブ)を接触させ、その電気的に測定した抵抗からキャリア濃度を求める分析方法である。本実施の形態1では、広がり抵抗測定法によってp型コレクタ層PCLとn型フィールドストップ層NFの深さ方向のキャリア濃度分布を求めることができる。そして、求めたキャリア濃度分布を深さで積分することにより、p型コレクタ層PCLのキャリア量Qpとn型フィールドストップ層NFのキャリア量Qnとを求めることができる。最後に、p型コレクタ層PCLのキャリア量Qpとn型フィールドストップ層NFのキャリア量Qnとの比をとることにより、正孔の注入効率を求めることができる。
続いて、第2の測定方法は、広がり抵抗顕微鏡を用いた測定方法である。広がり抵抗顕微鏡による測定方法は、SSRM(Scanning Spread Resistance Microscope)と呼ばれる。図11は、広がり抵抗顕微鏡による測定原理を説明する図である。図11に示すように、試料Sに電源Eによりバイアス電圧を印加し、カンチレバーKLに形成されている導電性探針Pを試料Sに接触させる。そして、導電性探針Pを通して流れる電流をワイドレンジ対数アンプAMPによって計測することにより抵抗分布を得ることができる。そして、この抵抗分布からキャリア濃度を求める分析方法である。
広がり抵抗顕微鏡を用いた測定方法によれば、印加電圧が導電性探針Pの直下に集中するため、探針直下での不純物濃度が支配的な電流(広がり抵抗)を検出することができる。そして、計測範囲が10pA〜0.1mAのワイドレンジ対数アンプAMPを使用しているので、幅広いキャリア濃度を測定することができる。さらに、導電性探針Pの接触抵抗を減らすため、バネ定数の大きなカンチレバーKLで高い荷重をかけて測定するので、キャリア濃度に依存した抵抗値を測定することができる利点がある。
次に、本実施の形態1における第2特徴点について説明する。本実施の形態1における第1特徴点は、p型コレクタ層PCL内に存在するキャリア量(正孔量)をQpと、n型フィールドストップ層NF内に存在するキャリア量(電子量)をQnとした場合、正孔の注入効率を(Qp/Qn)と仮定し、この(Qp/Qn)の値を4以上16以下にすることに特徴がある。このように正孔の注入効率を調整することで、トレードオフの関係にあるオン電圧の低減とターンオフ損失の低減をバランスよく改善することができる。
ただし、オン電圧の低減だけの観点から考えると、図7に示すように、正孔の注入効率である(Qp/Qn)を大きくすればするほどオン電圧の低減を図ることができる。このメカニズムは、p型コレクタ層PCLからn型ベース層NBへの正孔の注入効率を大きくすれば、n型ベース層NBに蓄積される正孔の量が増加し、この正孔の正電荷に引き寄せられるように電子がn型ベース層NBに集まる伝導度変調により、オン電圧が低減するというものである。したがって、オン電圧を低減するためのポイントは、n型ベース層NBに蓄積される正孔の量を増やせばよいのである。このため、正孔の注入効率を高める他にも、n型ベース層NBからの正孔の流出を抑制することで、オン電圧の低減を実現することができると考えられる。
そこで、本実施の形態1の第2特徴点は、n型ベース層NBからの正孔の流出を抑制することに着目して実現されるものである。具体的に本実施の形態1における第2特徴点は、図4および図5に示すように、n型ベース層NBとp型チャネル形成層PCHの間にn型半導体層からなるn型ホールバリア層NHBを設けることにある。このn型ホールバリア層NHBは、n型ベース層NBよりもn型不純物の不純物濃度が高い領域として形成されている。したがって、n型ベース層NBに蓄積された正孔がp型チャネル形成層PCHへ流出することを抑制できるのである。この結果、n型ベース層NBには、正孔が多く蓄積されることになり、IGBTのオン動作時における伝導度変調を高めることができる。このことから、n型ベース層NBとp型チャネル形成層PCHの間に、n型ベース層NBよりも不純物濃度の高いn型ホールバリア層NHBを設けるという本実施の形態1の第2特徴点により、IGBTのオン電圧をさらに低減することができる。
ここで、n型ベース層NBよりも不純物濃度の高いn型ホールバリア層NHBを設けることにより、n型ベース層NBに蓄積された正孔がp型チャネル形成層PCHへ流出することを抑制できることは、n型フィールドストップ層NFの機能から類推することができる。すなわち、n型フィールドストップ層NFのキャリア量Qnを大きくすると、p型コレクタ層PCLからの正孔の注入効率を制限できるということから、n型半導体領域の不純物濃度を高めると、正孔の通過を抑制できることがわかる。このため、n型ベース層NBとp型チャネル形成層PCHの間に、n型ベース層NBよりも不純物濃度の高いn型ホールバリア層NHBを設けると、n型ベース層NBからp型チャネル形成層PCHに流出する正孔の量を制限できると考えられるのである。すなわち、本実施の形態1の第2特徴点は、n型ベース層NBから流出する正孔の量を低減する観点からなされたものであり、n型ベース層NBよりもn型不純物の不純物濃度の高いn型ホールバリア層NHBを設ける点にある。
続いて、本実施の形態1の第3特徴点について説明する。上述したように、本実施の形態1の第2特徴点は、n型ベース層NBとp型チャネル形成層PCHの間に、n型ベース層NBよりも不純物濃度の高いn型ホールバリア層NHBを設ける点にあるが、このn型ホールバリア層NHBを設ける副作用としてIGBTでラッチアップ現象が生じやすくなることが挙げられる。
まず、IGBTのラッチアップ現象について図5を参照しながら説明する。図5において、コレクタ電極CLEに高電位を印加し、IGBTのエミッタ電極EEに低電位を印加した状態で、ゲート配線GLを介して電界効果トランジスタTr3のゲート電極Gにしきい値以上のゲート電圧を印加する。すると、電界効果トランジスタTr3がオンして、pnpバイポーラトランジスタTr1のベース電流が流れる。この結果、pnpバイポーラトランジスタTr1が接続されているIGBTのコレクタ電極CLEとIGBTのエミッタ電極EEの間に電流が流れる。このようにして、IGBTがオンする。
このとき、IGBTのコレクタ電極CLEからIGBTのエミッタ電極EEに流れる電流は、コレクタ電極CLEからp型チャネル形成層PCHを通って、コンタクトホールC1に埋め込まれるように形成されているエミッタ電極EEへ流れる。したがって、IGBTのコレクタ電極CLEからIGBTのエミッタ電極EEに流れる電流は、p型チャネル形成層PCHの抵抗を通過することになる。このp型チャネル形成層PCHは、n型エミッタ層NE、p型チャネル形成層PCHおよびn型ベース層NB(n型ホールバリア層NHBを含む)から寄生的に形成されるnpnバイポーラトランジスタTr2のベースとして機能する。このため、p型チャネル形成層PCHの抵抗(npnバイポーラトランジスタTr2のベース抵抗)が大きくなると、この抵抗を流れる電流による電圧降下が大きくなり、npnバイポーラトランジスタTr2のベース(p型チャネル形成層PCH)−エミッタ(n型エミッタ層NE)間が順バイアスされてnpnバイポーラトランジスタTr2がオンする。すると、n型ベース層NB(n型ホールバリア層NHB)からp型チャネル形成層PCHを介してn型エミッタ層NEにnpnバイポーラトランジスタTr2のコレクタ電流が流れる。そして、npnバイポーラトランジスタTr2のコレクタ電流は、pnpバイポーラトランジスタTr1のベース電流となることから、さらに、IGBTのコレクタ電極CLEからIGBTのエミッタ電極EEに流れる電流が大きくなる。
