JP2010043625A - 3気筒エンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンマウントの振動減衰特性を考慮してピッチ方向振動およびヨー方向振動を効果的に抑制できる3気筒エンジンを提供する。
【解決手段】3気筒エンジン10は、各気筒のピストンが連結部材を介してそれぞれ連結されるクランクシャフト44に、重心可変機構52,54,56を含むバランスウエイト48を設け、エンジン作動時におけるヨー方向振動の共振点辺りのエンジン回転数領域では重心可変機構52,54,56によってバランスウエイトの重心をクランクシャフト44側へ移動させ、エンジン作動時におけるピッチ方向振動の共振点辺りのエンジン回転数領域では重心可変機構52,54,56によってバランスウエイト48の重心をクランクシャフト44から離れる方向へ移動させる。
【選択図】図6
【解決手段】3気筒エンジン10は、各気筒のピストンが連結部材を介してそれぞれ連結されるクランクシャフト44に、重心可変機構52,54,56を含むバランスウエイト48を設け、エンジン作動時におけるヨー方向振動の共振点辺りのエンジン回転数領域では重心可変機構52,54,56によってバランスウエイトの重心をクランクシャフト44側へ移動させ、エンジン作動時におけるピッチ方向振動の共振点辺りのエンジン回転数領域では重心可変機構52,54,56によってバランスウエイト48の重心をクランクシャフト44から離れる方向へ移動させる。
【選択図】図6
Description
本発明は、3気筒エンジンに係り、特に、エンジンマウントの振動減衰特性を考慮してエンジン作動時におけるピッチ方向振動およびヨー方向振動を効果的に抑制できる3気筒エンジンに関する。
従来、直列3気筒エンジンでは、ピストンを含む可動部分の往復運動によって生じる慣性力の半分の大きさの慣性力を生じさせるバランスウエイトが気筒毎に設けられることが多い。しかし、この場合には、クランク軸ピッチ方向とヨー方向に不釣合いの偶力が残るために、エンジンは所謂すりこぎ運動をすることになる。このようにすりこぎ運動する3気筒エンジンが車体に搭載されると、車体に振動を生じさせる原因となる。
例えば、特許文献1には、ピストンを含む可動部分の往復運動によって生じる偶力を減殺するウエイトを有し、当該ウエイトにより1次偶力のクランク軸ピッチ方向成分がほぼ0になるように構成された直列3気筒エンジンを、当該エンジンに対してクランク軸方向両端側に配置したエンジンマウントによって車体に支持させるようにした車両のエンジン搭載構造が開示されている。具体的には、ピストンを含む可動部分の慣性力の大きさとウエイトの慣性力の大きさとを等しくすることで、ピッチ方向の偶力を相殺して0とし、残存するヨー方向の不釣合い偶力によるエンジンの前後方向振動をエンジンマウントで減衰させることによって車両の振動を抑制することが記載されている。
また、特許文献2には、クランクシャフト11の回転を受けて従動回転するバランスシャフト21と、該バランスシャフト21の回転を受けて従動回転する従動バランスシャフト210とを含むバランサ機構2であって、各バランスシャフト21,210は遠心力によって付勢手段の付勢力に抗して径方向外側へスライド移動可能なバランスウエイト4を有しており、これによりクランクシャフト11の回転数の変化に応じてバランスシャフト21,210によるバランス力を変化させて、エンジンの回転による振動や騒音等の発生を効果的に抑制すると記載されている。
上記特許文献1の直列3気筒エンジンの搭載構造では、エンジンマウントについて前後方向または横方向のばね定数を上下方向のばね定数よりも小さく設定するために、3気筒エンジンの前後方向振動すなわちヨー方向振動の共振点が上下方向振動すなわちピッチ方向振動の共振点よりも低くなり、その結果、エンジンの回転数によっては却って車両の振動が悪化する懸念がある。
また、上記特許文献2のバランサ機構は、エンジン回転数の2倍の頻度で発生する2次振動を打ち消すための2次バランサであり、エンジン回転数に同期する1次振動を抑制することはできない。さらに、上記バランサ機構は、クランクシャフトとは別にバランスシャフトおよび従動バランスシャフトを設けるものであるため、エンジンユニットについて構成の複雑化、コスト増加、および大型化を招くことにもなる。
