JP5072887B2 - ナノカーボン生成装置 - Google Patents
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Description
本発明は、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、カーボンナノコイル等の有用性の高い繊維状のナノカーボンを効率的に製造するナノカーボン生成装置に関する。
周知の如く、カーボンナノチューブの生成法としては、例えばアーク放電法、レーザー蒸着法、化学気相成長法(CVD法)が挙げられる。
アーク放電法は、正負のグラファイト電極間にアーク放電を起こすことでグラファイトが蒸発し、陰極先端に凝縮したカーボンの堆積物の中にカーボンナノチューブが生成される方法である(例えば、特許文献1参照)。レーザー蒸着法は、高温に過熱した不活性ガス中に金属触媒を混合したグラファイト試料を入れ、レーザー照射することによりカーボンナノチューブを生成する方法である(例えば、特許文献2参照)。
一般に、アーク放電法やレーザー蒸発法では結晶性の良いカーボンナノチューブが生成できるが、生成するカーボンナノチューブの量が少なく大量生成に難しいとされる。
アーク放電法は、正負のグラファイト電極間にアーク放電を起こすことでグラファイトが蒸発し、陰極先端に凝縮したカーボンの堆積物の中にカーボンナノチューブが生成される方法である(例えば、特許文献1参照)。レーザー蒸着法は、高温に過熱した不活性ガス中に金属触媒を混合したグラファイト試料を入れ、レーザー照射することによりカーボンナノチューブを生成する方法である(例えば、特許文献2参照)。
一般に、アーク放電法やレーザー蒸発法では結晶性の良いカーボンナノチューブが生成できるが、生成するカーボンナノチューブの量が少なく大量生成に難しいとされる。
CVD法には、反応炉の中に入れた基板にカーボンナノチューブを生成させる基板法(例えば、特許文献1参照)と、触媒金属と炭素源を一緒に高温の炉に流動させカーボンナノチューブを生成する流動気相法(例えば、特許文献4参照)の二つの方法がある。
気相成長法について、図11を参照して説明する。図中の符番1は、内部に触媒2を担持する触媒担持基板3が配置された反応管を示す。反応管1の外周外側部には電気ヒータ4が配置されている。こうした構成の反応管1内に、該反応管1の一方側から原料(炭化水素)5を流し、反応管1の他方側から排気するようにすると、反応管1内部で炭化水素ガス6が発生し、カーボンナノチューブ7が形成される。なお、図11中の符番8は炭化水素ガスを示す。
次に、流動気相法について、図12を参照して説明する。但し、図11と同部材は同符番を付して説明を省略する。図12では、反応管1の一方側から原料である炭化水素5と共にキャリアガス8を流すことを特徴とする。これにより、電気ヒータ4が配置された部位に相当する反応管1内で炭化水素ガス6が発生し、カーボンナノチューブ7が形成される。
しかし、上記気相成長法は、バッジ処理であるので大量生産が難しい。また、流動気相法は、温度の均一性が低く結晶性の良いカーボンナノチューブを生成するのが難しいとされている。さらに、流動気相法の発展型として、高温の炉の中に、触媒兼用流動材で流動層を形成し、炭素原料を供給して繊維状のナノカーボンを生成する方法も提案されている。しかし、炉内の温度の均一性が低く結晶性の良いカーボンナノチューブを生成するのが難しいと考えられる。
しかして、純度及び安定性の高いカーボンナノチューブ、カーボンファイバー、カーボンナノコイル等の有用性の高い繊維状のナノカーボンを低コストで効率よく量産することができるようになれば、ナノカーボンの特性を生かしたナノテクノロジー製品を低コストで大量に供給することが可能になる。特に、これまでは特殊な触媒基板を製作し、その基板上で原料ガスと反応させてナノカーボンを生成したおり、長時間運転することで、その特殊な触媒基板が薄くなり、それ以上ナノカーボンが生成しなくなってしまう問題があった。
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、特殊な触媒基板等を用いずにしかも触媒用金属粉が殆ど混入することなく、純度及び安定性の高い高品質のカーボンナノチューブ、カーボンファイバー、カーボンナノコイル等の有用性の高い繊維状のナノカーボンを低コストで効率よく量産することができるナノカーボン生成炉を提供することを目的とする。また、本発明は、一定条件で運転することで、殆ど半永久的にナノカーボンを生成しつづけることができ、ナノカーボンを大量に供給することが可能なナノカーボン生成装置を提供することを目的とする。
本発明に係るナノカーボン生成装置は、還元雰囲気で縦向きに設置した加熱炉容器と、この加熱炉容器内に該容器と同心円状に傾斜角度をつけて多段に配置された円錐状板と、これらの多段の円錐状板の外周部に配置された加熱源と、前記加熱炉容器の上流側に配置され,加熱炉容器内に炭化水素と微量の微細金属触媒粉とを混合噴霧する炭化水素・触媒混合噴霧ノズルと、前記加熱炉容器の下流側に配置されたナノカーボン排出ノズルとを具備し、炭化水素・触媒混合噴霧ノズルより微細金属触媒粉の混合した金属触媒粉混合炭化水素を連続的又は間欠的に噴霧することにより円錐状板上で反応させてナノカーボンを成長させ、成長した生成ナノカーボンを円錐状板から剥離させ、生成ナノカーボンを下流側のナノカーボン排出ノズルにより排出することを特徴とする。
本発明によれば、純度及び安定性の高い高品質のカーボンナノチューブ、カーボンファイバー、カーボンナノコイル等の有用性の高い繊維状のナノカーボンを低コストで効率よく量産することができる。しかも一定条件で運転することで、殆ど半永久的にナノカーボンを生成しつづけることができ、ナノカーボンを大量に供給することが可能なナノカーボン生成装置を提供することができる。
以下、本発明のナノカーボン生成装置について詳細に説明する。
(1) 本発明のナノカーボン生成装置は、上述したように、加熱炉容器と、傾斜角度をつけて多段に配置された円錐状板と、加熱源と、炭化水素・触媒混合噴霧ノズルと、ナノカーボン排出ノズルとを具備し、炭化水素・触媒混合噴霧ノズルより微細金属触媒粉の混合した金属触媒粉混合炭化水素を噴霧することにより円錐状板上で反応させてナノカーボンを成長させ、成長した生成ナノカーボンを円錐状板から剥離させ、生成ナノカーボンを下流側のナノカーボン排出ノズルにより排出することを特徴とする。
(1) 本発明のナノカーボン生成装置は、上述したように、加熱炉容器と、傾斜角度をつけて多段に配置された円錐状板と、加熱源と、炭化水素・触媒混合噴霧ノズルと、ナノカーボン排出ノズルとを具備し、炭化水素・触媒混合噴霧ノズルより微細金属触媒粉の混合した金属触媒粉混合炭化水素を噴霧することにより円錐状板上で反応させてナノカーボンを成長させ、成長した生成ナノカーボンを円錐状板から剥離させ、生成ナノカーボンを下流側のナノカーボン排出ノズルにより排出することを特徴とする。
(2) 上記(1)において、前記炭化水素・触媒混合噴霧流体を前記多段円錐状板の各円錐状板を外側下向き傾斜、内側下向き傾斜にする等互い違いに流すように流路を形成する構成にすることが好ましい。これにより、各円錐状板上で生成したナノカーボンを自由落下と強制落下により加熱炉容器の下流から安定的に排出することができ、ナノカーボンを連続的に製造することができる。
(3) 上記(1)又は(2)において、炭化水素・触媒混合噴霧ノズルから触媒混合粉炭化水素を円錐状板にそれぞれ間欠的に混合噴霧することが好ましい。これにより、円錐状板で最適な条件の微細金属触媒粉の混合した触媒粉混合炭化水素を間欠的に噴霧できるので、良質のナノカーボンをより多く製造することができる。
(4) 上記(1)乃至(3)において、炭化水素・触媒混合噴霧ノズルは、円錐状板上部に触媒混合炭化水素をそれぞれ間欠的に噴きかける位置を1回ずつ変える機構を備えることが好ましい。これにより、各円錐状板上でのナノカーボンの成長がより効率的に促進され、良質のナノカーボンを連続的かつ効率的に製造することができる。
(5) 上記(1)乃至(4)において、前記多段円錐状板表面に生成されたナノカーボンに不活性ガスを間欠的に噴きかける不活性ガス供給手段を備え、前記多段円錐状板上部から不活性ガスを間欠的に噴きかけることにより、前記円錐状板表面の生成ナノカーボンを噴き落とし、生成ナノカーボンを下流側のナノカーボン排出ノズルより排出することが好ましい。これにより、円錐状板表面の生成ナノカーボンを安全で安定的に噴き落とし、ナノカーボンをナノカーボン排出ノズルより排出することができる。
(6) 上記(1)乃至(5)において、前記不活性ガス供給手段は、円錐状板上部から不活性ガスをそれぞれ間欠的に噴きかける位置を1回ずつ変える機構を備えることが好ましい。これにより、円錐状板上で生成したナノカーボンを加熱炉容器の下流から安定的に排出することができる。
