JP2010047746A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(a)〜(d)成分:(a)式:R1 2Si(OH)2で示されるシラノール化合物、式:R2 aR3 bSi(OR4)4−a−bで示されるアルコキシシラン化合物、及び触媒を混合し、積極的に水を添加することなく重合させる方法で得られる、ポリオルガノシロキサン100質量部、(b)光重合開始剤0.1〜30質量部、(c)紫外線吸収剤、及びヒンダードアミンを含む光安定剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物0.1〜20質量部、及び(d)1分子内に1つ又は2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物10〜1000質量部、を含む感光性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
[1]下記(a)〜(d)成分:
(a)下記一般式(1):
(b)光重合開始剤0.1〜30質量部、
(c)紫外線吸収剤、及びヒンダードアミンを含む光安定剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物0.1〜20質量部、及び
(d)1分子内に1つ又は2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物10〜1000質量部、
を含む感光性樹脂組成物。
<感光性樹脂組成物>
a)ポリオルガノシロキサン
本発明に係る感光性樹脂組成物に用いられるポリオルガノシロキサンは、下記一般式(1):
中でも、上記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物としては、aが1であり、かつ、bが0である化合物が好ましい。
好適な触媒としては、下記一般式(3):
上記一般式(3)又は上記一般式(4)で示される金属アルコキシドは、シラノール化合物(シラノール基)とアルコキシシラン化合物(アルコキシシリル基)の脱アルコール縮合反応を触媒しつつ、自身もアルコキシ基含有化合物として振る舞って脱アルコール縮合反応に関与し、分子内に取り込まれる形でポリシロキサン又はポリシルセスキオキサン構造を形成する。
具体的には、金属アルコキシドとして、上記一般式(3)で表される4価の金属アルコキシドを用いる場合には、該4価の金属アルコキシドと上記アルコキシシラン化合物を、それぞれ1:2のモル比で換算して、置き換える(該4価の金属アルコキシド混合量を1モル増やす毎に、上記アルコキシシラン化合物を2モル減じる)のが好ましい。また、上記一般式(4)で示される3価の金属アルコキシドを用いる場合には、該3価の金属アルコキシドと上記アルコキシシラン化合物を、それぞれ2:3のモル比で換算して、置き換えるのが好ましい。
また、好適な上記3価又は4価の金属アルコキシドとしては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリ−iso−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−iso−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、トリメトキシボロン、トリエトキシボロン、トリ−n−プロポキシボロン、トリ−iso−プロポキシボロン、トリ−n−ブトキシボロン、トリ−iso−ブトキシボロン、トリ−sec−ブトキシボロン、トリ−tert−ブトキシボロンテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−iso−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラ−n−プロポキシゲルマニウム、テトラ−iso−プロポキシゲルマニウム、テトラ−n−ブトキシゲルマニウム、テトラ−iso−ブトキシゲルマニウム、テトラ−sec−ブキシゲルマニウム、テトラ−tert−ブトキシゲルマニウム、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−iso−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−iso−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム等が挙げられる。
好適なアルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。また、好適なアルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物及びその水和物が挙げられる。
好適に用いられるシラノール化合物、アルコキシシラン化合物、及び触媒を適宜混合し、加熱することにより、ポリオルガノシロキサンを重合生成させることができる。この際の加熱温度は、生成するポリオルガノシロキサンの重合度を制御する上で重要なパラメーターである。目的の重合度にもよるが、上記原料混合物を70℃〜150℃で加熱し、重合させるのが好ましい。