本発明の目的は、エンジンマウントの振動減衰特性を考慮してピッチ方向振動およびヨー方向振動を効果的に抑制できる3気筒エンジンを提供することにある。
本発明に係る3気筒エンジンは、各気筒のピストンが連結部材を介してそれぞれ連結されるクランクシャフトに、重心可変機構を含むバランスウエイトを設け、エンジン作動時におけるヨー方向振動の共振点辺りのエンジン回転数領域では重心可変機構によってバランスウエイトの重心をクランクシャフト側へ移動させ、エンジン作動時におけるピッチ方向振動の共振点辺りのエンジン回転数領域では重心可変機構によってバランスウエイトの重心をクランクシャフトから離れる方向へ移動させることを特徴とする。
本発明に係る3気筒エンジンにおいて、重心可変機構は、バランスウエイトに設けられクランクシャフトの径方向外側に延伸するガイド溝と、ガイド溝に沿って移動可能に配置されるサブウエイトと、クランクシャフトの回転に伴って発生する遠心力に対抗する方向の力をサブウエイトに対して作用させることができる力印加手段とを含んで構成され、サブウエイトは、エンジン作動時におけるヨー方向振動の共振点辺りのエンジン回転数領域では力印加手段の作用によってクランクシャフト側へ移動し、前記ヨー方向振動の共振点よりも高いピッチ方向振動の共振点辺りのエンジン回転数領域では遠心力によってクランクシャフトから離れる方向へ移動するよう構成されてもよい。
上記力印加手段は、一端がガイド溝のクランクシャフト側端面に固定され、他端がサブウエイトに連結される引っ張りばねであってもよい。
また、上記力印加手段は、サブウエイトのクランクシャフトとは反対側の端面とガイド溝の側壁面および端面とによって画定される密閉空間について加圧流体を供給および排出可能な流体経路を含んで構成されるものであってもよい。この場合、3気筒エンジンを含むエンジンユニットを車体上に支持するエンジンマウントの振動減衰特性の経時的変化に応じて、前記密閉空間から加圧流体を排出するエンジン回転数領域を高回転域側に変更してもよい。
さらに、本発明に係る3気筒エンジンは、蓄電装置からの電力供給を受けて車両駆動力を出力する回転電機を一体に含むパワーユニットとして構成されてもよい。
本発明に係る3気筒エンジンによれば、エンジンユニットを車体に支持するエンジンマウントの振動減衰特性によってピッチ方向振動およびヨー方向振動の各共振点が異なる場合でも、エンジン回転数に応じてバランスウエイトの重心を変更することによりピッチ方向振動およびヨー方向振動のいずれについても効果的に抑制することができ、その結果、車両のフロア振動を低減できる。
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。
図1は、本発明に係る3気筒エンジン10を含むエンジンユニット12が車両に搭載されている様子を上面視で示す平面図、図2は図1における矢印A方向から見た側面図(一部が破断によって図示省略)である。
エンジンユニット12は、車体の下部すなわちシャシ14に対して四方において支持されて取り付けられている。シャシ14は、所定間隔を置いて車両前後方向にそれぞれ延伸する一対のフロントサイドメンバ16a,16bと、所定間隔を置いて車幅方向にそれぞれ延伸してフロントサイドメンバ16a,16bの各下部に両端部が架設状態にそれぞれ直接に又は連結部材を介して固定されるフロントクロスメンバ18およびリアクロスメンバ20とを有する。
フロントサイドメンバ16a,16bとフロントクロスメンバ18およびリアクロスメンバ20とによって略ロ字状の枠体が構成されており、エンジンユニット12はこの枠体の内方に所謂横置きレイアウトで配置されている。また、上記フロントサイドメンバ16a,16bとフロントクロスメンバ18およびリアクロスメンバ20は、重量が大きいエンジンユニット12を支持するのに十分な剛性を有しており、例えば金属製の角型パイプによって好適に構成される。
ここで、3気筒エンジン10のクラックシャフトの軸方向(本実施形態では車幅方向に延伸するX軸)を基準としてエンジンユニット12の運動の方向(ピッチ方向、ヨー方向、ロール方向)を規定すると、クランクシャフトの軸方向と直交して水平方向に延びるY軸(車両前後方向に延伸する軸)周りの方向をピッチ方向、クランクシャフトの軸方向と直交して上下方向に延びるZ軸周りの方向をヨー方向、および、クランクシャフトの軸方向すなわちX軸周りの方向をロール方向と、それぞれ規定される。また、これ以後、ピッチ方向、ヨー方向、ロール方向の各方向周りのモーメントを、それぞれ、ピッチ方向モーメントMy、ヨー方向モーメントMz、ロール方向モーメントMxという。
