JP2008225137A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(I)特定の感光性樹脂;100質量部、(II)光重合開始剤;該(I)感光性樹脂と下記(III)架橋性モノマーとの合計100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下、及び(III)架橋性モノマー;100質量部超過1200質量部以下を含有する感光性樹脂組成物、及びこれを用いたマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子の製造方法。
【選択図】なし
Description
プラスチックレンズは、ガラスに較べて成形が容易であり、安価であることから各種の光学製品に広く用いられている。その材料としては、熱可塑性プラスチック、例えば、ポリメチルメタクリレート及びポリスチレンや、熱硬化性プラスチック、例えば、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネートという様々な透明材料が使用されている。熱可塑性樹脂とは異なるタイプの樹脂として、紫外線(UV)硬化性樹脂もガラス基板などの透明基板上に型とUVで直接成形が容易なことから、ガラス基板上のマイクロレンズ、光導波路、液晶偏向板を形成するための材料として開発が進められている。
しかし、一般の有機材料は耐熱温度が低いため、260℃以上でのハンダリフローの条件下では、寸法安定性などを保証できてない。
Si-O構造を有するシロキサンポリマーは一般に耐熱性が高い。特許文献1及び2には、UV硬化型シロキサン樹脂が耐磨耗性ハードコート材料として紹介されているが、いずれも薄膜の被覆材に限定している。一般にシロキサン材料は耐熱性には優れる。しかし、無機材料としての性質から、従来のものは、破断点伸度、高温でもクラックや剥がれが生じないという耐温度衝撃性、耐湿性が足りなかった。
(1)下記(I)感光性樹脂;100質量部、(II)光重合開始剤;該(I)感光性樹脂と下記(III)架橋性モノマーとの合計100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下、及び(III)架橋性モノマー;100質量部超過1200質量部以下を含有する感光性樹脂組成物。
(I)少なくとも、a)R1 aR2 bSi (OR3 )4-a-b
(R1 はエポキシ基及び炭素−炭素二重結合を有する基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を含む炭素数2〜17の有機基である。R2及びR3はそれぞれ独立にメチル基またはエチル基である。aは1及び2から選ばれる整数である。bは0及び1から選ばれる整数である。a+bは2を超えることはない。)と、
b)(C6H5)2-Si-(OH)2、CH3−Si−Cl3、及びCH3−Si−(OCH3)3からなる群より選ばれる一種以上の化合物とを、
b)の化合物100モルに対して、a)の化合物を60〜140モルの割合で混合し、触媒の存在下、積極的に水を添加することなく重合させる方法で得られる感光性樹脂。
(2)前記(III)架橋性モノマーが、ポリアルキレンオキサイドジアクリレート及びポリアルキレンオキサイドジメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である(1)記載の感光性樹脂組成物。
(IV)R1 aR2 bSi (OR3 )4-a-b
(R1 はエポキシ基及び炭素−炭素二重結合を有する基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を含む炭素数2〜17の有機基である。R2及びR3はそれぞれ独立にメチル基またはエチル基である。aは1及び2から選ばれる整数である。bは0及び1から選ばれる整数である。a+bは2を超えることはない。)
(4)少なくとも、基材上に(1)〜(3)のいずれか一つに記載の感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を得る工程、塗布膜に活性光線を照射し露光部を光硬化させる工程、現像液を用いて該膜の未硬化の部分を除去する工程、基材ごと加熱する工程を順に含む、硬化レリーフパターンの形成方法。
(5)(1)〜(3)のいずれか一つに記載の感光性樹脂組成物をガラス基板にコートし、50〜150℃で1分〜30分間加熱して感光性樹脂組成物付着ガラス基板を得るステップと、該感光性樹脂組成物付着ガラス基板の該感光性樹脂組成物面に、別に用意した(1)〜(3)のいずれか一つに記載の感光性樹脂組成物を満たした成形物用の型の開口部を押し当てるステップと、該ガラス基板側から露光するステップと、該成形物用の型を該ガラス基板から剥離するステップと、150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップとを順次行うことを特徴とするマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子の製造方法。
(7)屈折率が1.47〜1.53である(5)又は(6)に記載の製造方法によって得られたプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子。
(8)硬化後の屈折率が1.47〜1.53である(1)〜(3)のいずれか一つに記載の感光性樹脂組成物の硬化物。
さらに該感光性樹脂組成物を用いて、耐熱性が要求されるマイクロプラスチックレンズや光導波路、プロジェクター向け液晶偏光板用光学素子を得ることができる。また型成形し難いLSIウエハ上にも、複数枚マスク露光と現像削れによって、耐熱性マイクロプラスチックレンズを形成する事ができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、下記(IV)アルコキシシラン;上記(I)感光性樹脂と上記(III)架橋性モノマーの合計100質量部に対して1〜10質量部、を含有する。