(7) 上記(1)乃至(6)において、円錐状板表面に生成されたナノカーボンを掻き取る掻取り機構は加熱炉容器に配置され、この掻取り機構により各円錐状板の表面に成長したナノカーボンを掻き落とすことが好ましい。これにより、加熱炉容器内の各円錐状板の表面に成長したナノカーボンを効率的に掻き落とすことができ、加熱炉容器内でのナノカーボン生成反応が促進され、ナノカーボンの生成効率が高めた状態で、ナノカーボンを連続的に製造することができる。
(8) 上記(1)乃至(7)において、各円錐状板の傾き角度は運転中でも調整できるようにし、生成したナノカーボンを流下させる量、タイミングを調整できるようにすることが好ましい。これにより、掻き落とし後のナノカーボンの根本から更に連続的にナノカーボンが成長することで、良質のナノカーボンをより効率的に製造することができる。
(9) 上記(1)乃至(8)において、各円錐状板にはそれぞれ切欠き部を設け、各円錐状板上で生成したナノカーボンがその切欠き部から流下させるようにすることが好ましい。これにより、各円錐状板に成長したナノカーボンが残留することなく、円錐状板から流下させることができる。
(10) 上記(1)乃至(9)において、各円錐状板にはそれぞれ加熱炉容器との間に隙間部を設け、触媒混合炭化水素は内側中心軸側から流下させ、生成したナノカーボンは隙間部から落下させるようにすることが好ましい。これにより、各円錐状板に成長したナノカーボンを安定的に且つ効率的に製造することができる。
(11) 上記(1)乃至(10)において、前記炭化水素・触媒混合噴霧流体を、前記多段円錐状板を取り付ける中心軸内部から各円錐状板に均一に散布できるようにスプレーノズルを設置し、生成したナノカーボンは各円錐状板の外側から流下させるように流路を形成することが好ましい。これにより、各円錐状板に成長したナノカーボンを安定的に且つ効率的に製造することができる。
(12) 上記(1)乃至(11)において、前記多段円錐状板の材質を鉄とし、この円錐状板の表面温度を、金属触媒粉混合炭化水素を連続的に均一に噴霧する状態で500〜1200℃の範囲に設定することが好ましい。これにより、どのような炭化水素原料の種類であっても、その炭化水素原料にあった最適温度条件に設定することができ、安定的に高純度のナノカーボンを生成することができる。
(13) 上記(1)乃至(12)において、前記多段円錐状板表面に噴霧する金属触媒粉混合炭化水素は加熱炉容器内で加熱してガス状態とし、各円錐状板表面の温度を下げずに均一に噴霧することが好ましい。これにより、ナノカーボンを更に効率的に製造することができる。
(14) 上記(1)乃至(13)において、前記多段円錐状板表面に噴霧する金属触媒粉混合炭化水素は、ガス状態で噴霧するだけでなく、液体状態で噴霧して加熱炉容器内で気化させて各円錐状板表面で反応させることが好ましい。これにより、ナノカーボンを更に効率的且つ連続的に製造することができる。
(15) 上記(1)乃至(14)において、前記多段円錐状板表面に噴霧する金属触媒粉混合炭化水素を液体状態で加熱炉容器内に噴霧するようにし、その液体の金属触媒粉混合炭化水素には酸成分を含み、各円錐状板表面から金属の微粒子が腐食して剥離しやすくすることで、各円錐状板表面での反応を促進させることが好ましい。これにより、ナノカーボンを更に効率的且つ連続的に製造することができる。
(16) 上記(1)乃至(15)において、前記掻取り機構は、加熱炉容器内の各円錐状板の表面の中心軸を中心に掻取り部材を回転させ、かつ各円錐状板の表面と掻取り部材との隙間距離を調整できるような構成にすることが好ましい。これにより、ナノカーボンを更に効率的に連続的に製造することができる。
(17) 上記(1)乃至(16)において、前記加熱炉容器内に噴霧する炭化水素としては、木質系材料等のバイオマス材料を熱分解して生成するバイオマスオイルが挙げられる。これにより、木質系材料等のバイオマス材料から生成したバイオマスオイルから、低コストで手軽に高品質のナノカーボンを連続的に製造することができる。
(18) 上記(17)において、前記炭化水素は、木質系材料等のバイオマス材料を熱分解して生成するバイオマスオイルとし、バイオマスオイル中の水分を除去した炭素成分の多い状態とすることが好ましい。これにより、木質系材料等のバイオマス材料から低コストで手軽に高品質のナノカーボンを更に効率的且つ連続的に製造することができる。
(19) 上記(1)乃至(16)において、前記加熱炉容器内に噴霧する炭化水素は、木質系材料等のバイオマス材料を熱分解して生成するバイオマスガスが挙げられる。これにより、バイオマス材料から直接、低コストで手軽に高品質のナノカーボンを連続的に生成することができる。
(20) 上記(19)において、前記炭化水素は、木質系材料等のバイオマス材料を熱分解して生成するバイオマスガスとし、バイオマスガス中の水蒸気分を除去した炭素成分の多い状態とすることが好ましい。これにより、バイオマス材料から直接、低コストで手軽に高品質のナノカーボンを更に効率的且つ連続的に生成することができる。
次に、本発明のナノカーボン生成装置の実施形態について説明する。但し、本実施形態は下記に述べることに限定されない。
(第1の実施形態)
図1(A),(B),(C)を参照する。ここで、図1(A)は第1の実施形態に係るナノカーボン生成装置の全体図、図1(B)は図1(A)のX−X線に沿う断面図、図1(C)は図1(A)のY−Y線に沿う断面図である。
図中の符番10はナノカーボン生成炉で、内部が還元雰囲気の縦型の加熱炉容器(内筒)11を備えている。この加熱炉容器11の内部には、該容器11の中心軸に駆動軸回転モータにより回転する加熱炉掻き落とし羽根回転軸(以下、回転軸と呼ぶ)12が設置されている。前記回転軸12には円錐状板13aが同心円状に傾斜角度をつけて多段に固定され、前記加熱炉容器11の内側には円錐状板13bが多段に固定されている。ここで、円錐状板13aと円錐状板13bは下又は上から交互に配置されている。また、一方の円錐状板13aの断面形状は「ハの字状」であり、他方の円錐状板13bの断面形状は「逆ハの字状」である。即ち、円錐状板13aは外側に向けて下向きに傾斜しており、円錐状板13bは内側に向けて下向きに傾斜している。
(第1の実施形態)
図1(A),(B),(C)を参照する。ここで、図1(A)は第1の実施形態に係るナノカーボン生成装置の全体図、図1(B)は図1(A)のX−X線に沿う断面図、図1(C)は図1(A)のY−Y線に沿う断面図である。
図中の符番10はナノカーボン生成炉で、内部が還元雰囲気の縦型の加熱炉容器(内筒)11を備えている。この加熱炉容器11の内部には、該容器11の中心軸に駆動軸回転モータにより回転する加熱炉掻き落とし羽根回転軸(以下、回転軸と呼ぶ)12が設置されている。前記回転軸12には円錐状板13aが同心円状に傾斜角度をつけて多段に固定され、前記加熱炉容器11の内側には円錐状板13bが多段に固定されている。ここで、円錐状板13aと円錐状板13bは下又は上から交互に配置されている。また、一方の円錐状板13aの断面形状は「ハの字状」であり、他方の円錐状板13bの断面形状は「逆ハの字状」である。即ち、円錐状板13aは外側に向けて下向きに傾斜しており、円錐状板13bは内側に向けて下向きに傾斜している。
前記加熱炉容器11内で且つ回転軸12には、生成したナノカーボン14を掻き落とすための回転羽根15が前記円錐状板13bよりの上方に位置するように設けられている。加熱炉容器11の内壁には、生成したナノカーボン14を掻き落とすための断面が円錐形状の固定羽根16が前記円錐状板13aの上方に位置するように設けられている。加熱炉容器11の外周部には、加熱炉容器内を加熱するために加熱源としての加熱ジャケット17が配置されている。この加熱ジャケット17は、加熱炉容器11の外周部に配置された装置、プラント等の排熱を利用する熱風等を加熱源とする。加熱ジャケット17の外側には、加熱炉容器11の内部を保温するために保温材18が配置されている。
加熱炉容器11の上流側には、加熱炉容器11内に炭化水素と微量の微細金属触媒粉とを混合注入する炭化水素・触媒混合注入ノズル(以下、注入ノズルと呼ぶ)19が配置されている。加熱炉容器11の下流側には、円錐状板13a,13bに生成されたナノカーボン14を排出するナノカーボン排出ノズル(以下、排出ノズルと呼ぶ)20が配置されている。前記回転軸12の上部には、金属触媒粉混合炭化水素を散布するための散布ノズル21が設けられている。この散布ノズル21は、注入ノズル19に接続されている。
こうした構成のナノカーボン生成炉の動作について説明する。
