JP5548570B2 - 振動低減装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関から車体側へ伝達される振動を低減する振動低減装置に関する。
エンジンから車体への振動を低減するためインシュレータとしてのゴム部を2つの部分に区画する中間板に振動板を連結することにより、区画された外側ゴム部と内側ゴム部とで共振点を異ならせ、これによって2重防振の効果を得るようにしたもの特許文献1に記載されている。
特開平9-273586号公報
ところで、二重防振の効果を得るものでは、共振点付近の周波数でエンジンから車体に伝達される伝達力が大きくなるので、エンジンから車体への振動をより一層低減するには、共振そのものを抑制する必要がある。
この場合に、ゴム部の減衰を増大させると、共振点付近の周波数での伝達力が小さくなり共振そのものは抑制される。しかし、共振周波数以上の高周波域においては、減衰を増大させる前より却って伝達力が大きくなり、高周波域側での車体側部材への伝達特性が悪化する。また、共振を抑制するために単にゴム部の減衰を増大したのでは、二重防振の効果が悪化する。
この問題は、車体側のインシュレータとエンジン側のインシュレータを連結するロッドに加振力を発生し得るアクチュエータを設けることで解消し得る。しかし、ロッドの剛体共振には、ロッドの軸方向の共振と、ロッドの軸方向と直角な直線が回転中心となるようにロッドを回転させる方向(以下、ピッチ方向という)の共振とがあるので、共振の方向毎にアクチュエータを設けるとコストが増加するという問題が生じる。
そこで、本発明では、二重防振の効果を維持したまま、アクチュエータを用いて共振そのものを抑制し、かつアクチュエータ使用によるコスト増加を抑制できる装置を提供することを目的とする。
本発明の振動低減装置は、エンジン側に取り付けられる第1弾性体と、車体側に取り付けられる第2弾性体と、第1弾性体と前記第2弾性体を連結するロッドと、ロッドに支持された慣性マスと、慣性マスをロッドの軸方向に往復動させるアクチュエータと、を備える。さらに、ロッドの軸方向の振動及びクランクシャフト回転方向の振動による加速度を検出する加速度センサと、アクチュエータをロッドの変位の速度に比例した力を発生させるよう制御する制御手段と、を備える。
アクチュエータは、ロッドに対してロッドの軸方向の力とクランクシャフト回転方向のモーメントを作用させ得るように配置される。そして、制御手段が加速度センサの検出値に基づいてロッドの軸方向の剛体共振とクランクシャフト回転方向の剛体共振の共振周波数の振幅レベルを抑制するようアクチュエータを制御する
本発明によれば、アクチュエータがロッドに対してロッドの軸方向の力とクランクシャフト回転方向のモーメントを作用させ得るように配置され、これら力及びモーメントによるロッドの加速度を加速度センサで検出できる。したがって、一つのアクチュエータでロッドの軸方向とピッチ方向の剛体共振をともに抑制することができ、コストの増加を招くこともない。
ペンデュラム方式のエンジンマウント構造に本発明による振動低減装置の第1実施形態を適用した様子を示す概略斜視図である。 二重防振効果が得られるトルクロッドを示す平面図である。 二重防振の効果が得られる構成による伝達力の周波数特性図である。 トルクロッドの物理モデルを示すダイアグラムである。 車載状態のトルクロッドアッセンブリを上方から見た平面図である。 電圧増幅回路とアクチュエータとを機能的に表現したブロックダイアグラムである。 大端部にエンジン剛体共振が生じているときの大端部の外筒の変形を拡大したダイアグラムである。 第1実施形態のトルクロッドアッセンブリの物理モデルを示すダイアグラムである。 第1実施形態のトルクロッドアッセンブリによる伝達力の周波数特性図である。 第1実施形態の加速時騒音の効果を示す特性図である。 第1実施形態のこもり音低減用の加振力を設定するためのマップの一例を示すダイアグラムである。 第1実施形態のこもり音の効果を示す特性図である。 第1実施形態のトルクロッドの構成を示す図である。 第2実施形態のトルクロッドの構成を示す図である。
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、ペンデュラム方式のエンジンマウント構造に本発明による振動低減装置の第1実施形態を適用した様子を示す概略斜視図である。
エンジン1は、エンジン回転の基本次数で不平衡慣性力が作用せず、主にエンジントルク変動の反力のみが作用するエンジンである。そのようなエンジンには、たとえば2次バランサ付き4気筒エンジンやV型6気筒エンジンがある。エンジン1はクランクシャフトが車両の左右方向に置かれた横置きタイプである。なお本実施形態では、車両右側がエンジンフロントである。
エンジン1から伝達する振動を低減する構造は、エンジン1を支持する構造の一部である。エンジン1は、重心よりも上の2箇所が右側エンジンマウント3と、左側エンジンマウント4と、によって支持される。右側エンジンマウント3は、車両右側からエンジン1を支持する。左側エンジンマウント4は、車両左側からエンジン1を支持する。このような支持方法がペンデュラム方式と呼ばれる。
ペンデュラム方式のエンジンマウント構造では、エンジン1が、運転中の回転慣性力によって2つのマウント点を結んだ軸の回りに傾く。この傾きを防止するために、上側ロッド11−1と、下側ロッド11−2と、が設けられる。上側ロッド11−1は、車両右上側に設けられ、一端がエンジン1に連結され、他端が車体2に連結される。上側ロッド11−1は、ロッド軸部111が地面に平行に取り付けられる。下側ロッド11−2は、車両下側に設けられ、一端がエンジン1に連結され、他端が車体2に連結される。下側ロッド11−2も、ロッド軸部111が地面に平行に取り付けられる。
