JP2010034156A - テクスチャー形成方法及び真空処理装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】シリコン表面における発電面積を大きくしうるテクスチャーを効率良く形成する技術を提供する。
【解決手段】本発明は、シリコン基板の表面の自然酸化膜をドライエッチング法によって除去する自然酸化膜除去工程(P2)と、シリコン基板の表面におけるスライス時のダメージ層を除去する工程(P4)と、シリコン基板の表面にドライエッチング法によってテクスチャーを形成するテクスチャー形成工程(P6)と、シリコン基板の表面におけるテクスチャーの形成時にダメージを受けた層をドライエッチング法によって除去するダメージ層除去工程(P8)と、シリコン基板のテクスチャーの形状をウェットエッチング法によって丸めるテクスチャー丸め工程(P9)とを有する。自然酸化膜除去工程(P2)、スライスダメージ層除去工程(P4)、テクスチャー形成工程(P6)、ダメージ層除去工程(P8)を同一の真空処理槽2内で行う。
【選択図】 図3

Description

本発明は、例えば多結晶シリコン基板の表面を処理する技術に関し、特に、太陽電池用の多結晶シリコン基板の表面にテクスチャーを形成する技術に関する。
一般に、太陽電池においてセルとなるシリコン基板に太陽光が到達した場合、基板内部に進入する光と、基板表面で反射する光とに分離する。これらの光のうち基板内部に進入する光のみが光起電力効果に寄与することから、基板表面における反射率を低減するため、基板表面において多数の凹凸部分が連続するテクスチャー形状に形成するようにしている。
従来、このようなシリコン基板表面のテクスチャー化としては、ウエットエッチングによる方法(例えば、特許文献1、2)や、ドライエッチングである反応性イオンエッチングによる方法(例えば、特許文献3、4)が知られている。
上記反応性イオンエッチングにおいては、真空槽内にフッ素系ガスと塩素系ガスの混合反応ガスを導入してテクスチャーを形成することが行われている。
近年、このようなシリコン基板表面における発電面積を大きくしてその利用効率を向上させる技術が求められているとともに、このようなテクスチャーを効率良く形成する技術が求められている。
特開2006−344765号公報 特開2007−194485号公報 特開2003−101051号公報 特開2003−197940号公報
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、シリコン表面における発電面積を大きくしうるテクスチャーを効率良く形成する技術を提供することにある。
上記目的を達成するためになされた本発明は、シリコン系処理対象物の表面にテクスチャーを形成するテクスチャー形成方法であって、前記シリコン系処理対象物の表面の自然酸化膜をドライエッチング法によって除去する自然酸化膜除去工程と、前記シリコン系処理対象物の表面におけるスライス時のダメージ層を除去するスライスダメージ層除去工程と、前記シリコン系処理対象物の表面にドライエッチング法によってテクスチャーを形成するテクスチャー形成工程と、前記シリコン系処理対象物の表面における前記テクスチャーの形成時にダメージを受けた層をドライエッチング法によって除去するダメージ層除去工程と、前記シリコン系処理対象物のテクスチャーの形状をウェットエッチング法によって丸めるテクスチャー丸め工程とを有し、前記自然酸化膜除去工程、前記スライスダメージ層除去工程、前記テクスチャー形成工程、前記ダメージ層除去工程を同一の真空処理槽内で行うものである。
本発明では、前記テクスチャー形成工程において、当該真空処理槽に導入される処理ガスが、酸素ガス、三フッ化窒素ガス、塩素ガスを含有する混合ガスである場合にも効果的である。
本発明では、前記酸素ガスの分圧PO2に対する前記三フッ化窒素ガスの分圧PNF3の比(PNF3/PO2)が4以上10以下であり、前記酸素ガスの分圧PO2に対する前記塩素ガスの分圧PCl2の比(PCl2/PO2)が20以上75以下である場合にも効果的である。