金属アルコキシドの重合添加量の上限は、目的とするポリオルガノシロキサンの性能に依存する。その最低必要量から計算して、金属アルコキシドの重合添加量の上限は、好適に用いられるシラノール化合物の総モル%に対して、40モル%以下が好ましく、より好ましくは30モル%以下である。
重合の反応条件は、40℃〜150℃で0.1〜10時間であることが好ましい。
上記シラノール化合物と上記アルコキシシラン化合物を、積極的に水を添加することなく75〜85℃の温度で30〜1時間加水分解するステップを経たものとしては、ドイツ国 Fraunhofer ISC社から「ORMOCER」ONE(登録商標)として入手することができる。
本発明の感光性樹脂組成物には、感光性を付与する目的で、光重合開始剤を添加することが重要である。好ましいものとしては365nmに吸収を持つ以下の(1)〜(12)が挙げられる:
(1)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノンなどのベンゾフェノン誘導体、
(2)2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、フェニルグリオキシル酸メチルなどのアセトフェノン誘導体、
(3)チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体、
(4)ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン)(チバ・ジャパン株式会社製IRGACURE127)などのベンジル誘導体、
(5)ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニルプロパン−1−オン、などのベンゾイン誘導体、
(6)1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)](チバ・ジャパン株式会社製OXE−01)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン株式会社製、IRGACURE OXE02)などのオキシム系化合物、
(7)2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパンなどのα−ヒドロキシケトン系化合物、
(8)2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバ・ジャパン株式会社製IRGACURE369)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、などのα−アミノアルキルフェノン系化合物、
(9)ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン株式会社製DAOCURE TPO)などのフォスフィンオキサイド系化合物、
(10)ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムなどのチタノセン化合物(11)エチル−p−(N,N−ジメチルアミノベンゾエイト)などのベンゾエイト誘導体、
(12)9−フェニルアクリジンなどのアクリジン誘導体。
上記した光重合開始剤の中では、光感度の点で、上記(2)のアセトフェノン誘導体、上記(8)のα−アミノアルキルフェノン系化合物、及び上記(9)のフォスフィンオキサイド系化合物、からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、硬化後成形物の耐候性及び耐光性に優れた特性を有する感光性樹脂組成物を提供する目的で紫外線吸収剤、及びヒンダードアミンを含む光安定剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を添加することが重要である。好ましいものとしては下記一般式(7)、下記一般式(8)、及び下記一般式(9)で示される紫外線吸収剤、並びに下記一般式(10)で示されるヒンダードアミンを含む光安定剤が挙げられる。
上記一般式(7)で示される紫外線吸収剤において、R7及びR8は、炭素数が6〜25の有機基であるが、具体的には、以下の構造で表される基の中から選ばれる少なくとも1つの基であることが好ましい:
上記一般式(8)及び上記一般式(9)で示される紫外線吸収剤において、R9、R10、R11及びR12は、炭素数が0〜35の有機基であるが、具体的には、以下の構造で表される基の中から選ばれる少なくとも1つの基であることが好ましい:
上記一般式(10)で示されるヒンダードアミンを含む光安定剤において、R13及びR14は、炭素数が6〜30の有機基である。具体的には、以下に示す構造で表される基が好ましい:
本発明の感光性樹脂組成物には、屈折率の向上、硬化性の向上、密着性の向上、硬化成形物の柔軟性の向上及び、感光性樹脂組成物の低粘度化によるハンドリング性向上に優れた特性を有する感光性樹脂組成物を提供する目的でそれぞれの目的に適した(d)1分子内に1つ又は2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物を添加することが好ましい。これらの使用にあたっては、単独でも2種以上の混合物でも構わない。(d)1分子内に1つ又は2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物の添加量は(a)ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、10〜1000質量部とするのが好ましく、50〜500質量部とするのがより好ましい。添加量が10質量部以上で、目的の性能を発揮するのに有効であり、添加量が1000質量部以下であれば、感光性樹脂組物及び硬化成形物の高透過性、及び高耐熱性を維持することが可能である。本発明の感光性樹脂組成物に、(d−1)下記一般式(11):
