JPWO2013150804A1 - ドライエッチング方法 - Google Patents

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Abstract

光散乱封じ込め効果を有効に発揮すると共に、後工程で所定の薄膜を形成するような場合でもカバレッジよく成膜できるようにしたテクスチャー構造を持つシリコン基板を効率よく製造できる低コストのドライエッチング方法を提供する。シリコン基板Wを配置した減圧下の成膜室12内に、フッ素含有ガスとハロゲン含有ガスと酸素ガスとを含む第1のエッチングガスを導入し、放電用電力を投入してシリコン基板表面をエッチングする第1工程と、第1工程でエッチング済みのシリコン基板を配置した減圧下の成膜室内に、フッ素含有ガスを含む第2エッチングガスを導入し、放電用電力を投入してシリコン基板表面を更にエッチングする第2工程とを含む。

Description

本発明は、シリコン基板表面にテクスチャー構造を形成するためのドライエッチング方法に関し、より詳しくは、結晶系太陽電池の製造工程において、シリコン基板に対し、その表面に高い光散乱封じ込め効果を発揮するテクスチャー構造を形成するために用いられるものに関する。
単結晶や多結晶のシリコン基板を用いた結晶系太陽電池において、シリコン基板表面にドライエッチングにより凹凸形状を形成して粗面化する(テクスチャー構造を付与する)ことで、シリコン基板表面に入射した光の反射を低減させて光電変換効率の向上を図ることが従来から進められている。また、シリコンのインゴットをスライスして結晶系太陽電池用のシリコン基板を得る際、スライス時に生じるシリコン基板のダメージ層を除去する工程からテクスチャー構造を形成する工程までをドライエッチングにより一括して処理することが例えば特許文献1で知られている。
上記特許文献1のものでは、ドライエッチング装置の処理室内にて、先ず、スライス時に生じたシリコン基板表面のダメージ層を除去するため、例えば、酸素ガスとダメージ層除去用のSFガスとを所定流量で導入し、シリコン基板を保持するステージに高周波電源から電力投入し、シリコン基板表面をドライエッチングしてダメージ層が除去される。引き続き、処理室内に、例えば、酸素ガスとテクスチャー形成用のClガス及びNFガスとを導入し、ステージに高周波電源から電力投入し、シリコン基板表面をドライエッチングすることで、ダメージ層が除去されたシリコン基板面にテクスチャー構造が形成される。
ところで、上記の如く、ドライエッチングにより、シリコン基板表面にテクスチャー構造を形成した場合、エッチング後のシリコン基板表面には、エッチング時に生じた反応生成物が堆積している。また、シリコン表面は凹凸を繰り返すものとなるが、その頂部や谷部が尖った鋭利なものとなっている(つまり、断面形状を視ると、ノコギリ刃状となる)。このような場合に、後工程でシリコン基板表面に、例えば真空成膜装置を用いて反射防止膜を成膜すると、その頂部や谷部とに効率よく成膜されず、カバレッジが悪くなる等の問題が生じる。
このため、フッ酸と硝酸の混合液等のエッチング液を用いたウエットエッチングにより、反応生成物を除去すると共に、頂部や谷部に対し丸みを持たせるラウンド加工を行うことが提案される。然し、ラウンド加工のために別途ウエットエッチング用の設備が必要となり、生産性が悪いだけでなく、廃液の処理等も必要となってコスト高を招く。
特開2011−35262号公報
本発明は、以上の点に鑑み、光散乱封じ込め効果を有効に発揮すると共に、後工程で所定の薄膜を形成するような場合でもカバレッジよく成膜できるようにしたテクスチャー構造を持つシリコン基板を効率よく製造できる低コストのドライエッチング方法を提供することをその課題とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、シリコン基板表面にテクスチャー構造を形成するためのドライエッチング方法であって、シリコン基板を配置した減圧下の成膜室内に、フッ素含有ガスとハロゲン含有ガスと酸素ガスとを含む第1のエッチングガスを導入し、放電用電力を投入してシリコン基板表面をエッチングする第1工程と、第1工程でエッチング済みのシリコン基板を配置した減圧下の成膜室内に、フッ素含有ガスを含む第2エッチングガスを導入し、放電用電力を投入してシリコン基板表面を更にエッチングする第2工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、第1工程においてシリコン基板表面にテクスチャー構造が形成される。