JP2010042934A - ナノカーボン生成炉 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】還元雰囲気の加熱炉容器11と、この加熱炉容器の外周部に配置された加熱源と、前記加熱炉容器の上流側に配置され,加熱炉容器内に炭化水素を噴霧する炭化水素注入ノズル15と、前記加熱炉容器の下流側に配置された生成ナノカーボン排出ノズル18とを具備し、加熱炉容器の内面に金属基板12を配置して、炭化水素注入ノズル15より炭化水素を連続的に噴霧することにより金属基板上で反応させてナノカーボン17を成長させ、成長した生成ナノカーボン17を金属基板12から剥離させ、生成ナノカーボンを前記排出ノズル18により排出することを特徴とするナノカーボン生成炉。
【選択図】 図1
Description
アーク放電法は、正負のグラファイト電極間にアーク放電を起こすことでグラファイトが蒸発し、陰極先端に凝縮したカーボンの堆積物の中にカーボンナノチューブが生成される方法である(例えば、特許文献1参照)。レーザー蒸着法は、高温に過熱した不活性ガス中に金属触媒を混合したグラファイト試料を入れ、レーザー照射することによりカーボンナノチューブを生成する方法である(例えば、特許文献2参照)。
一般に、アーク放電法やレーザー蒸発法では結晶性の良いカーボンナノチューブが生成できるが、生成するカーボンナノチューブの量が少なく大量生成に難しいとされる。
(1)本発明のナノカーボン生成炉は、上述したように、加熱炉容器と、加熱源と、炭化水素注入ノズルと、生成ナノカーボン排出ノズルとを具備し、加熱炉容器の内面に金属基板を配置して、炭化水素注入ノズルより炭化水素を連続的に噴霧することにより金属基板上で反応させてナノカーボンを成長させ、成長した生成ナノカーボンを金属基板から剥離させ、生成ナノカーボンを前記排出ノズルにより排出することを特徴とする。こうした構成により、金属基板からある一定厚さ以上に成長しその自重で金属基板から剥離、自然落下したナノカーボンは生成炉の下部に流下し、生成ナノカーボン排出ノズルから排出することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による縦型方式のナノカーボン生成炉の概略図である。
図中の符番11は、還元雰囲気の縦型の加熱炉容器(内筒)を示す。この加熱炉容器11の内面には、円筒状の金属基板12が密着して配置されている。前記加熱炉容器11の外周部には加熱源としての電気ヒータ13が配置され、この電気ヒータ13により金属基板12が加熱されるようになっている。ここで、金属基板12の上下方向の長さは電気ヒータ13の上下方向の長さより短く、かつ金属基板12の位置は電気ヒータ13の位置の略中央に位置している。前記加熱炉容器11及び電気ヒータ13の外側には保温材14が配置され、加熱炉容器11の内部を保温するように構成されている。前記加熱炉容器11の上部側(上流側)には、加熱炉容器11の内部に炭化水素を注入するための炭化水素注入ノズル15が配置されている。ここで、炭化水素注入ノズル15の先端位置は、金属基板12より上側に位置している。この炭化水素注入ノズル15の先端には炭化水素分散メッシュ16が取り付けられ、ここで炭化水素が加熱炉容器内に噴霧されるようになっている。加熱炉容器11の下部側(下流側)には、金属基板12上で生成し、分離したナノカーボン17を排出する生成ナノカーボン排出ノズル(以下、単に排出ノズルと呼ぶ)18が設けられている。
ナノカーボン生成炉10内の上流から炭化水素を炭化水素注入ノズル15から炭化水素分散メッシュ16を経由して連続的に噴霧することにより、ナノカーボン生成炉10内の加熱炉容器11内面に密着して配置した金属基板12上で反応させてナノカーボン17を成長させる。ナノカーボン生成炉10内の上部で噴霧された炭化水素は、ナノカーボン生成炉10内の加熱炉容器11内面に配置した金属基板12上で反応させてナノカーボン17が成長する。
図2は、本発明の第2の実施形態による縦型方式のナノカーボン生成炉の概略図である。なお、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番21は、駆動軸回転モータ22より回転する回転駆動軸である。この回転駆動軸22には、金属基板12の表面に生成された生成ナノカーボン17を掻き取る板状の掻取り羽根23a,及び掻き落としたナノカーボン17を更に排出ノズル18から確実に下部側に落とすための掻取り羽根23bが夫々加熱炉容器11と同心円状に取り付けられている。ここで、回転駆動軸21,駆動軸回転モータ22及び掻取り羽根23a,23bを総称して掻取り機構24と呼ぶ。掻取り羽根23a,23bは、その最外側寄りの縁が円筒状の金属基板12の表面から僅かに均一な距離を離して回転するように構成されている。従って、掻取り羽根23a,23bは、金属表面12の表面に生成したナノカーボン17のみを掻き落とすようになっている。
金属基板12上では該金属基板12を構成する金属触媒粒子が核となり噴霧された炭化水素と高温状態で反応し、気相成長法によりナノカーボン17が生成、成長する。掻き取り機構24は常時回転させることも可能であるが、生成、成長したナノカーボン17を頻繁に掻き取ると、ナノカーボンの回収量が低下し、金属表面を掻き取ることで、金属触媒粒子も同伴するようになりナノカーボンの含有金属量も増加する。この為、掻き取り機構24は常時駆動させず、金属基板上にある程度ナノカーボン17が成長した段階で回転させるようにするのが効果的である。