そして、npnバイポーラトランジスタTr2のコレクタ電流は、pnpバイポーラトランジスタTr1のベース電流となり、このpnpバイポーラトランジスタTr1のベース電流は、電界効果トランジスタTr3をオフしても流れ続けることになる。すなわち、寄生的なnpnバイポーラトランジスタTr2がオンすることにより、電界効果トランジスタTr3では制御できない電流がpnpバイポーラトランジスタTr1のベース電流として流れることになる。その結果、電界効果トランジスタTr3をオフしても、IGBTのコレクタ電極CLEとIGBTのエミッタ電極EE間にIGBTが破壊に至るまで、電流が流れ続ける。この現象がラッチアップ現象である。
ラッチアップ現象の原因は、寄生的なnpnバイポーラトランジスタTr2がオンすることにあり、この寄生的なnpnバイポーラトランジスタTr2がオンしやすくなるのは、p型チャネル形成層PCHの抵抗(npnバイポーラトランジスタTr2のベース抵抗)が大きくなる場合である。したがって、ラッチアップ現象を防止するため、IGBTでは、p型チャネル形成層PCHの抵抗を小さくして、npnバイポーラトランジスタTr2がオンしにくくする必要がある。このことから、p型チャネル形成層PCHに達するコンタクトホールC1とp型チャネル形成層PCHの間でオーミック接続をとり、抵抗を小さくするため、コンタクトホールC1の底部下のp型チャネル形成層PCH内にp型コンタクト層PCを設けている。つまり、p型コンタクト層PCは、ラッチアップ現象を防止するようにp型チャネル形成層PCHの抵抗を小さくする機能を有しており、p型チャネル形成層PCHよりもp型不純物の不純物濃度が大きくなるように形成されている。
この場合でも、p型コンタクト層PCとn型ホールバリア層NHBの間には、p型チャネル形成層PCHが存在している。このとき、n型不純物の不純物濃度がn型ベース層NBよりも高いn型ホールバリア層NHBを形成すると、このn型ホールバリア層NHBと接触するp型チャネル形成層PCHの抵抗が上昇するのである。このメカニズムについて説明する。p型チャネル形成層PCHはp型半導体層であり、n型ホールバリア層NHBはn型半導体層であることから、p型チャネル形成層PCHとn型ホールバリア層NHBの境界にはpn接合が形成される。このpn接合において、n型ホールバリア層NHBを形成すると、n型ベース層NBとp型チャネル形成層PCHとのpn接合よりもn型半導体層の電子濃度が大きくなる。pn接合では、例えば、pn接合を形成するn型半導体層の電子濃度(多数キャリア)とp型半導体層の電子濃度(少数キャリア)の濃度差による拡散が起ころうとする。つまり、n型半導体層の電子濃度とp型半導体層の電子濃度差を緩和しようとする方向に拡散が起ころうとする。一方、pn接合では、空乏層が生じ、この空乏層による電界も発生する。pn接合では濃度差による拡散と空乏層による電界が反対方向に働き、濃度差による拡散と空乏層による電界が均衡している。この均衡状態を実現するように空乏層の幅が決定されている。このことから、n型ホールバリア層NHBを形成するということは、pn接合におけるn型半導体層の電子濃度が高くなることを意味し、濃度差による拡散傾向が強くなる。したがって、この濃度差による拡散と均衡するための空乏層電界は大きくなる。空乏層内の電界を大きくすることは、空乏層の幅が大きくなることを意味する。すなわち、p型チャネル形成層PCHに形成される空乏層が延びることになる。空乏層は電気的に絶縁領域として機能することから、空乏層の幅が大きくなるということは、p型チャネル形成層PCHの抵抗が大きくなることを意味する。したがって、n型ホールバリア層NHBを形成すると、p型チャネル形成層PCHの抵抗が上昇し、寄生的に存在するnpnバイポーラトランジスタTr2がオンしやすくなるのである。
そこで、本実施の形態1では、図5に示すように、p型コンタクト層PCとn型ホールバリア層NHBの間にp型ラッチアップ防止層PLを設けている。このp型ラッチアップ防止層PLを設ける点が本実施の形態1の第3特徴点である。つまり、本実施の形態1では、p型コンタクト層PCとn型ホールバリア層NHBとの間に、p型チャネル形成層PCHよりもp型不純物の不純物濃度の高いp型ラッチアップ防止層PLを設けているのである。このようにp型チャネル形成層PCHよりも不純物濃度の高いp型ラッチアップ防止層PLを設けることにより、寄生的なnpnバイポーラトランジスタTr2のベース抵抗を低減することができる。すなわち、p型ラッチアップ防止層PLは、IGBTに生じるラッチアップ現象を抑制する機能を有し、特に、n型ホールバリア層NHBを設けても、IGBTにラッチアップが生じないようにすることができる。このp型ラッチアップ防止層PLの不純物濃度は、p型チャネル形成層PCHよりも高く、かつ、p型コンタクト層PCよりも低くなるように設定されている。
次に、本実施の形態1の第4特徴点について説明する。図12は、本実施の形態1における第4特徴点を示す図である。図12に示すように、本実施の形態1における第4特徴点は、ゲート電極Gを埋め込んでいるトレンチTRを、n型ホールバリア層NHBを貫通してn型ベース層NBに達するように深く形成している点である。具体的には、例えば、トレンチTRの底部がp型チャネル形成層PCHの深さの2倍以上深い位置に存在するように形成されている。今までの説明では、第4特徴点を有さないIGBTの構成について説明したが、ここでは、本実施の形態1の第4特徴点を有するようにIGBTを構成することにより、さらなる利点を有することを説明する。
以下に、本実施の形態1における第4特徴点の利点について説明する。まず、上述したように、n型ベース層NBとp型チャネル形成層PCHの間にn型ホールバリア層NHBを設けている。このn型ホールバリア層NHBは、n型ベース層NBからの正孔の流出を抑制する機能を有しており、正孔の流出を抑制する観点からは、n型ホールバリア層NHBの不純物濃度は高いことが望ましい。
しかし、n型ホールバリア層NHBの不純物濃度を高くしすぎると、ラッチアップ現象が生じやすくなるとともに、IGBTをオフした際、n型ホールバリア層NHBとp型チャネル形成層PCH(p型ラッチアップ防止層PL)との境界に形成されるpn接合からn型ベース層NBに延びる空乏層の幅が小さくなってしまう。すなわち、n型ホールバリア層NHBの不純物濃度が高濃度になると空乏層の延びが抑制される結果、n型ホールバリア層NHBを通過してn型ベース層に延びる空乏層の幅が小さくなる。このことは、n型ベース層NB全体が空乏化しなくなることを意味し、n型ベース層NBに残存する正孔のうち空乏層外に残存する正孔の量が多くなり、この正孔がIGBTの外部に掃き出されるまでの時間が長くなってしまうのである。つまり、n型ホールバリア層NHBの不純物濃度を高くしすぎると、ターンオフ損失が大きくなる副作用が存在する。以上のことから、n型ホールバリア層NHBの不純物濃度を高くしすぎることはできない。