(d−2)芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物の添加量は、(a)ポリオルガノシロキサン100質量部に対して5〜500質量部であることが好ましく、50〜400質量部がより好ましい。添加量が5質量部以上であれば硬化時の収縮や温度衝撃によるクラックを防ぐことができ、一方、添加量が500質量部以下であれば屈折率の著しい低下がなく高屈折を維持することができる。
本発明の感光性樹脂組成物には、溶媒を添加して粘度を調整することもできる。好適な溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」ともいう。)、N−エチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、ピリジン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アニソール、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどが挙げられ、これらは単独又は二種以上の組合せで用いることができる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが、特に好ましい。これらの溶媒は、塗布膜厚、粘度に応じて、本発明の感光性樹脂組成物に適宜加えることができるが、(a)ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、0〜1000質量部の範囲で用いることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、所望により、光感度向上のための増感剤を添加することができる。このような増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジメチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、2−(4’−ジメチルアミノシンナミリデン)インダノン、2−(4’−ジメチルアミノベンジリデン)インダノン、2−(p−4’−ジメチルアミノビフェニル)ベンゾチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンジリデン)アセトン、1,3−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、ベンズトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−(tert−ブチル)−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−p)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレンなどが挙げられる。また、使用にあたっては、単独でも2種以上の混合物でも構わない。その添加量は、他の添加剤成分量との兼ね合いもあるが、(a)ポリオルガノシロキサンに対して0〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。
以上の他にも、本発明の感光性樹脂組成物には、紫外線吸収剤や塗膜平滑性付与剤などをはじめ、本発明の感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、必要に応じて、種々の添加剤を適宜配合することができる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いて硬化レリーフパターンを形成する方法の好適例を以下に示す。
感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を得るステップ:まず、上記感光性樹脂組成物をシリコンウェハー、セラミック基板、アルミ基板などの他、所望の各種基材上に塗布する。塗布装置又は塗布方法としては、スピンコーター、ダイコーター、スプレーコーター、浸漬、印刷、ブレードコーター、ロールコーティング等が利用できる。塗布された基材を80〜200℃で時間10秒〜1時間ソフトベークする。
活性光線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線などが利用できるが、本発明においては、200〜500nmの波長のものを用いるのが好ましい。パターンの解像度及び取扱い性の点で、その光源波長は、特にUV−i線(365nm)が好ましく、露光投影装置としてはステッパーが特に好ましい。
この後、光感度の向上などの目的で、必要に応じて、任意の温度、時間の組み合わせ(好ましくは温度40℃〜200℃、時間10秒〜30分間)による露光後ベーク(PEB)や、現像前ベークを施してもよい。