一方、本発明は、シリコン系処理対象物を収容可能な真空処理槽と、前記シリコン系処理対象物の自然酸化膜を除去するための処理ガスを前記真空処理槽内に導入する自然酸化膜除去用ガス導入部と、前記シリコン系処理対象物の表面におけるスライス時のダメージ層を除去するための処理ガスを前記真空処理槽内に導入するスライスダメージ層除去用ガス導入部と、前記シリコン系処理対象物の表面にテクスチャーを形成するための処理ガスを前記真空処理槽内に導入するテクスチャー形成用ガス導入部と、前記シリコン系処理対象物の表面における前記テクスチャーの形成時のダメージ層を除去するための処理ガスを前記真空処理槽内に導入するテクスチャーダメージ層除去用ガス導入部と、前記シリコン系処理対象物に対して交流電圧を印加する交流電源とを有する真空処理装置である。
本発明の場合、シリコン系処理対象物の表面の自然酸化膜を除去する工程と、シリコン系処理対象物の表面におけるスライス時のダメージ層を除去する工程と、シリコン系処理対象物の表面にテクスチャーを形成する工程と、シリコン系処理対象物の表面におけるテクスチャーを形成する際にダメージを受けた層を除去する工程とを、同一の真空処理槽内でドライエッチングによって行うようにしたことから、テクスチャーの形成及びその前後の処理を連続的に行うことができ、これにより、テクスチャー形成の効率を大幅に向上させることができる。
本発明において、テクスチャーを形成する際の処理ガスとして、酸素ガス、三フッ化窒素ガス、塩素ガスを含有する混合ガスを用いる場合の作用は詳細には不明な点もあるが、例えば以下のように考察される。
すなわち、テクスチャー形成時におけるドライエッチングの際に、処理ガスとして、三フッ化窒素ガス、塩素ガス及び酸素ガスを含有する混合ガスを真空処理槽内に導入することにより、例えば図2(a)に示すように、シリコン系処理対象物であるシリコン基板10のテクスチャー10aの凸部分表面にNF2O−CHからなる微細な層11が形成される。
そして、このNF2O−CHからなる層11が、プラズマによるエッチングを阻止する所謂セルフマスクとして働き、これにより、例えば図2(b)に示すように、シリコン基板10表面により深い微細なテクスチャー10aをエッチングにより形成することができる。その結果、本発明によれば、従来技術に比べてシリコン材料表面の面積を大きくすることができ、またシリコン材料表面の反射率をより小さくすることができる。
本発明によれば、シリコン系処理対象物表面においてテクスチャーを効率良く形成することができる。
また、本発明によれば、従来技術に比べシリコン系処理対象物により深いテクスチャーを形成することができるので、シリコン材料表面の面積を大きくするとともに、表面反射率をより低減することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明を実施するためのエッチング装置(RIE装置)の一例の内部構成を示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施の形態のエッチング装置1は、シリコン基板(シリコン系処理対象物)10を収容可能な真空処理槽2を有している。
この真空処理槽2は、真空排気系3に接続され、所定の圧力となるように真空排気される。なお、真空処理槽2は、接地電位となるようにその電位が設定されている。
一方、真空処理槽2内には、シリコン基板10を載置するためのサセプタ4が設けられている。サセプタ4の上部には印加電極40が設けられ、この印加電極40は、例えば真空処理槽2の外部に設けられた交流電源41に接続されている。
本実施の形態のシリコン基板10は、多結晶シリコンからなる。本発明では、この多結晶シリコンは、太陽電池用のものを好適に用いることができる。
真空処理槽2は、それぞれ真空処理槽2の外部に設けられ、それぞれ独立して制御可能な三フッ化窒素ガス導入部5、塩素ガス導入部6、酸素ガス導入部7、四フッ化炭素導入部8、六フッ化硫黄導入部9が接続されている。
三フッ化窒素ガス導入部5は、三フッ化窒素(NF3)ガスを供給するNF3ガス供給源50を有している。このNF3ガス供給源50は、流量調整弁51を介して導入管52が真空処理槽2に接続され、この導入管52を介して所定量のNF3ガスを真空処理槽2内に導入するように構成されている。
塩素ガス導入部6は、塩素(Cl2)ガスを供給するCl2ガス供給源60を有している。このCl2ガス供給源60は、流量調整弁61を介して導入管62が真空処理槽2に接続され、この導入管62を介して所定量のCl2ガスを真空処理槽2内に導入するように構成されている。