(I)少なくとも、a)R1 aR2 bSi (OR3 )4-a-b
(R1 はエポキシ基及び炭素−炭素二重結合を有する基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を含む炭素数2〜17の有機基である。R2及びR3はそれぞれ独立にメチル基またはエチル基である。aは1及び2から選ばれる整数である。bは0及び1から選ばれる整数である。a+bは2を超えることはない。)、
b)(C6H5)2-Si-(OH)2、CH3−Si−Cl3、及びCH3−Si−(OCH3)3からなる群より選ばれる一種以上の化合物を、
b)の化合物100モルに対して、a)の化合物を60〜140モルの割合で混合し、触媒の存在下、積極的に水を添加することなく重合させる方法で得られる感光性樹脂。
上記a)化合物におけるR1としては、例えば、ビニル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)基、3−グリシドキシプロピル基、スチリル基、3−(メタ)アクリロキシプロピル基、2−(メタ)アクリロキシエチル基、(メタ)アクリロキシメチル基等を挙げることができる。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル基及びメタクリル基を示す。以下同様である。具体的なa)化合物としては、例えば、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−ビニルエチレントリメトキシシラン、3−ビニルメチレントリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。このうち、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(以下、MEMOと称する場合もある)が、耐UV劣化性、低毒性、高光感度の観点から最も好ましく用いられる。
上記b)化合物100モルに対して、上記a)化合物を60〜140モルを重合することが好ましく、70〜120モルがより好ましい。吸湿性増加を防止する観点から、60モル以上が好ましく、未反応MEMOの加水分解性増加を防止する観点から140モル以下が好ましい。
重合時の温度は、40〜150℃が好ましく、重合時間は0.1〜10時間が好ましい。重合時、積極的に水を添加することは無い。重合は無溶媒で行う。
(I)感光性樹脂としては、上記a)化合物とb)化合物を含む化合物を、100モル:100モルの割合で混合し、触媒として水酸化バリウム1水和物を用い、水を積極的に添加することなく75〜85℃の温度で30〜1時間反応させるステップを経たものが、ドイツ国 Fraunhofer ISC 社からORMOCER ONEとして入手することができる。
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる(II)光重合開始剤として好ましいものとしては、以下の化合物が挙げられる。
(1)ベンゾフェノン誘導体:例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン
(2)アセトフェノン誘導体:例えば、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE651)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE184)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE907)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE127)、フェニルグリオキシル酸メチル
(3)チオキサントン誘導体:例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン
(4)ベンジル誘導体:例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール
(6)オキシム系化合物:例えば、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(O-メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)] (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE OXE01)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACUREOXE02)
(7)α−ヒドロキシケトン系化合物:例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン
(9)フォスフィンオキサイド系化合物:例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE819)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、DAROCURE TPO)
(10)チタノセン化合物:例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE784)
また、これらの使用にあたっては、単独でも2種以上の混合物でもかまわない。