つまり、例えば、CF等のフッ素含有ガス(流量比20〜60%)と、Cl等のハロゲンガスやHBr等のハロゲン化水素ガスのようなハロゲン含有ガス(流量比25〜70%)と、酸素ガス(流量比10〜40%)とを含む第1のエッチングガスを処理室に導入し、例えば当該処理室内でシリコン基板を保持する基板ステージに高周波電力を投入する。これにより、処理室内にプラズマが形成され、プラズマ中の活性種やイオン種がシリコン基板表面に入射してエッチングが進行する。このとき、基板表面に堆積したシリコン酸化物やハイドロカーボン系のフッ化物等がマスクの役割を果たすことで、シリコン表面が凹凸形状にエッチングされて粗面化され、テクスチャー構造となる。
次に、第2工程においてシリコン基板表面に形成されたテクスチャー構造に対して、第1工程のエッチング時にシリコン基板表面に堆積した、シリコン酸化物やハイドロカーボン系のフッ化物等の反応生成物を除去するクリーニング処理が真空雰囲気中で施される。つまり、例えば、CF等のフッ素含有ガスからなる第2のエッチングガスを処理室に導入し、当該処理室内でシリコン基板を保持する基板ステージに高周波電力を投入する。これにより、プラズマ中の活性種やイオン種にてシリコン基板表面に堆積した反応生成物が除去される。この場合、処理室を画成する真空チャンバの壁面(防着板を含む)もクリーニングされる。この場合、エッチングガスが酸素ガスを含んでいてもよい。
このように本発明においては、テクスチャー構造の形成と、第1工程後のシリコン基板表面のクリーニングとをドライエッチングにより夫々行うことで、テクスチャー構造をシリコン基板に効率よく製造できる。その上、ウエットエッチングを用いないため、高い生産性を達成でき、しかも、コストダウンを図ることができる。
本発明においては、第2工程でエッチング済みのシリコン基板を配置した減圧下の成膜室内に、フッ素含有ガスとハロゲン含有ガスとのいずれか一方を主成分とし、これに酸素ガスを添加した第3エッチングガスを導入し、放電用電力を投入してシリコン基板表面を更にエッチングする第3工程を更に含むことが好ましい。これによれば、シリコン基板表面に形成されたテクスチャー構造に対してラウンド加工が引き続き施される。つまり、例えば、CF等のフッ素含有ガス(流量比40〜95%)と、酸素ガス(流量比5〜60%)とを含む第3のエッチングガスを処理室に導入し、当該処理室内でシリコン基板を保持する基板ステージに高周波電力を投入する。これにより、プラズマ中の活性種やイオン種がシリコン基板表面に入射してエッチングが進行し、第1工程で形成されたシリコン基板表面のテクスチャー構造における頂部や谷部がラウンド加工される。この場合、酸素ガスを添加するのは、酸素ガスの流量を調整することで、エッチングレートを制御して最適な形状を得るためである。結果として、当該テクスチャー構造に対するラウンド加工までがドライエッチングで行うことが可能となり、後工程で所定の薄膜を形成するような場合でも、カバレッジよく成膜できるようになる。
本発明において、同一の処理室内にて、放電用電力の投入を停止せずに、第1のエッチングガス中のハロゲン含有ガスと酸素ガスとの当該処理室内への導入を停止して第1のエッチングガスから第2のエッチングガスに切り換えて第1工程と第2工程とを連続して行うことが好ましい。また、同一の処理室内にて、放電用電力の投入を停止せずに、酸素ガスの導入を再開して第2のエッチングガスから第3のエッチングガスに切り換えて第2工程と第3工程とを連続して行うことが好ましい。このような同一処理室内での一括したドライエッチングを行うことで、更なる生産性の向上と低コスト化を図ることができる。
本発明において、第1工程でエッチング済みのシリコン基板を配置した減圧下の成膜室内に、フッ素含有ガスとハロゲン含有ガスとのいずれか一方を主成分とし、これに酸素ガスを添加した第3のエッチングガスを導入し、放電用電力を投入してシリコン基板表面を更にエッチングする第3工程を更に含み、第2工程にて第3工程でエッチング済みのシリコン基板表面を更にエッチングするようにしてもよい。この場合も、テクスチャー構造の形成と、当該テクスチャー構造に対するラウンド加工と、第3工程後のシリコン基板表面のクリーニングとをドライエッチングにより夫々行うことで、テクスチャー構造をシリコン基板に効率よく製造できる。その上、ウエットエッチングを用いないため、高い生産性を達成でき、しかも、コストダウンを図ることができる。
