JPWO2008001706A1 - プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

260℃リフロー耐熱性を有するプラスチックレンズを得るために、a)(CH3O)3−Si−(CH2)3−O−CO−C(CH3)=CH2、(CH3O)3−Si−(CH2)3−O−CO−CH=CH2、(CH3O)3−Si−(CH2)X−CH=CH2(ここで、X=1又は2)、(CH3O)2−Si(CH3)(CH2)3−O−CO−C(CH3)=CH2、(CH3O)2−Si(CH3)(CH2)3−O−CO−CH=CH2、及び(CH3O)2−Si(CH3)−(CH2)X−CH=CH2(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C6H5)2−Si−(OH)2で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa)の化合物を50〜150モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を、レンズ形状に成形することを特徴とするプラスチックレンズの製造方法を用いる。

Description

本発明は、主に光用途を目的としたプラスチックレンズの製造方法に関する。さらに詳しくいえば、光通信用マイクロプラスチックレンズやCMOSイメージセンサーに代表される固体撮像素子用のプラスチックレンズの製造方法に関するものである。なお、プラスチックレンズのサイズが小さい場合は、マイクロプラスチックレンズやミニレンズと呼ばれる場合がある。
プラスチックレンズは、ガラスに較べて成形が容易であり、安価であることから各種の光学製品に広く用いられている。その材料としては、熱可塑性プラスチック、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、また、熱硬化性プラスチック、例えば、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネートといった様々な透明材料が使用されている。
しかし、従来材料では、特許文献1及び2に示されているとおり、耐熱性を改良しても200℃以下の耐熱性しか有さないものが殆どであり、260℃ハンダリフロー耐熱を保証するには至っていない。
Si−O構造を有するシロキサン樹脂は一般に耐熱性が高い。特許文献3及び4には、UV硬化型シロキサン樹脂が耐磨耗性ハードコート材料として紹介されている。しかしながら、いずれも薄膜の被覆材に限定している。一般にシロキサン樹脂は耐熱性には優れるが、耐クラック性に劣るため、厚膜としての構造材料になりにくいという問題点がある。
特許文献5には、Ba(OH)(水酸化バリウム)を触媒とし、重合可能基を有する有機シラン及び加水分解反応点を有する有機シランを重縮合させた、ORMOCER ONE(ドイツ国 Fraunhofer ISC社製)として知られている材料の開示がある。該材料は、150℃という低温硬化が可能であり、300℃以上という耐熱性を有する。問題点としては、該材料は異種材料である下地(金属、ガラス、シリコン)との密着性に劣ることである。
特許文献6、7及び8には、液晶プロジェクター用のマイクロレンズアレイの形成方法の開示が有る。金属型と透明ガラス基板で紫外線硬化型透明樹脂を押圧し、ガラス基板側から紫外線を照射して該透明樹脂を硬化させてレンズ成形を行う。しかしながら、該樹脂の密着性が悪い場合には、光硬化後の離型工程において、ガラス基板に樹脂パターンが形成されず、型に樹脂が残り易いのがこの方法の重大な問題点となっている。
特許文献9には、透明樹脂の密着性改良方法として、予めガラス基板面に薄く樹脂を塗布し、一度全面紫外線照射して硬化膜を形成する旨の開示がある。しかしながら、密着性改善としては不十分である。
一方、型を用いないプラスチックレンズの形成方法としては、特許文献10に、マスクを用いた光露光方式及び熱溶融方式により耐熱性のマイクロレンズを固体撮像素子上に形成する方法の開示がある。しかし樹脂材料としては、ポジ型材料の開示しかなく、該ポジ型材料の耐熱温度が200℃以下であるという問題点がある。マスクを用いた光露光方式の別の例としては、特許文献11に、レンズ形状の光強度分布にした半透明マスクを用いる方法の開示がある。樹脂材料としてはポジ型感光性樹脂の開示しかなく、形成されたレンズパターンの耐熱性は200℃以下であり、また耐熱性を高めるためには下地であるガラス材料をドライエッチングで加工する必要があった。このため、レンズ成形プロセスが
複雑になり、且つ高価な加工設備が必要となるという問題点がある。
特開平09−31136号公報 特開2004−245867号公報 特開平03−281616号公報 国際公開第2002/102907号パンフレット カナダ国特許第238756号公報 特開平10−253801号公報 特開2001−194508号公報 特開平01−257901号公報 特開平05−249302号公報 特開平06−138306号公報 特開2001−158022号公報
本発明は、260℃リフロー耐熱性を有するプラスチックレンズ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために、シロキサンを含む感光性樹脂を研究するうち、特定の感光性樹脂組成物をレンズ形状に成形するという本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下のとおりである。
(1)a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa)の化合物を50〜150モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を、レンズ形状に成形することを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