そこで、本実施の形態1では、さらに、n型ベース層NBからの正孔の流出を抑制する構造を採用している。この構造が本実施の形態1の第4特徴点であり、ゲート電極Gを埋め込んでいるトレンチTRを、n型ホールバリア層NHBを貫通してn型ベース層NBに達するように深く形成するようにするものである。図12は、本実施の形態1における第4特徴点を示す図である。まず、ゲート電極Gに正電圧を印加してIGBTをターンオンする。この場合、図12に示すように、ゲート電極Gに正電圧を印加していることから、トレンチTRの底部で接触しているn型ベース層NBから、トレンチTRの底部の周辺領域に電子が集まり蓄積領域が形成される。この蓄積領域はn型不純物濃度が高くなるので、n型ベース層NBからの正孔の流出を抑制する機能を有することになる。特に、蓄積領域のn型不純物濃度がn型ホールバリア層NHBの不純物濃度よりも高くなると、n型ホールバリア層NHBよりも正孔の流出を抑制する機能が大きくなる。このことは、n型ベース層NBに蓄積される正孔の量が多くなることを意味し、その結果、IGBTのオン電圧を低減することができるのである。
さらに、IGBTをターンオフした場合を考えると、ゲート電極Gに例えばGND電圧が印加される。したがって、ゲート電極Gは正電圧となっていないことから、IGBTのオン時に形成されていた蓄積領域は消滅する。つまり、IGBTのターンオフ時には、トレンチTRの底部の周辺領域に形成されている蓄積領域が消滅するのである。このことは、IGBTのターンオフ時、n型ベース層NBに形成される空乏層の延びを不純物濃度の高い蓄積領域によって阻害されないことを意味する。このため、IGBTをターンオフした場合、n型ベース層NB全体に空乏層が延びる結果、ターンオフ損失を低減できるのである。以上のことから、ゲート電極Gを埋め込んでいるトレンチTRを、n型ホールバリア層NHBを貫通してn型ベース層NBに達するように深く形成する第4特徴点によれば、さらなるターンオフ損失を増大させることなく、IGBTのオン電圧を低減することができる。
本実施の形態1では、上述したように第1特徴点から第4特徴点を有しているが、第1特徴点から第4特徴点のすべてを有する必要はない。ただし、第1特徴点から第4特徴点のすべてを備えるIGBTによれば、最もオン電圧の低減とターンオフ損失の低減とを両立することができ、最も高性能なIGBTを提供することができる。以下では、第1特徴点から第4特徴点をすべて備えるIGBTが最も高性能であることについて説明する。
図13は、IGBTの構造を変えて、オン電圧とターンオフ下降時間(ターンオフ損失)との関係をプロットした図である。図13において、縦軸はオン電圧(V)を示しており、横軸はターンオフ下降時間(ns)を示している。このとき、オン電圧が小さく、かつ、ターンオフ下降時間の短いIGBTが高性能であることから、図13の原点に近い領域の方がIGBTの高性能化を実現できることを意味している。
図13において、まず、条件A〜条件Dについて説明する。条件Aは、正孔の注入効率を示す(Qp/Qn)を(Qp/Qn)≒1とする条件を示しており、条件Bは、正孔の注入効率を(Qp/Qn)≒2とする条件を示している。同様に、条件Cは、正孔の注入効率を示す(Qp/Qn)を(Qp/Qn)≒20とする条件を示しており、条件Dは、正孔の注入効率を(Qp/Qn)≒10とする条件を示している。この条件A〜条件Dのうち、図13に示すように、条件Dが最もグラフの原点に近くなっていることがわかる。つまり、条件Dである(Qp/Qn)≒10とすると、オン電圧の低減とターンオフ下降時間の低減を最も両立することができるのである。このことは、まず、本実施の形態1の第1特徴点である4≦(Qp/Qn)≦16とすることにより、IGBTの高性能化を実現することができることがわかる。
続いて、条件(1)〜条件(4)について説明する。条件(1)は、IGBTの構造において、第2特徴点であるn型ホールバリア層NHBを形成し(HB有)、かつ、第4特徴点であるトレンチTRの深さをn型ベース層NBに達するように深く形成する場合を示している。条件(2)は、IGBTの構造において、第2特徴点であるn型ホールバリア層NHBを形成するが(HB有)、トレンチTRの深さは通常の深さとするものである。条件(3)は、IGBTの構造において、n型ホールバリア層NHBを形成せず(HB無)、かつ、トレンチTRの深さを通常の深さにし、かつ、間引き構造とするものである。条件(4)は、IGBTの構造において、n型ホールバリア層NHBを形成せず(HB無)、かつ、トレンチTRの深さも通常とする場合を示している。
ここで、条件(3)に示す間引き構造とは、図14に示す構造である。すなわち、複数のトレンチTRの間に間引くように、エミッタ電極EEと接続するコンタクトホールC1、p型コンタクト層PCおよびn型エミッタ層NEを形成しないのである。つまり、IGBTを構成するセルを間引く構造である。この構造によれば、正孔がn型ベース層NBからエミッタ電極EEに抜ける経路が少なくなるので、IGBTのオン動作時に、n型ベース層NBに蓄積される正孔の量が増加し、伝導度変調によるオン電圧の低減を図ることができる。つまり、IGBTの間引き構造とは、オン電圧の低減を実現するための1つの構造である。
図13に示すように、条件A〜条件Dのうち、IGBTを最も高性能化することができる条件Dについて考えてみる。条件Dを満たすIGBTの構造のうち、さらに、条件(1)〜条件(3)を付加する場合を考える。すると、図13に示すように、条件(1)が最もグラフの原点に近い位置にプロットされ、IGBTを高性能することができることがわかる。つまり、IGBTの構造を条件Dで、かつ、条件(1)を満たすように形成すると、最もIGBTを高性能化することができる。すなわち、IGBTの構造を本実施の形態1における第1特徴点、第2特徴点および第4特徴点を備える構造とすることにより、オン電圧の低減とターンオフ下降時間の短縮を実現できる高性能なIGBTを提供できるのである。このとき、本実施の形態1における第3特徴点を備えることにより、ラッチアップを防止できる信頼性の高いIGBTを提供することができる。
なお、上記はオン電圧の低減とターンオフ下降時間の短縮を優先した場合について述べたが、さらに負荷短絡耐量を確保したい場合は、条件(3)のような間引き構造も併用することが望ましい。間引き構造は、IGBT導通時に負荷が短絡した時のMOSFET(図5の電界効果トランジスタTr3に相当)の飽和電流によって決まる大電流(飽和電流)を小さくする効果がある。そのため、飽和電流に達したIGBTが破壊するまでの時間(短絡耐量)を長くすることができるからである。
本実施の形態1における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図面を参照しながら説明する。
まず、n型ベース層NBからなる半導体基板を用意する。n型ベース層NBからなる半導体基板は、例えば、FZ法(Floating zone method)で形成することができる。FZ法とは、シリコン単結晶を成長させる手法の一種である。具体的には、アルゴンガス雰囲気中で、多結晶シリコンインゴッドの一方を種結晶(単結晶片)に接触させ、高周波電圧を加えたコイルで多結晶シリコンインゴッドを帯状に加熱溶融、帯状領域を種結晶領域から移動させてインゴッド全体を徐々に単結晶化する方法である。
