JP2010046199A - 高周波処置具 - Google Patents

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Abstract

【課題】高周波処置具の棒状電極の先端に設けられ、前後に電気絶縁部材を挟んで設けられる円環状の電極を有するヘッド部が、処置を実行している間に分離して、電気絶縁部材が棒状電極から脱落するのを防止する。
【解決手段】ヘッド部14は電気絶縁部材から構成され、棒状電極13の組み付けを可能にするために、軸線方向に向けて半割に分割ブロック部材17,17から構成されており、両分割ブロック部材17を接合させると、電極挿入溝18からなる直進通路15と、その先端から90度曲折した挿通孔16,16からなる電極挿通路19が形成され、棒状電極13はその直線部13aが一方の電極挿入溝18に嵌合させ、かつ挿通孔19に先端分岐部13bを挿入し、次いでもう一方の分割ブロック17を、他方の先端分岐部13bを挿通孔19に挿通させるようにして組み込み、接合面17a,17aを接合させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネル等のガイド手段を介して体腔内等に挿入されて、粘膜を切開して剥離する処置を好適に行うことができるようにした内視鏡用高周波処置具に関するものである。
内視鏡検査によって、食道,胃,十二指腸,大腸等の体腔内壁における粘膜部分に腫瘍等といった病変部が発見されると、病変粘膜を切除する処置が施される。この処置のひとつとして、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)と呼ばれる処置がある。このESD処置は、粘膜のうち、切除しようとする部位をマーキングして、局注により病変粘膜の部位を膨隆させ、次いで高周波処置具を用いてマーキング領域に沿って粘膜を切開して、粘膜下層を構成する線維を切断して粘膜を筋層から剥離するようにして行われる。
以上のESD処置に用いられ、粘膜部分の切開を行うための高周波処置具としては、例えば特許文献1に示された構成としたものが開発され、実用化されている。特許文献1によれば、高周波処置具は、電気絶縁部材からなる挿入部から処置用電極部を所定の長さ突出させるように装着し、この処置用電極部の先端に電気絶縁部を連結して設ける構成としたものである。そして、この電気絶縁部は、その外径は処置用電極部より大きいものであり、先端は凸球面形状となっている。
特開2007−21024号公報
前述した高周波処置具において、その処置用電極部を粘膜に押し当てることによって、病変した粘膜を切開する処置が行われる。ここで、処置用電極部を用いて行われる粘膜の切開される領域は、切除すべき病変粘膜の部位に限定される。処置用電極部の先端に設けた電気絶縁部は、処置用電極部が粘膜下層から筋層に当接するのを防止する機能を発揮するものであり、もって処置の安全性及び確実性が図られる。
ところで、粘膜の切開が行われただけでは、処置が完了するのではなく、切開された病変粘膜を?離しなければならない。粘膜の下部に位置する粘膜下層は線維質のものであって、線維は粘膜と筋層との間に結着している。従って、この粘膜下層の線維を切断しなければ、病変粘膜を切除することができない。つまり、粘膜の切開後に粘膜剥離を行わなければならない。しなしながら、先端が膨出している電気絶縁部に連結した細い直径を有する処置用電極部を粘膜下層に押し当てて粘膜剥離を行うのは不可能であるか、若しくは極めて困難な作業である。
処置用電極部を構成する棒状電極の先端に連結される先端部材にも電極を設ける構成とすれば、棒状電極が切開用電極部材となり、先端部材に設けた電極を?離用電極部材として構成すれば、高周波処置具を粘膜の切開から剥離までの処置を単一の高周波処置具で行うことができるものとなる。これによって、粘膜の切開を行った後、粘膜剥離を行うために、高周波処置具の入れ替える操作を行う必要がなくなる結果、処置の効率性,迅速性が確保される。