(2)開口部を有するプラスチックレンズの型に、a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa)の化合物を50〜150モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を満たすプロセスと、該感光性樹脂組成物を満たした該型の開口部を基板に押し当てるプロセスとを含む第1ステップと、該感光性樹脂組成物を露光する第2ステップと、該型を該基板から剥離する第3ステップと、露光された感光性樹脂組成物を150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱する第4ステップとを順次行うことを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
(3)上記第1ステップが、
シラン化合物又はシラン化合物を含む組成物を基板にコートして、シラン化合物付着基板を得るプロセスと、開口部を有するプラスチックレンズの型に、a)(CHO)−S
i−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa)の化合物を50〜150モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を満たすプロセスと、該感光性樹脂組成物を満たした型の開口部を該シラン化合物付着基板の該シラン化合物面に押し当てるプロセスとを含む第1ステップであることを特徴とする(2)記載のプラスチックレンズの製造方法。
(4)上記シラン化合物を含む組成物が、上記組成物と同じ感光性樹脂組成物であることを特徴とする(3)記載のプラスチックレンズの製造方法。
(5)感光性樹脂組成物が、a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物を、a)とb)の比が60モル%/40モル%〜40モル%/60モル%の割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物であることを特徴とする(3)又は(4)記載のプラスチックレンズの製造方法。
(6)感光性樹脂組成物が、a−1)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物、a−2)(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物、及びb)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa−1)の化合物を10〜60モルの割合、a−2)の化合物を40〜90の割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物であることを特徴とする(3)又は(4)記載のプラスチックレンズの製造方法。
(7)a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa)の化合物を50〜150モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物を、基板にコートし、50〜150℃で1分〜30分間加熱して感光性樹脂組成物付着基板を得るステップと、重ねた場合に同心円パターンとなる複数枚のマスクのうち一枚を該基板に重ね、現像削れ後の残膜飽和最低露光量÷マスク枚数の一定光量で、露光した後、該マスクを取り除くことを、各マスクに対して一回づつ行うことで多重露光するステップと、現像するステップと、150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップとを順次行うことを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
(8)a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)、(CHO)−Si(CH
)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa)の化合物を50〜150モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含むプラスチックレンズ形成用感光性樹脂組成物。
(9)a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa)の化合物を50〜150モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を光硬化させて得られるプラスチックレンズ。
本発明によると、260℃のハンダリフロー耐性を有するプラスチックレンズを製造することができる。
(1)感光性樹脂組成物
本発明における感光性樹脂組成物は、
a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa)の化合物を50〜150モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物である。
a)の化合物は、(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物である。このうち、好ましくは下記一般式(I)で示される3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(以下、MEMOと表示する場合もある)及び下記一般式(II)で示される3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン(以下、MEDMOと表示する場合もある)である。
Figure 2008001706
Figure 2008001706
b)の化合物は、(C−Si−(OH)、つまり、ジフェニルシランジオール(以下、DPDという場合もある)である。