金属触媒粉混合炭化水素は、注入ノズル19から散布ノズル21を経由して連続的に或いは間欠的に噴霧する。これにより、ナノカーボン生成炉10内の加熱炉容器11内に配置した円錐状板13a,13b上、或いは、前記加熱炉容器11内面で反応させてナノカーボン14を成長させる。ナノカーボン生成炉10内の上部で噴霧された微細金属触媒粉混合炭化水素は、ナノカーボン生成炉10内の加熱炉容器11内に配置した円錐状板13a,13b上、或いは、前記加熱炉容器11内面で反応させることで、ナノカーボン14が短時間で大量合成する。ナノカーボン14の成長につれて反応する微細金属微粒子が空間に剥離し、僅かに剥離した微細金属微粒子が分離する。分離した微細金属微粒子から新たにナノカーボンは、生成,成長することを繰り返すことで加速度的にナノカーボンが生成,成長し、純度の高いナノカーボンが大量に合成できる。
金属触媒粉混合炭化水素は、注入ノズル19から散布ノズル21を経由して連続的に或いは間欠的に噴霧する。これにより、ナノカーボン生成炉10内の加熱炉容器11内に配置した円錐状板13a,13b上、或いは、前記加熱炉容器11内面で反応させてナノカーボン14を成長させる。ナノカーボン生成炉10内の上部で噴霧された微細金属触媒粉混合炭化水素は、ナノカーボン生成炉10内の加熱炉容器11内に配置した円錐状板13a,13b上、或いは、前記加熱炉容器11内面で反応させることで、ナノカーボン14が短時間で大量合成する。ナノカーボン14の成長につれて反応する微細金属微粒子が空間に剥離し、僅かに剥離した微細金属微粒子が分離する。分離した微細金属微粒子から新たにナノカーボンは、生成,成長することを繰り返すことで加速度的にナノカーボンが生成,成長し、純度の高いナノカーボンが大量に合成できる。
円錐状板13a,13bの表面から剥離する微細金属微粒子、また、ナノカーボンに含まれる微細金属微粒子はほんの僅かである。そして、噴霧された金属触媒粉混合炭化水素中の金属触媒粉を核として、微細金属微粒子と炭化水素とが反応してナノカーボンが生成,成長を連続的に繰り返す。これにより、ナノカーボン生成炉10の上部の金属触媒粉混合炭化水素を注入ノズル19から散布ノズル21を経由して連続的に噴霧し続けることで、ナノカーボン生成炉内、及び、円錐状板13a,13b上で反応を繰り返しナノカーボンが連続的に生成,成長を連続的に繰り返す。
即ち、ナノカーボン生成炉10内、及び、前記加熱炉容器11内面の円筒状の容器材料、加熱炉容器内に配置した円錐状板13a,13b上では微細金属触媒粉を構成する触媒粒子が核となり、噴霧された金属触媒粉混合炭化水素と高温状態で反応し、気相成長法によりナノカーボンが生成、成長する。ナノカーボン生成炉10内面は均一に加熱されるとともに、炭化水素も均一に噴霧されることで、ナノカーボン生成炉10内で斑なく均一にナノカーボンが生成,成長できる。これにより、特殊な金属基板等を保持せずとも、金属触媒粉混合炭化水素を供給するのみで、安定的にナノカーボンを連続的に製造することができることになる。
なお、円錐状板13a、回転羽根15は回転軸12に固定されており、回転軸12が回転することで、円錐状板13a上で成長したナノカーボンは固定羽根16により掻き落とされる。また、円錐状板13b上で成長したナノカーボンは、回転軸12が回転することで回転羽根15により掻き落とされ、剥離され、夫々下流側に流下する。
ところで、円錐状板13a,13b自体には触媒の機能を持たせることも可能である。例えば、円錐状板13a,13bの材質を鉄とすることで、この円錐状板13a,13b自体に触媒機能を持たせることもできる。但し、本発明においては、加熱炉容器11の上流側に加熱炉容器11内に炭化水素と微量の微細金属触媒粉とを混合して噴霧する注入ノズル19が配置され、ここから微細金属触媒粉の混合した金属触媒粉混合炭化水素を注入され、注入する炭化水素中には微量の微細金属触媒粉を混合している。そのため、円錐状板13a,13bは、常時金属触媒の機能を保持する必要はない。
この微細金属触媒粉の混合した金属触媒粉混合炭化水素中に混合する微細金属触媒粉は、ナノカーボン生成の核としての機能を持たせるために微量混合すればよく、炭化水素に比べて十分に微量なレベルである。微細金属触媒粉は、炭化水素との混合に際しては炭化水素が液体である場合、例えば炭化水素液中に微量の微細金属触媒粉を注入し、攪拌、混合させることで、炭化水素液中に注入した微細金属触媒粉が十分に均一に拡散されて混合させる。炭化水素中に混合する微細金属触媒粉の量としては、炭化水素に対する微細金属触媒粉の比率が、1/10万〜1000万程度の微小レベルで十分であり、特に炭化水素が液体の場合、炭化水素の容器に微小レベルの微細金属触媒粉を添加し均一攪拌する程度で十分である。
なお、微細金属触媒粉の添加量が多いと、ナノカーボンの生成量は高まるが、生成ナノカーボン中に微細金属触媒粉が含まれ、局所的に純度が低くなるという問題がある。この為、微細金属触媒粉の添加比率は極力下げて、微細金属触媒粉が殆ど含まれていない純度の高いナノカーボンが生成するよう、炭化水素原料の種類と添加する微細金属触媒粉の種類の組合せにより、その組合せ条件での最適な金属触媒粉添加比率を見極めることが重要とある。
これにより、前記加熱炉容器11内面の円錐状板13a,13bの材料は、円錐状板13a,13b自体が触媒としての機能を有しなくても、耐熱性を有し且つある程度表面が滑らかで熱変形しない材質でありさえすれば問題なく、金属触媒粉混合炭化水素を供給するのみで、安定的にナノカーボンを生成することができる。
上記したように、第1の実施形態によれば、加熱炉容器11と、この加熱炉容器11の外周部に配置された加熱ジャケット17と、加熱炉容器11の上部側に配置され,加熱炉容器11内に金属触媒粉混合炭化水素を噴霧する注入ノズル19と、加熱炉容器11の下流側に配置された排出ノズル20とを具備し、加熱炉容器11内に、注入ノズル19より散布スプレー21を経て金属触媒粉混合炭化水素を連続的に噴霧することにより加熱炉容器11内で反応させてナノカーボンを成長させ、成長した生成ナノカーボンを前記排出ノズル20により排出する構成となっている。従って、純度及び安定性の高い高品質のナノカーボンを低コストで効率よく量産することができる。
また、図1においては、炭化水素・触媒混合噴霧流体を、加熱炉容器11内に多段に配置した各円錐状板13a,13bを外側下向き傾斜、内側下向き傾斜にする等互い違いに流すように流路を形成するようにしている。これにより、円錐状板13a,13b上で生成、分離したナノカーボンは、自由落下と回転軸12が回転することの強制落下の影響で下流側に流下し、加熱炉容器11の下流側に配置された排出ノズル20に排出される。
なお、第1の実施形態では、加熱源として装置、プラント等の排熱を利用する熱風等を加熱源とする加熱ジャケット17を用いた場合について述べたが、これに限らず、装置、プラント等の排熱を利用して発電しその電気を利用して加熱する加熱電気ヒータ等を利用し、ナノカーボン製造装置全体の効率、システム全体の効率化を図るようにしてもよい。
また、設計上、注入ノズル19を経て散布ノズル21から噴霧する流量がナノカーボンの生成に最適となるように、炭化水素の噴霧流量を制御する為に炭化水素ヘッダーへの炭化水素供給配管に流量計、流量調整バルブを設置したりすることは適宜実施可能である。
更に、加熱炉容器11の上流側の注入ノズル19から連続的に噴霧する金属触媒粉混合炭化水素は、連続的に噴霧する必要はなく、間欠的に散布する方がナノカーボン生成効率の点で優れる。これは、上から金属触媒粉混合炭化水素を噴霧しないタイミングの方が円錐状板13a,13bからの微細金属粒子の剥離が促進されるためである。従って、円錐状板13a,13b上のナノカーボンとの成長状況、加熱炉容器11内から流下するナノカーボンの分量、状況等により、炭化水素を噴霧する時間の問隔、噴霧しないタイミング、金属触媒粉混合炭化水素の噴霧量、金属触媒粉と炭化水素の混合比率等を適宜調整する。
更に、図1においては、ナノカーボン生成装置は縦型方式とし、注入ノズルを上部に、排出ノズルを下部に設置している。しかし、横型方式、或いは、斜め設置方式とし、加熱ジャケットから加熱する還元雰囲気のナノカーボン生成炉内に同心円状の内筒内面に円錐状板を密着して配置するようにし、生成ナノカーボンの排出方式等を工夫することで、効率的にナノカーボンを連続的に製造するようにしてもよい。
(第2の実施形態)