2次バランサ付き4気筒エンジンやV型6気筒エンジンに対しては、エンジン回転の基本次数(直列4気筒エンジンではエンジン回転2次、V型6気筒エンジンではエンジン回転3次)で不平衡慣性力が作用せず、主にエンジントルク変動の反力のみが作用する。したがって基本次数では、トルクを支持しているトルクロッドを介して車体に伝達する振動によって、車内音・車内振動が発生することを、本件発明者らが知見した。さらに、主に車両が加速するときに基本次数の高次数で構成される約1000Hzまでの車内音が乗員にとって問題となることを、本件発明者らが知見した。
そこで本発明者は、エンジン1から上側ロッド11−1及び下側ロッド11−2を介して車体に伝達する振動を低減するために、二重防振効果が得られる構成とした上で、さらに振動を低減可能な構造を追加した新たなトルクロッドアッセンブリを提案する。
なお上側ロッド11−1及び下側ロッド11−2の基本構造は同一である。そこで以下では特に区別する必要がないときはロッド11として説明する。
(二重防振効果が得られる構成について)
図2は、能動型振動低減手段を備えない、従来型の二重防振効果が得られるトルクロッドを示す平面図である。
図2に示されるトルクロッド11でも、二重防振効果によって、ある程度の防振効果は期待できる。この点ついて説明する。
トルクロッド11は、ロッド軸部111の両端が大端部112及び小端部113である。
大端部112は、外筒112aと、内筒112bと、弾性体112cと、を含む。
外筒112aは、ロッド軸部111に溶接される。
内筒112bは、外筒112aと同心である。内筒112bは、図1に示されるようにボルト18が挿通されてエンジン1に固定される。
弾性体112cは、外筒112aと内筒112bとの間に介装される。弾性体112cは、たとえば弾性ゴムである。弾性体112cは、弾性のみならず減衰性をも合わせ持つ。
小端部113も基本構造は、大端部112と同じである。すなわち小端部113は、ロッド軸部111に溶接される外筒113aと、外筒112aと同心の内筒113bと、外筒112aと内筒112bとの間に介装される弾性体113cと、を含む。
本実施形態では、大端部112と小端部113とでは、外筒及び内筒の径が相違する。すなわち、小端部113の外筒113aの径は、大端部112の外筒112aの径よりも小さい。小端部113の内筒113bの径は、大端部112の内筒112bの径よりも小さい。さらに、小端部113の弾性体113cの剛性は、大端部112の弾性体112cの剛性よりも大きい。
上述のように、大端部外筒112a及び小端部外筒113aがロッド軸部111に溶接、すなわち剛体結合される。そこで以下では、ロッド軸部111に大端部外筒112a及び小端部外筒113aが溶接されたものを、適宜、ロッド剛体110と称する。
このようなトルクロッドには、図3に実線で示されるように、2つの共振点が現れる。
ひとつはエンジン剛体共振Aである。エンジン剛体とは、エンジンに大端部内筒112bを剛体結合したものである。エンジン剛体共振Aの共振周波数は、エンジン質量と、大端部弾性体112cの特性とで決まる。
もうひとつは、ロッド剛体共振Bである。ロッド剛体共振Bの共振周波数は、ロッド剛体110の質量、すなわちロッド軸部111と大端部外筒112aと小端部外筒113aの質量と、小端部弾性体113cの特性とで決まる。
一般的な車両用エンジンは、曲げ、捩りといった弾性の1次の共振周波数f3が280Hz〜350Hz程度である。そこで、エンジン剛体共振Aの共振周波数及びロッド剛体共振Bの共振周波数が、エンジンの曲げ、捩りといった主たる弾性モードの共振周波数(以下、エンジン弾性共振周波数という)f3よりも小さくなるように、大端部弾性体112cの特性と、ロッド軸部111と大端部外筒112aと小端部外筒113aの質量と、小端部弾性体113cの特性と、を設定する。
本実施形態では、図3に示されるように、エンジン剛体共振Aの共振周波数は、ほぼゼロに近い周波数f1[Hz]に調整される。ロッド剛体共振Bの共振周波数は、200Hzに近い周波数f2[Hz]に調整される。
このように調整されれば、エンジンの曲げ、捩りの共振振動(以下、エンジン弾性共振振動という)は、まず第1ブッシュで防止される。次に第2ブッシュで防止される。したがってエンジン弾性共振振動は、二重に防振されて、車体への伝達が抑制される。
このように、トルクロッド11であっても、二重防振効果によって、ある程度の防振効果が期待される。しかしながら、さらなる防振効果を得ることは難しい。この点ついて説明する。
トルクロッド11でさらなる防振効果を得るために、ロッド剛体共振Bを抑制することを考える。なおエンジン剛体共振Aは無視する。ロッド剛体共振Bを抑制するには、小端部弾性体113cの減衰項を増大させるとよい。
しかしながら、小端部弾性体113cの減衰項を増大させると、図3に破線で示されるように、ロッド剛体共振B付近では、伝達力が小さくなりロッド剛体共振Bそのものは抑制されるものの、高周波域では却って伝達力が大きくなり伝達特性が悪化する。
このメカニズムは以下である。
図4は、トルクロッド11の物理モデルを示すダイアグラムである。
図示のモデルから、ロッドについての運動方程式は、次式(1)になる。
Figure 0005548570
また、ロッド11から車体2への入力Ftは、次式(2)になる。
Figure 0005548570
トルクロッド11における車体2への伝達特性は、式(1)及び式(2)から、次式(3)で表される。
Figure 0005548570
ロッド剛体共振B付近の周波数では、mrω2の絶対値とkrの絶対値が近づいて−mrω2とkrが相殺するので、車体2への伝達特性は、式(3)の右辺の分母の減衰係数crによることとなる。
したがって、減衰係数crを大きくすれば、図3に破線で示されるように、ロッド剛体共振B付近で、伝達力が下がりロッド剛体共振Bそのものは抑制される。
