JP2010032365A - デジタル式変位測定器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本体10に螺合され軸方向へ進退されるスピンドル2と、このスピンドルの変位量を検出するエンコーダ40とを備える。エンコーダは、ロータ41と、ステータ42とを有する。ロータは、ロータブッシュ44に保持され、ロータブッシュは、スピンドルの外周面軸方向に沿って形成されたキー溝23に係合可能な係合キー43を有するとともに、位置調節ねじ51によってスピンドルの軸方向位置が調整可能に設けられている。ステータは、スピンドルの近傍においてステータブッシュ45を介して本体にスピンドルの軸方向へ位置不変に固定されている。
【選択図】図2
Description
デジタル式マイクロメータは、本体と、この本体に螺合され軸方向へ進退されるスピンドルと、このスピンドルの変位量を検出するエンコーダと、このエンコーダの検出値から得られたスピンドルの変位量をデジタル表示する表示部とから構成されている。
エンコーダは、本体に設けられたステータと、スピンドルと同期回転可能に設けられたロータとが僅かな隙間を隔てて対向配置され、本体に対するスピンドルの変位量が、ステータに対するロータの回転角として検出される構造である。
ステータは、本体に形成されスピンドルを回転可能に支持する内筒の外周に軸方向へ移動可能に嵌合されたステータブッシュに保持されている。ステータブッシュは、スプリングによってロータブッシュに向かって付勢されている。つまり、ステータがロータへ向かって付勢され、ロータブッシュに対してステータブッシュが突き合わされた状態において、ステータとロータとが僅かな隙間を隔てて対向配置され、ステータに対するロータの回転角が検出される。
このような要求に対し、従来、規格に定められた精度を満足するために、本体に螺合されるスピンドルのねじ部のリードについては、0.5mmあるいは0.65mmが一般的に採用されている。測定の高能率化を達成するためには、スピンドルのねじ部のリードを大きくする方法が有効である。しかし、そのためには、ねじ部のリードに比例して、使用するエンコーダの高分解能化が必要となる。しかし、エンコーダの高分解能化による高精度化のためには、エンコーダを構成する上で必要な組立精度やエンコーダの挙動も見逃せない誤差要因となり、ねじ部のリードが1mmを超えるようなデジタル式マイクロメータは実現が困難であった。
本発明のエンコーダにおいて、スピンドルの回転に同期してロータ保持部材およびロータが回転しても、ステータは、スピンドルの近傍においてステータ保持部材を介して本体にスピンドルの軸方向へ位置不変に固定されているから、ステータの挙動による測定誤差の要因を極力排除できる。
従って、高精度化および高能率化のために、エンコーダを高分解能化しても、ステータの挙動が、高精度化されたエンコーダによって検出されることがないため、高精度化および高能率化の要求にも応えられる構造を備えたデジタル式変位測定器を提供できる。
このような構成によれば、スピンドルのねじ部は、リードが1mm以上に形成されているから、例えば、従来の0.5mmリードのねじ部を有するデジタル式マイクロメータに比べ、操作性を向上させることができる。つまり、高能率化を実現できる。
そのため、ステータに対して、ロータ(ロータ保持部材)がスピンドルに同期して回転しても、ロータ回転時における挙動(スピンドルの軸に対して傾く動作)を吸収することができるから、高精度化を実現できる。また、例えば、位置調節ねじがスピンドルに対して傾いている場合でも、ロータ保持部材をスピンドルに対して傾かせることなく適切な姿勢に保持することができる。したがって、係合キーのキー溝に対する深さ位置がスピンドルの回転に伴って変動する問題が発生しにくくなり、回転伝達誤差を低減することができる。
従って、ロータ回転時における挙動(スピンドルの軸に対して傾く動作)を吸収して、高精度化を実現できるとともに、位置調節ねじがスピンドルに対して傾いている場合でも、ロータ保持部材をスピンドルに対して傾かせることなく適切な姿勢に保持することができるから、回転伝達誤差を低減することができる。