上述した硬化レリーフパターンを、シリコンウェハー等の基材上に形成された半導体装置の表面保護膜、層間絶縁膜、α線遮蔽膜、及びマイクロレンズアレイなどのミクロ構造体とそのパッケージ材との間の支持体(隔壁)からなる群から選択されるいずれかとして使用し、他の工程は周知の半導体装置の製造方法を適用することで、CMOSイメージセンサーなどの光学素子を含む、各種の半導体装置を製造することができる。また、上述した感光性樹脂組成物を硬化させた樹脂からなる塗膜を有する電子部品や半導体装置を得ることができる。
本発明の感光性樹脂組成物を用いた成型物の製造方法について以下に述べる。
成型物としては、例えば、プラスチックレンズや液晶偏光板用光学素子が挙げられる。
ここで、プラスチックレンズとは、一般に直径数μmから数mmの微小なプラスチック製のレンズのこといい、携帯電話などのカメラモジュール用では直径数mm程度のミニレンズ、CCD撮像素子やLCDプロジェクターでは光利用効率向上のため直径数十μm程度のマイクロレンズを多数配置したマイクロレンズアレイ、光通信用のコネクタなどでは直径250μm程度のマイクロレンズなどが利用されている。
マイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子は、型の大きさ、種類が異なるだけであり、製造方法は同じである。
[合成例1]ポリオルガノシロキサンの合成
1Lのナス型フラスコ中にシラノール化合物としてDPD(ジフェニルシランジオール)1.337モル(289.3g)、アルコキシシラン化合物としてp−スチリルトリメトキシシラン1.337モル(300.0g)、触媒としてテトラターシャルブトキシチタン0.003モル(1.140g)を仕込み、冷却器をナスフラスコに取り付けて攪拌子をもちいて攪拌を行いながらオイルバスで室温から95℃まで、徐々に昇温させた。縮合反応により生成されたメタノールが還流していることを確認した後、1時間同温度で加熱した。反応終了後、冷却器を取り外し、突沸が起こらないように徐々に真空度を上げ1〜3torr程度にし、70℃で攪拌しながら真空引きを継続し、生成したメタノールを減圧留去し、ポリオルガノシロキサンを得た。
合成例1で合成した(a)ポリオルガノシロキサン100重量部に対し、(b)光重合開始剤として上記一般式(6)の化合物であるIRGACURE127(チバ・ジャパン株式会社製)を3重量部、及び上記一般式(5)の化合物であるDAOCURE TPO(チバ・ジャパン株式会社製)を9重量部添加した。さらに(c)成分として上記一般式(12)で示した化合物であるTINUVIN479(チバ・ジャパン株式会社製)を0.4重量部、及び上記一般式(13)で示した化合物であるTINUVIN152(チバ・ジャパン株式会社製)を2.1重量部、(d−1)成分として上記一般式(11)で示したフルオレン化合物であるA−BPEF(新中村工業化学製)を200重量部、(d−2)成分として芳香族基含有アクリレート化合物であるPEA(株式会社共栄社製ライトアクリレートPOA)を100重量部、及びPGEA(東亞合成株式会社製アロニックス5700)を21重量部添加した。以上の化合物を全て調合したものを70℃の加熱下で溶解するまでウェブローター等で攪拌し、感光性樹脂組成物(P−1)を調製した。
1)ガラス基板へのコート及び加熱ステップ:コーニング製無アルカリガラス基板(10cm正方形、厚み0.7mm)上に、P−1を適量、滴下した。
2)型を押し付けるステップ:P−1を滴下したガラス基板にポリジメチルシロキサン(以下、「PDMS」ともいう。)製のマイクロプラスチックレンズの型を押し当て密着させ、マイクロプラスチックレンズの型の開口部にP−1が満ちるようにした。
3)露光ステップ:ガラス基板とマイクロプラスチックレンズの型で感光性樹脂を挟んだ状態で、ガラス基板側から高圧水銀ランプ((株)オーク製作所製 16mW HMW−40−1)を用いて、紫外線を全面マスク無しで照射した。i線波長(365nm)での照射量は1000mJ/cm2であった。
4)型剥離ステップ:紫外線硬化後、PDMS型をガラス基板から剥離した。
5)最終加熱ステップ:キュアオーブン(光洋サーモシステム株式会社、CLH−21CD−S)を用いて窒素雰囲気下で195℃の温度で3時間加熱した。
P−1の調製において、(c)成分のTINUVIN479及びTINUVIN152を添加しない以外、同様のプロセスで感光性樹脂組成物を調製した。
P−1の調製において、(c)成分のTINUVIN479の添加重量部を4.3重量部とし、TINUVIN152を添加しない以外、同様のプロセスで感光性樹脂組成物(P−2)を調製した。
P−1の調製において、(c)成分のTINUVIN152の添加重量部を4.3重量部としTINUVIN479を添加しない以外、同様のプロセスで感光性樹脂組成物(P−3)を調製した。
P−1の調製において(c)成分としてTINUVIN152の代わりにTINUVIN292(チバ・ジャパン株式会社製)を添加して、同様のプロセスで感光性樹脂組成物(P−4)を調製した。