b)の化合物100モルに対するa)の化合物の割合は、82〜122モルの割合であることがより好ましい。上記a)の化合物が、a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物であることは、熱分解耐熱性の観点から好ましい。
この場合、a)とb)の化合物の混合割合は、60モル%/40モル%〜40モル%/60モル%であることが好ましく、より好ましくは55モル%/45モル%〜45モル%/55モル%、更に好ましくは52モル%/48モル%〜48モル%/52モル%、最も好ましくは、50モル%/50モル%である。
また、感光性樹脂組成物が、a−1)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物、a−2)(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物、及びb)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa−1)の化合物を10〜60モルの割合、a−2)の化合物を40〜90の割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物であることは、耐温度衝撃性の観点から好ましい。このうち、a−1)の化合物としては、好ましくはMEMOであり、a−2)の化合物としては、好ましくはMEDMOである。b)の化合物は、DPDである。
上記重縮合して得られる樹脂を得る過程の温度は、40〜150℃であり、50〜90℃がより好ましく、70〜90℃がさらに好ましい。重縮合の反応性の観点から40℃以上であり、官能基の保護の観点から、150℃以下である。時間は、0.1〜10時間で
あり、0.5〜5時間がより好ましく、0.5〜3時間がさらに好ましい。重縮合の反応性の観点から0.1時間以上であり、官能基の保護の観点から10時間以下である。
上記重縮合して得られる樹脂を得る過程では、触媒を用い、水を積極的に添加することは無い。触媒としては、3価もしくは4価の金属アルコキシドを用いることができる。具体的には、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリ−iso−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−iso−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、トリメトキシボロン、トリエトキシボロン、トリ−n−プロポキシボロン、トリ−iso−プロポキシボロン、トリ−n−ブトキシボロン、トリ−iso−ブトキシボロン、トリ−sec−ブトキシボロン、トリ−tertブトキシボロンテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−iso−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラ−n−プロポキシゲルマニウム、テトラ−iso−プロポキシゲルマニウム、テトラ−n−ブトキシゲルマニウム、テトラ−iso−ブトキシゲルマニウム、テトラ−sec−ブトキシゲルマニウム、テトラ−tert−ブトキシゲルマニウム、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−iso−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−iso−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウムが挙げられる。また、水酸化バリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウムを触媒として用いてもよい。中でも、水酸化バリウム、テトラ−tert−ブトキシチタン、及びテトラ−tert−プロポキシチタンが好ましい。迅速かつ均一な重合反応を達成するには反応温度領域で液状であることが好ましい。触媒添加量は、b)の化合物100モルに対して、0.01〜5モルが好ましく、0.1〜3モルがより好ましい。
感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤としては、365nmに吸収を持つ公知の光重合開始剤、例えば、2−benzyl−2−dimethylamino−4’−morpholinobutyrophenone(IRGACURE369)が好適に用いられる。公知の開始剤としては、他には、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、エチル−p−(N,N−ジメチルアミノベンゾエイト)、9−フェニルアクリジン、が挙げられる。光重合開始剤の添加量は、上記重縮合して得られる樹脂100質量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.3〜3重量部、特に好ましくは0.5〜2重量部である。
また、感光性樹脂組成物には、光重合開始剤を添加するタイミングで、さらに、ビスフェノールAを主鎖に含むポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、及びポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる一種以上の化合物を含む化合物を添加しても良い。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを示す。以下同じである。
ビスフェノールAを主鎖に含むポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、及びポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる一種以上の化合物を添加することで、耐温度衝撃性に優れるという更なる効果を奏する。