また、ナノカーボン生成炉10の下部側に位置する回転駆動軸21に掻取り羽根23bを設けるため、ブリッジしやすいナノカーボン生成炉10下部の生成ナノカーボン排出ノズル18近傍表面を掻き取ることができるようにもすることで、生成ナノカーボンの掻き取り、掻き落としと同時に生成ナノカーボンの排出ブリッジ防止も効果的に行うことができる。
本発明の第3の実施形態による縦型方式のナノカーボン生成炉は、図2の生成炉と比較して基本的な構成は同じであるので、図2を利用して説明する。
第3の実施形態に係るナノカーボン生成炉は、金属基板12の材質を鉄とし、鉄製の金属基板12の表面温度を炭化水素を連続的に均一に噴霧する状態で550〜700℃の範囲に設定したことを特徴とする。
図3は、本発明の第4の実施形態に係る縦型方式のナノカーボン生成炉の概略図である。なお、図1,2と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番31は、液体又は気体の状態の炭化水素を生成炉内に噴霧する為の炭化水素注入ノズルを示す。また、符番32は、液体又は気体の状態の炭化水素を通す為の炭化水素分散メッシュを示す。
図4は、本発明の第5の実施形態に係る縦型方式のナノカーボン生成炉の概略図である。なお、図1,2と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番33は、液体の状態の炭化水素を生成炉内に噴霧する為の炭化水素注入ノズルを示す。また、符番34は、電気ヒータ13の直近まで下げられた、液体の状態の炭化水素を通す為の炭化水素分散メッシュを示す。
図5は、本発明の第6の実施形態に係る縦型方式のナノカーボン生成炉の概略図である。なお、図1,2と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番35は、酸成分を含む炭化水素を生成炉内に噴霧する為の炭化水素注入ノズルを示す。また、符番36は、電気ヒータ13の直近まで下げられた、酸成分を含む炭化水素を通す為の炭化水素分散メッシュを示す。
図6は、本発明の第7の実施形態に係る縦型方式のナノカーボン生成炉の概略図である。なお、図1,2と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番37は、ナノカーボン生成炉内に水素を連続的に注入するための水素注入ノズルを示し、炭化水素注入ノズル15の近くに配置されている。
図6のナノカーボン生成炉は、還元雰囲気のナノカーボン生成炉10内の金属基板12の表面に噴霧する炭化水素を炭化水素注入ノズル15から噴霧するだけでなく、水素も水素注入ノズル37から噴霧することで金属基板表面を活性化させることを特徴とする。
図7は、本発明の第7の実施形態に係る縦型方式のナノカーボン生成炉の概略図である。なお、図1,2と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番38は、ナノカーボン生成炉内に水素を連続的に注入するための水蒸気注入ノズルを示し、炭化水素注入ノズル15の近くに配置されている。
本発明の第9の実施形態に係る縦型方式のナノカーボン生成炉は、基本的に図6と略同じであるので、図6を参照して説明する。なお、図1,2と同部材は同符番を付して説明を省略する。
第9の実施形態に係るナノカーボン生成炉は、図6に示すように、金属基板12の表面と掻き落とし機構24の一構成である掻取り羽根23aの縁部との隙間距離Δaを調整可能としたことを特徴とする。
1)加熱炉容器11の内面を均一に掻き取る構造に合わせて、掻き落とし機構24は掻取り羽根23aの根元を回転駆動軸21にねじを取り付け、このねじを回転させることでアーム長さH(回転駆動軸21の中心と掻取り羽根23aの縁部間の距離)を微調整する方法。
2)掻き落とし機構24の掻取り羽根23aの回転駆動軸21側に掻取り羽根23a取り付け冶具を設置し、その取り付け冶具の設置高さhを調整することでアーム長さHを微調整する方法。なお、図6では取り付け治具は図示されていないが、掻き取り羽根は取り付け治具を介して例えばねじにより回転駆動軸21に図中の左右方向に移動可能となるように取り付けられ、ねじにより設置高さhが調整できるようになっている。
4)掻取り羽根23aの先端の角度を微調整することで金属基板の表面と掻き落とし棒との隙間距離Δaを微調整する方法。
図8は、本発明の第10の実施形態に係る縦型方式のナノカーボン生成炉の概略図である。なお、図1,2,7と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番39は、ナノカーボン生成炉10内の金属基板12の表面温度T1を計測する第1の表面温度計であり、符番40は掻取り機構24の一構成である掻取り羽根23aの縁部の温度T2を計測する第2の表面温度計である。なお、図中の符番44は熱電対を示す。図8のナノカーボン生成炉10は、こうした表面温度計39,40によりCNT生成炉内の金属基板12の表面温度を、炭化水素を連続的に均一に噴霧する状態で550〜700℃の範囲に正確に設定できるようにすることを特徴とする。