本発明において、同一の処理室内にて、放電用電力の投入を停止せずに、第1のエッチングガス中のフッ素含有ガスとハロゲン含有ガスとのいずれか一方の当該処理室内への導入を停止して第1のエッチングガスから第3のエッチングガスに切り換えて第1工程と第3工程とを連続して行うことが好ましい。また、同一の処理室内にて、放電用電力の投入を停止せずに、第3のエッチングガスから第2のエッチングガスに切り換えて第3工程と第2工程とを連続して行うことが好ましい。このような同一処理室内での一括したドライエッチングを行うことで、更なる生産性の向上と低コスト化を図ることができる。
なお、第1工程及び第3工程における酸素ガスの導入を、流量制御手段を有する単一のガス導入系により行い、第1工程における酸素流量比を10〜40%の範囲とし、第3工程における酸素流量比を5〜60%の範囲となるように流量制御手段を制御することが好ましい。ここで、第1工程における酸素流量比(処理室に導入する第1のエッチングガスの総流量における第1のエッチングガス中の酸素ガスの流量比)が上記範囲以外であると、テクスチャー構造を形成できないという問題があり、他方で、第3工程における酸素流量比が上記範囲以外であると、エッチングレートが速すぎるか又は遅すぎて、エッチング形状を制御できないという問題がある。
本発明の実施形態のドライエッチング方法を実施するドライエッチング装置の構成を示す模式図。 (a)及び(b)は、本発明の実施例1で得られた基板のSEM写真。 (a)〜(c)は、本発明の実施例2で得られた基板のSEM写真。
以下、図面を参照して、処理対象物を、結晶系太陽電池に用いられる単結晶や多結晶のシリコン基板(以下、単に基板Wという)とし、その表面にテクスチャー構造を形成する本発明の実施形態のドライエッチング方法を説明する。なお、結晶系太陽電池の構造は公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図1には、本実施形態のドライエッチング方法を実施し得るドライエッチング装置EMが示されている。以下では、後述するシャワープレートから基板Wに向かう方向を下方、基板Wからシャワープレートに向かう方向を上方として説明する。
ドライエッチング装置EMは、ロータリーポンプ、ターボ分子ポンプなどを備えた真空排気手段11を介して所定の真空度に減圧保持できる真空チャンバ1を備え、成膜室12を画成する。成膜室12の下部空間には基板ステージ2が設けられている。基板ステージ2には、高周波電源3からの出力31が接続されている。基板ステージ2に対向させるように成膜室12の上部にはシャワープレート4が設けられている。シャワープレート4は、真空チャンバ1の内壁面に突設した環状の支持壁13の下端で保持され、支持壁13とシャワープレート4とで画成された空間41にはエッチングガスを導入するガス導入系5が設けられている。
ガス導入系5は、空間41に通じる合流ガス管51を備える、合流ガス管51には、マスフローコントローラ等の閉止機能を有する流量制御手段52a、52b、52cが介設されたガス管53a、53b、53cが夫々接続され、第1〜第3のガス源54a、54b、54cに夫々連通している。これにより、ガス種毎に流量制御して処理室12に導入できるようになっている。本実施形態では、第1工程と第2工程と第3工程とを連続して実施できるように、第1のガス源54aのガスは、CF、NF、SF、CxHyFz等のフッ素含有ガスからなり、第2のガス源54bのガスはCl等のハロゲンガスやHBr等のハロゲン化水素ガスのようなハロゲン含有ガスからなり、第2のガス源54bのガスは酸素ガスからなる。以下、上記ドライエッチング装置EMを用いた第1実施形態のエッチング方法について具体的に説明する。