上記ビスフェノールAを主鎖に含むポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレートのポリアルキレンオキサイド部位としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイドが挙げられる。中でも、ビスフェノールAを主鎖に含むポリエチレンオキサイドジメタクリレートが好ましく、具体的には、次式に示す日本油脂(株)製の耐熱性ブレンマーPDBE−200,250,450,1300が挙げられる。
Figure 2008001706
上記ポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレートのポリアルキレンオキサイド部位としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイドが挙げられる。中でも、ポリテトラメチレンオキサイドジメタクリレート(テトラメチレンオキサイドの繰り返し単位が5〜10)が好ましい。具体的には、次式に示す日本油脂(株)製のブレンマーPDT650が例として挙げられる。
Figure 2008001706
上記ビスフェノールAを主鎖に含むポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、及びポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる一種以上の化合物を含有する場合の添加量は、a)の化合物とb)の化合物を重縮合して得られる樹脂100重量部に対して、1〜30重量部である。添加量は、好ましくは5〜20重量部、さらに好ましくは7〜14重量部である。30重量部以下であれば、樹脂液の安定性が高く、品質バラツキが少ないため、好ましい。
本発明は、上記感光性樹脂組成物を、レンズ形状に成形することを特徴とするプラスチックレンズの製造方法である。レンズ形状に成形する製造方法としては、以下に示す、「(2)型を利用したマイクロプラスチックレンズの製造方法」、及び「(3)マスクを使用してのマイクロプラスチックレンズ製造方法」が挙げられる。これらの製造方法について、詳しく説明する。
(2)型を利用したマイクロプラスチックレンズの製造方法
以下に述べるステップを順次行うことでプラスチックレンズを製造することができる。各ステップを図1を用いて説明する。
第1ステップ)開口部を有するプラスチックレンズの型(1)に、上記感光性樹脂組成物(2)を満たすプロセス(図1の(a))と、該感光性樹脂組成物を満たした該型の開口部を基板(3)に押し当てるプロセス(図1の(b))とを含むステップ:まず、開口部を有するプラスチックレンズの型を用意する。型の材質には、例えば、ゴム、ガラス、プラスチック、金属が用いられる。金属型の場合は、ニッケル製が好ましい。
第1ステップでは、この型に、例えば、スポイトやディスペンサーを用いて上記感光性樹脂組成物を満たすステップと、該感光性樹脂組成物を満たした型の開口部を基板に押し当てるプロセスとを含む。基板は、後述する露光ステップにおいて露光光を通過させる観点から、ガラス基板が好ましい。しかし、型の材質が石英である場合には、型を通して露光光を通過させることができるため、基板はシリコン基板でも良い。
第2ステップ)上記感光性樹脂組成物を露光するステップ(図1の(c)):基板と該型で感光性樹脂組成物を挟んだ状態で、紫外線照射する。基板としてガラス基板を用いている場合にはガラス基板側から露光する。光硬化型樹脂としてのパターンの解像度及び取扱い性の点で、露光光源波長はi線が好ましく、装置としては近接露光タイプのプロジェクションアライナーが好ましい。
第3ステップ)プラスチックレンズの型を基板から剥離するステップ(図1の(d)):紫外線硬化後、型を基板から剥離する。
第4ステップ)露光された感光性樹脂組成物を150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップ:150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱する事で、残存メタクリル基を結合させ、耐熱性に優れたプラスチックレンズを得ることができる。加熱は、ホットプレート、オーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンにより行うことが出来る。加熱変換させる際の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、不活性ガス、例えば、窒素、アルゴンを用いることもできる。
上記第1ステップ)が、シラン化合物又はシラン化合物を含む組成物を基板にコートして、シラン化合物付着基板を得るプロセスを含み、かつ、該感光性樹脂組成物を満たした該型の開口部を基板に押し当てるプロセスが、該感光性樹脂組成物を満たした型の開口部を該シラン化合物付着基板の該シラン化合物面に押し当てるプロセスであることは、プラスチックレンズの基板への密着性の観点から好ましい。
シラン化合物又はシラン化合物を含む組成物の基板へのコートは、シラン化合物又はシラン化合物を含む組成物を、溶剤、例えばγ―ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、炭素数1〜6程度のアルコール類を使って希釈し、例えばスピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機で塗布するか、スプレーコーターで噴霧塗布する方法により行う。これにより、シラン化合物又はシラン化合物を含む組成物による薄膜が形成される。この薄膜の厚みは0.1〜10μmが好ましく、より好ましくは0.5〜5μm、さらに好ましくは1〜3μmである。
また、シラン化合物又はシラン化合物を含む組成物のコート後に、基板ごと加熱するこ