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる架橋性モノマーとしては、光重合開始剤の作用により重合可能な多官能(メタ)アクリル化合物が好ましく、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート[エチレングリコールユニットの数2〜20]、ポリエチレングリコールジメタクリレート[エチレングリコールユニットの数2〜20]、ポリ(1,2-プロピレングリコール)ジアクリレート[1,2-プロピレングリコールユニット数2〜20]、ポリ(1,2−プロピレングリコール)ジメタクリレート[1,2-プロピレングリコールユニット数2〜20]、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート[テトラメチレングリコールユニット数2〜10]、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート[テトラメチレングリコールユニット数2〜10]、1,4-シクロヘキサンジアクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート[エチレングリコールユニットの数2〜20]、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリ-2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリアクリレート、トリ-2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジグリシジルエーテル-メタクリル酸付加物、グリセロールジグリシジルエーテル-アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル-アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル-メタクリル酸付加物、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート[エチレングリコールユニットの数2〜30]、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート[エチレングリコールユニットの数2〜30]、N,N’-ビス(2-メタクリロイルオキシエチル)尿素などが挙げられる。また、これらの使用にあたっては、必要に応じて、単独でも2種以上を混合して用いてもかまわない。
架橋性モノマーの液体での屈折率は、1.45が好ましい。
好ましく用いられる架橋性モノマーとしては、例えば、ヘプタプロピレンオキサイドジメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPDP−400:屈折率1.45)、トリ(エチレンオキサイド)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPDE−150:屈折率1.44)、テトラ(エチレンオキサイド)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPDE−200:屈折率1.45)、ノナ(エチレンオキサイド)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPDE−400:屈折率1.45)、テトラデカ(エチレンオキサイド)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPDE−600:屈折率1.46)、オクタ(テトラメチレンオキサイド)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPDT−650:屈折率1.46)、テトラ(エチレンオキサイド)ジアクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーADE−200:屈折率1.45)、ノナ(エチレンオキサイド)ジアクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーADE−400:屈折率1.46)、トリ(プロピレンオキサイド)ジアクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーADP−200:屈折率1.45)、ヘプタ(プロピレンオキサイド)ジアクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーADP−400:屈折率1.45)が挙げられる。
(IV)アルコキシシランについて説明する。
本発明の感光性樹脂組成物には、下記(IV)アルコキシシランを含有しても良い。
(IV)R1 aR2 bSi (OR3 )4-a-b
(R1 はエポキシ基及び炭素−炭素二重結合を有する基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を含む炭素数2〜17の有機基である。R2及びR3はそれぞれ独立にメチル基またはエチル基である。aは1及び2から選ばれる整数である。bは0及び1から選ばれる整数である。a+bは2を超えることはない。)
(IV)アルコキシシランの具体例としては、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン又は3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。中でも3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(以下、GLYMOと称する場合もある)とMEMOがより好ましい。