次に、図15に示すように、n型ベース層NB(半導体基板)の主面(表面)に酸化シリコン膜10を形成し、その後、酸化シリコン膜10上に窒化シリコン膜11を形成する。酸化シリコン膜10は、例えば、熱酸化法を使用することにより形成することができ、窒化シリコン膜11は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成することができる。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、窒化シリコン膜11をパターニングする。窒化シリコン膜11のパターニングは、素子分離領域を形成する領域を開口するように行なわれる。
続いて、パターニングした窒化シリコン膜11上にレジスト膜R1を塗布する。そして、フォトリソグラフィ技術により、このレジスト膜R1をパターニングする。レジスト膜R1のパターニングは、n型ホールバリア層NHBを形成する領域を開口するように行なわれる。その後、パターニングしたレジスト膜R1をマスクにしたイオン注入法により、セル領域にn型ホールバリア層NHBを形成する。n型ホールバリア層NHBは、リンなどのn型不純物をイオン注入法でn型ベース層NBに導入することにより行なわれる。このn型ホールバリア層NHBは、n型ベース層NBよりもn型不純物の不純物濃度が高い領域として形成される。
次に、図16に示すように、パターニングしたレジスト膜R1を除去した後、さらに、半導体基板上にレジスト膜R2を塗布する。そして、このレジスト膜R2に対して、露光・現像を施すことにより、レジスト膜R2をパターニングする。レジスト膜R2のパターニングは、p型ウェルを形成する領域を開口するように行なわれる。その後、パターニングしたレジスト膜R2をマスクにしたイオン注入法により、p型ウェルPWLを形成する。p型ウェルPWLは、ボロンなどのp型不純物をn型ベース層NBに導入することにより行なわれる。
続いて、図17に示すように、パターンニングしたレジスト膜R2を除去した後、酸化シリコン膜10とパターニングした窒化シリコン膜11を使用して素子分離領域LOを形成する。素子分離領域LOは、例えば、選択酸化法により形成されるが、その他の方法として、STI法を用いて形成することもできる。
次に、図18に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、トレンチ(ゲートトレンチ)TRを形成する。このとき、トレンチTRの底部がn型ホールバリア層NHB内に存在するように形成してもよいし、本実施の形態1における第4特徴点を実現するために、トレンチTRは、n型ホールバリア層NHBを貫通してn型ベース層NBに達するように形成してもよい。以下の説明では、トレンチTRの底部がn型ホールバリア層NHB内に存在するように形成することを前提として説明する。
その後、図19に示すように、トレンチTRを形成した半導体基板の表面にゲート絶縁膜GOXを形成する。ゲート絶縁膜GOXは、例えば、酸化シリコン膜から形成され、例えば熱酸化法を使用して形成することができる。ただし、ゲート絶縁膜GOXは、酸化シリコン膜に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、ゲート絶縁膜GOXを酸窒化シリコン膜(SiON)としてもよい。すなわち、ゲート絶縁膜GOXと半導体基板との界面に窒素を偏析させる構造としてもよい。酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて膜中における界面準位の発生を抑制したり、電子トラップを低減する効果が高い。したがって、ゲート絶縁膜GOXのホットキャリア耐性を向上でき、絶縁耐性を向上させることができる。また、酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて不純物が貫通しにくい。このため、ゲート絶縁膜GOXに酸窒化シリコン膜を用いることにより、ゲート電極中の不純物が半導体基板側に拡散することに起因するしきい値電圧の変動を抑制することができる。酸窒化シリコン膜を形成するのは、例えば、半導体基板をNO、NOまたはNHといった窒素を含む雰囲気中で熱処理すればよい。また、半導体基板の表面に酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜GOXを形成した後、窒素を含む雰囲気中で半導体基板を熱処理し、ゲート絶縁膜GOXと半導体基板との界面に窒素を偏析させることによっても同様の効果を得ることができる。
また、ゲート絶縁膜GOXは、例えば酸化シリコン膜より誘電率の高い高誘電率膜から形成してもよい。従来、絶縁耐性が高い、シリコン−酸化シリコン界面の電気的・物性的安定性などが優れているとの観点から、ゲート絶縁膜GOXとして酸化シリコン膜が使用されている。しかし、素子の微細化に伴い、ゲート絶縁膜GOXの膜厚について、極薄化が要求されるようになってきている。このように薄い酸化シリコン膜をゲート絶縁膜GOXとして使用すると、IGBTのチャネルを流れる電子が酸化シリコン膜によって形成される障壁をトンネルしてゲート電極に流れる、いわゆるトンネル電流が発生してしまう。
そこで、酸化シリコン膜より誘電率の高い材料を使用することにより、容量が同じでも物理的膜厚を増加させることができる高誘電率膜が使用されるようになってきている。高誘電率膜によれば、容量を同じにしても物理的膜厚を増加させることができるので、リーク電流を低減することができる。特に、窒化シリコン膜も酸化シリコン膜よりも誘電率の高い膜であるが、本実施の形態1では、この窒化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜を使用することが望ましい。
例えば、窒化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜として、ハフニウム酸化物の一つである酸化ハフニウム膜(HfO膜)が使用されるが、酸化ハフニウム膜に変えて、ハフニウムアルミネート膜、HfON膜(ハフニウムオキシナイトライド膜)、HfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)、HfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)、HfAlO膜のような他のハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。さらに、これらのハフニウム系絶縁膜に酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウムなどの酸化物を導入したハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。ハフニウム系絶縁膜は、酸化ハフニウム膜と同様、酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜より誘電率が高いので、酸化ハフニウム膜を用いた場合と同様の効果が得られる。
続いて、図20に示すように、トレンチTRの内部を含む半導体基板上にポリシリコン膜を形成する。このポリシリコン膜にはリンなどのn型不純物が導入されており、例えば、CVD法で形成することができる。このリンを導入したポリシリコン膜は、トレンチTRを埋め込んで、かつ、半導体基板上に形成される。その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、リンを導入したポリシリコン膜をパターニングする。このパターニングにより、セル領域に形成されているトレンチTRを埋め込むようにゲート電極Gが形成され、ゲート配線引き出し領域にトレンチTRから半導体基板上に延在するゲート引き出し線GHが形成される。