とは、密着性向上の観点から好ましい。加熱は、基板のシラン化合物付着面を上にして行う。用いる装置としては、オーブン、遠赤外線炉、ホットプレートなど、加熱できる装置であれば公知のものを用いることができ、基板とシラン化合物又はシラン化合物を含む組成物の密着性を高める観点から、中でもホットプレートが好ましい。加熱は、50℃〜150℃、好ましくは100℃〜140℃の範囲で1分〜30分間、好ましくは5分〜10分間行う。
用いられるシラン化合物としては、例えば、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。シラン化合物を含む組成物としては、上記感光性樹脂組成物が挙げられる。
シラン化合物又はシラン化合物を含む組成物としては、中でも、密着性向上及び取り扱い性の観点からは、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。また、更なる密着性向上の観点からは、上記感光性樹脂組成物が好ましい。
(3)マスクを使用してのマイクロプラスチックレンズ製造方法
以下に述べるステップを順次行うことで、プラスチックレンズを製造することができる。
各ステップを図2を用いて説明する。
上記感光性樹脂組成物(4)を、基板(5)にコートし、50〜150℃で1分〜30分間加熱して感光性樹脂組成物付着基板を得るステップ(図2の(a)))上記感光性樹脂組成物を、溶剤、例えば、NMPを使って希釈し、例えばスピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機で塗布するか、スプレーコーターで噴霧塗布する方法により基板上にコートし、感光性樹脂組成物の薄膜を形成する。この薄膜の厚みは1〜30μmが好ましく、より好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは3〜6μmである。
基板としては、ガラス基板、シリコン基板を用いることができる。
加熱は、コートした基板の感光性樹脂組成物の薄膜形成面を上にして行う。用いる装置としては、オーブン、遠赤外線炉、ホットプレートなど、加熱できる装置であれば公知のものを用いることができ、基板と感光性樹脂組成物の密着性を高める観点から、中でもホットプレートが好ましい。加熱は、50℃〜150℃、好ましくは100℃〜140℃の範囲で1分〜30分間、好ましくは5分〜10分間行う。
重ねた場合に同心円パターンとなる複数枚のマスク(6)のうち一枚を該基板に重ね、現像削れ後の残膜飽和最低露光量÷マスク枚数の一定光量で、露光した後、該マスクを取り除くことを、各マスクに対して一回づつ行うことで多重露光するステップ(図2の(b-1)〜(b-4)))例えば、上記感光性樹脂組成物を3枚のマスクを用いて露光してプラスチックレンズ形状に形成する方法を示す。まず、重ねた場合に同心円パターンとなる3枚のマスクを準備する。このうちの一枚のマスクを前記ステップにより得られた感光性樹脂組成物付着基板に重ね、現像削れ後の残膜飽和最低露光量÷マスク枚数(例90mJ/cm÷3=30mJ/cmの露光量)の露光量でアライメントマークを使って露光する。その後、使用したマスクを取り除く、というプロセスを各マスクに対して一回づつ行う。(図2の(b-1)〜(b-3))。露光においては、どのマスクから露光しても良い。つまり、例えば、(b-1)〜(b-3)は、どの順序で行っても構わない。また、一つのレンズを形成するためのマスクを上から見た図を(b-4)に示す。アライメントマークを使っているため、円の中心は一致している。
尚、上記現像削れ後の残膜飽和最低露光量とは以下のことを意味する。
上記感光性樹脂組成物を基板にコートして得られる感光性樹脂組成物の塗布膜を露光した場合、露光量によって現像後の硬化後の残膜率が異なる。
現像削れ後の残膜飽和最低露光量の決定方法は、例えば、図3のグラフから行う。
露光装置での露光量を横軸にとり、そのときの現像後の残膜厚みを縦軸に取った図を作成すると、残膜厚が2.5μm付近で飽和していることがわかる。
飽和とは、20mJ/cmずつ露光量(Light Intensity )を増加させた時に、膜厚変化(delta Thickness)が0.1μm以下となる点を示す。
この時の最低露光量が表1のグラフより100mJ/cmと分かる。
この様な最低露光量(例えば、「100mJ/cm」)を現像削れ後の残膜飽和最低露光量という。
現像するステップ)現像は、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法などの中から任意の方法を選んで行うことができる。現像後の基板を図2の(c)に示す。
使用される現像液としては、上記感光性樹脂組成物に対する良溶媒と貧溶媒の組み合わせが好ましい。この良溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N′−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、メチルイソブチルケトンが、また、貧溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及び水が用いられる。良溶媒に対する貧溶媒の割合は上記感光性樹脂組成物の溶解性により調整される。各溶媒を組み合わせて用いることもできる。
現像後150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップ)150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱する事で、残存メタクリル基を結合させ、耐熱性に優れたプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子を得ることができる。加熱は、ホットプレート、オーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンにより行うことが出来る。加熱変換させる際の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、不活性ガス、例えば、窒素、アルゴンを用いることができる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本願発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