図2を参照する。図2は、本発明の第2の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図である。ここで、図2のX−X線に沿う断面図は図1(B)となり、図2のY−Y線に沿う断面図は図1(C)となるので、断面図の記載を省略する。また、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図2を参照する。図2は、本発明の第2の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図である。ここで、図2のX−X線に沿う断面図は図1(B)となり、図2のY−Y線に沿う断面図は図1(C)となるので、断面図の記載を省略する。また、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図2においては、回転軸12は中空になっており、回転軸12に複数の散布ノズル21a,21b,21c,21d,21e,21fが設けられている。微量の金属触媒粉を混合した炭化水素は、注入ノズル19から注入され、回転軸12の中を経由して、複数の円錐状板13a,13b上に噴霧する散布ノズル21a〜21fに連続的に又は間欠的に混合噴霧される。
複数の散布ノズル21a〜21fから連続的に又は間欠的に混合噴霧された微量の金属触媒粉を混合した炭化水素は、各円錐状板13a,13b上でナノカーボンが生成,成長する。そして、第1の実施形態での説明と同様に、注入ノズル19より微細金属触媒粉の混合した金属触媒粉混合炭化水素を連続的又は間欠的に注入し、各円錐状板13a,13b上で反応させて微細金属触媒粉を核としてナノカーボンを成長させ、回転軸12が回転することで成長した生成ナノカーボン14を各円錐状板13a,13bから剥離させ、生成ナノカーボン14を下流側の排出ノズル20により排出させる。
なお、円錐状板13a、回転羽根15は回転軸12に固定されており、回転軸12が回転することで、円錐状板13a上で成長したナノカーボンは回転軸12が回転することで固定羽根16により掻き落とされ、円錐状板13b上で成長したナノカーボンは回転軸12が回転することで回転羽根15により掻き落とされ、剥離され、夫々下流側に流下する。
第2の実施形態によれば、各円錐状板13a,13b上に微量の金属触媒粉を混合した炭化水素が同一条件で各円錐状板13a,13b上に直接噴霧されるため、より効率的に良質のナノカーボンを連続的に製造することができ、各多段円錐状板上で生成したナノカーボンを前記加熱炉容器の下流から安定的に排出することができる。また、各円錐状板13a,13b上で最適な条件の微細金属触媒粉の混合した金属触媒粉混合炭化水素を連続的又は間欠的に噴霧させることもできるため、良質のナノカーボンをより多く製造することができる。
(第3の実施形態)
図3を参照する。図3は、本発明の第3の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図である。ここで、図3のX−X線に沿う断面図は図1(B)となり、図3のY−Y線に沿う断面図は図1(C)となるので、断面面の記載を省略する。また、図1,図2と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図3を参照する。図3は、本発明の第3の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図である。ここで、図3のX−X線に沿う断面図は図1(B)となり、図3のY−Y線に沿う断面図は図1(C)となるので、断面面の記載を省略する。また、図1,図2と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図3のナノカーボン生成装置においては、前記散布スプレー21(21a〜21f)は、多段に配置された円錐状板13a,13bの上部に触媒混合炭化水素をそれぞれ間欠的に噴きかける位置を1回ずつ変える機構(図3の(1)群の散布スプレー噴きかけ時は図3の(2)群の散布スプレー噴きかけを停止し、図3の(2)群の散布スプレー噴きかけ時は図3の(1)群の散布スプレー噴きかけを停止する機構)を備えている。図3の場合は、下向き、上向きに互い違いに配置された各円錐状板13a,13bの上部に触媒混合炭化水素をそれぞれ間欠的に噴きかける際に、1回目は散布スプレー21a,21c,21e(図3中の(1)の位置)から下向きの円錐状板13bの上部に、2回目は散布スプレー21b,21d,21f(図3中の(2)の位置)から上向きの円錐状板13aの上部に、その次の3回目は1回目と同じく散布スプレー21a,21c,21eから下向きの円錐状板13bの上部にという順に噴きかけるようにしたものである。
第3の実施形態によれば、各円錐状板13a,13b上に微量の金属触媒粉を混合した炭化水素が、同一条件で各円錐状板13a,13b上に直接噴霧される際に、各円錐状板13a,13b上に同時に直接噴霧するのではなく、各円錐状板13a,13b上に直接噴霧するタイミングをずらして、各円錐状板である程度ナノカーボンが成長し、成長したナノカーボンが固定羽根16により掻き落とされたタイミングで各円錐状板13a,13b上に互い違いに直接噴霧される。従って、各円錐状板13a,13b上でのナノカーボンの成長がより効率的に促進され、良質のナノカーボンを連続的に製造することができ、各円錐状板13a,13b上で生成したナノカーボンを前記加熱炉容器11の下流から安定的に排出することができる。また、各円錐状板13a,13b上で最適な条件の微細金属触媒粉の混合した金属触媒粉混合炭化水素を連続的又は間欠的に噴霧させることもできるため、良質のナノカーボンをより多く製造することができる。
(第4の実施形態)
図4(A),(B)を参照する。ここで、図4(A)は、本発明の第4の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図、図4(B)は図4(A)のX−X線に沿う断面図である。但し、図1〜図3と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番31は、回転軸12内に不活性ガスを供給する不活性ガス注入ノズル(不活性ガス供給手段)を示す。また、加熱炉容器11の内壁に沿って羽根回転軸32が配置され、この羽根回転軸32に生成したナノカーボンを掻き落とすために掻き落とし羽根33が固定されている。ここで、羽根回転軸32は、先端部が回転軸12側から加熱炉容器11の内壁に位置するまで回動する。掻き落とし羽根33は円錐状板13aと略平行となるように配置されている。なお、前記羽根回転軸32及び掻き落とし羽根33を総称して掻取り機構と呼ぶ。
図4(A),(B)を参照する。ここで、図4(A)は、本発明の第4の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図、図4(B)は図4(A)のX−X線に沿う断面図である。但し、図1〜図3と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番31は、回転軸12内に不活性ガスを供給する不活性ガス注入ノズル(不活性ガス供給手段)を示す。また、加熱炉容器11の内壁に沿って羽根回転軸32が配置され、この羽根回転軸32に生成したナノカーボンを掻き落とすために掻き落とし羽根33が固定されている。ここで、羽根回転軸32は、先端部が回転軸12側から加熱炉容器11の内壁に位置するまで回動する。掻き落とし羽根33は円錐状板13aと略平行となるように配置されている。なお、前記羽根回転軸32及び掻き落とし羽根33を総称して掻取り機構と呼ぶ。
第4の実施形態によれば、各円錐状板13a上でナノカーボンが成長した時点で、不活性ガス注入ノズル31より不活性ガスを間欠的に噴きかけることにより、その流量、噴きかける向き等を変えることにより、円錐状板13a表面の生成ナノカーボンを安全で安定的に噴き落とし、生成ナノカーボンを下流側の排出ノズル20より排出することができる。
(第5の実施形態)
図5を参照する。ここで、図5は、本発明の第5の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図である。なお、図5のX−X線に沿う断面図は図4(B)であるので、断面図の記載を省略する。また、図1〜図4と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図5のナノカーボン生成装置においては、不活性ガス注入ノズル31は、多段に配置された円錐状板13aの上部から不活性ガスをそれぞれ間欠的に噴きかける位置を1回ずつ変える機構を備えるようにしたものである。即ち、1回目は散布ノズル21a,21c,21eから円錐状板13aの上部に、2回目は散布ノズル21b,21dから円錐状板13aの上部に、その次の3回目は1回目と同じく散布ノズル21a,21b,21eから円錐状板13aの上部にという順に噴きかけるようにした。