式(3)の右辺の分子は、小端部のロッド軸方向の剛性係数krと、小端部のロッド軸方向の減衰係数crとで決められる。通常の二重防振効果が得られる程度の減衰では、減衰係数crが小さく、剛性係数が支配的である。ところが、分母の減衰係数crを大きくしてロッド剛体共振Bを抑制しようとすると、分子の減衰係数crも連動する。そして図3に破線で示されるように、ロッド剛体共振Bの共振周波数f2を超える周波数域で車体2への伝達力が却って大きくなり、高周波域側での車体2への伝達特性が悪化する。
以上を踏まえて、図5を参照して、本発明の第1実施形態の前提となる、さらなる防振効果が得られる振動低減装置の構成を説明する。なお図5は、車載状態のトルクロッドアッセンブリを上方から見た平面図である。
振動低減装置100は、トルクロッドアッセンブリ10と、加速度センサ21と、コントローラ22と、電圧増幅回路23と、を含む。
トルクロッドアッセンブリ10は、トルクロッド11と、板バネ16と、慣性マス15と、アクチュエータ17と、を含む。トルクロッドアッセンブリ10は、一端がエンジン1に連結され、他端が車体2に連結される。トルクロッドアッセンブリ10は、ロッド軸部111が地面に平行になるように取り付けられる。
トルクロッド11は、トルクロッド筐体19とトルクロッド軸部111を含む。トルクロッド筐体19は、一端に大端部112が、他端に小端部113がそれぞれ形成され、大端部112と小端部113の間に空隙を有する。トルクロッド軸部111は、板バネ16、慣性マス15及びアクチュエータ17が設けられた状態で、トルクロッド筐体19の空隙に、大端部112と小端部113を結ぶ線に沿うように圧入される。
板バネ16は、ロッド軸部111のエンジン側及び車体側に、2枚設けられる。板バネ16は、弾性部品である。板バネ16は、比較的剛性が小さい。
慣性マス15は、ロッド軸部111の周囲に設けられる。慣性マス15は、図1にも示されるように角筒型である。慣性マス15は、ロッド軸部111と同軸である。慣性マス15は、図5に示されるように、板バネ16の左右両端に固定される。慣性マス15の側壁の車体側端に、車体側の板バネが固定される。慣性マス15の側壁のエンジン側端に、エンジン側の板バネが固定される。すなわち板バネ16と慣性マス15との固定部分は、紙面手前から奥に延びる。すなわち重力方向と平行である。慣性マス15は、磁気を帯びた金属体である。慣性マス15の断面は、左右対称であるとともに、上下対称である。慣性マス15の重心は、ロッド11の中心に一致している。慣性マス15の内壁15aの一部は、アクチュエータ17の永久磁石17cに向けて凸である。
慣性マス15は、剛性が比較的小さい板バネ16で支持されるので、ロッド軸方向(図5の上下方向)の共振周波数は、10Hzから100Hzまでの低い範囲である。4気筒エンジンのアイドル回転速度2次の振動周波数は約20Hzであるので、慣性マス15の共振周波数が10Hzであれば、慣性マス15は、エンジン1の運転条件にかかわらず共振しない。しかしながら、慣性マス15の共振周波数が10Hzになるには、慣性マス15が非常に重くなる。慣性マス15を重くすることが困難な場合には、ロッド剛性共振B(本構成では200Hz)の約半分の周波数よりも、慣性マス15の共振周波数を低く設定すれば、互いの共振周波数が十分に離れ、後述するような振動伝達が十分に抑制される。ただし、ロッド剛性共振Bの周波数が慣性マス15の共振周波数の整数倍、または整数分の1倍にならないようにする。こうすれば、エンジンの低次と高次の加振力が、それぞれ慣性マス共振とロッド剛体共振を同時に励起することがなくなるので、異音が発生し難くなる。
アクチュエータ17は、慣性マス15をロッド軸方向(図5の上下方向)に往復動させる直線運動型のアクチュエータである。アクチュエータ17は、後述のように電圧増幅回路23で増幅され逆符号とされた信号に基づいて力を発生する。これによって、制御対象であるロッド11の減衰を増大する速度フィードバック制御が行われる。
アクチュエータ17は、慣性マス15とトルクロッド軸部111との間の空間に設けられる。アクチュエータ17は、コア17aと、コイル17bと、永久磁石17cとを含む。
コア17aは、角筒形状である。コア17aは、トルクロッド軸部111に固定される。コア17aは、複数の積層鋼鈑で構成される。コア17aは、コイル17bの磁路を構成する。コア17aは、鋼鈑がトルクロッド軸部111の周囲に接着剤で固定されて、全体として角筒形状のコア17aになる。コイル17bは、コア17aに巻装される。永久磁石17cは、コア17aの外周面に設けられる。
アクチュエータ17は、このような構成であるので、コイル17bと永久磁石17cとが発生する磁界によるリアクタンストルクによって、慣性マス15をロッド軸方向に往復動する。
加速度センサ21は、トルクロッド11の軸方向の振動の加速度を検出する。加速度センサ21は、トルクロッド11の側面に取り付けられる。
コントローラ22は、加速度センサ21から入力する信号のうち、所定の周波数の信号を通過させ、それ以外の周波数の信号をカットするフィルター機能を有する。具体的には、コントローラ22は、少なくともロッド剛体共振Bの共振周波数f2を含み、防振域の下限周波数f5を通過させる。なお防振域の下限周波数とは、伝達率が1倍となる周波数であり、具体的にはロッド剛体共振Bの共振周波数f2に対して所定値(21/2)を乗じて求まる周波数である。さらに望ましくは、コントローラ22は、制御が発散しない上限(たとえば400Hz)までの信号を通過させる。換言すれば、コントローラ22は、制御が発散しない上限(たとえば400Hz)を超える周波数の信号は通過させない。