P−1の調製において、合成例1で合成した(a)ポリオルガノシロキサン100重量部に対し、(b)光重合開始剤としてIRGACURE127を10重量部、及びDAOCURE TPOを20重量部、(c)成分としてTINUVIN479を10重量部、及びTINUVIN152を10重量部、(d−1)成分としてA−BPEFを600重量部、(d−2)成分として芳香族基含有アクリレート化合物であるPEAを300重量部、及びPGEAを50重量部添加し、実施例1に記載したものと同様のプロセスで感光性樹脂組成物(P−5)を調製した。
P−1の調製において、合成例1で合成した(a)ポリオルガノシロキサン100重量部に対し、(b)光重合開始剤としてIRGACURE127を1.4重量部、及びDAOCURE TPOを4重量部、(c)成分としてTINUVIN479を0.1重量部、(d−1)成分としてA−BPEFを56重量部、(d−2)成分として芳香族基含有アクリレート化合物であるPEAを28重量部添加し、実施例1で示すのと同様のプロセスで感光性樹脂組成物(P−6)を調製した。
実施例1、3〜7及び比較例1で得た感光性樹脂組成物を実施例2で示すマイクロプラスチックレンズの製造プロセスにおいて1)ガラス基板へのコート及び加熱ステップから4)型剥離ステップまでを同一PDMSモールドを用いて繰り返し行い、60回マイクロプラスチックレンズの成型を行った。60回マイクロプラスチックレンズを成型した後、実施例2で示す5)最終加熱ステップを行い、マイクロプラスチックレンズを得た。得られたマイクロプラスチックレンズを触針式の表面粗さ計(テーラー・ホブソン社製タリサーフ1240)を用いて頂点付近0.3mmの範囲を測定し、平均線から絶対値偏差の平均値を表す算術平均粗さ(以下、Ra値ともいう。)により、Ra値が10nmを超えるPDMSモールド回数を評価した。結果を以下の表1に示す。比較例1で示した感光性樹脂組成物からなるマイクロプラスチックレンズはPDMSモールド使用回数29回でRa値が10nmを超えてしまったのに対して、実施例1、3〜7の組成物からなるマイクロプラスチックレンズはPDMSモールド使用回数35回を越してもRa値が10nmを超さなかった。
上記と同様に実施例1、3〜7及び比較例1で得た感光性樹脂組成物から同一のPDMSモールドを用いて60回マイクロプラスチックレンズの成型を行い、得られたマイクロプラスチックレンズ表面を光学顕微鏡(株式会社ニコン製、エクリプスL200)により観察した。成型されたマイクロプラスチックレンズ表面に線状または突起状の傷が確認されたPDMSモールドの使用回数を評価した。結果を以下の表1に示す。比較例1で示した感光性樹脂組成物からなるマイクロプラスチックレンズはPDMSモールド使用回数20回で線状又は突起状の傷が確認されたのに対して、実施例1、3〜7の組成物からなるマイクロプラスチックレンズはPDMSモールド使用回数30回を超してもマイクロプラスチックレンズ表面に傷が確認されなかった。
実施例1、3〜7及び比較例1で得た感光性樹脂組成物をそれぞれ用いて、無アルカリガラス(厚み0.7mm、縦横5cm×10cm、コーニング製)上にスポイトを用いて5滴滴下した。このとき、感光性樹脂組成物を滴下した後、無アルカリガラス上に、ポリエチレンテレフタレート製フィルム膜を敷き、感光性樹脂組成物を無アルカリガラスとポリエチレンテレフタレート製フィルム膜の間に挟み、酸素硬化阻害が無視できる嫌気下とした。その後、マスク無しで前面より、高圧水銀ランプ((株)オーク製作所製 16mW HMW−40−1)を用いて1000mJ/cm2の光量で紫外線照射し、実施例2で示す5)最終加熱ステップ(PEB)を行い、膜厚130μmの硬化膜を作製した。この硬化膜の透過率をSHIMADZU製、UV3101PCにてスリット幅5.0nmで測定した。結果を以下の表1に示す。実施例1、3〜7の組成物及び比較例1で得た組成物からなる硬化膜はすべて85%以上の透過率があり、(c)成分を添加しても、高透明性が維持されることが確認できた。
実施例1、3〜7及び比較例1で得られた感光性樹脂組成物をそれぞれ用いて、無アルカリガラス(厚み0.7mm、縦横5cm×5cm、コーニング製)上にスポイトを用いて1滴、滴下した。あらかじめ無アルカリガラス上に、ポリエチレンテレフタレート製フィルム膜を敷き、感光性樹脂組成物を無アルカリガラスとポリエチレンテレフタレート製フィルム膜の間に挟み、酸素硬化阻害が無視できる嫌気下として、マスク無しで前面より、高圧水銀ランプ( (株)オーク製作所製 16mW HMW−40−1)を用いて1000mJ/cm2の光量で紫外線照射し、膜厚130μmの硬化膜を作製した。この硬化膜をカッターの刃先を用いて無アルカリガラスの基板から剥がし、多波長アッベ屈折計(株式会社アタゴ製DR−M2)を用いて589nmの波長における屈折率を測定した。測定は、作製した硬化膜をプリズムと採光ガラスに挟んで行い、プリズムとの界面、採光ガラスとの界面に中間液としてモノブロモナフタレンを滴下した。
以下の表1に結果を示すように実施例1、3〜7及び比較例1で得られた感光性樹脂組成物から作製した硬化膜の屈折率はそれぞれ1.601、1.603、1.599、1.600、1.601、1.596、及び1.605であり、(c)成分の添加量に関わらずいずれも1.59を超す高屈折率は維持していることが確認された。