ただし、高周波処置具の最先端部分は凸曲面形状の電気絶縁部とする必要があり、また切開用電極部材と?離用電極部材との間を電気的に離隔させるために、剥離用電極部材の基端側にも電気絶縁部が配置されていなければならない。従って、棒状の切開用電極部材の先端に大径の先端部材からなるヘッド部を設けるが、このヘッド部は基端側が電気絶縁部材から構成し、中間の部位に?離用電極部材が設けられ、さらに最先端部に電気絶縁部材を設けるというように、剥離用電極部材を挟んだ両側に電気絶縁部材を配置したサンドイッチ構造としなければならない。従って、ヘッド部は基端側の電気絶縁部材と、電極部と、先端側の電気絶縁部材との3層積層構造となり、このために切開用電極部材と?離用電極部材とを別部材で形成して、切開用電極部材と?離用電極部材との間を電気的に導通させるようにすることになる。
ところで、基端側の電気絶縁部材,電極部及び先端側の電気絶縁部材からなる積層体は相互に接着による貼り合わせ構造になるが、高周波処置具を作動させている間、特に?離用電極部材を作動させている間は、この剥離用電極部材とその前後に貼り合わせた電気絶縁部材との間が高温状態になり、しかも体腔内という高湿雰囲気下に置かれていることから、剥離用電極部材と前後の電気絶縁部材との間の接着強度が低下する可能性がある。その結果、先端側の電気絶縁部材が体腔内で脱落する不都合が生じることになる。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、高周波処置具の棒状電極の先端に設けられ、前後に電気絶縁部材を挟んで設けられる円環状の電極を有するヘッド部が、処置を実行している間に分離して、電気絶縁部材が棒状電極から脱落するのを確実に防止できるようにすることにある。
前述した目的を達成するために、本発明は、操作手段に連結して設けた可撓性シース内に挿通させて設けた棒状電極と、この棒状電極の先端を覆うように設けられ、外周面が前記棒状電極より大径で、先端が凸曲面形状となった電気絶縁部材からなるヘッド部とを備え、このヘッド部の外周面にリング状電極を装着した高周波処置具であって、前記ヘッド部は、軸線方向に向けて形成した接合面を有する2つの分割ブロック部材から構成され、これら両分割ブロック部材の接合面を接合させたときに、その外周面に前記リング状電極が嵌着されるリング溝が形成され、前記両分割ブロック部材間の接合面間には、基端側から前記棒状電極を装着する電極挿入溝が形成され、また少なくとも一方の分割ブロック部材にこの電極挿入溝から曲折した挿通孔を穿設することにより、棒状電極挿入路が形成され、前記棒状電極の先端部を前記挿通孔内に延在させて、前記リング状電極の内面と当接させ、前記棒状電極の前記棒状電極挿入路からの抜け止め部を設ける構成としたことをその特徴とするものである。
棒状電極の先端部分を一方向に曲折するか、また2以上に分岐させる。棒状電極は、ヘッド部の基端側から所定の長さ分だけヘッド部の内部に挿入するが、その先端部はリング状電極が装着されているリング溝の溝底部に臨ませることによって、棒状電極とリング状電極と電気的に接続する。このために、ヘッド部の内部に、基端側から所定の長さ分の棒状電極挿入路を形成し、この棒状電極挿入路の先端を曲折させて、リング溝に向かう挿通孔を形成する。棒状電極の先端部分を曲折させている場合には、挿通孔は1箇所形成し、先端部分を分岐させている場合には、この分岐部の数だけ挿通孔を形成する。このように曲折乃至分岐している棒状電極を装着可能にするために、ヘッド部を軸線方向に向けて2分割し、両分割ブロック部材の接合面に電極挿入溝を形成している。従って、電極挿入溝は、断面が半円形状の溝であり、両分割ブロック部材を接合させたときに、棒状電極が挿通される棒状電極の直進通路が形成される。この直進通路はヘッド部の基端側から所定の長さとし、先端にまで貫通させない。さらに、両分割ブロック部材の少なくとも一方に、一端が電極挿入溝に通じ、他端がリング溝に開口する挿通孔を形成する。従って、両分割ブロック部材を接合したときに、両電極挿入溝から構成される直進通路と、一端がこの直進通路に連通し、他端がリング溝に開口する棒状電極挿入路が形成される。
棒状電極の先端部分に先端曲折部、好ましくは90度曲折させた部位を形成するようになし、棒状電極の先端部分を概略L字状に曲折した1本の挿通路を設けることになる。また、両分割ブロック部材にそれぞれ挿通路を形成して、2本の挿通路を形成し、棒状電極の先端をT字状に分岐させるように構成しても良い。先端曲折部をT字状に分岐させ、2本の挿通路にそれぞれ挿入する構成とすれば、この先端分岐部が抜け止め部として機能させることができる。一方、棒状電極をL字状に曲折し、1本の挿通路に挿通させたときにも、この曲折形状により抜け止め機能を発揮させることができるが、より確実に抜け止めするには、例えば棒状電極の電極挿入路内に位置する部位であって、曲折部より基端側の部位に大径部を設け、電極挿入溝にこの大径部を収容させるように構成すれば良い。