[感光性樹脂組成物1の製造]
500mlのナス型フラスコ中に、a)の化合物としてMEMO0.1モル(24.83g)、b)の化合物としてDPD0.1モル(21.63g)、触媒としてテトラ-iso-プロポキシチタンをDPD0.1モルに対して22ミリモル(0.625g)を仕込み、これに冷却器に取り付け、オイルバスで室温から85℃まで、徐々に昇温した。85℃で発生するメタノールによるリフラックスの開始を確認後、1時間同温度でリフラックスを継続させた。その後、冷却器をとり除き、同じ温度でメタノールを減圧蒸留により除去した。突沸が起こらないように徐々に真空度を上げ3torrになったら、80℃で攪拌しながら2時間真空引きを継続し、最後に常圧に戻しメタノールの除去を終了した。得られた重縮合物を室温に冷却後、光重合開始剤としてIRGACURE369(チバガイギー社製)を、得られた重縮合物100重量部に対し1重量部添加し、0.2μmメッシュのフィルターでろ過し、感光性樹脂組成物1とした。
[感光性樹脂組成物2の製造]
100質量部の感光性樹脂組成物1に、更にポリエチレンオキサイドビスフェノールAジメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPDBE450)10質量部を添加して感光性樹脂組成物2とした。
[感光性樹脂組成物3の製造]
500mlのナス型フラスコ中に仕込む原料が、a−1)の化合物としてMEMO0.02モル(4.97g)、a−2)の化合物としてMEDMO0.08モル(18.59g)、b)の化合物としてDPD 0.1モル(21.62g)、触媒としてテトラ-iso-プロポキシチタン22ミリモル(0.625g)である以外は、感光性樹脂組成物1の製造方法と同様に行った。得られた感光性樹脂組成物100質量部に対して、更にポリエチレンオキサイドビスフェノールAジメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPDBE450)10質量部を添加して感光性樹脂組成物3とした。
[実施例1]型を利用したマイクロレンズ1の製造方法
以下のステップを順次行ってマイクロレンズを製造した。
第1ステップ)最大深さ30μm、直径100μm、数100個を有するニッケル製の開口部を有するプラスチックレンズの型に、上記感光性樹脂組成物1をスポイトで5滴滴下して、該型を感光性樹脂組成物1で満たした。基板としてコーニング製無アルカリガラス基板(10cm正方形、厚み0.7mm)を用い、該型の開口部を基板に押し当てた。
第2ステップ)基板と該型で感光性樹脂組成物を挟んだ状態で、ガラス基板側から、CANON製近接露光装置ミラープロジェクションアライナーを使って、紫外線を全面マスク無しで照射した。i線波長(365nm)での照射量は400mJ/cmであった。
第3ステップ)型を基板から剥離した。
第4ステップ)キュアオーブンを使って、窒素雰囲気下、200℃の温度で2時間加熱して、マイクロレンズ1付着基板を得た。
[実施例2]型を利用したマイクロレンズ2の製造方法
第1ステップが、以下のステップである以外は実施例1と同様にして行った。
第1ステップ)基板としてコーニング製無アルカリガラス基板(10cm正方形、厚み0.7mm)を用い、シラン化合物としてMEMOを用い、MEMOが5重量%となるようにNMP溶剤で希釈したのち、1000rpm20秒の条件でスピンコーターで塗布した。コートしたガラス基板のシラン化合物付着面を上にして、ホットプレート上で120℃で5分間加熱し、その後冷却した。得られたシラン化合物付着基板のシラン化合物層の厚みは、0.01μm以下であった。ニッケル製の開口部を有するプラスチックレンズの型に、上記感光性樹脂組成物1をスポイトで5滴滴下して、該型を感光性樹脂組成物1で満たした。次いで、該型の開口部をシラン化合物付着基板のシラン化合物付着面に押し当てた。
[実施例3]型を利用したマイクロレンズ3の製造方法
感光性樹脂組成物1に替えて、感光性樹脂組成物2を用いた以外は実施例2と同様にして行った。
[実施例4]型を利用したマイクロレンズ4の製造方法
第1ステップが、以下のステップである以外は実施例1と同様にして行った。
第1ステップ)基板としてコーニング製無アルカリガラス基板(10cm正方形、厚み0.7mm)を用い、シラン化合物を含む組成物として上記感光性樹脂組成物3を用い、感光性樹脂組成物3が10重量%となるようにNMP溶剤で希釈したのち、2500rpm30秒の条件でスピンコーターで塗布した。コートしたガラス基板の感光性樹脂組成物3付着面を上にして、ホットプレート上で120℃で5分間加熱し、その後冷却した。得られた感光性樹脂組成物3付着基板の感光性樹脂組成物3層の厚みは、3μmであった。ニッケル製の開口部を有するプラスチックレンズの型に、上記感光性樹脂組成物3をスポイトで5滴滴下して、該型を感光性樹脂組成物3で満たした。次いで、該型の開口部を感光性樹脂組成物3付着基板の感光性樹脂組成物3付着面に押し当てた。
実施例1〜4ではプラスチックレンズが作成できた。実施例1〜4で出来たプラスチックレンズの密着性を評価するために、以下の樹脂膜1〜4を作成し、測定を行った。
実施例1については、基板上に感光性樹脂組成物1をガラス基板上に700rpm30秒の条件でスピンコートした。得られた感光性樹脂組成物1のスピンコート膜を厚み0.3mmのPETフィルムで覆い、第2ステップ及び第4ステップを経て樹脂膜1を成膜した。