またコントローラ22は、慣性マス15のロッド軸方向の共振周波数以上の周波数を通過させるフィルター機能を有する。換言すれば、コントローラ22は、慣性マス15のロッド軸方向の共振周波数よりも低い周波数を通過させない。なお慣性マス15のロッド軸方向の共振周波数は、慣性マス15の質量や板バネ16の剛性によって決まり、10Hzから100Hz程度である。なお上述のように、4気筒エンジンのアイドル回転速度2次の振動周波数は約20Hzであるので、慣性マス15のロッド軸方向の共振周波数を20Hzにすると連成する可能性がある。そこで連成を避けるようにコントローラ22の通過周波数を設定することがさらに望ましい。
このようにするので、上記構成では、余計な周波数では制御しない。したがって制御安定性が高まるとともに、余分な電力消費を抑えつつ狙いの周波数範囲で確実に伝達力を抑制することができる。
電圧増幅回路23は、コントローラ22から入力する信号を増幅する。すなわち電圧増幅回路23は、加速度センサ21によって検出された振動のロッド軸方向速度を増幅する。そして電圧増幅回路23は、アクチュエータ17のコイル17bに印加して、電圧制御を行なう。電圧増幅回路23は、たとえばオペアンプである。
これについてさらに説明する。
図6は、電圧増幅回路23とアクチュエータ17とを機能的に表現したブロックダイアグラムである。
ロッド11の軸方向加速度d2r/dt2は、加速度センサ21によって検出される。
電圧増幅回路23は、コントローラ22で決定したゲインGに応じて駆動電圧を増大させる。
アクチュエータ17では、コイル17bが積分器として作用する。そのためコントローラ22は、−G・d2r/dt2を出力する。この結果、アクチュエータ17の発生する力Faは、dxr/dtに比例する。つまり、制御対象であるトルクロッド11の減衰を増大する速度フィードバック制御が行われる。
図7は、大端部112にエンジン剛体共振Aが生じているときの大端部112の外筒112aの変形を拡大したダイアグラムである。
エンジン剛体共振Aの共振周波数f1は、上述のようにゼロに近い。この場合は、大端部外筒112aが大きく変形する。トルクロッド11の振動が大端部外筒112aの振動と一致しない。
図8は、トルクロッドアッセンブリの物理モデルを示すダイアグラムである。
ここでは、ロッド剛体共振Bを抑制することを考え、エンジン剛体共振Aは無視する。また慣性マス15の実際の取付点は、図5においてはC点、D点の2箇所であるが、図8の物理モデルでは、C点とD点とを平均した位置であるE点を「慣性マス15の取り付け点」として扱う。
図示のモデルから、トルクロッド11についての運動方程式は、次式(4)になる。
Figure 0005548570
また、ロッド11から車体2への入力Ftは、次式(5)になる。
Figure 0005548570
また、アクチュエータ17は、次式(6)で表される力Faを発生する。
Figure 0005548570
式(6)から判るように、アクチュエータ発生力Faは、トルクロッド11の軸方向変位xrの一階微分値、すなわちトルクロッド11の軸方向速度に比例する。
式(4)に式(6)を代入すると、次式(7)が得られる。
Figure 0005548570
式(7)から、トルクロッド11の減衰項がcrからcr+Gに増大することが判る。
このように、二重防振効果が得られるトルクロッド11に対して、慣性マス15及びアクチュエータ17を追加したトルクロッドアッセンブリ10を用いる。そしてコントローラ22及び電圧増幅回路23によって速度フィードバック制御する。このときの車体2への伝達特性は、式(5)及び式(7)から次式(8)になる。
Figure 0005548570
式(8)では、右辺の分母の減衰項の係数は、cr+Gとなる一方で、右辺の分子の減衰項の係数はcrであって変化しないので、分母の減衰係数の増大の影響を受けない。
このようにすることで、大端部112を介して伝達する、エンジン1からの入力Feにのみ影響するように、減衰係数を増大させることができ、伝達力が低下する。
したがって、このようにすることで、図9に一点鎖線で示したように、ロッド剛体共振Bを抑制できるとともに、ロッド剛体共振Bの共振周波数f2を超える周波数域でも防振効果を得ることができる。
なお小端部のロッド軸方向減衰係数crは、通常の二重防振効果が得られる程度、すなわち、ロッド剛体共振Bよりも高い周波数域で伝達力を十分に抑制できる程度の値である。
また、コントローラ22を通過した周波数範囲において、ロッド剛体共振Bの減衰が向上できている。このようにゲインGは、ロッド剛体共振Bの周波数付近の伝達力を十分に低下させる。言い換えるとロッド剛体共振Bによる伝達力が増大しなくなる程度の値に設定される。
図10は、エンジン回転速度が3000rpmの条件でアクセルペダルを一杯まで踏み込んで加速したときの200Hzから1000Hzまでの車内音の合計の騒音レベルを示すダイアグラムである。
図10を見ると、上述した構成によれば、二重防振の効果が得られるだけの比較形態よりも騒音レベルを低下できていることが判る。
以上は、主にエンジン1から車体2に伝達される中周波域から高周波域にかけての振動を低減することを考えたものであった。
次は、さらにエンジン1から車体2に伝達される低周波域の振動を低減することを考える。そのような振動は、こもり音として伝達される。
こもり音は、エンジン回転の基本次数に基づくエンジン振動によって発生する。4気筒エンジンの基本次数は、回転2次である。6気筒エンジンの基本次数は、回転3次である。
こもり音に対しては、以下のように対策する。たとえば直列4気筒エンジンでは、エンジン回転速度ごとに図11に例示するマップを用意する。そしてエンジン回転速度でこのマップを検索して振幅の大きさと位相を求める。そして次式(9)によって、エンジン回転速度に最適な加振力を設定する。
Figure 0005548570
そして式(6)のアクチュエータ17の発生力Faに対して、式(9)の加振力Fを加える。