なお、本実施形態においてデジタル式変位測定器としてデジタル式マイクロメータを例示するが、本発明はデジタル式マイクロメータに限定されるものではない。
図1は、本実施形態のデジタル式マイクロメータの正面図である。図2はデジタル式マイクロメータの部分断面図である。
図1および図2において、デジタル式マイクロメータ1は、略U字形の本体10と、この本体10に摺動自在に設けられたスピンドル2と、本体10の内部においてスピンドル2の変位量を検出するエンコーダ40と、このエンコーダ40によって検出されたスピンドル2の変位量(測定値)を表示するディスプレイ61とを備える。
ここで、スピンドル2のねじ軸22には、リードが1mm以上のねじを有するねじ部が形成されている。好ましくは、リードは、1.5〜2.54mmの範囲のいずれかの値に選択されている。
シンブル3の外周からスピンドル2の外端にかけて、操作スリーブ4が設けられている。操作スリーブ4は、スピンドル2に対して回転可能に設けられるとともに、スピンドル2の外端部に配置され外筒17の径より小さい径の第1操作部4Aおよび第1操作部4Aに嵌合され外筒17の外周に被嵌された第2操作部4Bを有する。
操作スリーブ4の第1操作部4Aとスピンドル2の外端との間には、スピンドル2に一定以上の負荷がかかったときに空転する定圧機構30が設けられている。なお、定圧機構30は、操作スリーブ4の第2操作部4Bと外筒17の外周との間に設けてもよい。
一方、スピンドル2に一定以上の負荷がかかっている状態では、操作スリーブ4を更に回転させて第1ラチェット車33を回転させると、第2ラチェット車35は回転しづらい状態にあるため、圧縮コイルばね36に抗してキー34に沿って圧縮コイルばね36側に逃げる。つまり、第1ラチェット車33の回転力が第2ラチェット車35に伝達されず、操作スリーブ4は空転し、定圧状態が維持される。
ロータ41は、略ドーナツ形板状に形成され、そのステータ42側の表面に図示しないコイルの電極パターンを有する。ロータ41のステータ42と逆側の表面は、ロータ保持部材としてのロータブッシュ44に係合されており、これにより、ロータ41は、ロータブッシュ44に支持されている。なお、ロータブッシュ44とロータ41とは、一体成形されていてもよく、また、別部材で成形されていてもよい。
位置調節ねじ51は、ロータブッシュ44を挟んでステータ42とは反対側のスピンドル2の外周を覆うとともに、軸受筒11の内周面に螺合されてスピンドル2の軸方向へ位置調節可能に設けられている。
ステータ環状部のロータ41と逆側の面は、図3に示すように、ステータ保持部材としてのステータブッシュ45に保持されている。ステータブッシュ45は、一端にステータ42を保持するステータ保持部451を有し、他端に内筒13の内端外周に嵌合される嵌合部452を有する。嵌合部452を内筒13の内端外周に嵌合させたのち、本体10の外側から螺合した止めねじ453を嵌合部452に突き当てると、ステータブッシュ45が内筒13(本体10)に固定される。つまり、ステータ42は、スピンドル2の近傍においてステータブッシュ45を介して内筒13(本体10)にスピンドル2の軸方向へ位置不変に固定される。
ステータ長手部は、本体10の内部において本体10に固定されている。
図4および図5に示すように、姿勢維持手段52は、ロータブッシュ44と位置調節ねじ51との間に設けられロータブッシュ44および位置調節ねじ51の双方と当接しロータブッシュ44をスピンドル2の軸に対して略直交する姿勢に維持するもので、略円盤状の基板521と、基板521に設けられスピンドル2が貫通される略円形の孔部521Aと、基板521の一方の面に設けられ位置調節ねじ51と当接される2つの第1当接部523と、基板521の他方の面に設けられロータブッシュ44と当接される2つの第2当接部522とを有する。
ここで、2つの第1当接部523および2つの第2当接部522は、2つの第1当接部523を結ぶ直線と2つの第2当接部522を結ぶ直線とが互いに略垂直になるように配置されている。