リング状電極は、両分割ブロック部材を接合させることにより形成されるリング溝に嵌着される。従って、リング状電極は電極としての機能だけでなく、両分割ブロック部材を接合した状態に固定する機能をも発揮することになる。そして、この接合をより確実にするには、接合面に接着剤やパテ等を塗布する。ヘッド部に設けられるリング溝及びこのリング溝に嵌着されるリング状電極は1箇所であっても良いが、軸線方向に複数個所設けるように構成することもできる。例えば、複数のリング状電極を複数設けて、それぞれのリング状電極が嵌着される各挿通孔に棒状電極の先端部を挿入して、各々のリング状電極と電気的に接続する構成とすることもできる。
リング溝は所定の深さを有する円環状のものであり、リング状電極に1箇所切れ目を入れて、この切れ目の部位を拡径すれば、リング溝に容易に嵌着させることができる。組み付け後に、リング状電極に形成した切れ目はそのままにしておいても良いが、溶接等の手段で切れ目を閉じるようにするのが望ましい。なお、このリング溝の深さは、リング状電極の厚みと同じか、それより僅かに深いものとなし、もってリング状電極がヘッド部の外周面から突出しないように保持するのが望ましい。
リング状電極は棒状電極と電気的に接続するようにして組み付けられる。このために、挿通孔内に挿通された棒状電極の先端曲折部の端面はリング溝に装着されているリング状電極の内面と当接させる。棒状電極を弾性金属から構成して、その先端をリング状電極の内面に押し付けるようにして組み込むことができる。ただし、棒状電極とリング状電極との間は当接しているだけであり、その間の接触部の抵抗が大きくなることもある。このような場合には、接触部にニッケルメッキや金メッキを施すようにすることによって、電気抵抗を低下させることができる。以上のようにして構成される高周波処置具において、ESD処置のために使用する場合には、棒状電極を切開用電極部材とし、リング状電極を?離用電極として機能させることができる。
単一の高周波処置具によって、棒状電極による処置と、その先端にヘッド部に設けたリング状電極による処置とを行うことができ、かつこれらの処置を行っている間にこのヘッド部の一部が脱落するのを確実に防止できる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1に高周波処置具の全体構成を示し、図2にその要部拡大断面を示す。これらの図において、1は高周波処置具である。高周波処置具1は長尺の可撓性シース2を有し、この可撓性シース2の基端部は接続部材3に挿嵌させることにより連結されている。また、接続部材3の基端側には操作手段4を螺合させるようにして連結している。操作手段4は接続部材3に連結した本体軸4aと、この本体軸4aに嵌合させて軸線方向に摺動可能に設けたスライダ4bとから構成される。
スライダ4bには処置具本体10を構成するケーブル11の基端部が連結されている。ケーブル11は導電線の外周をフッ素樹脂でコーティングする等により電気絶縁部材で被覆したものから構成されており、その基端部はスライダ4bへの連結部から所定長さ突出して、接点部12が設けられている。この接点部12は図示しない高周波電源装置に着脱可能に接続されることになる。そして、ケーブル11の先端には高周波ナイフを構成する棒状電極13が設けられている。この棒状電極13は可撓性シース2の先端に設けた電気絶縁性を有するセラミック等から構成された先端リング5を介してこの可撓性シース2の先端から導出されている。
棒状電極13の先端部にはヘッド部14が連結されている。ヘッド部14は合成樹脂やセラミック等であって、耐熱性に優れ、かつ剛性を有する電気絶縁部材から構成されている。図3に棒状電極13とヘッド部14との連結部の断面図を示し、また図4にその分解図を示す。