このように、アクチュエータ17の発生力Faに対して、式(9)の加振力Fを追加することで、図12に示したように、直列4気筒エンジンにおいてエンジン回転速度が低い場合に、アクチュエータ17の発生力Faに対して、式(9)の加振力Fを追加しない比較形態に比べて、こもり音(車内音)を低減できる。
このようにして、上述した構成の振動低減装置によれば、低周波域でのこもり音から、加速時の騒音までを大幅に低減することができることになった。
ここで、上述した本発明の第1実施形態の前提となる振動低減装置の作用効果を説明する。
ロッド11は、ロッド剛体の共振周波数がエンジン弾性共振振動周波数よりも低く、またアクチュエータ17によって、ロッド11の軸方向速度に比例した力を発生して、慣性マス15をロッドの軸方向に往復動させるので、小端部113の弾性体113cの減衰特性を維持したままでロッド11の減衰を増大することが可能となり、ロッド軸方向のロッド剛体共振Bの抑制と、二重防振とを両立できる。
また、フィルターによって、ロッドの軸方向の加速度信号(又は速度信号)のうち、少なくともロッド剛体共振の共振周波数を含む所定の周波数範囲の信号を通過させるがその範囲から外れる信号を通過させない。そしてフィルターを通過した信号に基づいてロッドの軸方向速度に比例した力を、アクチュエータが発生する。このようにしたので、余分な周波数での制御を行なわないようにして、制御安定性を高めるとともに、余分な電力消費を抑えつつロッド剛体共振周波数f2付近の伝達力を抑制できる。
さらに、所定の周波数範囲は、ロッド剛体共振Bの周波数f2よりも高周波数側に存在する防振域(図5に示す周波数f5以上の周波数範囲)の周波数を含むので、ロッド剛体共振周波数f2から防振域に至る周波数範囲で伝達力を抑制できる。
さらにまた、所定の周波数範囲は、ロッド剛体共振Bの共振周波数f2よりも低周波数側に存在する、慣性マス15のロッド軸方向共振周波数を含むので、高い周波数の局所的に変形する共振を制御しないため、制御の安定性を向上できる。
また、弾性部品(板バネ16)は、慣性マス15の共振周波数がロッド剛体共振周波数f2の1/2よりも小さくなるように弾性係数が定められるので、慣性マス15の共振周波数をロッド剛体共振周波数f2から十分に離すことができる。
さらに、ロッド剛体は、ロッド軸部111と、エンジン取付部(大端部112)の構成部品であってロッド軸部の一端に固設される外筒112aと、車体取付部(小端部113)の構成部品であってロッド軸部の他端に固設される外筒113aと、を含み、ロッド剛体の共振周波数がエンジン弾性共振振動よりも低くなるように、ロッド剛体の質量、及び、車体取付部の構成部品であって車体取付部外筒の内側に設けられる弾性体113cの特性が設定されているので、内外筒ブッシュ構造において二重防振に適したロッド剛体共振周波数f2を設定できる。
また、ペンデュラム方式でマウントされるエンジン1に取り付けられるので、主に入力が入る伝達経路で制御できるため、大きな振動・騒音低減効果が得られる。
さらに、振動低減装置100は、トルクロッド軸部111が地面に平行に車載される。したがってアクチュエータ17が慣性マス15を動かすときに、重力の影響を避けることができる。また板バネ16と慣性マス15との固定部分は、重力方向と平行である。これによっても、アクチュエータ17が慣性マス15を動かすときに、重力の影響を避けることができる。
ところで、上述した本発明の第1実施形態の前提となる構成では、トルクロッドを介して車体に伝達する振動によって発生する車内音・車内振動を抑制するため、軸方向のロッド剛体共振周波数f2をエンジン弾性共振周波数以下にしている。そして、ロッド剛体共振Bについては、トルクロッド軸部111に配置したアクチュエータ17によって共振レベルを抑制している。
軸方向のロッド剛体共振周波数f2をエンジン弾性共振周波数以下にするためには、小端部113の剛性を低下させればよい。しかし、小端部113の剛性を低下させると、小端部113の図5における左右方向、すなわち(ロッドの軸方向と直角な直線が回転中心となって)ロッドを回転させるピッチ方向の剛体共振が常用域に入るおそれが生じる。そして、ピッチ方向の剛体共振が常用域に入ると、こもり音が増大するという問題が生じる。
この問題は、ピッチ方向の剛体共振についてもアクチュエータを追加して振動制御を行えば防止することができるが、使用するアクチュエータ17の増加に伴い、コスト増加やトルクロッドアッセンブリの大型化等という問題が生じる。
そこで、第1実施形態では以下に説明する構成によって、コスト増加等を防止しつつ、ロッド11の軸方向及びピッチ方向の剛体共振を抑制する。
図13は、本実施形態のトルクロッドアッセンブリを、図5と同様に上方から見た平面図である。
図1に示されるように大端部112及び小端部113の内筒・外筒の中心軸の方向は、地面に対して平行の場合(上側ロッド11−1)もあれば垂直の場合(下側ロッド11−2)もある。したがって大端部112及び小端部113の内筒・外筒の軸方向は、後述する慣性マスのオフセット方向と、必ず直交するわけではないし、必ず平行になるわけでもない(図13においては直交する例が示される)。
第1実施形態の大端部112と小端部113は、前提となるトルクアセンブリ(図5)と同様、弾性体を間に介する内筒と外筒とからなり、エンジン側あるいは車体側の部材(図1におけるボルト18)の挿通方向に所定の長さ、すなわち、所定の厚みを有するように構成されている。本実施形態の大端部112及び小端部113が、紙面左右方向及び紙面奥行き方向に、対称に構成されている前提とすると、大端部112及び小端部113の弾性体の中心は、内筒・外筒の中心かつ厚み方向の中央部にあたる。また、対称に構成されていない場合であっても、トルクロッドとの間に生じる荷重が、エンジン側あるいは車体側の部材に主に作用する点を、大端部112及び小端部113、あるいはそれらの弾性体の中心とみなすことができる。
