JPH079229Y2 - テープガイド装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ビデオテープレコーダやディジタルテープレ
コーダ等の磁気記録再生装置のテープ走行系に配設され
てテープを案内するテープガイド装置に関する。

〔考案の概要〕

本考案は、軸方向に微動調整可能なテープガイド装置に
おいて、ガイド本体を挿通支持するガイド軸の基端部に
設けられたガイド座のガイド取付基台表面との接触面を
平坦化し、この平坦面から突出するように雄ネジ部を設
け、この雄ネジ部をガイド取付基台の雌ネジ孔に螺合さ
せてテープガイド装置を締め付け固定することにより、
ガイド取付基台表面に対するガイド軸の垂直度を高精度
に保つようにしたものである。

〔従来の技術〕

ビデオテープレコーダやデイジタルオーデイオテープレ
コーダ等の磁気記録再生装置のテープ走行系には、テー
プ走行路を所定位置に精度良く保つためのテープガイド
装置が設けられる。特に近年においては、記録密度の向
上や記録再生特性の向上が著るしく、テープガイド装置
としてテープ案内位置や垂直度等に高い精度が要求さ
れ、また案内位置の微調整が可能なものを要求されるこ
とが多い。

ここで、テープ案内高さ位置（テープ幅方向の位置）を
微動調整可能な固定テープガイド装置としては、たとえ
ば第７図ないし第９図に示すようなものが従来から知ら
れている。

これらの第７図ないし第９図において、外周面がテープ
ガイド面とされる略円筒形状のガイド本体31の中心部に
は軸方向に貫通孔32が穿設されており、この貫通孔32に
ガイド軸33が挿通されている。

先ず第７図の例のガイド本体31は、ガイド軸33により摺
動（図中上下動）可能に支持され、一端（図中上端）が
高さ調整ねじ付上フランジ34の端面（図中下端面）に当
接し、他端（図中下端）に設けられた下フランジ35が圧
縮コイルばね36により押圧されている。ガイド軸33の下
端部37は、テープレコーダのいわゆるメカシヤーシ等の
ガイド取付基台50に穿設された孔51に圧入固定されるよ
うになつている。

第８図の例では、ガイド軸33に圧入固定されるすり割付
上フランジ39と高さ調整ねじ付下フランジ40とによりガ
イド本体31を挾み付け固定し、ガイド取付基台50に穿設
された孔51に挿通されたガイド軸33に対して直角方向に
挿通されたねじ41によりガイド軸33を取付固定してい
る。

また、第９図の例では、ガイド本体31の上端が、ガイド
軸33に圧入固定された上フランジ42に当接し、下端に設
けられた下フランジ43が圧縮コイルばね44により押圧さ
れている。ガイド軸33の下端に形成された雄ねじ部45は
ガイド取付基台50の貫通孔51を介して裏面側に突出し、
この雄ねじ部45に高さ調整ナツト46が螺合するようにな
つている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、第７図の例においては、ガイド取付基台50に
対してガイド軸33の下端部37が塑性的に固定されるた
め、一旦取付固定した後のテープガイド装置の交換や取
付位置変更等が困難である。また、先にガイド軸33をガ
イド取付基台50に圧入固定した後にガイド本体31等の各
部品を組み付けてゆくため、作業が面倒であり、固定テ
ープガイド装置単体としての精度保証が行えず、取付基
台50に固定された状態でガイドの各部寸法や位置等の測
定を行わなければならないため、高精度化が困難であ
る。

次に、第８図や第９図の例では、固定テープガイド装置
を単体として組み立てた後にガイド取付基台50への取付
固定が行えるが、基台側方や基台裏面側にねじ回し等の
工具を配する必要があり、このための余分なスペースを
確保しなければならず、ねじ締め作業も一般に面倒とな
る。さらに第８図の例の場合には、ガイド軸33を固定す
るためのねじ41が軸に対して直角方向にあるため、ねじ
41を締め込んだときにその力によりガイド軸33が取付基
台50に対して傾きを生ずる虞れが大きく、取付基台50に
対するガイドの直角度が低下してしまう。また第９図の
例では、高さ調整ナツト46の回転調整時に、ガイド軸33
が共に回転してしまわないための工夫が必要となり、構
成が複雑化し高価となるのみならず、取付基台50に対す
る垂直度も保ちにくい。