棒状電極13は、弾性を有するロッド状の導電金属からなり、接点部12への連結部から先端部までは直線部13aを構成し、その大半の長さは可撓性シース2内に挿通されており、先端部分は可撓性シース2から所定長さ導出されている。そして、直線部13aの先端には、先端曲折部を構成するように、先端分岐部13b,13bが形成されている。これら先端分岐部13bは直線部13aに対してほぼ直角に曲がっており、従って棒状電極13の先端部分は概略T字形状の分岐部を有する構成となっている。
ヘッド部14は基端部が平坦面で、先端部は曲面形状、好ましくは凸球面形状となっている。このヘッド部14の平坦な基端面から所定の深さ位置までは軸線方向への直進通路15が形成されており、この直進通路15の先端部には、概略90度の角度を有するように曲折された挿通孔16,16が連通している。
ヘッド部14は棒状電極13の組み付けを可能にするために、軸線方向に向けて半割にして、2分割した分割ブロック部材17,17から構成する。分割ブロック部材17は従って、図5に示したように、接合面17aには、その中央部において、基端側から所定の長さだけ棒状電極13の直線部13aの外径より僅かに大きい半円形状の電極挿入溝18が設けられている。また、この電極挿入溝18の先端部には、接合面17aに対して直交する方向に挿通孔16が穿設されている。従って、分割ブロック部材17,17を接合させたときには、直進通路15と、この直進通路15の先端から90度曲折した挿通孔16,16からなる電極挿通路19が形成される。
このように構成することによって、一方の分割ブロック17における電極挿入溝18に棒状電極13の直線部13aを嵌合させるようにし、かつその挿通孔19に先端分岐部13bを挿入し、次いでもう一方の分割ブロック17を、他方の先端分岐部13bを挿通孔19に挿通させるようにして組み込み、接合面17a,17aを接合させることにより分割ブロック17,17が組み付けられて、ヘッド部14が形成されることになる。
ヘッド部14には、その外周面にリング状電極20が装着されている。このために、ヘッド部14の外周面にはリング状溝21、より具体的にはそれぞれの分割ブロック部材17において、半円形状のリング状溝21が形成されている。リング状電極20は導電性を有し、弾性を備えた金属部材に1箇所切れ目20aを設けることによって、概略C字形状に曲成したものから構成される。ここで、リング状電極20の厚み寸法は、リング状溝21の深さ寸法と同じかまたは僅かに薄いものとなっており、従ってリング状電極20はヘッド部14の周胴面から非突出状態にして装着されるようになる。
リング状電極20は棒状電極13に電気的に接続されている。このために、両分割ブロック17において、挿通孔16の外周面への開口位置は、リング状溝21の位置としている。そして、棒状電極13の先端分岐部13bの長さは、挿通孔16からリング状溝21に僅かに突出する寸法とする。従って、リング状電極20をこのリング状溝21に装着したときに、先端分岐部13bはリング状電極20の内面と当接して、棒状電極13とリング状電極20とが電気的に接続されることになる。ただし、その間における電気抵抗が大きくなるようであれば、例えば先端分岐部13bの先端部、またはこの先端部とリング状電極20の内面とにニッケルメッキや金メッキを施すことができる。
そして、リング状電極20の切れ目20aの部分は溶接若しくははんだ付けまたはろう付け等の手段で固着される。これによって、分割ブロック部材17,17は組み付け状態に固定され、みだりに分離することはない。従って、両分割ブロック部材17,17の接合面17a,17a間は接着しなくても分離することはない。ただし、接合状態で安定させ、接合面17a,17a間が部分的に離間しないようにするために、接着剤やパテ等を充填しておくことが望ましい。
このように、ヘッド部14は、先端部から外周面におけるリング状溝21までの部位と、リング状溝21から基端部までの部位とが電気絶縁性となった絶縁領域で、前後の絶縁領域間にリング状電極20が位置する構造となる。しかも、リング状電極20と棒状電極13との間は、絶縁領域で区画形成されている。従って、棒状電極13またはリング状電極20による処置を行っている間に、処置箇所以外の部位に通電して、生体組織にダメージを与えるのを防止することができる。なお、リング状電極20は、ヘッド部14の軸線方向に複数分割する構成とすることもできる。