次に、図21に示すように、ゲート電極Gを形成した半導体基板上にポリシリコン膜を形成する。このポリシリコン膜には導電型不純物は導入されない。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ポリシリコン膜をパターニングする。これにより、温度検知ダイオード形成領域に導体膜CFを形成することができる。
続いて、図22に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、セル領域にp型チャネル形成層PCHを形成する。p型チャネル形成層PCHは、ボロンなどのp型不純物をn型ホールバリア層NHBに導入することにより形成することができる。その後、再び、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、セル領域にn型エミッタ層NEを形成し、ターミネーション領域にn型半導体層NRを形成する。すなわち、セル領域において、p型チャネル形成層PCHの上層にある半導体基板の表面にリンなどのn型不純物を導入することにより、n型エミッタ層NEを形成する。同様に、温度検知ダイオード形成領域においては、導体膜にn型不純物を導入することにより、n型半導体層N1およびn型半導体層N2を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、温度検知ダイオード形成領域にp型半導体層P1およびp型半導体層P2を形成する。具体的に、導体膜にボロンなどのp型不純物を導入することにより、p型半導体層P1およびp型半導体層P2が形成される。これにより、温度検知ダイオード形成領域には、温度検知ダイオードとなるpn接合ダイオードが形成される。
そして、図23に示すように、半導体基板の表面上に層間絶縁膜IL1を形成する。層間絶縁膜IL1は、例えば、PSG(phospho silicate glass)膜とSOG(spin on glass)膜の積層膜から形成される。その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、層間絶縁膜IL1を貫通する溝をセル領域に形成する。そして、この溝から露出する半導体基板をエッチングすることによりトレンチTR間にコンタクトホールC1を形成する。このコンタクトホールC1は、層間絶縁膜IL1を貫通し、かつ、p型チャネル形成層PCHに達するように形成される。
次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、コンタクトホールC1の底部直下のp型チャネル形成層PCH内にp型コンタクト層PCを形成する。このp型コンタクト層PCは、ボロンなどのp型不純物をp型チャネル形成層に導入することにより形成され、p型コンタクト層PCの不純物濃度は、p型チャネル形成層の不純物濃度よりも高くなっている。
その後、図24に示すように、再び、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、p型コンタクト層PCの下層にp型ラッチアップ防止層PLを形成する。このp型ラッチアップ防止層PLは、p型チャネル形成層PCH内にボロンなどのp型不純物を導入することにより形成され、p型ラッチアップ防止層PLの不純物濃度がp型チャネル形成層PCHの不純物濃度よりも高く、p型コンタクト層PCの不純物濃度よりも低くなるように形成されている。このp型ラッチアップ防止層PLは、p型コンタクト層PCとn型ホールバリア層NHBとの間に形成される。そして、p型ラッチアップ防止層PLは、p型コンタクト層PCに接触し、かつ、n型ホールバリア層NHBにも接触するように形成される。
続いて、図25に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、層間絶縁膜IL1にコンタクトホールC2〜C4を形成する。具体的には、ゲート配線引き出し領域にコンタクトホールC2を形成し、このコンタクトホールC2の底部にゲート引き出し線GHが露出するようにする。同様に、温度検知ダイオード形成領域にコンタクトホールC3を形成し、このコンタクトホールC3の底部にn型半導体層N1が露出するものと、コンタクトホールC3の底部にp型半導体層P2が露出するものを形成する。さらに、ターミネーション領域にコンタクトホールC4を形成し、このコンタクトホールC4の底部にp型ウェルPWLが露出するものや、コンタクトホールC4の底部にn型半導体層NRが露出するものを形成する。
その後、コンタクトホールC1〜C4内を含む層間絶縁膜IL1上にチタンタングステン膜12を形成する。チタンタングステン膜12はバリア導体膜として機能する膜であり、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。そして、チタンタングステン膜12上にアルミニウム膜13を形成する。アルミニウム膜13は、例えば、スパッタリング法を使用して形成することができ、アルミニウム膜13に代えてアルミニウムシリコン(AlSi)膜から形成してもよい。なお、バリア導体膜は、チタンタングステン膜に限定されるものではなく、チタン膜やモリブデンシリサイド膜から形成してもよい。
次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、チタンタングステン膜12とアルミニウム膜13との積層膜をパターニングする。これにより、セル領域では、チタンタングステン膜12とアルミニウム膜13の積層膜からなるエミッタ電極EEが形成される。ゲート配線引き出し領域においては、チタンタングステン膜12とアルミニウム膜13からなるゲート配線GLが形成され、温度検知ダイオード形成領域においては、チタンタングステン膜12とアルミニウム膜13からなるカソード電極CEおよびアノード電極AEが形成される。同様に、ターミネーション領域においては、チタンタングステン膜12とアルミニウム膜13からなるガードリングGRが形成される。
続いて、図26に示すように、半導体基板上に表面保護膜(パッシベーション膜)PVを形成する。この表面保護膜は、例えば、ポリイミド樹脂から形成することができる。そして、表面保護膜PVに開口部を設ける。具体的に、セル領域ではエミッタ電極EEの一部が露出され、ゲート配線引き出し領域では、ゲート配線(ゲートパッドを含む)GLの一部が露出される。同様に、温度検知ダイオード形成領域においては、アノード電極AEおよびカソード電極CEが露出される。
次に、図27に示すように、半導体基板上に形成された表面保護膜PV上に補強板SHを貼り付ける。この補強板SHは、例えば、ガラス基板から構成されている。そして、半導体基板の裏面(n型ベース層NBが露出する面)を研削する。その後、図28に示すように、半導体基板の裏面にn型フィールドストップ層NFを形成する。n型フィールドストップ層NFは、半導体基板の裏面にイオン注入法を用いてリンなどのn型不純物を導入することにより形成される。その後、導入したn型不純物を活性化させるため、レーザアニールを実施する。レーザアニールによれば、局所的に加熱することができるので、半導体基板の表面(主面)に形成されている構造に熱処理によるダメージを与えることなく、n型フィールドストップ層NFに導入されているn型不純物を活性化することができる。