さらに、第７図ないし第９図の従来例においては、取付
基台50の取付孔加工精度によつてガイドの直角度が略決
定されてしまうため、取付孔の穿設時の孔径や直角度に
高精度を要求され、加工コストが割高となる。

本考案は、このような実情に鑑みてなされたものであ
り、ガイド取付基台への取付固定前にテープガイド装置
を組み立てておくことができ、精度測定が容易で高精度
を確保できるのみならず、予め組み立てられたテープガ
イド装置の精度により取付固定後のガイドの直角度等の
精度を略決定することができ、さらに取付基台に対する
取り付け、取り外しも容易なテープガイド装置の提供を
目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案に係るテープガイド装置は、上述の問題点を解決
するために、中心部に貫通孔が穿設され周面にテープガ
イド面が形成されたガイド本体と、上記ガイド本体の貫
通孔に挿通されガイド本体を軸方向に摺動可能に支持す
るガイド軸と、このガイド軸の先端に螺合されて軸方向
に微動調整可能とされ、端面が上記ガイド本体の一端面
に接触してこのガイド本体の軸方向の位置を調整する調
整部材と、上記ガイド軸に挿通支持され、上記ガイド本
体の他端面に一端が当接する圧縮コイルバネと、上記ガ
イド軸の基端部に設けられこのガイド軸が一体的に固定
されるとともに、一端面が上記圧縮コイルバネの他端を
支持し、他端にはガイド取付基台表面と接触して上記ガ
イド軸を垂直に保つための平坦面が形成され、この平坦
面から突設されたガイド取付基台への取付用雄ネジ部を
有するガイド座とを備え、上記ガイド座を回転させるこ
とによって、上記ガイド座に設けた取付用雄ネジ部を上
記ガイド取付基台に形成した取付孔に螺合させるととも
に、上記ガイド座の他端に形成した平坦面をガイド取付
基台表面に接触させて取付けるように構成したものであ
る。

〔作用〕

ガイド本体、ガイド軸、高さ調整部材、圧縮コイルばね
およびガイド座を組み立ててテープガイド装置を予め完
成させた後に、ガイド取付基台の取付孔にガイド座の雄
ねじ部を螺合させて締め付けることにより取付固定が行
え、ガイド座の平坦面と取付基台の取付面とが圧接され
ることにより、取付基台に対するガイドの直角度はテー
プガイド装置の精度で略決定される。

〔実施例〕

第１図は本考案の一実施例を示す概略断面図、第２図は
該一実施例の要部（ガイド座）を取り出して示す概略斜
視図である。

これら第１図および第２図に示す固定テープガイド装置
TG1において、略円筒形状のガイド本体１の中心部には
軸方向に貫通孔２が穿設され、外周面は平坦化されてテ
ープガイド面とされている。このガイド本体１の貫通孔
２に挿通されるガイド軸３は、先端（図中上端）に雄ね
じ部４が形成されて高さ調整部材である高さ調整ナツト
５が螺合され、基端（図中下端）にガイド座６が圧入さ
れるようになつている。ガイド座６は、第２図にも示す
ように、図中上部の小径円筒部７と、中間部の大径円筒
部８と、図中下部の雄ねじ部９とから成り、小径円筒部
７の中心部には軸方向にガイド軸３の上記基端部を圧入
するための圧入孔10が穿設され、大径円筒部８には直径
方向に貫通孔11が穿設されている。また、大径円筒部８
の下端面8aは、テープレコーダのいわゆるメカシヤーシ
等のガイド取付基台20の取付面20aに接触する面であ
り、平坦度および圧入されるガイド軸３に対する直角度
を高い精度で確保するように仕上げ加工されており、寸
法的にも下端面8aの面積を可能な限り広くとれるように
形成されている。