第1実施形態の、図5に示した前提となる構成との相違点は、主に慣性マス15の重心位置と、加速度センサ21の取り付け位置である。慣性マス15の重心位置は、それがロッド軸部111と一致している(ロッド軸部111周りに慣性マス15が対称に配される)本実施形態においては、ロッド軸部111の位置と言い換えることもできる。ロッド軸部111は、大端部112と小端部113を結ぶ直線を通り(含み)かつ地面に対して直交する平面内で、大端部112と小端部113を結ぶ軸線からオフセットして設けられる。したがって、慣性マス15の重心の往復動軌跡はロッドの軸から所定量オフセットした位置にある。
例えば、上側ロッド11−1では図5の紙面で左右方向のいずれかにオフセットさせる。
図1に示されるように本実施形態では、上側ロッド11−1と下側ロッド11−2とは、その軸方向がエンジン横向きの姿勢で、これらに設けられた慣性マス15が上下方向のいずれかにオフセットするように、車体側およびエンジン側の部材に取り付けられている。各ロッドの軸方向がエンジン横向きになっているので、例えばエンジン回転の基本次数で不平衡慣性力が作用しない条件にあるエンジンで、主にエンジントルク変動の反力のみが作用する場合に、エンジントルク変動の反力による振動を効果的に抑制することができる。
また、アクチュエータ17の駆動時に得られるロッドのピッチ方向のモーメント入力は、ペンデュラム方式エンジンマウントにおけるエンジンの揺動を受けて生じるロッドの(クランクシャフト軸方向に平行な直線を回転中心とする)ピッチ振動に対応しており、クランクシャフト回転方向のモーメントを入力することになる。
換言すると、ロッド軸部111が慣性マス15の中心に一致する本実施形態においては、このようにロッド軸部111をオフセットさせることで、アクチュエータ17を駆動したときに、アクチュエータ17からトルクロッドアッセンブリ10に対して、ロッド軸方向の力と、ピッチ方向のモーメントが入力されることになる。つまり、一つのアクチュエータ17で、トルクロッドアッセンブリ10にエンジントルク支持方向の力とクランクシャフト回転方向のモーメントを入力することができる。また、加速度センサ21はロッド軸方向の加速度とピッチ方向の加速度が合成された加速度を検出することになる。
加速度センサ21は、ロッド軸部111をオフセットした側のトルクロッド筐体19の側面に取り付ける。加速度センサ21は、ロッド11の軸と慣性マス15の重心の往復動軌跡とを含む平面内かつロッド11の軸から離れた位置に置いて、ロッド11の軸方向の振動を検出可能に構成され、慣性マス15の重心の往復動軌跡と、加速度センサ21が検出する振動の位置とが、ロッド11の軸から見て同方向にある。
なお、上側ロッド11−1の場合には、ロッド軸部111を車両下側にオフセットさせ、加速度センサ21も車両下側に配置する。衝突時の安全性を確保するために、エンジンフードから下方のエンジン等までの間に所定の距離を設ける必要があるが、加速度センサ21をトルクロッド筐体19の下方に配置することで、当該距離を大きくとることができる。
一方、下側ロッド11−2の場合には、ロッド軸部111を車両上側にオフセットさせ、加速度センサ21も車両上側にオフセットさせる。これにより、加速度センサ21を取り付けても車両の最低地上高さに影響を与えることはない。
図13の構成において、アクチュエータ17を駆動して慣性マス15が方向に移動すると、ロッド軸方向の力は上方向に作用し、ピッチ方向のモーメントは時計回りに作用する。そして、トルクロッド筐体19の、ロッド軸部111のオフセット方向と同一方向の側面に加速度センサ21を設けると、加速度センサ21はロッド軸方向の振動とピッチ方向の振動が合成された振動を検出することができる。
そして、加速度センサ21の検出値に基づいて図5で説明したのと同様の制御ルーチンを実行することで、トルクロッド剛体共振を抑制することができる。
ここで、図13の構成によって、一つのアクチュエータ17でロッド軸方向及びピッチ方向の振動を抑制できるメカニズムについて説明する。なお、ここでいう「ロッド軸方向」とは、静止状態における大端部112と小端部113とを結ぶ直線の方向を意味し、ロッド軸方向の振動をxsとする。また、以下の説明において具体的な数値が用いられている場合には、その数字はあくまでも一例である。
トルクロッドをモーダル座標に変換した場合の運動方程式を式(10)に示す。式(10)におけるMはモーダル質量、Kはモーダル剛性、Cはモーダル減衰である。Faはアクチュエータ17が発生する力であり、図13のアクチュエータ点Xaから小端部113に向かう方向を正とする。ξはモード座標での各モードの変位である。
Figure 0005548570
φaはアクチュエータ点xaのモードベクトルである。一方、センサ点xsのモードベクトルはφsで表される。これらφa及びφsは、例えば式(11)のようになる。
Figure 0005548570
φa、φsの一つめの成分は、ロッド軸方向のトルクロッド剛体共振で、2つめと3つめの成分はロッド11のピッチ方向または上下方向の剛体共振である。したがって、図13のような構成においては、1つめの成分に比べて、2つめと3つ目の成分は小さくなる。
また、アクチュエータ17が発生する力Faは、式(12)のように表される。
Figure 0005548570
すなわち、アクチュエータ17が発生する力は、加速度センサ21が検出する速度信号をゲインGで増幅させたものである。
アクチュエータ17がロッド軸部111と同軸に配置されている場合は、アクチュエータ17は軸方向の力のみを発生するため、φaの2つめと3つめの成分はほぼゼロになる。これに対して、図13のようにアクチュエータ1発生力の作用点である慣性マス15の重心位置(ロッド軸部111)を大端部112と小端部113を結ぶ軸線からオフセットさせると、トルクロッド11をピッチ方向に回転させるモーメントが発生する。そのため、φaの2つめと3つめの成分がゼロではなくなる。さらに、加速度センサ21も同様にオフセットさせているので、ロッド11の軸方向の剛体共振以外に、ピッチ方向の剛体共振も計測することになる。