酸素ガス導入部7は、塩素(O2)ガスを供給するO2ガス供給源70を有している。このO2ガス供給源70は、流量調整弁71を介して導入管72が真空処理槽2に接続され、この導入管72を介して所定量のO2ガスを真空処理槽2内に導入するように構成されている。
四フッ化炭素ガス導入部8は、四フッ化炭素(CF4)ガスを供給するCF4ガス供給源80を有している。このCF4ガス供給源80は、流量調整弁81を介して導入管82が真空処理槽2に接続され、この導入管82を介して所定量のCF4ガスを真空処理槽2内に導入するように構成されている。
六フッ化硫黄ガス導入部9は、六フッ化硫黄(SF6)ガスを供給するSF6ガス供給源90を有している。このSF6ガス供給源90は、流量調整弁91を介して導入管92が真空処理槽2に接続され、この導入管92を介して所定量のSF6ガスを真空処理槽2内に導入するように構成されている。
さらに、真空処理槽2内の中腹部分には、導入された処理ガスを拡散・混合してシリコン基板10表面に導くためのシャワープレート42が設けられている。
図3は、本発明に係るテクスチャー形成方法の一例を示す流れ図である。
本例においては、図1に示すエッチング装置1を用い、シリコン基板10上にテクスチャー10aを形成する場合を説明する。
本例では、まず、シリコン基板10を配置した真空処理槽2内を真空排気して所定の圧力にする(例えば、4×10-2Pa)。
そして、四フッ化炭素ガス導入部8、酸素ガス導入部7の流量調整弁71、81をそれぞれ制御し、真空処理槽2内にCF4ガス及びO2ガスをそれぞれ所定量導入する(プロセスP1)。
本発明の場合、特に限定されることはないが、自然酸化膜を確実に除去する観点からは、真空処理槽2内の圧力を4Pa〜25Paに設定することが好ましい。
この場合、S−Oの結合を切断できるイオン衝撃エネルギーを得る観点からは、CF4ガス及びO2ガスの分圧比に関し、O2ガスの分圧PO2に対するCF4ガスの分圧PCF4の比(PCF4/PO2)を3以上10以下とすることが好ましい。
そして、交流電源41を動作させ、上述した混合ガスのプラズマを生成することによってシリコン基板10表面のドライ(反応性イオン)エッチングを行う(プロセスP2)。
エッチング中は、CF4ガス及びO2ガスを導入しつつ排気を行いながら、真空処理槽2内の圧力を維持する。
本発明の場合、特に限定されることはないが、S−Oの結合を切断できるイオン衝撃エネルギーを得る観点からは、印加電極40に対して印加する電力の周波数を800kHz以上27MHz以下とすることがより好ましい。
この場合、印加電力のパワーは、1.5kW〜2.5kWである。
また、本発明の場合、特に限定されることはないが、自然酸化膜を確実に除去し、かつ、Si格子に与えるダメージを低減するする印加電極40に対して印加する時間(エッチング時間)を10〜30秒に設定することがより好ましい。
次に、六フッ化硫黄ガス導入部9、酸素ガス導入部7の流量調整弁91、71をそれぞれ制御し、真空処理槽2内にSF6ガス及びO2ガスをそれぞれ所定量導入する(プロセスP3)。
本発明の場合、特に限定されることはないが、シリコン系処理対象物の表面平滑性を向上させる観点からは、真空処理槽2内の圧力を15Pa〜35Paに設定することが好ましい。
この場合、同様の観点から、SF6ガス及びO2ガスの分圧比に関し、O2ガスの分圧PO2に対するSF6ガスの分圧PSF6の比(PSF6/PO2)を4以上10以下とすることが好ましい。
そして、交流電源41を動作させ、上述した混合ガスのプラズマを生成することによってシリコン基板10表面のドライ(反応性イオン)エッチングを行い、シリコン基板10表面におけるスライス時のダメージ層を除去する(プロセスP4)。
エッチング中は、SF6ガス及びO2ガスを導入しつつ排気を行いながら、真空処理槽2内の圧力を維持する。
本発明の場合、特に限定されることはないが、ポリマーを生成させ易くする観点からは、印加電極40に対して印加する電力の周波数を1600kHz以上2MHz以下とすることがより好ましい。
この場合、印加電力のパワーは、1.5kW〜2.5kWである。
また、本発明の場合、特に限定されることはないが、スライス時のダメージ層を確実に除去し、かつ、Si格子に与えるダメージを低減する観点からは、印加電極40に対して印加する時間(エッチング時間)を3〜7分に設定することがより好ましい。