続いて、図29に示すように、半導体基板の裏面にp型コレクタ層PCLを形成する。p型コレクタ層PCLは、半導体基板の裏面にイオン注入法を用いてボロンなどのp型不純物を導入することにより形成される。その後、導入したp型不純物を活性化させるため、レーザアニールを実施する。レーザアニールによれば、局所的に加熱することができるので、半導体基板の表面(主面)に形成されている構造に熱処理によるダメージを与えることなく、p型コレクタ層PCLに導入されているp型不純物を活性化することができる。
本実施の形態1では、n型フィールドストップ層NFを形成するためのn型不純物の導入およびレーザアニールと、p型コレクタ層PCLを形成するためのp型不純物の導入およびレーザアニールを調整する。これにより、p型コレクタ層PCL内に存在するキャリア量(正孔量)Qpと、n型フィールドストップ層NF内に存在するキャリア量(電子量)Qnの比である(Qp/Qn)の値を4以上16以下になるように形成する。
次に、図30に示すように、半導体基板の裏面にニッケルシリサイド膜NSを形成する。ニッケルシリサイド膜NSは、半導体基板の裏面に、例えば、スパッタリング法により、ニッケル膜を形成した後、このニッケル膜に対してレーザアニールを実施することにより形成される。ニッケルシリサイド膜NSは耐湿性向上のために形成される。本実施の形態1では、ニッケルシリサイド膜NSを形成しているが、ニッケルシリサイド膜NSを形成しなくてもよい。
続いて、図31に示すように、半導体基板の裏面にコレクタ電極CLEを形成する。このコレクタ電極CLEは、例えば、チタン(Ti)膜/ニッケル(Ni)膜/金(Au)膜の積層膜や、アルミニウム(Al)膜/チタン(Ti)膜/ニッケル(Ni)膜/金(Au)膜の積層膜から形成される。そして、最後に補強板SHを剥がすことにより、本実施の形態1における半導体装置を製造することができる。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、p型コレクタ層PCLとn型フィールドストップ層NFとをイオン注入法で半導体基板内に導電型不純物を導入した後、導入した導電型不純物をレーザアニールで活性化して形成する例について説明した。本実施の形態2では、p型コレクタ層PCLを半導体基板として形成し、かつ、n型フィールドストップ層NFを半導体基板上にエピタキシャル層として形成する例について説明する。
図32は、本実施の形態2におけるIGBTの構成を示す断面図である。本実施の形態2におけるIGBTの構成は、例えば、図4に示す前記実施の形態1におけるIGBTの構成とほぼ同様である。図32において、本実施の形態2におけるIGBTは、p型半導体層からなるp型コレクタ層PCL上にn型半導体層からなるn型フィールドストップ層NFが形成されている。そして、n型フィールドストップ層NF上にn型半導体層からなるn型ベース層NBが形成され、このn型ベース層NB上にn型半導体層からなるn型ホールバリア層NHBが形成されている。このn型ホールバリア層NHB上には、p型半導体層からなるp型チャネル形成層PCHが形成され、p型チャネル形成層PCH上にn型半導体層からなるn型エミッタ層NEが形成されている。
このn型エミッタ層NEの表面からn型エミッタ層NEとp型チャネル形成層PCHを貫通してn型ホールバリア層NHBに達するようにトレンチTRが形成されている。トレンチTRの内壁にはゲート絶縁膜GOXが形成され、このゲート絶縁膜GOX上で、かつ、トレンチTRを埋め込むようにゲート電極Gが形成されている。ゲート電極G上を含むn型エミッタ層NE上には層間絶縁膜IL1が形成されており、複数のトレンチTRの間には、層間絶縁膜IL1とn型エミッタ層NEとを貫通してp型チャネル形成層PCHに達するコンタクトホールC1が形成され、このコンタクトホールC1の底部に接するようにp型チャネル形成層PCH内にp型半導体層からなるp型コンタクト層PCが形成されている。そして、p型コンタクト層PCとn型ホールバリア層NHBに接するようにp型半導体層からなるp型ラッチアップ防止層PLが形成されている。
コンタクトホールC1内を含む層間絶縁膜IL1上にはバリア導体膜であるチタンタングステン膜12とアルミニウム膜13の積層膜が形成されている。このチタンタングステン膜12とアルミニウム膜13よりなる積層膜はエミッタ電極EEとなるものである。
このように構成されている本実施の形態2におけるIGBTと前記実施の形態1におけるIGBTとの相違点は、p型コレクタ層PCLの形成方法である。前記実施の形態1では、p型コレクタ層PCLは、イオン注入法で半導体基板内に導電型不純物を導入した後、導入した導電型不純物をレーザアニールで活性化して形成している。これに対し、本実施の形態2では、p型コレクタ層PCLを半導体基板として形成している。すなわち、p型コレクタ層PCLは、p型半導体基板として形成されている。したがって、本実施の形態2におけるp型コレクタ層PCLは、前記実施の形態1におけるp型コレクタ層PCLに比べて厚さが厚くなっている。さらに、前記実施の形態1では、n型フィールドストップ層NFを、イオン注入法で半導体基板内に導電型不純物を導入した後、導入した導電型不純物をレーザアニールで活性化することにより形成している。これに対し、本実施の形態2では、n型フィールドストップ層NFを半導体基板上にエピタキシャル層として形成している。
本実施の形態2でも、前記実施の形態1で説明した第2特徴点と第3特徴点を有するように構成することができる。つまり、n型ベース層NBからの正孔の流出を抑制するn型ホールバリア層NHBを形成することにより、n型ベース層NBにおける伝導度変調を高めることができ、IGBTのオン電圧を低減することができる。そして、p型ラッチアップ防止層PLを設けることにより、寄生的に形成されているnpnバイポーラトランジスタのオンを抑制してIGBTのラッチアップ破壊を抑制できる。さらに、本実施の形態2におけるIGBTは、前記実施の形態1で説明した第4特徴点を有することもできる。つまり、ゲート電極Gを埋め込んでいるトレンチTRを、n型ホールバリア層NHBを貫通してn型ベース層NBに達するように深く形成することにより、さらなるターンオフ損失を増大させることなく、IGBTのオン電圧を低減することができる。以上のことから、本実施の形態2におけるIGBTにおいても、IGBTの高性能化を実現することができる。
本実施の形態2におけるIGBTは上記のように構成されており、その製造方法は前記実施の形態1におけるIGBTの製造方法とほぼ同様である。まず、p型コレクタ層PCLとなるp型半導体基板を用意し、このp型半導体基板上にエピタキシャル成長技術を使用してn型フィールドストップ層NFを形成する。そして、さらにエピタキシャル成長技術を用いて、n型フィールドストップ層NF上にn型ベース層NBを形成する。その後の工程は、前記実施の形態1と同様である。ただし、前記実施の形態1では、半導体基板の裏面からイオン注入法により、p型コレクタ層PCLとn型フィールドストップ層NFを形成したが、本実施の形態2では上述したようにエピタキシャル成長技術で既に形成されているので、p型コレクタ層PCLとn型フィールドストップ層NFを形成するイオン注入工程は実施されない。このようにして、本実施の形態2における半導体装置を形成することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