また、加速度センサ21を、アクチュエータ17のオフセット方向と同じ側に配置することによって、φa及びφsの2つめと3つめの成分の正負が同一になる。
アクチュエータ17と加速度センサ21を用いて速度フィードバック制御を行った結果を式(13)に示す。また、速度フィードバック制御を行った結果の減衰Ceを式(14)に示す。
Figure 0005548570
Figure 0005548570
式(14)に示すように、減衰Ceのすべての成分は、ゲインGを大きくするほど大きくなり、ゲインGを小さくすれば小さくなる。すなわち、アクチュエータ17を作動させることで、ロッド軸方向及びピッチ方向の振動を減衰させることができる。
なお、比較のために加速度センサ21をロッド軸部111のオフセット方向と反対側のトルクロッド筐体19の側面に取り付けた場合を考える。
この場合のモードベクトルは、式(15)に示すように、φaとφsで、2つめと3つめの成分の正負が逆になる。
Figure 0005548570
そして、速度フィードバック制御を行った場合の減衰Cfは式(16)に示すようになる。
Figure 0005548570
式(16)に示すように、減衰Cfは、ゲインGが大きくなるほど大きくなる成分と、ゲインGが大きくなるほど小さくなる成分を有する。したがって、加速度センサ21をロッド軸部111のオフセット方向と反対側のトルクロッド筐体19の側面に取り付けると、ロッド軸方向とピッチ方向の剛体共振を有効に減衰させることができない。
以上のように第1実施形態では、次の効果が得られる。
(1)アクチュエータ17が、ロッド11に対してロッド軸方向の力とクランクシャフト回転方向のモーメントを作用させ得るように配置される。そして、コントローラ22が加速度センサ21の検出値に基づいてロッド軸方向の剛体共振とクランクシャフト回転方向の剛体共振の共振周波数の振幅レベルを抑制するようアクチュエータ17を制御する。これにより、一つのアクチュエータでロッドの軸方向とピッチ方向の剛体共振をともに抑制することができ、コストの増加を招くこともない。
(2)アクチュエータ17が、大端部112と小端部113を結ぶ直線を含み地面に対して直交する平面内の、大端部112と小端部113を結ぶ直線からずれた位置に配置されるようにロッド軸部111に支持される。これにより、一つのアクチュエータ17でロッド軸方向とピッチ方向の力を発生させることができる。
(3)加速度センサ21が、大端部112と小端部113を結ぶ直線を含み地面に対して直交する平面内の、大端部112と小端部113を結ぶ直線からずれた位置に配置されるので、ロッド軸方向とピッチ方向の加速度を検出できる。
(第2実施形態)
図14は、本実施形態のトルクロッドアッセンブリを、図13と同様に上方から見た平面図である。
図13に示した構成との第1の相違点は、加速度センサ21を設ける位置である。本実施形態では、大端部112と小端部113の間に設けた空隙の壁面であって、ロッド軸部111のオフセット方向とは反対側に加速度センサ21を設ける。すなわち、ロッド軸部111をオフセットすることによって生じたスペースに加速度センサ21を設ける。
これにより、アクチュエータ17及び加速度センサ21の防水、防塵等のための保護カバーは、大端部112と小端部113の間に設けた空隙を塞ぐように設ければ足りる。つまり、アクチュエータ17と加速度センサ21について別々の保護カバーを設ける必要がない。
第2の相違点は、加速度センサ21が2方向の加速度を検出することである。具体的には、ロッド軸方向の加速度とロッド軸方向と直交する方向の加速度を検出する。なお、「ロッド軸方向」とは、第1実施形態と同様に、静止状態における大端部112と小端部113を結ぶ直線の方向である。また、ロッド軸方向と直交する方向の振動をysとする。
つまり、加速度センサ21は、ロッド11の軸と慣性マス15の重心の往復動軌跡とを含んだ平面内かつロッド11の軸とは離れた位置でのロッド11の軸方向とは垂直な方向の振動を、検出可能に構成されており、さらに、慣性マス15の重心の往復動軌跡と、加速度センサ21が検出する2方向の振動の位置とが、ロッド11の軸から見て互いに反対側になるように構成されている。
なお、加速度センサ21が一つのセンサではなく、第2の加速度センサを含む2つのセンサで構成され、慣性マス15の重心の往復動軌跡と、これら2つのセンサで構成される加速度センサ21が検出する振動の位置とがロッド11の軸方向から見て互いに反対側になるように構成されていてもよい。
このように2方向の加速度成分を別々に検出するのであれば、モードベクトルφaとφsの正負が逆になっても、一つのアクチュエータ17で、ロッド軸方向及びピッチ方向の剛体共振を減衰させることができる。以下にそのメカニズムを説明する。
図14におけるロッド軸方向のモードベクトルを式(11)と同様に式(17)に示す。
Figure 0005548570
また、センサ取り付け点のロッド軸方向と直交する方向のモードベクトルφs2を式(18)に示す。
Figure 0005548570
アクチュエータ17で発生させる力Faは、上記センサ信号の差をゲインGで増幅させたものであり、制御信号は式(19)に示すようになる。
Figure 0005548570
そして、速度フィードバック制御を行った結果、及び速度フィードバック制御を行った結果の減衰Ce2を式(20)、式(21)に示す。
Figure 0005548570
Figure 0005548570
減衰Ce2のすべての成分は、ゲインGを大きくするほど大きくなり、ゲインGを小さくすれば小さくなる。すなわち、アクチュエータ17を作動させることで、ロッド軸方向及びピッチ方向の振動を減衰させることができる。