ガイド本体１の図中上端には上フランジ12が、図中下端
には下フランジ13が設けられており、これらの上、下の
フランジ12,13は、ガイド本体１と一体的に形成してお
いてもよい。上フランジ12の上端面は高さ調整ナツト５
の下端面に当接し、下フランジ13の下端面は、ガイド軸
３およびガイド座６の小径円筒部７の周囲に装着された
圧縮コイルばね14の上端に当接している。圧縮コイルば
ね14の下端は、ガイド座６の大径円筒部８の上端面に当
接支持されている。

シヤーシ基板等のガイド取付基台20には、雌ねじの切ら
れた取付孔21が穿設されており、この取付孔21にガイド
座６の下部の雄ねじ部９が螺合されるようになつてい
る。

次に、第３図は本考案の他の実施例を示している。

この第３図に示す実施例の固定テープガイド装置TG2
は、上述の実施例の固定テープガイド装置TG1における
ガイド座６の大径円筒部８の代りに、多角柱形状、たと
えば六角柱形状としたナツト部18を小径円筒部７と雄ね
じ部９との中間部に設けて成るガイド座16を用いてい
る。他の構成は、上述の第１図および第２図に示す実施
例と同様な構成となつており、第３図中の対応する部分
に同一の指示符号を付して説明を省略する。

このような固定テープガイド装置TG1あるいはTG2は、シ
ヤーシ等の取付基台20への取付固定前に予め組み立てて
おくことが可能であり、この組立順序としては、先ずガ
イド軸３の基端をガイド座６あるいは17の圧入孔10内に
圧入して固定し、圧縮コイルばね14を装着した後、下フ
ランジ13、ガイド本体１および上フランジ12をガイド軸
３に挿入させ、最後に高さ調整ナツト５を雄ねじ部４に
螺合させればよい。

以上のようにして組み立てられた固定テープガイド装置
TG1あるいはTG2を取付固定する際には、シヤーシ基板等
のガイド取付基台20の取付孔21にガイド座６あるいは16
の下部の雄ねじ部９を螺合させ、大径円筒部８の貫通孔
11に締付工具の先端棒状部分を挿通して回転させること
により締め付け、あるいはナツト部18をスパナやレンチ
等により回転して締め付け、大径円筒部８の下端面8aあ
るいはナツト部18の下端面18aをガイド取付基台20の取
付面20aに圧接させる。

このとき、テープガイド装置TG1、TG2の取付基台20に対
する直角度は、ガイド座６の大径円筒部８の下端面8aあ
るいはガイド座16のナツト部18の下端面18aに対するテ
ープガイド装置の中心軸またはガイド軸１の外周面の傾
きによつて略決定されることになる。また、ガイド取付
基台20へはねじ締めにより取付固定されるため、雄ねじ
部９およびねじの首下が締付トルクに影響される。過大
な締付トルクがここに加わるとねじ首下に変形、破壊等
が発生するので、この部分は充分に強度を持たせるか、
あるいは締トルクを制限する必要がある。例えば、ガイ
ド座6,16の材質をしんちゆうとし、締付トルクを5kg・c
m以上とりたければ、雄ねじ部９のねじをいわゆるM2以
上の大きさとすることが好ましい。

以上のように、固定テープガイド装置TG1、TG2の取付基
台20に対する直角度は、ガイド座６の大径円筒部８の下
端面8aあるいはガイド座16のナツト部18の下端面18aの
傾きに依存することになるが、この具体的な評価法とし
ては、ガイド本体１の外周面（テープガイド面）を支点
とした下端面8a,18aの振れ角の大きさを測定すればよ
い。これは、円筒形状の被測定物のいわゆる端面振れ測
定に相当し、測定は容易で正確である。第４図の破線で
連結された各黒丸のデータは、この端面振れ測定値を直
角度に換算した値を示しており、横軸には、使用した複
数個のテープガイド装置の試料番号を示している。これ
に対して、第４図の実線で連結された各白丸のデータ
は、実験として、ガイド軸３を支点とした端面8a,18aの
振れの実測値を直角度に換算した値であり、上記端面振
れ測定値に基くデータと略同様の値となつていることが
明らかである。