本発明の組成物においては、溶媒を添加して粘度を調整することもできる。好適な溶媒としては、例えば、γ―ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、炭素数1〜6程度のアルコールが挙げられ、これらは単独または二種以上の組合せで用いることができる。これらの溶媒は、塗布膜厚、粘度に応じて、本発明の組成物に適宜加えることができるが、(I)感光性樹脂100質量部に対し、5〜100質量部の範囲で用いることが好ましい。
硬化レリーフパターンの形成は、少なくとも、基材上に上述した感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を得る工程、塗布膜に活性光線を照射し露光部を光硬化させる工程、現像液を用いて該膜の未硬化の部分を除去する工程、基材ごと加熱する工程を順に行う。
具体的には、上記により得られた感光性樹脂組成物を、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機で塗布するか、スプレーコーターで噴霧塗布する方法により基板、例えば、シリコンウェハの上に塗布膜を得る。塗布膜の厚みは1〜100μmが好ましく、より好ましくは2〜50μmである。
得られた塗布膜は、溶剤を含有する場合には、例えば、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥により乾燥する。
このようにして得られた塗布膜は、露光装置、例えば、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパーを用いて、紫外線光源により露光される。光硬化型樹脂としてのパターンの解像度及び取扱い性の点で、その光源波長はi線が好ましく、装置としてはステッパーが好ましい。
使用される現像液としては、前記の(I)感光性樹脂に対する良溶媒と貧溶媒の組み合わせが好ましい。この良溶媒としては、例えば、N-メチルピロリドン、N-アセチル-2-ピロリドン、N,N′-ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが、また、貧溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び水が用いられる。良溶媒に対する貧溶媒の割合は(I)感光性樹脂の溶解性により調整される。各溶媒を組み合わせて用いることもできる。
リンス方法としては、スプレーリンス、浸漬リンス、超音波リンスなどが好例として挙げられるが、最も効果的なリンス効果が得られるのはスプレーリンス法である。スプレー現像法とスプレーリンス法を併用する場合は、現像からリンスへ移行する過程で、両者を同時にスプレーする、いわゆるオーバーラップ過程を数秒から数十秒挿入することが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物を密着性良くガラス基板に成型物用の型を使用して形成する方法を以下に述べる。成形物用の型の材質には、ゴム、ガラス、プラスチック、金属等が用いられる。金属の成形物用の型の場合は、ニッケル製が好ましい。
マイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子は、型の大きさ、種類が異なるだけであり、製造方法は同じである。
3)露光ステップ:ガラス基板と成形物用の型で感光性樹脂組成物を挟んだ状態で、ガラス基板側から紫外線照射する。光硬化型樹脂としてのパターンの解像度及び取扱い性の点で、露光光源波長はi線が好ましく、装置としては近接露光タイプのプロジェクションアライナーが好ましい。
5)加熱ステップ:150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱する事で、残存(メタ)アクリル基を結合させ、耐熱性に優れたマイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子を得ることができる。加熱は、ホットプレート、オーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンにより行うことが出来る。加熱変換させる際の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることができる。
本発明のシロキサン構造を有する透明感光性樹脂組成物を密着性良くガラス基板またはシリコン基板(以下、基板という。)にマスクを使用してマイクロプラスチックレンズを形成する方法を以下に述べる。
加熱は、コートしたガラス基板の感光性樹脂組成物の薄膜形成面を上にして行う。用いる装置としては、オーブン、遠赤外線炉、ホットプレートなど、加熱できる装置であれば公知のものを用いることができ、基板と感光性樹脂組成物の密着性を高める観点から、中でもホットプレートが好ましい。加熱は、50℃〜150℃、好ましくは100℃〜140℃の範囲で1分〜30分間、好ましくは5分〜10分間行う。
使用される現像液としては、前述の感光性樹脂に対する良溶媒と貧溶媒の組み合わせが好ましい。この良溶媒としては、N−メチルピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N′−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、メチルイソブチルケトンなどが、また、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及び水などが用いられる。良溶媒に対する貧溶媒の割合はシロキサン構造を有する感光性樹脂の溶解性により調整される。各溶媒を組み合わせて用いることもできる。
尚、上記現像削れ後の残膜飽和最低露光量とは以下のことを意味する。
ネガ型レジストは、露光量によって現像後の残膜率が異なる。
現像削れ後の残膜飽和最低露光量の決定方法は、表1のグラフから行う。