先ず、処理室12が所定真空度(例えば、10−5Pa)に達した状態で、図外の真空ロボットにより基板Wを搬送し、基板ステージ2に保持させる。次に、第1工程として、ガス導入系5の各流量制御弁52a〜52cを介して、第1〜第3のガス源54a、54b、54cから第1のエッチングガスを空間41からシャワープレート4を介して処理室12内に導入する。第1のエッチングガスとして、フッ素含有ガスとしてのCFと、ハロゲン含有ガスとしてのClと、酸素ガスとからなり、そして、処理室12内に導入するガスの総流量に対するフッ素含有ガスの流量比を20〜60%の範囲、ハロゲン含有ガスの流量比を25〜70%の範囲、酸素ガスの流量比を10〜40%の範囲とする(この場合、減圧下の処理室12内の圧力は30〜250Paとする)。各ガスの流量比は、処理室12のサイズや他のプロセス条件に応じて、上記範囲内で適宜設定できる(第3工程においても同様)。これに併せて、高周波電源3を介して基板ステージ2に放電用電力を投入する。この場合の投入電力は、電力密度が0.5〜1.8W/cmとなるように適宜設定する。これにより、第1工程において基板W表面にテクスチャー構造が形成される。つまり、処理室12内にプラズマが形成され、プラズマ中の活性種やイオン種が基板W表面に入射してエッチングが進行する。このとき、基板表面に堆積した酸素がマスクの役割を果たすことで、シリコン表面が凹凸形状にエッチングされて粗面化され、テクスチャー構造となる。
上記第1工程におけるエッチングを所定時間行った後、連続して第2工程としてクリーニング処理を実施する。即ち、高周波電源3からの放電用電力の投入を停止せずに、流量制御手段52bを閉弁してハロゲン含有ガスとしてのClの処理室12内への導入を停止すると共に、流量制御手段52cを閉弁して酸素ガスの処理室12内への導入を停止させることで第1のエッチングガスから第2のエッチングガスに切り換える。この第2工程により、上記第1工程のエッチング時に基板表面に堆積したシリコン酸化物やハイドロカーボン系のフッ化物等の反応生成物(「エッチング残渣」ともいう)が除去される。これと共に、処理室12を画成する真空チャンバ1の内壁面(防着板を含む)もクリーニングされる。
上記第2工程におけるエッチングを所定時間行った後、連続して第3工程を実施する。即ち、高周波電源3からの放電用電力の投入を停止せずに、流量制御手段52cを開弁して酸素ガスの処理室12内への導入を再開させて第2のエッチングガスから第3のエッチングガスに切り換える。このとき、処理室12内に導入するガスの総流量に対するフッ素含有ガスの流量比を40〜95%の範囲、酸素ガスの流量比を5〜60%の範囲とする(この場合、減圧下の処理室12内の圧力は20〜150Paとする)。
この第3工程により、基板W表面に形成されたテクスチャー構造に対してラウンド加工が施される。つまり、基板W表面に入射するプラズマ中の活性種やイオン種により、第1工程で形成されたシリコン基板表面のテクスチャー構造における頂部や谷部がラウンド加工される。この場合、酸素ガスを添加するのは、酸素ガスの流量を調整することで、エッチングレートを制御して最適な形状を得るためである。尚、第3工程によりテクスチャー構造が反応生成物で覆われた場合には、上記第2工程を再度行うようにしてもよい。
第1工程における酸素流量比を10〜40%の範囲とし、第3工程における酸素流量比を5〜60%の範囲となるように流量制御手段を制御することで、第1工程におけるテクスチャー構造の形成と、第3工程におけるラウンド加工とを効率よく行うことができる。なお、第1工程における酸素流量比(処理室に導入する第1のエッチングガスの総流量における酸素ガスの流量比)が上記範囲以外であると、テクスチャー構造を形成できないという問題があり、他方で、第3工程における酸素流量比(処理室12に導入する第3のエッチングガスの総流量における酸素ガスの流量比)が上記範囲以外であると、エッチングレートが速すぎるか又は遅すぎて、エッチング形状を制御できないという問題がある。
次に、上記ドライエッチング装置EMを用いた第2実施形態のエッチング方法について説明する。第2実施形態のエッチング方法は、第2工程と第3工程の順番を逆にしたことを除いて、上記第1実施形態のエッチング方法と同じである。ここで、高周波電源3からの放電用電力の投入を停止せずにエッチングガスを切り替えることにより、同一処理室にて、第1工程、第3工程、第2工程をこの順番で連続して行うことが好ましい。各工程のガス流量等の条件については、上記第1実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。本実施形態によれば、最後にクリーニングを行うため、ラウンド加工されたテクスチャー構造が反応生成物で覆われることを確実に防止できる。一方、第1工程で基板表面に形成される反応生成物はシリコンを含むため、第3工程のラウンド加工時にこの反応生成物もエッチングされるため、第3工程にて所望の表面状態を得るまでの処理時間が上記第1実施形態よりも長くなる場合がある。尚、太陽電池の製造ラインにおけるドライエッチングの前後の工程や、ドライエッチングの諸条件等を考慮して、第1実施形態と第2実施形態のうちのいずれか一方を適宜選択するようにしてもよい。