以上の構成を有する高周波処置具1は、図6に示したように、内視鏡30を介して例えば食道,胃,十二指腸,大腸等といった体腔内に導入されて、この体腔内壁を構成する粘膜部分に病変の有無を検査し、病変部と判断されたときには、病変粘膜部分に限定して、切開して剥離する処置、つまりESD処置が行われる。内視鏡30は、本体操作部31に体腔内への挿入部32を連結して設けたものであり、挿入部32は、本体操作部31への連結部から所定の長さ分は軟性部32aで、この軟性部32aの先端には湾曲部32b、湾曲部32bの先端には先端硬質部32cとなっており、先端硬質部32cには、照明部及び観察部からなる内視鏡観察手段が装着されている。
図7に挿入部32の先端部分の断面を示す。この断面位置では観察部の構成が示されており、照明部は、通常、この観察部の左右両側に設けられる。観察部33は、周知のように、対物光学系33a、プリズム33b及び固体撮像素子33cから大略構成される。また、図6には処置具挿通チャンネル34も示されている。処置具挿通チャンネル34は、その先端部が先端硬質部32cの先端面に処置具導出口34aとして開口しており、さらに処置具挿通チャンネル34の基端部は本体操作部31に設けた処置具導入部34bに通じている。内視鏡30の処置具挿通チャンネル34は、処置具を挿通させる通路として機能するものであるが、吸引経路としても利用される。このために、本体操作部31内において、処置具挿通チャンネル34には分岐部が形成されており、この分岐部からは処置具導入部34bに向かう通路の部分と、吸引源に接続した吸引路35に向かう通路の部分となっている。
以上のように構成される内視鏡30及び高周波処置具1において、内視鏡30の挿入部32の先端硬質部32cを体腔内に挿入し、観察部33により体腔内の観察を行っている間に病変部が発見されると、この病変粘膜を切除する処置が行われる。このために、処置具挿通チャンネル34に、処置具導入部34bから高周波処置具1を挿入する。処置具導出口34aから高周波処置具1の先端部が導出されると、高周波処置具1の操作手段4を操作して、棒状電極13及びリング状電極20に高周波電流を印加することによって病変粘膜の部位を切開し、その後切開部分を?離する。
前述した切開及び?離の前段階として、処置を安全に、また正確に行うために、切除すべき部位に、例えばヒアルロン酸ナトリウム等を局注して膨隆させると共に、病変粘膜の部位の外周部をマーキングすることによって、より正確に処置を行うことができる。このマーキングは、先端が棒状の電極を有する高周波処置具を用いて行う。また、マーキングに次いで切開を開始すべき部位の粘膜を穿孔する。この穿孔部は、高周波処置具1のヘッド部14を粘膜に貫通させるためのものである。
病変粘膜部の切開は高周波処置具1を用いて行うが、このために内視鏡30の処置具挿通チャンネル34に、マーキング用の高周波処置具に代えて、高周波処置具1を挿通させて、処置具導出口34aから可撓性シース2を粘膜Aに近接する位置まで導出させる。そして、操作手段4によってヘッド部14を可撓性シース2の先端から突出させて、図8に示したように、粘膜Aにおける穿孔した部位の内部に導くようにする。ここで、粘膜Aの下部には粘膜下層Bを介して筋層Cが位置しており、ヘッド部14は、粘膜下層Bを押動して、このヘッド部14と可撓性シース2との間に位置する棒状電極13が粘膜Aと対面する状態となる。
そこで、棒状電極13に高周波電流を流すことによって、粘膜Aが切開される。また、高周波電流はリング状電極20にも流れるが、ヘッド部14におけるリング状電極20の位置より先端側は絶縁領域となっているので、筋層Cと接触する部位には高周波電流が流れることはなく、従って筋層Cを穿孔する等のダメージを与えるおそれはない。しかも、リング状電極20と棒状電極13との間にも絶縁領域が介在しているので、棒状電極13と粘膜Aとの接触部に十分高い電流密度が得られる。従って、棒状電極13をマーキングに沿って移動させることによって、円滑に、しかも安全に切開を行うことができる。