露光装置での露光設定値(Light Intensity)を横軸にとり、そのときの現像後の残膜厚み(Thickness)を縦軸に取ると、残膜厚が2.5μm付近で飽和していることがわかる。
この時の最低露光量が表1のグラフより100mJ/cm2と分かる。
この様な最低露光量(例えば、「100mJ/cm2」)を現像削れ後の残膜飽和最低露光量という。
[実施例1]
1)ドイツ国 Fraunhofer ISC社からORMOCER ONEとして販売されている感光性樹脂9.5質量%に、光重合開始剤IRGACURE369 0.4質量%(チバガイギー社製)と、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン4.7質量%(旭化成ワッカー社製)と ヘプタプロピレンオキサイドジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名;ブレンマーPDP−400、屈折率1.45)とを85.4質量%とを添加混合し、0.2μmのフィルターでろ過した後、感光性樹脂組成物とする。最終粘度としては0.5ポイズであった。
2)この組成液をガラス基板に滴下し、10rpmでスピンコートした膜を120℃で5分間プリベークし、残存揮発成分を除去した。この際、膜の凝集も平坦性低下もなかった。
3)コート樹脂の上からPETフィルムでカバーし、400mJ/cm2でUV露光(波長365nm)を行った。
4)最後にN2中で2時間、200℃の加熱を行った。加熱の前後で、膜収縮率は極めて小さく、極めて平坦な膜構造を保持していた。
ヘプタプロピレンオキサイドジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名;ブレンマーPDP−400)に替えて、ノナエチレンオキサイドジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名;ブレンマーPDE−400、屈折率1.45)を同量用いた以外は、実施例1と同様に行った。2)では膜の凝集も平坦性低下もなく、4)では加熱の前後で、膜収縮率は極めて小さく、極めて平坦な膜構造を保持していた。
ヘプタプロピレンオキサイドジメタクリレートに替えて、オクタ(テトラエチレングリコール)ジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名;ブレンマーPDT−650、屈折率1.46)を同量用いた以外は実施例1と同様に行った。2)では膜の凝集も平坦性低下もなく、4)では加熱の前後で、膜収縮率は極めて小さく、極めて平坦な膜構造を保持していた。
1)[実施例1]において、ヘプタプロピレンオキサイドジメタクリレートの添加量を20質量部とした以外は、実施例1と同様におこなった。2)では膜の凝集も平坦性低下もなく、4)では加熱の前後で、膜収縮率は極めて小さく、極めて平坦な膜構造を保持していた。
<屈折率評価>
アッベ屈折計(アタゴ製、DR-M2)にて、上記試験片の25℃における屈折率(589nm)を測定した。
<膜厚>
光硬化した膜表面をカッターにて引っかき傷を付け、キュア熱硬化前後での膜厚を、接触段差計(Tencor製 P-15)にて評価し、収縮率を計算した。
<密着性試験>
ガラス基板上に各実施例及び比較例の1)〜4)で成膜後、碁盤目テープ剥離試験(JIS K5400)にて、クロスカットガイド1.0を用いて、1mm角の正方形100個が出来るようにカッターナイフで傷を付け、上からセロハンテープを貼り付けた後剥離し、セロハンテープに付着せず基板上に残った正方形の数を数えることにより、密着性を評価した。
260℃に温度設定したオーブン(ヤマト製ファインオーブンDH−42)に、5分間、大気中、ベークを行い、前後での膜剥れを目視による評価を行った。
<耐湿性試験>
恒温恒湿装置(ヤマト化学製IW221)で温度60℃、湿度90%の条件で、1000時間までストレス試験を行い、ストレス前後の光透過率の変化(400nm波長)、剥がれ、クラックなどを評価した。
<耐温度衝撃性試験>
温度衝撃装置(TABAI製 型式TSE−10)で温度−40℃と100℃を30分毎に設定変化させる試験を500サイクル試験を行い、ストレス前後の剥がれ、クラックなどを評価した。
成形物用の型を利用したマイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子
マイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子は成型物用の型の種類が異なるだけであり、製造方法は同じである。成形物用の型の材質には、ゴム、ガラス、プラスチック、金属等が用いられる。金属の成形物用の型の場合は、ニッケル製が好ましい。
1)ガラス基板へのコート及び加熱ステップ:コーニング製無アルカリガラス基板(10cm正方形、厚み0.7mm)上に、実施例1で得られた感光性樹脂組成物をNMP溶剤で70重量%添加し希釈したのち、スピンコーターで塗布する(2500rpm30秒)。コートしたガラス基板面を上にしてホットプレート上で120℃で5分間加熱する。NMP乾燥除去後の感光性樹脂組成物の厚みは1μmである。
2)型を押し当てるステップ:実施例1で得られた感光性樹脂組成物を、Ni金属製のマイクロプラスチックレンズ用型又は液晶偏光板用光学素子の型にスポイトを用い、型を満たす量を滴下し、加熱処理後冷却したガラスの樹脂コート面を下にして、型内の滴下樹脂に押し当て密着させる。
4)型剥離ステップ:紫外線硬化後、成型物用の型をガラス基板から剥離する。
5)加熱ステップ:キュアオーブンを使って、N2中250℃の温度で2時間加熱する。
マスクを使用してのマイクロプラスチックレンズ