前記実施の形態では、トレンチ型IGBTに本発明の技術的思想を適用する場合について説明したが、これに限らず、例えば、プレーナ型IGBTにも本発明の技術的思想を適用することができる。
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
本発明の実施の形態1における3相モータの回路図を示す図である。 IGBTを形成した半導体チップの上面図である。 図2のA−A線で切断した断面図である。 IGBTを形成しているセル領域を拡大した図である。 セル領域に形成されているIGBTについて、回路構成とデバイス構造を対応させた図である。 半導体チップの裏面からの深さとキャリア濃度との関係を示した図を用いて、p型コレクタ層のキャリア量とn型フィールドストップ層のキャリア量とを定義したものである。 (Qp/Qn)とオン電圧との関係を示すグラフである。 (Qp/Qn)とターンオフ下降時間との関係を示すグラフである。 リンドーズ量とn型フィールドストップ層のキャリア量との関係を示すグラフである。 ボロンドーズ量とp型コレクタ層のキャリア量との関係を示すグラフである。 広がり抵抗顕微鏡によるキャリア濃度分布の測定原理を説明する図である。 実施の形態1における特徴点の1つを説明する図である。 ターンオフ下降時間とオン電圧との関係を示す図である。 IGBTの間引き構造を説明する図である。 実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図21に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図22に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図23に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図24に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図25に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図26に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図27に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図28に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図29に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図30に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 実施の形態2におけるIGBTの構造を示す断面図である。
符号の説明
1 3相モータ
2 パワー半導体装置
3 制御回路
4 IGBT
5 ダイオード
10 酸化シリコン膜
11 窒化シリコン膜
12 チタンタングステン膜
13 アルミニウム膜
AE アノード電極
AMP ワイドレンジ対数アンプ
C1 コンタクトホール
C2 コンタクトホール
C3 コンタクトホール
C4 コンタクトホール
CE カソード電極
CF 導体膜
CHP 半導体チップ
CLE コレクタ電極
E 電源
EE エミッタ電極
e 電子
G ゲート電極
GH ゲート引き出し線
GL ゲート配線
GOX ゲート絶縁膜
GP ゲートパッド
GR ガードリング
h 正孔
IL1 層間絶縁膜
KL カンチレバー
LO 素子分離領域
N1 n型半導体層
N2 n型半導体層
NB n型ベース層
NE n型エミッタ層
NF n型フィールドストップ層
NHB n型ホールバリア層
NR n型半導体層
NS ニッケルシリサイド膜
P 導電性探針
P1 p型半導体層
P2 p型半導体層
PC p型コンタクト層
PCH p型チャネル形成層
PCL p型コレクタ層
PL p型ラッチアップ防止層
PV 表面保護膜
PWL p型ウェル
Qp キャリア量
Qn キャリア量
R1 レジスト膜
R2 レジスト膜
S 試料
SH 補強板
TR トレンチ
Tr1 pnpバイポーラトランジスタ
Tr2 npnバイポーラトランジスタ
Tr3 電界効果トランジスタ

Claims (22)

  1. IGBTを含む半導体装置であって、
    前記IGBTは、
    (a)p型コレクタ層と、
    (b)前記p型コレクタ層上に形成されたn型フィールドストップ層と、
    (c)前記n型フィールドストップ層上に形成されたn型ベース層と、
    (d)前記n型ベース層上に形成されたn型ホールバリア層と、
    (e)前記n型ホールバリア層上に形成されたp型チャネル形成層と、
    (f)前記p型チャネル形成層上に形成されたn型エミッタ層と、
    (g)前記n型エミッタ層と前記p型チャネル形成層を貫通し、n型ホールバリア層に達するゲートトレンチと、
    (h)前記ゲートトレンチの内壁に形成されたゲート絶縁膜と、
    (i)前記ゲートトレンチ内の前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
    (j)前記ゲート電極および前記n型エミッタ層上に形成された層間絶縁膜と、
    (k)前記層間絶縁膜および前記n型エミッタ層を貫通して前記p型チャネル形成層に達するコンタクトホールと、
    (l)前記コンタクトホール内に形成され、前記n型エミッタ層と前記p型チャネル形成層を電気的に接続するエミッタ電極と、
    (m)前記p型チャネル形成層内に形成され、前記コンタクトホールと接するように形成されたp型コンタクト層と、
    (n)前記p型コレクタ層の裏面に形成され、前記p型コレクタ層と電気的に接続されたコレクタ電極とを備え、
    前記p型コレクタ層のキャリア量をQp、前記n型フィールドストップ層のキャリア量をQnとした場合、4≦(Qp/Qn)≦16を満たすことを特徴とする半導体装置。
  2. 請求項1記載の半導体装置であって、
    さらに、前記p型コンタクト層と前記n型ホールバリア層に接するように形成されたp型ラッチアップ防止層を有することを特徴とする半導体装置。
  3. 請求項2記載の半導体装置であって、
    前記p型コンタクト層は、前記p型チャネル形成層よりも不純物濃度が高いことを特徴とする半導体装置。
  4. 請求項3記載の半導体装置であって、
    前記p型ラッチアップ防止層は、前記p型チャネル形成層よりも不純物濃度が高く、かつ、前記p型コンタクト層よりも不純物濃度が低いことを特徴とする半導体装置。
  5. 請求項1記載の半導体装置であって、
    前記n型ホールバリア層は、前記n型ベース層よりも不純物濃度が高いことを特徴とする半導体装置。
  6. 請求項5記載の半導体装置であって、
    前記n型フィールドストップ層は、前記n型ベース層よりも不純物濃度が高いことを特徴とする半導体装置。
  7. 請求項1記載の半導体装置であって、
    前記ゲートトレンチの底部は、前記n型ホールバリア層を貫通して前記n型ベース層に達していることを特徴とする半導体装置。