前述のようにして切開が行われた後には、図9に示したようにして、粘膜下層Bを部分的に焼灼することによって、粘膜Aの剥離を行う。この粘膜Aの剥離を行うのも、高周波処置具1で行うことができる。即ち、絶縁部材からなるヘッド部14にリング状電極20が設けられているので、このリング状電極20が剥離を行うために用いられる。好ましくは、図9に示したように、ヘッド部14をほぼ鉛直状態にして、高周波処置具1が挿通されている内視鏡30の挿入部32の湾曲部32bを左右に振りながら挿入部32の全体を前方に進行させることによって、粘膜下層Bを構成する線維が切断されて、病変粘膜部が剥離される。この処置も、筋層Cにダメージを与えることなく、安全に行うことができる。しかも、切開から粘膜?離まで処置具の交換を行うことなく、高周波処置具1を処置具挿通チャンネル34に挿通させたままで行うことができる点からも、処置を迅速かつ効率的に行うことができる。
この粘膜剥離を行う際には、ヘッド部14全体が高温状態となり、しかも体腔内は湿潤な雰囲気下にあるが、電気絶縁部材からなるヘッド部14に設けたリング溝21内にリング状電極20は、切れ目の部位を固着してループ状としているので、このリング状電極20が脱落するおそれはない。ヘッド部14は左右の分割ブロック部材17,17を接合させたものであるが、ループ状となったリング状電極20によって両分割ブロック部材17,17が相互に接合した状態に保持されることから、体腔内で分割ブロック部材17,17が分離してしまうこともない。さらに、ヘッド部14に設けた電極挿通路19における直線通路15から左右に延在させた挿通孔16,16に棒状電極13の先端分岐部13b,13bが挿入されているので、ヘッド部14が棒状電極13から抜け出すようなこともない。勿論、これら棒状電極13の分岐部13b,13bの先端はリング状電極20の内面に当接しているので、棒状電極13とリング状電極20とが確実に電気的に接続されている。
このように、粘膜下層Bの線維を切断することにより行う剥離を行うのはヘッド部14に設けたリング状電極20であるが、この処置を効率的に行うために、リング状電極20の幅寸法を大きくすることが望ましい。ただし、リング状電極20を幅広なものとすると、電流密度が低下することになる。そこで、高周波処置具を図10に示したように構成することができる。
即ち、図10に示した高周波処置具40は、可撓性シース41の先端から導出させた棒状電極42の先端に設けられ、分割ブロック43,43からなるヘッド部44には、前後2箇所にリング溝45,45が形成されている。これら各リング溝45には、図3,図4に示したリング状電極20より幅の狭いリング状電極46,46が嵌着されている。これらのリング状電極46はC字状の弾性を有する導電性リングから構成される。棒状電極42は、直線部42aの先端部分に2箇所の先端分岐部42b,42bと42c,42cとを連設して設ける構成としている。
ヘッド部44を構成する分割ブロック部材43には、その接合面に断面が半円形状の電極挿入溝が形成されて、両分割ブロック部材43,43を接合させたときに、電極挿入部47が構成され、この電極挿入部47からリング溝45内に開口する4箇所の挿通孔48が形成されており、それぞれの挿通孔48には、先端分岐部42b,42b及び42c,42cが挿通されており、これら先端分岐部42b,42b及び42c,42cの先端部はそれぞれリング状電極46,46と電気的に接続させるようにしている。
さらに、図11に示したように、ヘッド部50を分割ブロック部材51,51で構成するが、これら両分割ブロック部材51の接合面は平坦面ではなく、段差壁51a,51aを有するものから構成することもできる。このように構成すると、リング状電極をリング状溝に嵌着したときに、締め付け力を作用させるようにすることによって、分割ブロック部材51,51の段差壁51a,51aを相互に圧接するよう組み付けることができるようになる。これによって、ヘッド部50の分割ブロック部材51,51を接合状態で安定させることができる。
さらにまた、図12に示したヘッド部60とすることもできる。即ち、ヘッド部60は2つの分割ブロック部材61a,61bから構成されるが、両分割ブロック部材61a,61bの接合面には、それぞれ棒状電極62を装着する電極挿入溝63が形成されているが、この電極挿入溝63の途中位置に拡径部63aが形成されている。そして、棒状電極62には、この拡径部63aに係合するフランジ部62aが形成されている。これによって、棒状電極62の両電極挿入溝63,63で形成される電極挿入部から脱落するのを防止できる。そして、棒状電極62のフランジ部62aから先端側の部位は曲げられた曲成部62bとなっており、この曲成部62bは一方の分割ブロック部材61aに設けた導出孔64内に導かれている。ここで、導出孔64は軸線方向に長手となった長孔から構成されており、これによって棒状電極62の先端部分の曲成が可能となる。そして、導出孔64はリング状電極65を装着したリング溝66に開口しており、これによって棒状電極62の先端がリング状電極65の内面に確実に圧接するように曲成することができるようになる。