略矩形の平面形状を有するエンジンユニット12の車幅方向の両側面22a,22bには、略L字状に折り曲げられた板金製のブラケット24a,24bが溶接等によって固定されている。あるいは、ブラケット24a,24bは、例えばアルミダイキャスト製のハウジング部を含むエンジンユニット12と一体に形成されてもよい。
ブラケット24a,24bは、図2に示すように、エンジンマウント26を介してフロントサイドメンバ16a,16b上にそれぞれ支持されている。また、ブラケット24a,24bおよびエンジンマウント26の上方および側方を覆ってフロントサイドメンバ16a,16b上にねじ止め固定される固定部材28によって、エンジンマウント26上にブラケット24a,24bが支持されている状態が保持されている。これにより、エンジンユニット12の重量の大部分は、ブラケット24a,24bおよびエンジンマウント26を介してフロントサイドメンバ16a,16bによって支持される構造になっている。
エンジンマウント26は、例えばゴム等の弾性材料からなる振動減衰部材を含んで構成され、エンジンユニット12からブラケット24a,24bを介して伝達される振動を減衰させて、シャシ14を含む車体への振動伝達を抑制する機能を有する。このような振動減衰機能を有するエンジンマウントには、周知のいかなる構成のものを用いてもよく、例えば流体封止タイプのものが用いられてもよい。
本実施形態におけるエンジンマウント26については、上下方向すなわちピッチ方向のばね定数kyを車両前後方向すなわちヨー方向のばね定数kzよも大きく設定されている。エンジンマウント26における上下方向および車両前後方向のばね定数ky,kzは、上記振動減衰部材の材質、形状、寸法等を適宜に選択することにより容易に調整することができる。このようにエンジンマウント26について、上下方向のばね定数kyを比較的大きく設定することで、重量の大きいエンジンユニット12をより安定に支持することができ、かつ、車両前後方向のばね定数kzを比較的小さくすることで、この方向の振動減衰性能を高めている。
一方、エンジンユニット12の前後の側面23a,23bには、上面視で略コ字状をなすブラケット30が溶接や一体成形等によって固定されている。各ブラケット30の先端部は、フロントクロスメンバ18およびリアクロスメンバ20の各上部に固定されているエンジンマウント32の円盤状の振動減衰部材にそれぞれ軸支されている。
各クロスメンバ18,20上に固定されるエンジンマウント32は、エンジンユニット12の重量の一部を支持すると共に、エンジン始動時等におけるロール方向モーメントMxの影響によるエンジンユニット12のロール方向の運動を上記エンジンマウント26と協働して抑制する機能を有する。このように車両前後方向に配置されるエンジンマウントについても、周知のいかなる構成のものを用いてもよく、例えば上記特許文献1に開示されるようなロッド連結タイプのものであってもよい。
なお、本実施形態では、エンジンユニット12を車体に対して4箇所支持としているが、クロスメンバ18,20のいずれか一方を省略してエンジンユニット12を3箇所支持としてもよい。こ場合には、車両前後方向において1つだけとなるエンジンマウント32はエンジンユニット12のロール方向運動抑制についてより大きな影響力をもつことになる。
図3は、上記3気筒エンジン10のクランクシャフトから基準トルクを出力させる際の、エンジン回転数とエンジンユニット12の振動との関係を示すグラフである。上述したように、車両幅方向の両側においてエンジンユニット12の重量の大部分を支持するエンジンマウント26について、上下方向(ピッチ方向)のばね定数kyを前後方向(ヨー方向)のばね定数kzよりも大きく設定した場合、エンジン回転数に関して、エンジンユニット12のヨー方向振動が最大になる共振点がエンジンユニット12のピッチ方向振動が最大になる共振点に対して低回転域側に出現することになる。したがって、このような場合にエンジン回転数に拘らず一律のバランス取りを行っていたのでは、上記両方向の振動を有効に低減させることはできない。