なお、上述した速度フィードバック制御の結果は、式(20)においてφsからφs2を引いた結果、各成分が正になっていることが前提となる。したがって、モードベクトルが式(17)、式(18)のような関係になるように加速度センサ21を設置する必要がある。すなわち、ロッド11の軸方向のモードベクトルと、ロッド11の軸方向と直交する方向のモードベクトルとの差を求めたときに、すべての要素が同一符号となるように、慣性マス15の重心の往復動軌跡と、加速度センサ21位置(つまり加速度センサ21が検出する2方向の振動の位置)が設定される必要がある。
以上のように本実施形態では、第1実施形態と同様の効果に加え、さらに、アクチュエータ17及び加速度センサ21の防水、防塵等のための保護カバー別々に設ける必要がない、という効果が得られる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
1 エンジン
2 車体
3 右側エンジンマウント
4 左側エンジンマウント
10 トルクロッドアッセンブリ
11 ロッド
15 慣性マス
16 板バネ
17 アクチュエータ
19 トルクロッド筐体
21 加速度センサ
22 コントローラ
23 電圧増幅回路
100 振動低減装置
111 ロッド軸部
112 大端部
113 小端部

Claims (10)

  1. エンジン側に取り付けられる第1弾性体と、
    車体側に取り付けられる第2弾性体と、
    前記第1弾性体と前記第2弾性体を連結するロッドと、
    前記ロッドに支持された慣性マスと、
    前記慣性マスを前記ロッドの軸方向に往復動させるアクチュエータと、
    前記ロッドの軸方向の振動及びクランクシャフト回転方向の振動を含む振動による加速度を検出する加速度センサと、
    前記アクチュエータを前記ロッドの変位の速度に比例した力を発生させるよう制御する制御手段と、
    を備える、
    エンジンから車体に伝達される振動を低減する振動低減装置において、
    前記アクチュエータは、前記ロッドに対して前記ロッドの軸方向の力とクランクシャフト回転方向のモーメントを作用させ得るように配置され、
    前記制御手段が、前記加速度センサの検出値に基づいて前記ロッドの軸方向の剛体共振とクランクシャフト回転方向の剛体共振の共振周波数の振幅レベルを抑制するよう前記アクチュエータを制御することを特徴とする振動低減装置。
  2. 前記アクチュエータが、前記第1弾性体と前記第2弾性体の中心同士を結ぶ直線を含み地面に対して直交する平面内であって、前記直線からずれた位置に配置されるように前記ロッドに支持される請求項1に記載の振動低減装置。
  3. 前記加速度センサが、前記直線を含み地面に対して直交する平面内であって、前記直線からずれた位置に配置される請求項1または2に記載の振動低減装置。
  4. 前記加速度センサは前記ロッドの軸方向の加速度のみを検出し、
    前記アクチュエータと前記加速度センサが、前記直線に対して同一方向にずれて配置される請求項2または3に記載の振動低減装置。
  5. ペンデュラム方式のエンジンマウント構造を有し、
    前記第1弾性体が2つのマウント点を結んだ軸よりも上側に取り付けられ、
    前記加速度センサは前記直線に対して下方側にずれて配置される請求項4に記載の振動低減装置。
  6. ペンデュラム方式のエンジンマウント構造を有し、
    前記第1弾性体が、2つのマウント点を結んだ軸よりも下側に取り付けられ、
    前記加速度センサは前記直線に対して上方側にずれて配置される請求項4に記載の振動低減装置。
  7. 前記加速度センサは前記ロッドの軸方向の加速度及び前記クランクシャフト回転方向の加速度を検出し、
    前記アクチュエータと前記加速度センサが、前記直線を挟んで反対方向にずれて配置される請求項2または3に記載の振動低減装置。
  8. 前記ロッドが、前記第1弾性体と前記第2弾性体とを連結するロッド筐体と、
    前記ロッド筐体の前記第1弾性体と前記第2弾性体との間に設けた空隙に前記直線と平行に固定され、かつ前記慣性マスを支持するロッド軸部と、を含み、
    前記ロッド軸部が前記直線を含み地面に対して直交する平面内の、前記直線からずれた位置に配置され、
    前記加速度センサが前記空隙の壁面に配置されている請求項7に記載の振動低減装置。
  9. 前記ロッドの軸方向の剛体共振周波数が、前記エンジンの曲げ及び捩りの弾性1次共振周波数より低い請求項1から8のいずれかに記載の振動低減装置。
  10. エンジン側に取り付けられる第1弾性体と、
    車体側に取り付けられる第2弾性体と、
    前記第1弾性体と前記第2弾性体を連結するロッドと、
    前記ロッドに支持された慣性マスと、
    前記慣性マスを前記ロッドの軸方向に往復動させるアクチュエータと、
    前記ロッドの軸方向の振動を検出可能に構成されたセンサと、
    前記検出された振動に基づいて、前記アクチュエータを前記ロッドの変位の速度に比例した力を発生させるよう制御する制御手段と、
    を備える、エンジンから車体に伝達される振動を低減する振動低減装置において、
    前記慣性マスは、その重心が前記ロッドの軸から所定量オフセットした位置となるように前記ロッドに支持され、慣性マスの重心の往復動軌跡はロッドの軸から前記所定量オフセットした位置にあるとともに、
    前記センサは、前記ロッドの軸と前記慣性マスの重心の往復動軌跡とを含む平面内かつロッドの軸から離れた位置において、ロッドの軸方向の振動を検出可能に構成されていることを特徴とする振動低減装置。
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