実施例1、3〜7及び比較例1で得た感光性樹脂組成物をそれぞれ用いて、無アルカリガラス(厚み0.7mm、縦横5cm×10cm、コーニング製)上にスポイトを用いて5滴滴下した。このとき、感光性樹脂組成物を滴下した後、無アルカリガラス上に、ポリエチレンテレフタレート製フィルム膜を敷き、感光性樹脂組成物を無アルカリガラスとポリエチレンテレフタレート製フィルム膜の間に挟み、酸素硬化阻害が無視できる嫌気下とした。その後、マスク無しで前面より、高圧水銀ランプ((株)オーク製作所製 16mW HMW−40−1)を用いて1000mJ/cm2の光量で紫外線照射し、実施例2で示す5)最終加熱ステップ(PEB)を行い、膜厚130μmの硬化膜を作製した。この硬化膜を325W/m2、400時間の照射条件でキセノンランプによる耐候性及び耐光性試験を行った。耐候性及び耐光性試験はスガ試験機(株)製、キセノンロングライトフェードメーターFAL−25AX−HC−Ecを用いて行い、試験終了後の透過率をSHIMADZU製、UV3101PCにてスリット幅5.0nmで測定した。結果を以下の表1に示す。比較例1で得た感光性樹脂組成物からなる硬化膜の透過率が93%から75%に低下しているのに対し、実施例1、3〜6からなる硬化膜はすべてキセノン耐候性及び耐光性試験前の透過率(表では「透過率@400nm」の「初期値」と標記)と比較して透過率(表では「透過率@400nm」の「Xe照射試験400時間後」と標記)が増加していることが確認された。又、キセノン耐候性及び耐光性試験の前後で透過率が低下した実施例7で得た感光性樹脂組成物からなる硬化膜でも透過率の低下は93%から89%と比較例1で得た感光性樹脂組成物からなる硬化膜の透過率の低下と比較して透過率の低下はわずかであり、(c)成分を添加することにより、感光性樹脂組成物からなる成形物の耐候性及び耐光性が向上することが確認された。
Claims (15)
- 下記(a)〜(d)成分:
(a)下記一般式(1):
(b)光重合開始剤0.1〜30質量部、
(c)紫外線吸収剤、及びヒンダードアミンを含む光安定剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物0.1〜20質量部、及び
(d)1分子内に1つ又は2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物10〜1000質量部、
を含む感光性樹脂組成物。 - 前記(a)ポリオルガノシロキサンが、上記一般式(1)で示されるシラノール化合物としてジフェニルシランジオールを用い、かつ、上記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物としてaが1であり、かつ、bが0である化合物を用いて重合したものである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(a)ポリオルガノシロキサンが、上記一般式(1)で示されるシラノール化合物としてジフェニルシランジオールを用い、かつ、上記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルエチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、及びp−スチリルトリエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を用いて重合したものである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 上記(c)紫外線吸収剤、及びヒンダードアミンを含む光安定剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物として、下記一般式(7)〜(9):
- 上記(d)1分子内に1つ又は2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物として、(d−2)芳香族基含有(メタ)アクリレート化合物5〜500質量部を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を光硬化して得られうる硬化物。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を成型用の型に充填するステップ、該成型用の型の開口部を基板に押し付けるステップ、露光するステップ、該型を剥離するステップ、基材ごと過熱するステップを含む成型物の製造方法。
- 前記型の開口部を基板に押し付けるステップの前に、前記基板上に、シランカップリング剤を塗布するステップを含み、該型の開口部を基板に押し付けるステップにおいては、該型の開口部を基板の該シランカップリング剤を塗布した面に押し付ける、請求項10に記載の成型物の製造方法。
- 請求項10又は11に記載の方法によって得られうる成型物。
- 基材上に請求項1〜8のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を得るステップ、塗布膜に活性光線を照射し露光部を光硬化させるステップ、現像液を用いて該膜の未硬化の部分を除去するステップ、基材ごと加熱するステップを含む、硬化レリーフパターンの形成方法。
- 請求項13に記載の方法によって得られる硬化レリーフパターン。
- 請求項14に記載の硬化レリーフパターンを含む半導体装置。
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