図5を参照する。ここで、図5は、本発明の第5の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図である。なお、図5のX−X線に沿う断面図は図4(B)であるので、断面図の記載を省略する。また、図1〜図4と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図5のナノカーボン生成装置においては、不活性ガス注入ノズル31は、多段に配置された円錐状板13aの上部から不活性ガスをそれぞれ間欠的に噴きかける位置を1回ずつ変える機構を備えるようにしたものである。即ち、1回目は散布ノズル21a,21c,21eから円錐状板13aの上部に、2回目は散布ノズル21b,21dから円錐状板13aの上部に、その次の3回目は1回目と同じく散布ノズル21a,21b,21eから円錐状板13aの上部にという順に噴きかけるようにした。
第5の実施形態によれば、不活性ガスを各円錐状板13a上に直接噴きかける際に、各円錐状板13a上に同時に直接噴きかけるのではなく、各円錐状板13a上に直接噴きかけるタイミングをずらして、各円錐状板である程度ナノカーボンが成長し、成長したナノカーボンが掻き落とし羽根33により掻き落とされたタイミングで各円錐状板13a上に互い違いに直接噴きかける。従って、各円錐状板13a上でのナノカーボンの成長がより効率的に促進され、良質のナノカーボンを連続的に製造することができ、各円錐状板13a上で生成したナノカーボン14を加熱炉容器11の下流から安定的に排出することができる。また、各円錐状板13a上で最適な条件で不活性ガスを噴きかけることもできるため、良質のナノカーボンをより効率的に製造することができる。
(第6の実施形態)
図6を参照する。ここで、図6は、本発明の第6の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図である。なお、図6のX−X線に沿う断面図は図4(B)であるので、断面図の記載を省略する。また、図1〜図5と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図6のナノカーボン生成装置は、前記多段円錐状板表面に生成されたナノカーボンを掻き取る掻取り機構(ここでは、生成ナノカーボン掻き落とし羽根33)を前記加熱炉容器内に配置し、この掻き落とし羽根33により、各円錐状板13aの表面に成長したナノカーボンを掻き落とすようにした構成となっている。
図6を参照する。ここで、図6は、本発明の第6の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図である。なお、図6のX−X線に沿う断面図は図4(B)であるので、断面図の記載を省略する。また、図1〜図5と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図6のナノカーボン生成装置は、前記多段円錐状板表面に生成されたナノカーボンを掻き取る掻取り機構(ここでは、生成ナノカーボン掻き落とし羽根33)を前記加熱炉容器内に配置し、この掻き落とし羽根33により、各円錐状板13aの表面に成長したナノカーボンを掻き落とすようにした構成となっている。
第6の実施形態によれば、各円錐状板13aである程度ナノカーボンが成長した段階で、成長したナノカーボンを掻き落とし羽根33により効率的に掻き落とすことができる。尚、図6の場合は、掻き落とし羽根33は羽根回転軸32を中心軸に回転するようになっており、各円錐状板13aがゆっくりと回転する際に、掻き落とし羽根33が各円錐状板13aと直接接触しない程度に離して掻き落とすことにより、生成・成長したナノカーボンを安定的に掻き落とすことができる。これにより、掻き落とし後のナノカーボンの根元から更に連続的にナノカーボンが成長することで、良質のナノカーボンをより効率的に製造することができる。
(第7の実施形態)
図7を参照する。ここで、図7は、本発明の第7の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図である。なお、図7のX−X線に沿う断面図は図4(B)であるので、断面図の記載を省略する。また、図1〜図6と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図7のナノカーボン生成装置は、多段に配置された円錐状板13aの傾き角度を運転中でも調整できるようにし、生成したナノカーボンを流下させる量、タイミングを調整できるようにした構成となっている。図7中の破線部分13’が円錐状板13aを実線部分より傾斜を急にさせた状態である。
図7を参照する。ここで、図7は、本発明の第7の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図である。なお、図7のX−X線に沿う断面図は図4(B)であるので、断面図の記載を省略する。また、図1〜図6と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図7のナノカーボン生成装置は、多段に配置された円錐状板13aの傾き角度を運転中でも調整できるようにし、生成したナノカーボンを流下させる量、タイミングを調整できるようにした構成となっている。図7中の破線部分13’が円錐状板13aを実線部分より傾斜を急にさせた状態である。
第7の実施形態によれば、各円錐状板13a上で最適な条件で微細金属触媒粉の混合した金属触媒粉混合炭化水素が振りかかるように、各円錐状板13aの傾き角度が運転中でも調整できるため、ナノカーボンの最適成長速度に簡単に見出すことができ、また、生成したナノカーボンを流下させる量、タイミングも調整できるようにすることで、更にナノカーボンの最適成長速度に簡単に見出すことができる。
また、各円錐状板13aである程度ナノカーボンが成長した段階で、各円錐状板13aの傾き角度を調整することもできるため、掻き落とし後のナノカーボンの根元から更に連続的にナノカーボンが成長することで、良質のナノカーボンをより効率的に製造することができる。
(第8の実施形態)
図8(A),(B),(C)を参照する。ここで、図8(A)は、本発明の第8の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図、図8(B)は図8(A)のX−X線に沿う断面図、図8(C)は図8(A)のY−Y線に沿う断面図である。但し、図1〜図7と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図8のナノカーボン生成装置は、多段に配置された各円錐状板13a,13bにはそれぞれ切欠き部34を設け、各円錐状板13a,13b上で生成したナノカーボンがその切欠き部34から流下させるようにした構成となっている。なお、切欠き部34は、一方の円錐状板13aでは回転軸12側に、また他方の円錐状板13bは加熱炉容器11の内壁側で、かつ回転軸12の軸方向に沿って重なるように形成成されている。
図8(A),(B),(C)を参照する。ここで、図8(A)は、本発明の第8の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図、図8(B)は図8(A)のX−X線に沿う断面図、図8(C)は図8(A)のY−Y線に沿う断面図である。但し、図1〜図7と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図8のナノカーボン生成装置は、多段に配置された各円錐状板13a,13bにはそれぞれ切欠き部34を設け、各円錐状板13a,13b上で生成したナノカーボンがその切欠き部34から流下させるようにした構成となっている。なお、切欠き部34は、一方の円錐状板13aでは回転軸12側に、また他方の円錐状板13bは加熱炉容器11の内壁側で、かつ回転軸12の軸方向に沿って重なるように形成成されている。
第8の実施形態によれば、各円錐状板13a,13bである程度ナノカーボンが成長した段階で、成長したナノカーボンを固定羽根16により掻き落とす際に、各円錐状板13a,13bで成長したナノカーボンを固定羽根16が掻き落とし、掻き落とされた生成ナノカーボンが切欠き部34から下部に流下し、各円錐状板13a,13bに残留することなく各円錐状板から流下させることができる。
ところで、図8の場合は、回転軸12はナノカーボン生成炉10の中心に設置されており、この回転軸12を中心に回転するようになっている。そして、各円錐状板13a,13bがゆっくりと回転する際に、固定羽根16が各円錐状板13a,13bと直接接触しない程度に離して掻き落とすことにより、生成・成長したナノカーボンを安定的に掻き落とすことができる。これにより、掻き落とし後のナノカーボンの根元から更に連続的にナノカーボンが成長することで、良質のナノカーボンをより効率的に製造することができる。
なお、第8の実施形態において、各円錐状板13a(又は13b)の夫々に形成される切欠き部34の位置は回転軸12の軸方向に沿って重なるように形成されている場合について述べたが、これに限らず、例えば加熱炉容器の内周方向にずれて形成されていてもよい。また、円錐状板13a又は円錐状板13bの一方のみに切欠き部が形成されている場合でもよい。