図9は、本発明の第11の実施形態に係る縦型方式のナノカーボン生成炉の概略図である。なお、図1,2と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番41,42は、生成ナノカーボン排出ノズル18の下部に夫々設けられた上部ダンパー、下部ダンパーを示す。下部ダンパー42の下部には、生成ナノカーボンを収容するナノカーボン回収容器43が配置されている。
また、ナノカーボン生成炉の内部は運転中、還元雰囲気を確保しなくてはならず、外部との気密性を十分確保する為のシール構造等について考慮すべきことは言うまでもない。 更に、ナノカーボン生成炉の下部にはロータリーバルブ等を設置することで下部に落ちた生成ナノカーボンを安定的に払い出すことも可能であるが、その場合も、外部とのシール性能を高める為に、下部に上下2段のダブルダンパー(上部ダンパー、下部ダンパー)を設置し、その下部にナノカーボン回収容器等を設置して回収するようにする。
第12の実施形態に係る縦型方式のナノカーボン生成炉は、図9のナノカーボン生成炉と基本的に同じ構成であるので、図9を参照して説明する。なお、図1,2,9と同部材は同符番を付して説明を省略する。
第12の実施形態では、金属基板12は、鉄の純度の高い(99.5%以上)鉄板もしくは鉄を含んだ炭素鋼を用いることを特徴とする。
Claims (12)
- 還元雰囲気の加熱炉容器と、この加熱炉容器の外周部に配置された加熱源と、前記加熱炉容器の上流側に配置され,加熱炉容器内に炭化水素を噴霧する炭化水素注入ノズルと、前記加熱炉容器の下流側に配置された生成ナノカーボン排出ノズルとを具備し、加熱炉容器の内面に金属基板を配置して、炭化水素注入ノズルより炭化水素を連続的に噴霧することにより金属基板上で反応させてナノカーボンを成長させ、成長した生成ナノカーボンを金属基板から剥離させ、生成ナノカーボンを前記排出ノズルにより排出することを特徴とするナノカーボン生成炉。
- 前記金属基板表面に生成されたナノカーボンを掻き取る掻取り機構は前記加熱炉容器に配置され、この掻取り機構により金属基板の表面に成長したナノカーボンを掻き落とすことを特徴とする請求項1記載のナノカーボン生成炉。
- 前記金属基板の材質は鉄であり、この金属基板の表面温度は、炭化水素を連続的に均一に噴霧する状態で550〜700℃の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1若しくは2に記載のナノカーボン生成炉。
- 前記金属基板表面に噴霧する炭化水素は加熱炉容器内で加熱してガス状態とし、金属基板表面の温度を下げずに均一に噴霧されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載のナノカーボン生成炉。
- 前記金属基板表面に噴霧する炭化水素は、ガス状態で噴霧するだけでなく、液体状態で噴霧して加熱炉容器内で気化させることにより金属基板表面で反応させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のナノカーボン生成炉。
- 前記金属基板表面に噴霧する炭化水素を液体状態で加熱炉容器内に噴霧するようにし、その液体の炭化水素には酸成分を含み、金属基板表面から金属の微粒子が腐食して剥離しやすくすることで、金属基板表面での反応を促進させることを特徴とする請求項5に記載のナノカーボン生成炉。
- 前記金属基板表面に炭化水素を噴霧するだけでなく、水素も噴霧することで金属基板表面を活性化させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載のナノカーボン生成炉。
- 前記金属基板表面に噴霧する炭化水素を噴霧するだけでなく、水蒸気も噴霧することで金属基板表面を活性化させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載のナノカーボン生成炉。
- 前記掻取り機構は、加熱炉容器内の金属基板の表面の中心軸を中心に掻取り部材を回転させ、かつ金属基板の表面と掻取り部材との隙間距離を調整できるような構成であることを特徴とする請求項2に記載のナノカーボン生成炉。
- 前記金属基板の表面温度は、炭化水素を連続的に均一に噴霧する状態で550〜700℃の範囲に正確に設定できるように、金属基板の表面を計測する温度計測手段が設置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載のナノカーボン生成炉。
- 前記加熱炉容器のナノカーボン排出部にはナノカーボン排出用の上下2段のダブルダンパーが設置され、加熱炉容器内の温度が一定で還元雰囲気にしたままナノカーボンを加熱炉容器外に払い落とすことができる構成であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一に記載のナノカーボン生成炉。
- 金属基板は、鉄の純度の高い鉄板もしくは鉄を含んだ炭素鋼であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一に記載のナノカーボン生成炉。
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