なお、このスライス時のダメージ層の除去におけるエッチング深さについては、約10μm以内とすることが好ましい。
次に、三フッ化窒素ガス導入部5、塩素ガス導入部6、酸素ガス導入部7の流量調整弁51、61、71をそれぞれ制御し、真空処理槽2内にNF3ガス、Cl2ガス及びO2ガスをそれぞれ所定量導入する(プロセスP5)。
本発明の場合、特に限定されることはないが、上述したセルフマスクの形成を確保し、シリコン基板10上に形成されるテクスチャー10aの大きさを0.5〜1.5μm程度に制御し、さらにテクスチャー形状を均一にする観点からは、真空処理槽2内の圧力を20Pa〜50Paに設定することが好ましい。
この場合、真空処理槽2内の圧力を大きくすると、シリコン基板10上に形成されるテクスチャー10aの大きさが小さくなることが本発明者の実験によって確認されている。
一方、セルフマスクを確実に形成する観点からは、O2ガスの分圧PO2に対するNF3ガスの分圧PNF3の比(PNF3/PO2)が4以上10以下であり、O2ガスの分圧PO2に対するCl2ガスの分圧PCl2の比(PCl2/PO2)が20以上75以下とすることが好ましい。
そして、交流電源41を動作させ、上述した混合ガスのプラズマを生成することによってシリコン基板10表面のドライ(反応性イオン)エッチングを行い、テクスチャーを形成する(プロセスP6)。
エッチング中は、NF3ガス、Cl2ガス及びO2ガスを導入しつつ排気を行いながら、真空処理槽2内の圧力を維持する。
本発明の場合、特に限定されることはないが、セルフマスク形成及びイオンエネルギーの最適化の観点からは、印加電極40に対して印加する電力の周波数を数百kHz以上30MHz以下とすることがより好ましい。
この場合、印加電力のパワーは、1.5kW〜2.5kWである。
また、本発明の場合、特に限定されることはないが、テクスチャーの大きさとSi格子に与えるダメージ低減の観点からは、印加電極40に対して印加する時間(エッチング時間)を3〜6分に設定することがより好ましい。
なお、本テクスチャー形成工程のエッチングは、シリコン基板10を加熱せず常温で行う。
次に、六フッ化硫黄ガス導入部9、酸素ガス導入部7の流量調整弁91、71をそれぞれ制御し、真空処理槽2内にSF6ガス及びO2ガスをそれぞれ所定量導入する(プロセスP7)。
本発明の場合、特に限定されることはないが、プラナリゼーションを生じ難くする観点からは、真空処理槽2内の圧力を20Pa〜50Paに設定することが好ましい。
この場合、SF6ガス及びO2ガスの分圧比は特に限定することはないが、セルフマスクの生成を助ける観点からは、O2ガスの分圧PO2に対するSF6ガスの分圧PSF6の比(PSF6/PO2)を3以上10以下とすることが好ましい。
そして、交流電源41を動作させ、上述した混合ガスのプラズマを生成することによってシリコン基板10表面のドライ(反応性イオン)エッチングを行い、テクスチャー形成時のダメージ層を除去する(プロセスP8)。
エッチング中は、SF6ガス及びO2ガスを導入しつつ排気を行いながら、真空処理槽2内の圧力を維持する。
本発明の場合、特に限定されることはないが、プラズマダメージ回避の観点からは、印加電極40に対して印加する電力の周波数を1600kHz以上27MHz以下とすることがより好ましい。
この場合、印加電力のパワーは、0.5kW〜1.5kWである。
また、特に限定されることはないが、テクスチャー形成時のダメージ層を確実に除去し、かつ、Si格子に与えるダメージ低減をデバイス機能上問題ないレベルにする観点からは、印加電極40に対して印加する時間(エッチング時間)を1〜3分に設定することがより好ましい。
その後、シリコン基板10をエッチング装置1から取り出し、図示しないウェットエッチング装置内に搬入して、ウェットエッチング(例えば、浸漬、噴霧等)によりテクスチャー形状の丸め工程を行う(ステップP9)。
この工程は、シリコン基板10の洗浄と、次の工程に対する準備として酸化膜を除去する役割も兼ねるものである。
この場合、エッチング液としては、フッ酸(HF)、硝酸(HNO3)、酢酸(CH3COOH)、純水(H2O)を含有する溶液を好適に用いることができる。