(第9の実施形態)
図9を参照する。ここで、図9は、本発明の第9の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図である。なお、図9のX−X線に沿う断面図は図4(B)であるので、断面図の記載を省略する。また、図1〜図8と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図9のナノカーボン生成装置は、多段円錐状板の各円錐状板12にはそれぞれ加熱炉容器11との間の各円錐状板13a外側に隙間部35を設け、触媒混合炭化水素は内側中心軸側から流下させ、生成したナノカーボンは隙間部35から落下させるようにした構成となっている。また、図9では、炭化水素・触媒混合噴霧流体を円錐状板13a、羽根回転軸32側から各円錐状板13aに均一に散布できるように噴霧スプレーノズル36を設置し、生成したナノカーボンは各円錐状板13aの外側から流下させるように流路を形成するように構成した。噴霧スプレーノズル36は、各散布ノズル21a〜21eの先端に夫々接続されている。
図9を参照する。ここで、図9は、本発明の第9の実際形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の概略図である。なお、図9のX−X線に沿う断面図は図4(B)であるので、断面図の記載を省略する。また、図1〜図8と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図9のナノカーボン生成装置は、多段円錐状板の各円錐状板12にはそれぞれ加熱炉容器11との間の各円錐状板13a外側に隙間部35を設け、触媒混合炭化水素は内側中心軸側から流下させ、生成したナノカーボンは隙間部35から落下させるようにした構成となっている。また、図9では、炭化水素・触媒混合噴霧流体を円錐状板13a、羽根回転軸32側から各円錐状板13aに均一に散布できるように噴霧スプレーノズル36を設置し、生成したナノカーボンは各円錐状板13aの外側から流下させるように流路を形成するように構成した。噴霧スプレーノズル36は、各散布ノズル21a〜21eの先端に夫々接続されている。
第9の実施形態によれば、円錐状板13a、羽根回転軸32側から触媒混合炭化水素を散布することで、各円錐状板13a上でナノカーボンを成長させ、この各円錐状板13aに外側に向けて傾斜が付いている。従って、各円錐状板13aに成長したナノカーボンが各円錐状板13aの外側に形成された流路から流下して、排出ノズル20より排出される。これにより、散布する触媒混合炭化水素の散布方向と生成ナノカーボンの流下方向が一致することで、ナノカーボンの各円錐状板13a上の生成が促進されるとともに、各円錐状板13a上で生成したナノカーボンを安定的に排出することができる。
なお、生成したナノカーボンが流下しやすくするため、各円錐状板13aの傾斜角度を大きくしたり、加熱炉容器11内面と各円錐状板13aの外側との隙間を広くしたり、この隙間に不活性ガスを間欠的に噴きかけ、生成ナノカーボンの安定的流下を図る設計上の創意工夫等も考える。
これにより、ナノカーボンの生成が促進されるとともに、生成したナノカーボンを安定的に排出でき、良質のナノカーボンをより効率的に製造することができる。
(第10の実施形態)
図9を参照する。但し、図1〜図8と同部材は同符番を付して説明を省略する。
第10の実施形態に係るナノカーボン生成装置は、第9の実施形態のナノカーボン生成炉と比べ、各円錐状板13aの材質を鉄とし、この円錐状板13aの表面温度を、金属触媒粉混合炭化水素を連続的に均一に噴霧する状態で500〜1200℃の範囲に設定するようにした点が異なるのみで、他は第9の実施形態の生成炉と同様な構成である。
図9を参照する。但し、図1〜図8と同部材は同符番を付して説明を省略する。
第10の実施形態に係るナノカーボン生成装置は、第9の実施形態のナノカーボン生成炉と比べ、各円錐状板13aの材質を鉄とし、この円錐状板13aの表面温度を、金属触媒粉混合炭化水素を連続的に均一に噴霧する状態で500〜1200℃の範囲に設定するようにした点が異なるのみで、他は第9の実施形態の生成炉と同様な構成である。
前記各円錐状板13aの表面温度をなるべく低くし、ナノカーボン生成炉全体の効率を高めることができるのが良い。しかし、発明者等は、これまでの試験研究より、微量の金属触媒粉の混合した金属触媒粉混合炭化水素の金属触媒粉を鉄とし、前記各円錐状板13aの表面温度を800℃以上に高めなくても、550〜700℃の範囲に設定することで、最も効率的に高純度のカーボンナノチューブを生成できることを検証している。
但し、炭化水素原料中に水分が含まれているような場合や炭化水素原料自体の種類によっては、前記各円錐状板13aの表面温度を1200℃程度まで高めなくては高純度のカーボンナノチューブは生成しないことも検証している。
第10の実施形態によれば、円錐状板13aの表面温度を500〜1200℃の範囲に設定するようにした構成であるので、どのような炭化水素の種類であっても、また、バイオマス由来のバイオマス、バイオエタノール等の液体炭化水素原料中の水分が変動する場合等であっても、その炭化水素原料にあった最適温度条件に設定することができ、安定的に高純度のカーボンナノチューブを生成させることができる。
(第11の実施形態)
図9を参照する。但し、図1〜図8と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図9を参照する。但し、図1〜図8と同部材は同符番を付して説明を省略する。
第10の実施形態に係るナノカーボン生成装置は、第9の実施形態のナノカーボン生成炉と比べ、多段に配置された円錐状板12a表面に噴霧する金属触媒粉混合炭化水素を加熱炉容器11内で加熱してガス状態とし、各円錐状板12a表面の温度を下げずに均一に噴霧するようにした点が異なり、他は第9の実施形態の生成炉と同様な構成である。こうした構成のナノカーボン生成炉10内において、噴霧する金属触媒粉混合炭化水素中の金属触媒粉を構成する触媒粒子が核となり気化した炭化水素が高温状態で反応することで気相成長法により、効率的にナノカーボンを生成、成長させることができる。
第11の実施形態のナノカーボン生成装置によれば、噴霧スプレーノズル36自体がナノカーボン生成炉内の中心部に設置されているため、注入される金属触媒粉混合炭化水素が内部雰囲気温度により加熱され、加熱炉容器11内に噴霧するエタノール、メタノール、バイオエタノール、各種アルコール、灯油等の炭化水素油等に微量の金属触媒粉を混合した液体状態の炭化水素を予めナノカーボン生成炉内で加熱し、ガス状態として各円錐状板13a表面に連続的に噴霧することができる。従って、加熱炉容器11内、各円錐状板13a表面の温度が下がることなく、加熱炉容器11内でのナノカーボン生成反応が促進され、ナノカーボンの生成速度が速まり、生成効率が高まる。しかも、加熱ジャケット17の設定温度を低めに設定しても加熱炉容器11内の温度を保持することができるため、ナノカーボン生成炉10の加熱温度を下げることができ、ナノカーボン生成効率を高めた状態でナノカーボンを連続的に安定的に生成、回収することができる。
なお、第11の実施形態では、液体の金属触媒粉混合炭化水素を加熱してガス状態で噴霧する場合について述べたが、これに限らない。即ち、液体状態のまま噴霧してナノカーボン生成炉内で噴霧した液体の金属触媒粉混合炭化水素を気化させることにより、前記加熱炉容器11内で反応させるようにしてもよい。即ち、この場合、エタノール、メタノール、バイオエタノール、各種アルコール、灯油等の炭化水素油等に微量の金属触媒粉を混合した液体状態でナノカーボン生成炉内に注入する。そして、ナノカーボン生成炉10内の円錐状板13aに噴霧する際に液体状態で噴霧した液体の金属触媒粉混合炭化水素は、円錐状板13a上の熱の影響を受けて直ぐに気化させるようにする。
また、円錐状板表面に噴霧する金属触媒粉混合炭化水素は、ガス状態で噴霧するだけでなく、液体状態で噴霧して加熱炉容器内で気化させることにより各円錐状板表面で反応させるようにも対応できるようにしてもよい。即ち、これは、注入した金属触媒粉混合炭化水素が羽根回転軸32内を流下する間に気化させ、円錐状板13aに噴霧する際に気体状態で噴霧する方式である。これにより、加熱炉容器11内の円錐状板13a上に気化した金属触媒粉混合炭化水素を連続的に均一に噴霧して反応させ、ナノカーボンを生成できる。これにより、第11の実施形態と同様に、効率的にナノカーボンを生成、成長させることができる。