そこで、本実施形態の3気筒エンジン10では、後述するように、クランクシャフトに重心可変機構を含むバランスウエイトを設けて対応することとしている。
図4は、上記3気筒エンジン10の模式図である。3気筒エンジン10は、3つの気筒内においてそれぞれ摺動可能に配設される3つのピストン(質量:Wp、気筒間距離:S)40を含む。各ピストン40は、コンロッド42を介してクランクシャフト44のクランクアーム部46にそれぞれ連結されている。また、クランクシャフト44には、各気筒毎にバランスウエイト(質量:Wb)48が設けられている。図4中に示すX,Y,Zの各方向は、図1,2に示すロール方向(X軸)、ピッチ方向(Y軸)、ヨー方向(Z軸)に対応している。
なお、図4においては、各気筒のピストン40にそれぞれ対応してバランスウエイト48を設けているが、これに限定されるものではない。例えば、3気筒のうちの両側気筒に対応して2つのバランスウエイトを設けてもよいし、あるいは、3気筒のうちの中央気筒に対応して1つのバランスウエイトを設けてもよい。
図5(a)に示すように、バランスウエイト48は、略扇状の側面形状を有する金属板または金属塊で構成されており、その扇形状の中心側端部において溶接等によってクランクシャフト44に固定されている。
また、バランスウエイト48は、重心可変機構50を含んで構成されている。重心可変機構50は、バランスウエイト48内に矩形状の貫通穴または凹部として形成されて、クランクシャフト44の径方向外側に延伸するガイド溝52と、ガイド溝52内に配置され、ガイド溝52に沿って移動可能な矩形側面形状のサブウエイト54と、クランクシャフト44の回転に伴って発生する遠心力に対抗する方向の力をサブウエイト54に対して作用させることができる力印加手段56とから構成されている。本実施形態では、上記力印加手段56は、一端がガイド溝52のクランクシャフト側端面に固定され、他端がサブウエイト54に連結される引っ張りばねによって構成される。
なお、ガイド溝52からサブウエイト54が飛び出ないように、ガイド溝52の開口部は、バランスウエイト48の側面に固定されるカバー部材(図示せず)によって覆われている。
上記のように構成される重心可変機構50では、図5(a)に示すように引っ張りばね56が最も縮んだ状態にあるとき、サブウエイト54はクランクシャフト44の中心からサブウエイト重心までの距離Rs1の位置に保持される。
一方、クランクシャフト44の回転数が高くなるにつれて、サブウエイト54に作用する遠心力が大きくなり、これに伴ってサブウエイト54は引っ張りばね56の引っ張り力に抗して径方向外側へと移動する。そして、エンジン回転数が所定値以上になると、図5(b)に示すように、引っ張りばね56が最も伸びた状態、すなわちサブウエイト54がガイド溝52の径方向外側端面53bに当接した状態になり、クランクシャフト44の中心からサブウエイト重心まので距離Rs2の位置に保持される。
このように本実施形態の3気筒エンジン10では、エンジン回転数に応じてサブウエイト54がガイド溝52内で移動することによって、バランスウエイト48の全体としての重心位置が可変となるように構成されている。
次に、3気筒エンジンにおける不釣合いモーメントについて説明する。
3気筒エンジンについてバランスウエイトを設けない場合(以後「第1の場合」という)におけるピッチ方向モーメントMyおよびヨー方向モーメントMzは次式で表される。
|My|=Wp・Rr・ω2・S・√3/g
Mz=0
ここで、Wp:ピストン質量、Rr:クランク半径、ω:クランクシャフト角速度、S:気筒間距離、g:重力加速度である(以下、同じ)。このように第1の場合には、ピッチ方向モーメントMyだけが不釣合いモーメントとして発生し、ヨー方向モーメントMzは生じない。
|My|=Wp・Rr・ω2・S・√3/g
Mz=0
ここで、Wp:ピストン質量、Rr:クランク半径、ω:クランクシャフト角速度、S:気筒間距離、g:重力加速度である(以下、同じ)。このように第1の場合には、ピッチ方向モーメントMyだけが不釣合いモーメントとして発生し、ヨー方向モーメントMzは生じない。