本発明の場合、溶液の組成比について特に限定されることはないが、テクスチャー丸め形状の最適化を図り、かつ、Si格子に与えるダメージを低減する観点からは、純水の重量20に対し、フッ酸の重量比が0.5以上1.5以下であり、硝酸の重量比が0.5以上1.5以下であり、酢酸の重量比が6以上10以下である組成のエッチング液をより好適に用いることができる。
同様の観点から、ウェットエッチング時間は、5〜15秒とすることが好ましい。また、エッチング液の温度は、40〜60℃に設定することが好ましい。
以上述べた本実施の形態によれば、シリコン基板10の表面の自然酸化膜を除去する工程と、シリコン基板10の表面におけるスライス時のダメージ層を除去する工程と、シリコン基板10の表面にテクスチャー10aを形成する工程と、シリコン基板10の表面におけるテクスチャー10aを形成する際にダメージを受けた層を除去する工程とを、同一の真空処理槽2内でドライエッチングによって行うようにしたことから、テクスチャー10aの形成及びその前後の処理を連続的に行うことができ、これにより、テクスチャー10aの形成の効率を大幅に向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、従来技術に比べシリコン基板10により深いテクスチャー10aを形成することができるので、シリコン基板10表面の面積を大きくするとともに、表面反射率をより低減することができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、本発明は多結晶シリコンのみならず、単結晶シリコンを用いる場合にも適用することができる。
ただし、シリコン材料のテクスチャーの形状制御の困難さを鑑みれば、多結晶シリコンに適用する場合に最も有効となるものである。
また、本発明は、太陽電池用シリコン材料のみならず、例えばディスプレイ装置等の下地層にも適用することができる。
以下、本発明の実施例について、比較例とともに詳細に説明する。
<実施例>
図1に示すエッチング装置を使用し、真空処理槽内に、150mm×150mmの多結晶シリコン基板を搬入してその表面にテクスチャーを形成した。
ここでは、まず、真空処理槽内にCF4ガスを500sccm、O2ガスを40sccm導入し、真空処理槽内の圧力を6Paに設定した。
そして、交流電源を動作させ、上述した混合ガスのプラズマを生成することによってシリコン基板表面のドライエッチングを15秒間行った(自然酸化膜除去)。
この場合、印加電極に対して印加する電力の周波数を13.56MHzとし、印加電力のパワーは2.0kWとした。
次いで、真空処理槽内にSF6ガス750sccm、O2ガス110sccmを導入し、真空処理槽内の圧力を25Paに設定した。
そして、交流電源を動作させ、上述した混合ガスのプラズマを生成することによってシリコン基板表面のドライエッチングを2分間行い、スライス時のダメージ層を除去した。
この場合、印加電極に対して印加する電力の周波数は13.56MHzとし、印加電力のパワーは2.0kWとした。
次に、真空処理槽内にNF3ガス100sccm、Cl2ガス500sccm、O2ガス20sccmを導入し、真空処理槽内の圧力を35Paに設定した。
そして、交流電源を動作させ、上述した混合ガスのプラズマを生成することによってシリコン基板表面のドライ(反応性イオン)エッチングを5分間行い、テクスチャーを形成した。
また、印加電極に印加する電力は、1.5kW(周波数:13.56MHz)とし、5分間エッチングを行った。
次に、真空処理槽内にSF6ガス750sccm、O2ガス120sccmを導入し、真空処理槽内の圧力を30Paに設定した。
そして、交流電源を動作させ、上述した混合ガスのプラズマを生成することによってシリコン基板表面のドライエッチングを2分間行い、テクスチャー形成時のダメージ層を除去した。
この場合、印加電極に対して印加する電力の周波数は13.56MHzとし、印加電力のパワーは1.0kWとした。
その後、シリコン基板をエッチング装置から取り出し、図示しないウェットエッチング装置内に搬入して、浸漬によるウェットエッチングによりテクスチャー形状の丸め工程を約10秒間行った。
この場合、エッチング液としては、フッ酸(HF):硝酸(HNO3):酢酸(CH3COOH):純水(H2O)=1:1:8:20(重量比)の溶液を用いた。
また、エッチング液の温度は、50℃に設定した。
<比較例>
テクスチャー形成時の条件を変更した以外は、実施例と同一の条件で実験を行った。