更に、図9のナノカーボン生成装置において、各円錐状板表面に噴霧する金属触媒粉混合炭化水素を液体状態で加熱炉容器11内に噴霧するようにし、その液体の金属触媒粉混合炭化水素には酸成分を含み、各円錐状板表面から金属の微粒子が腐食して剥離しやすくするようにしてもよい。以下に、各円錐状板表面での反応促進について説明する。
即ち、このナノカーボン生成装置は、図9のナノカーボン生成装置と基本的な構成は同様である。しかし、この生成装置は、還元雰囲気のナノカーボン生成炉内に噴霧する酸成分を含む金属触媒粉混合炭化水素を液体状態でナノカーボン生成炉内に噴霧するようにし、金属触媒粉の表面から金属微粒子内が腐食して粒子が剥離しやすくすることで、加熱炉容器11内の各円錐状板13a表面での反応を促進させるようにしたことを特徴とする。
即ち、このナノカーボン生成装置は、図9のナノカーボン生成装置と基本的な構成は同様である。しかし、この生成装置は、還元雰囲気のナノカーボン生成炉内に噴霧する酸成分を含む金属触媒粉混合炭化水素を液体状態でナノカーボン生成炉内に噴霧するようにし、金属触媒粉の表面から金属微粒子内が腐食して粒子が剥離しやすくすることで、加熱炉容器11内の各円錐状板13a表面での反応を促進させるようにしたことを特徴とする。
酸成分を含む金属触媒粉混合炭化水素としては、例えばエタノール、メタノール、バイオエタノール、各種アルコール、灯油等の炭化水素油等に酢酸、塩酸等の酸を微量混ぜることで酸性にした炭化水素液に微量の金属触媒粉を混合した液体、あるいはバイオマスオイル等の酸性の炭化水素液に微量の金属触媒粉を混合した液体が挙げられる。こうした酸成分を含む金属触媒粉混合炭化水素を液体状態で噴霧してナノカーボン生成炉内で気化させることにより、加熱炉容器11内に金属触媒粉混合炭化水素を連続的に均一に噴霧して反応させ、ナノカーボンを生成できる。
図9のナノカーボン生成装置において、加熱炉容器11内に噴霧された液体状態の酸成分を含む金属触媒粉混合炭化水素が高温状態で反応することで、気相成長法により、効率的にナノカーボンが生成、成長させることができ、ナノカーボン生成効率を高めた状態でナノカーボンを連続的に安定的に生成、回収することができる。
(第12の実施形態)
図10(A),(B)は第12の実施形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の説明図であり、図10(A)は生成装置の全体を示す概略図、図10(B)は図10(A)の要部(破線部分P)の部分拡大図である。なお、図1〜図9と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図10のナノカーボン生成装置は、第9の実施形態のナノカーボン生成装置(図9)と比べ、羽根回転軸32に取り付けた掻き落とし羽根33の裏面と回転軸12に取り付けた円錐状板13aの表面間の隙間距離Dを、矢印Y方向に調整できるようにした点が異なり、他の構成は第9の実施形態の生成炉と同様である。図10の場合、羽根回転軸32の下端部にも掻き落とし羽根37が取り付けられ、回転軸32を矢印Y方向に移動させることにより、隙間距離Lを調整可能としている。
図10(A),(B)は第12の実施形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置の説明図であり、図10(A)は生成装置の全体を示す概略図、図10(B)は図10(A)の要部(破線部分P)の部分拡大図である。なお、図1〜図9と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図10のナノカーボン生成装置は、第9の実施形態のナノカーボン生成装置(図9)と比べ、羽根回転軸32に取り付けた掻き落とし羽根33の裏面と回転軸12に取り付けた円錐状板13aの表面間の隙間距離Dを、矢印Y方向に調整できるようにした点が異なり、他の構成は第9の実施形態の生成炉と同様である。図10の場合、羽根回転軸32の下端部にも掻き落とし羽根37が取り付けられ、回転軸32を矢印Y方向に移動させることにより、隙間距離Lを調整可能としている。
掻き落とし羽根33は、前述したように、ナノカーボン生成炉10の加熱炉容器11内の円錐状板13a表面に直接接触せず、円錐状板13a近傍から成長したナノカーボンのみを掻き落とすことができるように設計されている。ここで、掻き落とし羽根33は、加熱炉容器11内の円錐状板13a表面には直接接触させず、金属触媒粉を構成する触媒粒子が核となり成長したナノカーボンのみを掻き落とすようにしている。これは、加熱炉容器11内の円錐状板13a表面に付着した金属触媒粉の金属微粒子も掻き落とされるのを避けるためである。円錐状板13a表面に付着した金属触媒粉の金属微粒子も掻き落とされると、生成したナノカーボン中に金属不純物が混入しナノカーボンの純度が低下するだけでなく、円錐状板13a表面に金属を設置する場合にはその金属がそぎ落とされ、ナノカーボンの連続生成速度の低下を招き、ナノカーボン14の生成効率が低下することになる。
前記隙間距離Dを調整する構造としては、ナノカーボン生成炉10の設計に合わせて以下に示すような様々な構造、方式が考えられる。
(1) 円錐状板13a表面を均一に掻き取る構造に合わせて、掻き落とし羽根33の根元を回転駆動軸32にねじ41を取り付け、このねじ41を矢印Q方向に回転させることでアーム長さH(回転駆動軸32の中心と掻き落とし羽根33の縁部間の距離)(図10(B)参照)を微調整する方法。
(2) 掻き落とし羽根33の回転駆動軸32側に掻き落とし羽根33の取り付け冶具(図示せず)を設置し、その取り付け冶具の設置高さを調整することでアーム長さHを微調整する方法。
(1) 円錐状板13a表面を均一に掻き取る構造に合わせて、掻き落とし羽根33の根元を回転駆動軸32にねじ41を取り付け、このねじ41を矢印Q方向に回転させることでアーム長さH(回転駆動軸32の中心と掻き落とし羽根33の縁部間の距離)(図10(B)参照)を微調整する方法。
(2) 掻き落とし羽根33の回転駆動軸32側に掻き落とし羽根33の取り付け冶具(図示せず)を設置し、その取り付け冶具の設置高さを調整することでアーム長さHを微調整する方法。
第12の実施形態のナノカーボン生成装置によれば、加熱炉容器11内の円錐状板13aの表面近傍の金属微粒子を掻き取ることなく、円錐状板13a表面表面上から或る一定厚さ以上に成長してその自重で円錐状板12表面から剥離しきれないナノカーボンを定期的に強制的にナノカーボン生成炉10の下部に流下させ、ナノカーボン生成炉10の加熱炉容器11下流から安定的に排出することができ、ナノカーボンを連続的に製造することができる。
また、図10に示すように、掻き落とし羽根33の回転駆動軸32の下側(加熱炉容器11の下側)の部分に落下してくる生成ナノカーボンが堆積・ブリッジするのを防止するために、回転駆動軸32の下側に掻き落とし羽根37を設置することにより、回転駆動軸32が回転することで、落下してブリッジしやすい生成ナノカーボンを掻き落とし羽根37でナノカーボン生成炉10下部の生成ナノカーボン排出ノズル17近傍表面を掻き取ることができる。これにより、生成ナノカーボンの掻き取り、掻き落としと同時に生成ナノカーボンの排出ブリッジ防止も効果的に行うことができる。
(第13の実施形態)
第13の実施形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置は、加熱炉容器内に噴霧する炭化水素として、木質系材料等のバイオマス材料を熱分解して生成するバイオマスオイルを用いたことを特徴とする。
第13の実施形態のナノカーボン生成装置によれば、ナノカーボン生成の原料として化石資源由来のオイル(炭化水素油)を使用するのではなく、木質系材料等のバイオマス材料を熱分解して生成するバイオマスオイルとするようにすることで、化石資源の使用、燃焼によるCO2排出を抑制でき地球温暖化を防止しつつ、高機能カーボンであるナノカーボンを生成することができる。
第13の実施形態に係る縦型方式のナノカーボン生成装置は、加熱炉容器内に噴霧する炭化水素として、木質系材料等のバイオマス材料を熱分解して生成するバイオマスオイルを用いたことを特徴とする。
第13の実施形態のナノカーボン生成装置によれば、ナノカーボン生成の原料として化石資源由来のオイル(炭化水素油)を使用するのではなく、木質系材料等のバイオマス材料を熱分解して生成するバイオマスオイルとするようにすることで、化石資源の使用、燃焼によるCO2排出を抑制でき地球温暖化を防止しつつ、高機能カーボンであるナノカーボンを生成することができる。
なお、第13の実施形態においては、噴霧する炭化水素として木質系材料等のバイオマス材料を熱分解して生成するバイオマスオイルを用いた場合について述べたが、これに限らず、以下の(1),(2)の炭化水素を用いてもよい。
(1) 木質系材料等のバイオマス材料を熱分解して生成するバイオマスオイルとし、バイオマスオイル中の水分を除去した炭素成分の多い状態とした構成の炭化水素。