続いて、3気筒エンジンにおいて、ピストンを含む可動部分の往復運動によって生じる慣性力の半分の大きさの慣性力を生じさせるバランスウエイトを各気筒毎に設けてバランス取りを行う一般的な場合(以後「第2の場合」という)におけるピッチ方向モーメントMyおよびヨー方向モーメントMzは次式で表される。
√(My2+Mz2)=0.5×Wp・Rr・ω2・S・√3/g
このように第2の場合には、ピッチ方向モーメントMyとヨー方向モーメントMzとが等しい大きさで不釣合いモーメントとして生じ、かつ、その大きさは上記第1の場合に比べて半分である。
√(My2+Mz2)=0.5×Wp・Rr・ω2・S・√3/g
このように第2の場合には、ピッチ方向モーメントMyとヨー方向モーメントMzとが等しい大きさで不釣合いモーメントとして生じ、かつ、その大きさは上記第1の場合に比べて半分である。
続いて、ピストンを含む可動部分の慣性力の大きさとバランスウエイトの慣性力の大きさとを等しくすることでピッチ方向モーメントを減殺して0とし、ヨー方向モーメントだけが不釣合いモーメントとして残存するように構成した場合(以後「第3の場合」という)におけるピッチ方向モーメントMyおよびヨー方向モーメントMzは次式で表される。
My=0
|Mz|=Wp・Rr・ω2・S・√3/g
この第3の場合には、上記第1の場合とは逆に、ヨー方向モーメントMzだけが不釣合いモーメントとして発生し、ピッチ方向モーメントMyは生じない。
My=0
|Mz|=Wp・Rr・ω2・S・√3/g
この第3の場合には、上記第1の場合とは逆に、ヨー方向モーメントMzだけが不釣合いモーメントとして発生し、ピッチ方向モーメントMyは生じない。
ここで、図5(c)を参照してより詳細に説明すると、ピストン40の質量をWp、クランク半径をRr、サブウエイト54を除いたバランスウエイト48の質量をWb、その回転半径をWb、サブウエイト54の質量をWs、その回転半径をWsとしたとき、引っ張りばね56が最も縮んだ図5(a)に示す状態のときのモーメントの釣り合いから、次式(1)が成立する。
Wp・Rr=Wc・Rc+Wb・Rs1 (1)
そして、引っ張りばね56が最も伸びた図5(b)に示す状態のときにピッチ方向モーメントMyをゼロとする条件から、次式(2)が導かれる。
Wp・Rr・=Ws(Rs2−Rs1) (2)
Wp・Rr=Wc・Rc+Wb・Rs1 (1)
そして、引っ張りばね56が最も伸びた図5(b)に示す状態のときにピッチ方向モーメントMyをゼロとする条件から、次式(2)が導かれる。
Wp・Rr・=Ws(Rs2−Rs1) (2)
したがって、上記3気筒エンジン10の諸元の設計においては、上記式(1),(2)を満たすと共に、引っ張りばね56についてはヨー方向振動の共振点辺りのエンジン回転数領域では最も縮んでおり、ピッチ方向振動の共振点辺りのエンジン回転数領域で最も伸びるようにばね定数が設定される。
次に、本実施形態の3気筒エンジン10における不釣合いモーメントとその相殺機能について説明する。
上述したように、本実施形態の3気筒エンジン10を含むエンジンユニット12は、上下方向(ピッチ方向)のばね定数kyが前後方向(ヨー方向)のばね定数kzよりも大きく設定されているエンジンマウント26によって重量の大部分が支持されているため、図3に示すように、エンジン回転数に関して、エンジンユニット12のヨー方向振動が最大になる共振点がエンジンユニット12のピッチ方向振動が最大になる共振点に対して低回転域側に出現する。
例えばエンジン始動時やアイドリング時等のエンジン作動時においてエンジン回転数がヨー振動共振点辺りの低回転領域にあるとき、バランスウエイト48においてサブウエイト54は引っ張りばね56の引っ張り力によって図5(a)に示す最もクランクシャフト44側の位置に保持される。これにより、バランスウエイト48の全体としての重心がクランクシャフト44寄りに移動することで、クランクシャフト44と共に回転するバランスウエイト48によって生ずる慣性モーメントは比較的小さくなる。その結果、上記第1の場合に近い状態になり、ヨー方向の不釣合いモーメントMzを小さくすることができ、ヨー方向振動を効果的に抑制できる。