  8. 請求項7記載の半導体装置であって、
    前記ゲートトレンチの底部は、前記p型チャネル形成層の深さの2倍以上深い位置に存在することを特徴とする半導体装置。
  9. 請求項1記載の半導体装置であって、
    前記p型コレクタ層のキャリア量Qpは、4.0×1013〜8.0×1013(個/cm)であり、前記n型フィールドストップ層のキャリア領域Qnは、5×1012〜1.0×1013(個/cm)であることを特徴とする半導体装置。
  10. 請求項1記載の半導体装置であって、
    前記エミッタ電極は、バリア導体膜と金属膜の積層膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
  11. 請求項10記載の半導体装置であって、
    前記バリア導体膜は、チタン膜、チタンタングステン膜、あるいは、モリブデンシリサイド膜のいずれかから形成され、前記金属膜はアルミニウムを主体とする膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
  12. 請求項11記載の半導体装置であって、
    前記コレクタ電極は、チタン膜/ニッケル膜/金膜の積層膜、あるいは、アルミニウム膜/チタン膜/ニッケル膜/金膜の積層膜のいずれかを含むことを特徴とする半導体装置。
  13. IGBTを含む半導体装置の製造方法であって、
    前記IGBTを形成する工程は、
    (a)n型ベース層からなる半導体基板を用意する工程と、
    (b)前記半導体基板に素子分離領域を形成する工程と、
    (c)前記(b)工程後、IGBT形成領域の前記n型ベース層上にn型ホールバリア層を形成する工程と、
    (d)前記(c)工程後、前記半導体基板の主面から前記n型ホールバリア層に達するゲートトレンチを形成する工程と、
    (e)前記(d)工程後、前記ゲートトレンチの内壁にゲート絶縁膜を形成する工程と、
    (f)前記(e)工程後、前記ゲートトレンチ内の前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
    (g)前記(f)工程後、前記半導体基板の内部にp型チャネル形成層を形成することにより、前記n型ホールバリア層上に前記p型チャネル形成層を形成する工程と、
    (h)前記(g)工程後、前記半導体基板の主面にn型エミッタ層を形成することにより、前記p型チャネル形成層上に前記n型エミッタ層を形成する工程と、
    (i)前記(h)工程後、前記半導体基板の主面上に層間絶縁膜を形成する工程と、
    (j)前記(i)工程後、前記層間絶縁膜および前記n型エミッタ層を貫通して前記p型チャネル形成層に達するコンタクトホールを形成する工程と、
    (k)前記(j)工程後、前記p型チャネル形成層内に前記コンタクトホールと接するようにp型コンタクト層を形成する工程と、
    (l)前記(k)工程後、前記コンタクトホール内を含む前記層間絶縁膜上にエミッタ電極を形成することにより、前記n型エミッタ層と前記p型チャネル形成層を電気的に接続する工程と、
    (m)前記(l)工程後、前記n型ベース層の裏面にn型フィールドストップ層を形成する工程と、
    (n)前記(m)工程後、前記n型フィールドストップ層の裏面にp型コレクタ層を形成する工程と、
    (o)前記(n)工程後、前記p型コレクタ層の裏面にコレクタ電極を形成する工程とを備え、
    前記p型コレクタ層のキャリア量をQp、前記n型フィールドストップ層のキャリア量をQnとした場合、4≦(Qp/Qn)≦16を満たすように前記p型コレクタ層と前記n型フィールドストップ層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  14. 請求項13記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記(k)工程後、前記p型コンタクト層と前記n型ホールバリア層に接するようにp型ラッチアップ防止層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  15. 請求項14記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記p型ラッチアップ防止層の不純物濃度を、前記p型コンタクト層の不純物濃度よりも低く、かつ、前記p型チャネル形成層の不純物濃度よりも高くなるように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  16. 請求項15記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記n型ホールバリア層の不純物濃度を、前記n型ベース層の不純物濃度よりも高くすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  17. 請求項13記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記n型フィールドストップ層は、イオン注入法によりn型不純物を前記半導体基板に注入した後、レーザアニールすることにより、導入した前記n型不純物を活性化することにより形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  18. 請求項17記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記n型不純物は、リンであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  19. 請求項13記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記p型コレクタ層は、イオン注入法によりp型不純物を前記半導体基板に注入した後、レーザアニールすることにより、導入した前記p型不純物を活性化することにより形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  20. 請求項19記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記p型不純物は、ボロンであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  21. 請求項13記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記(d)工程で形成される前記ゲートトレンチは、前記n型ホールバリア層を貫通して前記n型ベース層に達するように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  22. 請求項21記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記ゲートトレンチの底部は、前記p型チャネル形成層の深さの2倍以上深い位置に存在することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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