こうした状態の炭化水素を加熱炉容器内に噴霧することにより、より効率的にバイオマス原料からナノカーボンを生成させることができる。
(1) 木質系材料等のバイオマス材料を熱分解して生成するバイオマスオイルとし、バイオマスオイル中の水分を除去した炭素成分の多い状態とした構成の炭化水素。
こうした状態の炭化水素を加熱炉容器内に噴霧することにより、より効率的にバイオマス原料からナノカーボンを生成させることができる。
(2) 木質系材料等のバイオマス材料を熱分解して生成するバイオマスガスとし、バイオマスガス中の水蒸気分を除去した炭素成分の多い状態とした構成の炭化水素。ここで、バイオマスガス中の水蒸気分を除去する方法としては、例えば、熱分解温度を高めることで水蒸気成分を水素成分に転換する方法、あるいはバイオマスガスを例えば化学的手法を用いることで水蒸気成分を吸着・分離・除去する方法が挙げられる。
こうした状態の炭化水素を加熱炉容器内に噴霧することにより、木質系材料等のバイオマス材料を熱分解して生成するガスを用いてそのままナノカーボンを生成させる際に、より効率的でシンプルにバイオマス原料からナノカーボンを生成させることができる。尚、バイオマスガス中の水蒸気分を除去する方法としては、熱分解温度を高めることで水蒸気成分を水素成分に転換する方法、改質する方法、バイオマスガスを化学的手法等を用いることで水蒸気成分を吸着・分離・除去すること等の方法が挙げられる。
上述したように、上記方式を組み合わせることで、多様な炭化水素原料から効率的により多くの高品質のナノカーボンを生成することができる。
こうした状態の炭化水素を加熱炉容器内に噴霧することにより、木質系材料等のバイオマス材料を熱分解して生成するガスを用いてそのままナノカーボンを生成させる際に、より効率的でシンプルにバイオマス原料からナノカーボンを生成させることができる。尚、バイオマスガス中の水蒸気分を除去する方法としては、熱分解温度を高めることで水蒸気成分を水素成分に転換する方法、改質する方法、バイオマスガスを化学的手法等を用いることで水蒸気成分を吸着・分離・除去すること等の方法が挙げられる。
上述したように、上記方式を組み合わせることで、多様な炭化水素原料から効率的により多くの高品質のナノカーボンを生成することができる。
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
10…ナノカーボン生成炉、11…加熱炉容器、12…回転軸、13a,13b…円錐状板、14…生成ナノカーボン、15…回転羽根、16…固定羽根、17…加熱ジャケット(加熱源)、18…保温材、19…炭化水素・触媒混合注入ノズル、20…ナノカーボン排出ノズル、21…散布ノズル、31…不活性ガス注入ノズル(不活性ガス供給手段)、32…羽根回転軸、33…掻き落とし羽根、34…切り欠き部、35…隙間部、36…炭化水素噴霧スプレーノズル、41…ねじ。
Claims (20)
- 還元雰囲気で縦向きに設置した加熱炉容器と、この加熱炉容器内に該容器と同心円状に傾斜角度をつけて多段に配置された円錐状板と、これらの多段の円錐状板の外周部に配置された加熱源と、前記加熱炉容器の上流側に配置され,加熱炉容器内に炭化水素と微量の微細金属触媒粉とを混合噴霧する炭化水素・触媒混合噴霧ノズルと、前記加熱炉容器の下流側に配置されたナノカーボン排出ノズルとを具備し、
前記炭化水素・触媒混合噴霧ノズルより微細金属触媒粉の混合した金属触媒粉混合炭化水素を噴霧することにより前記円錐状板上で反応させてナノカーボンを成長させ、成長した生成ナノカーボンを円錐状板から剥離させ、生成ナノカーボンを下流側のナノカーボン排出ノズルにより排出することを特徴とするナノカーボン生成装置。 - 多段に配置された各円錐状板を、外側下向き傾斜,内側下向き傾斜となるように互い違いに配置し、炭化水素・触媒混合噴霧流体を各円錐状板の外側下向き傾斜,内側下向き傾斜に沿って流すように流路を形成することを特徴とする請求項1に記載のナノカーボン生成装置。
- 前記炭化水素・触媒混合噴霧ノズルから触媒混合炭化水素を、多段に配置された各円錐状板に夫々間欠的に混合噴霧するようにすることを特徴とする請求項1若しくは2に記載のナノカーボン生成装置。
- 前記炭化水素・触媒混合噴霧ノズルは、多段に配置された各円錐状板上部に触媒混合炭化水素を夫々間欠的に噴きかける位置を1回ずつ変える機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一記載のナノカーボン生成装置。
- 各円錐状板表面に生成されたナノカーボンに不活性ガスを間欠的に噴きかける不活性ガス供給手段を更に備え、
各円錐状板上部から不活性ガスを間欠的に噴きかけることにより、各円錐状板表面の生成ナノカーボンを噴き落とし、生成ナノカーボンを下流側のナノカーボン排出ノズルより排出することを特徴とする請求項1乃至4いずれか一記載のナノカーボン生成装置。 - 前記不活性ガス供給手段は、各記円錐状板上部から不活性ガスを夫々間欠的に噴きかける位置を1回ずつ変える機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至5いずれか一記載のナノカーボン生成装置。
- 各円錐状板表面に生成されたナノカーボンを掻き取る掻取り機構が前記加熱炉容器に配置され、この掻取り機構により各円錐状板の表面に成長したナノカーボンを掻き落とすことを特徴とする請求項1乃至6いずれか一記載のナノカーボン生成装置。
- 多段に配置された円錐状板の傾き角度は運転中でも調整できる構成とし、生成したナノカーボンを流下させる量、タイミングを調整できるようにすることを特徴とする請求項1乃至7いずれか一記載のナノカーボン生成装置。
- 多段に配置された各円錐状板に夫々切欠き部を設け、各円錐状板上で生成したナノカーボンがその切欠き部から流下させるようにすることを特徴とする請求項1乃至8いずれか一記載のナノカーボン生成装置。
- 多段に配置された各円錐状板と前記加熱炉容器との間に隙間部を設け、触媒混合炭化水素は内側中心軸側から流下させ、生成したナノカーボンは隙間部から落下させるようにすることを特徴とする請求項1乃至9いずれか一記載のナノカーボン生成装置。
- 炭化水素・触媒混合噴霧流体を、各円錐状板を取り付ける中心軸内部から各円錐状板に均一に散布できるようにスプレーノズルを設置し、生成したナノカーボンは各円錐状板の外側から流下させるように流路を形成することを特徴とする請求項1乃至10いずれか一記載のナノカーボン生成装置。
- 前記円錐状板の材質は鉄であり、この円錐状板の表面温度は、金属触媒粉混合炭化水素を連続的に均一に噴霧する状態で500〜1200℃の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1乃至11いずれか一記載のナノカーボン生成装置。
- 前記円錐状板表面に噴霧する金属触媒粉混合炭化水素は加熱炉容器内で加熱してガス状態とし、各円錐状板表面の温度を下げずに均一に噴霧する構成にしたことを特徴とする請求項1乃至12いずれか一記載のナノカーボン生成装置。
- 前記円錐状板表面に噴霧する金属触媒粉混合炭化水素は、ガス状態で噴霧するだけでなく、液体状態で噴霧して加熱炉容器内で気化させることにより各円錐状板表面で反応させる構成にしたことを特徴とする請求項1乃至13いずれか一記載のナノカーボン生成装置。
- 前記円錐状板表面に噴霧する金属触媒粉混合炭化水素を液体状態で加熱炉容器内に噴霧するようにし、その液体の金属触媒粉混合炭化水素には酸成分を含み、各円錐状板表面から金属の微粒子が腐食して剥離しやすくすることで、各円錐状板表面での反応を促進させる構成にしたことを特徴とする請求項1乃至14いずれか一記載のナノカーボン生成装置。
- 前記掻取り機構は、加熱炉容器内の各円錐状板の表面の中心軸を中心に掻取り部材を回転させ、かつ各円錐状板の表面と掻取り部材との隙間距離を調整できるような構成であることを特徴とする請求項7に記載のナノカーボン生成装置。
- 前記加熱炉容器内に噴霧する炭化水素は、バイオマス材料を熱分解して生成するバイオマスオイルとすることを特徴とする請求項1乃至16いずれか一記載のナノカーボン生成装置。
- 前記バイオマスオイルは、バイオマスオイル中の水分を除去した炭素成分の多い状態であることを特徴とする請求項17に記載のナノカーボン生成装置。
- 前記加熱炉容器内に噴霧する炭化水素は、バイオマス材料を熱分解して生成するバイオマスガスとすることを特徴とする請求項1乃至16いずれか一記載のナノカーボン生成装置。
- 前記バイオマスガスは、バイオマスガス中の水蒸気分を除去した炭素成分の多い状態であることを特徴とする請求項19に記載のナノカーボン生成装置。
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