本発明の実施の一形態を示す高周波処置具の全体構成図である。 図1の要部拡大断面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す高周波処置具の棒状電極とヘッド部との連結部の断面図である。 図3の分解斜視図である。 分割ブロック部材の接合面側の平面図である。 高周波処置具を内視鏡の処置具挿通チャンネルを挿通させた状態を示す外観図である。 図6の挿入部の先端部位置の断面図である。 図1の高周波処置具を用いて粘膜の切開を行っている状態を示す作用説明図である。 図1の高周波処置具を用いて粘膜の剥離を行っている状態を示す作用説明図である。 本発明の第2の実施の形態を示す高周波処置具の棒状電極のヘッド部への連結部を示す横断面図である。 本発明の第3の実施の形態を示すヘッド部の正面図である。 本発明の第4の実施の形態を示す高周波処置具の棒状電極のヘッド部への連結部を示す横断面図である。
符号の説明

1 高周波処置具 2,41 可撓性シース
4 操作手段 10 処置具本体
11 ケーブル 12 接点部
13,42,62 棒状電極 14,44,50,60 ヘッド部
15 直線通路 16,48 挿通孔
17,43,51,61 分割ブロック部材
18,63 電極挿入溝 20,46,65 リング状電極
21,45,66 リング溝

Claims (5)

  1. 操作手段に連結して設けた可撓性シース内に挿通させて設けた棒状電極と、この棒状電極の先端を覆うように設けられ、外周面が前記棒状電極より大径で、先端が凸曲面形状となった電気絶縁部材からなるヘッド部とを備え、このヘッド部の外周面にリング状電極を装着した高周波処置具であって、
    前記ヘッド部は、軸線方向に向けて形成した接合面を有する2つの分割ブロック部材から構成され、
    これら両分割ブロック部材の接合面を接合させたときに、その外周面に前記リング状電極が嵌着されるリング溝が形成され、
    前記両分割ブロック部材間の接合面間には、基端側から前記棒状電極を装着する電極挿入溝が形成され、また少なくとも一方の分割ブロック部材にこの電極挿入溝から曲折した挿通孔を穿設することにより、棒状電極挿入路が形成され、
    前記棒状電極の先端部を前記挿通孔内に延在させて、前記リング状電極の内面と当接させ、
    前記棒状電極の前記棒状電極挿入路からの抜け止め部を設ける
    構成としたことを特徴とする高周波処置具。
  2. 前記棒状電極の先端部をT字形状となった先端分岐部を形成し、前記挿通孔は両分割ブロック部材に穿設するようになし、これら両挿通孔に前記両先端分岐部を挿入し、かつ少なくとも一方の先端分岐部を前記リング状電極の内面と当接させる構成としたことを特徴とする請求項1記載の高周波処置具。
  3. 前記棒状電極には、前記先端曲折部より基端側の部位に大径部を形成し、前記各分割ブロック部材に形成した電極挿入溝には、この大径部を配置する溝各径部を設ける構成とすることにより前記抜け止め部とする構成としたことを特徴とする請求項1記載の高周波処置具。
  4. 前記両分割ブロック部材には、軸線方向に向けた段差壁を形成して、両分割ブロック部材は、これら両段差壁を当接させるようにして接合する構成としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の高周波処置具。
  5. 前記リング状電極は1箇所の切れ目を有するものであり、この切れ目は溶接またははんだ付けにより接合する構成としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の高周波処置具。
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