次に、ガイド取付基台20の取付孔21が、第５図に示すよ
うにその中心軸が所定角、例えば、1.33°（＝１°2
1′）だけ傾いて穿設されているときに、ガイド取付固
定後の直角度実測値を第６図の白丸および実線にて示
す。このときの締付トルクは1kg・cmである。第６図の
黒丸および破線は、上述のような端面振れ測定値を直角
度に換算した値を示しており、横軸には第４図と対応す
る試料番号を付している。この第６図からも明らかなよ
うに、取付基台20の取付孔21の中心軸がある程度傾いて
穿設されていても、ガイド本体４と下端面8aまたは18c
との間の垂直度が高精度に保たれておれば、取付固定後
のテープガイドの垂直度も高精度を確保できる。

〔考案の効果〕

本考案のテープガイド装置によれば、ガイド取付基台へ
の取付固定前にテープガイド装置全体を予め組み立てて
おくことができ、各部寸法精度等の測定が容易に行え、
精度管理や高精度の保証が容易に実現できる。また、組
み立てられたテープガイド装置をガイド取付基台に取付
固定した状態における直角度は、テープガイド装置のガ
イド座下端面の中心軸に対するいわゆる面振れ精度によ
つて略決定され、取付基台の取付孔については、従来の
ようなμ（ミクロン）単位の高い精度で穿設加工する必
要がなくなり、孔明け加工作業が容易かつ効率よく行え
る。さらに、テープガイド装置を取付基台に取付固定し
た後に、例えば軸の変形やガイド面の損傷等が発生した
場合でも、ねじ締め固定であるから容易に取り外して新
たなテープガイド装置に取り換えることができる。そし
て、この取り換え操作は、ガイド取付基台への取付け側
においてのみ行うことができるので、テープレコーダ等
への配置後の脱着作業が極めて容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す概略断面図、第２図は
該第一実施例の要部を取り出して示す概略斜視図、第３
図は他の実施例を示す概略断面図、第４図はテープガイ
ド装置の端面振れから換算した直角度と直角度実測値と
の関係を示すグラフ、第５図はガイド取付基台の取付孔
の一例を示す概略断面図、第６図はテープガイド装置の
端面振れから換算した直角度と第５図の取付孔への取付
固定後の直角度実測値との関係を示すグラフであり、第
７図ないし第９図はそれぞれ互いに異なる従来例を示す
概略断面図である。 １……ガイド本体、２……貫通孔 ３……ガイド軸、５……高さ調整ナツト 6,16……ガイド座、８……大径円筒部 18……ナツト部、8a,18a……下端面 ９……雄ねじ部、12……上フランジ 13……下フランジ、14……圧縮コイルばね 20……ガイド取付基台、20a……取付面 21……取付孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】中心部に貫通孔が穿設され周面にテープガ
   イド面が形成されたガイド本体と、 上記ガイド本体の貫通孔に挿通されガイド本体を軸方向
   に摺動可能に支持するガイド軸と、 このガイド軸の先端に螺合されて軸方向に微動調整可能
   とされ、端面が上記ガイド本体の一端面に接触してこの
   ガイド本体の軸方向の位置を調整する調整部材と、 上記ガイド軸に挿通支持され、上記ガイド本体の他端面
   に一端が当接する圧縮コイルバネと、 上記ガイド軸の基端部に設けられこのガイド軸が一体的
   に固定されるとともに、一端面が上記圧縮コイルバネの
   他端を支持し、他端にはガイド取付基台表面と接触して
   上記ガイド軸を垂直に保つための平坦面が形成され、こ
   の平坦面から突設されたガイド取付基台への取付用雄ネ
   ジ部を有するガイド座とを備え、 上記ガイド座を回転させることによって、上記ガイド座
   に設けた取付用雄ネジ部を上記ガイド取付基台に形成し
   た取付孔に螺合させるとともに、上記ガイド座の他端に
   形成した平坦面をガイド取付基台表面に接触させて取付
   けることを特徴とするテープガイド装置。