一方、エンジン作動時において、エンジン回転数がヨー方向振動の共振点よりも高いピッチ方向振動の共振点辺りにあるとき、バランスウエイト48においてサブウエイト54は遠心力によって引っ張りばね56の引っ張り力に抗して図5(b)に示すクランクシャフト44から最も離れた位置に移動して保持される。これにより、バランスウエイト48の全体としての重心がクランクシャフト44から離れる方向に移動することで、クランクシャフト44と共に回転するバランスウエイト48によって生ずる慣性モーメントは比較的大きくなる。その結果、上記第3の場合と同様に、ピッチ方向の不釣合いモーメントMyを0にすることができ、ピッチ方向振動を効果的に抑制できる。
このように、本実施形態の3気筒エンジン10によれば、エンジンユニット12を車体に支持するエンジンマウント26のばね定数で規定される振動減衰特性を考慮して、エンジン回転数に応じてバランスウエイト48の重心位置を変更することにより、ピッチ方向振動およびヨー方向振動のいずれについても効果的に抑制することができ、その結果、車両のフロア振動を低減できる。
次に、図6を参照して別実施形態の3気筒エンジン11について説明するが、ここでは上記3気筒エンジン10およびエンジンユニット12に関して説明した構成と異なる点についてのみ説明することとし、同一構成要素には同一符号を付して重複することとなる説明を省略する。
図6(a),(b)に示すように、3気筒エンジン11では、上記引っ張りばね56の代替として、重心可変機構50に用いられる力印加手段が、サブウエイト54のクランクシャフト44とは反対側の端面とガイド溝52内の両側壁面および端面53b、および、ガイド溝52の開口部を気密状態で塞ぐカバー部材(図示せず)によって画定されるガイド溝52内の密閉空間60について、加圧流体としての加圧エアを供給および排出可能な流体経路61を含んで構成されている。流体経路61は、バランスウエイト48の内部に形成された貫通孔またはバランスウエイト48の側面に固定される配管によって構成されることができ、クランクシャフト44の中心位置に軸方向に延伸形成されるクランクシャフト流体経路62を介して図示しないエア供給源に接続される。また、サブウエイト54のクランクシャフト44側の端面とガイド溝52内の両側壁面および端面53aとによって画定されるガイド溝52内の空間は、通気孔64を介して外部と連通していて空気の出入が可能になっている。これら以外の構成は、上記3気筒エンジン10と同様である。
上記3気筒エンジン11においては、エンジン作動時においてエンジン回転数がヨー振動共振点辺りの低回転領域にあるとき、流体経路61を介して密閉空間60に加圧エアが供給され、サブウエイト54が図6(a)に示すようにガイド溝52内において最もクランクシャフト44側の位置に保持される。一方、エンジン作動時において、エンジン回転数がヨー方向振動の共振点よりも高いピッチ方向振動の共振点辺りにあるとき、サブウエイト54は遠心力によって図6(b)に示すクランクシャフト44から最も離れた位置に移動して保持され、このとき密閉空間60内の加圧エアは流体経路61を介して排出される。これにより、本実施形態の3気筒エンジン11においても、上記3気筒エンジン10と同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態の3気筒エンジン11においては、外部バルブの制御によって密閉空間60から流体経路61を介して加圧エアを排出するタイミングを変更することが可能である。ゴム等の弾性材料からなるエンジンマウント26の振動減衰部材が経時的劣化によって硬化してくると振動減衰性能が低下し、図3に示すヨー方向振動の共振点およびピッチ方向振動の共振点が高回転域側のエンジン回転数領域にシフトしてくる。このような場合に、上記タイミングを調整してバランスウエイト48が図6(a)に示す位置から図6(b)に移動するエンジン回転数領域を高回転域側に変更することで、エンジンマウント26の振動減衰特性の経時的変化に対応することができる。
なお、本願発明に係る3気筒エンジンは、上述したものに限定されるものではなく、種々の変更や改良が可能である。
例えば、上記においては、ガイド溝52、サブウエイト54および力印加手段56,61を含む重心可変機構50をバランスウエイト48の内部に設けるように説明したが、バランスウエイト48の側面に外付けするように設けてもよい。