1)基板へのコート及び加熱ステップ:実施例2で得られた感光性樹脂組成物にNMPを40質量%添加混合して希釈した後、シリコン基板上に滴下し、スピンコーター(2500rpm30秒)をつかってコートする。:コートしたシリコン基板面を上にしてホットプレート上で120℃で5分間加熱する。NMP乾燥除去後の感光性樹脂の厚みは6μmである。
2)複数回露光ステップ:マイクロプラスチックレンズの同心円パターンからなる3枚のマスクを予め準備する。Siウエハ上でのレンズ寸法が、直径2μm、4μm、6μmのネガ型感光レジスト用パターンのレンズアレイ(縦横5個、計25個)をCADにて作成し、マスクとする。現像削れ後の残膜飽和値が3μmであり、この時の必要最低露光量が90mJ/cm2であるため、90÷3=30mJ/cm2の一定光量で、同心円直径の小さい2μmのマスクから順に同心円に重ねて紫外線露光する。
3)現像ステップ:回転スプレー法で現像する。使用される現像液としてはシクロヘキサノンを用いて、20秒間スプレー現像し、リンス液としてイソプロピルアルコールを用いて、10秒間リンスする。
4)加熱ステップ:キュアオーブンを使って、N2中250℃の温度で2時間加熱する。
Claims (8)
- 下記(I)感光性樹脂;100質量部、(II)光重合開始剤;該(I)感光性樹脂と下記(III)架橋性モノマーとの合計100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下、及び(III)架橋性モノマー;100質量部超過1200質量部以下を含有する感光性樹脂組成物。
(I)少なくとも、a)R1 aR2 bSi (OR3 )4-a-b
(R1 はエポキシ基及び炭素−炭素二重結合を有する基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を含む炭素数2〜17の有機基である。R2及びR3はそれぞれ独立にメチル基またはエチル基である。aは1及び2から選ばれる整数である。bは0及び1から選ばれる整数である。a+bは2を超えることはない。)と、
b)(C6H5)2-Si-(OH)2、CH3−Si−Cl3、及びCH3−Si−(OCH3)3からなる群より選ばれる一種以上の化合物とを、
b)の化合物100モルに対して、a)の化合物を60〜140モルの割合で混合し、触媒の存在下、積極的に水を添加することなく重合させる方法で得られる感光性樹脂。 - 前記(III)架橋性モノマーが、ポリアルキレンオキサイドジアクリレート及びポリアルキレンオキサイドジメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- さらに、下記(IV)アルコキシシラン;上記(I)感光性樹脂と上記(III)架橋性モノマーの合計100質量部に対して1〜10質量部、を含有する請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
(IV)R1 aR2 bSi (OR3 )4-a-b
(R1 はエポキシ基及び炭素−炭素二重結合を有する基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を含む炭素数2〜17の有機基である。R2及びR3はそれぞれ独立にメチル基またはエチル基である。aは1及び2から選ばれる整数である。bは0及び1から選ばれる整数である。a+bは2を超えることはない。) - 少なくとも、基材上に請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を得る工程、塗布膜に活性光線を照射し露光部を光硬化させる工程、現像液を用いて該膜の未硬化の部分を除去する工程、基材ごと加熱する工程を順に含む、硬化レリーフパターンの形成方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物をガラス基板にコートし、50〜150℃で1分〜30分間加熱して感光性樹脂組成物付着ガラス基板を得るステップと、該感光性樹脂組成物付着ガラス基板の該感光性樹脂組成物面に、別に用意した請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を満たした成形物用の型の開口部を押し当てるステップと、該ガラス基板側から露光するステップと、該成形物用の型を該ガラス基板から剥離するステップと、150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップとを順次行うことを特徴とするマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を、ガラス基板又はシリコン基板にコートし、50〜150℃で1分〜30分間加熱して感光性樹脂組成物付着ガラス基板又はシリコン基板を得るステップと、マイクロプラスチックレンズ成刑用の円パターンからなる複数枚のマスクで、各マスクにはアライメントマークがあり、該アライメントマークで各マスクを重ねた時に直径の異なる同心円パターンになっている複数枚のマスクを使い、円直径の小さいマスクから順にマスク1枚ごとに紫外線を複数回露光するステップと、露光後に現像するステップと、現像後150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップとを順次行うことを特徴とするマイクロプラスチックレンズの製造方法。
- 屈折率が1.47〜1.53である請求項5又は6に記載の製造方法によって得られたプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子。
- 硬化後の屈折率が1.47〜1.53である請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物。
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