以上によれば、単一のドライエッチング装置EMにより、テクスチャー構造の形成と当該テクスチャー構造に対するラウンド加工とを行うことで、光散乱封じ込め効果を発揮すると共に、後工程で所定の薄膜を形成するような場合でも、カバレッジよく成膜できるようにしたテクスチャー構造をシリコン基板に効率よく製造できる。その上、ウエットエッチングを用いないため、高い生産性を達成でき、しかも、コストダウンを図ることができる。なお、シリコンのインゴットをスライスして基板Wを得る際、スライス時に生じる基板Wのダメージ層を除去する工程を上記第1工程に先立って同一の処理室12内で行うことができる。この場合、ドライエッチングの条件は、上記従来例のものが利用できるため、ここでは詳細な説明を省略する。
次に、図1に示すドライエッチング装置EMを用いて行った実施例について説明する。第1実施例では、基板として公知の方法で得た多結晶シリコン基板を用い、第1工程の条件として、第1のエッチングガスをCFとClと酸素ガスとし、そのCF:Cl:酸素ガスの流量を300:1000:200sccm(このときの流量比は20:67:13%)とし、エッチング時の処理室12の圧力を60Paとし、高周波電源3からの投入電力を2kWとし、90秒間、前記処理を行った。第2工程の条件として、第2のエッチングガスをCFとし、そのCFの流量を300sccmとし、エッチング時の処理室12の圧力を60Paとし、高周波電源3からの投入電力を1.5kWとし、10秒間、前記クリーニング処理を行った。第3工程の条件として、第3のエッチングガスをCFと酸素ガスとし、そのCF:酸素ガスの流量を300:50sccm(このときの流量比は86:14%)とし、エッチング時の処理室の圧力を60Paとし、高周波電源3からの投入電力を1.0kWとし、10秒間、前記処理を行った。図2(a)には、第2工程を実施した直後、図2(b)には、第3工程を実施した直後の基板のSEM写真を夫々示す。これによれば、ドライエッチングによりテクスチャー構造をシリコン基板に効率よく製造できることが判る。
第2実施例では、基板として公知の方法で得た多結晶シリコン基板を用い、第1工程、第3工程、第2工程をこの順で連続して行った。このとき、第1工程の条件として、第1のエッチングガスをCFとClと酸素ガスとし、そのCF:Cl:酸素ガスの流量比を60:30:10%とし、エッチング時の処理室12の圧力を20〜150Paの範囲内とし、高周波電源3からの投入電力を29.5kWとし、処理時間を75秒間とした。第3工程の条件として、第3のエッチングガスをCFと酸素ガスとし、そのCF:酸素ガスの流量比を90:10%とし、エッチング時の処理室の圧力を上記20〜150Paの範囲内とし、高周波電源3からの投入電力を15kWとし、処理時間を15秒間とした。第2工程の条件として、第2のエッチングガスをCFとし、そのCFを第3工程と同等の流量で導入し、エッチング時の処理室12の圧力を上記20〜150Paの範囲内とし、高周波電源3からの投入電力を15kWとし、処理時間を10秒間とした。図3(a)には、第1工程を実施した直後、図3(b)には、第3工程を実施した直後、図3(c)には、第2工程を実施した直後の基板のSEM写真を夫々示す。これによれば、第1工程後は基板表面が全体的に反応生成物で覆われ、第2工程後にはテクスチャー構造の頂部及び谷部がラウンドされ、頂部に反応生成物(写真中、白く光っている部分)が残っているが、第3工程後には頂部の反応生成物が完全に除去されており、ドライエッチングによりテクスチャー構造をシリコン基板に効率よく製造できることが判った。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではない。上記実施形態では、本発明のドライエッチング方法を実施し得るドライエッチング装置EMとして、基板ステージ2に電力投入するものを例に説明したが、これに限定されるものではなく、誘導結合型放電を用いるドライエッチング装置等、本発明のドライエッチング方法は他の形式のドライエッチング装置にも広く適用可能である。