実施例2については、シラン化合物としてMEMOを用い、MEMOが5重量%となるようにNMP溶剤で希釈したのち、1000rpm20秒の条件でスピンコーターでガラス基板上に塗布した。基板のシラン化合物付着面を上にして、ホットプレート上で120℃で5分間加熱し、その後冷却した。その後、基板のシラン化合物付着面上に感光性樹脂組成物1を700rpm30秒の条件でスピンコートした。得られた感光性樹脂組成物1のスピンコート膜を厚み0.3mmのPETフィルムで覆い、第2ステップ及び第4ステップを経て樹脂膜1を成膜した。
実施例3については、シラン化合物としてMEMOを用い、MEMOが5重量%となるようにNMP溶剤で希釈したのち、1000rpm20秒の条件でスピンコーターでガラス基板上に塗布した。基板のシラン化合物付着面を上にして、ホットプレート上で120℃で5分間加熱し、その後冷却した。その後、基板のシラン化合物付着面上に感光性樹脂組成物2を700rpm30秒の条件でスピンコートした。得られた感光性樹脂組成物1のスピンコート膜を厚み0.3mmのPETフィルムで覆い、第2ステップ及び第4ステップを経て樹脂膜1を成膜した。
実施例4については、シラン化合物を含む組成物として上記感光性樹脂組成物3を用い、感光性樹脂組成物3が10重量%となるようにNMP溶剤で希釈したのち、2500rpm30秒の条件でスピンコーターで塗布した。基板の感光性樹脂組成物3付着面を上にして、ホットプレート上で120℃で5分間加熱し、その後冷却した。その後、基板のシラン化合物付着面上に感光性樹脂組成物3を700rpm30秒の条件でスピンコートした。得られた感光性樹脂組成物1のスピンコート膜を厚み0.3mmのPETフィルムで覆い、第2ステップ及び第4ステップを経て樹脂膜1を成膜した。
<260℃リフロー耐性試験>
実施例1〜4で得られたプラスチックレンズ付着基板を、260℃に温度設定したオーブン(ヤマト製ファインオーブンDH−42)に入れ、5分間、空気雰囲気下でベークを行った。ベーク前後でのレンズのクラックや剥れを目視による検査で評価した。
評価結果は以下のように示した。
○(可):クラックも剥がれも生じていない。
×(不可):クラックまたは剥がれが生じている。
<密着性試験>
上述の通り実施例1〜4に対応する樹脂膜1〜4を成膜後、碁盤目テープ剥離試験(JIS K 5400)にて、クロスカットガイド1.0を用いて、1mm角の正方形100個が出来るようにカッターナイフで傷を付けた。上からセロハンテープを貼り付けた後、膜を剥離した。セロハンテープに付着せず基板上に残った正方形の数を数えることにより、密着性を評価した。
評価結果は以下のように示した。
◎(優):正方形100個が全て基板上に残っている。
○(可):正方形が60〜99個基板上に残っている。
×(不可):基板上に残っている正方形が59個以下である。
<耐温度衝撃性試験>
実施例1〜4で得られたプラスチックレンズ付着基板を、温度衝撃装置(TABAI製
型式TSE−10)に入れ、温度−40℃と100℃を30分毎に設定変化させる試験を500サイクル行った。100,300,500サイクル後でのクラックの有無を評価した。
評価結果は以下のように示した。
◎(優):500サイクル後でもクラック無し。
○(可):300サイクル後、クラック発生。
×(不可):100サイクル後、クラック発生。
結果を表1に示す。
Figure 2008001706

[実施例5]マスクを使用してのマイクロレンズ5の製造方法
上記感光性樹脂組成物4を、NMPを40重量%添加混合して希釈し、シリコン基板上に滴下し、スピンコーター(2500rpm30秒)をつかってコートした。感光性樹脂組成物1付着シリコン基板の感光性樹脂組成物面を上にして、ホットプレート上で120℃で5分間加熱した。NMP乾燥除去後の感光性樹脂組成物層の厚みは6μmであった。
プラスチックレンズの同心円パターンからなる3枚のマスクを予め準備した。即ち、それぞれ2μm、4μm、6μmの円形パターン(縦横5個、計25個)を有するマスクである。この時の現像削れ後の残膜飽和最低露光量が90mJ/cmであるため、90÷
3=30mJ/cmの光量で、直径2μmの円形パターンを有するマスクを上記感光性樹脂組成物層に重ねて紫外線露光(Nikon製NSR 1755i7B)し、マスクを取り除いた。続いて、直径4μmの円形パターンを有するマスクをアライメントマークを使用して上記感光性樹脂組成物層に重ねて同様に露光し、マスクを取り除いた。続いて、直径6μmの円形パターンを有するマスクをアライメントマークを使用して上記感光性樹脂組成物層に重ねて同様に露光し、マスクを取り除いた。
シクロヘキサノンを現像液として用いて、20秒間回転スプレー法で得られた基板を現像した。その後、リンス液としてイソプロピルアルコールを用いて、10秒間リンスした。
現像後150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップ)キュアオーブンを使って、N中200℃の温度で2時間加熱した。
これによって、シリコン基板から剥離しない、高さ3μmの良好なレンズプラスチックを得ることができた。
本発明の製造方法によって得られたプラスチックレンズは、260℃のハンダリフロー工程を必要とする固体撮像素子や電子部品一体型製品のレンズとして用いることができる。また、本発明のプラスチックレンズの製造方法は、紫外線硬化インプリント技術として有用である。例えば、プラスチックレンズの製造方法のみならず、液晶偏光板用光学素子の製造方法に適用することも可能である。マイクロレンズの製造方法と液晶偏光板用光学素子の製造方法とは、型の大きさ、種類が異なるだけであり、製造方法は同じである。
本発明の型を用いたプラスチックレンズの製造方法の模式図。
(a) 開口部を有するプラスチックレンズの型(1)に、上記感光性樹脂組成物(2)を満たすプロセス。
(b) 感光性樹脂組成物を満たした該型の開口部を基板(3)に押し当てるプロセス。
(c) 感光性樹脂組成物を露光するステップ。
(d) プラスチックレンズの型を基板から剥離するステップ。