また、上記では3気筒エンジン10,11はエンジンユニット12に含まれるものとして説明したが、本願発明に係る3気筒エンジンは蓄電装置からの電力供給を受けて車両駆動力を出力する回転電機を一体に含むパワーユニットとして構成されてもよい。
さらに、上記においては、エンジンマウント26の振動減衰特性によってヨー方向振動の共振点がピッチ方向振動の共振点よりも低いエンジン回転数領域になる場合について説明したが、本願発明は、逆の場合、すなわちエンジンマウントの振動減衰特性によってヨー方向振動の共振点がピッチ方向振動の共振点よりも高いエンジン回転数領域になる場合に適用されてもよい。
10、11 3気筒エンジン、12 エンジンユニット、14 シャシ、16a,16b フロントサイドメンバ、18 フロントクロスメンバ、20 リアクロスメンバ、22a,22b 車幅方向の側面、23a,23b 車両前後方向の側面、24a,24b ブラケット、26 エンジンマウント、28 固定部材、30 ブラケット、32 エンジンマウント、40 ピストン、42 コンロッド、44 クランクシャフト、46 クランクアーム部、48 バランスウエイト、50 重心可変機構、52 ガイド溝、53a,53b ガイド溝の端面、54 サブウエイト、56 力印加手段または引っ張りばね、60 密閉空間、61 流体経路、62 クランクシャフト流体経路、64 通気孔、Mx ロール方向モーメント、My ピッチ方向モーメント、Mz ヨー方向モーメント。
Claims (6)
- 各気筒のピストンが連結部材を介してそれぞれ連結されるクランクシャフトに、重心可変機構を含むバランスウエイトを設け、エンジン作動時におけるヨー方向振動の共振点辺りのエンジン回転数領域では重心可変機構によってバランスウエイトの重心をクランクシャフト側へ移動させ、エンジン作動時におけるピッチ方向振動の共振点辺りのエンジン回転数領域では重心可変機構によってバランスウエイトの重心をクランクシャフトから離れる方向へ移動させることを特徴とする3気筒エンジン。
- 請求項1に記載の3気筒エンジンにおいて、
重心可変機構は、バランスウエイトに設けられクランクシャフトの径方向外側に延伸するガイド溝と、ガイド溝に沿って移動可能に配置されるサブウエイトと、クランクシャフトの回転に伴って発生する遠心力に対抗する方向の力をサブウエイトに対して作用させることができる力印加手段とを含んで構成され、サブウエイトは、エンジン作動時におけるヨー方向振動の共振点辺りのエンジン回転数領域では力印加手段の作用によってクランクシャフト側へ移動し、前記ヨー方向振動の共振点よりも高いピッチ方向振動の共振点辺りのエンジン回転数領域では遠心力によってクランクシャフトから離れる方向へ移動することを特徴とする3気筒エンジン。 - 請求項2に記載の3気筒エンジンにおいて、
力印加手段は、一端がガイド溝のクランクシャフト側端面に固定され、他端がサブウエイトに連結される引っ張りばねであることを特徴とする3気筒エンジン。 - 請求項2に記載の3気筒エンジンにおいて、
力印加手段は、サブウエイトのクランクシャフトとは反対側の端面とガイド溝の側壁面および端面とによって画定される密閉空間について、加圧流体を供給および排出可能な流体経路を含んで構成されることを特徴とする3気筒エンジン。 - 請求項4に記載の3気筒エンジンにおいて、
3気筒エンジンを含むエンジンユニットを車体上に支持するエンジンマウントの振動減衰特性の経時的変化に応じて、前記密閉空間から加圧流体を排出するエンジン回転数領域を高回転域側に変更することを特徴とする3気筒エンジン。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の3気筒エンジンにおいて、
蓄電装置からの電力供給を受けて車両駆動力を出力する回転電機を一体に含むパワーユニットとして構成されることを特徴とする3気筒エンジン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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-
2008
- 2008-08-18 JP JP2008209918A patent/JP2010043625A/ja active Pending
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