本実施形態のデジタル式マイクロメータ1は、姿勢維持手段52を備えるので、図6に示すように、位置調節ねじ51がスピンドル2に対して傾いて固定された場合でも、2つの第2当接部522がその上端において位置調節ねじ51と当接することで位置調節ねじ51の傾きによる影響を排除し、ロータブッシュ44を適切な姿勢に保持することができる。
シンブル3を回転操作することでスピンドル2をアンビル10Aに対して進退させ、スピンドル2の端面とアンビル10Aとを被測定物の被測定部位間に当接させる。このとき、スピンドル2の回転が、キー溝23、係合キー43およびロータブッシュ44を介してロータ41に伝達される。エンコーダ40により検出されたロータ41の回転角が、スピンドル2の軸方向の変位量に変換されてディスプレイ61に表示される。
デジタル式マイクロメータ1は、スピンドル2の回転に同期してロータブッシュ44およびロータ41が回転しても、ステータ42は、スピンドル2の近傍においてステータブッシュ45を介して内筒13にスピンドル2の軸方向へ位置不変に固定されているから、ステータ42の挙動による測定誤差の要因を極力排除できる。従って、高精度化および高能率化のために、エンコーダ40を高分解能化しても、ステータ42の軸方向への挙動が、高精度化されたエンコーダ40によって検出されることがないため、高精度化および高能率化の要求にも応えられる構造を備えたデジタル式変位測定器を提供できる。
また、位置調節ねじ51がスピンドル2に対して傾いている場合でも、ロータブッシュ44をスピンドル2に対して傾かせることなく適切な姿勢に保持することができる。したがって、係合キー43のキー溝23に対する深さ位置がスピンドル2の回転に伴って変動する問題が発生しにくくなり、回転伝達誤差を低減することができる。
これにより、例えば、姿勢維持手段52がスピンドル2と接触しスピンドル2のスムーズな回転を妨げる等の問題の発生を防止することができる。
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれる。
2つの第1当接部523および2つの第2当接部522の形状は、本実施形態で例示した略直方体形状に限らず、例えば、球形状、柱形状、錐形状等の他の形状であってもよい。
また、姿勢維持手段52の基板521は、スピンドル2が貫通される孔部521Aを有するものであればよく、その形状は、本実施形態で例示した略円盤状に限定されない。例えば、基板521は、多角形板状等の他の形状を有するものであってもよく、スピンドル2の軸方向に厚みを有するものであってもよい。
同様に、孔部521Aの形状は、スピンドル2を貫通させることができるものであればよく、本実施形態で例示した略円形のものに限定されない。例えば、孔部521Aは、多角形等の他の形状を有するものであってもよい。
以上の各構成を採用した場合でも、本実施形態と同様の優れた作用効果を得ることができる。
本実施形態において、移動規制部512が位置調節ねじ51のフランジ部511に設けられる構成を例示したが、これに限定されない。例えば、移動規制部512は、ロータブッシュ44に設けられていてもよい。このような場合でも、本実施形態と同様の優れた作用効果を得ることができる。
また、エンコーダ40は、本実施形態で例示した電磁誘導式エンコーダに限定されない。エンコーダ40は、ステータ42とロータ41の相対的な回転量を検出するデジタル式エンコーダであればよく、例えば、光学式や静電容量式等でもよい。
2 スピンドル、
3 シンブル、
4 操作スリーブ、
4A 第1操作部、
4B 第2操作部、
10 本体、
17 外筒(スリーブ)、
21 スピンドル本体、
22 ねじ軸(ねじ部)、
23 キー溝、
30 定圧機構、
40 エンコーダ、
41 ロータ、
42 ステータ、
43 係合キー、
44 ロータブッシュ(ロータ保持部材)、
45 ステータブッシュ(ステータ保持部材)、
51 位置調節ねじ、
52 姿勢維持手段、
451 ステータ保持部、
452 嵌合部、
511A 凹部、
512 移動規制部、
521A 孔部、
521 基板、
522 第2当接部、
523 第1当接部。
Claims (7)