本発明のマスクを用いたプラスチックレンズの製造方法の模式図。(a) 感光性樹脂組成物付着基板を得るステップ。(b-1) 露光するステップの一例。(b-2) 露光するステップの一例。(b-3) 露光するステップの一例。(b-4) 一つのレンズを形成するためのマスクを上から見た図。(c) 現像後の基板。 現像削れ後の残膜飽和最低露光量を求めるための図である。
符号の説明
1 プラスチックレンズの型
2 感光性樹脂組成物
3 基板
4 感光性樹脂組成物
5 基板
6 マスク

Claims (9)

  1. a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa)の化合物を50〜150モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を、レンズ形状に成形することを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
  2. 開口部を有するプラスチックレンズの型に、a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa)の化合物を50〜150モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を満たすプロセスと、該感光性樹脂組成物を満たした該型の開口部を基板に押し当てるプロセスとを含む第1ステップと、該感光性樹脂組成物を露光する第2ステップと、該型を該基板から剥離する第3ステップと、露光された感光性樹脂組成物を150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱する第4ステップとを順次行うことを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
  3. 上記第1ステップが、
    シラン化合物又はシラン化合物を含む組成物を基板にコートして、シラン化合物付着基板を得るプロセスと、開口部を有するプラスチックレンズの型に、a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si
    −(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa)の化合物を50〜150モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を満たすプロセスと、該感光性樹脂組成物を満たした型の開口部を該シラン化合物付着基板の該シラン化合物面に押し当てるプロセスとを含む第1ステップであることを特徴とする請求項2記載のプラスチックレンズの製造方法。
  4. 上記シラン化合物を含む組成物が、上記組成物と同じ感光性樹脂組成物であることを特徴とする請求項3記載のプラスチックレンズの製造方法。
  5. 感光性樹脂組成物が、a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物を、a)とb)の比が60モル%/40モル%〜40モル%/60モル%の割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物であることを特徴とする請求項3又は4記載のプラスチックレンズの製造方法。
  6. 感光性樹脂組成物が、a−1)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物、a−2)(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物、及びb)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa−1)の化合物を10〜60モルの割合、a−2)の化合物を40〜90の割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物であることを特徴とする請求項3又は4記載のプラスチックレンズの製造方法。
  7. a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa)の化合物を50〜150モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物を、基板にコートし、50〜150℃で1分〜30分間加熱して感光性樹脂組成物付着基板を得るステップと、重ねた場合に同心円パターンとなる複数枚のマスクのうち一枚を該基板に重ね、現像削れ後の残膜飽和最低露光量÷マスク枚数の一定光量で、露光した後、該マスクを取り除くことを、各マスクに対して一回づつ行うことで多重露光するステップと、現像するステップと、150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップとを順次行うことを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
  8. a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH
    −CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa)の化合物を50〜150モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含むプラスチックレンズ形成用感光性樹脂組成物。
  9. a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si(CH)−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物を、b)の化合物100モルに対してa)の化合物を50〜150モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を光硬化させて得られるプラスチックレンズ。
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