本比較例では、真空処理槽内に、SF6ガス75sccm、Cl2ガス200sccm、O2ガス5sccmを導入し、反応性イオンエッチングにより、実施例と同一のシリコン基板上にテクスチャーを形成した。
この場合、真空処理槽内の圧力を35Paに保持した。
また、印加電極に印加する電力は、2.0kW(周波数:13.56MHz)とし、5分間エッチングを行った。
図4(a)(b)は、実施例によって形成されたテクスチャーの電子顕微鏡写真であり、図4(a)は基板中心部、図4(b)は基板端部を示すものである。
図5(a)(b)は、比較例によって形成されたテクスチャーの電子顕微鏡写真であり、図5(a)は基板中心部、図5(b)は基板端部を示すものである。
図4(a)(b)及び図5(a)(b)から明らかなように、実施例によるテクスチャーは、比較例によるテクスチャーに比べて微細で深い凹凸構造となっており、また、基板の中心部と端部間においてテクスチャーサイズが均一であることが観察される。
また、実施例によって作成されたテクスチャーは、比較例のテクスチャーに比べ、約0.8%の発電効率の向上が確認された。
以上の結果より、本発明の効果を確認することができた。
本発明を実施するためのエッチング装置(RIE装置)の一例の内部構成を示す概略構成図 本発明に係るテクスチャー形成方法の原理を模式的に示す説明図 本発明に係るテクスチャー形成方法の要部を示す流れ図 (a)(b):実施例によって形成されたテクスチャーの電子顕微鏡写真 (a)(b):比較例によって形成されたテクスチャーの電子顕微鏡写真
符号の説明
1…エッチング装置、2…真空処理槽、5…三フッ化窒素ガス導入部、6…塩素ガス導入部、7…酸素ガス導入部、8…四フッ化炭素導入部、9…六フッ化硫黄導入部、10…シリコン基板(シリコン系処理対象物)、10a…テクスチャー、41…交流電源

Claims (4)

  1. シリコン系処理対象物の表面にテクスチャーを形成するテクスチャー形成方法であって、
    前記シリコン系処理対象物の表面の自然酸化膜をドライエッチング法によって除去する自然酸化膜除去工程と、
    前記シリコン系処理対象物の表面におけるスライス時のダメージ層を除去するスライスダメージ層除去工程と、
    前記シリコン系処理対象物の表面にドライエッチング法によってテクスチャーを形成するテクスチャー形成工程と、
    前記シリコン系処理対象物の表面における前記テクスチャーの形成時にダメージを受けた層をドライエッチング法によって除去するダメージ層除去工程と、
    前記シリコン系処理対象物のテクスチャーの形状をウェットエッチング法によって丸めるテクスチャー丸め工程とを有し、
    前記自然酸化膜除去工程、前記スライスダメージ層除去工程、前記テクスチャー形成工程、前記ダメージ層除去工程を同一の真空処理槽内で行うテクスチャー形成方法。
  2. 前記テクスチャー形成工程において、当該真空処理槽に導入される処理ガスが、酸素ガス、三フッ化窒素ガス、塩素ガスを含有する混合ガスである請求項1記載のテクスチャー形成方法。
  3. 前記酸素ガスの分圧PO2に対する前記三フッ化窒素ガスの分圧PNF3の比(PNF3/PO2)が4以上10以下であり、前記酸素ガスの分圧PO2に対する前記塩素ガスの分圧PCl2の比(PCl2/PO2)が20以上75以下である請求項2記載のテクスチャー形成方法。
  4. シリコン系処理対象物を収容可能な真空処理槽と、
    前記シリコン系処理対象物の自然酸化膜を除去するための処理ガスを前記真空処理槽内に導入する自然酸化膜除去用ガス導入部と、
    前記シリコン系処理対象物の表面におけるスライス時のダメージ層を除去するための処理ガスを前記真空処理槽内に導入するスライスダメージ層除去用ガス導入部と、
    前記シリコン系処理対象物の表面にテクスチャーを形成するための処理ガスを前記真空処理槽内に導入するテクスチャー形成用ガス導入部と、
    前記シリコン系処理対象物の表面における前記テクスチャーの形成時のダメージ層を除去するための処理ガスを前記真空処理槽内に導入するテクスチャーダメージ層除去用ガス導入部と、
    前記シリコン系処理対象物に対して交流電圧を印加する交流電源とを有する真空処理装置。
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