- 本体と、この本体に螺合され軸方向へ進退されるスピンドルと、このスピンドルの変位量を検出するエンコーダとを備えたデジタル式変位測定器において、
前記エンコーダは、前記スピンドルの周方向に回転するロータと、このロータと所定間隔あけて対向配置され前記本体に設けられたステータとを有し、
前記ロータは、前記スピンドルの外周に前記スピンドルの軸方向へ移動可能に嵌合されたロータ保持部材に保持され、この状態において前記ステータと所定間隔あけて対向配置され、
前記ロータ保持部材は、前記スピンドルの外周面軸方向に沿って形成されたキー溝に係合可能な係合キーを有するとともに、位置調節ねじによって前記スピンドルの軸方向位置が調整可能に設けられ、
前記位置調節ねじは、前記ロータ保持部材を挟んで前記ステータとは反対側の前記スピンドルの外周を覆うとともに、前記本体に螺合されて前記スピンドルの軸方向へ位置調節可能に設けられ、
前記ステータは、前記スピンドルの近傍においてステータ保持部材を介して前記本体に前記スピンドルの軸方向へ位置不変に固定されている、
ことを特徴とするデジタル式変位測定器。 - 請求項1に記載のデジタル式変位測定器において、
前記本体に螺合される前記スピンドルのねじ部は、リードが1mm以上に形成されている、
ことを特徴とするデジタル式変位測定器。 - 請求項1または請求項2に記載のデジタル式変位測定器において、
前記ステータ保持部材は、一端に前記ステータを保持するステータ保持部を有し、他端に前記本体に設けられ前記スピンドルの外周を回転可能に支持するスピンドル支持筒の外周に嵌合される嵌合部とを有し、この嵌合部が前記スピンドル支持筒に固定されている、
ことを特徴とするデジタル式変位測定器。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のデジタル式変位測定器において、
前記ロータ保持部材と前記位置調節ねじとの間には、前記ロータ保持部材および前記位置調節ねじの双方と当接し前記ロータ保持部材を前記スピンドルの軸に対して略直交する姿勢に維持する姿勢維持手段が設けられている、
ことを特徴とするデジタル式変位測定器。 - 請求項4に記載のデジタル式変位測定器において、
前記姿勢維持手段は、前記スピンドルの外周に配置された基板と、この基板の一端面に設けられ前記位置調節ねじに当接される2つの第1当接部と、前記基板部の他端面に設けられ前記ロータ保持部材に当接される2つの第2当接部とを有し、前記第1当接部は、前記スピンドルの軸に対して互いに対称の位置に設けられ、前記第2当接部は、前記スピンドルの軸に対して互いに対称の位置に設けられ、前記2つの第1当接部を結ぶ直線と前記2つの第2当接部を結ぶ直線とが互いに略垂直である、
ことを特徴としたデジタル式変位測定器。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のデジタル式変位測定器であって、
前記位置調節ねじは、前記スピンドルの軸に垂直な方向へ前記基板が移動するのを規制する基板規制部を有し、この基板規制部は、前記位置調節ねじの前記ロータ保持部材側の端面に設けられ、前記基板を収納可能な凹部を有した、
ことを特徴としたデジタル式変位測定器。 - 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のデジタル式変位測定器において、
前記スピンドルは、前記本体に対してスリーブを介して螺合され、
前記スピンドルには、前記スリーブの外周に被嵌されたシンブルが固定され、
前記スピンドルに対して回転可能に設けられるとともに、前記スピンドルの外端部に配置され前記スリーブの径より小さい径の第1操作部および前記シンブルの外周に被嵌された第2操作部を有する操作スリーブと、
この操作スリーブの第1操作部と前記スピンドルの外端との間、および、前記操作スリーブの第2操作部と前記シンブルの外周との間のうちいずれか一方に設けられ、かつ、前記スピンドルに一定以上の負荷がかかったときに空転する定圧機構とを備えている、
ことを特徴とするデジタル式変位測定器。
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