上記実施形態では、単一のドライエッチング処理装置EMにて第1工程、第2工程及び第3工程を実施したが、これを別個に行うこともでき、更に、第2工程でハロゲン含有ガスを停止するものを例に説明したが、フッ素含有ガスを停止するようにしてもよい。また、上記実施形態では、フッ素含有ガス、ハロゲン含有ガス及び酸素ガスを夫々別のガス源としているが、フッ素含有ガスと酸素ガスとの混合ガス、ハロゲン含有ガスと酸素ガスとの混合ガスを夫々ガス源としてもよい。
上記実施形態では、第2工程で酸素ガスを停止するものを例に説明したが、流星制御手段52cを制御して、第1工程よりも第2工程の酸素ガスの導入量を低下させてもよい。このとき、処理室12内に導入するガスの総流量に体するハロゲン含有ガスの流量比を60〜90%の範囲、酸素ガスの流量比を10〜40%の範囲とする(この場合、減圧下の処理室12内の圧力は40〜150Paとする)。
EM…ドライエッチング装置、12…処理室、2…基板ステージ、3…高周波電源、4…シャワープレート、5…ガス導入系、52a〜52c…マスフローコントローラ(流量制御手段)、53a〜53c…ガス管、54a〜54c…(フッ素含有ガス、ハロゲン含有ガス及び酸素ガス用の各)ガス源、W…基板(シリコン基板)。

Claims (8)

  1. シリコン基板表面にテクスチャー構造を形成するためのドライエッチング方法であって、
    シリコン基板を配置した減圧下の成膜室内に、フッ素含有ガスとハロゲン含有ガスと酸素ガスとを含む第1のエッチングガスを導入し、放電用電力を投入してシリコン基板表面をエッチングする第1工程と、
    第1工程でエッチング済みのシリコン基板を配置した減圧下の成膜室内に、フッ素含有ガスを含む第2エッチングガスを導入し、放電用電力を投入してシリコン基板表面を更にエッチングする第2工程と、を含むことを特徴とするドライエッチング方法。
  2. 第2工程でエッチング済みのシリコン基板を配置した減圧下の成膜室内に、フッ素含有ガスとハロゲン含有ガスとのいずれか一方を主成分とし、これに酸素ガスを添加した第3のエッチングガスを導入し、放電用電力を投入してシリコン基板表面を更にエッチングする第3工程を更に含むことを特徴とする請求項1記載のドライエッチング方法。
  3. 同一の処理室内にて、放電用電力の投入を停止せずに、第1のエッチングガス中のハロゲン含有ガスと酸素ガスとの当該処理室内への導入を停止して第1のエッチングガスから第2のエッチングガスに切り換えて第1工程と第2工程とを連続して行うことを特徴とする請求項1または2記載のドライエッチング方法。
  4. 同一の処理室内にて、放電用電力の投入を停止せずに、酸素ガスの導入を再開して第2のエッチングガスから第3のエッチングガスに切り換えて第2工程と第3工程とを連続して行うことを特徴とする請求項2記載のドライエッチング方法。
  5. 第1工程でエッチング済みのシリコン基板を配置した減圧下の成膜室内に、フッ素含有ガスとハロゲン含有ガスとのいずれか一方を主成分とし、これに酸素ガスを添加した第3のエッチングガスを導入し、放電用電力を投入してシリコン基板表面を更にエッチングする第3工程を更に含み、
    第2工程にて第3工程でエッチング済みのシリコン基板表面を更にエッチングすることを特徴とする請求項1記載のドライエッチング方法。
  6. 同一の処理室内にて、放電用電力の投入を停止せずに、第1のエッチングガス中のフッ素含有ガスとハロゲン含有ガスとのいずれか一方の当該処理室内への導入を停止して第1のエッチングガスから第3のエッチングガスに切り換えて第1工程と第3工程とを連続して行うことを特徴とする請求項5記載のドライエッチング方法。
  7. 同一の処理室内にて、放電用電力の投入を停止せずに、第3のエッチングガスから第2のエッチングガスに切り換えて第3工程と第2工程とを連続して行うことを特徴とする請求項5または6記載のドライエッチング方法。
  8. 第1工程及び第3工程における酸素ガスの導入を、流量制御手段を有する単一のガス導入系により行い、第1工程における酸素流量比を10〜40%の範囲とし、第3工程における酸素流量比を5〜60%の範囲となるように流量制御手段を制御することを特徴とする請求項2または5記載のドライエッチング方法。
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